特開2019-167825(P2019-167825A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンマー株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2019167825-内燃機関 図000003
  • 特開2019167825-内燃機関 図000004
  • 特開2019167825-内燃機関 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-167825(P2019-167825A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/06 20060101AFI20190906BHJP
   F02M 31/16 20060101ALI20190906BHJP
   F02M 26/35 20160101ALI20190906BHJP
   F02M 26/27 20160101ALI20190906BHJP
   F02M 26/42 20160101ALI20190906BHJP
【FI】
   F02M21/06 B
   F02M31/16 C
   F02M26/35 D
   F02M26/27
   F02M26/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-53768(P2018-53768)
(22)【出願日】2018年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】谷原 志郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 賢史
(72)【発明者】
【氏名】山内 貴司
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062AA03
3G062ED08
3G062ED11
3G062GA10
(57)【要約】
【課題】気化装置の加温及びEGRガスの冷却を簡素な構造で実現できるとともに、始動時においても素早く気化装置を加温できる内燃機関を提供する。
【解決手段】内燃機関100は、気化装置33と、排気バイパス通路51と、排気還流通路52と、を備える。気化装置33は、液化状態の燃料ガスを気化させる。排気バイパス通路51は、前記燃料ガスを燃焼させた排気ガスの一部を前記気化装置33の加温のために供給する。排気還流通路52は、気化装置33を加温することによって冷却された排気ガスをEGRガスとして吸気側へ還流させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化状態の燃料ガスを気化させる気化装置と、
前記燃料ガスを燃焼させた排気ガスの一部を、前記気化装置の加温のために供給する排気バイパス通路と、
前記気化装置を加温することによって冷却された排気ガスをEGRガスとして吸気側へ還流させる排気還流通路と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関であって、
前記気化装置で発生する凝縮水を貯留する凝縮水貯留部を備え、
前記凝縮水貯留部は、前記排気バイパス通路を前記排気ガスが流れる方向において、前記気化装置より上流側に配置され、
前記排気バイパス通路を流れる排気ガスが、前記凝縮水貯留部に貯留された前記凝縮水との熱交換によって冷却されることを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関であって、
前記排気ガスを排出する排気ガス通路と、
前記排気ガスが流れる方向において、前記排気バイパス通路より下流側の前記排気ガス通路に設けられる排気ガス浄化装置と、
前記凝縮水貯留部と、前記排気ガス浄化装置より下流側の前記排気ガス通路と、を接続する凝縮水排出通路と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の内燃機関であって、
前記排気バイパス通路を流れる排気ガスを、前記凝縮水貯留部を通過させずに前記気化装置の上流側へ導く冷却回避路と、
前記冷却回避路を開閉する開閉弁と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の内燃機関であって、
前記排気バイパス通路は、空気を送風する冷却ファンの近傍を通過することを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを燃料とする内燃機関に関する。詳細には、液化状態の燃料ガスを気化させる気化装置の加温及びEGRガスの冷却を行う構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気化装置を用いて液化状態の燃料ガスを気化させて燃焼のために供給するガスエンジン等の内燃機関が知られている。特許文献1は、この種の液化ガスエンジンを開示する。
【0003】
特許文献1の液化ガスエンジンは、エンジンの冷却水の一部を、液化ガスを気化させるベーパライザ(気化装置)の加温装置に加熱媒体として供給してから、EGRガスを冷却するEGRクーラに冷却媒体として供給するように、当該冷却水をベーパライザの加温装置及びEGRクーラへ還流させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−173520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、EGRガスを冷却するのに伴って昇温した冷却水を、ラジエータにより冷却された冷却水と合流させている。従って、シリンダヘッドに供給される冷却水の温度が上昇し、シリンダヘッドの冷却効果が低下する原因となっていた。また、特許文献1の構成は、ベーパライザの加温装置及びEGRクーラへ冷却水を供給するための分岐経路を設ける必要があって、エンジンの構成の複雑化を招いていた。更に、エンジンの始動時において冷却水の温度が十分に上昇していない場合、特許文献1の構成ではベーパライザへの加温効果を期待できない。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、気化装置の加温及びEGRガスの冷却を簡素な構造で実現できるとともに、始動時においても素早く気化装置を加温できる内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の内燃機関が提供される。即ち、この内燃機関は、気化装置と、排気バイパス通路と、排気還流通路と、を備える。前記気化装置は、液化状態の燃料ガスを気化させる。前記排気バイパス通路は、前記燃料ガスを燃焼させた排気ガスの一部を、前記気化装置の加温のために供給する。前記排気還流通路は、前記気化装置を加温することによって冷却された排気ガスを吸気側へ還流させる。
【0009】
これにより、EGRガスを冷却するEGRクーラを別途に設ける必要がなく、簡単な構成で、気化装置の加温及びEGRガスの冷却を実現することができる。そして、気化装置の加温のために排気ガスを利用するので、内燃機関の始動時においても、気化装置に対する十分な加温効果をもたらすことができる。
【0010】
前記の内燃機関においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この内燃機関は、前記気化装置で発生する凝縮水を貯留する凝縮水貯留部を備える。前記凝縮水貯留部は、前記排気バイパス通路を前記排気ガスが流れる方向において、前記気化装置より上流側に配置される。前記排気バイパス通路を流れる排気ガスが、前記凝縮水貯留部に貯留された前記凝縮水との熱交換によって冷却される。
【0011】
これにより、凝縮水貯留部と気化装置とによるEGRガスの複合的な冷却構造を簡単な構成で実現でき、EGRガスを効率よく冷却することができる。また、排気ガスが気化装置に供給される前に冷却されるので、気化装置が備える部材への熱負荷を軽減でき、これらの部材の耐久性を向上することができる。
【0012】
前記の内燃機関においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この内燃機関は、排気ガス通路と、排気ガス浄化装置と、凝縮水排出通路と、を備える。前記排気ガス通路は、前記排気ガスを排出する。前記排気ガス浄化装置は、前記排気ガスが流れる方向において、前記排気バイパス通路より下流側の前記排気ガス通路に設けられる。前記凝縮水排出通路は、前記凝縮水貯留部と、前記排気ガス浄化装置より下流側の前記排気ガス通路と、を接続する。
【0013】
これにより、排気ガスの熱を利用して、凝縮水を蒸発させて排出することができる。また、排気ガス通路において、凝縮水排出通路から排気ガス通路に排出された凝縮水が仮に排気バイパス通路に戻ろうとしても、戻る向きが排気ガスの流れと逆になり、かつ、戻る途中で排気ガス浄化装置を通過しなければならないレイアウトとなっている。従って、凝縮水貯留部から排出された凝縮水がEGRガスの流れに乗って吸気側へ戻ることを回避できる。
【0014】
前記の内燃機関においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この内燃機関は、冷却回避路と、開閉弁と、を備える。前記冷却回避路は、前記排気バイパス通路を流れる排気ガスを、前記凝縮水貯留部を通過させずに前記気化装置の上流側へ導く。前記開閉弁は、前記冷却回避路を開閉する。
【0015】
これにより、状況に応じて、気化装置を用いてEGRガスを冷却する状態と、凝縮水貯留部と気化装置の両方で冷却する状態と、を容易に切り換えることができる。
【0016】
前記の内燃機関においては、前記排気バイパス通路は、空気を送風する冷却ファンの近傍を通過することが好ましい。
【0017】
これにより、排気バイパス通路を流れるEGRガスを、冷却ファンが作る空気の流れによって好適に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の構成を示す模式図。
図2】第1変形例の内燃機関の構成を示す模式図。
図3】第2変形例の内燃機関の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関100の構成を示す図である。
【0020】
図1に示す内燃機関100は、ガスを燃料とするガスエンジンであって、複数(本実施形態においては4つ)の気筒を有する直列4気筒エンジンとして構成されている。当該内燃機関100の燃料として用いるガスは特に限定されず、例えば、プロパンガス等を挙げることができる。
【0021】
この内燃機関100は、吸気部1と、図略のシリンダと、排気部2と、燃料ガス供給部3と、を主要な構成として備えている。
【0022】
吸気部1は、外部から空気を吸入する。吸気部1は、吸気管11と、スロットル弁12と、吸気マニホールド13と、を備える。吸気管11は吸気通路を構成しており、外部から吸入された空気を内部に流すことができる。
【0023】
スロットル弁12は、吸気通路の途中部に配置されている。スロットル弁12は、その開度を図略の制御装置からの制御指令に従って変更することにより、吸気通路の断面積を変化させる。これにより、スロットル弁12を介して吸気マニホールド13へ供給する空気量を調整することができる。
【0024】
吸気マニホールド13は、吸気が流れる方向において、吸気管11の下流側端部に接続されている。吸気マニホールド13は、吸気管11を介して供給された空気をシリンダ数に応じて分配し、それぞれのシリンダの燃焼室10へ供給することができる。
【0025】
それぞれの前記シリンダには、燃焼室10が形成されている。各シリンダの燃焼室10には、燃料ガス供給部3から供給される気体の燃料ガスが分配されて導かれる。なお、燃料ガス供給部3の構成の詳細は後述する。
【0026】
燃焼室10では、気体の燃料ガスと、吸気マニホールド13から供給された空気と、が混合された混合ガスが圧縮され、適宜のタイミングで、適宜の方法(例えば、点火プラグによる点火)により着火される。シリンダには図略のピストンが配置されており、このピストンは、燃焼室10での爆発により得られる推進力によって運動する。こうして得られた動力は、図略のクランク軸等を介して、動力下流側の適宜の装置へ伝達される。
【0027】
排気部2は、燃焼室10内に発生する排気ガスを外部に排出する。この排気部2は、排気管21と、排気マニホールド22と、排気ガス浄化装置23と、を備えている。排気管21は排気ガス通路を構成しており、その内部には、燃焼室10から排出された排気ガスを流すことができる。
【0028】
排気マニホールド22は、排気ガスが流れる方向において、排気管21の上流側端部に接続されている。排気マニホールド22は、各燃焼室10で発生した排気ガスをまとめて排気管21へ導く。
【0029】
排気ガス浄化装置23は、排気管21の出口側に設けられている。排気ガス浄化装置23は、排気ガス内に含まれるNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等の有害成分及び粒子状物質を除去することによって、排気ガスを浄化する。
【0030】
燃料ガス供給部3は、燃料ガス供給管31と、燃料ガスタンク32と、気化装置33と、燃料ガスバルブ34と、を備えている。
【0031】
燃料ガス供給管31は、燃料ガスタンク32から燃焼室10へ燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路を構成している。この燃料ガス供給通路の途中部に、燃料ガスが流れる方向の上流側から順に、気化装置33と、燃料ガスバルブ34と、が配置されている。
【0032】
燃料ガスタンク32は、液化状態の燃料ガスを貯留する。燃料ガスタンク32は、燃料ガスが流れる方向で、燃料ガス供給管31の上流側端部に接続している。燃料ガスタンク32に貯蔵された液化状態の燃料ガスは、図略のポンプ等によって気化装置33に供給される。
【0033】
気化装置33は、例えば空温式ベーパライザとして構成され、燃料ガスタンク32から供給された液化状態の燃料ガスを気化させる。具体的に説明すると、気化装置33に供給された液化状態の燃料ガスは、減圧されるとともに、空気との間で熱交換が行われる。これにより、燃料ガスを気化させることができる。
【0034】
一般的に、液化状態の燃料ガスを気化させることで冷やされた気化装置33は、電気加熱器、温水式加熱器等によって加温される。この点、本実施形態の内燃機関100においては、後述のEGR還流経路5が気化装置33を通過するように形成されているので、加熱器を別途に設ける必要がなく、気化装置33を好適に加温することができる。なお、この加温のための構成の詳細は後述する。
【0035】
気化装置33においては、排気ガス中の水蒸気が凝縮すること等によって凝縮水が発生する。本実施形態の内燃機関100には、当該凝縮水を貯留する凝縮水貯留タンク(凝縮水貯留部)6が設けられている。
【0036】
凝縮水貯留タンク6は、気化装置33等で発生する凝縮水を一時的に貯留する。凝縮水貯留タンク6は、例えば、耐腐食性を有する金属から形成されている。
【0037】
内燃機関100は更に、凝縮水導入管61と、凝縮水排出管(凝縮水排出通路)62と、を備える。
【0038】
凝縮水導入管61は、気化装置33と、凝縮水貯留タンク6と、を互いに接続するように設けられている。凝縮水導入管61は、気化装置33で発生した凝縮水を凝縮水貯留タンク6へ導く。
【0039】
凝縮水排出管62は、図1に示すように、凝縮水貯留タンク6と、排気ガス浄化装置23より下流側の排気管21と、を互いに接続するように設けられている。凝縮水排出管62は、凝縮水貯留タンク6に貯留された凝縮水を排気管21内へ導く。このように、凝縮水排出管62は、凝縮水貯留タンク6から凝縮水を排出する凝縮水排出通路を構成する。
【0040】
この構成で、排気管21内に導かれた凝縮水は、排気ガスの熱によって蒸発し、排気ガスの流れに乗って外部へ排出される。従って、酸性の凝縮水を液体のまま排出することを回避できる。また、排気管21に排気ガスが流れる方向において、排気管21から後述のEGR還流経路5が分岐する箇所は、排気管21へ凝縮水排出管62が合流する箇所よりも上流側に位置しているとともに、両箇所の間には排気ガス浄化装置23が配置されている。従って、排気管21内へ導かれた凝縮水がEGR還流経路5を介してEGRガスに混入することを回避できる。
【0041】
本実施形態の内燃機関100には、排気ガスの一部を吸気側へ還流させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)還流経路5が形成されている。EGR還流経路5は、排気バイパス通路51と、排気還流通路52と、から構成されている。本実施形態では、EGR還流経路5を通過する排気ガスを特にEGRガスと呼ぶことがある。
【0042】
排気バイパス通路51は、例えば、熱伝導性が優れた銅等の金属パイプから形成され、排気管21を通過する一部の排気ガスをEGRガスとして気化装置33へ導くように形成されている。排気バイパス通路51は、排気管21と、気化装置33と、を連結している。排気バイパス通路51は、排気ガスが流れる方向において、排気ガス浄化装置23より上流側の排気管21から分岐するように配置されている。
【0043】
排気バイパス通路51は、空冷部51aと、タンク冷却部51bと、を備える。
【0044】
空冷部51aは、図1に示すように、内燃機関100の側端部に配置されたギアケース7と冷却ファン8との間を通るように配置されている。空冷部51aは、冷却ファン8の近傍に配置され、冷却ファン8により空気が送られる方向において、冷却ファン8の下流側かつギアケース7の上流側に位置する。これにより、空冷部51a内を流れているEGRガスは、冷却ファン8が生成する空気の流れによって好適に冷却される。
【0045】
タンク冷却部51bは、上記の金属パイプが、凝縮水貯留タンク6の内部に形成された凝縮水の貯留空間を通過するように配置されている。これにより、タンク冷却部51b内に流れるEGRガスは、凝縮水貯留タンク6に貯留される凝縮水によって好適に冷却される。凝縮水による腐食を防ぐために、上記の金属パイプに、適宜の腐食防止加工が施されても良い。
【0046】
このように、排気ガスの一部を気化装置33に導く排気バイパス通路51を、冷却ファン8の近傍及び凝縮水貯留タンク6の内部を通過するように配置することで、気化装置33へ供給されるEGRガスに対する2段冷却構造(冷却ファン8及び凝縮水貯留タンク6による冷却構造)を構成することができる。従って、EGRガスが高温のまま気化装置33へ導入するのを回避できるので、気化装置33が備えるダイヤフラム等の部材が熱により劣化することを防止することができる。
【0047】
排気還流通路52は、気化装置33と、スロットル弁12より上流側の吸気管11と、を接続するように形成されている。EGRガスは、気化装置33を加温することに伴って冷却され、その後、排気還流通路52を通過して吸気側へ還流される。排気還流通路52の途中部には、凝縮水除去装置53と、EGRガスバルブ54と、が設けられている。
【0048】
凝縮水除去装置53は、EGRガスの還流方向においてEGRガスバルブ54の上流側に配置されている。凝縮水除去装置53は、例えば排出弁を備え、図略の適宜のセンサの検出結果(例えば圧力、温度等)に応じて排出弁を開閉させる。凝縮水除去装置53は、図略の経路を介して凝縮水導入管61又は凝縮水貯留タンク6に連結されており、EGRガスが冷却されることによって発生する凝縮水を凝縮水貯留タンク6へ排出する。これにより、EGRガス中の成分が溶け込んだ酸性の凝縮水によるEGRガスバルブ54の腐食を回避することができる。
【0049】
EGRガスバルブ54は、EGRガスの還流方向において凝縮水除去装置53より下流側に配置され、EGRガスの還流量を調整できるように構成されている。このEGRガスバルブ54は、その開度を図略の制御装置からの制御指令に従って変更することにより、排気還流通路52の断面積を変化させる。これにより、EGRガスの還流量を調整することができる。
【0050】
このように、気化装置33を加温する熱媒体として高温のEGRガスを用いることで、内燃機関100の始動時においても、気化装置33を素早く加温することができる。また、気化装置33はEGRガスを冷却するEGRクーラとして機能するので、EGRクーラを別途に設ける必要がなく、内燃機関100の構成を簡素化することができる。
【0051】
更に、気化装置33へEGRガスを供給する排気バイパス通路51を上記のように配置することによって、気化装置33とは別に、EGRガスを冷却する2段冷却構造(空冷部51a及びタンク冷却部51b)が形成される。従って、全体としては、吸気側へ還流させるEGRガスに対し、空冷部51a、タンク冷却部51b及び気化装置33による3段冷却構造が実現され、EGRガスを効率良く冷却することができる。
【0052】
この結果、本実施形態の内燃機関100は、EGRガスを効率的かつ効果的に冷却でき、よって、吸気側において、吸い込む空気の量を増加させることができる。
【0053】
気化装置33側から見ると、EGRガスのEGR還流経路5が気化装置33を通過する構成により、気化装置33を加温する加温装置を別途に設ける必要がなく、気化装置33を好適に加温することができる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の内燃機関100は、気化装置33と、排気バイパス通路51と、排気還流通路52と、を備える。気化装置33は、液化状態の燃料ガスを気化させる。排気バイパス通路51は、排気ガスの一部を気化装置33の加温のために供給する。排気還流通路52は、気化装置33を加温することによって冷却された排気ガスを吸気側へ還流させる。
【0055】
これにより、EGRガスを冷却するEGRクーラを別途に設ける必要がなく、簡単な構成で、気化装置33の加温及びEGRガスの冷却を実現することができる。そして、気化装置33の加温のために排気ガスを利用することで、内燃機関100の始動時においても、十分な加温効果をもたらすことができる。
【0056】
また、本実施形態の内燃機関100は、気化装置33で発生する凝縮水を貯留する凝縮水貯留タンク6を備える。凝縮水貯留タンク6は、排気バイパス通路51を排気ガスが流れる方向において、気化装置33より上流側に配置される。排気バイパス通路51を流れる排気ガスが、凝縮水貯留タンク6に貯留された凝縮水との熱交換によって冷却される。
【0057】
これにより、凝縮水貯留タンク6と気化装置33とによるEGRガスの複合的な冷却構造を簡単な構成で実現でき、EGRガスを効率よく冷却することができる。また、排気ガスが気化装置33に供給される前に冷却されるので、気化装置33が備えるダイヤフラム等の部材への熱負荷を軽減でき、これらの部材の耐久性を向上することができる。
【0058】
また、本実施形態の内燃機関100は、排気管21と、排気ガス浄化装置23と、凝縮水排出管62と、を備える。排気管21は、排気ガスを排出する。排気ガス浄化装置23は、排気ガスが流れる方向において、排気バイパス通路51より下流側の排気管21に設けられる。凝縮水排出管62は、凝縮水貯留タンク6と、排気ガス浄化装置23より下流側の排気管21と、を接続する。
【0059】
これにより、排気ガスの熱を利用して、凝縮水を蒸発させて排出することができる。また、排気管21において、凝縮水排出管62から排気管21に排出された凝縮水が仮に排気バイパス通路51に戻ろうとしても、戻る向きが排気ガスの流れと逆になり、かつ、戻る途中で排気ガス浄化装置23を通過しなければならないレイアウトとなっている。従って、凝縮水貯留タンク6から排出された凝縮水がEGRガスの流れに乗って吸気側へ戻ることを回避できる。
【0060】
また、本実施形態の内燃機関100において、排気バイパス通路51が備える空冷部51aは、冷却ファン8の近傍を通過する。
【0061】
これにより、排気バイパス通路51を流れるEGRガスを、冷却ファン8が作る空気の流れによって好適に冷却することができる。
【0062】
次に、上記実施形態の第1変形例を説明する。図2は、第1変形例の内燃機関100の構成を示す図である。なお、本変形例以降の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0063】
図2に示す本変形例の内燃機関100xにおいて、EGR還流経路5xには、凝縮水貯留タンク6に配置されたタンク冷却部51bをバイパスする冷却回避路55が更に形成されている。
【0064】
冷却回避路55は、EGRガスが流れる方向において、凝縮水貯留タンク6(即ち、タンク冷却部51b)より上流側の排気バイパス通路51と、凝縮水貯留タンク6(即ち、タンク冷却部51b)より下流側かつ気化装置33より上流側の排気バイパス通路51と、を接続している。これにより、EGRガスを凝縮水貯留タンク6により冷却して気化装置33へ導入する第1通路と、凝縮水貯留タンク6により冷却せずに気化装置33へ直接導入する第2通路と、が形成される。
【0065】
冷却回避路55の途中部には、開閉弁56が設けられている。開閉弁56は、例えば制御装置からの制御指令に従って、冷却回避路55(前記第2通路)の開閉を切り換えることができる。
【0066】
これにより、例えば、排気還流通路52内を流れるEGRガスの温度を制御装置がセンサ等により検出するとともに、当該検出結果に応じて、EGRガスの全部を凝縮水貯留タンク6により冷却するか、一部のみを凝縮水貯留タンク6により冷却するか、を切り換えることができる。この第1変形例において、タンク冷却部51bの開閉を切り換える開閉弁が更に設けられても良い。
【0067】
更に、この第1変形例において、冷却回避路55は、空冷部51aより上流側の排気バイパス通路51と、タンク冷却部51bより下流側の排気バイパス通路51と、を接続するように構成されても良い。
【0068】
次に、上記実施形態の第2変形例を説明する。図3は、第2変形例の内燃機関100の構成を示す図である。
【0069】
図3に示す本変形例の内燃機関100yにおいて、EGR還流経路5yには、タンク冷却部51bより上流側の排気バイパス通路51と、凝縮水除去装置53より下流側の排気還流通路52と、を接続するEGRガスバイパス通路57が更に形成されている。当該EGRガスバイパス通路57の途中部には、調量弁58が設けられている。
【0070】
この構成で、例えば、排気還流通路52内を流れるEGRガスの温度を制御装置がセンサにより検出するとともに、この検出結果に基づいて調量弁58の開弁量を制御することによって、高温のEGRガスの一部を排気還流通路52に直接還流させることができる。これにより、吸気側へ還流させるEGRガスの温度を適切に調整することができ、当該EGRガスの温度が低下し過ぎることを防止できる。
【0071】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0072】
内燃機関100は、排気ガスを利用することにより空気を圧縮して強制的に吸入する過給機を備えても良い。また、内燃機関100は、吸気と燃料ガスとを混合させるミキサを備えても良い。
【0073】
上記の実施形態等では、タンク冷却部51bは、凝縮水貯留タンク6の内部を配管が通過するように構成されている。しかしながら、タンク冷却部51bを、例えば、凝縮水貯留タンク6のタンク壁の内部に形成された中空状の経路により構成することができる。この場合でも、タンク冷却部51bを流れる排気ガスは、凝縮水貯留タンク6の内部の凝縮水との熱交換によって冷却される。
【0074】
空冷部51a及びタンク冷却部51bの何れか一方を省略しても良い。又は、タンク冷却部51bと排気管21とを直接接続する経路と、切換弁と、を設け、EGRガス温度に応じて、当該EGRガスが空冷部51a及びタンク冷却部51bの両方を通る状態と、タンク冷却部51bのみを通る状態と、を切り換えても良い。
【符号の説明】
【0075】
33 気化装置
51 排気バイパス通路
52 排気還流通路
100 内燃機関
図1
図2
図3