【解決手段】光伝送モジュール5は、レセプタクル型光学部10と、ホルダー部30と、カバー部と、を有する。レセプタクル型光学部は、第1方向に延在するフェルール挿入孔が設けられかつ第1方向に垂直な面に第1嵌合部が設けられた樹脂成型体14と、素子部12と、を有する。ホルダー部は、第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部が設けられた背面板33と、第1方向に平行に設けられた第3嵌合部32が設けられた上面板31と、を有し樹脂を含む。カバー部は、ホルダー部とレセプタクル型光学部との間において第1方向に沿って挿入され、第3嵌合部と嵌合可能な第4嵌合部が設けられた上面板を有し、収納位置から前記第1方向に沿って引き出し可能である。
前記レセプタクル型光学部は、前記第1方向に交差するように前記樹脂成型体に設けられた挿入孔を貫通する金属ピンと、前記素子部に電気的に接続されるリード部をさらに有し、
前記カバー部は金属を含み前記金属ピンに電気的に導通可能であり、
前記カバー部には、底面または側面の一部が除去され、前記リード部および前記金属ピンと絶縁される、請求項1または2に記載の光伝送モジュール。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)は第1の実施形態にかかる光伝送モジュール(カバー部が収納状態)の模式斜視図、
図1(b)は第1の実施形態の変形例にかかる光伝送モジュールの模式斜視図、
図1(c)はレセプタクル型光学部のA−A線に沿った模式断面図、である。
【
図2】
図2(a)はホルダー部の斜め上方からみた模式斜視図、
図2(b)は斜め下方からみた模式斜視図、である。
【
図3】
図3(a)はレセプタクル型光学部とホルダー部とが嵌合された模式斜視図、
図3(b)はカバー部の斜め上方からみた模式斜視図、
図3(c)はカバー部の斜め下方から見た模式斜視図、
図3(d)はカバー部の変形例の斜め上方からみた模式斜視図、
図3(e)は変形例の斜め下方からみた模式斜視図、である。
【
図4】
図4(a)は第5嵌合部が凸部であるカバー部の底面を全部除去し斜め上方からみた模式斜視図、
図4(b)は斜め下方からみた模式斜視図。
図4(c)は第5嵌合部が凹部であるカバー部の底面を全部除去し斜め上方からみた模式斜視図、
図4(d)は斜め下方から見た模式斜視図である。
【
図5】
図5(a)は第2の実施形態にかかる光伝送モジュールの模式斜視図、
図5(b)はレセプタクル型光学部上面を覆う金属板の模式平面図、
図5(c)は金属板の模式側面図、である。
【
図6】光コネクタつき光ファイバを用いてJIS FO5対応光送信モジュールと光受信モジュールとを接続する第1比較例にかかる光伝送装置の構成図である。
【
図7】光コネクタなしの光ファイバを用いた第2比較例にかかる光伝送装置の構成図である。
【
図8】
図8(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールとJIS F05対応光伝送モジュールとを接続する前の模式図、
図8(b)は接続後の光伝送装置の構成図、である。
【
図9】第1の実施形態の光伝送モジュールの2つを接続した光伝送装置の構成図である。
【
図10】
図10(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールと光ファイバの一方の端部に設けられたJIS F05形光コネクタとの模式斜視図、
図10(b)は光コネクタがレセプタクル型光学部の樹脂成型体に設けられたフェルール挿入孔に嵌合された光伝送装置の模式斜視図、である。
【
図11】
図11(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールの模式斜視図、
図11(b)は中継アダプタの模式斜視図、
図11(c)は第1の光伝送モジュール、
図11(d)は光伝送装置の構成図、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる光伝送モジュール(カバー部が収納状態)の模式斜視図、
図1(b)は第1の実施形態の変形例にかかる光伝送モジュールの模式斜視図、
図1(c)はレセプタクル型光学部のA−A線に沿った模式断面図、である。
図1(a)、
図1(b)に表すように、光伝送モジュール5は、レセプタクル型光学部10と、ホルダー部30と、カバー部50と、を有する。
【0010】
ホルダー部30は、レセプタクル型光学部10の第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部が設けられた背面板33と、第1方向7に沿って平行に設けられた第3嵌合部を有する上面板31と、を有する。背面板33と上面板31とは、樹脂を含むことができる。
【0011】
カバー部50は、ホルダー部30とレセプタクル型光学部10との間に挿入され、第3嵌合部と嵌合可能な第4嵌合部が設けられた上面板51に有し、収納位置から第1方向7に沿ってスライド可能である。カバー部50は、樹脂材料でも金属材料でもよい。
【0012】
レセプタクル型光学部10は、第1方向7に延在するフェルール挿入孔20が設けられかつ第1方向7に垂直な面に第1嵌合部が設けられた樹脂成型体14と、素子部12と、を有する。
図1(b)において、第1嵌合部21は,樹脂成型体14に設けられた凹部である。さらに、樹脂成型体14には、光コネクタ突起受け孔22が設けられている。また、樹脂成型体14には、第1方向7に交差するように、金属ピン16が埋め込まれている。素子部12には、光素子(発光素子または受光素子)、駆動IC、受光回路などがリード13に接続され、さらに透明樹脂層などで封止されている。
図1(a)に表すように、カバー部50の上面板51のうち、第1方向7に沿って背面板33とは反対の側となる側面に凸部51aを含む第5嵌合部を有することができる。なお、第5嵌合部は、
図1(b)に表すように、凹部51cを含んでもよい。また、第5嵌合部を設けずに2つの先端部が当接するようにしてもよい。但し、凸部51aと凹部51cとを嵌合せる構造の方が2つの光伝送モジュール5、6をより確実に固定できるのでより好ましい。なお、凸部51aを有する光伝送モジュールと、凹部51cを有する光伝送モジュールとの嵌合に関しては、後に詳細に説明する。
【0013】
光源となる発光素子は、LED(light Emitting Diode)またはLD(Laser Diode)とすることができる。発光素子からの放出光の波長は、たとえば、300nm以上かつ1.5μmの波長とすることができる。また、発光素子をLEDとする場合、カバー部50を300nm〜1.5μmの帯域で遮光性材料からなるものとすると、外乱による誤動作を抑制し、ヒトの目に対して安全性を高めることができる。
【0014】
受光素子としては、SiやGeからなるpinダイオードを用いることができる。
【0015】
図1(c)に表すように、レセプタクル型光学部10は樹脂成型体14を貫通する金属ピン16を有することができる。樹脂成型体14の材料として、たとえば、カーボンフィラー入りの導電性樹脂を用いることができる。また、カバー部50をステンレスなどからなる金属成型体とすることができる。金属からなるカバー部50と金属ピン16とを接触させ、かつ金属ピン16を実装基板(図示せず)の接地パターンに接続させることにより、電磁シールド効果を高めてノイズ耐性を改善することができる。
【0016】
図2(a)はホルダー部の斜め上方からみた模式斜視図、
図2(b)はホルダー部の斜め下方からみた模式斜視図、である。
図2(a)では、第2嵌合部35は凸部であり、レセプタクル型光学部10の第1嵌合部21の凹部と互いに嵌合され固定される。この場合、接着剤を用いると、一層強固に固定される。ホルダー部30の背面板33の内壁に設けられた第2嵌合部35は、カバー部50の厚さを選択することにより、レセプタクル型光学部10の前面と背面板33の外壁以外の面(上面、内側面)がホルダー部30から離間した状態にすることができる。なお、第2嵌合部を凹部、レセプタクル型光学部10の第1嵌合部を凸部として嵌合することもできる。
【0017】
また、
図2(b)に表すように、ホルダー部50の下面には、素子部12から外部にリード13が引き出されるための貫通孔37が設けられてもよい。さらに、金属ピン16が外部に引き出されるよう貫通孔38が設けられてもよい。
【0018】
図3(a)はレセプタクル型光学部とホルダー部とが嵌合された模式斜視図、
図3(b)はカバー部の斜め上方からみた模式斜視図、
図3(c)はカバー部の斜め下方から見た模式斜視図、
図3(d)はカバー部の変形例の斜め上方からみた模式斜視図、
図3(e)は変形例の斜め下方からみた模式斜視図、である。
図3(a)に表すように、レセプタクル型光学部10の樹脂成型体14の上面には光コネクタを下から嵌合させるために光コネクタ突起受け孔22が設けられている。また、
図3(b)に表すように、カバー部50の内壁に第1突起(図示せず)を設けると、上から光コネクタ突起受け孔22に嵌合させることができる。
【0019】
図3(a)において、第3嵌合部32は平面視で矩形状の切り欠きであり、第4嵌合部52は突起状である。ホルダー部30を樹脂成型体とし、カバー部50を樹脂成型体または金属成型体とすることにより、カバー部50を第2突起54により第1方向7に沿ってスライドさせるとき、互いが弾性変形を生じて所定の位置に固定できる。第3嵌合部32および第4嵌合部52の形状はこれに限定されない。たとえば、それぞれが、平面視で、円弧、楕円弧、多角形などのうちから選択することができる。
【0020】
図3(b)、
図3(c)は、第5嵌合部が凸部51aであるカバー部50を表す。カバー部50が収納状態でリード13や金属ピン16が接触しないように、金属ピン16から背面板33までのカバー部50の底面の領域および側面の領域を除去してある。また、
図3(d)、
図3(e)では、第5嵌合部が凹部51cであるカバー部50を表す。この場合にも、カバー部50の底面の領域および側面の領域の一部がそれぞれ除去してある。第5嵌合部は、凸部51aと凹部51cとを互いに嵌合させることにより固定される。また、
図3(c)に表される凹部51cに設けられ断面が上方に向かって円弧状の突起51dと、
図3(b)に表される凸部51aに設けられる受け孔51bと、を上下方向に嵌合させるとさらに確実に固定できる。
【0021】
図4(a)は第5嵌合部が凸部であるカバー部の底面を全部除去し斜め上方からみた模式斜視図、
図4(b)は斜め下方からみた模式斜視図。
図4(c)は第5嵌合部が凹部であるカバー部の底面を全部除去し斜め上方からみた模式斜視図、
図4(d)は斜め下方から見た模式斜視図である。
カバー部50の底面が全部除去されているため、金属ピン16やリード13の位置にかかわらず、カバー部50を最も長い距離引き出すことができる。この場合、カバー部50の底面が全部除去され、外乱光の一部が漏れてきても、受光素子はレセプタクル型光学部10の背面部に配置されるので外乱光の影響を十分に低減できる。
【0022】
図5(a)は第2の実施形態にかかる光伝送モジュールの模式斜視図、
図5(b)はレセプタクル型光学部上面を覆う金属板の模式平面図、
図5(c)は金属板の模式側面図、である。
金属板90は、たとえば、ステンレスなどからなる。金属板90のフック部94を樹脂成型体14の挿入孔14aに挿入すると、金属板90をレセプタクル型光学部10に確実に固定できる。たとえば、樹脂成型体14の材料として導電性樹脂(たとえばカーボンフィラー入りPBT)を使用し、金属ピン16を実装基板(図示せず)のGNDに接続すると、カバー部50の位置に関係なく高いシールド効果を得ることができる。
【0023】
次に、point to pointの光伝送装置を構成する場合、光伝送路が異なると、使用する光伝送モジュールが異なる場合があることを説明する。
図6は、光コネクタつき光ファイバを用いて光送信モジュールと光受信モジュールとを接続する第1比較例にかかる光伝送装置の構成図である。
【0024】
光伝送モジュール181、182から光コネクタ付き光ファイバ172を着脱する場合、光コネクタ171をつかめるだけに長さが必要なので2つの光コネクタ171の長さの和以下の伝送距離は実現できない。
【0025】
図7は、光コネクタなしの光ファイバを用いた第2比較例にかかる光伝送装置の構成図である。
第2比較例では、光ファイバ172の両端に光コネクタを用いず、光ファイバ172の両端をそれぞれ光伝送モジュール183、184に接続する。このため第1比較例よりも伝送距離を短くできる。しかしながら、要求される温度範囲が広い場、熱収縮によりピストニングが生じ、光ファイバ透過光量が減少し伝送品質が低下するなどの問題がある。また、光ファイバ172の両端を光伝送モジュールにそれぞれ接続する必要であるので、第1比較例の光伝送モジュールをそのまま用いることができない。さらに、第1、2比較例の光伝送モジュールでは、短距離空間伝送ができない。
【0026】
図8(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールとJIS F05対応光伝送モジュールとを接続する前の模式図、
図8(b)は接続後の光伝送装置の構成図、である。
第1の実施形態の光伝送モジュール5と、JIS F05対応光伝送モジュール65とが接続される。第1の実施形態の光伝送モジュール5のカバー部50をスライドさせて、カバー部50の内壁の突起53をJIS F05形光コネクタ付き光ファイバに適合した突起受け孔66に嵌合させる。カバー部50内の空間でファイバレス短距離空間伝送が可能となる。
【0027】
カバー部50をJIS F05対応光伝送モジュール65よりも一回り大きくすると、カバー部50の突起53が光伝送モジュール65の突起受け孔66に対して上からはめ込むようになり嵌合が容易となる。
【0028】
図9は、第1の実施形態の光伝送モジュールの2つを接続した光伝送装置の構成図である。
なお、一方の光伝送モジュールを光送信器(たとえば5)とすると他方の光伝送モジュール(たとえば6)は光受信器とすることができる。カバー部50をホルダー部30内に完全に収納すると、光送信器と光受信器とを最短距離にできる。光送信器と光受信器との距離は、実装基板のパターンなどに応じてスライド用突起をスライドさせて調整可能である。
【0029】
第1の光伝送モジュール5のカバー部50の第5嵌合部(凸部51a)と、第2の光伝送モジュール6のカバー部50の第5嵌合部(凹部51c)と、を嵌合させる。
【0030】
また、たとえば、光送信器と光受信器とは実装基板のパターンなどに応じて所定の距離に固定し、2つのカバー部50をスライド用突起によりスライドさせ当接または嵌合させることができる。
【0031】
図10(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールと光ファイバの一方の端部に設けられたJIS F05対応光コネクタとの模式斜視図、
図10(b)は光コネクタがレセプタクル型光学部の樹脂成型体に設けられたフェルール挿入孔に嵌合された光伝送装置の模式斜視図、である。
JIS F05対応光コネクタ70がレセプタクル型光学部10の樹脂成型体14に設けられたフェルール挿入孔20に挿入される。この場合、カバー部50はホルダー部30に収納状態とすることができる。光ファイバの他方の端部に設けられた光コネクタも同様に第1の実施形態の光伝送モジュールに接続されることができる。
【0032】
レセプタクル型光学部10の樹脂成型体14に設けられた光コネクタ突起受け孔22は、上側からカバー部50の第1突起53が嵌合され、下側から光コネクタ70の第3突起71に嵌合される。
【0033】
図11(a)は第1の実施形態の光伝送モジュールの模式斜視図、
図11(b)は中継アダプタの模式斜視図、
図11(c)は第1の光伝送モジュール、
図11(d)は光伝送装置の構成図、である。
2つの光伝送モジュール5、6は、中継アダプタ80により接続することができる。カバー部50はいずれも収納状態であるものとする。中継アダプタ80の先端部は、JIS F05対応光コネクタの先端部と同様の形状とする。中継用アダプタ80の内部は空間となっており、中継アダプタ80の第4突起81は、樹脂成型体14に設けられた光コネクタ受け孔22に下側から嵌合される。このため、短距離伝送が可能である。
【0034】
本実施形態にかかる光伝送モジュールは、光通信幹線に比較して伝送距離は短く、伝送容量は比較的少ない。このため、光ファイバを用いるとしてもプラスチック光ファイバ(APF:All Plastic FiberまたはPOF:Plastic Optical Fiber)やプラスチック・クラッド石英光ファイバ(PCF)が多く使用される。たとえば、ACFの場合、伝送損失の極小値は約200dB/km(@600nm)である。
【0035】
また、PCFの場合、伝送損失の極小値は、約6dB/km(@800nm)である。より短距離伝送の場合、空間伝送を用いることができる。伝送信号や光伝送路は、FA機器、通信機器などにより大きく異なる。発光素子がLEDの場合、たとえば、パルス信号繰り返し周波数は、1Gbit/s以下とされる場合が多い。
【0036】
本実施形態にかかる光伝送モジュール5は、他の光伝送モジュールに対してpoint to pointで接続容易である。すなわち、短距離空間伝送、光コネクタつき光ファイバを介した伝送、中継アダプタを介した伝送などに対して、共通の光伝送モジュールにより対応可能となる。
【0037】
本実施形態によれば、信号伝送距離に応じて空間伝送または光ファイバ伝送を選択可能な光伝送モジュールが提供される。また、光伝送モジュール間を、空間、中継アダプタ、光ファイバなどを介して結合することにより光伝送装置を構成できる。光伝送装置は、送信側と受信側の電源系が絶縁された状態で電気信号が伝送されるので異なる電源系であってよい。このため、動作が安定で安全な信号伝送ができる。また、EMIによる誤動作が抑制される。このような光伝送装置は、光伝送モジュールを共通化できるので価格の低減が容易となる。このため、FA機器、通信機器、コンピュータ光リンクなどに広く用いることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。