【解決手段】燃料電池と、回収器、再生器、第1凝縮器、第1蒸発器を有し、第1蒸発器で冷水製造する冷温水機と、第2凝縮器72、過冷却器73を含み、冷媒が循環して冷熱を取り出す冷凍機7と、燃料電池のオフガスを熱源とする温水製造手段と、冷却水を冷却する冷却塔6と、温水製造手段、再生器を循環する温水回路と、冷却塔6、回収器、第1凝縮器を循環する冷却水回路と、第1蒸発器、過冷却器73を循環する冷水回路と、冷却水回路の流量調節手段66と、過冷却器73からの冷媒温度を検出する第1温度検出手段S1と、過冷却器73への冷水温度を検出する第2温度検出手段S2と、制御手段10とを備え、制御手段10は、各検出手段S1、S2の各値の差分値が目標値となるように流量調節手段66を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[第1実施形態]
(冷凍機複合型燃料電池システムの全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷凍機複合型燃料電池システムの全体構成図である。また、
図2及び
図3は、それぞれ、
図1に示す冷凍機複合型燃料電池システムにおける冷温水機の吸脱着動作を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の冷凍機複合型燃料電池システム1は、主として、燃料電池2と、第1熱交換器3と、第2熱交換器4と、冷温水機5と、冷却塔6と、冷凍機7と、システム全体の制御を行う制御部10と、を備える。冷凍機複合型燃料電池システム1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置され、燃料電池2で発電した電力を店舗内に供給すると共に、冷凍機7によってショーケース内を冷却する。
【0019】
以下の説明では、「冷凍機複合型燃料電池システム」を単に「熱電併給システム」と呼称する。また、本願では、便宜上、動作原理の異なる各種の冷凍機のうち、蒸気圧縮式のものを「冷凍機」と表記し、吸着式又は吸収式のものを「冷温水機」と表記して区別する。
【0020】
本実施形態の熱電併給システム1は、燃料電池2から排出されるオフガスから凝縮水を回収して、燃料電池2の水自立運転を行うと共に、燃料電池2の燃焼オフガスから廃熱を回収して、冷温水機5の駆動用熱源として利用するシステムである。なお、制御部10とシステム内の各制御対象機器との間を電気的に接続する信号線の図示は省略した。この制御部10は、本発明の制御手段に対応する。
【0021】
(燃料電池)
燃料電池2は、発電モジュール、パワーコンディショナ及び各種の補機(いずれも図示せず)を備える。発電モジュールは、発電に必要な機器を断熱容器に収容した構成であり、当該機器には、蒸発部、混合部および改質部を有する改質器;複数の発電セルよりなるセルスタック;アノードオフガスとカソードオフガスを燃焼させる燃焼器;燃焼オフガスとアノード空気を熱交換させる空気予熱器、等が含まれる。発電セルは、例えば、固体酸化物形の発電セルが使用される。
【0022】
燃料電池2の発電モジュールには、原燃料ガスG(都市ガス)、酸化剤ガスA(空気)及び改質水W1(オフガス凝縮水)が供給される。改質器は、原燃料ガスGと改質水W1の水蒸気とを反応させて水素含有の燃料ガスを生成する。セルスタックは、この燃料ガスと酸化剤ガスAとの電気化学反応により発電する。セルスタックから排気されるアノードオフガスとカソードオフガスは、燃焼器で燃焼処理され、オフガスG1として排出される。このオフガスG1は、セルスタックの前段に配置された空気予熱器に送られ、酸化剤ガスAの予熱に利用される。なお、セルスタックに固体酸化物形の発電セルを使用した発電モジュールは、高温型セルで650〜800℃、中温型セルで450〜650℃で発電動作する。
【0023】
セルスタックの電池出力は、パワーコンディショナで調整された後に、店舗内に給電される。パワーコンディショナは、セルスタックから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧回路);DC/DCコンバータで昇圧された直流電圧を系統電源と同期の取れた交流電圧に変換する系統連系インバータ(電圧変換回路);及び、セルスタックの出力電流を制御する出力電流制御部(出力制御回路)を有している。系統連系インバータは、店舗内に設置された商用電力系統の配電盤と接続される。系統連系インバータと配電盤とは、系統連系用のスイッチを介して並列・解列を切換可能である。配電盤には、系統電源および複数の分電盤が接続される。分電盤には、店舗内で使用する照明器具、動力装置、コンセント等の負荷機器が接続される。
【0024】
燃料電池2からは、燃料電池本体の空気予熱器を通過した燃焼オフガスG1(以下、単にオフガスG1という)がオフガスラインL1(L11,L12,L13)を介して排出される。オフガスラインL1上には、オフガスG1の流通方向の上流から下流に向けて、第1熱交換器3と第2熱交換器4とが順次配設されている。燃料電池2と第1熱交換器3との間は、第1オフガスラインL11により接続される。第1熱交換器3と第2熱交換器4との間は、第2オフガスラインL12により接続される。第2熱交換器4には、第3オフガスラインL13の上流側の端部が接続されている。
【0025】
第1熱交換器3は、温水ラインL4を流通(循環)する温水W2と、オフガスラインL1を流通するオフガスG1との間で熱交換を行う温水製造手段である。温水ラインL4を流通する温水W2は、後述する冷温水機5の吸着材Kに付与する温熱の熱源として利用される。燃料電池2から排出されるオフガスG1の温度は300℃程度であり、第1熱交換器3で生成される温水W2の温度は、吸着材Kの再生温度帯に応じて、50℃〜100℃程度である。
【0026】
第2熱交換器4は、第1熱交換器3で熱交換された後のオフガスG1から更に熱回収するため、冷却媒体循環ラインL5を循環する冷却媒体W3との間で熱交換を行う。本実施形態の熱電併給システム1は、蓄熱用の貯湯タンク42を備えており、貯湯タンク42内の下部には熱交換コイル(図示せず)が配置されている。冷却媒体循環ラインL5は、第2熱交換器4の冷却媒体出口と熱交換コイルの冷却媒体入口とを接続すると共に、熱交換コイルの冷却媒体出口と第2熱交換器4の冷却媒体入口とを接続する。第2熱交換器4でオフガスG1と熱交換されることにより加熱された冷却媒体W3は、貯湯タンク42に送られ、貯湯タンク42内の貯留水と熱交換される。これにより、貯湯タンク42に冷却媒体W3の温熱が蓄えられる。冷却媒体W3は、水、その他の液体(例えばエチレングリコール等を主成分とする不凍液)である。なお、間接加熱用の熱交換コイルを使用せず、貯湯タンク42内の貯留水を冷却媒体W3として循環させ、貯留水を第2熱交換器4で直接加熱するように構成してもよい。
【0027】
貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5上には、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向けて、ラジエータ43及び循環ポンプ44が順次設けられている。
【0028】
ラジエータ43は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かって冷却媒体循環ラインL5を流通する冷却媒体W3とファン431による通風との間で熱交換を行う。所望時にファン431を作動させることで、第2熱交換器4へ供給する冷却媒体W3を外気で冷却して放熱させる。例えば、給湯需要が少なく貯湯タンク42でオフガス廃熱の熱回収が十分にできない場合に、ラジエータ43の冷却作用によって第2熱交換器4に供給する冷却媒体W3をオフガスG1の露点温度以下(例えば40℃以下)に冷却することで、第2熱交換器4においてオフガスG1中の水蒸気を凝縮させることができる。このラジエータ43及びファン431は、本発明の放熱手段に対応する。なお、ラジエータ43とファン431との組は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5に複数組設けられてもよい。ファン431の駆動台数の増減により、通風量を容易に調節することができる。
【0029】
循環ポンプ44は、冷却媒体W3を循環流通させる。循環ポンプ44は、冷却媒体W3の循環流量を調整可能に構成されていることが望ましい。冷却媒体W3の循環流量を調整することで、貯湯タンク42に供給する冷却媒体W3の温度を一定にすることができる。本実施形態では、循環ポンプ44の駆動モータをブラシレスDCモータとし、このDCモータをパルス幅変調(PWM)により可変速制御するように構成している。循環ポンプ44の作動中、DCモータの駆動電圧パルスのデューティ比を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。また、循環ポンプ44の駆動モータをACモータとし、このACモータをインバータ装置により可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)するように構成してもよい。循環ポンプ44の作動中、ACモータの駆動周波数又は駆動電圧を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。なお、循環ポンプ44は、第2熱交換器4から貯湯タンク42に向かう冷却媒体循環ラインL5上に設けられてもよい。
【0030】
第2熱交換器4において、オフガスG1が冷却媒体W3との間で熱交換されることにより、第3オフガスラインL13には、第2熱交換器4において熱交換された後のオフガスG2と、オフガスG1中の水蒸気が凝縮した凝縮水W1とが排出される。第3オフガスラインL13の途中には、接続部J1が設けられている。接続部J1には、凝縮水送出ラインL21の上流側の端部が接続されている。凝縮水送出ラインL21の下流側の端部は、改質水タンク41に接続されている。第2熱交換器4から排出されるオフガスG2及び凝縮水W1は、接続部J1で分離され、第3オフガスラインL13には、オフガスG2が流通する一方で、凝縮水送出ラインL21には、凝縮水W1が流通する。第3オフガスラインL13の下流側の端部は、店舗の屋外で大気開放されている。
【0031】
凝縮水送出ラインL2を流通する凝縮水W1は、改質水タンク41に送られる。改質水タンク41は、凝縮水W1を改質水W1として貯留する。改質水タンク41には、改質水供給ラインL3の上流側の端部が接続されている。改質水供給ラインL3の下流側の端部は、燃料電池2の改質器に接続されている。なお、改質水供給ラインL3には、改質水タンク41内に貯留された改質水W1を送り出すため、図示しない送水ポンプが設けられている。
【0032】
(冷温水機)
本実施形態の冷温水機5は、詳細には
図2及び
図3に示すように、冷温水機本体50と、第1吸脱着器51aと、第2吸脱着器51bと、第1蒸発器52と、第1凝縮器53と、を備える吸着式の冷温水機である。第1吸脱着器51a、第2吸脱着器51b、第1蒸発器52及び第1凝縮器53は、真空状態に減圧された冷温水機本体50の内部に収容されている。なお、
図1〜3に示された冷温水機本体50内の機器配置は、単なる例示であって他のレイアウトを採用してもよい。
【0033】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、後述するように、吸着プロセス及び脱着プロセスのいずれかの状態に切り替えられ、一方で吸着プロセスを実行させながら、他方で脱着プロセスを実行する。ただし、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、各プロセスを実行するときの機能は同じである。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bを区別する必要がない場合には、単に「吸脱着器51」と記載する。
【0034】
第1吸脱着器51aと第1蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54bが配置されている。蒸発器側開閉弁体54a,54bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御される。
【0035】
第1吸脱着器51aと第1凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55bが配置されている。凝縮器側開閉弁体55a,55bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御される。
【0036】
吸脱着器51は、それぞれ内部に吸着材Kを有する。吸着材Kとしては、例えば、骨格構造にアルミニウム、リン及び鉄を含むゼオライトからなる水蒸気吸着材を挙げることができる。この水蒸気吸着材は、狭い相対蒸気圧の範囲で水蒸気(冷媒蒸気)の吸着量が増大する吸着等温線を描く特性を有するもので、三菱樹脂株式会社より商品名「AQSOA(アクソア)」として販売されているものを例示することができる。
【0037】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、それぞれ、冷熱により吸着材Kに冷媒蒸気を吸着させる吸着プロセスと、温熱により吸着材Kから冷媒蒸気を脱着させる脱着プロセスと、を切替え可能である。吸着材Kは、吸着プロセスにおいて、後述する冷却塔6から供給される冷却水W4の冷熱により冷媒蒸気を吸着すると共に、脱着プロセスにおいて、温水W2の温熱により冷媒蒸気を脱着する。なお、吸着プロセスを行っている第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bは、本発明の回収器に対応する。また、脱着プロセスを行っている第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bは、本発明の再生器に対応する。
【0038】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bの内部には、それぞれ、吸着材Kに冷熱又は温熱を付与するための冷温熱供給ラインL7の一部が配置されている。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bに接続される冷温熱供給ラインL7は、流路切替制御弁8による流路の切替えによって、温水W2が循環する温水ラインL4の一部(
図2,
図3参照)又は冷却水W4が循環する冷却水ラインL6の一部(
図2,
図3参照)を構成する。
【0039】
具体的には、流路切替制御弁8は、
図2及び
図3に示すように、導入側切替弁81と、導出側切替弁82と、を有する。導入側切替弁81の入力側(
図2,
図3における上側)には、温水ラインL4において、第1熱交換器3から冷温水機5に向かう温水送出側ラインL41の下流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷却塔6から冷温水機5に向かう冷却水送出側ラインL61の下流側の端部が接続されている。温水送出側ラインL41には、温水W2を冷温水機5に向けて送出する循環ポンプ56が設けられている。また、導入側切替弁81の送出側(
図2,
図3における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、流路切替制御弁8から第2吸脱着器51bに向かう供給側ラインL71bの上流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、流路切替制御弁8から第1吸脱着器51aに向かう供給側ラインL71aの上流側の端部が接続されている。
【0040】
一方、導出側切替弁82の入力側(
図2,
図3における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、第2吸脱着器51bから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72bの下流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、第1吸脱着器51aから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72aの下流側の端部が接続されている。また、導出側切替弁82の送出側(
図2,
図3における上側)には、温水ラインL4において、冷温水機5から第1熱交換器3に向かう温水返送側ラインL42の上流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷温水機5から第1凝縮器53を経由して冷却塔6に向かう冷却水返送側ラインL62の上流側の端部が接続されている。
【0041】
流路切替制御弁8は、導入側切替弁81及び導出側切替弁82が制御部10によって切り替え制御されることにより、吸脱着器51に導入される流体を温水W2又は冷却水W4のいずれかに切り替える。これにより、吸着プロセスの実行時には、吸脱着器51に冷却水W4が供給され、吸着材Kに冷熱が付与される。一方、脱着プロセスの実行時には、吸脱着器51に温水W2が供給され、吸着材Kに温熱が付与される。
【0042】
ここで、
図2及び
図3は、脱着プロセスを実行している第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bを斜線で示している。即ち、
図2は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、冷却水ラインL6を循環する冷却水W4が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、温水ラインL4を循環する温水W2が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51aでは、吸着プロセスが実行され、第2吸脱着器51bでは、脱着プロセスが実行される。このとき、冷却塔6、第1吸脱着器(回収器)51a、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7aによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される本発明の冷却水回路を構成する。第1熱交換器3及び第2吸脱着器(再生器)51bは、温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7bによって環状に接続されて、温水W2が循環される本発明の温水回路を構成する。
【0043】
一方、
図3は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、温水ラインL4を循環流通する温水W2が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、冷却水ラインL6を循環流通する冷却水W4が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51aでは、脱着プロセスが実行され、第2吸脱着器51bでは、吸着プロセスが実行される。このとき、第1熱交換器3及び第1吸脱着器(再生器)51aは、温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7aによって環状に接続されて、温水W2が循環される本発明の温水回路を構成する。冷却塔6、第2吸脱着器(回収器)51b、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7bによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される本発明の冷却水回路を構成する。
【0044】
なお、冷却水回路は、上述したように、冷却塔6から供給される冷却水W4を吸脱着器51及び第1凝縮器53の順で直列に流す構成でもよいが、第1凝縮器53及び吸脱着器51の順で直列に流す構成でもよい。また、冷却水回路は、第1凝縮器53及び吸脱着器51に対して並列に冷却水W4を流す構成を採用することもできる。
【0045】
第1蒸発器52は、吸着材Kへの冷媒蒸気の吸着に伴って冷媒液を蒸気化させることにより冷水W6を製造する。第1蒸発器52は、冷媒液W51を散布する冷媒液散布管521を有する。冷媒液散布管521は、第1蒸発器52の上方に配置され、冷水循環ラインL8に冷媒液W51を散布する。冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52と後述する冷凍機7の過冷却器73との間で環状に接続されて冷水W6が循環されるラインである。この冷水循環ラインL8は、本発明の冷水回路を構成する。冷水循環ラインL8に接触した冷媒液W51は、冷水循環ラインL8を循環流通する水から潜熱を吸収して蒸気化する。これにより、冷水循環ラインL8を循環流通する水は冷水W6となり、蒸気化しなかった冷媒液W51は、第1蒸発器52の底部に再び貯留される。
【0046】
第1凝縮器53は、吸着材Kからの冷媒蒸気の脱着に伴って冷媒蒸気を凝縮させる。第1凝縮器53は、第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bの吸着材Kから脱離した冷媒蒸気と、冷却水返送側ラインL62を流通する冷却水W4とを熱交換させることによって、冷媒蒸気を凝縮させる。この凝縮冷媒は、冷媒液W52として冷媒液回収トレイ531に回収される。回収された冷媒液W52は、第2散布ラインL9を介して冷媒液散布管521に向けて流下し、第1蒸発器52の底部に冷媒液W51として貯留される。
【0047】
冷媒液散布管521の上流側の端部は、接続部J2において、第1散布ラインL10を介して、第1蒸発器52の底部に接続されていると共に、第2散布ラインL9を介して、第1凝縮器53の冷媒液回収トレイ531の底部に接続されている。第1散布ラインL10には、第1蒸発器52の底部に溜まった冷媒液W51を冷媒液散布管521に向けて送出する冷媒液ポンプ57が設けられている。
【0048】
第1蒸発器52の内部には、冷水循環ラインL8の一部が配置される。第1蒸発器52は、第1蒸発器52内で冷媒液が蒸気化する際の気化熱で冷水W6を製造する。冷水循環ラインL8には、冷水W6を冷凍機7から第1蒸発器52に向けて送出する冷水ポンプ78が設けられている。
【0049】
(冷却塔)
冷却塔6は、いわゆる開放式冷却塔であり、
図4に示すように、塔本体61と、散水管62と、充填材63と、貯留部64と、ファン65と、を備える。
【0050】
塔本体61は、冷却塔6のケーシングを形成するものである。塔本体61の上部は開口部611を有する。塔本体61の内部は、開口部611を介して大気と連通している。ファン65は、開口部611に配置される。
【0051】
散水管62は、塔本体61内の上部において、ファン65よりも下方に配置されている。散水管62は、複数のノズルを備え、各ノズルから塔本体61の内部に冷却水を散布する。散水管62には、冷却水ラインL6における冷却水返送側ラインL62の下流側の端部が接続されている。
【0052】
充填材63は、塔本体61の内部において、散水管62の下方に配置されている。散水管62から散布された冷却水は、この充填材63と接触しながら塔本体61内を流下する。充填材63は、散水管62から散布された冷却水を液滴状及び/又は液膜状にして冷却水と外気との接触面積及び接触時間を長くし、冷却水を効率的に冷却する。
【0053】
貯留部64は、塔本体61の下部に設けられる。貯留部64は、散水管62から散布されて充填材63と接触しながら流下した冷却水を貯留する。貯留部64の底部には、冷却水送出側ラインL61の上流側の端部が接続されている。
【0054】
ファン65は、塔本体61の開口部611に配置されている。ファン65は、上方に配置されるファンモータ651により予め設定された速度で回転し、塔本体61内の空気を開口部611から外部に排出させるように気流を発生させる。塔本体61の下方側部には、図示しないルーバが形成されており、このルーバから塔本体61内に外気を流入させるようになっている。ファン65の回転によりルーバから塔本体61内の下部に流入した空気は、塔本体61内を上昇する過程で、充填材63と接触しながら流下する冷却水から蒸発潜熱を奪って冷却する。冷却塔6は、ファンモータ651の駆動により稼働状態となり、ファンモータ651の停止により停止状態となる。ファンモータ651の駆動及び停止は、制御部10により制御される。
【0055】
(流量調節手段)
本実施形態の熱電併給システム1は、冷却水回路(冷却水ラインL6)を循環する冷却水W1の流量を調節する流量調節手段66を備える。流量調節手段66は、冷却水ポンプ661と、インバータ662と、を備える。
【0056】
冷却水ポンプ661は、冷却水送出側ラインL61に設けられる。冷却水ポンプ661は、後述するインバータ662から入力される駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。冷却水ポンプ661の回転速度を増減させると、冷温水機5に供給される冷却水W4の流量が増減する。
【0057】
冷却水ポンプ661の吸入側の冷却水送出側ラインL61は、吸入側ラインL611とされ、冷却塔6の貯留部64と接続される。また、冷却水ポンプ661の吐出側の冷却水送出側ラインL61は、吐出側ラインL612とされ、流路切替制御弁8と接続される。吐出側ラインL612には、逆止弁663が設けられる。
【0058】
インバータ662は、冷却水ポンプ661及び制御部10と電気的に接続される。インバータ662は、制御部10から入力される周波数指定信号に対応する駆動周波数を冷却水ポンプ661に出力し、冷却水ポンプ661を駆動周波数に応じた回転速度で駆動させる。
【0059】
なお、冷温水機5の位置が冷却塔6よりも高い場合、冷却水ポンプ661の停止時に冷却水返送側ラインL62内の冷却水W4が冷却塔6内に抜け落ち、冷却塔6内からのオーバーフローで消費されるおそれがある。従って、このような場合には、冷却水返送側ラインL62に、制御部10により開閉制御される電磁弁(図示せず)を設けておき、冷却水ポンプ661の停止時に電磁弁を閉弁するように構成されることが望ましい。
【0060】
(冷凍機)
本実施形態の冷凍機7は、
図4に示すように、圧縮機71と、第2凝縮器72と、過冷却器73と、膨張弁74と、第2蒸発器75と、を備える蒸気圧縮式の冷凍機である。これら圧縮機71、第2凝縮器72、過冷却器73、膨張弁74及び第2蒸発器75は、内部を冷媒が流通可能な冷媒循環ラインL101〜L105により環状に接続されている。なお、以下の冷媒温度に関する記述は相対的なものであって、高温>準高温>準低温>低温の関係である。
【0061】
圧縮機71は、低圧・低温の冷媒蒸気を加圧圧縮し、高圧・高温の冷媒蒸気を得る。圧縮機71で生成した高圧・高温の冷媒蒸気は、冷媒循環ラインL101を介して第2凝縮器72に送られる。
【0062】
第2凝縮器72は、冷媒循環ラインL101を介して送られる高圧・高温の冷媒蒸気から放熱させ、高圧・準常温の冷媒液に相変化させる。第2凝縮器72で生成した高圧・準高温の冷媒液は、冷媒循環ラインL102を介して、過冷却器73に送られる。なお、第2凝縮器72は、空冷式及び水冷式のいずれでもよいが、本実施形態の第2凝縮器72は、冷媒液を空冷するためのファン76が設けられた空冷式の凝縮器を例示している。ファン76は、ファンモータ761により回転する。ファンモータ761の駆動は制御部10により制御される。
【0063】
過冷却器73は、冷媒循環ラインL102を介して第2凝縮器72から送られる高圧・準常温の冷媒液を相変化させずに更に冷却し、高圧・準低温の冷媒液を得る。過冷却器73の冷媒冷却には、冷水循環ラインL8を循環する冷水W6を用いる。過冷却器73で生成した高圧・準で低温の冷媒液は、冷媒循環ラインL103を介して、膨張弁74に送られる。
【0064】
膨張弁74は、冷媒循環ラインL103を介して送られる高圧・準低温の冷媒液を減圧膨張させ、低圧・低温の冷媒液(及び冷媒蒸気)を得る。膨張弁74で生成した低圧・低温の冷媒液は、冷媒循環ラインL104を介して、第2蒸発器75に送られる。
【0065】
第2蒸発器75は、冷媒循環ラインL104を介して送られる低圧・低温の冷媒液に吸熱させ、低圧・低温の冷媒蒸気に相変化させる。このとき、周囲の熱が奪われることにより冷熱が取り出される。第2蒸発器75で生成した低圧・低温の冷媒蒸気は、冷媒循環ラインL105を介して、圧縮機71に送られる。
【0066】
圧縮機71の駆動により、冷凍機7の各機器において上記の動作が繰り返される。これにより、第2蒸発器75において冷熱の取り出しが継続的に行われる。なお、第2蒸発器75には、ショーケース内に冷熱を送風するためのファン77が設けられている。ファン77は、ファンモータ771により回転する。ファンモータ771の駆動は制御部10により制御される。
【0067】
冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52と過冷却器73が環状に接続されて冷水W6が循環される本発明の冷水回路を構成する。冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52の冷水出口と過冷却器73の冷水入口とを接続する冷水送出側ラインL81と、過冷却器73の冷水出口と第1蒸発器52の冷水入口とを接続する冷水返送側ラインL82と、を備える。冷水返送側ラインL82には、冷水W6を循環させるための冷水ポンプ78が設けられている。この冷水ポンプ78は、予め設定された駆動周波数に応じた一定の回転速度で駆動される。
【0068】
以上のように構成される熱電併給システム1では、インバータ662から入力された駆動周波数に応じた回転速度で冷却水ポンプ661が駆動されることにより、その回転速度に応じた流量の冷却水W4が、冷却塔6から流路切替制御弁8を経由して冷温水機5の吸脱着器51に向けて供給される。これにより、冷温水機5の吸脱着器51において吸着プロセスが実行される。吸脱着器51を冷却した後の冷却水W4は、冷却水返送側ラインL62を介して冷却塔6に返送される。
【0069】
(熱電併給システム1における冷却水の流量制御)
次に、熱電併給システム1における冷却水の流量制御について説明する。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置されるショーケース用の冷凍機7は、冬季には冷凍負荷が小さくなるため、冷温水機5の冷熱出力が過大になりやすい。冷凍機7の冷凍負荷に対して冷温水機5の冷熱出力が過大である場合、冷水W6の凍結を防止するために、冷温水機5を断続的に停止させるバッチ運転が行われる。しかしながら、このバッチ運転を行うと、冷温水機5の停止時に燃料電池2のオフガスG1の廃熱回収及び冷却ができない状態になる。
【0070】
そこで、本実施形態の熱電併給システム1は、冷凍機7の冷凍負荷に対して冷温水機5の冷熱出力を追従させ、冷温水機5を停止させないようにする。具体的には、冷凍負荷に対して冷熱出力の過不足が生じないように、冷却水W4の流量をフィードバック制御によって調節する。
【0071】
冷凍機7の冷凍負荷に対する冷温水機5の冷熱出力の過不足の程度は、過冷却器73の熱交換率によって監視することが可能である。過冷却器73の熱交換率は、過冷却器73の「冷媒出口温度−冷水入口温度」で測定することができる。冷媒出口温度と冷却水入口温度の差は、近寄り温度差(Approach Temperature Difference:ATD)と呼ばれる。冷凍機7は、ATDの測定のため、
図4に示すように、過冷却器73から流出する冷媒液の温度を検出する第1温度センサS1と、過冷却器73に流入する冷水W61の温度を検出する第2温度センサS2と、を備える。
【0072】
第1温度センサS1は、冷媒循環ラインL103に設けられる。第1温度センサS1の検出値は、制御部10に出力される。この第1温度センサS1は、本発明の第1温度検出手段に対応する。
【0073】
第2温度センサS2は、冷水送出側ラインL81の冷凍機7内の配設部分に設けられる。第2温度センサS2の検出値は、制御部10に出力される。この第2温度センサS2は、本発明の第2温度検出手段に対応する。
【0074】
制御部10は、それぞれ入力された第1温度センサS1の検出値(第1温度値T1)と第2温度センサS2の検出値(第2温度値T2)との差分値(ATD実測値ΔT)を求める。制御部10のメモリ(図示せず)には、この差分値の目標値(ATD目標値ΔT0)が予め設定されている。目標値は、冷凍機7の冷凍負荷に対して冷温水機5の冷熱出力が良好に追従しているときの差分値の理想値である。制御部10は、差分値が目標値に収束するように、流量調節手段66を制御して、冷温水機5に供給される冷却水W4の流量を調節する。
【0075】
図5は、本発明の第1実施形態に係る熱電併給システム1の制御フロー図である。
図5を用いて具体的な冷却水の流量制御について説明する。以下の制御フローの処理は、制御部10により所定の制御周期(例えば、100ms)で実行される。冷却水の流量制御の実行時には、冷温水機5、冷却塔6及び冷凍機7は稼働された状態であり、冷却水ポンプ661及び冷水ポンプ78が駆動された状態である。
【0076】
先ず、ステップST1において、制御部10は、メモリに記憶された設定値であるLTD目標値ΔT0を読み出す。本実施形態では、このLTD目標値ΔT0は5℃に設定されているものとする。また、制御部10は、第1温度センサS1の検出値である第1温度値T1と、第2温度センサS2の検出値である第2温度値T2と、を取得する。更に、制御部10は、メモリに記憶された設定値である第1下限温度T1´と、第2下限温度T2´と、を読み出す。第1下限温度T1´は、ショーケースを冷やし過ぎから保護するための冷媒出口温度の制限値である。一方、第2下限温度T2´は、冷水W6の凍結を防止するための冷水入口温度の制限値である。
【0077】
制御部10は、第1温度値T1と第2温度値T2とを取得した後、第1温度値T1と第2温度値T2の差分値(T1−T2)であるATD実測値ΔTを算出する。また、制御部10は、ATD目標値ΔT0とATD実測値ΔTとの差分値(ΔT0−ΔT)であるATD偏差Eを算出する。このATD偏差Eは、後述するステップST5の演算で使用される。
【0078】
ステップST2において、制御部10は、第2温度値T2が第2下限温度T2´以下であるか否かを判断する。第2温度値T2が第2下限温度T2´以下である(即ち、冷水W6が凍結する可能性がある)と判断された場合(ステップST2:YES)には、処理はステップST3に移行する。一方、第2温度値T2が第2下限温度T2´以下でないと判断された場合(ステップST2:NO)には、処理はステップST4に移行する。
【0079】
ステップST3において、制御部10は、冷水W6の凍結を防止するため、冷熱出力抑制制御を実行し、第1蒸発器52の冷水出口温度を第2下限温度T2´を超える温度まで上昇させる。冷熱出力抑制制御としては、以下の〔a〕〜〔h〕に列挙したいずれかの制御を単独で、又は組み合わせて採用すればよい。
【0080】
〔a〕冷却塔6のファンモータ651の回転速度を調整して風量を減少する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、ファンモータ651の回転速度を所定時間毎に段階的に下げる。
〔b〕冷水回路の冷水ポンプ78の回転速度を調整して、冷水W6の循環流量(第1蒸発器52の通水流量)を増加する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、冷水ポンプ78の回転速度を所定時間毎に段階的に上げる。
〔c〕冷水回路の冷水送出側ラインL81と冷水返送側ラインL82とをバイパスラインで接続し、いずれか一方の接続点に三方弁を配置する。冷水ポンプ78の回転速度は変えずに、三方弁の開度を調整して冷水W6のバイパス流量(第1蒸発器52の通水流量)を増加する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、三方弁のバイパス側開度を所定時間毎に段階的に上げる。
〔d〕温水回路の循環ポンプ56の回転速度を調整して温水W2の循環流量を減少する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、循環ポンプ56の回転速度を所定時間毎に段階的に下げる。
〔e〕温水回路の温水送出側ラインL41と温水返送側ラインL42とをバイパスラインで接続し、いずれか一方の接続点に三方弁を配置する。循環ポンプ56の回転速度は変えずに、三方弁の開度を調整して温水W2のバイパス流量を増加させる。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、三方弁のバイパス側開度を所定時間毎に段階的に上げる。
〔f〕温水回路の温水送出側ラインL41にラジエータ及び通風用のファンを配置する。循環ポンプ56の回転速度は変えずに、ファンモータの回転速度を調整して風量を増加する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、ファンモータの回転速度を所定時間毎に段階的に上げる。
〔g〕第1オフガスラインL11と第2オフガスラインL12とをバイパスラインで接続し、いずれか一方の接続点に三方弁を配置する。循環ポンプ56の回転速度は変えずに、三方弁の開度を調整してオフガスG1のバイパス流量を増加する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、三方弁のバイパス側開度を所定時間毎に段階的に上げる。
〔h〕第1吸脱着器51aと第2吸脱着器51bの切替時間を調整して温熱の入力量を減少する。例えば、T2=T2´+1℃となるまで、第1吸脱着器51aと第2吸脱着器51bの切替時間をサイクル毎に段階的に長くする。
【0081】
ステップST4において、制御部10は、第1温度値T1が第1下限温度T1´以下であるか否かを判断する。第1温度値T1が第1下限温度T1´以下である(即ち、液冷媒が冷え過ぎである)と判断された場合(ステップST4:YES)には、処理はステップST5〜ST7の流量調節制御をスキップして、ステップST1にリターンする。これにより、膨張弁74に送られる液冷媒が冷え過ぎであるときには、冷却水W4の流量を増やさないようにする。一方、第1温度値T1が第1下限温度T1´以下でないと判断された場合(ステップST4:NO)には、処理はステップST5に移行する。
【0082】
ステップST5〜ST7において、制御部10は流量調節制御を実行する。この流量調節制御には、フィードバック制御が採用されている。
ステップST5において、制御部10は、ATD実測値ΔTをATD目標値ΔT0に収束させるため、即ち、ATD偏差E=0にするため、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いて、操作量MV
n(冷却水ポンプ661の出力%)を演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期毎に、ステップST1で算出したATD偏差Eの比例要素、積分要素及び微分要素の3つを組み合わせて、操作量の変化分ΔMV
nを演算する。制御部10は、演算された操作量の変化分ΔMV
nを、前回の制御周期時点の操作量MV
n−1に加算することで、今回の制御周期時点の操作量MV
nを決定する。
【0083】
ステップST6において、制御部10は、ステップST5で演算された操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する冷却水ポンプ661の駆動周波数を演算する。冷却水ポンプ661の駆動周波数は、例えばATD偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つATD偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
E≧−5℃(ΔT≧10℃)のとき、操作量MV
nは95%出力(上限駆動周波数57Hz)
E=0℃(ΔT=5℃)のとき、操作量MV
nは50%出力(中央駆動周波数30Hz)
E=5℃(ΔT=0℃)のとき、操作量MV
nは5%出力(下限駆動周波数3Hz)
【0084】
ステップST7において、制御部10は、駆動周波数の演算値を周波数指定信号に変換し、インバータ662に出力する。これにより、冷却水ポンプ661は、周波数指定信号で指定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。周波数指定信号が、例えば4〜20mAの電流値信号とされる場合、下限駆動周波数3Hzのときに4mA出力、上限駆動周波数57Hzのときに20mA出力となるように、指定する周波数と出力する電流値とは比例関係とされる。周波数指定信号が、例えば1〜5Vの電圧値信号とされる場合、下限駆動周波数3Hzのときに1V出力、上限駆動周波数57Hzのときに5V出力となるように、指定する周波数と出力する電流値とは比例関係とされる。
【0085】
冷却水ポンプ661の駆動周波数を調整した後は、処理はリターンし、ステップST1からの処理が繰り返される。以上のステップST5〜ステップST7の処理では、ATD実測値ΔTがATD目標値ΔT0に収束するように冷却水ポンプ661の駆動周波数が調整される。これにより、冷凍機7の冷凍負荷に追従して冷温水機5へ供給される冷却水W4の流量が調節される。
【0086】
即ち、例えば夏季のように、冷凍機7の冷凍負荷が大きく、ΔT>ΔT0(E>0)となる状態では、冷媒液の冷却不足であると検出される。このため、制御部10は、冷却水ポンプ661の出力%を上げ、冷却水W4の循環流量を増加させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が増加することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が下がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が下がり、冷媒液の過冷却度が増加する。一方、例えば冬季のように、冷凍機7の冷凍負荷が小さく、ΔT<ΔT0(E<0)となる状態では、冷媒液の冷却過剰であると検出される。このため、制御部10は、冷却水ポンプ661の出力%を下げ、冷却水W4の循環流量を減少させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が減少することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が上がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が上がり、冷媒液の過冷却度が減少する。従って、この熱電併給システム1によれば、冷凍機7の冷凍負荷に相応する冷熱出力を冷温水機5から過冷却器73に対して行うことで、冷水W6の冷え過ぎを防止する。このため、冷凍機7の冷凍負荷が小さい場合でも、冷温水機5を停止させることなく、燃料電池2のオフガスG1からの熱回収を継続することが可能である。また、冷却水ポンプ661をインバータ662により制御して冷却水W4の流量を調節するため、ポンプ動力の省エネルギー化を図ることもできる。
【0087】
[第2実施形態]
(流量調節手段)
図6は、本発明の第2実施形態に係る熱電併給システム1Aにおける冷却塔6及び冷凍機7の具体的構成を示す図である。
図4と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明については第1実施形態における説明を援用し、ここでは省略する。
第2実施形態の熱電併給システム1Aでは、流量調節手段66Aが比例制御弁664を備える点で、第1実施形態における熱電併給システム1と相違し、その他の構成は第1実施形態と同一である。
【0088】
比例制御弁664は、冷却水送出側ラインL61上に設けられる。本実施形態の比例制御弁664は、吐出側ラインL612において、逆止弁663の下流側に設けられている。なお、比例制御弁664は、逆止弁663の上流側に設けられてもよく、また、吸入側ラインL611に設けられてもよい。この比例制御弁664は、制御部10から入力される開度指定信号に対応する開度で作動される弁機構である。即ち、比例制御弁664は、開度を調整するアクチュエータ回路(図示せず)を備え、このアクチュエータ回路に0〜100%の開度指定信号が入力されることにより、開度指定信号に対応して開度が調節される。これにより、比例制御弁664は、冷温水機5の吸脱着器51に供給する冷却水W4の流量を調節する。
【0089】
本実施形態の冷却水ポンプ661は、インバータを使用しない商用電源駆動とされ、予め設定された駆動周波数(50Hz又は60Hzの定格駆動周波数)に応じた一定の回転速度で駆動される。
【0090】
(熱電併給システム1Aにおける冷却水の流量制御)
次に、熱電併給システム1Aにおける冷却水の流量制御について説明する。
この熱電併給システム1Aにおいても、熱電併給システム1と同様に、冷凍機7の冷凍負荷に対して冷温水機5の冷熱出力を追従させ、冷温水機5を停止させないようにする。即ち、冷凍負荷に対して冷熱出力の過不足が生じないように、冷却水W4の流量をフィードバック制御によって調節する。
【0091】
図7は、本発明の第2実施形態に係る熱電併給システム1Aの制御フロー図である。
図7に示す制御フローにおいて、
図5に示す制御フローのステップST5〜ステップST7以外の処理は同じである。
図7では、
図5と相違する処理を、ステップST5′〜ステップST7′としている。以下、
図7において、
図5に示す制御フローと相違する処理について説明する。冷却水の流量制御の実行時には、冷温水機5、冷却塔6及び冷凍機7は稼働された状態であり、冷却水ポンプ661及び冷水ポンプ78が駆動された状態である。流量制御の開始時において、制御部10は、比例制御弁664の初期開度を50%に設定して冷却水W4を流通状態にする。
【0092】
ステップST5′において、制御部10は、ATD実測値ΔTをATD目標値ΔT0に収束させるため、即ち、ATD偏差E=0にするため、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いて、操作量MV
n(比例制御弁664の出力%)を演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期毎に、ステップST1で算出したATD偏差Eの比例要素、積分要素及び微分要素の3つを組み合わせて、操作量の変化分ΔMV
nを演算する。制御部10は、演算された操作量の変化分ΔMV
nを、前回の制御周期時点の操作量MV
n−1に加算することで、今回の制御周期時点の操作量MV
nを決定する。
【0093】
ステップST6′において、制御部10は、ステップST5′で演算された操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する比例制御弁664の開度を演算する。比例制御弁664の開度は、例えばATD偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つATD偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
E≧−5℃(ΔT≧10℃)のとき、操作量MV
nは95%出力(上限開度95%)
E=0℃(ΔT=5℃)のとき、操作量MV
nは50%出力(中央開度50%)
E=5℃(ΔT=0℃)のとき、操作量MV
nは5%出力(下限開度5%)
【0094】
ステップST7′において、制御部10は、開度の演算値を開度指定信号に変換し、比例制御弁664のアクチュエータ回路に出力する。これにより、比例制御弁664は、開度指定信号で指定された開度に移行する。開度指定信号が、例えば4〜20mAの電流値信号とされる場合、下限開度5%のときに4mA出力、上限開度95%のときに20mA出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。開度指定信号が、例えば1〜5Vの電圧値信号とされる場合、下限開度5%のときに1V出力、上限開度95%のときに5V出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。
【0095】
比例制御弁664の開度を調整した後は、処理はリターンし、ステップST1からの処理が繰り返される。以上のステップST5′〜ステップST7′の処理では、ATD実測値(差分値)ΔTがATD目標値(設定値)ΔT0に収束するように比例制御弁664の開度が調整される。これにより、冷凍機7の冷凍負荷に追従して冷温水機5へ供給される冷却水W4の流量が調節される。
【0096】
即ち、例えば夏季のように、冷凍機7の冷凍負荷が大きく、ΔT>ΔT0(E>0)となる状態では、冷媒液の冷却不足であると検出される。このため、制御部10は、比例制御弁664の開度%を上げ、冷却水W4の循環流量を増加させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が増加することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が下がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が下がり、冷媒液の過冷却度が増加する。一方、例えば冬季のように、冷凍機7の冷凍負荷が小さく、ΔT<ΔT0(E<0)となる状態では、冷媒液の冷却過剰であると検出される。このため、制御部10は、比例制御弁664の開度%を下げ、冷却水W4の循環流量を減少させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が減少することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が上がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が上がり、冷媒液の過冷却度が減少する。従って、この熱電併給システム1Aによれば、冷凍機7の冷凍負荷に相応する冷熱出力を冷温水機5から過冷却器73に対して行うことで、冷水W6の冷え過ぎを防止する。このため、冷凍機7の冷凍負荷が小さい場合でも、冷温水機5を停止させることなく、燃料電池2のオフガスG1からの熱回収を継続することが可能である。
【0097】
[第3実施形態]
(流量調節手段)
図8は、本発明の第3実施形態に係る熱電併給システム1Bにおける冷却塔6及び冷凍機7の具体的構成を示す図である。
図4と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明については第1実施形態における説明を援用し、ここでは省略する。
第3実施形態の熱電併給システム1Bでは、流量調節手段66Bが、バイパスラインL63と、三方弁665と、を備える点で、第1実施形態の熱電併給システム1と相違し、その他の構成は第1実施形態の流量調節手段66と同一である。
【0098】
バイパスラインL63は、吐出側ラインL612と冷却水返送側ラインL62とを接続するバイパス路を構成する。即ち、バイパスラインL63の一端側(冷却水W4の流入側)は、後述する三方弁665を介して、吐出側ラインL612の途中に接続される。また、バイパスラインL63の他端側(冷却水W4の流出側)は、冷却水返送側ラインL62に接続される。
【0099】
三方弁665は、吐出側ラインL612上において、逆止弁663の下流側に配置され、吐出側ラインL612とバイパスラインL63との分岐部位に設けられる。これにより、吐出側ラインL612は、三方弁665を境にして上流側(冷却水ポンプ661側)の第1吐出側ラインL612aと、下流側(冷温水機5側)の第2吐出側ラインL612bと、に分けられる。なお、三方弁665の3つのポートのうち、第1供給側ラインL81aの接続ポートを入口ポート、第2供給側ラインL81bの接続ポートを第1出口ポート、バイパスラインL83の接続ポートを第2出口ポートとする。
【0100】
三方弁665は、制御部10から入力される開度指定信号に対応する開度で作動される弁機構(三方型比例制御弁)である。この三方弁665は、第1出口ポートを出て吸脱着器51(回収器)及び第1凝縮器53に向かう冷却水W4の分流と、第2出口ポートを出てバイパス路に向かう冷却水W4の分流との流量比を調整可能である。即ち、三方弁665は、開度を調整するアクチュエータ回路(図示せず)を備え、このアクチュエータ回路に0〜100%の開度指定信号が入力されることにより、第1出口ポート側の開度と第2出口ポート側の開度とが調節される。但し、第1出口ポート側及び第2出口ポート側の流量比の合計は常に100%である。これにより、冷却水ポンプ661から吐出される冷却水W4の一部又は全部を冷却塔6に返送可能となる。冷却塔6に返送される冷却水W4の流量を調節すると、吸脱着器51に供給される冷却水W4の流量が調節される。
【0101】
本実施形態の冷却水ポンプ661も、インバータを使用しない商用電源駆動とされ、予め設定された駆動周波数(50Hz又は60Hzの定格駆動周波数)に応じた一定の回転速度で駆動される。
【0102】
(熱電併給システム1Bにおける冷却水の流量制御)
次に、熱電併給システム1Bにおける冷却水の流量制御について説明する。
この熱電併給システム1Bにおいても、熱電併給システム1と同様に、冷凍機7の冷凍負荷に対して冷温水機5の冷熱出力を追従させ、冷温水機5を停止させないようにする。即ち、冷凍負荷に対して冷熱出力の過不足が生じないように、冷却水W4の流量をフィードバック制御によって調節する。
【0103】
また、熱電併給システム1Bにおける制御フローは、
図7に示した熱電併給システム1Aにおける制御フローと同一である。従って、
図7を用いて、熱電併給システム1Bにおける流量制御について説明する。冷却水の流量制御の実行時には、冷温水機5、冷却塔6及び冷凍機7は稼働された状態であり、冷却水ポンプ661及び冷水ポンプ78が駆動された状態である。流量制御の開始時において、制御部10は、三方弁665の初期開度を50%に設定して冷却水W4を流通状態にする。
【0104】
なお、三方弁665の開度は、第1出口ポート側の開度を基準とする。即ち、第1出口ポート側の開度が、0%→25%→50%→75%→100%となる場合、第2出口ポート側の開度は、100%→75%→50%→25%→0%となる。
【0105】
ステップST5′において、制御部10は、ATD実測値ΔTをATD目標値ΔT0に収束させるため、即ち、ATD偏差E=0にするため、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いて、操作量MV
n(三方弁665の出力%)を演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期毎に、ステップST1で算出したATD偏差Eの比例要素、積分要素及び微分要素の3つを組み合わせて、操作量の変化分ΔMV
nを演算する。制御部10は、演算された操作量の変化分ΔMV
nを、前回の制御周期時点の操作量MV
n−1に加算することで、今回の制御周期時点の操作量MV
nを決定する。
【0106】
ステップST6′において、制御部10は、ステップST5′で演算された操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する三方弁665の開度を演算する。三方弁665の開度は、例えばATD偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つATD偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
E≧−5℃(ΔT≧10℃)のとき、操作量MV
nは95%出力(第1出口ポート側は上限開度95%)
E=0℃(ΔT=5℃)のとき、操作量MV
nは50%出力(第1出口ポート側は中央開度50%)
E=5℃(ΔT=0℃)のとき、操作量MV
nは5%出力(第1出口ポート側は下限開度5%)
【0107】
ステップST7′において、制御部10は、開度の演算値を開度指定信号に変換し、三方弁665のアクチュエータ回路に出力する。これにより、三方弁665は、開度指定信号で指定された開度に移行する。開度指定信号が、例えば4〜20mAの電流値信号とされる場合、下限開度5%のときに4mA出力、上限開度95%のときに20mA出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。開度指定信号が、例えば1〜5Vの電圧値信号とされる場合、下限開度5%のときに1V出力、上限開度95%のときに5V出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。
【0108】
三方弁665の開度を調整した後は、処理はリターンし、ステップST1からの処理が繰り返される。以上のステップST5′〜ステップST7′の処理では、ATD実測値(差分値)ΔTがATD目標値(設定値)ΔT0に収束するように三方弁665の開度が調整される。これにより、冷凍機7の冷凍負荷に追従して冷温水機5へ供給される冷却水W4の流量が調節される。
【0109】
即ち、例えば夏季のように、冷凍機7の冷凍負荷が大きく、ΔT>ΔT0(E>0)となる状態では、冷媒液の冷却不足であると検出される。このため、制御部10は、三方弁665の開度%を上げ、冷却水W4の循環流量を増加させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が増加することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が下がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が下がり、冷媒液の過冷却度が増加する。一方、例えば冬季のように、冷凍機7の冷凍負荷が小さく、ΔT<ΔT0(E<0)となる状態では、冷媒液の冷却過剰であると検出される。このため、制御部10は、三方弁665の開度%を下げ、冷却水W4の循環流量を減少させる操作を行う。吸脱着器51及び第1凝縮器53の通水流量が減少することにより、第1蒸発器52の冷水出口温度が上がる。これにより、過冷却器73の冷水入口温度が上がり、冷媒液の過冷却度が減少する。従って、この熱電併給システム1Bにおいても、冷凍機7の冷凍負荷に相応する冷熱出力を冷温水機5から過冷却器73に対して行うことで、冷水W6の冷え過ぎを防止する。このため、冷凍機7の冷凍負荷が小さい場合でも、冷温水機5を停止させることなく、燃料電池2のオフガスG1からの熱回収を継続することが可能である。
【0110】
[その他の実施形態]
第1実施形態〜第3実施形態では、温水製造手段として第1熱交換器3を備え、第1熱交換器3及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成したが、これに制限されない。温水製造手段の他の態様としては、第1熱交換器3をなくして、第2熱交換器4、貯湯タンク42、冷却媒体循環ラインL5、ラジエータ43及びファン431、並びに循環ポンプ44により温水製造手段を構成してもよい。この場合、貯湯タンク42及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成する。貯湯タンク42内の貯留水の加熱は、熱交換コイルを使用した間接加熱、或いは熱交換コイルを使用しない直接加熱を適宜選択すればよい。これにより、第1熱交換器3が不要になるので、設備コストを抑制することができる。
【0111】
冷温水機5は、第1吸脱着器51aと第2吸脱着器51bの2つの吸脱着器を用い、吸着プロセス及び脱着プロセスを交互に切り替えるように構成したが、これに制限されない。図示しないが、空調用のデシカントロータのように、1つのディスク状の吸脱着器で構成し、回転するディスクの吸着ゾーンと脱着ゾーンで冷媒蒸気の回収・再生を並行して行うようにしてもよい。
また、冷温水機は吸着式に制限されず、吸収式を用いることもできる。吸収式の冷温水機では、回収器は吸収器とも呼ばれる。
【0112】
冷却塔は、開放式に制限されず、密閉式でもよい。密閉式の冷却塔とする場合、冷却水ポンプは、冷却水返送側ラインL62に設けられてもよい。
【0113】
更に、以上の各実施形態では、PIDアルゴリズムを用いてフィードバック制御を行うように構成されているが、これに制限されず、PIアルゴリズム又はPアルゴリズムを用いるように構成されてもよい。