【解決手段】筒部材60の軸方向他方側の端部は、軸方向他方側に開口し、かつ、第1孔部25が設けられた面と接触する。弁体部52は、筒部材60の内部を、第1収容部91と第1収容部91の軸方向他方側に位置する第2収容部92とに仕切る。筒部材60は、筒部材60を内周面から外周面まで径方向に貫通する貫通孔60dと、閉状態において第1流路部21と第1収容部91とを繋ぐ接続流路部66と、を有する。接続流路部66は、閉状態において第1孔部25よりも径方向外側に位置する第2孔部29を介して第1流路部21と繋がる。第2収容部92には、開状態において貫通孔60dを介して第2流路部22が繋がる。第1収容部91は、第1流路部21を流れる流体を収容可能であり、かつ、閉状態において第2流路部22と遮断される。
軸方向に延びる中心軸に沿って移動可能な可動部を備え、第1流路部と前記第1流路部の軸方向一方側に位置する第2流路部とが第1孔部を介して繋がれる開状態と、前記第1孔部が閉塞されて前記第1流路部と前記第2流路部とが遮断される閉状態と、を切り換え可能な電磁弁であって、
前記可動部を軸方向に移動させるソレノイドと前記ソレノイドを収容するカバーとを有する本体部と、
前記本体部から軸方向他方側に延びる筒状の筒部材と、
を備え、
前記可動部は、
前記本体部から軸方向他方側に突出し、前記筒部材の内部に挿入されるシャフト部と、
前記シャフト部に設けられ、前記閉状態において軸方向一方側から前記第1孔部を閉塞する弁体部と、
を有し、
前記筒部材の軸方向他方側の端部は、軸方向他方側に開口し、かつ、前記第1孔部が設けられた面と接触し、
前記弁体部は、前記筒部材の内部を、第1収容部と前記第1収容部の軸方向他方側に位置する第2収容部とに仕切り、
前記筒部材は、
前記筒部材を内周面から外周面まで径方向に貫通する貫通孔と、
前記閉状態において前記第1流路部と前記第1収容部とを繋ぐ接続流路部と、
を有し、
前記接続流路部は、前記閉状態において前記第1孔部よりも径方向外側に位置する第2孔部を介して前記第1流路部と繋がり、
前記第2収容部には、前記開状態において前記貫通孔を介して前記第2流路部が繋がり、
前記第1収容部は、前記第1流路部を流れる流体を収容可能であり、かつ、前記閉状態において前記第2流路部と遮断される、電磁弁。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸Jの軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態の流路装置10は、流体Wが流れる流路部20と、流路部20を開閉する電磁弁30と、を備える。流体Wは、特に限定されず、例えば、水である。
図1においては、電磁弁30が開き、流路部20内を流体Wが流れる開状態OSを示す。
図2においては、電磁弁30が閉じ、流路部20内の流体Wの流れが堰き止められた閉状態CSを示す。電磁弁30は、開状態OSと、閉状態CSと、を切り換え可能である。
【0013】
本実施形態の流路装置10は、流路システム1に備えられる。流路システム1は、被冷却体5を冷却する冷却システムである。流路システム1は、例えば、車両に搭載される。被冷却体5は、例えば、車両の駆動部である。
【0014】
流路システム1は、ポンプ部2と、流体冷却部3と、流体タンク4と、被冷却体5と、流路装置10と、を備える。ポンプ部2は、流体タンク4内の流体Wを被冷却体5に送る。流体冷却部3は、流路部20内の流体Wを冷却する。流体冷却部3は、流路部20のうちポンプ部2と被冷却体5との間の部分に設けられる。
【0015】
流路部20は、第1流路部21と、第2流路部22と、流入部23と、流出部24と、を有する。流入部23は、流体タンク4からポンプ部2まで延びる流路である。流出部24は、被冷却体5から流体タンク4まで延びる流路である。第1流路部21は、ポンプ部2から延びる流路である。第1流路部21には、ポンプ部2によって送られる流体Wが流入する。本実施形態において第1流路部21には、流体冷却部3が設けられる。
【0016】
第2流路部22は、第1流路部21から被冷却体5まで延びる流路である。第2流路部22は、第1流路部21の上側に位置する。第1流路部21と第2流路部22とは、仕切壁部27によって軸方向に仕切られる。仕切壁部27は、軸方向と直交する方向に延びる壁であり、第1流路部21の上側の壁部の一部と第2流路部22の下側の壁部の一部とを構成する。仕切壁部27は、仕切壁部27を軸方向に貫通する第1孔部25を有する。すなわち、流路部20は、第1孔部25を有する。図示は省略するが、第1孔部25は、例えば、円形の孔である。
図1に示す開状態OSにおいては、第1流路部21と第2流路部22とは、第1孔部25を介して繋がれる。
【0017】
第2流路部22は、電磁弁30が取り付けられる取付孔26を有する。取付孔26は、第2流路部22の壁部のうち上側の上壁部28に設けられる。取付孔26は、上壁部28を軸方向に貫通する。取付孔26は、第1孔部25の上側に位置する。図示は省略するが、取付孔26は、例えば、円形の孔である。取付孔26の内径は、第1孔部25の内径よりも大きい。
【0018】
なお、本明細書において「第2流路部が第1流路部の上側に位置する」とは、第2流路部のうち第1流路部と孔部を介して繋がる部分が、第1流路部のうち第2流路部と孔部を介して繋がる部分の上側に位置すればよい。すなわち、本明細書において「第2流路部が第1流路部の上側に位置する」とは、第2流路部の一部が第1流路部の下側に位置するような場合も含む。
【0019】
第2流路部22は、弁収容部22aを有する。弁収容部22aは、第2流路部22における第1流路部21が繋がる側の端部である。弁収容部22aは、第1流路部21の上側に位置する。弁収容部22aは、第1孔部25と繋がる。弁収容部22aの上側の端部は、取付孔26に繋がる。図示は省略するが、弁収容部22aは、軸方向に沿って視て、円形状である。
【0020】
図1に示すように、開状態OSにおいて、流体タンク4内の流体Wは、ポンプ部2によって、流入部23を介して第1流路部21に流入される。第1流路部21に流入した流体Wは、第1孔部25を介して、第2流路部22に流入する。第2流路部22に流入した流体Wは、被冷却体5を冷却し、流出部24を介して、流体タンク4に戻る。このように、開状態OSにおいては、流体タンク4と流路部20との間で流体Wが循環し、被冷却体5を流体Wによって冷却することができる。
【0021】
一方、
図2に示すように、閉状態CSにおいては、電磁弁30によって第1孔部25が閉塞されて第1流路部21と第2流路部22とが遮断される。これにより、第2流路部22に流体Wが流れなくなり、被冷却体5の冷却が停止される。
【0022】
電磁弁30は、流路部20に固定される。より詳細には、電磁弁30は、取付孔26を介して弁収容部22aに取り付けられ、第2流路部22の上壁部28に固定される。
図3および
図4に示すように、電磁弁30は、本体部40と、可動部50と、筒部材60と、弾性部材80と、シール部材63b,63cと、を備える。なお、
図3は、開状態OSを示し、
図4は、閉状態CSを示す。
【0023】
本体部40は、カバー41と、ソレノイド42と、第1磁性部材44aと、第2磁性部材44bと、スペーサ45と、ブッシュ46a,46bと、Oリング47a,47bと、を有する。カバー41は、ソレノイド42を収容する。カバー41は、磁性材である。カバー41は、上壁部28に固定される。カバー41は、第1カバー41aと、第2カバー41bと、を有する。
【0024】
第1カバー41aは、カバー本体41cと、円環板部41dと、保持部41eと、を有する。カバー本体41cは、下側に開口する有蓋の筒状である。本実施形態においてカバー本体41cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。円環板部41dは、カバー本体41cの下側の端部から径方向外側に拡がる。保持部41eは、円環板部41dの径方向外縁部から下側に突出する筒状である。
【0025】
第2カバー41bは、板面が軸方向を向く板状である。図示は省略するが、本実施形態において第2カバー41bは、中心軸Jを中心とする円板状である。第2カバー41bは、保持部41eの径方向内側に嵌め合わされる。第2カバー41bは、第1カバー41aの下側の開口を閉じる。第2カバー41bは、第2カバー41bの中央部を軸方向に貫通するカバー貫通孔41fを有する。
【0026】
ソレノイド42は、ボビン部42aと、コイル43と、モールド部42bと、を有する。ボビン部42aは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてボビン部42aは、中心軸Jを中心とする円筒状である。ボビン部42aの下側の端部は、第2カバー41bと接触する。ボビン部42aの上側の端部は、第1カバー41aの上側の蓋部と接触する。コイル43は、ボビン部42aの外周面に巻き回される。モールド部42bは、ボビン部42aの径方向外側およびコイル43の径方向外側を覆う。
【0027】
第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、ボビン部42aの径方向内側に嵌め合わされる。第1磁性部材44aの下側の端部は、第2カバー41bと接触する。第2磁性部材44bは、第1磁性部材44aの上側に位置する。第2磁性部材44bの上側の端部は、第1カバー41aの上側の蓋部と接触する。第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、磁性材である。
【0028】
スペーサ45は、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてスペーサ45は、中心軸Jを中心とする円筒状である。スペーサ45は、第1磁性部材44aと第2磁性部材44bとの軸方向の間に位置する。スペーサ45の軸方向両端部は、各磁性部材と接触する。スペーサ45は、非磁性材である。スペーサ45は、例えば、樹脂から成る。
【0029】
ブッシュ46a,46bは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてブッシュ46a,46bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。ブッシュ46aの下側の端部は、カバー貫通孔41fに嵌め合わされる。ブッシュ46aの上側の部分は、第1磁性部材44aの径方向内側に嵌め合わされる。ブッシュ46bは、第2磁性部材44bの径方向内側に嵌め合わされる。
【0030】
Oリング47a,47bは、周方向に沿った環状である。本実施形態においてOリング47a,47bは、中心軸Jを中心とする円環状である。Oリング47aは、ボビン部42aの上側の端部と第1カバー41aの上側の蓋部との間に位置する。Oリング47aは、ボビン部42aと第1カバー41aとに接触して、ボビン部42aと第1カバー41aとの間を封止する。Oリング47bは、ボビン部42aの下側の端部と第2カバー41bとの間に位置する。Oリング47bは、ボビン部42aと第2カバー41bとに接触して、ボビン部42aと第2カバー41bとの間を封止する。
【0031】
可動部50は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って移動可能である。可動部50は、シャフト部51と、弁体部52と、コア部53と、を有する。シャフト部51は、中心軸Jに沿って延びる。シャフト部51は、中心軸Jを中心とする円柱状である。シャフト部51の上側の部分は、本体部40の内部に挿入される。シャフト部51は、本体部40から下側に突出し、筒部材60の内部に挿入される。シャフト部51は、ブッシュ46aの径方向内側に嵌め合わされ、ブッシュ46aによって軸方向に移動可能に支持される。
【0032】
弁体部52は、シャフト部51に設けられる。より詳細には、弁体部52は、シャフト部51の下側の端部に繋がる。本実施形態において弁体部52は、例えば、中心軸Jを中心とする円柱状である。弁体部52の外径は、シャフト部51の外径および第1孔部25の内径よりも大きい。弁体部52の外径は、筒部材60の内径とほぼ同じである。
【0033】
弁体部52は、筒部材60の内部に位置する。弁体部52は、筒部材60の内部に嵌め合わされる。弁体部52の外周面は、筒部材60の内周面と接触する。可動部50が軸方向に移動する際、弁体部52は、外周面が筒部材60の内周面に対して滑りながら、軸方向に移動する。本実施形態において弁体部52とシャフト部51とは、例えば、同一の単一部材の一部である。
【0034】
弁体部52の上側の面は、径方向外側に向かうに従って下側に位置する湾曲面である。弁体部52の上側の面は、第1受圧面52aである。弁体部52の下側の面は、径方向外側に向かうに従って上側に位置する湾曲面である。弁体部52の下側の面は、第2受圧面52bを含む。第2受圧面52bは、閉状態CSにおいて第1孔部25を介して第1流路部21に露出する部分である。本実施形態において第2受圧面52bは、弁体部52の下側の面のうちの中央部分である。第2受圧面52bの面積は、第1受圧面52aの面積よりも小さい。
【0035】
図4に示すように、弁体部52は、閉状態CSにおいて上側から第1孔部25を閉塞する。閉状態CSにおいて、弁体部52の下側の面は、仕切壁部27の上側の面のうち第1孔部25の縁部と接触する。第2受圧面52bは、閉状態CSにおいて、第1流路部21内の流体Wから上側向きの圧力を受ける。
【0036】
コア部53は、軸方向に延びる。本実施形態においてコア部53は、中心軸Jを中心とする円筒状である。コア部53は、シャフト部51の外周面に嵌め合わされて固定される。コア部53は、ブッシュ46bの径方向内側に嵌め合わされ、ブッシュ46bによって軸方向に移動可能に支持される。コア部53は、磁性材である。
【0037】
弾性部材80は、第1磁性部材44aとコア部53との軸方向の間に位置する。本実施形態において弾性部材80は、軸方向に延びるコイルスプリングである。弾性部材80の上側の端部は、コア部53に接触する。弾性部材80の下側の端部は、第1磁性部材44aと接触する。弾性部材80は、コア部53を介して、可動部50に上側向きの弾性力Fsを加える。
【0038】
図3に示す開状態OSからソレノイド42のコイル43に電流を供給すると、コイル43の径方向内側に上側から下側に向かう磁界が生じる。これにより、磁束が、第2磁性部材44b、コア部53、第1磁性部材44a、第2カバー41b、カバー本体41cを順に通り、カバー本体41cの上側の蓋部から第2磁性部材44bに戻る磁気回路が生じる。この磁気回路によって、コア部53は、下側向きの電磁力Fmを受ける。そのため、コア部53が下側に移動し、シャフト部51および弁体部52も下側に移動する。このようにして、ソレノイド42は、可動部50を軸方向に移動させることができる。
図4に示すように、可動部50が下側に移動することで、弁体部52が第1孔部25を閉塞し、開状態OSから閉状態CSへと切り換えられる。
【0039】
一方、閉状態CSにおいて、ソレノイド42のコイル43への電流供給を停止すると、上述した磁気回路が消失し、コア部53に生じた電磁力Fmも消失する。これにより、弁体部52が第1流路部21内の流体Wから受ける上側向きの流体力Fw2と、コア部53が弾性部材80から受ける上側向きの弾性力Fsとによって、可動部50が上側に移動し、第1孔部25が開放される。したがって、閉状態CSから開状態OSへと切り換えられる。
【0040】
以上のように、電磁弁30は、ソレノイド42のコイル43への電流の供給と停止とを切り換えることで、第1孔部25を開閉し、開状態OSと閉状態CSとを切り換えることができる。
【0041】
筒部材60は、本体部40から下側に延びる筒状である。本実施形態において筒部材60は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。筒部材60は、本体部40の下側に固定される。筒部材60は、取付孔26を介して第2流路部22の内部に挿入される。より詳細には、筒部材60は、第2流路部22に設けられた弁収容部22aに嵌め合わされる。筒部材60は、第2流路部22に固定される。本実施形態において筒部材60は、単一の部材である。
【0042】
筒部材60は、筒部材本体60aと、突出部60bと、を有する。筒部材本体60aは、軸方向に延びる円筒状の部分である。筒部材本体60aは、弁収容部22aに嵌め合わされる。筒部材本体60aの上側の端部は、第2カバー41bの下側の面のうち径方向外縁部と接触して固定される。これにより、筒部材本体60aの上側の端部は、本体部40に固定される。筒部材本体60aの上側の端部と第2カバー41bの下側の面との間には、Oリング64が設けられる。Oリング64は、周方向に沿った環状である。Oリング64によって、筒部材本体60aの上側の端部と第2カバー41bの下側の面との間が封止される。
【0043】
筒部材本体60aの下側の端部は、下側に開口し、仕切壁部27の上側の面と接触する。すなわち、筒部材60の下側の端部は、下側に開口し、かつ、第1孔部25が設けられた面と接触する。筒部材本体60aは、第1孔部25よりも径方向外側に位置する。筒部材本体60aは、軸方向に沿って視て、第1孔部25を囲む。
【0044】
筒部材本体60aは、筒部材本体60aの外周面から径方向内側に窪む溝部60cを有する。溝部60cは、周方向に沿った円環状である。溝部60cは、筒部材本体60aの外周面のうち取付孔26に嵌め合わされる部分に設けられる。溝部60cには、Oリング63が嵌め込まれる。Oリング63aは、溝部60cの溝底面と取付孔26の内周面とに接触する。Oリング63aは、筒部材本体60aの外周面と取付孔26の内周面との間を封止する。これにより、第2流路部22内の流体Wが取付孔26から外部に漏れることを抑制できる。
【0045】
筒部材本体60aは、筒部材本体60aの壁部を径方向に貫通する貫通孔60dを有する。すなわち、筒部材60は、筒部材60を内周面から外周面まで径方向に貫通する貫通孔60dを有する。貫通孔60dは、筒部材本体60aの下側の部分に設けられる。
図3に示すように、貫通孔60dは、開状態OSにおいて後述する第2収容部92と第2流路部22とを繋ぐ。これにより、開状態OSにおいて、第1流路部21内を流れる流体Wは、第1孔部25から第2収容部92に流入し、貫通孔60dを介して第2流路部22へと流れる。また、
図4に示すように、貫通孔60dは、閉状態CSにおいて、弁体部52の外周面によって閉塞される。
【0046】
筒部材本体60aは、筒部材本体60aの下側の端面から上側に窪む溝部60e,60fを有する。溝部60e,60fは、周方向に沿った円環状である。溝部60eは、溝部60fの径方向外側に位置する。溝部60eには、シール部材63bが配置される。溝部60fには、シール部材63cが配置される。
【0047】
本実施形態においてシール部材63b,63cは、周方向に沿った環状であり、溝部60e,60fに嵌め込まれる。シール部材63b,63cは、中心軸Jを中心とする円環状である。シール部材63b,63cは、例えば、Oリングである。シール部材63b,63cは、溝部60e,60fの溝底面と仕切壁部27の上側の面とに接触する。これにより、シール部材63b,63cは、筒部材本体60aの下側の端面と仕切壁部27の上側の面との間を封止する。すなわち、シール部材63b,63cは、筒部材60の下側の端部と第1孔部25が設けられた面との間を封止する。これにより、貫通孔60dが弁体部52の外周面によって閉塞された閉状態CSにおいて、筒部材60の内部の流体Wが第2流路部22に漏れることを抑制できる。
【0048】
突出部60bは、筒部材本体60aの上側の端部から径方向外側に突出する。突出部60bは、周方向に沿った円環状である。突出部60bは、上壁部28における上側の面のうち取付孔26の周縁部の上側に位置する。
【0049】
筒部材60の内部は、弁体部52によって軸方向に仕切られる。弁体部52は、筒部材60の内部を、第1収容部91と第2収容部92とに仕切る。第1収容部91は、筒部材60の内部のうち弁体部52で仕切られた上側の部分である。第2収容部92は、筒部材60の内部のうち弁体部52で仕切られた下側の部分である。第2収容部92は、第1収容部91の下側に位置する。
【0050】
第1収容部91は、第1流路部21を流れる流体Wを収容可能である。第1収容部91の内部のうち上側の端部は、取付孔26よりも上側に位置する。
図4に示すように、第1収容部91は、閉状態CSにおいて第2流路部22と遮断される。本実施形態において第1収容部91は、本体部40と弁体部52と筒部材60とに囲まれて構成される。本実施形態において第2収容部92は、弁体部52と筒部材60と仕切壁部27とに囲まれて構成される。第2収容部92には、
図3に示すように、開状態OSにおいて貫通孔60dを介して第2流路部22が繋がる。これにより、第2収容部92は、第2流路部22を流れる流体Wを収容可能である。
【0051】
図3および
図4に示すように、第1収容部91の容積および第2収容部92の容積は、開状態OSと閉状態CSとで変化する。閉状態CSにおける第1収容部91の容積は、開状態OSにおける第1収容部91の容積よりも大きい。閉状態CSにおける第2収容部92の容積は、開状態OSにおける第2収容部92の容積よりも小さい。本実施形態において第2収容部92には、開状態OSおよび閉状態CSの両方において流体Wが収容された状態となる。
【0052】
筒部材60は、電磁弁30の外部と筒部材60の内部とを繋ぐ接続流路部66をさらに有する。接続流路部66は、閉状態CSにおいて第1孔部25よりも径方向外側に位置する第2孔部29を介して第1流路部21と繋がる。第2孔部29は、仕切壁部27を軸方向に貫通する孔である。
図4に示すように、接続流路部66は、閉状態CSにおいて第1流路部21と第1収容部91とを繋ぐ。
【0053】
そのため、
図4に示す閉状態CSにおいて、接続流路部66を介して、第1収容部91内に第1流路部21から流体Wが流入した状態となる。これにより、第1収容部91内の流体Wの圧力によって、弁体部52の第1受圧面52aには下側向きの流体力Fw1が加えられる。したがって、第1流路部21内の流体Wの圧力によって弁体部52の第2受圧面52bに加えられる流体力Fw2の少なくとも一部を、流体力Fw1によって相殺することができる。そのため、弁体部52によって第1孔部25を閉塞して、閉状態CSに維持するために必要な電磁弁30の出力を小さくできる。これにより、電磁弁30を小型化できる。
【0054】
なお、本実施形態において電磁弁30の出力とは、電磁力Fmである。本実施形態の閉状態CSは、電磁力Fmと流体力Fw1との合計が、流体力Fw2と弾性部材80からの弾性力Fsとの合計よりも大きいことで、維持される。
【0055】
また、例えば、第1孔部25の開口面積が大きいほど、開状態OSにおいて第1流路部21から第2流路部22へと流れる流体Wの損失を小さくできる。しかし、一方で、第1孔部25の開口面積が大きいほど、弁体部52の第2受圧面52bに加えられる流体力Fw2が大きくなる。そのため、従来では、流体Wの損失を抑えようとして第1孔部25の開口面積を大きくすると、電磁弁の出力を大きくする必要があり、電磁弁が大型化する場合があった。
【0056】
これに対して、本実施形態によれば、上述したように、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力を小さくできる。そのため、電磁弁30の出力を変えずに、従来よりも大きい流体力Fw2に抗して閉状態CSを維持できる。これにより、電磁弁30を大型化することなく、第1孔部25の開口面積を従来よりも大きくでき、流路部20を流れる流体Wの損失を低減できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、筒部材60の下側の端部と第1孔部25が設けられた面との間を封止するシール部材63b,63cが設けられる。そのため、閉状態CSにおいて、仮に第1収容部91内の流体Wが弁体部52の外周面と筒部材60の内周面との間から第2収容部92内に漏れた場合であっても、第2収容部92内から第2流路部22に流体Wが漏れることを抑制できる。これにより、閉状態CSにおいて、第1収容部91を第2流路部22と好適に遮断することができ、閉状態CSを好適に維持できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第1受圧面52aの面積は、第2受圧面52bの面積よりも大きい。そして、第1収容部91と第1流路部21とは互いに繋がっているため、第1収容部91内の流体Wの圧力と、第1流路部21内の流体Wの圧力とは、ほぼ同じである。これにより、第1受圧面52aに加えられる流体力Fw1の大きさを、第2受圧面52bに加えられる流体力Fw2の大きさよりも大きくできる。したがって、第2受圧面52bに加えられる上側向きの流体力Fw2を、流体力Fw1によって相殺し、かつ、弁体部52を第1孔部25に押し付ける下側向きの力を大きくできる。そのため、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力をより小さくできる。これにより、電磁弁30をより小型化できる。
【0059】
接続流路部66は、第1部分66aと、第2部分66bと、を有する。第1部分66aは、筒部材60の下側の端面から上側に延びる。より詳細には、第1部分66aは、筒部材60の下側の端面のうち、溝部60eが設けられた部分と溝部60fが設けられた部分との径方向の間の部分から、上側に直線状に延びる。第1部分66aは、貫通孔60dと周方向において異なる位置に配置される。本実施形態において第1部分66aは、貫通孔60dと中心軸Jを挟んで径方向の反対側に配置される。第1部分66aは、軸方向に沿って視て、第2孔部29と重なる。第1部分66aの上側の端部は、筒部材60の軸方向の中心よりも上側に位置する。
【0060】
第2部分66bは、第1部分66aから筒部材60の内周面まで径方向内側に延びる。本実施形態において第2部分66bは、第1部分66aの上側の端部から径方向内側に延びる。
図3および
図4に示すように、本実施形態において第2部分66bは、開状態OSおよび閉状態CSのいずれの状態においても、第1収容部91の内部に開口する。第2部分66bは、例えば、筒部材本体60aの壁部を径方向に貫通する孔部を設けた後、その孔部の径方向外側の部分を栓部材65で閉塞することで作られる。
【0061】
このように接続流路部66が設けられていることにより、第2孔部29を介して第1流路部21に露出する第1部分66aの下端部の開口から、第1部分66aに流体Wが流入する。そして、第1部分66aに流入した流体Wは、第2部分66bから第1収容部91に流入する。これにより、閉状態CSにおいて、第1収容部91内に流体Wが収容された状態となる。なお、
図3に示すように、開状態OSにおいても、第1収容部91は接続流路部66を介して第1流路部21と繋がるため、第1収容部91内には流体Wが流入する。
【0062】
(第1変形例)
図5は、本変形例の電磁弁130の開状態OSを示す。
図6は、本変形例の電磁弁130の閉状態CSを示す。
図5および
図6に示すように、本変形例の電磁弁130において筒部材160は、第1筒部材161と、第2筒部材162と、を有する。第1筒部材161と第2筒部材162とは、互いに別部材である。第1筒部材161および第2筒部材162は、軸方向に延びる筒状である。本変形例において第1筒部材161および第2筒部材162は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。第2筒部材162は、第1筒部材161の径方向外側に位置する。すなわち、第1筒部材161は、第2筒部材162の内部に挿入される。
【0063】
第1筒部材161は、第1筒部材本体161aと、第1突出部161bと、を有する。第1筒部材本体161aは、軸方向に延びる円筒状の部分である。第1筒部材本体161aの下側の端面は、仕切壁部27の上側の面と接触する。第1筒部材本体161aの下側の端面にはシール部材63cが嵌め合わされる溝部が設けられる。第1突出部161bは、第1筒部材本体161aの上側の端部から径方向外側に突出する。本変形例において第1突出部161bは、板面が軸方向を向く板状であり、周方向に沿った円環状である。
【0064】
第2筒部材162は、第2筒部材本体162aと、第2突出部162bと、を有する。第2筒部材本体162aは、軸方向に延びる円筒状の部分である。第2筒部材本体162aは、第1筒部材本体161aの径方向外側に隙間を介して対向して配置される。第2筒部材本体162aの下側の端面は、仕切壁部27の上側の面と接触する。第2筒部材本体162aの下側の端面にはシール部材63bが嵌め合わされる溝部が設けられる。
【0065】
第2突出部162bは、第2筒部材本体162aの上側の端部から径方向外側に突出する。本変形例において第2突出部162bは、板面が軸方向を向く板状であり、周方向に沿った円環状である。第2突出部162bは、第1突出部161bの下側に位置する。第1突出部161bの径方向外側の部分と第2突出部162bとは、互いに接触した状態で軸方向に重ねられ、
図3および
図4において示した突出部60bと同様の部分を構成する。
【0066】
本変形例において、接続流路部166の第1部分166aは、第1筒部材161と第2筒部材162との径方向の間に位置する。すなわち、第1部分166aは、第2筒部材162の内周面と、第2筒部材162の内部に挿入された第1筒部材161の外周面との径方向の隙間によって構成される。本変形例において第1部分166aは、軸方向に延びる円筒状である。
【0067】
接続流路部166の第2部分166bは、第1筒部材161を外周面から内周面まで径方向に貫通する孔である。第2部分166bは、第1筒部材本体161aの上側の部分に設けられる。
【0068】
このように、本変形例においては、2つの筒部材を、隙間を介して径方向に重ね合わせることで第1部分166aを容易に作ることができる。また、径方向内側の第1筒部材161の壁部を径方向に貫通することで第2部分166bを容易に作ることができる。そのため、本変形例によれば、接続流路部166を容易に作ることができる。
【0069】
本変形例において貫通孔160dは、第1筒部材161の下側の部分の壁部を径方向に貫通する第1貫通孔161cと、第2筒部材162の下側の部分の壁部を径方向に貫通する第2貫通孔162cと、によって構成される。本変形例の電磁弁130は、貫通孔160dに嵌め合わされる嵌合部材167をさらに備える。
【0070】
嵌合部材167は、径方向両側に開口する筒状である。嵌合部材167は、第2貫通孔162cから第1部分166aを通って第1貫通孔161cまで径方向に延びる。嵌合部材167の径方向内側の部分は、第1貫通孔161cに嵌め合わされる。嵌合部材167の径方向外側の部分は、第2貫通孔162cに嵌め合わされる。
図5に示すように、嵌合部材167の内部は、開状態OSにおいて第2収容部92と第2流路部22とを繋ぐ。このように嵌合部材167を設けることで、第1筒部材161と第2筒部材162との径方向の隙間、すなわち第1部分166aを貫通孔160dと遮断しつつ、第2収容部92と第2流路部22とを繋ぐことができる。したがって、第1部分166aから貫通孔160dを介して第2流路部22に流体Wが漏れることを抑制できる。
【0071】
(第2変形例)
図7は、本変形例の電磁弁230の開状態OSを示す。
図8は、本変形例の電磁弁230の閉状態CSを示す。
図7および
図8に示すように、本変形例の電磁弁230において、接続流路部266の第1部分266aは、筒部材260の外周面から径方向内側に窪む溝である。そのため、筒部材260の外周面に溝を設けることで、第1部分266aを作ることができる。これにより、接続流路部266を容易に作ることができる。
【0072】
第1部分266aは、筒部材260の下側の端面の径方向外縁部から上側に直線状に延びる。第1部分266aの径方向外側の開口は、弁収容部22aの内周面によって閉塞される。第1部分266aの下側の端部は、第2孔部229を介して、第1流路部21と繋がる。本変形例において第2部分266bは、第1部分266aの溝底面から筒部材260の内周面まで筒部材260を貫通する孔である。本変形例において筒部材260は、単一の部材である。
【0073】
本発明は上述の実施形態に限られず、以下の他の構成を採用することもできる。弁体部の形状は、筒部材の内部を第1収容部と第2収容部とに仕切れるならば、特に限定されない。第1受圧面の面積と第2受圧面の面積とは、互いに同じであってもよい。
【0074】
接続流路部は、筒部材に設けられ、閉状態CSにおいて第1流路部と第1収容部とを繋ぐならば、特に限定されない。接続流路部は、曲がって延びてもよい。接続流路部は、複数設けられてもよい。接続流路部の数は、特に限定されない。接続流路部は、開状態OSにおいて、第1流路部と第1収容部とを繋がなくてもよい。
図3および
図4に示す電磁弁30と
図5および
図6に示す電磁弁130とにおいては、筒部材は弁収容部22aに嵌め合わされなくてもよい。
【0075】
なお、上述した実施形態の電磁弁および流路装置の用途は、特に限定されない。また、以上に説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲において、適宜組み合わせることができる。