特開2019-166644(P2019-166644A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三福工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019166644-発泡複合体の製造方法 図000003
  • 特開2019166644-発泡複合体の製造方法 図000004
  • 特開2019166644-発泡複合体の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-166644(P2019-166644A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】発泡複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/02 20060101AFI20190906BHJP
   B29C 41/04 20060101ALI20190906BHJP
   C08J 9/228 20060101ALI20190906BHJP
   B29C 41/22 20060101ALI20190906BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20190906BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20190906BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20190906BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20190906BHJP
   B29B 9/04 20060101ALI20190906BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20190906BHJP
   B29B 9/02 20060101ALI20190906BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20190906BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20190906BHJP
【FI】
   B29C44/02
   B29C41/04
   C08J9/228CES
   B29C41/22
   B29C44/00 B
   B29C44/06
   B29C47/06
   B29C47/28
   B29B9/04
   B29B9/06
   B29B9/02
   B29K23:00
   B29K105:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-53875(P2018-53875)
(22)【出願日】2018年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】594060831
【氏名又は名称】三福工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 輝秋
(72)【発明者】
【氏名】監物 孝明
【テーマコード(参考)】
4F074
4F201
4F205
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA18
4F074AA20
4F074AB05
4F074BA13
4F074BB02
4F074CA46
4F074CA49
4F074DA14
4F074DA19
4F074DA20
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA42
4F201AA03
4F201AB02
4F201AG03
4F201AG20
4F201BA02
4F201BD10
4F201BL07
4F201BL08
4F201BL33
4F201BL42
4F201BL47
4F201BL50
4F205AA03
4F205AB02
4F205AC01
4F205AC04
4F205AG20
4F205GA01
4F205GB01
4F205GB28
4F205GC04
4F205GF01
4F205GN01
4F207AA03
4F207AB02
4F207AC01
4F207AC04
4F207AF01
4F207AF12
4F207AG01
4F207AG03
4F207AG14
4F207AG20
4F207KA01
4F207KA11
4F207KB26
4F207KK65
4F207KL58
4F207KL84
4F207KW26
4F207KW41
4F214AA03
4F214AB02
4F214AC01
4F214AC04
4F214AG20
4F214UA03
4F214UB01
4F214UB28
(57)【要約】
【課題】軽量で圧縮強度や断熱性の優れた発泡複合体を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】樹脂粉末とポリオレフィン系の発泡性ペレットを同時に金型内に投入し、金型を回転させながら加熱成形する製造方法において、非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットを金型容積の5%〜25%使用することを特徴とする。前記非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットは、2台の押出機を使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をロッド状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出し、クロスヘッドダイスによって前記ロッド状の発泡性の樹脂組成物を前記非発泡性の樹脂によって被覆した2層のロッド状の樹脂組成物とし、該2層のロッド状の樹脂組成物を、半球状の溝が形成された2台のロールの間に挟み込むと同時に、これらの2台のロールを回転軸に沿った方向に移動させることにより球状に成形したものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粉末とポリオレフィン系の発泡性ペレットを同時に金型内に投入し、金型を回転させながら加熱成形する製造方法において、
非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットを金型容積の5%〜25%使用することを特徴とする発泡複合体の製造方法。
【請求項2】
前記非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットは、2台の押出機を使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をロッド状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出し、クロスヘッドダイスによって前記ロッド状の発泡性の樹脂組成物を前記非発泡性の樹脂によって被覆した2層のロッド状の樹脂組成物とし、該2層のロッド状の樹脂組成物を、半円状の溝が形成された2台のロールの間に挟み込むと同時に、これらの2台のロールを回転軸に沿った方向に移動させることにより球状に成形したものであることを特徴とした請求項1記載の発泡複合体の製造方法。
【請求項3】
前記非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットは、2台の押出機と2種3層用のダイスを使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をシート状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出して、前記シート状の発泡性の樹脂組成物の両面を非発泡性の樹脂によって挟み込んだサンドイッチ構造の複合シートを作成し、該複合シートを表面に半球状の凹模様が形成された2台のロールの間に挟み込むことにより球状に成形したものであることを特徴とした請求項1記載の発泡複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材、建材、クッション材、衝撃吸収材、浮揚材等に用いられる発泡複合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック成形体を作る方法は、射出成形、押出成形、ブロー成型、プレス成形等色々な成形方法がある。しかし、これらの方法で成形されたプラスチック成形体は、いずれも成形時の歪が残り易く、そのために耐久性に課題が残る。特に、屋外にて、使用する成形体においては、紫外線の影響や、風水害の影響、寒暖差の影響等により、プラスチック成形体としての寿命が大きく低下することが知られている。
【0003】
一方、耐久性の優れたプラスチック成形体を製造する成形方法として、回転成形装置を用いた成形方法がある。回転成形装置による成形方法では、粉末状の樹脂を金型内に投入し、一定時間加熱しながら、金型を二軸方向に同時回転させることで、樹脂が無負荷状態で溶融し金型壁面に融着して成形体を形成する。この製造方法では、成形時の歪みがほとんど無いため、耐久性の優れたプラスチック成形体を得ることが出来るという特徴がある。
【0004】
また、回転成形装置による成形方法は、中空の成形体が特徴である。目的とする製品の圧縮強度や断熱性を改善するために、中空の部分に後工程にて発泡体を充填する方法がある。この発泡体としては、発泡ウレタンや発泡スチレンが主に用いられている。この場合、工程が2工程となり作業時間の問題、や充填する発泡素材と表皮材との材質が異なる場合が多くそのために発泡体と表皮との密着性が問題になることが多い。
【0005】
上記問題を解決する方法として、表皮材となる樹脂粉末とオレフィン系の発泡性のペレットを同時に金型内に投入して、回転成形する方法が提案されている(特許文献1参照)。この発明は、熱可塑性のプラスチックの粉末と、ポリオレフィンの架橋発泡性粒状体を金型に入れて加熱するものであり、断熱性の高い且つ機械的強度の高い発泡複合体を製造することができる。
【0006】
また、発泡層の強度を向上させるために、二層の発泡性ペレットを使用する方法も提案されている(特許文献2参照)。この発明は、表皮材となる樹脂粉末と、発泡性のペレットを同時に金型内に投入し、回転成形する方法であり、発泡層の強度を向上させるために、表面の全部をプラスチックで被覆した架橋発泡するポリオレフィンからなる二層の発泡ペレットを使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−000908号公報
【特許文献2】特許第4074319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載された発明では、二層の発泡性ペレットは、扁平状に形成されているため、成形過程において発泡性ペレットが部分的に異常発泡することがあり、この場合、表皮層を構成している非発泡部分に支障を来し、均一な表皮層に成型出来ず、発泡層が剥き出しになるという課題があった。そのため商品価値が大幅に低下する虞がある。
【0009】
本発明の課題は、非発泡層と発泡層からなる耐久性や機械的強度の優れたプラスチック成形体を、効率よく製造する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、球状の二層発泡性ペレットを使用することによって、上記従来の課題を解決し得ることを見出したものである。
【0011】
このため、本発明に係る発泡複合体の製造方法は、樹脂粉末とポリオレフィン系の発泡性ペレットを同時に金型内に投入し、金型を回転させながら加熱成形する製造方法において、非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットを金型容積の5%〜25%使用することを特徴とするものである。
【0012】
上記発泡複合体の製造方法において、前記非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットは、2台の押出機を使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をロッド状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出し、クロスヘッドダイスによって前記ロッド状の発泡性の樹脂組成物を前記非発泡性の樹脂によって被覆した2層のロッド状の樹脂組成物とし、該2層のロッド状の樹脂組成物を、半球状の溝が形成された2台のロールの間に挟み込むと同時に、これらの2台のロールを回転軸に沿った方向に移動させることにより球状に成形したものであることを特徴とする。
【0013】
また、上記発泡複合体の製造方法において、前記非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットは、2台の押出機と2種3層用のダイスを使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をシート状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出して、前記シート状の発泡性の樹脂組成物の両面を非発泡性の樹脂によって挟み込んだサンドイッチ構造の複合シートを作成し、該複合シートを表面に半球状の凹模様が形成された2台のロールの間に挟み込むことにより球状に成形したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非発泡層と発泡層からなる耐久性や機械的強度の優れた発泡複合体を、効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例と比較例の配合量と目視結果を説明する図である。
図2】第1実施例に係る発泡複合体を説明する図である。
図3】第1比較例に係る発泡複合体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明は、樹脂粉末とポリオレフィン系の発泡性ペレットを同時に金型内に投入し、金型を回転させながら加熱成形する製造方法を用いてなるものであり、非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットを金型容積の5%〜25%使用することを特徴とするものである。
【0018】
非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性ペレットが5%未満の場合では、金型内部に空隙が発生し易くなり、得られた発泡複合体の強度が低下するという問題が発生する。また、金型容積の25%よりも多く充填すると、成形時に発生する内圧が高くなり、成形体の表面層に影響し、表面に亀裂や発泡層が発現し、外観が悪くなるといった問題が発生する。より好ましくは、8%〜20%の範囲内で成形することが好ましい。
【0019】
本発明において、発泡複合体の表皮材となる樹脂粉末としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとαオレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系の樹脂粉末や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等の粉末を使用することが可能である。また、ペレット状のものを粉砕して粉末状にしたものでも使用することができる。
【0020】
本発明において用いられる非発泡性の樹脂で被覆した球状の発泡性のペレット(以下、「非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレット」又は「二層構造を有する球状の発泡性ペレット」ということもある)としては、150℃〜200℃の範囲内で5分〜20分で2倍以上に熱膨張し、発泡層を形成することが出来るものが好ましい。さらに好ましくは、被覆層となる非発泡層は、コアとなる発泡層が成形過程で膨張する際に同時に、スムーズに追随することが出来るようにするために、非発泡性樹脂で構成される表皮材と同等の樹脂、もしくは異なる樹脂の場合、ある程度表皮材に対する密着性が得られるものであれば、使用可能である。
【0021】
本発明において用いられる二層構造を有する発泡性ペレットは、球状であることが必要である。角があるペレットや扁平したペレットでは、発泡成形時に、非発泡層からなる表皮の層部分に、発泡過程の粒子が混入し、表皮を破壊して表面に発泡層が剥き出しになることが多い。その結果、出来上がった成型品の強度が低下するだけでなく、外観も悪くなり商品価値が著しく低下するためである。
【0022】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットの製造方法について、詳しく説明する。
【0023】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットの非発泡層に用いられる樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン‐αオレフィン共重合体から選ばれた樹脂が好ましい。より好ましくは、ポリエチレン、エチレン‐αオレフィン共重合体の1種又は2種以上の混合物が好ましい。特に、非発泡層はコアとなる発泡層の発泡過程において、コアの発泡に追随して膨張することが必要であり、コアとなる発泡層に使用される樹脂と類似の溶融挙動を示すものが好ましい。
【0024】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットのコアとなる発泡層に用いられる樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、エチレン‐αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが使用可能である。より好ましくは、架橋発泡性の優れたポリエチレン、エチレン‐αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
【0025】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットのコアとなる発泡層の樹脂成分には、熱分解型発泡剤と架橋剤が含まれることが好ましい。この熱分解型発泡剤としては、上記した発泡層の樹脂組成物の溶融温度よりも高い分解温度を有するものであればよく、好ましくは、アゾジカルボンアミドがあり、更に、アゾジカルボンアミドと同等もしくはそれより高い分解温度を有するヒドラゾシカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム塩、ジニトロソペンタエチレンテトラミン、ニトロソグアニジン、P,P'−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジンシンメトリックトリアジン、ビスベンゼンスルホニルヒドラジド、バリウムアゾジカルバキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、トルエンスルホニルヒドラジド等が用いられ。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂組成物中の樹脂100重量部に対して、一般に5〜20重量部程度であり、所望の発泡倍率に応じて設定される。
【0026】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットのコアとなる発泡層の樹脂成分には、架橋剤が含まれている。この架橋剤には、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物等を使用することができる。前記架橋剤の配合量は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し0.5〜5重量部である。また、架橋反応を効率的行わせるために、架橋助剤として、多官能モノマーを併用することができる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン等を使用することができる。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。使用量は、通常、樹脂100重量部に、架橋剤0.1〜2重量部の範囲内が好ましい。
【0027】
本発明において用いられる外側の表皮層の樹脂成分には、難燃性の樹脂、無機物のフィラーや難燃剤、繊維などを配合し、表皮の強度の改良や難燃化を実現することが出来る。また、カーボンブラックや金属繊維等を混合し導電性や帯電防止性を付与することもできる。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤を混合して耐候性を向上させることも出来る。
【0028】
本発明において用いられる非発泡層付の二層構造を有する球状の発泡性ペレットは、2台の押出機と球状に成形する装置とから作成することが出来る。即ち、2台の押出機を使用し、1台の押出機からコアとなる発泡性の樹脂組成物をロッド状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出し、クロスヘッドダイスによって前記ロッド状の発泡性の樹脂組成物を前記非発泡性の樹脂によって被覆した2層のロッド状の樹脂組成物とし、該2層のロッド状の樹脂組成物を、半円状の溝が形成された2台のロールの間に挟み込むと同時に、これらの2台のロールを回転軸に沿った方向に移動させることにより球状に成形することが出来る。
【0029】
また、2台の押出機と2種3層用のダイスを使用し、1台の押出機から発泡性の樹脂組成物をシート状に押し出すと共に他の1台の押出機から非発泡性の樹脂を押し出して、前記シート状の発泡性の樹脂組成物の両面を非発泡性の樹脂によって挟み込んだ2種3層のサンドイッチ構造の複合シートを作成し、該複合シートを表面に半球状の凹模様をシボ加工した2台のロールの間に挟み込むことにより球状に成形することが出来る。
【0030】
球状の発泡性ペレットの大きさは、目的とする成形体の大きさにもよるが、通常は、直径が2mm〜15mmの範囲内のものが好ましく、さらに好ましくは、3mm〜10mmの範囲内のものである。直径が2mm以下の小さいものは、球状に成形することが難しく、また、得られる成形体の表皮層に発泡層が混合しやすくなり、強度の低下や外観の低下を招きやすくなる。また、15mmを超える発泡性ペレットでは、目的とする成形体の薄い部分の成形が不安定になり、均一な発泡層の形成が難しくなり易い。
【0031】
本発明において、発泡複合体を製造する際には、回転成形装置を用いた成形方法を用いて行うことが出来る。この場合、金型には熱伝導性の良い鉄、ステンレス、アルミニウム等、金属材料の板状体又は鋳物を用い、二つ割以上か側壁と上下の蓋とから構成するのが普通である。金型の加熱は、熱風、直火、又は、電気式、オイル式の金型を使用することが出来る。金型の表面温度を、使用する発泡剤が分解する温度に加熱する。金型が発泡剤の分解する温度になると、球状の発泡性ペレット内に分散している発泡剤が分解しペレットが金型内部で膨張を開始する。金型を加熱する温度は、設備の容量や性能にもよるが、150℃〜200℃の範囲が好ましい。また、加熱する時間は、5分〜20分の範囲が好ましい。加熱温度が150℃未満では、発泡剤の未分解物が残り易くなる。また、200℃以上では、表皮層が完全に出来る前に、発泡ペレットが膨張し、表皮層を傷つける現象が発生し易くなる。
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例1】
【0033】
密度0.920、MFR2.0の低密度ポリエチレン100重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド8重量部、ジクミルパーオキサイド1.0重量部、を溶融混合したコアとなる樹脂を口径40mm、L/D=24の押出機にて直径:5mmのロッド状になるように押出し、クロスヘッドダイスを用いて、もう一台の押出機(口径40mm、L/D=28)にて、非発泡性樹脂となる密度0.950、MFR4.0の高密度ポリエチレンを肉厚1.0mmとなるように均一に被覆した直径約7mmのロッド状とし、このロッドを半円状の溝が形成された2台のロールに挟み込むと同時に、これら2台ロールを回転軸に沿った方向に且つ互いに反対方向に移動させることより、球状の2層ペレットを作成した。
【0034】
上記2層構造の球状の発泡性ペレット100g(金型容積の10%)と密度0.950、MFR1.0の高密度ポリエチレンの粉末120gを内法100mm×100mm×100mmで肉厚4mmのアルミ製の金型に投入し、回転成型機にて加熱成形した。金型温度は、180℃になるように設定し、約15分間加熱成形した。その後自然冷却にて、80℃以下まで冷却させた後、金型から製品を取り出した。その結果、図1図2に示すように、表皮部分1は均一で綺麗な成形体であった。表皮部分1の内部は、ハチの巣構造の発泡層2で充填されていた。
【実施例2】
【0035】
MFR2.0、酢酸ビニル含有量15%のエチレン-酢酸ビニル共重合体100重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド6重量部、ジクミルパーオキサイド0.8重量部、を溶融混合したコアとなる樹脂の表層部に、非発泡樹脂となる密度0.904、MFR2.0のエチレン‐αオレフィン共重合体を肉厚1.5mmとなるように均一に被覆した直径約8mmのロッド状物のものを、ロール表面が半球状の模様に加工された2台のロールの間に通して、連続的に成形と同時にカットして2層構造の球状の発泡性ペレットを作成した。
【0036】
上記2層構造の球状の発泡性ペレット180g(金型容積の18%)と密度0.950、MFR1.0の高密度ポリエチレンの粉末120gを内法100×100×100mmで肉厚4mmのアルミ製の金型に投入し、回転成型機にて加熱成形した。金型温度は、180℃になるように設定し、約15分間加熱成形した。その後自然冷却にて、80℃以下まで冷却させた後、金型から製品を取り出した。その結果、図1に示すように、表皮部分及び発泡層は均一で綺麗な成形体であった。
【0037】
[比較例1]
密度0.920、MFR2.0の低密度ポリエチレン100重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド8重量部、ジクミルパーオキサイド1.0重量部、を溶融混合したコアとなる樹脂をクロスヘッドダイスを用いて、表層部に、非発泡性樹脂となる密度0.950、MFR4.0の高密度ポリエチレンの被膜を設けたロッド状のものを、圧縮切断して扁平状の2層ペレットを作成した。
【0038】
上記扁平状の2層ペレット100g(金型容積の10%)と実施例1と同じ高密度ポリエチレン粉末120gを、内法100×100×100mmで肉厚4mmのアルミ製の金型に投入し、回転成型機にて加熱成形した。金型温度は、180℃になるように設定し、約15分間加熱成形した。その後自然冷却にて、80℃以下まで冷却させた後、金型から製品を取り出した。その結果、図1図3に示すように表皮部分1の一部は、発泡層2が突き抜けた状態になっているのが見られた。
【0039】
[比較例2]
密度0.920、MFR2.0の低密度ポリエチレン100重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド6重量部、ジクミルパーオキサイド1.0重量部、を溶融混合したコアとなる樹脂を、クロスヘッドダイスを用いて、表層部に非発泡性樹脂となる密度0.950、MFR4.0の高密度ポリエチレンの被膜を設けたロッド状のものを、圧縮切断して扁平状の二層ペレットを作成した。この扁平状の二層ペレット180g(金型容積の18%)と実施例1と同じ高密度ポリエチレン粉末120gを、内法100×100×100mmで肉厚4mmのアルミ製の金型に投入し、回転成型機にて加熱成形した。金型温度は、180℃になるように設定し、約15分間加熱成形した。その後自然冷却にて、80℃以下まで冷却させた後、金型から製品を取り出した。その結果、図1に示すように、表皮部分の一部は、発泡層が突き抜けた状態になっているのが見られた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る発泡複合体の製造方法は、断熱材、建材、クッション材、衝撃吸収材、浮揚材等に用いられる発泡複合体を製造する際に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 表皮部分
2 発泡層
図1
図2
図3