【解決手段】ポリウレタン発泡成形品の発泡成形で、その表面8bに塗膜8FLが被覆一体化する塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法において、型開状態下、パーティングラインを形成する下型型合せ面25にも及んで下型キャビティ面20に塗料を吹付けて塗膜8FLを形成した後、ポリウレタン発泡原料Gを下型キャビティ面20上に注入し、次に下型型合せ面25とその上方側型合せ面35間を透かして型閉じし、続いて、下型型合せ面25上の塗膜8FLへポリウレタン発泡原料Gが付く状態にして発泡成形を進行させ、その後、透かしをなくす方向の型締めをし、下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料Gとを一緒に圧縮硬化させたバリを形成する。
前記下型型合せ面とその上方側型合せ面間を透かして型閉じした状態で、前記下型型合せ面上の塗料へ前記ポリウレタン発泡原料が付くように発泡成形を進行させ、且つその後の発泡成形の進行途中で、前記下型型合せ面と前記上方側型合せ面間を透かしていた隙間をより大きく広げる操作を行い、その後、前記型締めをする請求項1記載の塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法。
前記下型型合せ面上の塗膜とこれに付いた前記ポリウレタン発泡原料とを一緒に圧縮硬化させた前記バリを形成して、前記塗膜が被覆一体化する前記ポリウレタン発泡成形品を発泡成形した後、脱型し、しかる後、前記バリを取り除く請求項1又は2に記載の塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜
図14は本発明の塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法の一形態で、塗膜付きポリウレタン発泡成形品をエンジン本体の側面に取付けるエンジンインシュレータに適用する。
図1,
図2はその塗膜付きポリウレタン発泡成形品の斜視図、
図3は型開状態で下型に塗料を塗布する断面図、
図4は下型にポリウレタン発泡原料を注入する断面図、
図5は
図4の後、下型型合せ面とその上方側型合せ面間を透かして型閉じした断面図、
図6は下型型合せ面の塗膜上へポリウレタン発泡原料が進行する断面図、
図7は
図6の発泡成形が進行している全体説明断面図、
図8は型締めをし、発泡成形を終えた説明断面図、
図9は
図8の部分拡大図、
図10は他態様の塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法で、隙間を広げる操作を行った断面図、
図11は
図10の部分拡大図、
図12はバリ付き製品の斜視図、
図13,
図14はバリ除去の様子を描く断面図,斜視図を示す。各図は図面を判り易くするため発明要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を簡略化又は省略する。
【0011】
塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法は、ポリウレタン発泡成形品8FMの発泡成形で、その表面8bに塗料Pの塗膜8FLが被覆一体化する塗膜付きポリウレタン発泡成形品8を得る製法である。下型キャビティ面20に塗料Pを吹付けた後、該下型キャビティ面20上へポリウレタン発泡原料Gを注入して型閉じし、その後、ポリウレタン発泡成形品8FMの発泡成形で、その表面8bに塗料Pの塗膜8FLを転写一体化して塗膜付きウレタン発泡成形品8を造る。
【0012】
本実施形態の塗膜付きウレタン発泡成形品8は、エンジン本体の側面に当接(又は近接)させて、エンジン音を小さくする
図1,
図2ごとくの吸音用インシュレータとする。エンジン本体への取付けで、ボンネットを開けた際に見えるポリウレタン発泡成形品8の外面8aはそのままにするが、該外面8aを除くエンジン本体側表面8b全てが厚みtの塗膜8FLで被覆された板状インシュレータとする。塗膜8FL用の塗料Pは、主部たる吸音性を有するポリウレタン発泡成形品8FMをエンジン本体に付着したオイル等から保護する耐油性,撥水性のものである。ここでの塗料Pは、ポリウレタン発泡成形品8FMと親和性の良い一液性のウレタン系塗料を用いる。
図1,
図2中、符号82は外面8aから頂面84へ向かう立壁、符号83は斜面、符号86は湾曲部で、エンジン本体側面への当たり面8b側はその形状に合わせた凹凸になる。
【0013】
塗膜付きウレタン発泡成形品8用の発泡成形型1は、
図5〜
図7のように下型2と、その型合せ面25とでパーティングラインを形成する上方側型合せ面たる上型型合せ面35を有する上型3と、を備える。尚、図示を省くが、上方側型合せ面は中型が存在するとその型合せ面になる場合もある。
下型2にはエンジン本体側面に合わせた
図3のような断面凹形の下型キャビティ面20が形成される一方、上型3のキャビティ面30は、塗膜付きウレタン発泡成形品8の外面8aに合わせた平らな面とする。そして、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を透かして型閉じすることができるよう、下型2に透かし手段4たる油圧シリンダ5(アクチュエータ)を組み込んでいる。下型キャビティ面20と下型型合せ面25が接する角部23よりも外方の下型型合せ面25上にロッド52が出没するよう油圧シリンダ5が設置される(
図3)。シリンダ本体51から進退動するロッド52を
図6の進出状態にし、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を透かして型閉じ設定でき、さらに、両型合せ面25,35間を透かしていた隙間ε2を、
図11のごとくより大きく広げる隙間ε3への設定もできる。一方、ロッド52を退動させれば、下型2,上型3の両型合せ面25,35を型締め密着でき、バリが介在すれば、型締めで圧縮し、
図9のような薄膜状のバリ9に押し潰すことのできる発泡成形型1になっている。
【0014】
前記発泡成形型1を用いて、塗膜付きウレタン発泡成形品8が例えば次のように製造される。
まず、発泡成形型1の型開状態下、下型キャビティ面20に離型剤(図示せず)を吹き付けた後、パーティングラインを形成する下型型合せ面25にも及んで下型キャビティ面20に塗料Pを吹付ける(
図3)。下型キャビティ面20と下型型合せ面25との境界まで確実に行き届くよう、吹付けた塗料Pは下型型合せ面25にも
図3のように載せつつ、下型キャビティ面20の全域に塗料Pを吹き付ける。ポリウレタン発泡成形品8FMの外面周縁85にまで塗膜8FLを形成すべく、
図3の実線図示で吹付ける塗料Pの噴霧ホースPHを紙面垂直方向に動かし、下型型合せ面25に塗料Pが載る形で、下型キャビティ面20との境の下型角部23の全周に亘って塗布する。塗料Pはやがて硬化し、下型キャビティ面20上と共に下型型合せ面25上にも角部23の全周域に亘って載る塗膜8FLを形成する。
【0015】
次に、下型キャビティ面20上(詳しくは塗膜8FL上)にウレタン発泡成形品用軟質ポリウレタン発泡原料G(以下、単に「ポリウレタン発泡原料」という。)を、可動ノズルNLで注入する(
図4)。ここでのポリウレタン発泡原料Gはポリエーテル系のウレタン原料とし、発泡成形後のポリウレタン発泡成形品8FMの密度が密度150kg/m
3となるように調整されている。尚、塗料Pは下型型合せ面25にも及んで塗布したが、ポリウレタン発泡原料Gについては下型型合せ面25にまで付与するに及ばない。
【0016】
次いで、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を透かして型閉じする(
図5)。型閉じに先立ち、予め
図4のごとくロッド52を進出させる。可動側分割型の上型3を下動させて型閉じすると、上型3がロッド52の頂部に当って止まる。ロッド52が進出した状況下の型閉じで、
図6のように下型型合せ面25と上型型合せ面35間に0.1〜0.2mm(ここでは、0.14mm)の透かした隙間ε2を確保する。
【0017】
続いて、前記隙間ε2が確保された型閉じ状態を保って、下型型合せ面25上の塗膜8FLへ前記ポリウレタン発泡原料Gが付く状態まで発泡成形を進める。下型キャビティ面20に注入された前記ポリウレタン発泡原料Gは発泡倍率の高い発泡成形品を造る。そのため、型を閉じた
図5の時点から発泡を進めて、時間経過に伴い、
図6,
図7のごとく下型型合せ面25上に載る塗膜8FLへポリウレタン発泡原料Gが付く状態に至るように発泡成形を進めることができる。
図6の上向き矢印方向への発泡が進み、型閉じ後のキャビティCを充満したポリウレタン発泡原料Gは、中からの発泡におされて、前記隙間ε2を形成した下型型合せ面25と上型型合せ面35間にはみ出す。
図6のごとく塗膜8FL上に発泡硬化前の液状ポリウレタン発泡原料Gがふくれ出て、塗膜8FLとポリウレタン発泡原料Gの第一はみ出し部G1との積層部分ができる。
【0018】
そして、
図5の型閉じから
図6の発泡成形へと進め、その後、前記透かしをなくす方向の型締めをする。型締めにより、下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料G(第一はみ出し部G1)とを一緒に圧縮硬化させたバリ9の形成と同時進行で、塗膜8FLが被覆一体化するポリウレタン発泡成形品8FMの発泡成形終結へと向かう(
図8,
図9)。
図9の白抜矢印方向の型締めに伴って、型閉じ下の下型型合せ面25と上型型合せ面35間の前記隙間ε2が、該隙間よりも小さな隙間ε1へと移行する。下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料G(第一はみ出し部G1)とを一緒に圧縮することで、型閉じ下の下型型合せ面25上の塗膜8FLとポリウレタン発泡原料Gのはみ出し部G1との積層部分は、両者が圧縮一体化した剛性大のバリ9になる。
図9のバリ9で、符号91が塗膜の構成部を示し、符号92がポリウレタン発泡原料の構成部で、詳しくは第一はみ出し部G1による構成部92aを示す。
型締めでポリウレタン発泡原料Gの気泡が追い出されて、該ポリウレタン発泡原料Gが圧縮,薄膜化し、ウレタン密度大の剛性が上がったバリ9(積層バリ)に変わる。エンジン側表面8bを塗膜8FLが被覆一体化したポリウレタン発泡成形品8の発泡成形を終えると、ポリウレタン発泡成形品8FMは、薄膜状のバリ9(積層バリ)が、
図9のごとく外面周縁85でつながったバリ付き製品7になる。
図9中、符号88は塗膜8FLの端面、符号89はその端面88上のポリウレタン発泡成形品8FMの周縁部分を示す。
【0019】
しかる後、塗膜付きポリウレタン発泡成形品8のバリ付き製品7を、脱型して取出す(
図12)。ポリウレタン発泡成形品8FMの外面周縁85でつながるバリ9(
図9)は、作業者が手で
図13,
図14の矢印のごとく引き裂くようにして、外面8aの周縁85に沿って切り離される。このバリ除去によって所望の塗膜付きポリウレタン発泡成形品8が得られる。
【0020】
ちなみに、本実施形態は
図5の型閉じから
図6,
図7の発泡成形まで進めた後、隙間ε2をなくす方向の型締めへと移行したが、
図6の発泡成形まで進めた後、隙間ε2を大きく広げて時間をおいてから、型締めするとより好ましくなる。下型型合せ面25上の塗料Pへポリウレタン発泡原料Gが付く
図6,
図7の状態まで発泡成形を進めた後、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を透かしていた隙間ε2をより大きく広げる操作を行い、発泡成形をさらに進行させ、その後、型締めする製法である。
図6の発泡成形まで進めた後、隙間ε2を隙間ε3へと大きく広げた
図10の段階では、発泡成形が未だ完結するに至っておらず、下型型合せ面25に載る
図6の第一はみ出し部G1上に
図11のように更なる液状ポリウレタン発泡原料の第二はみ出し部G2が乗り上げるとともに発泡成形中に発生したガスが抜ける。尚、
図6の隙間ε2の状態から隙間ε3へ広げた直後の
図10は、キャビティC内の一部を発泡成形終了の断面表示しながら、残りは液状ポリウレタン発泡原料Gが発泡,充満して、第一はみ出し部G1が下型型合せ面25上にあふれ出た図であり、発泡成形が未だ完結に至っていないことを便宜的に描いたものである。
【0021】
隙間ε2を隙間ε3に広げて、更なる第二はみ出し部G2のポリウレタン発泡原料Gが乗り上げることによって、その後の型締めを終えると、第二はみ出し部G2の厚みが増した分、圧縮,薄膜化しウレタン密度が増大し、剛性もより上がったバリ9が出来る。単に塗膜8FLだけからなるバリ(例えば
図19のバリBL)と比較して剛性の違いが一層際立つ。したがって、ポリウレタン発泡成形品8の外面周縁85に沿ってできたバリ9が伸びることなく、該バリ9の切り離しをより円滑除去でき、バリ付き製品7から所望の塗膜付きポリウレタン発泡成形品8を得ることができる。
【0022】
(2)実施形態2
本実施形態は実施形態1の透かし手段4たる油圧シリンダ5に代え、
図15〜
図17のような着脱自在の薄板状シム6(スペーサ)の透かし手段4を採用した塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法とする。
実施形態1と同様、まず型開状態下、パーティングラインを形成する下型型合せ面25にも及んで下型キャビティ面20に塗料Pを塗布し塗膜8FLの形成後、ポリウレタン発泡原料Gを下型キャビティ面20の塗膜8FL上に注入する(
図15)。その後、型閉じするが、これに先立ち、上型キャビティ面30との接合部分から少し外方に離れた上型型合せ面35に、型閉じで隙間ε2を確保するシム6が係止具(図示せず)によって取付けられる。そうして、可動側分割型の下型2を上動させ、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を隙間ε2に透かして型閉じする。次いで、下型型合せ面25上の塗膜8FLへ
図16のごとくポリウレタン発泡原料Gが付く状態にまで発泡成形を進行させる。
【0023】
その後、前記透かしをなくす方向の型締めをし、下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料Gとを一緒に圧縮硬化させたバリ9を形成して、塗膜8FLが被覆一体化するポリウレタン発泡成形品8を発泡成形することも可能ではある。しかるに、ここでは下型型合せ面25上の塗膜8FLへポリウレタン発泡原料Gが付いた状態後の発泡成形の進行途中で、下型型合せ面25と上型型合せ面35間を透かしていた隙間ε2をより大きな隙間ε3へと広げる操作を行う(
図17)。下型2を下動させて隙間ε3へと広げる操作に併せて、シム6を上型3から抜き取る。この段階では、
図10と同様に発泡成形がまだ完結していない。上下型の型合せ面25,35間の隙間ε2が隙間ε3へと大きく広がることによって、
図16で示す下型型合せ面25上の塗膜8FLに載った第一はみ出し部G1たるポリウレタン発泡原料Gの上に、更に第二はみ出し部G2たる液状ポリウレタン発泡原料Gが乗り上げて(
図17)、この部分のバリ9に占めるポリウレタン発泡原料Gの厚みが増す。
【0024】
その後、隙間ε3が隙間ε2よりも小さくなるまで型締めをし、下型型合せ面25上の塗膜8FLと、これに載った先のポリウレタン発泡原料G1と、この上に
図17で示す更に乗り上げたポリウレタン発泡原料G2と、を圧縮硬化させてバリ9を形成すると共に、塗膜8FLが被覆一体化するポリウレタン発泡成形品8の発泡成形を完結させる(
図9参照)。しかる後、脱型し、塗膜付きポリウレタン発泡成形品8にバリ9がついたバリ付き製品7を得る(
図12参照)。
バリ付き製品7に係るバリ9は、
図16で示す下型型合せ面25上の塗膜8FLに載ったポリウレタン発泡原料G1の上に、
図17のように更にポリウレタン発泡原料G2が乗り上げて、ポリウレタン発泡原料Gの厚みが増す分、型締めでウレタン密度が大きく、剛性が上がったバリ9になる。該バリ9は、塗膜8FLのみからなるバリとは剛性が大きく異なる。脱型後、ポリウレタン発泡成形品8FMの外面周縁85でバリ9を切り離して、所望の塗膜付きポリウレタン発泡品8を得る。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。
図15〜
図17で、実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0025】
(3)効果
このように構成した塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造方法は、バリ付き製品7からバリ9をスムーズに且つ綺麗に切り取って塗膜付きポリウレタン発泡成形品8を製造でき、作業性向上,品質向上に貢献できる。
パーティングラインを形成する下型型合せ面25にも及んで下型キャビティ面20に塗料Pを吹付けて塗膜8FLを形成するので、ポリウレタン発泡成形品8FMのエンジン側表面8bを被覆するなかでも欠けが生じやすい外面周縁85にまで塗膜8FLを良好に施すことができる。下型キャビティ面20との境にあたる下型型合せ面角部23の全周に亘って塗料Pを、下型型合せ面25にも載る形で吹付けて塗膜8FLを形成すると、ポリウレタン発泡成形品8FMの外面8aの全周縁85にまで塗膜8FLを施すことができるので、ポリウレタン発泡成形品8FMのエンジン側表面8bを覆う塗膜8FLに欠け等の品質不良が起こらない。
【0026】
また、下型型合せ面25とその上型型合せ面35間を透かして型閉じし、発泡成形すると、透かした隙間の存在で、下型型合せ面25上の前記塗膜8FLへポリウレタン発泡原料Gが付く状態にして発泡成形を進行させることができる。そうしてから、透かしをなくす方向の型締めをし、下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料Gとを薄く圧縮硬化させたバリ9を形成して、塗膜8FLが被覆一体化するポリウレタン発泡成形品8FMを発泡成形すると、バリ9の剛性を上げることができる。型締めをし、下型型合せ面25上の塗膜8FLとこれに付いたポリウレタン発泡原料G1とを一緒に圧縮硬化させたバリ9を形成するが、ポリウレタン発泡原料G1側は押し潰され、同じく塗膜8FLが押し潰されて両者が結合一体化するバリ9になる。その過程でポリウレタン発泡原料G側の気泡が放出して圧縮,薄膜化し、ウレタン密度が大で剛性が上がったバリ9(積層バリ)ができる。
このように、脱型後のバリ付き製品7は、その外面周縁85で剛性大で伸びないバリ9が接続するので(
図9)、手でも該外面周縁85の箇所でバリ8の切り離しが楽なバリ付き製品7になる。湾曲部86が存在しても、カッターによるバリ除去と違って手間がかからず、簡単にバリ除去できる。しかも、バリ9はポリウレタン発泡成形品8FMの外面周縁85で薄膜状となっているので、外面周縁85に達する塗膜8FLを残し、バリ9を綺麗に取り除いた品質良好な塗膜付きポリウレタン発泡成形品8を得ることができる。剛性大のバリ9になるので、
図18の鎖線図示のごとく、ちぎり切ろうとした際、その力に追随して該バリBLが伸びて除去困難になることも勿論ない。
【0027】
加えて、前記下型型合せ面とその上方側型合せ面間を透かして型閉じした状態で、下型型合せ面25上の塗膜8FLへポリウレタン発泡原料G1が付く状態にして発泡成形を進行させ、さらにその発泡成形の進行途中で、下型型合せ面25と上型型合せ面30間を透かしていた隙間ε2をより大きく広げる操作を行うと、バリ9の剛性を一段と上げることができ、脱型後のバリ9の切り離しが一層スムーズに進む。
発泡成形は未だ終了しておらず、
図6(又は
図16)の状態から
図11(又は
図17)の隙間ε3に広げることによって、下型型合わせ面25の塗膜8FLに付いたポリウレタン発泡原料G1上へ更なるポリウレタン発泡原料G2が乗り上げる。下型型合せ面25上のポリウレタン発泡原料G側の厚みが増す分、型締めにより圧縮,薄膜化しウレタン密度が一層大きくなり、剛性もより上がったバリ9が出来る。薄膜で剛性の高いバリ9となるので、ポリウレタン発泡成形品8FMの外面周縁85に沿ってできたバリ9の切り離しがより簡単且つ除去後の外面周縁85の見栄えも良くなり、作業性向上,品質向上に有益となる。
【0028】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。発泡成形型1,透かし手段4,塗膜付きポリウレタン発泡成形品8,バリ9等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、エンジンインシュレータの製造を例にしたが、エンジンカバーなど、その他の塗膜付きポリウレタン発泡成形品の製造にも適用できる。