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特開2019-167438ポリウレタンフォーム組成物とポリウレタンフォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-167438(P2019-167438A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム組成物とポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/64 20060101AFI20190906BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20190906BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20190906BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20190906BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20190906BHJP
【FI】
   C08G18/64 084
   C08G18/48 033
   C08G18/48
   C08G18/00 F
   C08G18/48 004
   C08G18/40 009
   C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-55903(P2018-55903)
(22)【出願日】2018年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】東海 真平
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DB08
4J034DG03
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG10
4J034DQ00
4J034EA08
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
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4J034KC18
4J034KD02
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4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB17
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA02
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】吸湿性及び放湿性が良好で膨潤性が低く、マットレスなどの寝具用クッションや、肩パットやブラパットなどの衣料用パットに好適なポリウレタンフォームを得ることのできるポリウレタンフォームの組成物の提供を目的とする。
【解決手段】ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム組成物において、ポリオールは、ポリエーテルポリオールからなり、ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、添加剤としてカルボキシメチルセルロースをポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むこととした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム組成物において、
前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールからなり、
前記ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、
前記添加剤としてカルボキシメチルセルロースを前記ポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むことを特徴とするポリウレタンフォーム組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが単独のポリオールからなり、ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜11%であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム組成物。
【請求項3】
前記ポリオールが複数のポリオールからなり、各ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜15%であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム組成物。
【請求項4】
ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム組成物を用いるポリウレタンフォームの製造方法において、
前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールからなり、
前記ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、
前記添加剤としてカルボキシメチルセルロースを前記ポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
前記ポリオールが単独のポリオールからなり、ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜11%であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
前記ポリオールが複数のポリオールからなり、各ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜15%であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム組成物とポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、柔軟でクッション性を有するため、寝具、衣料、家具及び車両用内装材などにクッション材として使用されている。
また、マットレスなどの寝具用クッションや、肩パットやブラパットなどの衣料用パットについては、柔軟性やクッション性の他に、快適な使用感を得るための高い吸湿性と、不使用時や洗濯後の乾燥のための高い放湿性と、洗濯時の低い膨潤性が求められる。
【0003】
吸湿性及び放湿性を付与する方法として、ポリウレタンフォームのポリオールとして、エチレンオキサイド含有率が50〜90%のポリエーテルポリオールを用いる方法がある(特許文献1)。
また、ポリオールとして、エチレンオキサイド含有率が30%以上のポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド含有率が2〜30%のポリマーポリオールを併用する方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−115256号公報
【特許文献2】特開2018−2979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、エチレンオキサイド含有率が50〜90%ポリエーテルポリオールは、親水性が高く、吸収した水分による膨潤性が高く、膨潤によって型崩れを生じ易い問題がある。
また、エチレンオキサイド含有率が30%以上のポリエーテルポリオールとエチレンオキサイド含有率が2〜30%のポリマーポリオールを併用する方法では、膨潤性が従前より改善されているものの、更なる膨潤性の低下が求められている。
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、吸湿性及び放湿性が良好で膨潤性の低いポリウレタンフォームが得られるポリウレタンフォーム組成物とポリウレタンフォームの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム組成物において、前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールからなり、前記ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、前記添加剤としてカルボキシメチルセルロースを前記ポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ポリオールが単独のポリオールからなり、ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜11%であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1において、前記ポリオールが複数のポリオールからなり、各ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜15%であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム組成物を用いるポリウレタンフォームの製造方法において、前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールからなり、前記ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、前記添加剤としてカルボキシメチルセルロースを前記ポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4において、前記ポリオールが単独のポリオールからなり、ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜11%であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4において、前記ポリオールが複数のポリオールからなり、各ポリオールのエチレンオキサイド含有率が0〜15%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリウレタンフォーム組成物及びポリウレタンフォームの製造方法では、ポリオールがポリエーテルポリオールからなり、ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率が0〜11%であり、添加剤としてカルボキシメチルセルロースをポリオール100重量部に対して6〜40重量部含むことにより、吸湿性及び放湿性が良好で膨潤性の低いポリウレタンフォームを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例と比較例の配合及び吸湿性等の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール、触媒、発泡剤、添加剤、ポリイソシアネートを含む。
【0016】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールは、エチレンオキサイド含有率(EO率)が大になるとポリウレタンフォームの吸水による膨潤性が大になり、洗濯性が悪くなるため、エチレンオキサイド含有率が0〜15%のポリエーテルポリオールが好ましい。エチレンオキサイド含有率(EO含有率)は、アルキレンオキサイド単位の全量を100重量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率である。
【0017】
ポリオール全体のエチレンオキサイドの含有率は大になると、ポリウレタンフォームの吸水による膨潤性が大になり、洗濯性が悪くなるため、ポリオール全体の(総)エチレンオキサイド含有率は0〜11%が好ましく、より好ましい範囲は0〜8%である。ポリオール全体の(総)エチレンオキサイド含有率は、使用するポリオールのエチレンオキサイド含有率と配合量の積を合計し、ポリオールの全体量で除した値である。例えば、ポリオールとして、エチレンオキサイド含有率5%のポリオールXを40重量部と、エチレンオキサイド含有率10%のポリオールYを60重量部使用した場合、ポリオール全体のエチレンオキサイド含有率は、(5×40+10×60)/(40+60)=8(%)となる。
【0018】
ポリオールが単独のポリエーテルポリオールからなる場合は、エチレンオキサイド含有率は0〜11%、より好ましくは0〜8%のポリエーテルポリオールを使用する。また、ポリオールが複数からなる場合、エチレンオキサイド含有率が0〜15%のポリエーテルポリオールの複数を、ポリオール全体の(総)エチレンオキサイド含有率が0〜11%、より好ましくは0〜8%となるように、各ポリエーテルポリオールの配合量を決定する。
【0019】
使用するポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜5のものが好ましく、より好ましくは2〜4である。ポリエーテルポリオールの平均官能基数が2より低い場合、架橋反応が生じ難く、発泡性が劣る傾向にあり、得られるポリウレタンフォームが歪特性等に劣るようになる。一方、ポリエーテルポリオールの平均官能基数が高くなりすぎると、架橋反応が大になって、得られるポリウレタンフォームに発泡後の収縮を生じ易くなり、良好なポリウレタンフォームが得難くなる。
また、使用するポリエーテルポリオールの数平均分子量は2000〜7000、水酸基価は20〜80mgKOH/gが好ましい。
【0020】
触媒としては、ポリオールとイソシアネートのウレタン化反応を促進するものであり、ポリウレタンフォーム用として用いられるアミン系触媒、金属触媒を挙げることができる。アミン系触媒としては、具体的には、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン等が用いられる。金属触媒としては、スタスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等を挙げることができる。触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜1.0重量部程度である。
【0021】
発泡剤としては、水、炭化水素、ハロゲン系化合物等を挙げることができ、これらの中から1種類でもよく、又2種類以上でもよい。前記炭化水素としては、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等を挙げることができる。又、前記ハロゲン系化合物としては、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも発泡剤として水が特に好適である。発泡剤の量は、ポリオール100重量部に対して2.0〜5.0重量部程度が好ましい。
【0022】
添加剤として、本発明ではカルボキシメチルセルロースが含まれる。カルボキシメチルセルロース(CMC)は、セルロースの誘導体であり、セルロースの水酸基の一部がカルボキシメチル基で置換されたものである。カルボキシメチルセルロースは、エーテル化度(mol/C6)が0.2〜0.6である低置換のものでも、エーテル化度が0.6を超える高置換のものでもよく、何れも使用することができる。エーテル化度は、セルロースの無水グルコース単位中に存在する水酸基に対するカルボキシメチル基の置換度をいう。エーテル化度が0.6以下の低置換カルボキシメチルセルロースは、水に難溶または不溶である。一方、エーテル化度が0.6を超える高置換カルボキシメチルセルロースは、水に溶融する性質を有する。また、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースの塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を使用することもできる。
【0023】
カルボキシメチルセルロースの量は、ポリオール100重量部に対して6〜40重量部が好ましく、より好ましくは6〜30重量部である。カルボキシメチルセルロースの量が少なすぎると吸湿性が低下する。一方、カルボキシメチルセルロースの量が多すぎると放湿性が低下するようになる。
【0024】
また、カルボキシメチルセルロースとセルロースを併用してもよい。セルロースの量は、ポリオール100重量部に対して0〜20重量部、より好ましくは0〜15重量部である。セルロースは、カルボキシメチルセルロースよりも吸湿性に劣る反面、放湿性が若干良好であるため、放湿性の向上が特に重視される場合は、カルボキシメチルセルロースとセルロースを併用することが好ましい。
【0025】
その他の添加剤としては、整泡剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。整泡剤としては、ポリウレタンフォームに用いられるものであればよく、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。整泡剤の配合量は、ポリオール100重量部に対して0.4〜1.5重量部程度が好ましい。
【0026】
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、ポリウレタンフォーム用のものが使用可能であり、1種類の単独でも2種類以上の併用であってもよい。前記ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系のイソシアネート化合物、及びこれらの変性物を挙げることができる。
【0027】
芳香族系イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソジアネート(TMXDI)、トリジンイソシアネート(TODI)等が挙げられる。脂肪族系イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、リジントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。脂環族系イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(HXDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。変性イソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。なお、環境規制の点からは、MDI系及びその変性体のイソシアネートがより好ましい。
【0028】
ポリイソシアネートの配合量は、イソシアネートインデックスが90〜110となる量が好ましい。イソシアネートインデックスが90未満の場合、ポリウレタンフォームの歪(耐熱・湿熱)が悪化し、一方110を超えるとポリウレタンフォームが高硬度になりソフト感が得られなくなる。なお、イソシアネートインデックスは、ポリウレタンフォーム原料中の活性水素基(例えば、ポリオールの水酸基、発泡剤として用いられる水などの活性水素基)の合計に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で示す値であり、ポリウレタフォームの分野で使用されている指標である。
【0029】
ポリウレタンフォームの製造は、エチレンオキサイド含有率が0〜11%のポリエーテルポリオール、触媒、発泡剤、カルボキシメチルセルロース、ポリイソシアネートを含む前記ポリウレタンフォーム組成物(ポリウレタンフォーム原料)を攪拌混合して反応・発泡させることにより行うことができる。発泡方法は、公知のスラブ発泡が好ましい。スラブ発泡は、混合したポリウレタンフォーム組成物をベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。なお、前記ポリウレタンフォームは、裁断等により寝具の種類に応じた形状、寸法等とされる。例えば、ベッド用クッションの場合には所定厚みの板状体等とされ、また枕用クッションの場合には、所定の枕形状とされる。
【0030】
本発明の製造方法で得られたポリウレタンフォームの密度、吸湿率、放湿率、膨潤率、洗濯性について好ましい範囲を示す。
【0031】
密度は、低すぎるとポリウレタンフォームのクッション性が損なわれるのに対して、高すぎるとポリウレタンフォームが硬くなってクッション性が損なわれると共に重くなるため、20〜80kg/mが好ましく、より好ましくは20〜60kg/mである。密度の測定は、JIS K7222に基づく方法に準拠して行う。
【0032】
吸湿率は、高いほど水分を吸収し易いことを示し、寝具用クッションや衣料用パッドとして使用されるポリウレタンフォームにあっては、使用時に快適性が求められるため、4%以上が好ましく、より好ましくは6〜12%である。
【0033】
吸湿率の測定方法について示す。ポリウレタンフォーム試験片(100mm×100mm×50mm)の重量を測定し、測定値を吸湿前重量とする。次にそのポリウレタンフォーム試験片を、温度50℃、湿度95%RHの条件下で3時間放置した後、ポリウレタンフォーム試験片の重量を測定し、測定値を吸湿後重量とする。吸湿前重量と吸湿後重量を用いて次の式により吸湿率(%)を算出する。
吸湿率(%)={(吸湿後重量−吸湿前重量)/吸湿前重量}×100
【0034】
放湿率は、高いほど乾燥し易いことを示し、寝具用クッションや衣料用パッドとして使用されるポリウレタンフォームにあっては、不使用時や洗濯後の乾燥性が求められるため、50%以上が好ましく、より好ましくは70〜100%である。
【0035】
放湿率の測定方法について示す。吸湿率の測定において吸湿後重量を測定したポリウレタンフォーム試験片について、温度25℃、湿度50%RHの条件下で1時間放置した後に重量を測定し、測定値を放湿後重量とする。吸湿前重量と吸湿後重量及び放湿後重量を用いて次の式により放湿率(%)を算出する。
放湿率(%)={(吸湿後重量−放湿後重量)/(吸湿後重量−吸湿前重量)}×100
【0036】
膨潤率は、低いほど水によって膨潤し難いことを示し、寝具用クッションや衣料用パッドとして使用されるポリウレタンフォームにあっては、洗濯時の型崩れや破損などを防ぐため、115%以下が好ましく、より好ましくは100〜105%である。
【0037】
膨潤率の測定方法について示す。ポリウレタンフォーム試験片(10mm×50mm×50mm)の所定の1辺の長さを測定し、測定値を浸漬前長さとする。そのポリウレタンフォーム試験片を、水に浸漬し、その状態で軽く揉んでポリウレタンフォーム試験片内部に水を浸透させ、水に浸漬した状態で24時間放置する。次にポリウレタンフォーム試験片を水の中から取り出し、内部に水が浸透した状態のポリウレタンフォーム試験片について所定の1辺の長さを測定し、測定値を浸漬後長さとする。浸漬前長さと浸漬後の長さを用いて次の式により膨潤率(%)を算出する。
膨潤率(%)=(浸漬後長さ/浸漬前長さ)×100
【0038】
また、本発明の製造方法で得られたポリウレタンフォームは、洗濯性が良好である。洗濯性の判断方法について示す。洗濯洗剤を標準量の50倍溶かした洗濯水に、ポリウレタンフォーム試験片(10mm×50mm×50mm)を浸漬し、その状態で3回揉み、その後、洗濯水に浸漬した状態で容器に蓋をし、50℃の乾燥炉で24時間放置する。次に洗濯水からポリウレタンフォーム試験片を取り出し、水道水で10回もみ洗いして水洗し、その後100℃の乾燥炉で8時間乾燥する。洗濯水を用いる洗濯から乾燥までを1サイクルとして4サイクル繰り返した後に、ポリウレタンフォーム試験片について変形及び脆化(粉化)の有無を判断する。変形及び脆化(粉化)の何れも無い場合は洗濯性が良好であり、変形及び脆化(粉化)の何れか一つでもあった場合には洗濯性が不良である。
【0039】
洗濯性における変形の有無の判断は、前記4サイクル後のポリウレタンフォーム試験片の表面を目視で観察し、膨張及び皺の何れも無い場合に変形無とし、一方でもある場合に変形有りとした。
洗濯性における脆化(粉化)の有無の判断は、洗濯前と前記4サイクル後のポリウレタンフォーム試験片の表面を目視で観察、または表面に手で触れた際に、試験片の一部でも紛体になっている場合に脆化(粉化)有りとし、紛体になっていない場合に脆化(粉化)無とした。
【実施例】
【0040】
以下の成分を、図1に示す各実施例と各比較例の配合で調製したポリウレタンフォーム組成物を混合撹拌し、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームを製造した。なお、図1における「総EO%」は、使用したポリオール全体の(総)エチレンオキサイド含有率である。
【0041】
・ポリオール−A:ポリエーテルポリオール、官能基数3、分子量3000、水酸基価56mgKOH/g、エチレンオキサイド含有率8%、品名;GP−3050NS、三洋化成工業(株)製
・ポリオール−B:ポリエーテルポリオール、官能基数3、分子量5000、水酸基価27.6mgKOH/g、エチレンオキサイド含有率15%、品名;GP6015、カーペンター社製
・ポリオール−C:ポリエーテルポリオール、官能基数3、分子量4000、水酸基価52mgKOH/g、エチレンオキサイド含有率75%、品名;EP−505S、三井化学(株)製
・ポリオール−D:ポリマーポリオール、官能基数3、分子量5000、水酸基価27.5mgKOH/g、エチレンオキサイド含有率11%、品名;POP−3128、三井化学(株)製
・セルロース:品名;ARBOCEL(登録商標)UFC100、レッテンマイヤー社製
・CMC−A:水不溶性カルボキシメチルセルロースナトリウム、エーテル化度0.2〜0.3、品名;サンローズ(登録商標)SLD−F1、日本製紙(株)製
・CMC−B:水溶性カルボキシメチルセルロースナトリウム、エーテル化度0.9、品名;CMCダイセル(登録商標)2252、ダイセルファインケム(株)製
・整泡剤:シリコーン系界面活性剤、品名;B−8110、エボニック社製
・アミン触媒:N,N−ジメチルアミノヘキサノール、品名;カオーライザーNo.25、花王(株)製
・スズ触媒:オクチル酸第一スズ、品名;MRH−110、城北化学工業(株)製
・ポリイソシアネート:2,4トリレンジイソシアネート/2,6トリレンジイソシアネート=80/20、品名;コスモネートT−80、三井化学(株)製
【0042】
得られた各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームに対して、前記の方法によって密度、吸湿率、放湿率及び膨潤率を測定し、洗濯性を判断した。また、測定結果及び判断結果に基づき、吸湿性評価、放湿性評価、膨潤性評価、洗濯性評価を行い、それらの評価に基づき総合評価を行った。
【0043】
吸湿性評価は、吸湿率4.0%以上:「〇」、3%〜4%未満:「△」、3%未満:「×」である。
放湿性評価は、放湿率50%以上:「〇」、50%〜30%未満:「△」、30%未満:「×」である。
膨潤性評価は、膨潤率105%未満「◎」、105〜130%未満:「〇」、130%以上:「×」である。
洗濯性評価は、変形、脆化(粉化)の何れも無い場合「〇」、何れか一つでもある場合「×」である。
総合評価は、吸湿性評価、放湿性評価、膨潤性評価及び洗濯性評価における最低の評価とする。例えば、全て「〇」以上の場合は総合評価「〇」、一つでも「△」が存在し、他が「〇」以上の場合は総合評価「△」、一つでも「×」が存在し、他が「〇」又は「△」以上の場合は総合評価「×」である。
【0044】
実施例1は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部使用し、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Aを25重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は25重量部である。実施例1は、密度23.8kg/m、吸湿率4.0%で吸湿性評価「〇」、放湿率75%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「〇」であった。
【0045】
実施例2は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部使用し、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを6重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は6重量部である。実施例2は、密度26.4kg/m、吸湿率4.4%、吸湿性評価「〇」、放湿率73%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「〇」であった。
【0046】
実施例3は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部使用し、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを30重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は30重量部である。実施例3は、密度26.3kg/m、吸湿率10.7%、吸湿性評価「〇」、放湿率54%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「〇」であった。
【0047】
実施例4は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部使用し、セルロースを15重量部と、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを15重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は15重量部である。実施例4は、密度24.7kg/m、吸湿率7.8%、吸湿性評価「〇」、放湿率59%、放湿性評価「〇」、膨潤率100%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「〇」であった。
【0048】
実施例5は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを60重量部とエチレンオキサイド含有率15%のポリオールBを40重量部使用し、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを30重量部使用する例であり、総EO%は11%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は30重量部である。実施例5は、密度25.9kg/m、吸湿率10.8%、吸湿性評価「〇」、放湿率54%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「〇」であった。
【0049】
比較例1は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率70%のポリオールCを70重量部とエチレンオキサイド含有率11%のポリオールDを30重量部使用し、カルボキシメチルセルロースを使用しない例であり、総EO%は56%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は0重量部である。比較例1は、密度34.9kg/m、吸湿率8.2%、吸湿性評価「〇」、放湿率43%、放湿性評価「△」、膨潤率109%、膨潤性評価「〇」、洗濯性評価「×」、総合評価「×」であった。
【0050】
比較例2は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部使用し、カルボキシメチルセルロースを使用しない例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は0重量部である。比較例2は、密度26.6kg/m、吸湿率1.0%、吸湿性評価「×」、放湿率100%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「×」であった。
【0051】
比較例3は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部と、セルロースを30重量部使用し、カルボキシメチルセルロースを使用しない例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は0重量部である。比較例3は、密度23.0kg/m、吸湿率2.4%、吸湿性評価「×」、放湿率71%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「×」であった。
【0052】
比較例4は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部と、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを5重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は5重量部である。比較例4は、密度26.5kg/m、吸湿率3.8%、吸湿性評価「△」、放湿率72%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「△」であった。
【0053】
比較例5は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを100重量部と、セルロースを2.5重量部と、カルボキシメチルセルロースとしてCMC−Bを2.5重量部使用する例であり、総EO%は8%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は2.5重量部である。比較例5は、密度25.6kg/m、吸湿率3.9%、吸湿性評価「△」、放湿率78%、放湿性評価「〇」、膨潤率100%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「△」であった。
【0054】
比較例6は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを60重量部とエチレンオキサイド含有率15%のポリオールBを40重量部使用し、カルボキシメチルセルロースを使用しない例であり、総EO%は11%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は0重量部である。比較例6は、密度26.4kg/m、吸湿率1.4%、吸湿性評価「×」、放湿率75%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「〇」、総合評価「×」であった。
【0055】
比較例7は、ポリオールとしてエチレンオキサイド含有率8%のポリオールAを50重量部とエチレンオキサイド含有率15%のポリオールBを50重量部使用し、カルボキシメチルセルロースを使用しない例であり、総EO%は12%、カルボキシメチルセルロース分の合計量は0重量部である。比較例7は、密度26.0kg/m、吸湿率1.7%、吸湿性評価「×」、放湿率83%、放湿性評価「〇」、膨潤率101%、膨潤性評価「◎」、洗濯性評価「×」、総合評価「×」であった。
【0056】
このように、本発明によれば、吸湿性及び放湿性が良好で膨潤性が低いポリウレタンフォームを得ることができ、マットレスなどの寝具用クッションや、肩パットやブラパットなどの衣料用パットなどに好適である。
図1