【解決手段】細菌細胞及び腫瘍浸透剤を含む、組成物及びキット。また、被験者に細菌細胞及び腫瘍浸透剤の有効量を投与する工程、腫瘍細胞を、細菌細胞、腫瘍浸透剤及び抗癌剤に接触させる工程を含む。
被験者に、細菌細胞及び腫瘍浸透剤の組み合わせ有効量を投与することを含む、被験者において免疫系を刺激する方法であって、前記細菌細胞及び腫瘍浸透剤の投与が被験者の免疫系を刺激する方法。
腫瘍細胞に、細菌細胞、腫瘍浸透剤及び抗癌剤を接触させることを含む、抗癌剤の腫瘍細胞への送達を促進する方法であって、前記腫瘍細胞に前記細菌細胞及び腫瘍浸透剤を接触させることは、抗癌剤の送達を促進する方法。
前記サルモネラ細菌細胞が、YS1646(ATCC#202165)、RE88、LH430、SL7207、χ8429、χ8431、及び、χ8468からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
前記免疫抑制標的が、STAT3、IDO1、IDO2、アルギナーゼ1、iNOS、CTLA−4、TGF−β、IL−10、pGE2、または、VEGFである、請求項14に記載の方法。
前記サルモネラ細菌細胞が、YS1646(ATCC#202165)、RE88、LH430、SL7207、χ8429、χ8431、及びχ8468からなる群から選択される、請求項24、または、25に記載の組成物。
前記免疫抑制標的が、STAT3、IDO1、IDO2、アルギナーゼ1、iNOS、CTLA−4、TGF−β、IL−10、pGE2、または、VEGFである、請求項29に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤を含む組成物、並びに、キットが、本明細書に提供される。また、被験者に細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の有効量を投与する工程を含む、被験者の癌処置法が提供され、ここに、投与が被験者の癌を処置する。
【0006】
被験者の免疫系を刺激する方法も提供される。方法は、被験者に、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の有効量を投与することを含み、ここに、投与は、被験者の免疫系を刺激する。また、腫瘍細胞を細菌細胞、腫瘍浸透剤、及び、抗癌剤と接触させる工程を含む、腫瘍細胞への抗癌剤の送達を強化する方法が提供され、ここに、腫瘍細胞を細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤と接触させることは、腫瘍細胞に対する抗癌剤の送達を強化する。
【0007】
本明細書で用いられる用語「腫瘍浸透剤」は、腫瘍、及び/または、腫瘍細胞に浸透することができる薬剤を意味する。従って、腫瘍浸透剤は、腫瘍細胞自体に浸透するか、または、腫瘍細胞の周辺領域、例えば、細胞外マトリックスに浸透することができる。一例として、腫瘍浸透剤は、腫瘍細胞の周囲の細胞外マトリックスを破壊し、または、分解することにより腫瘍に浸透する。或いは、腫瘍浸透剤は、腫瘍細胞自体に侵入することにより、腫瘍に浸透する。提供される組成物、及び、方法において使用するための浸透剤の例としては、ヒアルロニダーゼポリペプチド、ピルフェニドン、サリデジブ(IPI−926)、ナノ粒子、アルブミンナノ粒子、デキストラン、リポソーム、及び、細胞浸透ペプチドが挙げられるが、それに限定されない。薬剤を製造し、及び、使用する方法を含むそのような腫瘍浸透剤は、公知であり、例えば、以下の文献に記載される;US7,767,429;US7,829,081;US7,846,431;US7,871,607;US8,105,586;US8,202,517;US8,257,699;US8,431,380;及び、US8,450,470;Kozono et al.,Cancer Res.73(7):2345〜56(2013);Olive et al.,Science 324(5933):1457〜61(2009);Marrache,et al.,Curr.Med.Chem.20(28):3500〜14(2013);Jung,et al.,Curr. Med. Chem. 20(28):3488〜3499(2013);Mattheolabakis et al.,Nanomedicine (London) 7(10):1577〜1590(2012);Malam, et al.,Trends Pharmacol.Sci.,30(11):592〜599(2009);Varshoaz,Expert Opin. Drug Deliv., 9(5):509〜23(2012); MacEwan and Chilkoti, Wiley Interdiscip Rev Nanomed Nanobiotechnol.,5(1):31〜48 (2013)。それらは、その内容全体を参照により本明細書に取り入れたものとする。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、配列番号:1、若しくは、配列番号:2、または、そのフラグメントを含む。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、改変したヒアルロニダーゼポリペプチドである。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、ペグ化される。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、PEGPH20(商標)(Halozyme社、San Diego、CA)である。
【0008】
「核酸」は、一本鎖、若しくは、二本鎖形状のデオキシリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチド、及び、そのポリマー、並びに、その相補体を意味する。この用語は、公知のヌクレオチド類似体、または、改変した骨格残基、若しくは、連結を含む核酸を包含し、これは、合成され、天然に存在し、及び、天然に非存在であり、参照核酸と同様の結合特性を有し、及び、参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される。その様な類似体の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルのメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられるが、それに限定されない。
【0009】
特に指示のない限り、特定の核酸配列は、また、その保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換)及び、相補配列、並びに、明確に示された配列を暗示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ若しくはそれ以上の選択された(または全ての)コドンの第三の位置が、混合塩基で、及び/または、デオキシイノシン残基で置換された配列を生成することにより、達成することができる(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J. Biol. Chem.260:2605−2608 (1985);Rossolini et al., Mol. Cell.Probes 8:91〜98(1994))。用語、核酸は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、及び、ポリヌクレオチドと互換的に使用される。
【0010】
特定の核酸配列は、また、暗示的に「スプライス変異体」を包含する。同様に、核酸によりコードされる特定のタンパク質は、暗示的に、その核酸のスプライス変異体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。名前が示唆する通り「スプライス変異体」は、遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なった(選択的)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするように、スプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンの選択的スプライシングを含む。リードスルー転写による同一核酸に由来する別のポリペプチドも、また、この定義に包含される。スプライス産物の組み換え型を含むスプライシング反応の任意の産物も、この定義に含まれる。カリウムチャネルのスプライス変異体の例は、Leicher, et al.,J.Biol.Chem.273(52):35095−35101(1998)で、議論されている。
【0011】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係にあるとき、「操作可能に連結される」。例えば、プレ配列、または、分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結される;プロモーター、または、エンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に操作可能に連結される;または、リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置する場合、コード配列に操作可能に連結される。一般的に、「操作可能に連結された」は、連結されたDNA配列が、互いに近くに連結され、そして、分泌リーダーの場合には、位相を読むとき、隣接して連結されることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、好都合な制限部位での結紮により達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター、または、リンカーは、従来の慣行に従って使用される。
【0012】
2つ若しくはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、用語「同一」または「同一性」のパーセントは、BLAST、または、以下で説明するデフォルトパラメータを有するBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いて、または、手動アラインメント、及び、目視検査により、測定したものと同一である(即ち、比較したとき、及び、比較ウィンドウにわたって最大の一致性を得るために整列したとき、または、領域を指定したとき、特定領域に対して、約60%の同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは、それ以上高い同一性の)アミノ酸残基、または、ヌクレオチドを特定割合含有する2つ若しくはそれ以上の配列または部分配列を意味する(参照、例えば、NCBIのウェブサイトなど)。それ故、このような配列は、「実質的に同一」であると言われる。この定義は、また、試験配列の相補体を意味し、または、それに適用することができる。定義は、また、欠失、及び/または、付加、並びに、置換を有するものを含有する配列を含む。以下で記載する通り、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを説明することができる。好ましくは、同一性は、少なくとも約25個のアミノ酸、または、ヌクレオチド長、または、より好ましくは、50〜100個のアミノ酸、または、ヌクレオチド長である領域にわたって存在する。
【0013】
配列比較のために、一般的に、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列、及び、参照配列は、コンピューターに入力し、必要に応じて、部分座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。好ましくは、デフォルトプログラムパラメータを使用することができ、または、別のパラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0014】
本明細書で使用する「比較ウィンドウ」は、20〜600、一般的には、約50〜約200、より一般的には、約100〜約150からなる群から選択される連続した位置数のいずれか1つのセグメントに対する参照を含み、ここに、2つの配列が最適に整列された後、配列は、同数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較のための配列アラインメントの方法は、当該分野において周知である。比較のための最適な配列アラインメントの方法は、Smith & Waterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムにより;Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより;Pearson & Lipman,Proc.Nat’l. Acad. Sci.USA 85:2444(1988)の類似方法の検索により;これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行により(ウィスコンシン遺伝学ソフトウエアパッケージ、遺伝学コンピュータグループ、575 Science Dr、Madison、WIにおける、GAP、BESTFIT、FASTA、及び、TFASTA);または、手動アラインメント、及び、目視検査により実施できる(参照、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al.,eds. 1995 supplement))。
【0015】
パーセント配列同一性、及び、配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの好ましい例は、BLAST、及び、BLAST2.0アルゴリズムであり、それらは、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389−3402 (1977)、及び、Altschul et al., J.Mol.Biol.215:403−410 (1990)に、それぞれ記載されている。核酸、及び、タンパク質のパーセント配列同一性を決定するために、本明細書に記載のパラメータで、BLAST、及び、BLAST2.0を用いた。当該分野で公知の通り、BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センターを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコアの配列対(HSP)を識別することを含み、これは、データベース配列中の同一長のワードを整列させた場合、幾つかの正の値の閾値スコアTに合致するか、または、それに満足するかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.;上記参照)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。ワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加させることができるように、各配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド用としてパラメータM(残基マッチングペアに対する報酬スコア;常に>0)、及び、N(ミスマッチ残基に対するペナルティースコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列に対しては、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを計算する。各方向におけるワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ低下するとき;累積スコアが、1つ若しくはそれ以上のマイナススコアの残基アラインメントの蓄積のために、ゼロ以下になったとき;または、いずれかの配列の末端に到達したとき、停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及び、Xは、アラインメントの感度、及び、速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用の)は、デフォルト値として、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、及び、両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列用としては、BLASTPプログラムは、デフォルト値として、3のワード長、10の期待値(E),及び、BLOSUM62スコアリングマトリックス(参照:Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989))、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、及び、両鎖の比較を使用する。
【0016】
「阻害性核酸」は、標的核酸(例えば、PTPRS内に翻訳可能なmRNA)に結合すること;及び、標的核酸の転写(例えば、DNAからmRNA)を減少させること;または、標的核酸(例えば、mRNA)の翻訳を減少させること;または、阻害性核酸の非存在に対する転写物のスプライシング(例えば、一本鎖のモルホリノオリゴ)を改変すること;が可能な核酸(例えば、DNA、RNA、ヌクレオチド類似体のポリマー)である。「モルホリノオリゴ」は、あるいは、「モルホリノ核酸」とも呼ばれ、当該分野で一般に知られているモルホリン含有核酸の核酸を意味する(例えば、ホスホルアミデートモルホリノオリゴ、または「PMO」)。参照:Marcos,P.,Biochemical and Biophysical Research Communications 358 (2007) 521〜527。幾つかの実施形態では、「阻害性核酸」は、標的核酸(例えば、RPTPSへの翻訳可能なmRNA)への結合(例えば、ハイブリダイジング);及び、標的核酸の翻訳を減少させることが可能な核酸である。標的核酸は、阻害性核酸が結合(例えばハイブリダイズ)する、1つ若しくはそれ以上の標的核酸配列であるか、または、それを含む。従って、阻害性核酸は、一般的に、標的核酸配列において標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズすることができる配列(また、本明細書では、「アンチセンス核酸配列」と呼ばれる)であるか、または、それを含む。阻害性核酸の例としては、アンチセンス核酸がある。阻害性核酸の別の例としては、siRNA、または、RNAi(例えば、ヌクレオチド類似体などのその誘導体、または、前駆体を含む)がある。さらなる例としては、shRNA、miRNA、shmiRNA、または,その誘導体、若しくは、前駆体の特定部が含まれる。幾つかの実施形態では、阻害性核酸は一本鎖である。他の実施形態では、阻害性核酸は、二本鎖である。
【0017】
「アンチセンス核酸」は、mRNA分子(例えば、標的mRNA分子)(参照、例えば、Weintraub,Scientific American, 262:40(1990))、例えば、アンチセンス、siRNA、shRNA、shmiRNA、miRNA(ミクロRNA)などの特定標的核酸の少なくとも一部(例えば、標的核酸配列)に対して少なくとも相補的である核酸(例えば、DNA,RNA、または、その類似体)である。従って、アンチセンス核酸は、標的核酸(例えば標的mRNA)にハイブリダイズする(例えば、選択的にハイブリダイズする)ことができる。幾つかの実施形態では、アンチセンス核酸は、ストリンジェントなハイブリッド化条件下で標的核酸配列(例えば、mRNA)にハイブリダイズする。幾つかの実施形態では、アンチセンス核酸は、中程度にストリンジェントなハイブリッド化条件下で標的核酸(例えば、mRNA)にハイブリダイズする。アンチセンス核酸は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、及び、アノマー糖−ホスフェート、骨格改変のヌクレオチドなどの、天然に存在するヌクレオチド、または、改変ヌクレオチドを含んでもよい。「抗PTPRSアンチセンス核酸」とは、PTPRSの少なくとも一部をコードするmRNA分子などの標的核酸配列の少なくとも一部に対して少なくとも部分的に相補的であるアンチセンス核酸である。幾つかの実施形態では、アンチセンス核酸は、モルホリノオリゴである。幾つかの実施形態では、当該分野で公知のモルホリノオリゴは、一本鎖のアンチセンス核酸である。幾つかの実施形態では、モルホリノオリゴは、標的タンパク質の発現を減少させ;標的mRNAの翻訳を低下させ;標的mRNAの翻訳開始を減少させ;または、転写産物のスプライシングを変更させる。幾つかの実施形態では、モルホリノオリゴは、細胞透過性部分(例えばペプチド)に抱合される。アンチセンス核酸は、一本鎖または二本鎖核酸であってもよい。
【0018】
細胞において、アンチセンス核酸は、標的mRNAにハイブリダイズして、二本鎖分子を形成する。細胞が二本鎖であるmRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸は、mRNAの翻訳を妨害する。遺伝子の生体外翻訳を阻害するためのアンチセンス方法の使用は、当該分野で公知である(Marcus−Sakura, Anal. Biochem.,172:289,(1988))。DNAに直接結合するアンチセンス分子は、使用することができる。
【0019】
阻害性核酸は、注射、吸入、または、経口摂取を含む、当該分野で公知の任意の適切な手段を使用して被験者に送達することができる。他の適切な送達システムは、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、並びに、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及び、リポソームを含む脂質ベース系などのコロイド分散系である。本発明のコロイド系の例は、リポソームである。リポソームは、生体外、及び、生体内での送達媒体として有用な人工膜小胞である。リポソーム内のRNA、及び、DNAを含む核酸は、生物学的に活性な形態で細胞に送達される(Fraley, et al., Trends Biochem.Sci.,6:77,1981)。リポソームは、当該分野で公知の任意の手段を使用して、特定の細胞型、または、組織を標的化することができる。阻害性核酸(例えば、アンチセンス核酸、モルホリノオリゴ)は、細胞透過性の送達システム(例えば、細胞透過性ペプチド)を用いて細胞に送達することができる。幾つかの実施形態では、阻害性核酸は、ウイルスベクターまたはウイルスを使用して、特定の細胞、または、組織に送達される。
【0020】
「siRNA」は、二本鎖RNAを形成する核酸を意味し、ここで、siRNAが遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞内で存在するとき(例えば、表現するとき)、二本鎖RNAは、遺伝子または標的遺伝子の発現を減少させ、または、阻害する能力を有する。siRNAは、一般的には、約5〜約100ヌクレオチド長であり、より一般的には、約10〜約50ヌクレオチド長であり、より一般的には、約15〜約30ヌクレオチド長であり、最も一般的には、約20〜約30ヌクレオチド長であり、または、約20〜25、または、約24〜29ヌクレオチド長であり、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28,29、または、30ヌクレオチド長である。siRNA分子、及び、それらを生成する方法は、例えば、Bass,2001,Nature,411,428〜429;Elbashir et al.,2001,Nature,411,494〜498;WO00/44895;WO01/36646;WO99/32619;WO00/01846;WO01/29058;WO99/07409;及び、WO00/44914に記載されている。dsRNA、または、siRNAを(例えば、ヘアピン二重状で)転写するDNA分子は、また、RNAiを提供する。dsRNAを転写するためのDNA分子は、US6,573,099、及び、米国特許出願第2002/0160393号、及び、米国特許出願第2003/0027783号、及び、Tuschl and Borkhardt,Molecular Interventions,2:158(2002)に開示されている。小さい、または、短いヘアピン状のRNA分子(shRNA)は、例えば、転写により細胞内で、そのようなDNA分子により生成される。shRNAは、一般的に、天然に存在するmiRNAに見られるヘアピンに類似したヌクレオチドの短いループにより連結された2つの相補的RNA配列を含む。一般的に、shRNA分子は、約4、5、6、7、8、9、10、11、または、12ヌクレオチド長であるヘアピンを形成するヌクレオチドの短いループを有する、約20〜30塩基のヌクレオチド、または、約19〜22、または、約20〜25、または、約24〜29のヌクレオチド長、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長である。
【0021】
siRNAは、直接投与することができ、または、siRNA発現ベクターは、異なる設計基準を有するRNAiを誘導するために使用できる。ベクターは、短いスペーサー配列により分離し、転写を終結するのに役立つTの文字列で終わる2つの逆方向反復配列を挿入することができる。
【0022】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び、「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために、本明細書において互換的に使用される。該用語は、一つ若しくはそれ以上のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに、天然に存在するアミノ酸ポリマー、及び、非天然のアミノ酸ポリマーに適用する。
【0023】
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸、及び、合成アミノ酸、並びに、天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体、及び、アミノ酸模倣物を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによりコードされるもの、並びに、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及び、O−ホスホセリンなど、後で改変されるアミノ酸である。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、即ち、α−炭素が、水素、カルボキシル基、アミノ基、及び、R基に結合するもの、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを意味する。このような類似体は、R基を改変するか(例えば、ノルロイシン)、または、ペプチド骨格を改変するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を意味する。
【0024】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られた3文字記号で、または、IUPAC−IUB生化学命名委員会により推奨された1文字記号で参照されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受け入れられている1文字コードで参照されてもよい。
【0025】
「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸配列、及び、核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関しては、保存的に改変された変異体は、同一、または、本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を参照し、または、核酸は、アミノ酸配列を本質的に同一配列にコードしない。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一の核酸は、任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及び、GCUは、全て、アミノ酸のアラニンをコードする。従って、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、コドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンのいずれかに変更することができる。このような核酸変異は、保存的に改変された変異の一種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書のあらゆる核酸配列は、また、核酸の全ての可能なサイレント変異について説明する。当業者は、核酸中の各コドンは(通常は、メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除いて)、機能的に同一の分子を生じるように改変できることを認識するであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、発現産物に関するそれぞれ記載された配列において暗示的であるが、実際のプローブ配列に関してはそうではない、
【0026】
アミノ酸配列に関しては、単一のアミノ酸、または、コードされた配列中のアミノ酸の小割合を、変更し、加え、または、欠失する、個々の置換、欠失、または、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または、タンパク質配列への付加は、変更が化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的に修飾された変異体」であることを、当業者は認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で公知である。このような保存的に改変された変異体は、多型変異体、種間ホモログ、及び、対立遺伝子を、更に、排除しない。
【0027】
以下の8群は、各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプロファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(参照、例えば、Creighton, Proteins (1984))。
【0028】
語句「ストリンジェントなハイブリッド化条件」とは、プローブが、一般的には、核酸の複雑な混合物中で、他の配列ではなく、その標的部分配列にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列に依存し、違った環境では異なるであろう。配列が長くなると、より高い温度で特異的にハイブリダイズすることになる。核酸のハイブリッド化に対する広範なガイドは、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)で、見出される。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度、pHにおける、特定配列の熱融点(Tm)より、約5〜10℃低い程度であるように選択される。Tmは、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態(標的配列が過剰に存在するので、Tmでは、プローブの50%が平衡状態で占有する)で、標的配列にハイブリダイズする(規定のイオン強度、pH、及び、核酸濃度下での)温度である。ストリンジェントな条件は、また、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により達成することができる。選択的、または、特異的ハイブリッド化のため、陽性シグナルは、少なくともバックグラウンドの2倍、好ましくは、10倍のバックグラウンドハイブリッド化である。例示的なストリンジェントハイブリッド化条件は、以下のようにすることができる:50%ホルムアミド、5×SSC、及び、1%SDSを、42℃で培養し、または、5×SSC、1%SDS、65℃で培養し、次いで、0.2×SSC、及び、0.1%SDSで洗浄する。
【0029】
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、尚、実質的に同一である。これは、例えば、核酸の転写が、遺伝子コードにより許容される最大コドン縮重を使用して作製されたとき発生する。そのような場合、核酸は、一般的には、中程度にストリンジェントなハイブリッド化条件下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリッド化条件」は、37℃で、40%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDSの緩衝液中でのハイブリッド化、及び、45℃で、1×SSCの洗浄が含まれる。正のハイブリッド化は、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替のハイブリッド化、及び、洗浄条件は、同様のストリンジェントな条件を提供するために利用することができることを容易に認識するであろう。ハイブリッド化パラメータを決定するための更なるガイドラインは、多数の文献に、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel,et al.,John Wiley & Sonsに提供されている。
【0030】
アニーリング温度は、プライマー長に応じて、32℃〜48℃の間で変化してもよいが、PCRのためには、約36℃の温度は、低ストリンジェンシー増幅には、一般的である。高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマー長、及び、特異性に依存して、約50℃〜約65℃の範囲とすることができるが、高ストリンジェンシーPCR増幅については、約62℃の温度が一般的である。高い、及び、低いストリンジェント増幅の両方に対する一般的なサイクル条件は、90℃〜95℃、30秒〜2分の変性相、30秒〜2分間続くアニーリング相、及び、約72℃、1〜2分の伸長相を含む。低い、及び、高いストリンジェンシー増幅反応のための、プロトコル、及び、ガイドラインは、例えば、Innis et al.(1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc. N.Y.)において提供される。
【0031】
「対照群」サンプル、または、値は、試験試料と比較するために、基準として、通常、既知の基準として機能するサンプルを指す。例えば、試験サンプルは、例えば試験剤の存在下での試験条件から取り出すことができ、公知の条件から、例えば、試験薬剤の非存在下(陰性対照群)で、または、公知の薬剤の存在下(陽性対照群)で、サンプルと比較する。対照群も、また、多くの試験または結果から集められた平均値を表すことができる。当業者であれば、対照群は、任意の数のパラメータを評価するために設計できることを認識するであろう。例えば、対照群は、薬理学的データ(例えば、半減期)、または処置手段(例えば、副作用の比較)に基づいて、処置効果を比較するために考案できる。当業者は、所定の状況下では、対照群が貴重であり、そして、値を制御するために比較に基づいてデータを分析できることを理解するであろう。対照群は、データの重要性を決定するために価値がある。例えば、所定のパラメータ値が、対照群内で幅広く変化する場合、試験サンプル中の変化は、有意であると考えられないであろう。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「癌」は、白血病、癌腫、及び、肉腫を含む、哺乳動物において見出される癌、新生物、または悪性腫瘍のすべての種類を指す。例示的な癌としては、脳癌、乳癌、子宮頚部癌、結腸癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌、及び、髄芽腫が含まれる。更なる例としては、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、内分泌、及び、外分泌膵臓腫瘍、並びに、前立腺癌が挙げられる。
【0033】
用語「白血病」は、血液形成器官の進行性、悪性疾患を広く意味し、そして、一般的に、血液、及び、骨髄中の白血球、並びに、その前駆体の歪んだ増殖、及び、発達により特徴づけられる。白血病は、一般的に、臨床的に、(1)疾患の急性または慢性の持続時間と特徴;(2)関与する細胞のタイプ;骨髄(骨髄性)、リンパ(リンパ行性)、または単球性;及び、(3)血液白血病または非白血性病(半白血性病)での異常細胞数の増加、または、非増加に基づいて分類される。P388白血病モデルは、広く、生体内での抗白血病活性のあることを予測として受け入れられる。P388アッセイにおいて陽性のテスト化合物は、一般的に、処置される白血病のタイプに関わらず、生体内での抗白血病活性のあるレベルを示すであろうと考えられる。従って、本出願は、白血病を処置する方法、好ましくは、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリー細胞白血病、血芽球症白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少症、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーデル細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血病、及び、未分化細胞白血病を処置する方法を含む。
【0034】
用語「肉腫」は、一般的に、胚性結合組織のような物質で構成されている腫瘍を指し、そして、一般的に、原線維性、または、均質性物質に埋め込まれた密に詰まった細胞で構成されている。抗悪腫瘍性のチオール結合性ミトコンドリア酸化剤、及び、抗癌剤の組み合わせで処置できる肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメシー(Abemethy)肉腫、脂肪肉腫、脂質肉腫、胞巣状軟部肉腫、エナメル芽細胞肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス(Wilms)腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング(Ewing)肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨大細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン(Hodgkin)肉腫、突発性マルチ色素出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イェンセン(Jensen)肉腫、カポジ(Kaposi)肉腫、クッパー(Kupffer)細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス(Rous)肉腫、漿液嚢胞肉腫、滑膜肉腫、及び、毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0035】
用語「黒色腫」は、皮膚、及び、他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味する。抗悪腫瘍性のチオール結合ミトコンドリア酸化剤、及び、抗癌剤の組み合わせで処置できる黒色腫としては、例えば、末端性黒子性黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン(Cloudman)黒色腫、S91メラノーマ、ハーディング・パッセイ(Harding−Passey)黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子性黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、及び、表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0036】
用語「癌腫」は、周囲の組織に浸潤し、転移を生じる傾向にある上皮細胞からなる悪性の新成長物を指す。抗腫瘍性チオール結合性ミトコンドリア酸化剤、及び、抗癌剤の組み合わせで処置できる例示的な癌腫としては、例えば、腺房癌、小葉癌、腺嚢癌腫、腺様嚢胞癌、腺腫様癌腫、副腎皮質の癌、肺胞腺癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌腫(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌(basaloid carcinoma)、基底有棘細胞癌、気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、脳状癌、胆管細胞癌、絨毛癌、コロイド癌、面皰癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円筒形状癌、円筒状細胞癌、管癌、デュラム癌、胎生期癌、脳様癌、類表皮癌、上皮アデノイド癌、外部寄生癌、潰瘍癌、線維性癌、ゲル化形成癌、ゼラチン状癌、巨大細胞癌(giant cell carcinoma)、巨細胞癌腫(carcinoma gigantocellulare)、腺癌(glandular carcinoma)、顆粒膜細胞癌、ヘアマトリックス癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌(Hurthle cell carcinoma)、ガラス状癌、副腎腫、乳児胎生期癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌(intraepidermal carcinoma)、上皮内癌腫(intraepithelial carcinoma)、クロンペクラー癌(Krompecher’s carcinoma)、クルチズキー細胞癌(Kulchitzky−cell carcinoma)、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌腫(carcinoma lenticulare)、脂肪癌腫、リンパ腺癌、脊髄癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色腫、軟性癌、粘液癌(mucinous carcinoma)、粘膜癌(carcinoma muciparum)、粘性細胞癌(carcinoma mucocellulare)、粘膜表皮癌(mucoepidermoid carcinoma)、粘液癌腫(carcinoma mucosum)、粘液癌(mucous carcinoma)、粘液腫症(carcinoma myxomatodes)、上咽頭癌(nasopharyngeal carcinoma)、燕麦細胞癌、骨化癌、類骨癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、粥状癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、印環細胞癌(signet−ring cell carcinoma)、シンプレックス癌、小細胞癌、ナス状癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、糸状癌、毛細血管拡張癌(carcinoma telangiectaticum)、毛細血管拡張症様癌(carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌、結節性癌(carcinoma tuberosum)、結節腫(tuberous carcinoma)、いぼ状癌、及び、長軟毛状癌が挙げられる。
【0037】
shIDO−STは、具体的に、インドールアミン−ピロール−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)を発現停止させて毒性を減少するために、小分子ヘアピン(sh)RNAを発現するサルモネラチフィムリウム(ST)細胞である。具体的には、shIDO−STは、配列番号:8を含むIDOを標的とする低分子ヘアピン型RNAを発現するYS1646(ATCC受託番号202165、また、VNP20009と参照される)として知られている弱毒化サルモネラチフィムリウム株から構成されている。この細胞をベースとする処置は、例えば、WO2012/149364に記載され、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。下記の実施例で記載する通り、組織内の豊富なヒアルロナンを枯渇させ、血管透過性を増加させる、ペグ化組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(PEGPH20(商標)、Halozyme社、San Diego、CA)、及び、幾つかのケースでは、効果的な制御をもたらすshIDO−STの組み合わせは、原発性、及び、同所性モデルで確立された膵臓腫瘍排除を完結する。更に、PEGPH20(商標)との組み合わせで、対照群の小分子ヘアピンRNAを含むSTは、また、腫瘍が小さいサイズのものであったときに、腫瘍の増殖を制御することができるということが観察された。組換えヒトヒアルロニダーゼPH20、及び、PH20のペグ化形態が公知であり、例えば、Bookbinder et al., Journal of Controlled Release, 114:230−241 (2006) 、及び、 Thompson et al.,Mol.Cancer Ther.9:3052−3064 (2010)に記載されている。それは、その全体を参照することにより、本明細書に取り入れたものとする。
【0038】
従って、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤を含む組成物が提供される。場合により、組成物は、更に、抗癌剤を含む。抗癌剤は、小分子、核酸、ポリペプチド、及び、抗体からなる群から選択することができる。腫瘍浸透剤の例としては、ヒアルロニダーゼポリペプチド、ピルフェニドン、サリデジブ(IPI−926)、ナノ粒子、アルブミンナノ粒子、デキストラン、リポソーム、及び、細胞透過性ペプチドが挙げられるが、それに限定されない。特定の実施形態では、腫浸透瘍剤は、ヒアルロニダーゼポリペプチドである。場合により、細菌細胞、及び、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、有効量、例えば、相乗的に有効量で存在する。場合により、細菌細胞は、サルモネラ細菌細胞である。従って、サルモネラ細菌細胞、及び、ヒアルロニダーゼポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0039】
ヒアルロニダーゼは、一般的に3つの異なるクラスに分類される中性、及び、酸活性酵素である、哺乳類型ヒアルロニダーゼ、細菌ヒアルロニダーゼ、及び、ヒル、その他の寄生虫甲殻類からのヒアルロニダーゼのグループである。哺乳類型ヒアルロニダーゼは、加水分解性、及び、トランスグリコシダーゼ活性の両方を有する、endo−β−N−アセチルヘキソサミニダーゼであり、更に、2つのグループ、中性活性、及び、酸性活性酵素に分けることができる。ヒトゲノム中の6つのヒアルロニダーゼ様遺伝子、HYAL1、HYAL2、HYAL3、HYAL4、HYALP1、及び、PH20/SPAM1があり、それらは、ヒアルロナン、及び、コンドロイチン硫酸塩(CS)、特にC4−S、及び、C6−Sを分解することができる。ヒアルロナンは、多くの細胞の細胞外マトリックス中に存在し、腫瘍形成を含む細胞の移動性に関連する生物学的現象において重要な役割を果たす。提供される方法、及び、組成物に使用するのに適したヒアルロニダーゼポリペプチドは、哺乳類ヒアルロニダーゼ、例えば、PH−20ヒアルロニダーゼを含む。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、配列番号:1、または、配列番号:2、若しくは、そのフラグメントを含む。全体を通して使用する場合、用語「ヒアルロニダーゼポリペプチド」は、ドメイン、フラグメント、及び、その変異体を含む。従って、本明細書に記載の通り、フラグメントは、触媒活性を残留し、例えば、ポリペプチドは、ヒアルロン、及び/または、コンドロイチン硫酸塩を分解する能力を保持する限り、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、配列番号:1、または、配列番号:2のフラグメントを含むことができる。更に、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、ヒアルロニダーゼポリペプチドが、触媒活性を残留する限り、再度、1つ若しくはそれ以上のアミノ酸置換を有する配列番号:1、または、配列番号:2、若しくは、配列番号:1、または、配列番号:2のフラグメントを含むことができる。場合により、アミノ酸置換は、上記でより詳細に記載されるように、保存的アミノ酸置換である。一例として、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、配列番号:1のフラグメント、例えば、配列番号:1のアミノ酸35〜464、または、配列番号:1に記載のアミノ酸配列全体を含むことができる。ヒアルロニダーゼの例示的な核酸配列は、例えば、GenBankアクセッション番号NM_003117、及び、NM_153189.2で見出すことができ、そして、ヒアルロニダーゼの例示的なポリペプチド配列は、例えば、GenBankアクセッション番号、NP_003108、及び、NP_694859で見出すことができる。組成物、キット、及び、方法で提供される使用に適したヒアルロニダーゼポリペプチドは、US7,767,429;US7,829,081;US7,846,431;US7,871,607;US8,105,586;US8,202,517;US8,257,699;US8,431,380;及び、US8,450,470に記載されているが、それら各々はその全体を参照することにより本明細書に取り入れたものとする。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、化学的に修飾されたヒアルロニダーゼポリペプチドであり、即ち、ポリペプチドは、1つ若しくはそれ以上のグリコシル化、及び/または、ペグ化部分を含むように改変される。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドはペグ化される。必要に応じて、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、以下の実施例で使用されるPEGPH20(商標)(Halozyme社、San Diego、CA)である。PEGPH20(商標)(Halozyme社、San Diego、CA)は、ペグ化により改変される組換えヒトヒアルロニダーゼPH−20(配列番号:1)である。従って、PEGPH20(商標)(Halozyme社、SanDiego、 CA)は、ペグ化された組換えヒトヒアルロニダーゼPH−20である。
【0040】
本明細書で使用される通り、用語、ペプチド、ポリペプチド、または、タンパク質は、ペプチド結合によって連結された2つ若しくはそれ以上のアミノ酸を意味するために広く使用されている。タンパク質、ペプチド、及び、ポリペプチドは、また、アミノ酸配列を指すために互換的に使用される。ポリペプチドという用語は、特定のサイズ、または、分子を含むアミノ酸の数を示唆するために本明細書中では使用されていないこと、及び、本発明のペプチドは、幾つかのアミノ酸残基、または、それ以上までを含むことができることを認識すべきである。そのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列、変異体、及び、その断片をコードし得る核酸も、また、開示されることが理解される。これは、特定のポリペプチド配列に関連する全ての縮重配列、即ち、一つの特定のポリペプチド配列をコードする配列を有する全ての核酸、並びに、ポリペプチド配列の開示された変異体、及び、誘導体をコードする縮重核酸を含む全ての核酸を含むであろう。従って、各特定の核酸配列は、本明細書に書き出されないかもしれないが、それぞれの、及び、すべての配列は、実際には、開示されたポリペプチド配列を通じて本明細書に開示され、及び、記載されていることを理解するであろう。
【0041】
その断片を含む、全てのペプチド、ポリペプチド、及び、タンパク質と同様に、ペプチド、ポリペプチド、若しくは、タンパク質の性質、または、機能を変更しないポリペプチドである提供された薬剤のアミノ酸配列の更なる改変は、起こり得ることを理解すべきであろう。従って、ヒアルロニダーゼポリペプチドが、触媒活性を残存し、例えば、ポリペプチドは、ヒアルロン、及び/または、コンドロイチン硫酸塩を分解する能力を保持する限り、ヒアルロニダーゼポリペプチドの改変が可能である。このような改変は、例えば、保存的アミノ酸置換を含む。従って、ポリペプチドまたは核酸を含む提供された薬剤は、更に、望ましい機能が保持される限り、改変し、変更できる。本明細書の開示された核酸配列、及び、タンパク質の、発生する可能性のある公知の改変、及び、誘導体を定義する一つの方法は、特定の既知の配列との同一性の観点で、改変、及び、誘導体の定義を介して行われるということが理解される。本明細書において提供されるポリペプチドに対して、少なくとも、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の同一性を有するポリペプチドが具体的に開示される。当業者は、上記でより詳細に議論した通り、2つのポリペプチドの同一性を決定する方法を理解するであろう。
【0042】
提供される組成物、キット、及び、方法において有用な細菌細胞は、サルモネラ細菌細胞、ビフィズス菌細菌細胞、リステリア菌細菌細胞、クロストリジウムヒストリチクス細菌細胞、クロストリジウムノビイ細菌細胞、ビブリオコレラ菌細菌細胞、シゲラ菌細菌細胞、ストレプトコッカス細菌細胞、マイコバクテリウムボビス細菌細胞、腸炎エルシニア細菌細胞、炭疽菌細菌細胞、ラクトバチルス属細菌細胞、ブドウ球菌細菌細胞は、大腸菌細菌細胞を含むがそれに限定されない。場合により、ストレプトコッカス細菌細胞は、ストレプトコッカスピロゲネス細菌細胞、または、ストレプトコッカスゴルドニ細菌細胞である。適切な細菌細胞は、WO2012/149364に記載された細菌細胞を含み、それを全て参照することにより、本明細書に取り入れたものとする。場合により、サルモネラ細菌細胞は、サルモネラチフィムリウム、サルモネラエンテリチジス、または、サルモネラチフィーを含むが、それに限定されない弱毒化サルモネラ株、例えば、任意の血清型、または、サルモネラエンテリカである。場合により、サルモネラ細菌細胞は、サルモネラチフス菌の弱毒株である。弱毒サルモネラチフス菌株としては、YS1646、RE88、LH430、SL7207、χ8429、χ8431、若しくは、χ8468を含むが、これらに限定されない。場合により、弱毒サルモネラチフィムリウム株は、YS1646サルモネラチフィムリウム株(ATCCアクセッション番号202165、また、VNP20009とも呼ばれている)であり、それは、以下の実施例で使用され、shIDO−STを生成するために使用される株である。
【0043】
場合により、本明細書で提供される細菌細胞は、疾患または障害の処置のために適した1つ若しくはそれ以上の分子を含む。場合により、疾患、または、障害は、癌である。従って、細菌細胞は、抗体、または、その機能的フラグメント、小分子、アプタマー、核酸、及び、RNA干渉分子(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、ミクロRNA(miRNA)、及び、低分子ヘアピンRNA(shRNAの))を含むが、それに限定されない、1つ若しくはそれ以上の標的遺伝子の発現、または、標的タンパク質活性を、遮断し、阻害し、または、抑制することが可能な薬剤を含有することができる。場合により、細菌細胞は、機能性核酸、例えば、アンチセンス核酸を含む。
【0044】
機能的核酸は、標的分子に結合するか、特定の反応を触媒するなど、特定の機能を有する核酸分子である。機能的核酸分子は、DNA、RNA、ポリペプチド、または、炭水化物鎖などの任意の巨大分子と相互作用することができる。従って、機能的核酸は、直接、標的分子と相互作用することができる。しばしば、機能的核酸は、標的分子、及び、機能的核酸分子との間の配列相同性に基づいて他の核酸と相互作用するように設計される。
【0045】
アンチセンス核酸、または、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、正規の、または、非正規のいずれかの塩基対形成を介して標的核酸分子と相互作用するように設計される。アンチセンス分子、及び、標的分子との相互作用は、例えば、RNAseHを媒介するRNA−DNAハイブリッド分解を通して標的分子の破壊を促進するように設計される。あるいは、アンチセンス分子は、通常、転写、または、複製などの標的分子上で起こるプロセシング機能を中断するように設計される。アンチセンス分子は、標的分子の配列に基づいて設計することができる。標的分子の最も接近可能な領域を見つけることにより、アンチセンス効率の最適化のための多数の方法が存在する。参照、例えば、Vermeulen et al., RNA 13:723−730 (2007)、及び、WO2007/095387、及び、WO2008/036825;Yue, et al., Curr. Genomics, 10(7):478−92 (2009)、及び、Lennox Gene Ther.18(12):1111−20 (2011)、それらは、その全体を参照することにより、本明細書に取り入れたものとする。場合により、アンチセンス核酸は、タイトなヘアピン回転を作るRNAの配列である短いヘアピンRNAである。場合により、アンチセンス核酸は、siRNA、または、miRNAである。アンチセンス核酸は、標準的な核酸合成技術を使用して設計し、作ることができ、または、民間会社から、例えば、Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)から、または、Regulus Therapeutics社(San Diego、CA)から得ることができる。
【0046】
場合により、アンチセンス核酸の主鎖は、生体外、及び、生体内安定性を改善するために、並びに、アンチセンス分子のインビボ送達を改善するために様々な化学改変により改変される。アンチセンス分子の改変は、2’−O−メチル改変;末端のホスホロチオエート、及び、3’−末端のコレステロール基を有する2’−O−メチル改変リボース糖;2’−O−メトキシ(2’−MOE)改変;2’−フルオロ改変;及び、2’,4’−メチレン改変(「ロック核酸」、または、LNAと呼ばれている)を含むが、それに限定されない。従って、阻害核酸は、例えば、改変オリゴヌクレオチド(2’−O−メチル化、または、2’−O−メトキシエチル);ロック核酸(LNA;参照、例えば、Valoczi et al.,Nucleic Acids Res.32(22):el75 (2004));モルホリノオリゴヌクレオチド(参照、例えば、Kloosterman et al.,PLoS Biol 5(8):e203(2007));ペプチド核酸(PNA);PNA−ペプチド共役体;及び、LNA/2’−O−メチル化オリゴヌクレオチド混合物を含む(参照、例えば、Fabiani and Gait,RNA 14:336〜46(2008))。
【0047】
場合により、アンチセンス核酸は、代謝酵素、免疫抑制の標的または癌標的を標的とする。場合により、アンチセンス核酸は、免疫標的を標的とし、免疫抑制標的は、STAT3、IDO1、IDO2、アルギナーゼ1、iNOS、CTLA−4、TGF−β、IL−10、pGE2、または、VEGFである。場合により、免疫抑制標的は、IDO1である。
【0048】
免疫抑制の標的遺伝子、または、タンパク質の抑制、阻害、若しくは、封鎖は、最終的に、直接的、または、間接的なメカニズムを介して、腫瘍の微小環境内での腫瘍から誘導される免疫抑制の破壊をもたらす。従って、薬剤は、STAT3、IDO1、IDO2、アルギナーゼ1(Arg1)、iNOS、CTLA−4、IL−10、VEGF、pEGF2またはTGF−βを標的とするアンチセンス核酸であってもよい。そのアミノ酸配列、及び、核酸配列を含むこれらの標的は公知であり、本明細書に記載されている。これらの標的の核酸配列は、公知の方法を用いて、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及び、ショートヘアピンRNAを含む阻害核酸分子を生成するために使用できる。一例として、細菌細胞は、配列番号:3〜31の次のアンチセンス核酸のいずれか1つ若しくはそれ以上を含むことができる。従って、アンチセンス核酸は、STAT3を標的とすることができ、shSTAT3#58:AGTTCCTGGCACCTTGGATTGAGAGTCAA(配列番号:3);shSTAT3#59:ACTGGATAACTTCATTAGCAGAATCTCAA(配列番号:4);shSTAT3#60:CATCAATCCTGTGGTATAACATGCTGACC(配列番号:5);または、shSTAT3#61:ACCTGAAGACCAAGTTCATCTGTGTGACA(配列番号:6)を含む、短いヘアピンRNAであり得る。アンチセンス核酸は、IDO1を標的とすることができ、shIDO1−8:CCTCGCAATAGTAGATACT(配列番号:7);shIDO1−9:CGTCTCTCTATTGGTGGAA(配列番号:8);shIDO1−10:GCAAAGAATCTCCTGCAGA(配列番号:9);shIDO1−11:GCCCATGACATACGAGAAC(配列番号:10)、または、shIDO1−12:CCAGTCCGTGAGTTTGTCA(配列番号:11)を含む短いヘアピンRNAであり得る。アンチセンス核酸は、Arg1を標的とすることができ、shArg1−5:GCAGTTCCTTTCTGGTATG(配列番号:12);shArg1−6:GCCTTTGTTGATGTCCCT(配列番号:13);shArg1−7:CCAGGGACTGACTACCTTA(配列番号:14);shArg1−8:GCCAAAGACATCGTGTACA(配列番号:15);または、shArg1−9:TCTCTACATCACAGAAGA(配列番号:16)を含む、短いヘアピンRNAであり得る。アンチセンス核酸は、iNOSを標的とすることができ、shiNOS−43:GTATTGTACTATTGTGGACTA(配列番号:17);shiNOS−44:CCAGTATTATGGCTCCTTTAA(配列番号:18);shiNOS−45:GCCACAGCAATATAGGCTCAT(配列番号:19);shiNOS−46:CCTATCTCCATTCTACTACTA(配列番号:20);または、shiNOS−47:GCTGTAACAAAGGAAATAGAA(配列番号:21)を含む、短いヘアピンRNAであり得る。アンチセンス核酸は、IDO2を標的とすることができ、CGCAGTTATGAGCTTTCTTAA(配列番号:22);CCGCAGTTATGAGCTTTCTTA(配列番号:23);CCTGGGATAAAGGCTCTTGTT(配列番号:24);GAAAGCTATCACATATCTGAA(配列番号:25);CTTTGGAAAGCTATCACATAT(配列番号:26);CCATTGTCTTTGGAAAGCTAT(配列番号:27);CTTCTTCCAGATTCTCTGAAA(配列番号:28);GCTTCAAGCTCATGTGGACAA(配列番号:29);CAAGGAATCTTGCCCTTCCAT(配列番号:30);GCAGTGCCATTGTCTTTGGAA(配列番号:31)を含む短いヘアピンRNAであり得る。上述したように、アンチセンス分子は、容易に設計でき、公知の方法を用いて、既知の標的核酸配列を用いて、民間会社から、例えば、Regulus Therapeutics社(San Diego,CA)から入手できる。
【0049】
標的遺伝子発現、または、標的タンパク質の活性を、遮断し、阻害し、または、抑制することができる薬剤、例えば、アンチセンス核酸は、細菌細胞における発現ベクターまたはカセットから発現させることができる。適切な発現ベクター、例えば、プラスミド、及び、その使用方法は、知られている。
【0050】
本明細書に提供される薬剤を含む組成物が、本明細書に提供される。提供される薬剤は、単一の薬剤、例えば、細菌細胞、または、1つより多くの薬剤、例えば、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤を含むことができる。提供される組成物は、場合により、生体外、または、生体内での処方、及び、投与に適している。場合により、組成物は、一つまたはそれ以上の提供される薬剤、及び、薬学的に許容される担体を含む。適切な担体、及び、その製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition, David B.Troy,ed.,Lippicott Williams & Wilkins(2005)に記載されている。薬学的に許容される担体は、生物学的でなく、または、そうでなければ、望ましくない物質を意味する、即ち、物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または、それが含まれる医薬組成物の他の成分と有害な様式で相互作用することなく、被験者に投与される。被験者に投与される場合、担体は、場合により、活性成分の分解を最小にし、被験者における有害な副作用を最小にするように選択される。
【0051】
用語「薬学的に許容される塩」、または、「薬学的に許容される担体」は、本明細書に記載される薬剤に見られる特定の置換基に依存して、相対的に無毒の酸、または、塩基を用いて調製される活性剤の塩を含むことを意味する。本発明の薬剤が、相対的に酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、原液のままで、または、適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の塩基を有する薬剤の中性形体と接触させることにより入手できる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、若しくは、マグネシウム塩、または、類似の塩が挙げられる。本出願の薬剤が相対的に塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、原液のままで、または、適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の酸とそのような薬剤の中性形体を接触させることにより入手することができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、または、亜リン酸などの無機酸から誘導される塩;並びに、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの相対的に非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギン酸などのアミノ酸の塩、及び、グルクロン酸、または、ガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(参照、例えば、Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Science 66:1−19 (1977))。当業者に公知の他の薬学的に許容される担体は、本出願の組成物に適している。
【0052】
薬剤は、静脈内投与、例えば、ボーラスとして、または、一定期間にわたる連続注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、髄腔内、腔内、経皮、経口、局所、腫瘍内、非経口、または、吸入経路などの公知の方法に基づき投与される。従って、組成物は、局所、または、全身処置が望ましいかどうか、及び、処置すべき領域に応じて多くの方法で投与される。
【0053】
投与のための組成物は、一般的に、本明細書で記載の、薬学的に許容される担体、好ましくは水性担体に溶解される物質を含むであろう。種々の水性担体としては、例えば、緩衝食塩水などを用いることができる。これらの溶液は無菌であり、一般的に、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。組成物は、pH調整剤、及び、緩衝剤、毒性調節剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど、適切な生理学的条件に対して、必要に応じて、薬学的に許容される補助物質を含有していてもよい。これらの製剤における活性剤の濃度は、広く変化してもよく、選択された特定の投与様式、及び、被験者の必要性に合致して、流体の体積、粘度、体重などに基づいて、主として、選択される。
【0054】
遊離塩基、または、薬理学的に許容される塩としての活性剤の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を好適に混合した水中で調製することができる。分散液は、また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及び、その混合物中、並びに、油中で調製することができる。通常の保存、及び、使用条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含有することができる。
【0055】
経口製剤は、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬品グレードなどの賦形剤を含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放性製剤、または、粉末の形態を取る。幾つかの実施形態では、経口医薬組成物は、不活性希釈剤、または、吸収できる食用担体を含み;または、それらは、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入することができ;または、それらは錠剤に圧縮することができ;または、それらは、食事の食品に、直接、組み込まれてもよい。経口処置投与のために、活性薬剤は、賦形剤と共に組み入れ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハーなどの形態で使用される。そのような組成物、及び、製剤は、活性剤の少なくとも0.1%を含有すべきである。組成物、及び、調製物の百分率は、もちろん、変動してもよく、都合良くは、重量単位で、約2%〜約75%、または、好ましくは、約25%〜約60%の間であり得る。そのような組成物中の活性剤の量は、適切な投薬量が得られるようなものである。
【0056】
水溶液での非経口投与のためには、例えば、溶液は、適切に緩衝されるべきであり、そして液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水、または、グルコースで等張液とすべきである。水溶液は、特に、無菌の水性媒体中で、静脈内、筋肉内、皮下、及び、腹腔内投与に特に適している。例えば、一服用量は、等張NaCl溶液1ml中に溶解することができ、いずれかは、注入の提案された部位に皮下液1000mlに加え、または、注入する。
【0057】
滅菌注射溶液は、濾過滅菌に続いて、適切な溶媒中に必要量の活性薬剤、または、構築物を組み込むことによって調製できる。一般に、分散液は、基本的な分散媒体を含む滅菌ビヒクル内に様々な滅菌活性成分を組み込むことにより調製される。活性成分、及び、任意の更なる所望成分の粉末を生成する真空乾燥、及び、凍結乾燥技術は、滅菌注射用溶液を再構成するために滅菌粉末を調製することができる。より多くの、または、高度に濃縮した、直接注射用の溶液の調製も、また、意図される。DMSOは、小さな領域に高濃度の活性剤を送達する、極めて迅速な浸透のための溶媒として使用することができる。
【0058】
薬剤の製剤は、アンプル、及び、バイアルなどの、単位用量、または、複数回用量のシール容器で提供することができる。従って、組成物は、単位投薬形態であり得る。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。従って、組成物は、投与方法に応じて様々な単位剤形で投与することができる。例えば、経口投与に適した単位剤形としては、粉末、錠剤、ピル、カプセル、及び、トローチが挙げられるが、それに限定されない。
【0059】
組成物、及び、本明細書に記載された薬剤は、予防的、及び、治療的処置の両方に有用である。予防的使用のために、本明細書に記載の薬剤の治療的有効量は、早期発症の前、または、その間に、被験者に投与される(例えば、癌の早期の徴候、及び、症状に応じて)。治療的処置は、疾患の診断、または、発症後に、本明細書に記載の薬剤の治療有効量を被験者に投与することを含む。
【0060】
被験者に有効量、例えば、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の組み合わせ有効量を投与することを含む被験者の癌を処置する方法が、本明細書に提供され、ここに、投与は、被験者の癌を処置する。場合により、有効量、または、組み合わせ有効量は、相乗効果を生じる量、または、相乗効果を生じる組み合わせ有効量である。また、被験者に細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の有効量を投与することを含む、被験者に免疫系を刺激する方法が提供されるが、ここで、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の投与は、被験者の免疫系を刺激する。場合により、免疫応答は、抗癌免疫応答である。場合により、提供される方法は、更に、被験者に抗癌剤を投与することを含む。場合により、抗癌剤は、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤の投与後に投与される。
【0061】
細菌細胞、腫瘍浸透剤、及び、抗癌剤と腫瘍細胞を接触させることを含む腫瘍細胞への抗癌剤の送達を強化する方法が、更に、提供され、ここに、細菌細胞、及び、細胞浸透剤の投与は、抗癌剤の送達を強化する。
【0062】
抗癌剤は、小分子、核酸、ポリペプチド、及び、抗体からなる群から選択することができる。抗癌剤は、当業者に公知である。参照、例えば、Physician’s Drug Handbook, 12th Edition,Lippincott,Williams & Wilkins,(2007)、または、Chu 及び DeVitaによるPhysician’s Cancer Chemotherapy Drug Manual 2013,Jones & Bartlett Learning,LLC,(2013)。場合により、抗癌剤は、化学療法剤である。化学療法剤は、腫瘍の増殖を阻害し得る薬剤である。そのような薬剤としては、5−フルオロウラシル;ゲムシタビン;マイトマイシンC;メトトレキサート;ヒドロキシ尿素;シクロホスファミド;ダカルバジン;ミトキサントロン;アントラサイクリン(エピルビシン及びドキソルビシン);ヘルセプチンなどの受容体に対する抗体;エトポシド;プレグナソン;タモキシフェン、及び、抗エストロゲンなどのホルモン療法;インターフェロン;アロマターゼ阻害剤;プロゲステロン剤;及び、LHRH類似体が挙げられるが、それに限定されない。
【0063】
場合により、提供される方法において、腫瘍浸透剤は、細菌細胞の前に投与される。方法は、抗癌剤の投与を含む場合、抗癌剤は、細菌細胞、及び/または、腫瘍浸透剤の投与後に投与することができる。従って、薬剤または組成物の組み合わせは、併用して(例えば、混合物として)、別々に、しかし、同時に、(例えば、別々の静脈ラインを介して)のいずれかの方式で、または、逐次的に投与することができる(例えば、一つの薬剤が、初めに投与され、続いて、第二の薬剤が投与される)。従って、用語、「組み合わせ」は、2つ若しくはそれ以上の薬剤、または、組成物の、併用、同時、若しくは、逐次投与を指すために使用される。
【0064】
提供される方法では、細菌細胞、及び、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、場合により、効果的な量、例えば、相乗効果を出す有効量で存在する。場合により、細菌細胞はサルモネラ細菌細胞である。場合により、腫瘍に浸透させる薬剤は、ヒアルロニダーゼポリペプチドである。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、配列番号:1、または、配列番号:2、若しくは、そのフラグメントを含む。提供される組成物、キット、及び、方法で使用するのに適したヒアルロニダーゼポリペプチドは、US7,767,429;US7,829,081;US7,846,431;US7,871,607;US8,105,586;US8,202,517;US8,257,699;US8,431,380;及び;US8,450,470に記載されており、それら各々は、全体を参照することにより、本明細書に取り入れたものとする。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、改変されたヒアルロニダーゼポリペプチドですある。場合により、ヒアルロニダーゼポリペプチドはペグ化される。必要に応じて、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、PEGPH20(商標)である(Halozyme社,San Diego,CA)。
【0065】
場合により、腫瘍浸透剤は、ピルフェニドン(Kozono et al.,Cancer Res.73(7):2345−56 (2013));IPI−929(Olive et al., Science 324(5933):1457−61(2009));ナノ粒子;アルブミンナノ粒子;デキストラン;リポソーム;及び、細胞透過性ペプチドからなる群から選択される。
【0066】
提供される方法において有用な細菌細胞としては、サルモネラ細菌細胞、ビフィドバクテリア細菌細胞、リステリアモノサイトゲニス細菌細胞、クロストリジウムヒストリチクス細菌細胞、クロストリジウムノビイ細菌細胞、ビブリオコレラ細菌細胞、シゲラ細菌細胞、ストレプトコッカス細菌細胞、マイコバクテリウムボビス細菌細胞、腸炎エルシニア細菌細胞、炭疽菌細菌細胞、ラクトバチルス細菌細胞、ブドウ球菌細菌細胞、大腸菌細菌細胞が挙げられるが、それに限定されない。場合により、スレプトコッカス細菌細胞は、スレプトコッカスピロゲネス細菌細胞、または、スレプトコッカスゴルドニ細菌細胞である。適切な細菌細胞は、WO2012/149364に記載の細菌細胞が挙げられ、その全体を参照することにより、本明細書に取り入れたものとする。場合により、サルモネラ細菌細胞は、弱毒サルモネラ株である。場合により、サルモネラ細菌細胞は、サルモネラコレラスイス細菌細胞である。場合により、サルモネラ細菌細胞は、サルモネラチフィリウムの弱毒株である。弱毒性サルモネラチフィリウム株は、YS1646、RE88、LH430、SL7207、χ8429、χ8431、または、χ8468を含むが、それに限定されない。場合により、弱毒性サルモネラチフィリウム株は、YS1646サルモネラチフィリウム株である(ATCCアクセッション番号:202165、また、本明細書では、VNP20009と参照される)。場合により、トキソプラズマゴンジ細胞が提供される組成物、キット、及び、方法で使用することができる。
【0067】
場合により、本明細書で提供される細菌細胞は、疾患、または、障害の処置のために適した1つ若しくはそれ以上の分子を含む。従って、細菌細胞は、標的遺伝子発現、または、標的タンパク質の活性を遮断し、阻害し、または、抑制することが可能な、抗体、または、その機能的フラグメント、小分子、アプタマー、核酸、及び、RNA干渉分子(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、ミクロRNA(miRNA)、及び、低分子ヘアピンRNA(shRNA))を含むが、それに限定されない、1つ若しくはそれ以上の薬剤を含むことができる。場合により、細菌細胞は、機能性核酸、例えば、アンチセンス核酸を含む。場合により、アンチセンス核酸は、代謝酵素、免疫抑制の標的、または、癌標的を標的とする。場合により、アンチセンス核酸は、免疫抑制標的を標的とする。免疫抑制標的は、STAT3、IDO1、IDO2、アルギナーゼ1、iNOS、CTLA−4、TGF−β、IL−10、pGE2またはVEGFである。場合により、免疫抑制標的は、IDO1ある。場合により、アンチセンス核酸は、配列番号:3〜31からなる群から選択される。
【0068】
本明細書における「有効な用量、または、量」とは、それが投与による効果を生じる用量を意味する。本明細書における「組み合わせた有効用量、または、量」とは、2種若しくはそれ以上の薬剤の同時に投与される(例えば、混合物として)、個別に投与される、同時に投与される(例えば、個別の静脈ラインを経由して)、または、逐次的に投与される(第一の薬剤を初めに投与し、続いて第二の薬剤を投与する)、それが投与による効果を生じる用量を意味する。例えば、処置上有効な量、または、組み合せ効果量とは、疾患、または、障害の1つ若しくはそれ以上の症状を低下し、または、改善するのに十分な薬剤量、若しくは、その組み合せ量を含む。例えば、所定のパラメータに対して、有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または、少なくとも100%の増加、または、低下を示すであろう。効能は、「倍」の増加、または、減少として表すことができる。例えば、処置上有効な量は、対照群に比べて少なくとも、1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、または、それ以上の効果を有することができる。正確な用量、及び、製剤は、処置の目的に依存し、公知の技術を用いて当業者により確認される(参照、例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms (vols.1−3,1992);Lloyd,The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Gennaro, Editor (2003), 及び Pickar, Dosage Calculations(1999))。
【0069】
本明細書に記載する薬剤の同時投与の文脈において、用語「相乗的」、「相乗効果」、「相乗的な処置効果」、「相乗的に有効量」などは、2つ若しくはそれ以上の薬剤が、他の薬剤、または、薬剤の非存在下で各薬剤を投与する際の加算効果を考慮して投与されるときの多くの添加剤(例えば、相乗的添加)の応答(例えば、生物学的応答)を意味する。例えば、2つの薬剤が相乗的な処置効果を提供する場合、その後、両方の薬剤の同時投与時に観察される処置効果は、いずれかの薬剤が他の薬剤の非存在下で投与されるときに観察される加算処置効果よりも大きい。同様に、両方の薬剤の同時投与時に観察される処置効果が、いずれかの薬剤が、他の薬剤の非存在下で投与されるとき観察される加算処置効果よりも大きい場合に、第一の薬剤の第一の量と第二の薬剤の第二の量が一緒になって相乗的に有効量を提供する。
【0070】
本明細書において使用される用語、「処置する」、「処置」、または、「処置中」は、プロテアーゼの発現により特徴付けられる疾患、または、状態の1つ若しくはそれ以上の症状、または、プロテアーの発現によって特徴付けられる疾患、または、状態の単数の症状を低減する方法を意味する。従って、開示された方法では、処置は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または、100%の、疾患、若しくは、状態での確立された疾患、状態、または、症状の重症度の減少を参照することができる。例えば、対照群と比較して、被験者における疾患の1つ若しくはそれ以上の症状の10%の減少がある場合、疾患を処置するための方法は、治療であると考えられる。従って、減少は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であり、または、自然、または、対照群のレベルと比較して、10%と100%の間の任意の割合の減少であり得る。処置は、疾患、状態の治癒、または、完全な除去、または、疾患若しくは状態の症状の治癒、または、完全な除去を、必ずしも意味するものではないことが理解される。更に、本明細書で使用される、減少する、低下する、または、阻害することへの参照は、対照群と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または、それ以上の変化を含み、そのような用語には、完全な排除を含めることができるが、必ずしも含むとは限らない。
【0071】
「被験者」、「個体」または「患者」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指し、本明細書において互換的に使用される。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、及び、ペットが挙げられるが、これらに限定されない。組織、細胞、及び、生体外で得られるか、または、生体外で培養される生物学的実体の、その子孫も包含される。
【0072】
1つまたはそれ以上の提供される組成物を含むキットが、本明細書に提供される。従って、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤を含むキットが提供される。場合により、細菌細胞、及び、腫瘍浸透剤は、有効量、例えば、相乗的な有効量で存在する。場合により、キットは、サルモネラの細菌細胞、及び、ヒアルロニダーゼポリペプチドを有する第二の組成物を含む第一の組成物を含有する。場合により、サルモネラ細菌細胞、及び、ヒアルロニダーゼポリペプチドは、有効量、例えば、相乗的に有効量で存在する。場合により、組成物は、バイアルまたはパケットなどの容器中に存在する。場合により、キットは、1つ若しくはそれ以上の追加の薬剤を含む。従って、例えば、キットは、更に、追加の処置剤、例えば、抗癌剤を含む。追加の処置剤は、細菌細胞、及び/または、腫瘍浸透剤を含む組成物中に含まれるか、または別の組成物として処方することもできる。場合により、キットは、例えば、注射器、針、チューブ、カテーテル、パッチなどの、組成物を投与する手段を含む。キットは、また、使用前に滅菌、及び/または、希釈が必要な配合物、及び/または、物質を含むことができる。場合により、提供されるキットは、使用説明書を含む。
【0073】
使用できる、併用して使用できる、調製用に使用できる、または、開示された方法、及び、組成物の生成物である、物質、組成物、及び、構成成分が開示される。これら、及び、他の材料は、本明細書に開示され、そして、様々な個人や集団の組み合わせ、及び、これらの薬剤の並び替えの具体的な参照が開示されているが、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが明確に開示されないとき、各々は、具体的に、本明細書に意図され、記載されることが理解される。例えば、方法が開示され、方法を含む多数の分子に対して実施できる多数の改変が議論される場合、それぞれ、及び、全ての組み合わせ、及び、方法の並び替え、及び、可能な改変は、具体的に反対されない限り、具体的に想定される。同様に、これらの任意のサブセット、または、組み合わせも、特に、意図し、及び、開示される。この概念は、開示された組成物を使用する方法の工程を含むが、これに限定されない本開示の全ての態様に適用される。従って、実施することができる追加の様々な工程が存在する場合、それぞれのこれらの追加の工程は、任意の特定の方法の工程、または、開示された方法の工程の組み合わせを用いて実施することができ、そして、各々のその様な組合せ、または、組み合せのサブセットは、具体的に意図され、開示されることが理解される。
【0074】
本明細書に引用される出版物、それらが引用する物質は、その全体を参照することにより、本明細書に取り入れたものとする、
【0075】
多くの実施形態が記載される。[0001] それにもかかわらず、様々な改変が実施できることが理解されるであろう。従って、他の実施形態も、特許請求の範囲内である。
【実施例】
【0076】
[実施例1]
癌処置のためのshIDO−ST、及び、PEGPH20(商標)の組み合わせ:
shID−ST、及び、PEGPH20(商標)の効果を決定するために、9匹のC57BL/6マウスに、5×10
5のKPC−luc細胞を同所的に注射(膵臓に)した。3つの小グループ(n=3):shIDO−ST単体、PEGPH20(商標)単体、及び、shIDO−ST及びPEGPH20(商標)の組み合わせが作製された。shIDO−ST単体のグループは、shIDO−STを、静脈注射(i.v.)を介在して、5×10
6cfu/マウスの用量で、8日間、及び、12日間に亘って摂取した。PEGPH20(商標)単体のグループは、PEGPH20(商標)をi.v.注射を介在して、4.5mg/kg(〜90μg/マウス)の用量で、7日間に亘って摂取した。shIDO−ST及びPEGPH20(商標)の組み合わせグループは、PEGPH20(商標)を、4.5mg/kgで、7日間に亘って摂取し、次いでshIDO−STを、5×10
6cfu/マウスで8日間に亘って処置した。マウスは、腫瘍細胞移植後の示された時点で、生体内イメージングシステム(IVIS)を用いて画像化した。マウスは、指定された日にD−ルシフェリンを注射し、注射後5〜10分で、画像化した。露光時間は、全ての時点で2秒であった。shIDO−STグループ、及び、組み合せグループの両方において、マウスはshIDO−STの毒性に基づく病気の兆候を示したが、それはおそらく、あまりにも高用量の結果であったからである。組み合わせグループにおける腫瘍の減少、及び、shIDO−ST単体グル―プにおけるより少ない程度の腫瘍が観察された。PEGPH20(商標)グループのマウスが、すべての場合、移動度の問題が原因で非常に大きな腫瘍が発生し、3匹の内2匹に病気が発生したために安楽死させた。
【0077】
shIDO−ST及びPEGPH20(商標)との組み合わせ処置の滴定が、初期の実験で観察された毒性を低減するために実施した(
図2)。shIDO−ST及びPEGPH20(商標)の3つの異なる用量の組み合わせを表す3つのグループは、ほとんど無いか、または、無毒性であって、腫瘍増殖を少なく制御し続けるための最適な用量を決定するために作製した。グループは、shIDO−STの半分の用量(2.5×10
6cfu/マウス、即ち、250万cfu(2.5M))を有する、PEGPH20(商標)の全用量(〜90μg);shIDO−STの全用量を有するPEGPH20(商標)の半用量、または、両者の半用量から成る。PEGPH20(商標)の全用量、及び、任意の遺伝子標的に特異的ではないスクランブル制御(shScr−ST)の全用量からなる対照群が追加された。前の通りに、マウスは、PEGPH20(商標)を7日間、及び、shIDO−ST、または、shScr−STを8日間、摂取した。この実験では、いずれのマウスも、上記の投与量を用いた処置により病気になることが観察されなかった。shIDO−STの半用量を有するPEGPH20(商標)の全用量を投与したマウスは、当初、腫瘍を制御したが、腫瘍は急速にリバウンドし、大腫瘍になったためグループを安楽死させた。半用量のPEGPH20(商標)及び全用量のshIDO−STを摂取したグループは、有意に腫瘍を制御し、そして、3匹の内2匹のマウスにおいて、腫瘍注射後80日に亘って、KPC−lucの完全な治癒をもたらした。腫瘍がまだ明らかである3匹のマウスの内1匹では、同一用量での第二の処置は、56〜57日間に与えられた。腫瘍信号の幾つかの退化が発生したが、光子信号の継続的な増加で証明されるように、腫瘍は増殖し続けた(
図3)。PEGPH20(商標)及びshIDO−STの両方の半用量を与えられたマウスでのKPC−luc腫瘍は、有意な腫瘍増殖の制御を示さなかった(
図1のPEGPH20(商標)単体グループと比較して)。PEGPH20(商標)のshScr−STとの組み合わせは、過渡的ではあるが、測定可能な腫瘍増殖の制御をもたらしたが、腫瘍は3匹の内2匹のマウスでは急速にリバウンドし、全てのマウスは、まだ45日目で、尚、腫瘍を有していたので、マウスのKPC−lucは、治癒しなかった。
図2で画像化されたマウスから放出された光子は、Living Image(登録商標)ソフトウェアを使用して定量した。45μgのPEGPH20(商標)(PEG)、及び、5MのshIDO−STで処置したマウスからの腫瘍は、他の全てのグループよりも有意に良好に制御された(
図3)。
【0078】
PEGPH20(商標)及びshScr−STの組み合わせ処置に対する7日目のKPC−luc腫瘍の感受性のために(
図2)、移植されたKPC−luc腫瘍の処置は、14日間に延期された。これは、PEGPH20(商標)との組み合わせで、shIDO−ST対shScr−STの有効性をより良く比較するために、腫瘍の大きな確定を可能にした。この実験は、6つの処置群から構成され、その内3グループは、PEGPH20(商標)及びshScr−ST、shIDO−ST、または、ゲムシタビン(100mg/kgのGEM)で処置した。他の3グループは、shScr−ST、shIDO−ST、または、GEMのいずれかで処置し、PEGPH20(商標)では処置しなかった。(以前に
図2で説明した滴定実験から決定された)用量は、45μgのPEGPH20(商標)、その後、5×10
6cfu/マウスの、shIDO−ST、または、shScr−STから成り立っていた。前述の通り、マウスは、(PEGPH20(商標)で、または、ビヒクルの対照群で)14日間の処置を開始した。次いで、マウスは、15日間の処置で単回投与を摂取した。腫瘍の増殖は、IVISにより縦方向で可視化した。画像は
図4に示す。PEGPH20(商標)及びshIDO−STの組み合わせグループを除く、全てのグループは、マウスでの移動性の問題や病気が原因となる著しく大きい腫瘍のため、30日まで安楽死させた。再度、腫瘍増殖の有意な減少は、21日目と30日目のPEGPH20(商標)及びshIDO−STの組み合わせグループにおける3匹中の2匹のマウスで観察された。有意ではなかったが、第三のマウスも、生存を延長する腫瘍制御を示した。37日までに、腫瘍がマウスに再び現れた。従って、第二の処置は、これが、さらに、腫瘍退縮を誘導するかどうかを決定するために、これらのマウスに投与した。44日目を通して穏やかな腫瘍の減少が見られた。
図4で画像化されたマウスから放出された光子は、Living Image(登録商標)ソフトウェアを使用して定量した。PEGPH20(商標)(PEG)+shIDO−STで処置されたマウスからの腫瘍は、他の全てのグループよりも有意に良好に制御されていた。
図5を参照。更に、
図4のマウスは、各画像化時点で秤量した。いずれのグループもマウスの体重に有意な変化はなかった。
図6を参照。
【0079】
[実施例2]
癌処置のためのshArg−ST及びPEGPH20(商標)の組み合わせ:
PEGPH20(商標)と組み合わせたshArg−STの効果を決定するために、5匹のマウスに、同所的に、5×10
5のKPC−luc腫瘍細胞を移植した。2匹のマウスは、いかなる公知の遺伝子も標的としないshRNAプラスミドを運ぶPEGPH20(商標)及びサルモネラ(ST)療法(shScr−ST)を用いた処置からなる対照群に使用した(Scr=スクランブル)。3匹のマウスは、PEGPH20(商標)及びshArg−STを摂取する実験群に使用した。全てのグループは、PEGPH20(90μg/マウス、静脈内)を7日間摂取し、ST療法を8日、11日間摂取した(静脈内、5×10
6cfu/マウス)。PEGPH20(商標)との組み合わせで、shScr−STの対照群の処置、並びに、shArg−STの処置は、腫瘍増殖の減衰をもたらした。しかし、幾つかの毒性が観察された。結果を
図7に示す。
【0080】
shIDO−ST及びPEGPH20(商標)との組み合わせ処置に使用される用量は、最初の実験で観察された毒性を低減するために変更した(
図7)。同所性のKPC−luc腫瘍を有する2つのグループ(n=4)が生成され、shScr−ST、または、shArg−STのいずれかでPEGPH20(商標)処置を受けた。両グループのために、PEGPH20(商標)は、45μg/マウス(以前に使用されたものより半分の投与量)で、後の時点での9日目に投与した(以前の実験の7日目とは対照的に)、次いで、shScr−ST、または、shArg−ST(全用量、5×10
6cfu)を10日及び13日間処置した。50%の対照群マウスの腫瘍が治癒し、実験群が、尚、わずかに良好に作用していた。shArg−STの処置を受けたマウスは、まだ、幾つかの毒性兆候を示した。結果を
図8に示す。
【0081】
[実施例3]
shIDO−ST/PEGPH20(商標)の組み合わせ処置の有効性:
更に、shIDO−ST/PEGPH20(商標)の組み合わせ療法の有効性を評価するために、マウスのグループは、ルシフェラーゼ(KPC−luc細胞)を発現する50万のKPC(KrasLSL.G12D/+;p53R172H/+;PdxCretg/+)細胞を同所的に移植した。移植後14日間、全てのマウスを、表1に概要を示したスケジュールに従って、示唆した療法で処置した。
【表1】
【0082】
それぞれ指示した時点で、グループは、Xenogen100装置を用いて生体内画像化の5分前に、ルシフェリンを注射した。
図9で示す通り、画像化結果を元に、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置した100%のマウスが、実質的な腫瘍退縮を有することを観察し、マウスの75%近くが、健康的で、腫瘍のないマウスに匹敵する、注目すべき腫瘍の除去と無期限の生存率(>1Y)を示した。他の処置法との組み合わせは、ほとんど有効ではなかった。
【0083】
統計的分析のために、
図9に示したマウスグループのIVIS画像化から放出された光子を定量した。
図10で示す通り、ルシフェラーゼシグナルの定量は、PEGPH20(商標)+shIDO−STのみで処置したマウスが、試験したPEGPH20(商標)と標準化学療法の全ての組み合わせと比較して、統計的に有意な腫瘍の制御(p<0.01、ANOVA)を有することを示した。
【0084】
図9に示したマウスのグループは、指示された各時点で計量した。
図11で示す通り、PEGPH20(商標)/shIDO−STの組み合わせ療法を用いたPDAC腫瘍の除去は、いずれの有意な毒性(体重減少)とも関連していなかった。全体として、いかなる処置グループも、関連する体重減少を示さなかった。
【0085】
未処置、または、PEGPH20(商標)で処置したマウスから14日目の同所に移植した腫瘍は、ヒアルロナンのより高い強度の染色のために、10%の酸ホルマリン及び70%エタノールを活用する修正された方法(標準の10%ホルマリン固定より優れた)を用いて固定した(Lin et al.,J Histochem Cytochem 1997)。
図12に示すように、染色は、移植後14日目のKPC−luc腫瘍がヒアルロナンを有意に発現することを明らかにした。PEGPH20(商標)で処置した後48時間で、KPC−luc腫瘍組織の切片におけるヒアルロナンの有意な枯渇が観察された(
図12)。
【0086】
未処置、または、PEGPH20で処置したマウスの腫瘍の14日後の切片は、腫瘍塊内の血管の断面を見つけるために、抗CD31抗体で染色した。CD31一次に対して二次特異的に共役したFITC及びDAPI染色は、蛍光顕微鏡により可視化した。
図13に示す通り、画像はマウスの腫瘍において、未処置の腫瘍の密閉血管の大部分、及び、PEGPH20(商標)で処置したマウスの腫瘍におけるより多くの開放血管を表す。
【0087】
指示した処置グループにおける腫瘍及び好中球は、サルモネラで処置を開始した後、72時間のスパンで画像化した。時点はサルモネラ菌で処置した後の時間を表す。(即ち、PEGPH20(商標)は、−24時間の時点で与えられた)。
図14に示すように、腫瘍への好中球の著しい移動は、具体的に、腫瘍内で観察され、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置したマウスでのみ発生する重複領域を形成した。PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置したマウスは、PMNの流入(72時間時点の指摘)で、劇的な腫瘍退縮の一致を示した。
【0088】
PEGPH20(商標)/shScr−ST及びPEGPH20(商標)/shIDO−STで処置したマウスに対して、
図14に示された腫瘍は、具体的には、腫瘍塊内のPMNの存在を確認するために、サルモネラ処置後96時間で切除した。マウスは、腫瘍切除(PMNに特異的に)の1時間前に、近赤外造影剤を注入された。
図15で分かる通り、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置したマウスから切除した腫瘍(右側)は、対照群のPEGPH20/shScr−STで処置したマウス(左)と比較して、有意に多くのPMN浸潤を有することが観察された。
【0089】
対照群の腫瘍と、
図15で示す腫瘍は、サルモネラ、PMN、及び、無傷の核の免疫蛍光染色(DAPI)のために切片化した。PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置されたマウスのみ、サルモネラとPMNの劇的な流入を有することが観察された(
図16)。PMNは、定量的PCRによりIDOmRNAの有意なノックダウンを有することが観察された。瘍細胞のかなりの壊死(DAPI染色の欠如)が、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置した腫瘍のコアで可視化された(
図16)。
【0090】
更に、PEGPH20(商標)/shIDO−STの組み合わせ処置の効果を調べるために、条件付きで、特に、膵臓でのCre(KPC−Brca1)の存在下で発現し、自発的な膵臓癌をもたらした、Kras、p53、及び、Brca1の突然変異を組み込んだ遺伝子操作されたマウスモデル(GEMM)が処置された。左側の脾臓と膵臓は、12週齢の正常なC57BL/6マウスから摘出し、一方、右側の脾臓と膵臓を、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処理した7週齢のKPC−Brca1マウスから採取した。処置スケジュールは、
図18に概要を示す。処置したKPC−Brca1マウスが5週間後に(12週齢で)安楽死させた。
図17に示すように、KPC−Brca1マウスは、正常な膵臓の大きさと比較して,有意に小さい膵臓を有することが観察された。
【0091】
追加の実験は、その後、適切に制御処置したマウス(即ち、PEGPH20(商標)/shScr−ST)、及び、KPC−Brca1マウスで行なった。雄と雌のKPC−Brca1マウスは、
図18に概要を示す処置スケジュールを使用して、PEGPH20(商標)とshScr−ST、または、shIDO−STのいずれかで処置した。再度、PEGPH20(商標)/shIDO−STで処置したマウスにおける腫瘍サイズの有意な制御/縮小は、PEGPH20(商標)/shScr−STで処理したものと比較し、厳密な自生/自発的なモデルにおいて有効性を示した(
図19)。