(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-168102(P2019-168102A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】カップリング構造及び樹脂ライニング形成方法
(51)【国際特許分類】
F16L 37/18 20060101AFI20190906BHJP
F16L 37/20 20060101ALI20190906BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
F16L37/18
F16L37/20
B29C45/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-58539(P2018-58539)
(22)【出願日】2018年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】592163712
【氏名又は名称】小澤物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一彦
【テーマコード(参考)】
3J106
4F206
【Fターム(参考)】
3J106BA01
3J106BA02
3J106BC04
3J106BD02
3J106BE20
3J106ED38
3J106EE03
4F206AA16
4F206AD03
4F206AD24
4F206AG08
4F206AH11
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB15
4F206JF05
4F206JL02
(57)【要約】
【課題】結合解除時に生ずる残液が漏れた場合等であって腐食性の液体がアダプターやカプラーに接触することを確実に防止すること。
【解決手段】一実施形態は、筒状のアダプターと、このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、アダプターが内挿される筒状のカプラーと、このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、カプラーの端面に形成された端面凹部又はカプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングとを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のアダプターと、
このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、
前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、
このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、
を備えているカップリング構造。
【請求項2】
前記アダプターはその外周面に凹部を有し、前記カプラーは前記凹部に係合して前記アダプターと前記カプラーとを結合状態でロックするカム部を有する締結カムレバーをさらに有する請求項1に記載のカップリング構造。
【請求項3】
筒状のカプラーとのカップリング構造に用いられる筒状のアダプターに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、
前記アダプターを金型に入れ、
前記金型に樹脂を注入し、前記アダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的にアダプター側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。
【請求項4】
筒状のアダプターとのカップリング構造に用いられる筒状のカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、
前記カプラーを金型に入れ、
前記金型に樹脂を注入し、前記カプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的にカプラー側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体を輸送する配管相互、機器と配管等を接続するカップリング構造及びカップリング構造を構成するアダプター又はカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レバー式カップリング等のカップリング構造は、一方の配管や機器と接続される筒状のアダプターと、このアダプターが内挿され、他方の配管や機器と接続される筒状のカプラーとを備えている。アダプターにはその外周面に凹部が設けられ、カプラーには凹部に係合してアダプターとカプラーとを結合状態でロックするカム部を有する2本の締結カムレバーを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
アダプターやカプラーは一般的に金属材(例えばステンレス材)が用いられることが多いが、流体として金属に対し腐食性のある薬液や化学薬品が用いられる場合がある。この場合、アダプターやカプラーの中空部の内周面に樹脂ライニング(フッ素樹脂等)を施し、腐食を防止していた。樹脂ライニングの形成方法としては、筒状の樹脂材のチューブを中空部に挿入し、加熱した後、両端面に部分にフレア加工で拡げるようにしていた。樹脂材のチューブは中空部の開口部に引っ掛かる状態でアダプター及びカプラーに係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−032791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したカップリング構造に用いられる樹脂ライニング形成方法にあっては次のような問題があった。上述したように樹脂材とアダプター及びカプラーとは係合しているだけで密着していないため、アダプターやカプラーとの間に僅かな隙間がある。このため、アダプターとカプラーとの結合を解除した時、中空部内に残った腐食性の液体が樹脂ライニングとアダプターやカプラーとの隙間に入り込み、アダプターやカプラーを腐食させることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、結合解除時に生ずる残液が漏れた場合等であって腐食性の液体がアダプターやカプラーに接触することを確実に防止できる樹脂ライニングを有するカップリング構造及びアダプターやカプラーに高い密着性を有する樹脂ライニングを容易に施すことができる樹脂ライニング形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、筒状のアダプターと、このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、を備えている。
【0008】
本発明の一実施形態は、筒状のカプラーとのカップリング構造に用いられる筒状のアダプターに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記アダプターを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記アダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的にアダプター側ライニングを形成する。
【0009】
本発明の一実施形態は、筒状のアダプターとのカップリング構造に用いられる筒状のカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記カプラーを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記カプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的にカプラー側ライニングを形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カップリング構造において、樹脂ライニングによって液密状態を確実に維持できる、または、容易に樹脂ライニングを施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るカップリング構造を一部切欠して示す側面図。
【
図2】同カップリング構造を構成するアダプターへの樹脂ライニング形成方法を示す説明図。
【
図3】同カップリング構造を構成するカプラーへの樹脂ライニング形成方法を示す説明図。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るカップリング構造を一部切欠して示す側面図。
【
図5】同カップリング構造を構成するアダプターへの樹脂ライニング形成方法を示す説明図。
【
図6】同カップリング構造を構成するカプラーへの樹脂ライニング形成方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係るカップリング構造10を一部切欠して示す側面図、
図2はカップリング構造10を構成するアダプター20への樹脂ライニング形成方法を示す説明図、
図3はカップリング構造10を構成するカプラー40への樹脂ライニング形成方法を示す説明図である。
【0013】
カップリング構造10は、筒状のアダプター20と、アダプター20が内挿される筒状のカプラー40を備えている。アダプター20はタンク等の機器に取り付けられる。また、カプラー40はホース等の配管に接続されている。
【0014】
アダプター20は、筒状に形成されたアダプター本体21と、このアダプター本体21の一方の端部側に設けられたフランジ部22とを備えている。アダプター本体21は中空部21aを有している。なお、
図1中21bは中空部21aの内壁面を示している。また、外壁面には係合凹部21cが形成されている。アダプター本体21の上端面には端面凹部21d及び下端面には端面凹部21eが形成されている。
【0015】
アダプター本体21の中空部21aの内壁面21bと、アダプター本体21の端面に形成された端面凹部21dに一体的に形成されたアダプター側ライニング30が施されている。アダプター側ライニング30は、内壁面21bに沿って形成された本体部31と、本体部31の上端部に形成されると共に、端面凹部21dに係合する上フランジ部32と、本体部31の下端部に形成されると共に、端面凹部21dに係合する下フランジ部33を備えている。
【0016】
カプラー40は、筒状に形成されたカプラー本体41と、このカプラー本体41の下端側に設けられた締結機構42とを備えている。カプラー本体41は中空部41aを有している。なお、
図1中41bは中空部41aの内壁面を示している。
【0017】
締結機構42は、カプラー本体41の外壁側に一対の突起部43,43が設けられている。一対の突起部43,43には、それぞれ枢支軸44を介して締結カムレバー45が揺動自在に取り付けられている。締結カムレバー45の基端部にはカム部46が設けられ、このカム部46は締結カムレバー45の回動によってカプラー本体41の側壁に形成された開口47からカプラー本体41の中空部41aに突没可能になっている。すなわち、締結カムレバー45がカプラー40のアダプター20との接続側(水平)に回動した状態においてはカム部46が開口47から没入してアンロック状態となり、締結カムレバー45が逆方向(上方)に回動した状態においてはカム部46が開口47から内部に突出してアダプター20の係合凹部21cと係合してロック状態となる。
【0018】
カプラー本体41の中空部41aの内壁面41bと、カプラー本体41の端面に形成された外壁凹部41cに一体的に形成されたカプラー側ライニング50が施されている。カプラー側ライニング50は、内壁面41bに沿って形成された本体部51と、本体部51の上端部に形成されると共に、外壁凹部41cに係合する側壁部52とを備えている。
【0019】
このように構成されたカップリング構造10のアダプター20には
図2に示すようにして、アダプター側ライニング30が形成される。すなわち、アダプター20が載置される金型60を用意する。金型60は、4つの型61〜64及び中子65を組み合わせて形成されている。型64の凹部64aに中子65をセットする。中子65に、その中心軸と中空部21aの中心軸が一致するようにアダプター20を被せる。型61,62,63にはそれぞれ中空部61a,62a,63aが形成されている。その後、順次、型63,62,61を重ねる。
【0020】
型61の上部に設けられた樹脂注入孔61bからフッ素樹脂を注入する。フッ素樹脂は金型60とアダプター20及び中子65との隙間に充填され、硬化する。このようにして、アダプター側ライニング30が形成される。
【0021】
一方、カプラー40には
図3に示すようにして、カプラー側ライニング50が形成される。すなわち、カプラー40が載置される金型70を用意する。金型70は、5つの型71〜75及び中子76を組み合わせて形成されている。型75の凹部75aに中子76をセットする。中子76に、その中心軸と中空部41aの中心軸が一致するようにカプラー40を被せる。型71,72,73,74にはそれぞれ中空部71a,72a,73a,74aが形成されている。その後、順次、型74,73,72,71を重ねる。
【0022】
型71の上部に設けられた樹脂注入孔71bからフッ素樹脂を注入する。フッ素樹脂は金型70とカプラー40及び中子76との隙間に充填され、硬化する。このようにして、カプラー側ライニング50が形成される。
【0023】
このように形成されたカップリング構造10は、次のように作用する。すなわち、アダプター20をカプラー40に内挿し、締結機構42の締結カムレバー45が
図1中上方に回動すると、カム部46が開口47から内部に突出してアダプター20の係合凹部21cと係合してロック状態となる。これにより、アダプター20とカプラー40とが確実に締結状態となる。
【0024】
また、アダプター20にはアダプター側ライニング30、カプラー40にはカプラー側ライニング50が形成されている。これらのライニングは上述したようにフッ素樹脂を注入して形成されており、しかも、アダプター側ライニング30は、内壁面21bに沿って形成された本体部31によって腐食性の液体からアダプター本体21を保護すると共に、端面凹部21dには上フランジ部32で、端面凹部21dには下フランジ部33が係合していることから、強固に、かつ、密着してアダプター20に結合している。このため、アダプター側ライニング30とアダプター20との間に隙間が生ずることがなく、結合解除時に生ずる残液がアダプター20を腐食させることを防止できる。
【0025】
カプラー側ライニング50は、内壁面41bに沿って形成された本体部51によって腐食性の液体からカプラー本体41を保護すると共に、外壁凹部41cに係合する側壁部52が係合していることから、強固に、かつ、密着してカプラー40に結合している。このため、カプラー側ライニング50とカプラー40との間に隙間が生ずることがなく、結合解除時に生ずる残液がカプラー40を腐食させることを防止できる。
【0026】
上述したカップリング構造10によれば、樹脂ライニングを強固にアダプター20及びカプラー40に施すことができるので、確実に接続時の液密状態を維持できる。したがって、カップリング構造10内を通流する液体が腐食性であってもアダプター20やカプラー40が腐食することはない。また、樹脂を注入することにより、容易に、しかも強固に樹脂ライニングを施すことが可能となるから工程を簡略化することができる。
【0027】
図4は本発明の第2の実施形態に係るカップリング構造100を一部切欠して示す側面図、
図5はカップリング構造100を構成するアダプター120への樹脂ライニング形成方法を示す説明図、
図6はカップリング構造100を構成するカプラー140への樹脂ライニング形成方法を示す説明図である。
【0028】
カップリング構造100は、筒状のアダプター120と、アダプター120が内挿される筒状のカプラー140を備えている。アダプター120はホース等の配管に接続されている。また、カプラー140はタンク等の機器に取り付けられる。
【0029】
アダプター120は、筒状に形成されたアダプター本体121を備えている。アダプター本体121は中空部121aを有している。なお、
図4中121bは中空部121aの内壁面を示している。また、外壁面には外壁凹部121c、端部には端部凹部121dが形成されている。
【0030】
アダプター本体121の中空部121aの内壁面121bと、アダプター本体121の端面に形成された外壁凹部121cに一体的に形成されたアダプター側ライニング130が施されている。アダプター側ライニング130は、内壁面121bに沿って形成された本体部131と、本体部131の上端部に形成されると共に、外壁凹部121cに係合する側壁部132とを備えている。
【0031】
カプラー140は、筒状に形成されたカプラー本体141と、このカプラー本体141の下端部側に設けられたフランジ部142と、カプラー本体141の上端部側に設けられた締結機構143とを備えている。カプラー本体141は中空部141aを有している。なお、
図4中141bは中空部141aの内壁面を示している。また、カプラー本体141の上端面には端面凹部141c及び下端面には端面凹部141dが形成されている。
【0032】
締結機構143は、カプラー本体141の外壁側に一対の突起部144,144が設けられている。一対の突起部144,144には、それぞれ枢支軸145を介して締結カムレバー146が揺動自在に取り付けられている。締結カムレバー146の基端部にはカム部147が設けられ、このカム部147は締結カムレバー146の回動によってカプラー本体141の側壁に形成された開口148からカプラー本体141の中空部141aに突没可能になっている。すなわち、締結カムレバー146がカプラー140のアダプター120との接続側(水平)に回動した状態においてはカム部147が開口148から没入してアンロック状態となり、締結カムレバー146が逆方向(下方)に回動した状態においてはカム部147が開口148から内部に突出してアダプター120の係合凹部121eと係合してロック状態となる。
【0033】
カプラー本体141の中空部141aの内壁面141bと、カプラー本体141の端面に形成された端面凹部141cに一体的に形成されたカプラー側ライニング150が施されている。カプラー側ライニング150は、内壁面141bに沿って形成された本体部151と、本体部151の上端部に形成されると共に、端面凹部141cに係合する上フランジ部152と、本体部151の下端部に形成されると共に、端面凹部141dに係合する下フランジ部153を備えている。
【0034】
このように構成されたカップリング構造100のアダプター120には
図5に示すようにして、アダプター側ライニング130が形成される。すなわち、アダプター120が載置される金型160を用意する。金型160は、5つの型161〜165及び中子166を組み合わせて形成されている。型165の凹部165aに中子166をセットする。中子166に、その中心軸と中空部121aの中心軸が一致するようにアダプター120を被せる。型161,162,163,164にはそれぞれ中空部161a,162a,163a,164aが形成されている。その後、順次、型164,163,162,161を重ねる。
【0035】
型161の上部に設けられた樹脂注入孔161bからフッ素樹脂を注入する。フッ素樹脂は金型160とアダプター120及び中子166との隙間に充填され、硬化する。このようにして、アダプター側ライニング130が形成される。
【0036】
一方、カプラー140には
図6に示すようにして、カプラー側ライニング150が形成される。すなわち、カプラー140が載置される金型170を用意する。金型170は、4つの型171〜174及び中子175を組み合わせて形成されている。型174の凹部174aに中子175をセットする。中子175に、その中心軸と中空部141aの中心軸が一致するようにカプラー140を被せる。型171,172,173にはそれぞれ中空部171a,172a,173aが形成されている。その後、順次、型173,172,171を重ねる。
【0037】
型171の上部に設けられた樹脂注入孔171bからフッ素樹脂を注入する。フッ素樹脂は金型170とカプラー140及び中子175との隙間に充填され、硬化する。このようにして、カプラー側ライニング150が形成される。
【0038】
このように形成されたカップリング構造100は、次のように作用する。すなわち、アダプター120をカプラー140に内挿し、締結機構143の締結カムレバー146が
図4中下方に回動すると、カム部147が開口148から内部に突出してアダプター120の係合凹部121eと係合してロック状態となる。これにより、アダプター120とカプラー140とが確実に締結状態となる。
【0039】
また、アダプター120にはアダプター側ライニング130、カプラー140にはカプラー側ライニング150が形成されている。これらのライニングは上述したようにフッ素樹脂を注入して形成されており、しかも、アダプター側ライニング130は、内壁面121bに沿って形成された本体部131によって腐食性の液体からアダプター本体121を保護すると共に、外壁凹部121cには側壁部132が係合していることから、強固に、かつ、密着してアダプター120に結合している。このため、アダプター側ライニング30とアダプター120との間に隙間が生ずることがなく、結合解除時に生ずる残液がアダプター120を腐食させることを防止できる。
【0040】
カプラー側ライニング150は、内壁面141bに沿って形成された本体部151によって腐食性の液体からカプラー本体141を保護すると共に、端面凹部141cに係合する上フランジ部152が係合していることから、強固に、かつ、密着してカプラー140に結合している。このため、カプラー側ライニング150とカプラー140との間に隙間が生ずることがなく、結合解除時に生ずる残液がカプラー140を腐食させることを防止できる。
【0041】
上述したカップリング構造100によれば、樹脂ライニングを強固にアダプター120及びカプラー140に施すことができるので、確実に接続時の液密状態を維持できる。したがって、カップリング構造100内を通流する液体が腐食性であってもアダプター120やカプラー140が腐食することはない。また、樹脂を注入することにより、容易に、しかも強固に樹脂ライニングを施すことが可能となるから工程を簡略化することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0043】
10…カップリング構造、20…アダプター、21…アダプター本体、21a…中空部、21b…内壁面、21c…係合凹部、21d…端面凹部、21e…端面凹部、22…フランジ部、30…アダプター側ライニング、31…本体部、32…上フランジ部、33…下フランジ部、40…カプラー、41…カプラー本体、41a…中空部、41b…内壁面、41c…外壁凹部、42…締結機構、43…突起部、44…枢支軸、45…締結カムレバー、46…カム部、47…開口、50…カプラー側ライニング、51…本体部、52…側壁部、60…金型、65…中子、70…金型、76…中子、100…カップリング構造、120…アダプター、121…アダプター本体、121a…中空部、121b…内壁面、121c…外壁凹部、121d…端部凹部、121e…係合凹部、130…アダプター側ライニング、131…本体部、132…側壁部、140…カプラー、141…カプラー本体、141a…中空部、141b…内壁面、141c…端面凹部、141d…端面凹部、142…フランジ部、143…締結機構、144…突起部、145…枢支軸、146…締結カムレバー、147…カム部、148…開口、150…カプラー側ライニング、151…本体部、152…上フランジ部、153…下フランジ部、160…金型、166…中子、170…金型、175…中子。
【手続補正書】
【提出日】2019年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のアダプターと、
このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、
前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、
このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部及び前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、
を備えているカップリング構造。
【請求項2】
前記カプラー側ライニングは、前記カプラーにおける前記内壁面と前記外周面を貫通して形成されている請求項1に記載のカップリング構造。
【請求項3】
前記カプラーに配管が接続される請求項1に記載のカップリング構造。
【請求項4】
筒状のアダプターと、
このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部及び前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、
前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、
このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、
を備えているカップリング構造。
【請求項5】
前記アダプター側ライニングは、前記アダプターにおける前記内壁面と前記外周面を貫通して形成されている請求項4に記載のカップリング構造。
【請求項6】
前記アダプターに配管が接続される請求項5に記載のカップリング構造。
【請求項7】
前記アダプターはその外周面に凹部を有し、前記カプラーは前記凹部に係合して前記アダプターと前記カプラーとを結合状態でロックするカム部を有する締結カムレバーをさらに有する請求項1又は4に記載のカップリング構造。
【請求項8】
筒状のカプラーとのカップリング構造に用いられる筒状のアダプターに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、
前記アダプターを金型に入れ、
前記金型に樹脂を注入し、前記アダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部及び前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的にアダプター側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。
【請求項9】
筒状のアダプターとのカップリング構造に用いられる筒状のカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、
前記カプラーを金型に入れ、
前記金型に樹脂を注入し、前記カプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部及び前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的にカプラー側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一実施形態は、筒状のアダプターと、このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部
及び前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、を備えている。
本発明の一実施形態は、筒状のアダプターと、このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部及び前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、を備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一実施形態は、筒状のカプラーとのカップリング構造に用いられる筒状のアダプターに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記アダプターを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記アダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部
及び前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的にアダプター側ライニングを形成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一実施形態は、筒状のアダプターとのカップリング構造に用いられる筒状のカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記カプラーを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記カプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部
及び前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的にカプラー側ライニングを形成する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得
る。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]筒状のアダプターと、このアダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたアダプター側ライニングと、前記アダプターが内挿される筒状のカプラーと、このカプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的に形成されたカプラー側ライニングと、を備えているカップリング構造。
[2]前記アダプターはその外周面に凹部を有し、前記カプラーは前記凹部に係合して前記アダプターと前記カプラーとを結合状態でロックするカム部を有する締結カムレバーをさらに有する[1]に記載のカップリング構造。
[3]筒状のカプラーとのカップリング構造に用いられる筒状のアダプターに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記アダプターを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記アダプターの少なくとも中空部の内壁面と、前記アダプターの端面に形成された端面凹部又は前記アダプターの外周面に形成された外周凹部に一体的にアダプター側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。
[4]筒状のアダプターとのカップリング構造に用いられる筒状のカプラーに樹脂ライニングを施す樹脂ライニング形成方法において、前記カプラーを金型に入れ、前記金型に樹脂を注入し、前記カプラーの少なくとも中空部の内壁面と、前記カプラーの端面に形成された端面凹部又は前記カプラーの外周面に形成された外周凹部に一体的にカプラー側ライニングを形成する樹脂ライニング形成方法。