【解決手段】燃料電池2と、2つの吸脱着器51、凝縮器53、蒸発器52を有し、蒸発器52で冷水を製造する冷温水機5と、燃料電池で発生するオフガスを熱源として温水を製造する温水製造手段3と、冷却水を冷却する冷却塔6と、温水製造手段3と吸脱着器51の間で温水が循環する温水回路と、冷却塔6と吸脱着器51の間で冷却水が循環する冷却水回路と、吸着・脱着プロセスを切り替える切替手段8と、制御部10とを備え、制御部10は、脱着プロセス状態にある吸脱着器51に対する単位時間当たりの投入熱量を監視し、投入熱量の値が予め設定された所要値を下回った場合に、プロセス状態を切り替えるように切替手段8を制御する。
前記制御部は、前記2つの吸脱着器の脱着プロセスと吸着プロセスとを切り替えた後、所定時間は前記切替手段の作動を禁止する、請求項1又は2に記載の冷温水機複合型燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
(冷温水機複合型燃料電池システムの全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷温水機複合型燃料電池システムの全体構成図である。また、
図2及び
図3は、それぞれ、
図1に示す冷温水機複合型料電池システムにおける冷温水機の吸脱着動作を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の冷温水機複合型燃料電池システム1は、主として、燃料電池2と、第1熱交換器3と、第2熱交換器4と、冷温水機5と、冷却塔6と、冷凍機7と、システム全体の制御を行う制御部10と、を備える。冷温水機複合型燃料電池システム1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置され、燃料電池2で発電した電力を店舗内に供給すると共に、冷凍機7によってショーケース内を冷却する。
【0015】
以下の説明では、「冷温水機複合型燃料電池システム」を単に「熱電併給システム」と呼称する。また、本願では、便宜上、動作原理の異なる各種の冷凍機のうち、蒸気圧縮式のものを「冷凍機」と表記し、吸着式のものを「冷温水機」と表記して区別する。
【0016】
本実施形態の熱電併給システム1は、燃料電池2から排出されるオフガスから凝縮水を回収して、燃料電池2の水自立運転を行うと共に、燃料電池2のオフガスから廃熱を回収して、冷温水機5の駆動用熱源として利用するシステムである。なお、制御部10とシステム内の各制御対象機器との間を電気的に接続する信号線の図示は省略した。
【0017】
(燃料電池)
燃料電池2は、発電モジュール、パワーコンディショナ及び各種の補機(いずれも図示せず)を備える。発電モジュールは、発電に必要な機器を断熱容器に収容した構成であり、当該機器には、蒸発部、混合部および改質部を有する改質器;複数の発電セルよりなるセルスタック;アノードオフガスとカソードオフガスを燃焼させる燃焼器;燃焼オフガスとアノード空気を熱交換させる空気予熱器、等が含まれる。発電セルは、例えば、固体酸化物形の発電セルが使用される。
【0018】
燃料電池2の発電モジュールには、原燃料ガスG(都市ガス)、酸化剤ガスA(空気)及び改質水W1(オフガス凝縮水)が供給される。改質器は、原燃料ガスGと改質水W1の水蒸気とを反応させて水素含有の燃料ガスを生成する。セルスタックは、この燃料ガスと酸化剤ガスAとの電気化学反応により発電する。セルスタックから排気されるアノードオフガスとカソードオフガスは、燃焼器で燃焼処理され、燃焼オフガスG1として排出される。この燃焼オフガスG1は、セルスタックの前段に配置された空気予熱器に送られ、酸化剤ガスAの予熱に利用される。なお、セルスタックに固体酸化物形の発電セルを使用した発電モジュールは、高温型セルで650〜800℃、中温型セルで450〜650℃で発電動作する。
【0019】
セルスタックの電池出力は、パワーコンディショナで調整された後に、店舗内に給電される。パワーコンディショナは、セルスタックから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧回路);DC/DCコンバータで昇圧された直流電圧を系統電源と同期の取れた交流電圧に変換する系統連系インバータ(電圧変換回路);及び、セルスタックの出力電流を制御する出力電流制御部(出力制御回路)を有している。系統連系インバータは、店舗内に設置された商用電力系統の配電盤と接続される。系統連系インバータと配電盤とは、系統連系用のスイッチを介して並列・解列を切換可能である。配電盤には、系統電源および複数の分電盤が接続される。分電盤には、店舗内で使用する照明器具、動力装置、コンセント等の負荷機器が接続される。
【0020】
燃料電池2からは、燃料電池本体の空気予熱器を通過した燃焼オフガスG1(以下、単にオフガスG1という)がオフガスラインL1(L11,L12,L13)を介して排出される。オフガスラインL1上には、オフガスG1の流通方向の上流から下流に向けて、第1熱交換器3と第2熱交換器4とが順次配設されている。燃料電池2と第1熱交換器3との間は、第1オフガスラインL11により接続される。第1熱交換器3と第2熱交換器4との間は、第2オフガスラインL12により接続される。第2熱交換器4には、第3オフガスラインL13の上流側の端部が接続されている。
【0021】
第1熱交換器3は、温水ラインL4を流通(循環)する温水W2と、オフガスラインL1を流通するオフガスG1との間で熱交換を行う温水製造手段である。温水ラインL4を流通する温水W2は、後述する冷温水機5の吸着材Kに付与する温熱の熱源として利用される。燃料電池2から排出されるオフガスG1の温度は300℃程度であり、第1熱交換器3で生成される温水W2の温度は、吸着材Kの再生温度帯に応じて、50℃〜100℃程度である。
【0022】
第2熱交換器4は、第1熱交換器3で熱交換された後のオフガスG1から更に熱回収するため、冷却媒体循環ラインL5を循環する冷却媒体W3との間で熱交換を行う。本実施形態の熱電併給システム1は、蓄熱用の貯湯タンク42を備えており、貯湯タンク42内の下部には熱交換コイル(図示せず)が配置されている。冷却媒体循環ラインL5は、第2熱交換器4の冷却媒体出口と熱交換コイルの冷却媒体入口とを接続すると共に、熱交換コイルの冷却媒体出口と第2熱交換器4の冷却媒体入口とを接続する。第2熱交換器4でオフガスG1と熱交換されることにより加熱された冷却媒体W3は、貯湯タンク42に送られ、貯湯タンク42内の貯留水と熱交換される。これにより、貯湯タンク42に冷却媒体W3の温熱が蓄えられる。冷却媒体W3は、水、その他の液体(例えばエチレングリコール等を主成分とする不凍液)である。なお、間接加熱用の熱交換コイルを使用せず、貯湯タンク42内の貯留水を冷却媒体W3として循環させ、貯留水を第2熱交換器4で直接加熱するように構成してもよい。
【0023】
貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5上には、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向けて、ラジエータ43及び循環ポンプ44が順次設けられている。
【0024】
ラジエータ43は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かって冷却媒体循環ラインL5を流通する冷却媒体W3とファン431による通風との間で熱交換を行う。所望時にファン431を作動させることで、第2熱交換器4へ供給する冷却媒体W3を外気で冷却して放熱させる。例えば、給湯需要が少なく貯湯タンク42でオフガス廃熱の熱回収が十分にできない場合に、ラジエータ43の冷却作用によって第2熱交換器4に供給する冷却媒体W3をオフガスG1の露点温度以下(例えば40℃以下)に冷却することで、第2熱交換器4においてオフガスG1中の水蒸気を凝縮させることができる。このラジエータ43及びファン431は、本発明の放熱手段に対応する。なお、ラジエータ43とファン431との組は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5に複数組設けられてもよい。ファン431の駆動台数の増減により、通風量を容易に調節することができる。
【0025】
循環ポンプ44は、冷却媒体W3を循環流通させる。循環ポンプ44は、冷却媒体W3の循環流量を調整可能に構成されていることが望ましい。冷却媒体W3の循環流量を調整することで、貯湯タンク42に供給する冷却媒体W3の温度を一定にすることができる。本実施形態では、循環ポンプ44の駆動モータをブラシレスDCモータとし、このDCモータをパルス幅変調(PWM)により可変速制御するように構成している。循環ポンプ44の作動中、DCモータの駆動電圧パルスのデューティ比を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。また、循環ポンプ44の駆動モータをACモータとし、このACモータをインバータ装置により可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)するように構成してもよい。循環ポンプ44の作動中、ACモータの駆動周波数又は駆動電圧を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。なお、循環ポンプ44は、第2熱交換器4から貯湯タンク42に向かう冷却媒体循環ラインL5上に設けられてもよい。
【0026】
第2熱交換器4において、オフガスG1が冷却媒体W3との間で熱交換されることにより、第3オフガスラインL13には、第2熱交換器4において熱交換された後のオフガスG2と、オフガスG1中の水蒸気が凝縮した凝縮水W1とが排出される。第3オフガスラインL13の途中には、接続部J1が設けられている。接続部J1には、凝縮水送出ラインL21の上流側の端部が接続されている。凝縮水送出ラインL21の下流側の端部は、改質水タンク41に接続されている。第2熱交換器4から排出されるオフガスG2及び凝縮水W1は、接続部J1で分離され、第3オフガスラインL13には、オフガスG2が流通する一方で、凝縮水送出ラインL21には、凝縮水W1が流通する。第3オフガスラインL13の下流側の端部は、店舗の屋外で大気開放されている。
【0027】
凝縮水送出ラインL2を流通する凝縮水W1は、改質水タンク41に送られる。改質水タンク41は、凝縮水W1を改質水W1として貯留する。改質水タンク41には、改質水供給ラインL3の上流側の端部が接続されている。改質水供給ラインL3の下流側の端部は、燃料電池2の改質器に接続されている。なお、改質水供給ラインL3には、改質水タンク41内に貯留された改質水W1を送り出すため、図示しない送水ポンプが設けられている。
【0028】
(冷温水機)
本実施形態の冷温水機5は、詳細には
図2及び
図3に示すように、冷温水機本体50と、第1吸脱着器51aと、第2吸脱着器51bと、第1蒸発器52と、第1凝縮器53と、を備える吸着式の冷温水機である。第1吸脱着器51a、第2吸脱着器51b、第1蒸発器52及び第1凝縮器53は、真空状態に減圧された冷温水機本体50の内部に収容されている。なお、
図1〜3に示された冷温水機本体50内の機器配置は、単なる例示であって他のレイアウトを採用してもよい。
【0029】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、後述するように、吸着プロセス及び脱着プロセスのいずれかの状態に切り替えられ、一方で吸着プロセスを実行させながら、他方で脱着プロセスを実行する。ただし、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、各プロセスを実行するときの機能は同じである。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bを区別する必要がない場合には、単に「吸脱着器51」と記載する。
【0030】
第1吸脱着器51aと第1蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54bが配置されている。蒸発器側開閉弁体54a,54bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御される。
【0031】
第1吸脱着器51aと第1凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55bが配置されている。凝縮器側開閉弁体55a,55bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御される。
【0032】
吸脱着器51は、それぞれ内部に吸着材Kを有する。吸着材Kとしては、例えば、骨格構造にアルミニウム、リン及び鉄を含むゼオライトからなる水蒸気吸着材を挙げることができる。この水蒸気吸着材は、狭い相対蒸気圧の範囲で水蒸気(冷媒蒸気)の吸着量が増大する吸着等温線を描く特性を有するもので、三菱樹脂株式会社より商品名「AQSOA(アクソア)」として販売されているものを例示することができる。
【0033】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、それぞれ、冷熱により吸着材Kに冷媒蒸気を吸着させる吸着プロセスと、温熱により吸着材Kから冷媒蒸気を脱着させる脱着プロセスと、を切替え可能である。吸着材Kは、吸着プロセスにおいて、後述する冷却塔6から供給される冷却水W4の冷熱により冷媒蒸気を吸着すると共に、脱着プロセスにおいて、温水W2の温熱により冷媒蒸気を脱着する。
【0034】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bの内部には、それぞれ、吸着材Kに冷熱又は温熱を付与するための冷温熱供給ラインL7の一部が配置されている。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bに接続される冷温熱供給ラインL7は、流路切替制御弁8による流路の切替えによって、温水W2が循環する温水ラインL4の一部(
図2,
図3参照)又は冷却水W4が循環する冷却水ラインL6の一部(
図2,
図3参照)を構成する。
【0035】
具体的には、流路切替制御弁8は、
図2及び
図3に示すように、導入側切替弁81と、導出側切替弁82と、を有する。導入側切替弁81の流入側(
図2,
図3における上側)には、温水ラインL4において、第1熱交換器3から冷温水機5に向かう温水送出側ラインL41の下流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷却塔6から冷温水機5に向かう冷却水送出側ラインL61の下流側の端部が接続されている。温水送出側ラインL41には、温水W2を冷温水機5に向けて送出する循環ポンプ56が設けられている。また、導入側切替弁81の流出側(
図2,
図3における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、流路切替制御弁8から第2吸脱着器51bに向かう供給側ラインL71bの上流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、流路切替制御弁8から第1吸脱着器51aに向かう供給側ラインL71aの上流側の端部が接続されている。
【0036】
一方、導出側切替弁82の流入側(
図2,
図3における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、第2吸脱着器51bから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72bの下流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、第1吸脱着器51aから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72aの下流側の端部が接続されている。また、導出側切替弁82の流出側(
図2,
図3における上側)には、温水ラインL4において、冷温水機5から第1熱交換器3に向かう温水返送側ラインL42の上流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷温水機5から第1凝縮器53を経由して冷却塔6に向かう冷却水返送側ラインL62の上流側の端部が接続されている。
【0037】
流路切替制御弁8は、導入側切替弁81及び導出側切替弁82が制御部10によって切り替え制御されることにより、吸脱着器51に導入される流体を温水W2又は冷却水W4のいずれかに切り替える。これにより、吸着プロセスの実行時には、吸脱着器51に冷却水W4が供給され、吸着材Kに冷熱が付与される。一方、脱着プロセスの実行時には、吸脱着器51に温水W2が供給され、吸着材Kに温熱が付与される。この流路切替制御弁8は、本発明の切替手段に対応する。
【0038】
ここで、
図2及び
図3は、脱着プロセスを実行している第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bを斜線で示している。即ち、
図2は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、冷却水ラインL6を循環する冷却水W4が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、温水ラインL4を循環する温水W2が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51aでは、吸着プロセスが実行され、第2吸脱着器51bでは、脱着プロセスが実行される。このとき、冷却塔6、第1吸脱着器(回収器)51a、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7aによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される本発明の冷却水回路を構成する。第1熱交換器3及び第2吸脱着器(再生器)51bは、温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7bによって環状に接続されて、温水W2が循環される本発明の温水回路を構成する。
【0039】
一方、
図3は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、温水ラインL4を循環流通する温水W2が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、冷却水ラインL6を循環流通する冷却水W4が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51aでは、脱着プロセスが実行され、第2吸脱着器51bでは、吸着プロセスが実行される。このとき、第1熱交換器3及び第1吸脱着器(再生器)51aは、温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7aによって環状に接続されて、温水W2が循環される本発明の温水回路を構成する。冷却塔6、第2吸脱着器(回収器)51b、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7bによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される本発明の冷却水回路を構成する。
【0040】
なお、冷却水回路は、上述したように、冷却塔6から供給される冷却水W4を吸脱着器51及び第1凝縮器53の順で直列に流す構成でもよいが、第1凝縮器53及び吸脱着器51の順で直列に流す構成でもよい。また、冷却水回路は、第1凝縮器53及び吸脱着器51に対して並列に冷却水W4を流す構成を採用することもできる。
【0041】
第1蒸発器52は、吸着材Kへの冷媒蒸気の吸着に伴って冷媒液を蒸気化させることにより冷水W6を製造する。第1蒸発器52は、冷媒液W51を散布する冷媒液散布管521を有する。冷媒液散布管521は、第1蒸発器52の上方に配置され、冷水循環ラインL8に冷媒液W51を散布する。冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52と後述する冷凍機7の過冷却器73との間で環状に接続されて冷水W6が循環されるラインである。この冷水循環ラインL8は、本発明の冷水回路を構成する。冷水循環ラインL8に接触した冷媒液W51は、冷水循環ラインL8を循環流通する水から潜熱を吸収して蒸気化する。これにより、冷水循環ラインL8を循環流通する水は冷水W6となり、蒸気化しなかった冷媒液W51は、第1蒸発器52の底部に再び貯留される。
【0042】
第1凝縮器53は、吸着材Kからの冷媒蒸気の脱着に伴って冷媒蒸気を凝縮させる。第1凝縮器53は、第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bの吸着材Kから脱離した冷媒蒸気と、冷却水返送側ラインL62を流通する冷却水W4とを熱交換させることによって、冷媒蒸気を凝縮させる。この凝縮冷媒は、冷媒液W52として冷媒液回収トレイ531に回収される。回収された冷媒液W52は、第2散布ラインL9を介して冷媒液散布管521に向けて流下し、第1蒸発器52の底部に冷媒液W51として貯留される。
【0043】
冷媒液散布管521の上流側の端部は、接続部J2において、第1散布ラインL10を介して、第1蒸発器52の底部に接続されていると共に、第2散布ラインL9を介して、第1凝縮器53の冷媒液回収トレイ531の底部に接続されている。第1散布ラインL10には、第1蒸発器52の底部に溜まった冷媒液W51を冷媒液散布管521に向けて送出する冷媒液ポンプ57が設けられている。
【0044】
第1蒸発器52の内部には、冷水循環ラインL8の一部が配置される。第1蒸発器52は、第1蒸発器52内で冷媒液が蒸気化する際の気化熱で冷水W6を製造する。冷水循環ラインL8には、冷水W6を冷凍機7から第1蒸発器52に向けて送出する冷水ポンプ91が設けられている。
【0045】
(冷却塔)
冷却塔6は、いわゆる開放式冷却塔であり、
図4に示すように、塔本体61と、散水管62と、充填材63と、貯留部64と、ファン65と、を備える。
【0046】
塔本体61は、冷却塔6のケーシングを形成するものである。塔本体61の上部は開口部611を有する。塔本体61の内部は、開口部611を介して大気と連通している。ファン65は、開口部611に配置される。
【0047】
散水管62は、塔本体61内の上部において、ファン65よりも下方に配置されている。散水管62は、複数のノズルを備え、各ノズルから塔本体61の内部に冷却水を散布する。散水管62には、冷却水ラインL6における冷却水返送側ラインL62の下流側の端部が接続されている。
【0048】
充填材63は、塔本体61の内部において、散水管62の下方に配置されている。散水管62から散布された冷却水は、この充填材63と接触しながら塔本体61内を流下する。充填材63は、散水管62から散布された冷却水を液滴状及び/又は液膜状にして冷却水と外気との接触面積及び接触時間を長くし、冷却水を効率的に冷却する。
【0049】
貯留部64は、塔本体61の下部に設けられる。貯留部64は、散水管62から散布されて充填材63と接触しながら流下した冷却水を貯留する。貯留部64の底部には、冷却水送出側ラインL61の上流側の端部が接続されている。
【0050】
ファン65は、塔本体61の開口部611に配置されている。ファン65は、上方に配置されるファンモータ651により予め設定された速度で回転し、塔本体61内の空気を開口部611から外部に排出させるように気流を発生させる。塔本体61の下方側部には、図示しないルーバが形成されており、このルーバから塔本体61内に外気を流入させるようになっている。ファン65の回転によりルーバから塔本体61内の下部に流入した空気は、塔本体61内を上昇する過程で、充填材63と接触しながら流下する冷却水から蒸発潜熱を奪って冷却する。冷却塔6は、ファンモータ651の駆動により稼動状態となり、ファンモータ651の停止により停止状態となる。ファンモータ651の駆動及び停止は、制御部10により制御される。
【0051】
冷却水送出側ラインL61には、冷却水ポンプ66が設けられている。冷却水ポンプ66の吸入側の冷却水送出側ラインL61は、吸入側ラインL611とされ、冷却塔6の貯留部64と接続される。また、冷却水ポンプ66の吐出側の冷却水送出側ラインL61は、吐出側ラインL612とされ、流路切替制御弁8と接続される。
【0052】
なお、冷温水機5の位置が冷却塔6よりも高い場合、冷却水ポンプ66の停止時に冷却水返送側ラインL62内の冷却水W4が冷却塔6内に抜け落ち、冷却塔6内からのオーバーフローで消費されるおそれがある。従って、このような場合には、冷却水返送側ラインL62に、制御部10により開閉制御される電磁弁(図示せず)を設けておき、冷却水ポンプ66の停止時に電磁弁を閉弁するように構成されることが望ましい。
【0053】
また、冷却塔6は、開放式に制限されず、密閉式でもよい。密閉式の冷却塔とする場合、冷却水ポンプ66は、冷却水返送側ラインL62に設けられてもよい。
【0054】
(冷凍機)
本実施形態の冷凍機7は、
図4に示すように、圧縮機71と、第2凝縮器72と、過冷却器73と、膨張弁74と、第2蒸発器75と、を備える蒸気圧縮式の冷凍機である。これら圧縮機71、第2凝縮器72、過冷却器73、膨張弁74及び第2蒸発器75は、内部を冷媒が流通可能な冷媒循環ラインL101〜L105により環状に接続されている。なお、以下の冷媒温度に関する記述は相対的なものであって、高温>準高温>準低温>低温の関係である。
【0055】
圧縮機71は、低圧・低温の冷媒蒸気を加圧圧縮し、高圧・高温の冷媒蒸気を得る。圧縮機71で生成した高圧・高温の冷媒蒸気は、冷媒循環ラインL101を介して第2凝縮器72に送られる。
【0056】
第2凝縮器72は、冷媒循環ラインL101を介して送られる高圧・高温の冷媒蒸気から放熱させ、高圧・準常温の冷媒液に相変化させる。第2凝縮器72で生成した高圧・準高温の冷媒液は、冷媒循環ラインL102を介して、過冷却器73に送られる。なお、第2凝縮器72は、空冷式及び水冷式のいずれでもよいが、本実施形態の第2凝縮器72は、冷媒液を空冷するためのファン76が設けられた空冷式の凝縮器を例示している。ファン76は、ファンモータ761により回転する。ファンモータ761の駆動は制御部10により制御される。
【0057】
過冷却器73は、冷媒循環ラインL102を介して第2凝縮器72から送られる高圧・準常温の冷媒液を相変化させずに更に冷却し、高圧・準低温の冷媒液を得る。過冷却器73の冷媒冷却には、冷水循環ラインL8を循環する冷水W6を用いる。過冷却器73で生成した高圧・準で低温の冷媒液は、冷媒循環ラインL103を介して、膨張弁74に送られる。
【0058】
膨張弁74は、冷媒循環ラインL103を介して送られる高圧・準低温の冷媒液を減圧膨張させ、低圧・低温の冷媒液(及び冷媒蒸気)を得る。膨張弁74で生成した低圧・低温の冷媒液は、冷媒循環ラインL104を介して、第2蒸発器75に送られる。
【0059】
第2蒸発器75は、冷媒循環ラインL104を介して送られる低圧・低温の冷媒液に吸熱させ、低圧・低温の冷媒蒸気に相変化させる。このとき、周囲の熱が奪われることにより冷熱が取り出される。第2蒸発器75で生成した低圧・低温の冷媒蒸気は、冷媒循環ラインL105を介して、圧縮機71に送られる。
【0060】
圧縮機71の駆動により、冷凍機7の各機器において上記の動作が繰り返される。これにより、第2蒸発器75において冷熱の取り出しが継続的に行われる。なお、第2蒸発器75には、ショーケース内に冷熱を送風するためのファン77が設けられている。ファン77は、ファンモータ771により回転する。ファンモータ771の駆動は制御部10により制御される。
【0061】
冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52と過冷却器73が環状に接続されて冷水W6が循環される本発明の冷水回路を構成する。冷水循環ラインL8は、第1蒸発器52の冷水出口と過冷却器73の冷水入口とを接続する冷水送出側ラインL81と、過冷却器73の冷水出口と第1蒸発器52の冷水入口とを接続する冷水返送側ラインL82と、を備える。冷水返送側ラインL82には、冷水W6を循環させるための冷水ポンプ78が設けられている。この冷水ポンプ78は、予め設定された駆動周波数に応じた一定の回転速度で駆動される。
【0062】
(冷温水機5の吸着・脱着プロセス切替制御)
次に、熱電併給システム1を構成する冷温水機5の吸着・脱着プロセスの切替制御について説明する。
冷温水機5の吸着・脱着プロセスの切替えは、制御部10によって流路切替制御弁8が切替えられることによって行われる。従来では、この吸着・脱着プロセスの切替えは、予め設定された設定時間毎に行われていたが、本発明における熱電併給システム1では、制御部10により次の手順で行われる。
【0063】
(i)一方の吸脱着器51で吸着プロセスを実行させながら、他方の前記吸脱着器で脱着プロセスを実行させるように流路切替制御弁8を制御する。即ち、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bのプロセス状態が重複しないように、温水W2と冷却水W4の供給を切り替える。
(ii)吸脱着器51に対する単位時間当たりの投入熱量(=オフガスから回収できた熱量)を監視する。
(iii)単位時間当たりの投入熱量の値が予め設定された所要値を下回った場合に、一方の吸脱着器51を脱着プロセスから吸着プロセスに切り替えると共に、他方の吸脱着器51を吸着プロセスから脱着プロセスに切り替えるように、流路切替制御弁8を制御する。
これにより、適切なタイミングで冷温水機5の吸着・脱着プロセスを切替え、オフガスG1からの熱回収を継続することが可能である。
【0064】
具体的には、熱電併給システム1は、
図1に示すように、第1熱交換器3と吸脱着器51との間で温水W2を循環させる温水回路に、第1温度センサS1と、第2温度センサS2と、流量センサS3と、を備える。
【0065】
第1温度センサS1は、温水W2を第1熱交換器3から吸脱着器51に向けて供給する温水回路の往路に設けられる。第1温度センサS1の測定値は、制御部10に出力される。本実施形態の第1温度センサS1は、温水送出側ラインL41に設けられているが、脱着プロセス状態にある吸脱着器51に流入する温水W2の温度を測定可能であれば、位置は特に制限されない。第1温度センサS1は、例えば流路切替制御弁8に組み込むこともできる。この第1温度センサS1は、本発明の第1温度測定手段に対応する。
【0066】
第2温度センサS2は、温水W2を吸脱着器51から第1熱交換器3に向けて返送する温水回路の復路に設けられる。第2温度センサS2の測定値は、制御部10に出力される。本実施形態の第2温度センサS2は、温水ラインL4の温水返送側ラインL42に設けられているが、脱着プロセス状態にある吸脱着器51から流出する温水W2の温度を測定可能であれば、位置は特に制限されない。第2温度センサS2は、例えば流路切替制御弁8に組み込むこともできる。この第2温度センサS2は、本発明の第2温度測定手段に対応する。
【0067】
流量センサS3は、第1熱交換器3と吸脱着器51が環状に接続された温水回路に設けられる。流量センサS3の測定値は、制御部10に出力される。本実施形態の流量センサS3は、温水送出側ラインL41に設けられているが、脱着プロセス状態にある吸脱着器51を流通する温水W2の流量を測定可能であれば、位置は特に制限されない。流量センサS3は、例えば流路切替制御弁8に組み込むこともできる。この流量センサS3は、本発明の流量測定手段に対応する。
【0068】
制御部10は、第1温度センサS1の測定値(第1温度値T1)と、第2温度センサS2の測定値(第2温度値T2)と、流量センサS3の測定値(流量値F)とから、脱着プロセス状態にある吸脱着器51に対する単位時間当たりの投入熱量、即ち、第1熱交換器3によりオフガスG1から回収できた熱量を監視する。そして、その投入熱量の値が、予め設定された所要値を下回った場合に、制御部10は、流路切替制御弁8を制御して、吸脱着器51における吸着・脱着プロセスを切替えるように制御する。この所要値は、制御部10のメモリに予め記憶されている。
【0069】
吸脱着器51の切替判断の基準値となる所要値は、オフガスG1を露点温度以下まで冷却するのに必要な単位時間当たりの熱回収量を100%としたとき、第1熱交換器3での熱回収量が80〜100%となり、第2熱交換器4での熱回収量が20〜0%となるように設定される。つまり、所要値は、オフガス廃熱の80%以上を冷温水機5の駆動用熱源として連続利用することで、小規模の貯湯タンク42及びラジエータ43の併設で燃料電池2の水自立運転を維持可能にしている。
【0070】
制御部10は、内部タイマを有している。内部タイマは、インターロックの作動と解除を切り替えるためのものであり、吸着・脱着プロセスの切替え完了直後にゼロリセットされると共に計時を開始する。インターロックの作動中は、流路切替制御弁8の切替制御が禁止される。冷凍機7で冷水需要が非常に小さいときには、吸着材Kの冷媒吸着量が少ないので、流路切替制御弁8の切替えからごく短時間で単位時間当たりの投入熱量の値が所要値を下回ってしまうことが考えられる。すると、切替え動作の切替頻度が増し、吸着材Kの早期劣化や流路切替制御弁8の故障を招くおそれがある。そこで、インターロック機能により切替インターバルの最短時間を確保し、吸着材Kや流路切替制御弁8の不具合を防止する。本実施形態では、インターロックの作動時間は、吸着・脱着プロセスの切替え完了直後から60秒間に設定されている。この数値は例示であり、変更可能である。
【0071】
制御部10はまた、内部カウンタを有している。内部カウンタは、インターロックの作動中に切替条件を充足し、インターロックの解除直後に切替え動作が行われた連続回数(即時切替動作連続回数N)を計数するためのものである。内部カウンタは、インターロックの作動中に切替条件を充足したことを示す切替フラグがONの状態で切替え動作が行われたときにカウントアップされ、切替フラグがOFFの状態で切替え動作が行われたときにゼロリセットされる。冷凍機7で冷水需要が非常に小さいときには、インターロックの解除直後の切替え動作が連続する可能性がある。そこで、即時切替動作連続回数Nが予め設定された上限値(即時切替動作上限回数N´)以上になる場合には、オフガスG1からの熱回収が十分に行えない状態が継続しているとして、制御部10から警報を出すように構成している。本実施形態では、即時切替動作上限回数N´は、10回に設定されている。なお、警報を受けたシステム管理者は、例えば、冷温水機5を停止させ、貯湯タンク42での蓄熱及び/又はラジエータ43での放熱により燃料電池2の水自立運転を維持する処置を取る。
【0072】
図6は、本発明の第1実施形態に係る熱電併給システム1の制御の一例を示す制御フロー図である。
図6を用いて具体的な切替制御について説明する。
先ず、ステップST1において、制御部10は、内部タイマの計時tが60秒を超えているか否かを判断する。ステップST1において、計時tが60秒を超えていないと判定された場合(ステップ1:NO)には、処理はステップST2に移行し、インターロックをON(作動)にする。一方、ステップST1において、計時tが60秒を超えていると判定された場合(ステップ1:YES)には、処理はステップST3に移行し、インターロックをOFF(解除)にする。ステップST2,ST3の後、処理はステップST4に移行する。
【0073】
ステップST4において、制御部10は、メモリに記憶された設定値である所要値Q´及び即時切替動作上限連続回数N´を読み出す。更に、制御部10は、第1温度センサS1の測定値である第1温度値T1と、第2温度センサS2の測定値である第2温度値T2と、流量センサS3の測定値である流量値Fと、を取得する。そして、制御部10は、第1温度値T1、第2温度値T2、及び流量値Fを用いて単位時間τ当たりの投入熱量Qを次式により演算する。次式において、ΔT=T1−T2である。また、cは水の比熱、ρは水の密度である。
Q[J]=c[J/kg・℃]×ρ[kg/m
3]×F[m
3/s]×τ[s]×ΔT[℃]
本実施形態では、制御部10は、10秒間(τ=10)当たりの投入熱量Qを求めるようにしている。なお、温度差ΔTは、例えば、10秒区間の始点温度差及び終点温度差の算術平均値とする。
【0074】
単位時間当たりの投入熱量Qが求められたら、処理はステップST5に移行する。ステップST5では、制御部10は、投入熱量の演算値Qと所要値Q´とを比較し、演算値Qが所要値Q´を下回っているか否かを判断する。本実施形態では、10秒間当たりの熱回収量の基準値を所要値Q´に設定している。冷凍機7で冷水需要が十分にある条件のとき、脱着プロセス開始時点は、吸着材Kの冷媒吸着量は飽和に近い状態にある。このため、冷媒蒸気の脱離に多くの温熱を消費することができ、単位時間当たりの投入熱量Qが大きくなる。投入熱量Qが大きいということは、オフガスG1から熱回収が十分に行われている状態であることを示している。一方、冷媒蒸気の脱離が進んで吸着材Kの冷媒吸着量が減少すると温熱の消費は少なくなり、単位時間当たりの投入熱量Qは小さくなっていく。この投入熱量Qが所要値Q´を下回った場合には、オフガスG1から熱回収が十分に行われていない状態であることを示している。このため、2つの吸脱着器51の吸着・脱着プロセスを入れ替え、オフガスG1からの熱回収量を増やすようにする。
【0075】
ステップST5において、演算値Qが所要値Q´を下回っていない(Q≧Q´)と判定された場合(ステップST5:NO)には、処理はリターンする。即ち、制御部10は、切替条件(Q<Q´)を充足するまで、単位時間当たりの投入熱量を演算し、その演算値Qと所要値Q´の比較を繰り返す。一方、ステップST5において、演算値Qが所要値Q´を下回っている(Q<Q´)と判定された場合(ステップST4:YES)は、処理はステップST6に移行する。
【0076】
ステップST6において、制御部10は、インターロックがOFFであるか否かを判断する。ステップST6において、インターロックがOFFでないと判定された場合(ステップST6:NO)には、流路切替制御弁8の切替制御が禁止された状態であるため、処理はステップST7に進んで切替フラグをONにする。その後、処理はリターンする。一方、ステップST6において、インターロックがOFFであると判定された場合(ステップST6:YES)には、処理はステップST8に移行する。
【0077】
ステップST8において、制御部10は、切替フラグがONであるか否かを判断する。ステップST8において、切替フラグがONでないと判定された場合(ステップST8:NO)には、インターロックの作動中に切替条件を充足していないため、処理はステップST9に移行する。一方、ステップST8において、切替フラグがONであると判定された場合(ステップST8:YES)には、インターロックの作動中に切替条件を充足しているため、処理はステップST10に移行する。
【0078】
ステップST9において、制御部10は、流路切替制御弁8の切替制御を実行し、2つの吸脱着器51の吸着・脱着プロセスを入れ替える。また、制御部10は、内部タイマをゼロリセット(t=0)して新たな計時を開始させると共に、内部カウンタをゼロリセット(N=0)する。その後、処理はリターンする。
【0079】
ステップST10において、制御部10は、流路切替制御弁8の切替制御を実行し、2つの吸脱着器51の吸着・脱着プロセスを入れ替える。また、制御部10は、内部タイマをゼロリセット(t=0)して新たな計時を開始させると共に、内部カウンタをインクリメント(Nを+1)する。更に、制御部10は、切替フラグをOFFにする。その後、処理はステップST11に進む。
【0080】
ステップST11において、制御部10は、内部カウンタにより計数された即時切替動作連続回数Nが即時切替動作上限連続回数N´以上であるかを判断する。ステップST11において、即時切替動作連続回数Nが即時切替動作上限回数N´以上である(N≧N´)と判定された場合(ステップST11:YES)には、処理はステップST12に進んで警報を出力する。警報の出力は、警報ランプの点滅、モニタ画面等への警報表示、警報音の鳴動等によって行うことができる。警報出力後、処理はリターンする。一方、ステップST11において、即時切替動作連続回数Nが即時切替動作上限連続回数N´以上でない(N<N´)と判定された場合(ステップST11:NO)には、処理はそのままリターンする。
【0081】
この熱電併給システム1は、以上のように、吸脱着器51に対する単位時間当たりの投入熱量を監視し、この投入熱量が燃料電池2の水自立運転の継続に必要な所要値を下回った場合に、2つの吸脱着器51の吸着・脱着プロセスを入れ替えるように流路切替制御弁8を切替制御している。これにより、適切なタイミングで冷温水機5の吸着・脱着プロセスを切替え、オフガスからの熱回収を継続することが可能になっている。その結果、燃料電池2の水自立運転が破綻するおそれがないうえ、吸着材Kを長期に亘って使用することができる。
【0082】
[その他の実施形態]
前述の実施形態では、温水製造手段として第1熱交換器3を備え、第1熱交換器3及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成したが、これに制限されない。温水製造手段の他の態様としては、第1熱交換器3をなくして、第2熱交換器4、貯湯タンク42、冷却媒体循環ラインL5、ラジエータ43及びファン431、並びに循環ポンプ44により温水製造手段を構成してもよい。この場合、貯湯タンク42及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成する。貯湯タンク42内の貯留水の加熱は、熱交換コイルを使用した間接加熱、或いは熱交換コイルを使用しない直接加熱を適宜選択すればよい。これにより、第1熱交換器3が不用になるので、設備コストを抑制することができる。
【0083】
前述の実施形態では、吸脱着器51に対する単位時間当たりの投入熱量Qは、吸脱着器51の入口温水温度と出口温水温度の温度差ΔT、及び温水W2の流量値Fを用いて演算した。これに限らず、オフガスG1の比熱及び密度が判明しているならば、第1熱交換器3の入口オフガスガス温度と出口オフガス温度の温度差ΔT´、及びオフガスG1の流量値F´を用いて投入熱量Qを演算してもよい。