【解決手段】複数の燃料電池2a,2bと、回収器、再生器、凝縮器53、及び蒸発器52を有し、蒸発器52で冷水を製造する冷温水機5と、複数の燃料電池2a,2b毎に設けられ、燃料電池2a,2bで発生するオフガスを熱源として温水を製造する複数の温水製造手段3a,3bと、複数の温水製造手段3a,3bで製造された温水の温熱を再生器で利用させる温水回路と、複数の温水製造手段3a,3bから温水回路に送出される温水の流量を調節可能な流量調節手段90と、複数の温水製造手段3a,3bから温水回路に送出される温水が略均等な温度になるように、流量調節手段90を制御する制御手段10と、を備える。
前記温水回路は、前記複数の温水製造手段で生成させた温水がそれぞれ流通する複数の個別往路;前記個別往路を流通する温水を合流させて前記再生器に送給する共通往路;前記再生器で温熱利用後の温水が流通する共通復路;及び、前記共通復路を流通する温水を分流させて前記複数の温水製造手段に返送する複数の個別復路を有し、
前記流量調節手段は、分流後又は合流前の温水の流量比を調整可能な弁機構を備える、請求項1に記載の冷温水機複合型燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[第1実施形態]
(冷温水機複合型燃料電池システムの全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷温水機複合型燃料電池システムの全体構成の概要を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の冷温水機複合型燃料電池システム1は、主として、複数台(本実施形態では2台)の燃料電池2a,2bと、燃料電池2a,2b毎に設けられる複数の第1熱交換器3a,3bと、冷温水機5と、システム全体の制御を行う制御部10と、を備える。冷温水機複合型燃料電池システム1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置され、燃料電池2a,2bで発電した電力を店舗内に供給すると共に、冷温水機5で製造した冷水をショーケース用冷凍機や空気調和機で利用する。以下の説明では、「冷温水機複合型燃料電池システム」を単に「熱電併給システム」と呼称する。
【0018】
本実施形態の熱電併給システム1は、複数台の燃料電池2a,2bから排出されるオフガスから、第1熱交換器3a,3bで廃熱を回収し、その回収された温熱を冷温水機5の駆動用熱源として利用することにより、冷温水機5で冷水を製造するシステムである。なお、制御部10とシステム内の各制御対象機器との間を電気的に接続する信号線の図示は省略した。この制御部10は、本発明の制御手段に対応する。
【0019】
燃料電池2a,2bで生成さたれオフガスG1は、オフガスラインL1a,L1bを介して第1熱交換器3a,3bにそれぞれ送られる。第1熱交換器3a,3bは、温水ラインL4を流通(循環)する温水W2と、オフガスG1との間で熱交換を行う温水製造手段である。温水ラインL4を流通する温水W2は、詳細には後述する冷温水機5の吸脱着器51に付与する温熱の熱源として利用される。
【0020】
第1熱交換器3a,3bと冷温水機5の吸脱着器51とは、温水ラインL4によって環状に接続されている。具体的には、第1熱交換器3a,3bには、オフガスG1との熱交換により生成された温水W2を冷温水機5の吸脱着器51に向けてそれぞれ送出させる個別往路L41a,L41bが接続されている。個別往路L41a,L41bの下流側の端部は、吸脱着器51よりも手前で、共通往路L42に集合している。共通往路L42は、個別往路L41a,L41bの集合点と冷温水機5の吸脱着器51とを接続する。共通往路L42には、温水W2を冷温水機5に向けて送出する温水ポンプ56が設けられている。これにより、第1熱交換器3a,3bから個別往路L41a,L41bを通って送られる各温水W2は、共通往路L42で合流し、合流後の温水W2が吸脱着器51に供給される。
【0021】
また、吸脱着器51には、温熱が利用された後の温水W2を第1熱交換器3a,3bに向けて送出させる共通復路L43が接続されている。共通復路L43の下流側の端部は、第1熱交換器3a,3bよりも手前で、個別復路L44a,L44bに分岐している。個別復路L44a,L44bは、共通復路L43の分岐点と第1熱交換器3a,3bとを接続する。これにより、吸脱着器51から共通復路L43を通って送られる温水W2は、個別復路L44a,L44bで分流し、分流後の各温水W2は、第1熱交換器3a,3bにそれぞれ返送される。
【0022】
従って、吸脱着器51には、第1熱交換器3a,3bでオフガスG1との熱交換により製造された温水W2が、個別往路L41a,L41b及び共通往路L42を通って供給され、この温水W2の温熱が吸脱着器51で利用される。吸脱着器51で温熱利用された後の温水W2は、共通復路L43及び個別復路L44a,L44bを通って、第1熱交換器3a,3bに並列に返送される。返送された温水W2は、第1熱交換器3a,3bで再びオフガスG1と熱交換され、再加熱された温水W2が生成される。これら個別往路L41a,L41b、共通往路L42、共通復路L43及び個別復路L44a,L44bにより構成される温水ラインL4は、本発明の温水回路を構成する。
【0023】
(燃料電池及びその周辺機器)
次に、
図2を用いて、燃料電池2a,2b及びその周辺機器の具体的構成について説明する。なお、燃料電池2a,2bの周辺機器は同一構成であるため、
図2を用いた説明では、一方の燃料電池2a及びその周辺機器について説明し、他方の燃料電池2b及びその周辺機器については、図示を簡略化すると共に説明を省略する。
【0024】
燃料電池2aは、発電モジュール、パワーコンディショナ及び各種の補機(いずれも図示せず)を備える。発電モジュールは、発電に必要な機器を断熱容器に収容した構成であり、当該機器には、蒸発部、混合部および改質部を有する改質器;複数の発電セルよりなるセルスタック;アノードオフガスとカソードオフガスを燃焼させる燃焼器;燃焼オフガスとアノード空気を熱交換させる空気予熱器、等が含まれる。本実施形態のセルスタックには固体酸化物形の発電セルが使用されており、燃料電池2はSOFCとして構成されている。
【0025】
燃料電池2aの発電モジュールには、原燃料ガスG(都市ガス)、酸化剤ガスA(空気)及び改質水W1(オフガス凝縮水)が供給される。改質器は、原燃料ガスGと改質水W1の水蒸気とを反応させて水素含有の燃料ガスを生成する。セルスタックは、この燃料ガスと酸化剤ガスAとの電気化学反応により発電する。セルスタックから排気されるアノードオフガスとカソードオフガスは、燃焼器で燃焼処理され、燃焼オフガスG1として排出される。この燃焼オフガスG1は、セルスタックの前段に配置された空気予熱器に送られ、酸化剤ガスAの予熱に利用される。なお、セルスタックに固体酸化物形の発電セルを使用した発電モジュールは、高温型セルで650〜800℃、中温型セルで450〜650℃で発電動作する。
【0026】
セルスタックの電池出力は、パワーコンディショナで調整された後に、店舗内に給電される。パワーコンディショナは、セルスタックから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧回路);DC/DCコンバータで昇圧された直流電圧を系統電源と同期の取れた交流電圧に変換する系統連系インバータ(電圧変換回路);及び、セルスタックの出力電流を制御する出力電流制御部(出力制御回路)を有している。系統連系インバータは、店舗内に設置された商用電力系統の配電盤と接続される。系統連系インバータと配電盤とは、系統連系用のスイッチを介して並列・解列を切換可能である。配電盤には、系統電源および複数の分電盤が接続される。分電盤には、店舗内で使用する照明器具、動力装置、コンセント等の負荷機器が接続される。
【0027】
燃料電池2aからは、燃料電池本体の空気予熱器を通過した燃焼オフガスG1(以下、単にオフガスG1という)がオフガスラインL1(L11,L12,L13)を介して排出される。オフガスラインL1上には、オフガスG1の流通方向の上流から下流に向けて、第1熱交換器3aと第2熱交換器4とが順次配設されている。燃料電池2と第1熱交換器3aとの間は、第1オフガスラインL11により接続される。第1熱交換器3aと第2熱交換器4との間は、第2オフガスラインL12により接続される。第2熱交換器4には、第3オフガスラインL13の上流側の端部が接続されている。
【0028】
第2熱交換器4は、第1熱交換器3aで熱交換された後のオフガスG1から更に熱回収するため、冷却媒体循環ラインL5を循環する冷却媒体W3との間で熱交換を行う。本実施形態の熱電併給システム1は、蓄熱用の貯湯タンク42を備えており、貯湯タンク42内の下部には熱交換コイル(図示せず)が配置されている。冷却媒体循環ラインL5は、第2熱交換器4の冷却媒体出口と熱交換コイルの冷却媒体入口とを接続すると共に、熱交換コイルの冷却媒体出口と第2熱交換器4の冷却媒体入口とを接続する。第2熱交換器4でオフガスG1と熱交換されることにより加熱された冷却媒体W3は、貯湯タンク42に送られ、貯湯タンク42内の貯留水と熱交換される。これにより、貯湯タンク42に冷却媒体W3の温熱が蓄えられる。冷却媒体W3は、水、その他の液体(例えばエチレングリコール等を主成分とする不凍液)である。なお、間接加熱用の熱交換コイルを使用せず、貯湯タンク42内の貯留水を冷却媒体W3として循環させ、貯留水を第2熱交換器4で直接加熱するように構成してもよい。
【0029】
貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5上には、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向けて、ラジエータ43及び循環ポンプ44が順次設けられている。
【0030】
ラジエータ43は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かって冷却媒体循環ラインL5を流通する冷却媒体W3とファン431による通風との間で熱交換を行う。所望時にファン431を作動させることで、第2熱交換器4へ供給する冷却媒体W3を外気で冷却して放熱させる。例えば、給湯需要が少なく貯湯タンク42でオフガス廃熱の熱回収が十分にできない場合に、ラジエータ43の冷却作用によって第2熱交換器4に供給する冷却媒体W3をオフガスG1の露点温度以下(例えば40℃以下)に冷却することで、第2熱交換器4においてオフガスG1中の水蒸気を凝縮させることができる。このラジエータ43及びファン431は、本発明の放熱手段に対応する。なお、ラジエータ43とファン431との組は、貯湯タンク42から第2熱交換器4に向かう冷却媒体循環ラインL5に複数組設けられてもよい。ファン431の駆動台数の増減により、通風量を容易に調節することができる。
【0031】
循環ポンプ44は、冷却媒体W3を循環流通させる。循環ポンプ44は、冷却媒体W3の流量を調整可能に構成されていることが望ましい。冷却媒体W3の循環流量を調整することで、貯湯タンク42に供給する冷却媒体W3の温度を一定にすることができる。本実施形態では、循環ポンプ44の駆動モータをブラシレスDCモータとし、このDCモータをパルス幅変調(PWM)により可変速制御するように構成している。循環ポンプ44の作動中、DCモータの駆動電圧パルスのデューティ比を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。また、循環ポンプ44の駆動モータをACモータとし、このACモータをインバータ装置により可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)するように構成してもよい。循環ポンプ44の作動中、ACモータの駆動周波数又は駆動電圧を変化させることで、冷却媒体W3の循環流量を調整することができる。なお、循環ポンプ44は、第2熱交換器4から貯湯タンク42に向かう冷却媒体循環ラインL5上に設けられてもよい。
【0032】
第2熱交換器4において、オフガスG1が冷却媒体W3との間で熱交換されることにより、第3オフガスラインL13には、第2熱交換器4において熱交換された後のオフガスG2と、オフガスG1中の水蒸気が凝縮した凝縮水W1とが排出される。第3オフガスラインL13の途中には、接続部J1が設けられている。接続部J1には、凝縮水送出ラインL21の上流側の端部が接続されている。凝縮水送出ラインL21の下流側の端部は、改質水タンク41に接続されている。第2熱交換器4から排出されるオフガスG2及び凝縮水W1は、接続部J1で分離され、第3オフガスラインL13には、オフガスG2が流通する一方で、凝縮水送出ラインL21には、凝縮水W1が流通する。第3オフガスラインL13の下流側の端部は、店舗の屋外で大気開放されている。
【0033】
凝縮水送出ラインL2を流通する凝縮水W1は、改質水タンク41に送られる。改質水タンク41は、凝縮水W1を改質水W1として貯留する。改質水タンク41には、改質水供給ラインL3の上流側の端部が接続されている。改質水供給ラインL3の下流側の端部は、燃料電池2の改質器に接続されている。なお、改質水供給ラインL3には、改質水タンク41内に貯留された改質水W1を送り出すため、図示しない送水ポンプが設けられている。
【0034】
燃料電池2a,2bは、店舗内の電力需要(負荷電力)に追従した発電出力制御が行われる。例えば、燃料電池2aは、ベースロード機として100%出力で全負荷運転され、燃料電池2bは、ピークロード機として40〜100%出力で部分負荷運転される。そのため、ベースロード機である燃料電池2aは、オフガスG1の廃熱量が安定しているが、ピークロード機である燃料電池2bは、原燃料(都市ガス)の入力調整に応じてオフガスG1の廃熱量が変動する。なお、燃料電池2a,2bの積算発電量に偏りが生じないように、ベースロード機とピークロード機は、所要のタイミングで入れ替えるのが望ましい。
【0035】
(冷温水機)
次に、冷温水機5の具体的構成について説明する。本実施形態の冷温水機5は、詳細には
図3及び
図4に示すように、冷温水機本体50と、第1吸脱着器51aと、第2吸脱着器51bと、蒸発器52と、凝縮器53と、を備える吸着式の冷温水機である。第1吸脱着器51a、第2吸脱着器51b、蒸発器52及び凝縮器53は、真空状態に減圧された冷温水機本体50の内部に収容されている。なお、
図1〜3に示された冷温水機本体50内の機器配置は、単なる例示であって他のレイアウトを採用してもよい。
【0036】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、後述するように、吸着プロセス及び脱着プロセスのいずれかの状態に切り替えられ、一方で吸着プロセスを実行させながら、他方で脱着プロセスを実行する。ただし、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、各プロセスを実行するときの機能は同じである。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bを区別する必要がない場合には、単に「吸脱着器51」と記載する。
【0037】
第1吸脱着器51aと蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1蒸発器52とが連通する連通路には、連通路を開閉する蒸発器側開閉弁体54bが配置されている。蒸発器側開閉弁体54a,54bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御される。
【0038】
第1吸脱着器51aと凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55aが配置されている。第2吸脱着器51bと第1凝縮器53とが連通する連通路には、連通路を開閉する凝縮器側開閉弁体55bが配置されている。凝縮器側開閉弁体55a,55bは、それぞれ、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが吸着プロセスを実行する場合には、閉状態となるように制御部10により制御され、第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bが脱着プロセスを実行する場合には、開状態となるように制御部10により制御される。
【0039】
吸脱着器51は、それぞれ内部に吸着材Kを有する。吸着材Kとしては、例えば、骨格構造にアルミニウム、リン及び鉄を含むゼオライトからなる水蒸気吸着材を挙げることができる。この水蒸気吸着材は、狭い相対蒸気圧の範囲で水蒸気(冷媒蒸気)の吸着量が増大する吸着等温線を描く特性を有するもので、三菱樹脂株式会社より商品名「AQSOA(アクソア)」として販売されているものを例示することができる。
【0040】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bは、それぞれ、冷熱により吸着材Kに冷媒蒸気を吸着させる吸着プロセスと、温熱により吸着材Kから冷媒蒸気を脱着させる脱着プロセスと、を切替え可能である。吸着材Kは、吸着プロセスにおいて、冷却塔6から供給される冷却水W4の冷熱により冷媒蒸気を吸着すると共に、脱着プロセスにおいて、温水W2の温熱により冷媒蒸気を脱着する。なお、吸着プロセスを行っている第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bは、本発明の回収器に対応する。また、脱着プロセスを行っている第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bは、本発明の再生器に対応する。
【0041】
第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bの内部には、それぞれ、吸着材Kに冷熱又は温熱を付与するための冷温熱供給ラインL7の一部が配置されている。第1吸脱着器51a及び第2吸脱着器51bに接続される冷温熱供給ラインL7は、流路切替制御弁8による流路の切替えによって、温水W2が循環する温水ラインL4の一部(
図3,
図4参照)又は冷却水W4が循環する冷却水ラインL6の一部(
図3,
図4参照)を構成する。
【0042】
具体的には、流路切替制御弁8は、
図2及び
図3に示すように、導入側切替弁81と、導出側切替弁82と、を有する。導入側切替弁81の流入側(
図3,
図4における上側)には、温水ラインL4における共通往路L42の下流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷却塔6から冷温水機5に向かう冷却水送出側ラインL61の下流側の端部が接続されている。また、導入側切替弁81の流出側(
図3,
図4における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、流路切替制御弁8から第2吸脱着器51bに向かう供給側ラインL71bの上流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、流路切替制御弁8から第1吸脱着器51aに向かう供給側ラインL71aの上流側の端部が接続されている。
【0043】
一方、導出側切替弁82の流入側(
図3,
図4における下側)には、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bにおいて、第2吸脱着器51bから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72bの下流側の端部が接続されていると共に、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aにおいて、第1吸脱着器51aから流路切替制御弁8に向かう返送側ラインL72aの下流側の端部が接続されている。また、導出側切替弁82の流出側(
図3,
図4における上側)には、温水ラインL4の共通復路L43の上流側の端部が接続されていると共に、冷却水ラインL6において、冷温水機5から第1凝縮器53を経由して冷却塔6に向かう冷却水返送側ラインL62の上流側の端部が接続されている。
【0044】
流路切替制御弁8は、導入側切替弁81及び導出側切替弁82が制御部10によって切り替え制御されることにより、吸脱着器51に導入される流体を温水W2又は冷却水W4のいずれかに切り替える。これにより、吸着プロセスの実行時には、吸脱着器51に冷却水W4が供給され、吸着材Kに冷熱が付与される。一方、脱着プロセスの実行時には、吸脱着器51に温水W2が供給され、吸着材Kに温熱が付与される。
【0045】
ここで、
図3及び
図4は、脱着プロセスを実行している第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bを斜線で示している。即ち、
図3は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、冷却水ラインL6を循環する冷却水W4が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、温水ラインL4を循環する温水W2が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51a(回収器)では、吸着プロセスが実行され、第2吸脱着器51b(再生器)では、脱着プロセスが実行される。このとき、冷却塔6、第1吸脱着器(回収器)51a、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7aによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される冷却水回路を構成する。冷温熱供給ラインL7bは、温水ラインL4の共通往路L42及び共通復路L43と吸脱着器51bとの間を接続し、本発明の温水回路の一部を構成する。
【0046】
一方、
図4は、第1吸脱着器51a側の冷温熱供給ラインL7aに、温水ラインL4を循環流通する温水W2が供給され、第2吸脱着器51b側の冷温熱供給ラインL7bに、冷却水ラインL6を循環流通する冷却水W4が供給されるように、流路切替制御弁8が切替え操作された様子を示している。第1吸脱着器51a(再生器)では、脱着プロセスが実行され、第2吸脱着器51b(回収器)では、吸着プロセスが実行される。このとき、冷温熱供給ラインL7aは、温水ラインL4の共通往路L42及び共通復路L43と吸脱着器51bとの間を接続し、本発明の温水回路の一部を構成する。冷却塔6、第2吸脱着器(回収器)51b、及び第1凝縮器53は、冷却水ラインL6及び冷温熱供給ラインL7bによって環状に接続されて、冷却水W4が循環される冷却水回路を構成する。
【0047】
なお、冷却水回路は、上述したように、冷却塔6から供給される冷却水W4を吸脱着器51及び第1凝縮器53の順で直列に流す構成でもよいが、第1凝縮器53及び吸脱着器51の順で直列に流す構成でもよい。また、冷却水回路は、第1凝縮器53及び吸脱着器51に対して並列に冷却水W4を流す構成を採用することもできる。
【0048】
蒸発器52は、吸着材Kへの冷媒蒸気の吸着に伴って冷媒液を蒸気化させることにより冷水W6を製造する。蒸発器52は、冷媒液W51を散布する冷媒液散布管521を有する。冷媒液散布管521は、蒸発器52の上方に配置され、冷水循環ラインL8に冷媒液W51を散布する。冷水循環ラインL8は、蒸発器52と冷水使用設備7との間で環状に接続されて冷水W6が循環されるラインである。冷水循環ラインL8に接触した冷媒液W51は、冷水循環ラインL8を循環流通する水から潜熱を吸収して蒸気化する。これにより、冷水循環ラインL8を循環流通する水は冷水W6となり、蒸気化しなかった冷媒液W51は、蒸発器52の底部に再び貯留される。
【0049】
凝縮器53は、吸着材Kからの冷媒蒸気の脱着に伴って冷媒蒸気を凝縮させる。凝縮器53は、第1吸脱着器51a又は第2吸脱着器51bの吸着材Kから脱離した冷媒蒸気と、冷却水返送側ラインL62を流通する冷却水W4とを熱交換させることによって、冷媒蒸気を凝縮させる。この凝縮冷媒は、冷媒液W52として冷媒液回収トレイ531に回収される。回収された冷媒液W52は、第2散布ラインL9を介して冷媒液散布管521に向けて流下し、蒸発器52の底部に冷媒液W51として貯留される。
【0050】
冷媒液散布管521の上流側の端部は、接続部J2において、第1散布ラインL10を介して、蒸発器52の底部に接続されていると共に、第2散布ラインL9を介して、凝縮器53の冷媒液回収トレイ531の底部に接続されている。第1散布ラインL10には、蒸発器52の底部に溜まった冷媒液W51を冷媒液散布管521に向けて送出する冷媒液ポンプ57が設けられている。
【0051】
(熱電併給システムの温水の流量制御)
次に、熱電併給システム1において、温水ラインL4を流通する温水W2の流量制御について説明する。
熱電併給システム1における温水W2の流量制御は、複数の第1熱交換器3a,3bで生成される温水W2が略均等な温度になるように制御を行うものである。このため、熱電併給システム1は、複数の第1熱交換器3a,3b毎に温水W2の流量を調節可能な流量調節手段を備え、制御部10が、この流量調節手段を制御する構成を有する。
【0052】
なお、略均等とは、第1熱交換器3aと第1熱交換器3bでそれぞれ生成された温水W2の温度差が、0℃を中心にしてプラス側及びマイナス側にある程度の幅を有することをいう。この温度差は0℃であることが望ましいが、現実には、温度差が0℃となることを目標として、ある程度の幅を有する温度差の範囲に収束するように温水W2の流量が制御される。本実施形態では、この温度差は、±2℃の範囲とされる。
【0053】
図1,
図2には、流量調節手段の一実施形態として、温水ラインL4に三方弁90が設けられている。三方弁90は、制御部10から入力される開度指定信号に対応する開度で作動される弁機構(三方型比例制御弁)である。本実施形態の三方弁90は、温水ラインL4の共通復路L43と個別復路L44a,L44bとの分岐部において、共通復路L43と個別復路L44aとの間を温水W2が流通可能に接続すると共に、共通復路L43と個別復路L44bとの間を温水W2が流通可能に接続する。なお、三方弁90の3つのポートのうち、共通復路L43の接続ポートを入口ポート、個別復路L44aの接続ポートを第1出口ポート、個別復路L44bの接続ポートを第2出口ポートとする。
【0054】
この三方弁90は、第1出口ポートを出て第1熱交換器3aに向かう温水W2の分流と、第2出口ポートを出て第1熱交換器3bに向かう温水W2の分流との流量比を調整可能である。即ち、三方弁90は、開度を調整するアクチュエータ回路(図示せず)を備え、このアクチュエータ回路に0〜100%の開度指定信号が入力されることにより、第1出口ポート側の開度と第2出口ポート側の開度とが調節される。但し、第1出口ポート側及び第2出口ポート側の流量比の合計は常に100%である。これにより、冷温水機5から第1熱交換器3a,3bに返送される温水W2の流量比、即ち、第1熱交換器3a,3bから冷温水機5に供給される温水W2の流量比が調節される。
【0055】
三方弁90の開度は、第1出口ポート側の開度を基準とする。即ち、第1出口ポート側の開度が、0%→25%→50%→75%→100%となる場合、第2出口ポート側の開度は、100%→75%→50%→25%→0%となる。
【0056】
なお、温水ラインL4を流通する温水Wは、共通往路L42に設けられた温水ポンプ56により循環される。本実施形態の温水ポンプ56は、インバータを使用しない商用電源駆動とされ、予め設定された駆動周波数(50Hz又は60Hzの定格駆動周波数)に応じた一定の回転速度で駆動される
【0057】
図1,
図2に示すように、温水ラインL4には、第1温度センサS1と第2温度センサS2とが設けられている。第1温度センサS1は、個別往路L41aに設けられ、個別往路L41aを流通する温水W2の温度を検出する。一方、第2温度センサS2は、個別往路L41bに設けられ、個別往路L41bを流通する温水W2の温度を検出する。第1温度センサS1及び第2温度センサS2は、第1熱交換器3a,3bで生成された温水W2の温度を個別に検出する。第1温度センサS1及び第2温度センサS2の各検出温度値は、制御部10に出力される。第1温度センサS1及び第2温度センサS2は、それぞれ本発明の温度検出手段に対応する。
【0058】
本実施形態の熱電併給システム1では、制御部10が、第1温度センサS1と第2温度センサS2の各検出温度値の差分である検出差分値を求め、この検出差分値が予め設定された目標差分値となるように三方弁90の開度を制御し、第1熱交換器3aから冷温水機5に向けて供給される温水W2の流量と、第1熱交換器3bから冷温水機5に向けて供給される温水W2の流量とを調節するものである。
【0059】
制御部10は、それぞれ入力された第1温度センサS1の検出温度値(第1温度値T1)と第2温度センサS2の検出温度値(第2温度値T2)との検出差分値(ΔT=T1−T2:実測値)を求める。制御部10のメモリ(図示せず)には、この検出差分値の目標値である目標差分値(ΔT0)が予め設定されている。目標差分値は、0℃に設定されている。制御部10は、検出差分値が目標差分値に収束するように、三方弁90の開度を制御して、第1熱交換器3a,3bからそれぞれ冷温水機5に向けて供給される温水W2の流量を調節する。
【0060】
次に、
図5に示す制御フロー図用いて、具体的な流量制御について説明する。以下の制御フローの処理は、制御部10により所定の制御周期(例えば、100ms)で実行される。温水の流量制御の実行時には、冷温水機5及び冷却塔6は稼働された状態であり、温水ポンプ56が駆動された状態である。流量制御の開始時において、制御部10は、三方弁90の初期開度を50%に設定して温水W2を流通状態にする。
【0061】
先ず、ステップST1において、制御部10は、メモリに記憶された目標差分値ΔT0を読み出す。更に、制御部10は、第1温度センサS1の検出温度値である第1温度値T1と、第2温度センサS2の検出温度値である第2温度値T2と、を取得する。
【0062】
制御部10は、第1温度値T1と第2温度値T2とを取得した後、第1温度値T1と第2温度値T2の検出差分値ΔT(=T1−T2)を算出する。また、制御部10は、目標差分値ΔT0と検出差分値ΔTとの差分値(ΔT0−ΔT)である偏差Eを算出する。この偏差Eは、後のステップ(ステップST3)の演算で使用される。
【0063】
ステップST2において、制御部10は、実測値ΔTを目標差分値ΔT0に収束させるため、即ち、偏差E=0にするため、速度型デジタルPIDアルゴリズムを用いて、操作量MV
n(三方弁90の出力%)を演算する。速度型デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期毎に、ステップST1で算出した偏差Eの比例要素、積分要素及び微分要素の3つを組み合わせて、操作量の変化分ΔMV
nを演算する。制御部10は、演算された操作量の変化分ΔMV
nを、前回の制御周期時点の操作量MV
n−1に加算することで、今回の制御周期時点の操作量MV
nを決定する。
【0064】
ステップST3において、制御部10は、ステップST2で演算された操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する三方弁90の開度を演算する。三方弁90の開度は、例えば偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つ偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
E≧−10℃(ΔT≧+10℃,T1>T2)のとき、操作量MV
nは95%出力(第1出口ポート側は上限開度95%)
E=0℃(ΔT=0℃,T1=T2)のとき、操作量MV
nは50%出力(第1出口ポート側は中央開度50%)
E≦10℃(ΔT≦−10℃,T1<T2)のとき、操作量MV
nは5%出力(第1出口ポート側は下限開度5%)
【0065】
ステップST4において、制御部10は、開度の演算値を開度指定信号に変換し、三方弁90のアクチュエータ回路に出力する。これにより、三方弁90は、開度指定信号で指定された開度に移行する。開度指定信号が、例えば4〜20mAの電流値信号とされる場合、下限開度5%のときに4mA出力、上限開度95%のときに20mA出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。開度指定信号が、例えば1〜5Vの電圧値信号とされる場合、下限開度5%のときに1V出力、上限開度95%のときに5V出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。
【0066】
三方弁90の開度を調整した後は、処理はリターンし、ステップST1からの処理が繰り返される。以上の制御により、検出差分値ΔTが目標差分値ΔT0に収束するように三方弁90の開度が調整される。このため、第1熱交換器3a及び第1熱交換器3bからそれぞれ冷温水機5に向けて供給される温水W2の流量が調整される。これにより、複数台の燃料電池2a,2bの負荷状態に合わせて、冷温水機5に安定して温熱を供給することが可能となる。
【0067】
なお、三方弁90は、共通復路L43と個別復路L44a,L44Bとの分岐点に配置されるものに制限されない。三方弁90は、例えば個別往路L41A,L41Bと共通往路L42との集合点に配置されてもよい。
【0068】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る熱電併給システム1Aの全体構成図である。
図1と同一符号の部位は、同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明は上記説明を援用し、以下では省略する。
本実施形態の熱電併給システム1Aは、弁機構として、第1実施形態の三方弁90に代えて、複数の比例制御弁91a,91bを用いている。
【0069】
本実施形態の比例制御弁91a,91bは、温水ラインL4における個別復路L44a,L44bに設けられているが、個別往路L41a,L41bに設けられてもよい。この比例制御弁91a,91bは、制御部10から入力される開度指定信号に対応する開度で作動される弁機構である。即ち、比例制御弁91a,91bは、開度を調整するアクチュエータ回路(図示せず)を備え、このアクチュエータ回路に0〜100%の開度指定信号が入力されることにより、開度指定信号に対応して開度が調節される。但し、比例制御弁91a及び比例制御弁91bは、各弁の流量比の合計が常に100%になるように制御される。
【0070】
次に、第2実施形態に係る熱電併給システム1Aの制御フローについて、
図5を用いて説明する。温水の流量制御の実行時には、冷温水機5及び冷却塔6は稼働された状態であり、温水ポンプ56が駆動された状態である。流量制御の開始時において、制御部10は、比例制御弁91a,91bの初期開度をそれぞれ50%に設定して温水W2を流通状態にする。
【0071】
なお、比例制御弁91a及び比例制御弁91bの開度は、比例制御弁91aの開度を基準に決定され、比例制御弁91bの開度は比例制御弁91aの開度に追随して決定される。即ち、比例制御弁91aの開度が、0%→25%→50%→75%→100%となる場合、比例制御弁91bの開度は、100%→75%→50%→25%→0%となる。
【0072】
先ず、ステップST1において、制御部10は、メモリに記憶された目標差分値ΔT0を読み出すと共に、第1温度センサS1の検出温度値である第1温度値T1と、第2温度センサS2の検出温度値である第2温度値T2と、を取得する。更に、制御部10は、第1温度値T1と第2温度値T2とから検出差分値ΔT(=T1−T2)を算出すると共に、目標差分値ΔT0と実測値ΔTとの差分値(ΔT0−ΔT)である偏差Eを算出する。
【0073】
ステップST2において、制御部10は、実測値ΔTを目標差分値ΔT0に収束させるため、即ち、偏差E=0にするため、速度型デジタルPIDアルゴリズムを用いて、比例制御弁91aの操作量MV
n(比例制御弁91aの出力%)を演算する。速度型デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期毎に、ステップST1で算出した偏差Eの比例要素、積分要素及び微分要素の3つを組み合わせて、操作量の変化分ΔMV
nを演算する。制御部10は、演算された操作量の変化分ΔMV
nを、前回の制御周期時点の操作量MV
n−1に加算することで、今回の制御周期時点の操作量MV
nを決定する。
【0074】
ステップST3において、制御部10は、ステップST2で演算された比例制御弁91aの操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する比例制御弁91aの開度を演算する。比例制御弁91aの開度は、例えば偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つ偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
ステップST3において、制御部10は、ステップST2で演算された操作量MV
n(0〜100%出力)に対応する三方弁90の開度を演算する。三方弁90の開度は、例えば偏差E=0のときに50%出力相当となり、且つ偏差Eに比例するように決定される。具体的に例示すると次の通りである。
E≧−10℃(ΔT≧+10℃,T1>T2)のとき、操作量MV
nは95%出力(比例制御弁91aは上限開度95%)
E=0℃(ΔT=0℃,T1=T2)のとき、操作量MV
nは50%出力(比例制御弁91aは中央開度50%)
E≦10℃(ΔT≦−10℃,T1<T2)のとき、操作量MV
nは5%出力(比例制御弁91aは下限開度5%)
【0075】
比例制御弁91bの開度は、比例制御弁91aの開度に追随する。具体的には、比例制御弁91bの開度は、「100%−比例制御弁91aの開度%」で決定される。つまり、比例制御弁91aが上限開度95%のとき、比例制御弁91bは下限開度5%となり、比例制御弁91aが中央開度50%のとき、比例制御弁91bも中央開度50%となり、比例制御弁91aが下限開度5%のとき、比例制御弁91bは上限開度95%となる。
【0076】
ステップST4において、制御部10は、開度の演算値を開度指定信号に変換し、比例制御弁91a,91bのアクチュエータ回路にそれぞれ出力する。これにより、比例制御弁91a,91bは、開度指定信号で指定された開度にそれぞれ移行する。開度指定信号が、例えば4〜20mAの電流値信号とされる場合、下限開度5%のときに4mA出力、上限開度95%のときに20mA出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。開度指定信号が、例えば1〜5Vの電圧値信号とされる場合、下限開度5%のときに1V出力、上限開度95%のときに5V出力となるように、指定する開度と出力する電流値とは比例関係とされる。
【0077】
比例制御弁91a、91bの開度を調整した後は、処理はリターンし、ステップST1からの処理が繰り返される。以上の制御により、検出差分値ΔTが目標差分値ΔT0に収束するように比例制御弁91a,91bの開度が調整される。このため、第1熱交換器3a及び第1熱交換器3bからそれぞれ冷温水機5に向けて供給される温水W2の流量が調整される。従って、この熱電併給システム1Aにおいても、複数台の燃料電池2a,2bの負荷状態に合わせて、冷温水機5に安定して温熱を供給することが可能となる。
【0078】
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態に係る熱電併給システム1Bの全体構成の概要を示すブロック図である。
図1と同一符号の部位は、同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明は上記説明を援用し、以下では省略する。なお、
図7において、燃料電池2a,2bの図示は省略した。
本実施形態に係る熱電併給システム1Bは、バッファタンク100を有する。このバッファタンク100は、第1熱交換器3a,3bに対して共通に設けられ、内部に温水を貯留している。
【0079】
第1熱交換器3a,3bとバッファタンク100とは、それぞれ温水W21が循環される一次循環路L45a,L45bで接続されている。一次循環路L45aは、第1熱交換器3aとバッファタンク100の内部に配置された伝熱コイルとを接続する。一次循環路L45bは、第1熱交換器3bとバッファタンク100の内部に配置された伝熱コイルとを接続する。伝熱コイルは、一次循環路L45a,L45bを流通する温水W21と、バッファタンク100に貯留される温水との間で熱交換を行う。
【0080】
一次循環路L45a,L45bには、それぞれ循環ポンプ33a,33bが設けられている。循環ポンプ33a,33bは、バッファタンク100から第1熱交換器3a,3bに向けて温水W21が返送される復路L452a,L452bに設けられている。循環ポンプ33a,33bは、温水W21の流量を調整可能であり、本発明の流量調節手段に対応する。
【0081】
即ち、循環ポンプ33a,33bは、駆動モータをブラシレスDCモータとし、このDCモータをパルス幅変調(PWM)により可変速制御するように構成することができる。循環ポンプ33a,33bの作動中、DCモータの駆動電圧パルスのデューティ比を変化させることで、温水W21の循環流量を調整することができる。また、循環ポンプ33a,33bは、駆動モータをACモータとし、このACモータをインバータ装置により可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)するように構成してもよい。循環ポンプ33a,33bの作動中、ACモータの駆動周波数又は駆動電圧を変化させることで、温水W21の循環流量を調整することができる。
【0082】
一方、バッファタンク100と冷温水機5とは、温水W22が循環される二次循環路L46で接続されている。二次循環路L46は、バッファタンク100の内部に配置された伝熱コイルと冷温水機5内の吸脱着器51とを接続する。伝熱コイルは、バッファタンク100に貯留される温水と、二次循環路L46を流通する温水W21との間で熱交換を行う。
【0083】
二次循環路L46において、バッファタンク100から冷温水機5の吸脱着器51に向けて温水W22が流通する往路L461は、熱電併給システム1,1Aにおける共通往路L42に対応する。また、二次循環路L46において、冷温水機5の吸脱着器51からバッファタンク100に向けて温水W22が流通する復路L462は、熱電併給システム1,1Aにおける共通復路L43に対応する。往路L461には、温水ポンプ56が設けられる。
【0084】
第3実施形態の熱電併給システム1Bでは、温水製造手段として上述した第1熱交換器3a,3bを有している。また、温水回路は、上述したバッファタンク100と、一次循環路L45a,L45bと、二次循環路L46と、を有している。なお、第3実施形態では、第2熱交換器4、貯湯タンク42、冷却媒体循環ラインL5、ラジエータ43及びファン431、並びに循環ポンプ44は、設けなくともよい。代わりに、復路L452a,L452bのそれぞれにラジエータ及びファンを設けておく。バッファタンク100内の温水W2の温度がオフガスG1の露点温度超過となった場合に、ラジエータのファンを駆動することにより、第1熱交換器3a,3bに返送される温水W21をオフガスG1の露点温度以下に冷却でき、燃料電池2a,2bの水自立運転を継続することができる。
【0085】
この熱電併給システム1Bでは、冷温水機5の吸脱着器51に供給される温水W22の温度は、バッファタンク100の貯留温水の温度に左右される。従って、この熱電併給システム1Bは、バッファタンク100の貯留温水を所望の温度に維持するため、一次循環路L45a,L45bを循環する温水W21の流量を調節して、第1熱交換器3a,3bの出湯温度を制御する。
【0086】
このため、一次循環路L45a,L45bに、それぞれ第1温度センサS1及び第2温度センサS2が設けられる。第1温度センサS1は、バッファタンク100の入口側の流路である往路L451aに設けられる。第2温度センサS2は、バッファタンク100の入口側の流路である往路L451bに設けられる。
【0087】
制御部10は、第1温度センサS1及び第2温度センサS2から、一次循環路L45a,L45b毎に検出温度値を取得し、予め設定された目標温度値と比較する。そして、制御部10は、検出温度値が目標温度値となるように、循環ポンプ33a,33bをそれぞれ個別に制御する。
【0088】
即ち、制御部10は、循環ポンプ33a,33bの作動中に、所定の制御周期毎に第1温度センサS1及び第2温度センサS2の検出温度値を監視し、それぞれの検出温度値が目標温度値に維持されるように、循環ポンプ33a,33bの駆動モータ出力をそれぞれ調整する。これにより、一次循環路L45a,L45bを循環する温水W21の流量が調節される。この駆動モータ出力の調整には、例えば、上述したように速度型デジタルPIDアルゴリズムによるフィードバック制御を用いることができる。これにより、第1熱交換器3a,3bの出湯温度をそれぞれ所定の目標温度値に維持することができるため、バッファタンク100の貯留温水の温度を所望の温度に維持することができる。その結果、燃料電池2a,2bの負荷状態に影響されることなく、冷温水機5に安定的に温熱供給することが可能となる。
【0089】
なお、一次循環路L45a,L45bを循環する温水W21の流量は、可変速制御可能な循環ポンプ33a,33bに代えて、
図6に示した比例制御弁91a,91bと同様の開度制御可能な比例制御弁を用いてもよい。この場合、循環ポンプ33a,33bは、予め設定された一定の回転速度で駆動される。
【0090】
更に、一次循環路L45a,L45bは、伝熱コイルを使用せずに、バッファタンク100内の貯留温水を直接循環させるようにしてもよい。
【0091】
[第4実施形態]
以上の実施形態では、第1熱交換器3a,3bからの温水W2,W21の温度を検出することにより、流量調節手段(三方弁90;比例制御弁91a,91b;循環ポンプ33a,33b)を制御するものとしたが、燃料電池2a,2bの電池出力(発電量)又は燃料入力(燃料供給量)を個別に検出することにより、流量調節手段を制御することもできる。燃料電池2a,2bの発電量は、燃料供給量によって変わり、燃料供給量が多い状態ほど、発電量と廃熱量が増加するためである。
【0092】
この場合、燃料電池2a,2bは、電池出力又は燃料入力をそれぞれ個別に検出する複数の入出力検出手段を有する。具体的には、電池出力は、パワーコンディショナで交流・周波数変換される前の出力電流値を測定することにより検出することができる。また、燃料入力は、燃料電池2a,2bに供給される原燃料ガス(都市ガス)の流量を測定することにより検出することができる。そして、制御部10は、このようにして入出力検出手段毎に検出された入出力値の比率に応じた温水W2,W21の流量となるように、流量調節手段(三方弁90;比例制御弁91a,91b;循環ポンプ33a,33b)を制御するように構成される。その結果、燃料電池2a,2bの負荷状態に影響されることなく、冷温水機5に安定的に温熱供給することが可能となる。
【0093】
例えば、
図1及び
図6に示す熱電併給システム1,1Aの場合では、入出力検出手段毎に検出された入出力値の比率に応じて、三方弁90の開度や比例制御弁91a,91bの開度がそれぞれ調整され、個別復路L44a,L44bを流通する温水W2の流量比が調整される。また、
図7に示す熱電併給システム1Bの場合では、入出力検出手段毎に検出された入出力値の絶対値に応じて、循環ポンプ33a,33bの回転速度や比例制御弁の開度がそれぞれ調整され、一次循環路L45a,L45bを循環する温水W21の流量が調整される。
【0094】
[その他の実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態では、燃料電池2aに付設される温水製造手段として第1熱交換器3aを備え、第1熱交換器3a及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成したが、これに制限されない。温水製造手段の他の態様としては、第1熱交換器3aをなくして、第2熱交換器4、貯湯タンク42、冷却媒体循環ラインL5、ラジエータ43及びファン431、並びに循環ポンプ44により温水製造手段を構成してもよい。この場合、貯湯タンク42及び吸脱着器51(再生器)を温水ラインL4及び冷温熱供給ラインL7で環状に接続することにより温水回路を形成する。貯湯タンク42内の貯留水の加熱は、熱交換コイルを使用した間接加熱、或いは熱交換コイルを使用しない直接加熱を適宜選択すればよい。これにより、第1熱交換器3が不用になるので、設備コストを抑制することができる。なお、燃料電池2bに付設される温水製造手段についても同様である。
【0095】
冷温水機5は、第1吸脱着器51aと第2吸脱着器51bの2つの吸脱着器を用い、吸着プロセス及び脱着プロセスを交互に切り替えるように構成したが、これに制限されない。図示しないが、空調用のデシカントロータのように、1つのディスク状の吸脱着器で構成し、回転するディスクの吸着ゾーンと脱着ゾーンで冷媒蒸気の回収・再生を並行して行うようにしてもよい。
また、冷温水機は吸着式に制限されず、吸収式を用いることもできる。吸収式の冷温水機では、回収器は吸収器とも呼ばれる。
更に、流量調節手段の制御は、PIDアルゴリズムを用いてフィードバック制御を行うように構成されているが、これに制限されず、PIアルゴリズム又はPアルゴリズムを用いるように構成されてもよい。