(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-167961(P2019-167961A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】還元剤デリバリユニットのための熱シールドおよびガスケット
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20190906BHJP
【FI】
F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-54940(P2019-54940)
(22)【出願日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】15/934,132
(32)【優先日】2018年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】519103090
【氏名又は名称】コンチネンタル パワートレイン ユー・エス・エイ エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Continental Powertrain USA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン マクファーランド
(72)【発明者】
【氏名】キース アーロン ショー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マイケル コールキンズ
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AB05
3G091BA07
3G091CA16
3G091HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流体インジェクタに堆積物を形成させないこと。
【解決手段】還元剤デリバリユニット(RDU)用のシールド部材50であって、RDUは、流体入口および流体出口27を有する流体インジェクタと、車両排気管Pの取付けボスBへの取付けのためのクランプフランジ28とを有している。シールド部材50は、その流体出口27を少なくとも部分的にカバーするように流体インジェクタに取り付けられる第1の部分52を有する。第1の部分52は、流体インジェクタ用の熱障壁、およびRDUが車両排気管Pに取り付けられたときに車両排気管P内の粒子が流体インジェクタに接触することを防止するための機械的障壁として機能する。シールド部材50はさらに、RDUが車両排気管Pに取り付けられているときにクランプフランジ28と車両排気管Pの取付けボスBとの間の取付部をシールするために、第1の部分から半径方向外方へ延びた第2の部分55を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤デリバリユニットであって、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口と前記流体出口との間に流体連通を提供する流体流路とを有する流体インジェクタであって、該流体インジェクタは、さらに弁を有し、該弁は、前記流体インジェクタを通る流体の流れを制御しかつ弁体を有しており、該弁体は、前記流体出口が配置された遠位端部を有する、流体インジェクタと、
前記流体インジェクタが配置されているハウジングと、
前記ハウジングに接続され、車両排気管の取付けボスと係合するように構成された、クンプフランジと、
シールド部材であって、前記流体インジェクタ内の流体流れの方向に対して前記流体出口の下流に配置されておりかつ前記流体出口を少なくとも部分的にカバーしている第1の部分と、前記クランプフランジに隣接して配置され、該クランプフランジと接触し、当該還元剤デリバリユニットが前記車両排気管に取り付けられたときに前記クランプフランジと前記車両排気管の前記取付けボスとの間の係合部をシールする、第2の部分と、を有するシールド部材と、
を備える還元剤デリバリユニット。
【請求項2】
前記シールド部材の前記第1の部分は、前記流体インジェクタの長手方向にほぼ延びる側壁と、該側壁の第1の軸方向端部に接続されかつ前記側壁の前記第1の軸方向端部から前記流体インジェクタの長手方向軸に向かって延びる端壁とを有し、該端壁は、前記流体出口から出た流体が前記シールド部材を通過することができるように寸法決めされた、半径方向で中央の開口を有する、請求項1記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記側壁の第2の軸方向端部から、前記側壁に対して所定の角度を成した方向へ延びており、前記第2の部分が前記クランプフランジと前記車両排気管の前記取付けボスとの間に配置され、当該還元剤デリバリユニットが前記車両排気管に取り付けられたとき、前記第2の部分はシールを形成する、請求項2記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項4】
前記第2の部分は、該第2の部分の表面から延びる突出部を有し、該突出部は圧縮可能である、請求項3記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項5】
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方は、前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方を貫通して画成された複数の切欠を有し、該切欠は、前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方の周囲に均等に分布している、請求項3記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項6】
前記切欠のそれぞれは、前記流体インジェクタの長手方向に延びるように前記第1の部分に画成されたセグメントを有する、請求項5記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項7】
前記端壁は、前記半径方向で中央の開口にフレア状端部を有する、請求項2記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項8】
前記端壁の前記フレア状端部は、前記流体インジェクタの前記流体出口から離れるように軸方向外方へフレアしている、請求項7記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項9】
前記端壁の前記フレア状端部は、前記流体インジェクタの前記流体出口に向かって内方へフレアしている、請求項7記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項10】
前記端壁の前記フレア状端部の遠位エッジは、前記弁体の前記遠位端部に隣接している、請求項9記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項11】
前記第1の部分は、第1の円筒状セグメントと、該第1の円筒状セグメントと前記第2の部分との間に配置された第2の円筒状セグメントとを有し、前記第1の円筒状セグメントの外径は、前記第2の円筒状セグメントの外径と等しくない、請求項2記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項12】
前記シールド部材の前記第1の部分および前記第2の部分は、単一の部材として一体的に形成されている、請求項1記載の還元剤デリバリユニット。
【請求項13】
還元剤デリバリユニット(RDU)用の熱シールドであって、RDUは、流体入口および流体出口を有する流体インジェクタと、車両排気管の取付けボスへの取付けのためのクランプフランジとを有しており、前記熱シールドは、
その前記流体出口を少なくとも部分的にカバーするように前記クランプフランジに取り付けるための第1の部分であって、前記流体インジェクタ用の熱障壁、および前記RDUが前記車両排気管に取り付けられたときに該車両排気管内の粒子が前記流体インジェクタに接触することを防止するための機械的障壁として機能する、第1の部分と、
前記RDUが前記車両排気管に取り付けられたときに前記クランプフランジと前記車両排気管の前記取付けボスとの間の取付部をシールするために前記第1の部分から半径方向外方へ延びる第2の部分と、を備え、前記第1の部分および前記第2の部分は、単一の部材として一体的に形成されている、
還元剤デリバリユニット(RDU)のための熱シールド。
【請求項14】
シールド部材の前記第1の部分は、側壁と、該側壁に接続されかつ前記熱シールドが前記クランプフランジに取り付けられたときに前記側壁の第1の軸方向端部から前記流体インジェクタの長手方向軸に向かって延びる端壁とを有し、該端壁は、前記熱シールドが前記クランプフランジに取り付けられたときに前記流体出口から出た流体が前記シールド部材を通過することができるように寸法決めされた、半径方向で中央の開口を有する、請求項13記載の熱シールド。
【請求項15】
前記第2の部分は、前記側壁の第2の軸方向端部から、前記側壁に対して所定の角度を成した方向へ延びており、前記第2の部分が前記クランプフランジと前記車両排気管の前記取付けボスとの間に配置され、前記還元剤デリバリユニットが前記車両排気管に取り付けられたとき、前記第2の部分はシールを形成する、請求項14記載の熱シールド。
【請求項16】
前記第2の部分は、該第2の部分の表面から延びる突出部を有し、該突出部は圧縮可能である、請求項15記載の熱シールド。
【請求項17】
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方は、前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方を貫通して画成された複数の切欠を有し、該切欠は、前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方の周囲に均等に分布している、請求項14記載の熱シールド。
【請求項18】
前記端壁は、軸方向にフレアした半径方向端部を有する、請求項14記載の熱シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に排気システムに関し、より具体的には排気後処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州および北米における厳しいエミッション基準は、自動車製造業者に、車両によって生成されるエミッションを低減するよう要求している。様々な技術が、これらのエミッションを低減するために開発されてきた。
【0003】
例えば、幾つかのディーゼルエンジンは、高レベルの窒素酸化物(NOx)エミッションを発生する。選択的触媒還元(SCR)アプローチが、窒素酸化物を窒素(N
2)と水(H
2O)とに変換するために使用されてきた。
【0004】
SCRアプローチでは、還元剤デリバリユニット(RDU)が、ディーゼル排気流体(DEF)還元剤をエンジンの排気流内へ噴射するために使用される。例えば、尿素がRDUによって排ガス流に付加され、二酸化炭素などの様々な副産物および水が形成される。アンモニアは、所望の副産物であり、触媒と関連して、窒素酸化物(NOx)を無害の水および窒素に変換する。
【0005】
RDUは、幾つかの場合に液体ジャケットによって液冷式の流体インジェクタを有している。従来のRDU流体インジェクタは、排気管内のエンジンの排気のための流路内へ延びたまたはさもなければ流路に曝された流体出口を有している。従来の液冷式RDUの液体ジャケットも、エンジンの排気の流路に曝されている。エンジン排気の比較的高い温度は、RDU流体インジェクタおよびその作動に不利な影響を与えると見られてきた。排ガスと、取付けフランジと、RDUとの間の温度勾配は、堆積物の形成を加速させることが知られており、この堆積物は、噴霧品質に影響を与え、これにより、窒素酸化物をN
2およびH
2Oに変換する能力に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示実施形態によれば、流体入口と、流体出口と、流体入口と流体出口との間に流体連通を提供する流体流路とを有する流体インジェクタを備えるRDUが開示される。流体インジェクタは、さらに弁を有し、弁は、流体インジェクタを通る流体の流れを制御しかつ弁体を有しており、弁体は、流体出口が配置されている遠位端部を有する。流体インジェクタは、RDUのハウジングに配置されている。クランプフランジがハウジングに接続されており、車両排気管の取付けボスと係合するように構成されている。RDUは、さらに、シールド部材であって、流体インジェクタ内の流体流れの方向に対して流体出口の下流に配置されかつ少なくとも部分的に流体出口をカバーした第1の部分と、クランプフランジに隣接して配置されかつクランプフランジと接触しており、RDUが車両排気管に取り付けられているときにクランプフランジと車両排気管の取付けボスとの間の係合部をシールする第2の部分と、を有するシールド部材を備える。
【0007】
例示実施形態では、シールド部材の第1の部分は、流体インジェクタの長手方向にほぼ延びる側壁と、側壁の第1の軸方向端部に接続されかつ側壁の第1の軸方向端部から流体インジェクタの長手方向軸に向かって延びる端壁とを有する。端壁は、流体出口から出た流体がシールド部材を通過することができるように寸法決めされた、半径方向で中央の開口を有する。
【0008】
例示実施形態では、第2の部分は、側壁の第2の軸方向端部から、側壁に対して所定の角度を成した方向へ延びている。第2の部分がクランプフランジと車両排気管の取付けボスとの間に配置され、RDUが車両排気管に取り付けられたとき、第2の部分はシールを形成する。第2の部分は、第2の部分の表面から延びておりかつ圧縮可能な突出部を有してもよい。
【0009】
例示実施形態では、第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方は、第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方を貫通して形成された複数の切欠を有し、切欠は、第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方の周囲に均等に分布している。各切欠は、流体インジェクタの長手方向に延びるように第1の部分に規定されたセグメントを有していてもよい。
【0010】
端壁は、半径方向で中央の開口に、フレア状端部を有していてもよい。端壁のフレア状端部は、流体インジェクタの流体出口から離れる方向へ、軸方向外方へまたは流体インジェクタの流体出口に向かって内方へフレアしている。フレア状端部が内方へフレアしている場合、端壁のフレア状端部の遠位エッジは、弁体の遠位端部に隣接している。
【0011】
例示実施形態では、第1の部分は、第1の円筒状セグメントと、第1の円筒状セグメントと第2の部分との間に配置された第2の円筒状セグメントとを有する。第1の円筒状セグメントの外径は、第2の円筒状セグメントの外径と等しくなくてもよい。
【0012】
シールド部材の第1の部分および第2の部分は、単一の部材として一体的に形成されていてもよい。
【0013】
別の例示実施形態では、RDU用の熱シールドが開示されており、RDUは、流体入口および流体出口を有する流体インジェクタと、車両排気管の取付けボスへの取付けのためのクランプフランジとを有する。熱シールドは、その流体出口を少なくとも部分的にカバーするようにクランプフランジに取り付けるための第1の部分を備え、第1の部分は、流体インジェクタ用の熱障壁として、およびRDUが車両排気管に取り付けられているときに車両排気管内の粒子が流体インジェクタと接触することを防止するための機械的障壁として、機能する。熱シールドはさらに、RDUが車両排気管に取り付けられているときにクランプフランジと車両排気管の取付けボスとの間の取付部をシールするために、第1の部分から半径方向外方へ延びた第2の部分を備え、第1および第2の部分は、単一の部材として一体的に形成されている。
【0014】
シールド部材の第1の部分は、側壁と、側壁の第1の軸方向端部に接続され、熱シールドがクランプフランジに取り付けられているときに側壁の第1の軸方向端部から流体インジェクタの長手方向軸に向かって延びる端壁と、を有する。端壁は、熱シールドがクランプフランジに取り付けられているときに、流体出口から出た流体がシールド部材を通過することができるように寸法決めされた、半径方向で中央の開口を有する。第2の部分は、側壁の第2の軸方向端部から、側壁に対して所定の角度を成した方向へ延びており、第2の部分がクランプフランジと車両排気管の取付けボスとの間に配置され、還元剤デリバリユニットが車両排気管に取り付けられたとき、第2の部分はシールを形成する。第2の部分は、第2の部分の表面から延びた圧縮可能な突出部を有する。第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方は、第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方を貫通して画成された複数の切欠を有し、切欠は、第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも一方の周囲に均等に分布している。端壁は、軸方向にフレアした半径方向端部を有する。
【0015】
本開示のより完全な理解のために、以下の詳細な説明および添付図面を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】例示実施形態による車両排気管に取り付けられた液冷式のSCR RDUの図である。
【
図2】例示実施形態による
図1のRDUの下流部分の断面図である。
【
図3】
図1のRDUのシールド部材の側面図である。
【
図3A】
図3のシールド部材の一部の拡大断面図である。
【
図6】別の例示実施形態による
図1のRDUの下流部分の断面図である。
【
図7】さらに別の例示実施形態による
図1のRDUの下流部分の断面図である。
【
図8】
図1のRDUの下流部分の断面図であり、RDUからの液滴流パターンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面中の要素は、簡略かつ明確にするために例示されていることを当業者は認めるであろう。さらに、特定の行為および/またはステップが、それらが行われる特定の順序で説明または表示されてもよいことが認められる一方、当業者は、順序に関するこのような特定性が実際に要求されるわけではないことを理解するであろう。本明細書で使用される用語および表現は、特定の意味が本明細書に別段に示されている場合を除き、照会および研究の対応するそれぞれの分野に関するこのような用語および表現に合致するような通常の意味を有することも理解されるであろう。
【0018】
例示実施形態は、一般に、RDU取付部において車両排気管内の排ガスおよび/または液体が車両排気システムから逃げ出すことをシールによって防止するためのガスケットとして機能するために、RDUを車両排気管に取り付けるための取付け装置内に位置決めするためのフランジまたはリップを有する、RDU流体インジェクタ用の熱シールドに関する。RDU流体インジェクタの流体出口と車両排気管との間に位置決めされることによって、熱シールドは熱障壁として機能する。熱シールドは、RDU流体インジェクタから車両排気管内へ噴射された還元剤液滴がRDU流体インジェクタにおいて再循環および集合し、乾燥し、時間の経過とともにRDU流体インジェクタの噴霧品質に不利な影響を与え得る堆積物を形成することを防止することによって、高温機械的障壁としても機能する。
【0019】
ここで
図1を参照すると、車両排気管Pに取り付けられたSCR RDU10が示されている。車両のエンジン(図示せず)からの排ガスおよび液体は、管P内の矢印によって示されているように、車両のエンジンから車両排気管Pに沿って移動する。RDU10は、SCRプロセスの一部として窒素酸化物(NOx)エミッションのレベルを低下させるために、所定の用量で排気管P内へ還元剤を噴射する。
【0020】
図1に示したように、RDU10は、RDU10に還元剤を供給する流体入口30を有している。流体入口30は、還元剤の供給部に接続可能である。
【0021】
RDU10は、さらに、RDUハウジング40内に配置された流体インジェクタ20を有している。
図1でRDUハウジング40が部分的に切り取られたところに示されている流体インジェクタ20は、RDUインジェクタにおいて従来見られる構成部材を有している。特に、流体インジェクタ20は、流体入口と、流体出口と、流体入口と流体出口との間に流体連通を提供する流体流路とを有していてもよい。流体インジェクタ20は、さらに、弁と、弁に作用的に接続されたアクチュエータユニット(図示せず)とを有していてもよい。電気コネクタ118によって受信されかつアクチュエータユニットに提供される電気信号に応答して、弁は、還元剤が流体インジェクタ20を通って流れて排気管P内へ噴射されることを防止される閉鎖状態と、流体インジェクタ20内の還元剤が流体インジェクタ20から排出されかつ排気管P内へ噴射される開放状態との間で切り替えられる。従来の流体インジェクタに見られる構成部材はよく知られているので、便宜上の理由から、インジェクタ構成部材の詳細な説明は含まれていない。
【0022】
図2は、例示実施形態による、RDU10を通る流体(還元剤)流の方向に対する、RDU10の下流端部を示している。流体インジェクタ20は、インジェクタ弁の弁体24の遠位下流端部に配置された流体出口27を有している。図示された実施形態では、RDU10は、液冷式のRDUであり、冷却材ジャケット22を有している。冷却材ジャケット22は、流体インジェクタ20の弁の弁体24(および/またはその他の部分)を包囲しており、冷却材ジャケット22と弁体24との間に閉鎖された空間を画成している。冷却材は、冷却材入口25を介して冷却材源から閉鎖された空間へ供給され、冷却材出口26を介して冷却材源へ再循環される(
図1)。流体インジェクタ20の少なくとも下流端部の周囲を通過する冷却材は、車両排気管Pの上昇した温度が流体インジェクタ20を損傷するかまたはさもなければ流体インジェクタ20の性能に不利な影響を与えることを防止するのに役立つ。
【0023】
RDU10は、さらに、この実施形態では冷却材ジャケット22および/またはRDUハウジング40に取り付けられたクランプフランジ28を有している。クランプフランジ28は、RDU10を排気管9に安定的に取り付けるために、クランプ部材29を使用して車両排気管Pの取付けボスBと係合する。
【0024】
図2に示したように、RDU10は、加えて、流体インジェクタ20の下流端部と車両排気管Pとの間に全体として配置されたシールド部材50を有している。シールド部材50は、第1の部分52および第2の部分55を有する。例示実施形態では、シールド部材50がRDU10の一体の構成部材であるように、第1の部分52および第2の部分55は、単一の部材として一体的に形成されている。例示実施形態では、シールド部材50は、金属および/または金属組成物から構成されている。
【0025】
図2に示したように、第1の部分52は、流体出口27と、冷却材ジャケット22の下流端部とを少なくとも部分的にカバーしている。第1の部分52は、ほぼカップ形であり、側壁53と端壁54とを有している。
図2および
図3に示されているように、側壁53は、第1の円筒状セグメント53Aおよび第2の円筒状セグメント53Bを含む1つまたは複数の積層された円筒状セグメントとして概して成形されている。第1の円筒状セグメント53Aは、第2の円筒状セグメント52Bの内径および外径それぞれよりも大きな内径および外径を有していてもよい。しかしながら、第1および第2の円筒状セグメント53A,53Bは同じまたは異なる内径および外径を有していてもよいことが理解される。
図2に示したように、第1の円筒状セグメント53Aなどの側壁53の少なくとも一部は、車両排気管Pの取付けボスBの内面と接触する外面と、フランジ28の外向きの面と接触する内面とを有している。以下でより詳細に説明するように、フランジ28との接触の結果、シールド部材50とフランジ28との間に圧入取付けが生じてもよい。
【0026】
端壁54は、側壁53の下流、軸方向および/または遠位端部から流体インジェクタ20の長手方向軸Lに向かって延びている。
図2〜
図5に示す実施形態では、端壁54は、側壁53に対して略直交するように側壁53の遠位端部から半径方向内方へ延びている。しかしながら、例えば、端壁54が側壁53に対して鋭角または鈍角を形成するように、端壁54が長手方向軸Lに向かって異なって延びていてもよいことが理解される。
【0027】
例示実施形態では、端壁54は、端壁54の半径方向で中央の部分に画成された開口または穴を有している。開口は、流体インジェクタ20から排出された還元剤の用量が、開口を通過し、排気管P内へ噴射されることができるような大きさおよび寸法にされている。
図2および
図3に示されているように、端壁54は、外方へ、弁体24の遠位端部から離れるように、排気管P内へフレアした、フレア状部分54Aを有している。フレア状部分54Aは、端壁54の残りの部分から、フレア状部分54Aの遠位端部領域が端壁54の残りの部分に対して直交方向になる程度まで曲がるように描かれている。しかしながら、フレア状部分54Aのフレアの程度は、
図2および
図3に示したフレアの程度より大きくてもよいし小さくてもよい。
【0028】
図2〜
図5を参照すると、シールド部材50の第2の部分55は、RDU10を車両排気管Pに取り付けるために取付けアセンブリ内に係合するために第1の部分52から延びている。特に、第2の部分55は、リップまたはフランジを形成するように、第1の部分52の上流軸方向端部から略半径方向外方へ延びている。
図2と、
図3Aにおける拡大図とに示されているように、第2の部分55は、第2の部分55に接続された第1の部分52に対して鋭角を形成している。しかしながら、第2の部分55および第1の部分52は、RDU10のための特定の取付けアセンブリに応じて、直角または鈍角などの異なる角度を形成していてもよい。第2の部分55が第1の部分52から半径方向に延びる程度は、同様に、RDU10のための特定の取付けアセンブリに依存してもよい。
【0029】
図2に示されているように、シールド部材50、特にシールド部材50の第2の部分52は、RDU10のフランジ28と排気取付けボスBとの間に配置されるように大きさおよび寸法が決められている。この結果、RDU10が排気管Pに取り付けられたとき、シールド部材50は流体インジェクタ20および排気管Pに対して適所に締め付けられかつその他の形式で固定される。
【0030】
再び
図2〜
図5を参照すると、第2の部分55は、第2の部分55に沿って無端の特徴および/またはループを形成する突出部55Aを有している。図示された例示実施形態では、RDU10が排気管Pに取り付けられたとき、突出部55Aは、排気取付けボスBから離れる方向にかつフランジ28に向かって突出しているが、突出部55Aは、フランジ28から離れるように取付けボスBに向かう方向に突出していてもよい。例示実施形態では、突出部55Aは、圧縮可能、特に弾性的に圧縮可能である。突出部55Aが圧縮可能である結果、第2の部分55は、車両排気管P内の排気流体がRDU10のための取付けアセンブリを通って車両排気管Pから出ることを防止するためのガスケットまたはシールとして機能する。
【0031】
続けて
図3〜
図5を参照すると、シールド部材50の第1の部分52および第2の部分55は、第1の部分52および第2の部分55を貫通して画成された複数の切欠60を有している。切欠60は、第1の部分52および第2の部分55の周囲に周方向で均等にまたはほぼ均等に分布していてもよい。第1の部分52を貫通して画成された各切欠60のセグメントは、流体インジェクタ20の長手方向軸Lに対してほぼ平行である。しかしながら、切欠60のこのような各セグメントは異なる方向に画成されてもよいことが理解される。各切欠60の別のセグメントは、第2の部分55を貫通して画成されており、ほぼ半径方向に延びている。RDU10の組立ての間および/または車両排気ボスBへのRDU10の取付けの間、切欠60は、フランジ28と圧入係合するように第1の部分52をフランジ28上にはめ込むときに、第1の部分52および第2の部分55を拡開させることができる。
【0032】
図2および
図3は、外方に(および/または流体インジェクタ20を通る還元剤の流れに対して下方に)フレアした部分を有するシールド部材50の端壁54を示している。
図6は、端壁54が、中央開口を規定するフレア状端部を有さない別の実施形態によるシールド部材50を示している。この実施形態では、端壁54は、平坦またはほぼ平坦であってもよく、ほぼ環状であってもよい。
図7は、端壁54が、弁体24の遠位端部に向かってかつ排気管Pから離れるように内方へフレアしたフレア状部分54Cを有する、さらに別の実施形態を示している。フレア状部分54Cは、端壁54の残りの部分から、フレア状部分54Aの遠位端部領域が端壁54の残りの部分に対して直交方向になる程度まで曲がっているように示されている。しかしながら、フレア状部分54Cのフレアの程度は、
図7に示したフレアの程度より大きくてもよいし小さくてもよい。フレア状部分54Cの遠位端部は、冷却材ジャケット22の端部および/または弁体24の遠位端部と接触してもよいが、フレア状部分54Cはこれに代えて、冷却材ジャケット22の端部および/または弁体24の遠位端部から離隔していてもよいことが理解される。
【0033】
RDU10が車両排気管Pに据え付けられているおよび/または取り付けられていると、シールド部材50の第2の部分55は、クランプフランジ28と排気取付けボスBとの間に固定され、流体インジェクタ20の流体出口27に対して固定された位置において、クランプフランジ28および排気取付けボスBに締め付けられる。上述のように、圧縮可能な突出部55Aの結果、第2の部分55は、排気管P内の流体が取付けボスBとRDU10との間を流れることを防止するガスケットまたはシールとして機能する。加えて、流体インジェクタ20と、排気管Pを通過する加熱された流体との間の領域を占めることにより、シールド部材50の第1の部分52は、冷却材ジャケット22のための熱障壁として作用する。
【0034】
シールド部材50は、さらに、高温機械的障壁として作用する。特に、シールド部材50の第1の部分52の表面温度は、車両排気管P内の排気環境の温度とほぼ一致するので、流体インジェクタ20から管P内への噴射後に第1の部分52と接触する、再循環する還元剤液滴は、急速に蒸発する。
図8は、RDU10からの還元剤の噴霧用量を示しており、この場合、噴霧からの一部の液滴Rは、車両排気管P内の渦流および/または乱流ファクタによって影響され、RDU10に向かって戻るように方向付けられる。シールド部材50の端壁54が設けられていないと、噴射された還元剤液滴Rは、冷却材ジャケット22および弁体24を有する比較的低温のRDU10と接触する。流体インジェクタ20(ほぼ90℃)は、通常作動中、シールド部材50(最大600℃)よりも著しく低温であるので、還元剤液滴は、シールド部材50が存在しないと流体インジェクタ20上にとどまり、集合し、インジェクタ20に堆積物を形成する。時間が経過するにつれて、集合した堆積物は流体インジェクタ20上に蓄積し、潜在的に、流体インジェクタ20の噴霧品質に影響を与えることがある。
【0035】
RDU10の取付けアセンブリ内のガスケットおよびシールの機能を熱障壁および高温機械的障壁の機能と組み合わせる一体のシールド部材50は、排気管PへのRDU10の据付けおよび/または取付けの間に堅く取り付けられる、製造が単純化されたシールド部材を提供する。
【0036】
上述の例示実施形態は、液冷式のRDUとしてのRDU10を示している。RDU10は、RDUハウジング40を通る空気流路が流体インジェクタ20の温度制御を促進する空冷式のRDUであってもよい。
【0037】
本発明を実施するための、発明者たちに既知の最良の態様を含む、本発明の例示実施形態が本明細書に説明されている。図示した実施形態は例示でしかなく、本発明の範囲を制限するものと理解すべきではない。
【外国語明細書】