【解決手段】クローキングデバイスには物体側ハーフフレネルレンズ100,140、画像側ハーフフレネルレンズ120,160、および物体側ハーフフレネルレンズ100,140と画像側ハーフフレネルレンズ120,160の間に位置付けされた平面反射境界110が含まれる。物体側ハーフフレネルレンズ100,140および画像側ハーフフレネルレンズ120,160は各々、内向き表面162,142および外向きフレネル表面144,164を含む。平面反射境界110は内向きミラー表面112を含む。物体側の視認不能化された物体からの光が、物体側ハーフフレネルレンズ100,140、平面反射境界110および画像側ハーフフレネルレンズ120,160により方向転換されてクローキングデバイスの画像側に物体の画像を形成し、被クローキング領域を通過したように見える。
前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第2の端部が、前記基準光学軸に対して近位に位置付けされており、前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部が、前記基準光学軸に対して遠位に位置付けされている、請求項1に記載のクローキングデバイス。
前記物体側ハーフフレネルレンズは、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置付けされた前記物体からの光を前記平面反射境界の前記内向きミラー表面上に集束させるように配向されており、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面は、前記物体側ハーフフレネルレンズからの光を前記画像側ハーフフレネルレンズに反射するように配向されており、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面から反射された光は発散光であり、前記画像側ハーフフレネルレンズは、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面からの前記発散光を集束させて前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の前記画像を形成するように配向されている、請求項1に記載のクローキングデバイス。
前記クローキングデバイスの前記物体側の物体からの光が、物体−前記物体側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−前記物体側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記平面反射境界の内向きミラー表面−前記画像側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記画像側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−画像、という光路を介して前記被クローキング領域の周りに方向転換されている、請求項1に記載のクローキングデバイス。
前記物体側ハーフフレネルレンズは一対の物体側ハーフフレネルレンズを含み、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記第1の側と反対側の前記基準光学軸の第2の側に位置付けされており、
前記画像側ハーフフレネルレンズは一対の画像側ハーフフレネルレンズを含み、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされており、
前記平面反射境界は一対の平面反射境界を含み、前記一対の平面反射境界のうちの一方が、前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、前記一対の平面反射境界のうちの他方が、前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、
前記クローキングデバイスの物体側に位置付けされ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの前記光が、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズ、前記一対の平面反射境界および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズにより前記被クローキング領域の周りに方向変換されて前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
請求項1に記載のクローキングデバイス。
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々が内向き表面および外向きフレネル表面を含み、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記第1の側とは反対側の前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされており、
前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々が内向き表面および外向きフレネル表面を含み、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされており、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされており、
前記一対の平面反射境界の各々が前記基準光学軸に対して平行に配向された内向きミラー表面を含み、前記一対の平面反射境界のうちの一方が、前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、前記一対の平面反射境界のうちの他方が、前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされている、
請求項7に記載のクローキングデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本開示中に記載の1つ以上(1又は複数)の実施形態によると、クローキングデバイスは概して、入射光をクローキング(遮蔽)された領域の周りに導く一対のハーフフレネルレンズおよび平面ミラーを含む。本開示中に記載のクローキングデバイスは、物体からの光を集束させ、反射させ、発散させ、再度集束させるために、平面ミラーと組み合わせた形で、シリンドリカルハーフフレネルレンズを利用することができる。クローキングデバイスは、ビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどのビークル部材をクローキングし、ビークル部材によりひき起こされる「死角」を除去するために使用可能である。死角とは、乗員の視界が妨害され得るビークルの領域を意味する。ハーフフレネルレンズおよび平面ミラーを使用することにより、ドライバは、クローキングデバイスがなければビークルのピラーによって妨害されると思われる画像を知覚することができる。本開示では、クローキングデバイスのさまざまな実施形態およびその使用方法が、添付図面を具体的に参照しながら、さらに詳細に説明される。
【0022】
図1は概して、クローキングデバイスの一実施形態を描いている。クローキングデバイスは、2つのハーフフレネルレンズおよび2つのハーフフレネルレンズの間に位置付けされた1つの平面反射境界と少なくとも部分的に境を接している被クローキング(クローキングされた)領域を含む。本開示中で使用されている「ハーフフレネルレンズ」なる用語は、フレネルレンズの光学軸に直交する方向に沿う長さが短縮されているフレネルレンズを意味する。本開示中で使用される「フレネルレンズ」なる用語は、シリンドリカルフレネルレンズ、すなわち複数の同心環状区分から形成された凸状表面を備えるシリンドリカルレンズを意味する。「境界」(単数および複数)なる用語は、物理的表面を意味する。ハーフフレネルレンズの1つは物体側ハーフフレネルレンズであり得、ハーフフレネルレンズの1つは画像側ハーフフレネルレンズであり得る。平面反射境界は、物体側ハーフフレネルレンズと画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされ得る。物体側ハーフフレネルレンズおよび画像側ハーフフレネルレンズは各々、内向き表面、外向きフレネル表面、第1の端部および第2の端部を有する。本開示中で使用される「内向き表面」は、被クローキング領域に向かって面しまたは被クローキング領域に対して近位にある表面を意味し、「外向き表面」なる用語は、被クローキング領域から離れるように面しまたは被クローキング領域から遠位にある表面を意味し、「フレネル表面」は、複数の光線を共通の焦点距離に屈折させる(曲げる)ことのできる個別の屈折表面を提供する複数の同心溝を備える表面を意味する。物体側ハーフフレネルレンズは、クローキングデバイスの物体側に位置付けされた物体からの入射光を平面反射境界上に集束させるように配向されている。平面反射境界は、物体側ハーフフレネルレンズからの集束された入射光を画像側ハーフフレネルレンズの内向き表面上に反射し発散させるように配向されている。画像側ハーフフレネルレンズは、平面反射境界からの発散する入射光を集束させ、クローキングデバイスの画像側に画像を提供するように配向されている。
【0023】
なおも
図1を参照すると、クローキングデバイスの実施形態は、物体側12、画像側14および4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160を備えるクローキングアセンブリ10を含む。ハーフフレネルレンズ100、140とハーフフレネルレンズ120、160の間に被クローキング領域が位置付けされている。4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の各々は、図に示された座標軸のX軸に沿った長さ、Y軸に沿った厚み、およびZ軸に沿った高さを有する。すなわち、図中に示されているX軸は、4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の長さに沿って延在し、図中に示されているY軸は4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の厚みに沿って延在し、図中に示されているZ軸は4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の高さに沿って延在する。2つのハーフフレネルレンズ100、140は、物体「O」に面するように、クローキングアセンブリ10の物体側12に位置付けされてよく、本開示では物体側ハーフフレネルレンズ100、140と呼ぶことができる。2つのハーフフレネルレンズ120、160は、クローキングアセンブリ10により形成される画像「I」を提供するためにクローキングアセンブリ10の画像側14に位置付けされてよく、本開示では画像側ハーフフレネルレンズ120、160と呼ぶことができる。
【0024】
ハーフフレネルレンズ100、120、140、160は各々、内向き表面102、122、142、162および外向きフレネル表面104、124、144、164をそれぞれ有している。ハーフフレネルレンズ100、120、140、160は各々、第1の端部106、126、146、166および第2の端部108、128、148、168をそれぞれ有している。内向き表面102、122、142、162および外向きフレネル表面104、124、144、164は、第1の端部106、126、146、166と第2の端部108、128、148、168の間にそれぞれ拡がる。
【0025】
ハーフフレネルレンズ160の一例が、
図2Aに描かれている。詳細には、ハーフフレネルレンズ160は、内向き表面162と外向きフレネル表面164を含む。内向き表面162および外向きフレネル表面164は、第1の端部166と第2の端部168の間に拡がる。内向き表面162は、X方向に沿って長さ「l」を有し、第1の端部166は、Y方向に沿って厚み「t」を有する。ハーフフレネルレンズ160は、Z方向に延在する光学軸(図示せず)および高さ「h」を有する。実施形態において、ハーフフレネルレンズ160は、
図2Bに描かれている完全なシリンドリカルフレネルレンズから形成され得る。すなわち、
図2Bに描かれている、長さが「L」(X方向)のフレネルレンズ8を平面9に沿って切断または分割して、2つのハーフフレネルレンズ、例えば
図2Bに描かれた2つのハーフフレネルレンズ120、160を形成することができる。ハーフフレネルレンズ100および140も類似の方法で形成でき、すなわち単一のシリンドリカルフレネルレンズから形成された一対のハーフフレネルレンズとして形成できるということを理解すべきである。同様に、単一のフレネルレンズから一対のハーフフレネルレンズを形成することにより、本開示中に記載のクローキングデバイスの製造コストを削減できる、ということも理解すべきである。
図2Bは、等しいサイズの2つのハーフフレネルレンズを形成するためのシリンドリカルフレネルレンズ8の分割を描いている(すなわち、2つのハーフフレネルレンズ120、160の長さ「l」は「L/2」に等しい。)ものの、本開示中に記載の「ハーフフレネルレンズ」は、1つのレンズの正確に半分でなくてよく、すなわちハーフフレネルレンズの長さ「l」は、シリンドリカルフレネルレンズ8の「L/2」よりも短いかまたは長いものであり得る、ということを理解すべきである。
【0026】
ハーフフレネルレンズ160および本開示中で開示されている他のハーフフレネルレンズは、光線を集束させるのに好適な任意のレンズ材料から形成されてよい。好適なフレネルレンズ材料の非限定的な例には、ガラス、アクリルポリマ、ポリカーボネートポリマ、硬質ビニルポリマが含まれる。ポリマ材料からハーフフレネルレンズを形成することにより、ガラスから形成されたレンズを備えるクローキングデバイスアセンブリと比べて、コスト及び重量が低減されたクローキングデバイスアセンブリを提供できるということを理解すべきである。
【0027】
図1に戻ると、実施形態において、4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の第2の端部108、128、148、168は、物体側12から画像側14まで延在する基準光学軸15に対して近位にまたはこれに隣接して位置付けされている。このような実施形態において、4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160の第1の端部106、126、146、166は、基準光学軸15に対して遠位に位置付けされまたは基準光学軸15から離隔されている。
図1は、それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ100、140の第2の端部108、148同士および画像側ハーフフレネルレンズ120、160の第2の端部128、168同士を互いに接触して位置付けした状態で描いているものの、第2の端部108、148同士および/または第2の端部128、168同士をX軸に沿って互いに離隔して、離隔された第2の端部108、148同士および/または離隔された第2の端部128、168同士の間に非クローキング(クローキングされていない)領域または空隙(図示せず)が存在するようにしてもよい、ということを理解すべきである。このような実施形態においては、非クローキング領域の上方(+Y方向)に位置付けされた物体Oの部分の画像が、クローキングアセンブリ10の画像側14に提供されることはない。
【0028】
基準光学軸15の第1の側(+X方向)における物体側ハーフフレネルレンズ100と画像側ハーフフレネルレンズ120の間に、平面反射境界110を位置付けることができ、第1の側とは反対側の基準光学軸15の第2の側(−X方向)における物体側ハーフフレネルレンズ140と画像側ハーフフレネルレンズ160の間に平面反射境界150を位置付けることができる。実施形態において、
図1に描かれているように、平面反射境界110は、物体側ハーフフレネルレンズ100の内向き表面102から画像側ハーフフレネルレンズ120の内向き表面122まで拡がり、平面反射境界150は、物体側ハーフフレネルレンズ140の内向き表面142から画像側ハーフフレネルレンズ160の内向き表面162まで拡がる。他の実施形態においては、平面反射境界110は、物体側ハーフフレネルレンズ100の内向き表面102から画像側ハーフフレネルレンズ120の内向き表面122まで拡がらなくてもよく、かつ/または平面反射境界150は物体側ハーフフレネルレンズ140の内向き表面142から画像側ハーフフレネルレンズ160の内向き表面162まで拡がらなくてもよい。このような実施形態において、平面反射境界110および/または平面反射境界150は、物体側12と画像側14を2等分しそれらの間に延在する2等分軸16上に位置付けされてよい。すなわち、平面反射境界110は、物体側ハーフフレネルレンズ100の内向き表面102および画像側ハーフフレネルレンズ120の内向き表面122から離隔されていてよく、かつ/または平面反射境界150は、物体側ハーフフレネルレンズ140の内向き表面142および画像側ハーフフレネルレンズ160の内向き表面162から離隔されていてよい。平面反射境界110は、内向きミラー表面112を含んでいてよく、平面反射境界150は、内向きミラー表面152を含んでいてよい。内向きミラー表面112、152は、基準光学軸15に対して平行に配向されてよく、全方向フォトニック結晶またはミラーから製造可能である。
【0029】
平面反射境界110は、基準光学軸15の第1の側(+X方向)でクローキングアセンブリ10に入射する物体Oからの光(
図1中で矢印「1」として図示)が物体側ハーフフレネルレンズ100を通って伝播し(
図1に矢印「2」として図示)、物体側ハーフフレネルレンズ100により内向きミラー表面112上に集束される(
図1に矢印「3」として図示)ように、物体側ハーフフレネルレンズ100に対し位置付けされている。実施形態において、光3は、物体側ハーフフレネルレンズ100によってZ方向に延在する焦線f
1に集束される。このような実施形態において、内向きミラー表面112は、焦線f
1に位置付けされ得る。焦線f
1および本開示中に記載の他の焦線は、本開示に記載の物体側ハーフフレネルレンズの形状によって提供されるということを理解すべきである。例えば、焦線f
1は、物体側ハーフフレネルレンズ100の外向きフレネル表面104内の複数の同心溝(符号なし)に起因しまたはこれらの同心溝によって提供される。光3は、内向きミラー表面112によって反射され、この内向きミラー表面から発散する(
図1に矢印「4」として図示)。画像側ハーフフレネルレンズ120は、内向きミラー表面112により反射されこの内向きミラー表面112から発散する光3が内向き表面122に入射するような形で、平面反射境界110に対し位置付けされる。光4は、画像側ハーフフレネルレンズ120を通って伝播し、この画像側ハーフフレネルレンズ120により集束され(
図1に矢印「5」として図示)、光6は、クローキングアセンブリ10の画像側14で基準光学軸15の第1の側に画像「I」の一部分を提供する。
【0030】
外向きフレネル表面104に入射する光1は、光2として物体側ハーフフレネルレンズ100を通って内向き表面102まで伝播する。光2は概して、物体側ハーフフレネルレンズ100により光3として、平面反射境界110の内向きミラー表面112上の焦線f
1に集束された後、光4として反射され画像側ハーフフレネルレンズ120の内向き表面122上に発散する。光5は、画像側ハーフフレネルレンズ120を通って外向きフレネル表面124まで伝播する。画像側ハーフフレネルレンズ120は、その原初の経路、すなわち光1に対して平行に光5を集束して(
図1に矢印「6」として図示)、クローキングアセンブリ10の画像側14に画像「I」の第1の側の部分(+X方向)を形成する。したがって、基準光学軸15の第1の側(+X方向)の物体Oからの光1は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ100−平面反射境界110−画像側ハーフフレネルレンズ120−画像、という光路を介し画像側へ伝播して、基準光学軸15の第1の側に画像Iを形成する。すなわち、基準光学軸15の第1の側(+X方向)の物体Oからの光1は、物体O−物体側ハーフフレネルレンズ100の外向きフレネル表面104−物体側ハーフフレネルレンズ100の内向き表面102−平面反射境界110の内向きミラー表面112−画像側ハーフフレネルレンズ120の内向き表面122−画像側ハーフフレネルレンズ120の外向きフレネル表面124−画像I、という光路を介して伝播する。
【0031】
平面反射境界150は、基準光学軸15の第2の側(−X方向)でクローキングアセンブリ10に入射する物体Oからの光1が物体側ハーフフレネルレンズ140を通って伝播し(光2)、物体側ハーフフレネルレンズ140により光3として内向きミラー表面152上に集束されるように、物体側ハーフフレネルレンズ140に対し位置付けされている。実施形態において、光3は、物体側ハーフフレネルレンズ140によってZ方向に延在する焦線f
2に集束される。このような実施形態において、内向きミラー表面152は、焦線f
2に位置付けされ得る。光3は、内向きミラー表面152によって反射され、この内向きミラー表面152から光4として発散する。画像側ハーフフレネルレンズ160は、内向きミラー表面152により反射されこの内向きミラー表面152から光4として発散する光3が内向き表面162に入射するような形で、平面反射境界150に対し位置付けされる。光4は、画像側ハーフフレネルレンズ160を通って伝播し(光5)、この画像側ハーフフレネルレンズ160により光6として集束されて、クローキングアセンブリ10の画像側14で基準光学軸15の第2の側に画像「I」の一部分を提供する。
【0032】
外向きフレネル表面144上に入射する光1は、光2として物体側ハーフフレネルレンズ140を通って内向き表面142まで伝播する。光2は概して、物体側ハーフフレネルレンズ140により光3として、平面反射境界150の内向きミラー表面152上の焦線f
2に集束された後、光4として反射され画像側ハーフフレネルレンズ160の内向き表面162上に発散する。光5は、画像側ハーフフレネルレンズ160を通って外向きフレネル表面164まで伝播する。画像側ハーフフレネルレンズ160は、その原初の経路に対し平行に、光6として光5を集束して、クローキングアセンブリ10の画像側14に画像「I」の第2の側の部分(−X方向)を形成する。したがって、基準光学軸15の第2の側(−X方向)の物体Oからの光1は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ140−平面反射境界150−画像側ハーフフレネルレンズ160−画像、という光路を介し画像側へと伝播して、基準光学軸15の第2の側に画像Iを形成する。すなわち、基準光学軸15の第2の側(−X方向)の物体Oからの光1は、物体O−物体側ハーフフレネルレンズ140の外向きフレネル表面144−物体側ハーフフレネルレンズ140の内向き表面142−平面反射境界150の内向きミラー表面152−画像側ハーフフレネルレンズ160の内向き表面162−画像側ハーフフレネルレンズ160の外向きフレネル表面164−画像I、という光路を介して伝播する。
【0033】
組み合わせで、すなわち、クローキングアセンブリ10の物体側12の物体Oからの基準光学軸15の第1の側(+X方向)および第2の側(−X方向)の光1は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ100、140−平面反射境界110、150−画像側ハーフフレネルレンズ120、160−画像、という光路を介して画像側14まで伝播する。すなわち、物体Oからの光1は、物体O−それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ100、140の外向きフレネル表面104、144−それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ100、140の内向き表面102、142−それぞれ平面反射境界110、150の内向きミラー表面112、152−それぞれ画像側ハーフフレネルレンズ120、160の内向き表面122、162−それぞれ画像側ハーフフレネルレンズ120、160の外向きフレネル表面124、164−画像I、という光路を介して伝播する。
【0034】
図1は、同じサイズの、すなわち内向き表面102、122、142、162の長さが互いに等しく第1の端部106、126、146、166の厚みが互いに等しい、4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160を描いているものの、一部の実施形態においては、4つのハーフフレネルレンズ100、120、140、160は同じサイズではない。詳細には、
図3は、互いに異なるサイズのハーフフレネルレンズを備えるクローキングアセンブリ20を描いている。クローキングアセンブリ20は、物体側22、画像側24および4つのハーフフレネルレンズ200、220、240、260を含む。基準光学軸25の第1の側(+X方向)にある2つのハーフフレネルレンズ200、220は、以下でさらに詳述するように、基準光学軸25の第2の側(−X方向)にある2つのハーフフレネルレンズ240、260よりも小さい。ハーフフレネルレンズ200、240とハーフフレネルレンズ220、260の間に、被クローキング領域CRが位置付けされている。4つのハーフフレネルレンズ200、220、240、260の各々は、図に示されているX軸に沿った長さ、Y軸に沿った厚みおよびZ軸に沿った高さを有する。2つのハーフフレネルレンズ200、240は、物体「O」に面するようにクローキングアセンブリ20の物体側22に位置付けされてよく、本開示では物体側ハーフフレネルレンズ200、240と呼ぶことができる。2つのハーフフレネルレンズ220、260は、クローキングアセンブリ20により形成される画像「I」を提供するようにクローキングアセンブリ20の画像側24に位置付けされてよく、本開示では画像側ハーフフレネルレンズ220、260と呼ぶことができる。
【0035】
ハーフフレネルレンズ200、220、240、260は各々、内向き表面202、222、242、262および外向きフレネル表面204、224、244、264をそれぞれ有している。同様に、ハーフフレネルレンズ200、220、240、260は各々、第1の端部206、226、246、266および第2の端部208、228、248、268をそれぞれ有している。内向き表面202、222、242、262および外向きフレネル表面204、224、244、264は、第1の端部206、226、246、266と第2の端部208、228、248、268の間にそれぞれ拡がる。
【0036】
図3に描かれているように、物体側ハーフフレネルレンズ200の内向き表面202は、物体側ハーフフレネルレンズ240の内向き表面242の長さよりも短い長さ(X方向)を有していてよく、画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222は、画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262の長さよりも短い長さを有していてよい。一代替形態において、または付加的に、物体側ハーフフレネルレンズ200の第1の端部206は、物体側ハーフフレネルレンズ240の第1の端部246の厚みよりも小さい厚み(Y方向)を有していてよく、画像側ハーフフレネルレンズ220の第1の端部226は、画像側ハーフフレネルレンズ260の第1の端部266の厚みよりも小さい厚みを有していてよい。実施形態において、ハーフフレネルレンズ200、220、240、260は、ハーフフレネルレンズ200、220、240、260である。
【0037】
実施形態において、第2の端部208、228、248、268は、物体側22から画像側24まで延在する基準光学軸25に対して近位にまたはこれに隣接して位置付けされている。このような実施形態において、第1の端部206、226、246、266は、基準光学軸25に対して遠位に位置付けされまたは基準光学軸25から離隔されている。
図3は、それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ200、240の第2の端部208、248同士およびそれぞれ画像側ハーフフレネルレンズ220、260の第2の端部228、268同士を互いに接触して位置付けした状態で描いているものの、第2の端部208、248同士および/または第2の端部228、268同士をX軸に沿って互いに離隔して、離隔された第2の端部208、248同士および/または離隔された第2の端部228、268同士の間に非クローキング領域または空隙(図示せず)が存在するようにしてもよい、ということを理解すべきである。このような実施形態においては、非クローキング領域の上方(+Y方向)に位置付けされた物体Oの部分の画像が、クローキングアセンブリ20の画像側24に提供されることはない。
【0038】
基準光学軸25の第1の側(+X方向)における物体側ハーフフレネルレンズ200と画像側ハーフフレネルレンズ220の間に、平面反射境界210を位置付けることができ、第1の側とは反対側の基準光学軸25の第2の側(−X方向)における物体側ハーフフレネルレンズ240と画像側ハーフフレネルレンズ260の間に平面反射境界250を位置付けることができる。実施形態において、
図3に描かれているように、平面反射境界210は、物体側ハーフフレネルレンズ200の内向き表面202から画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222まで拡がり、平面反射境界250は、物体側ハーフフレネルレンズ240の内向き表面242から画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262まで拡がる。他の実施形態においては、平面反射境界210は、物体側ハーフフレネルレンズ200の内向き表面202から画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222まで拡がらなくてもよく、平面反射境界250は物体側ハーフフレネルレンズ240の内向き表面242から画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262まで拡がらなくてもよい。このような実施形態において、平面反射境界210および/または平面反射境界250は、物体側22と画像側24を2等分しそれらの間に延在する2等分軸26上に位置付けされてよい。すなわち、平面反射境界210は、物体側ハーフフレネルレンズ200の内向き表面202および画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222から離隔されていてよく、かつ/または平面反射境界250は、物体側ハーフフレネルレンズ240の内向き表面242および画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262から離隔されていてよい。平面反射境界210は、内向きミラー表面212を含んでいてよく、平面反射境界250は、内向きミラー表面252を含んでいてよい。内向きミラー表面212、252は、基準光学軸25に対して平行に配向されてよく、全方向フォトニック結晶またはミラーから製造可能である。
【0039】
平面反射境界210は、基準光学軸25の第1の側(+X方向)でクローキングアセンブリ20に入射する物体Oからの光(
図3中で矢印「1」として図示)が物体側ハーフフレネルレンズ200を通って伝播し(
図3に矢印「2」として図示)、物体側ハーフフレネルレンズ200により内向きミラー表面212上に集束される(
図3に矢印「3」として図示)ように、物体側ハーフフレネルレンズ200に対し位置付けされている。実施形態において、光3は、物体側ハーフフレネルレンズ200によってZ方向に延在する焦線f
3に集束される。このような実施形態において、内向きミラー表面212は、焦線f
3に位置付けされ得る。光3は、内向きミラー表面212によって反射され、この内向きミラー表面から発散する(
図3に矢印「4」として図示)。画像側ハーフフレネルレンズ220は、内向きミラー表面212により反射されこの内向きミラー表面から発散する光3が内向き表面222に入射するような形で、平面反射境界210に対し位置付けされる。光4は、画像側ハーフフレネルレンズ220を通って伝播し(
図3に矢印「5」として図示)、この画像側ハーフフレネルレンズ220により集束され(
図3に矢印「6」として図示)て、クローキングアセンブリ20の画像側24で基準光学軸25の第1の側に画像「I」の一部分を提供する。
【0040】
外向きフレネル表面204に入射する光1は、光2として物体側ハーフフレネルレンズ200を通って内向き表面202まで伝播する。光2は概して、物体側ハーフフレネルレンズ200により光3として、平面反射境界210の内向きミラー表面212上の焦線f
3に集束された後、光4として反射され画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222上に発散する。光5は、画像側ハーフフレネルレンズ220を通って外向きフレネル表面224まで伝播する。画像側ハーフフレネルレンズ220は、その原初の経路、すなわち光1に対して平行に光5を集束して(
図3に矢印「6」として図示)、クローキングアセンブリ20の画像側24に画像「I」の第1の側の部分(+X方向)を形成する。したがって、基準光学軸25の第1の側(+X方向)の物体Oからの光1は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ200−平面反射境界210−画像側ハーフフレネルレンズ220−画像、という光路を介し画像側へ伝播して、基準光学軸25の第1の側に画像Iを形成する。すなわち、基準光学軸25の第1の側(+X方向)の物体Oからの光1は、物体O−物体側ハーフフレネルレンズ200の外向きフレネル表面204−物体側ハーフフレネルレンズ200の内向き表面202−平面反射境界210の内向きミラー表面212−画像側ハーフフレネルレンズ220の内向き表面222−画像側ハーフフレネルレンズ220の外向きフレネル表面224−画像I、という光路を介して伝播する。
【0041】
平面反射境界250は、基準光学軸25の第2の側(−X方向)でクローキングアセンブリ20に入射する物体Oからの光1が物体側ハーフフレネルレンズ240を通って伝播し(光2’)、物体側ハーフフレネルレンズ240により光3’として内向きミラー表面252上に集束されるように、物体側ハーフフレネルレンズ240に対し位置付けされている。実施形態において、光3’は、物体側ハーフフレネルレンズ240によってZ方向に延在する焦線f
4に集束される。このような実施形態において、内向きミラー表面252は、焦線f
4に位置付けされ得る。光3’は、内向きミラー表面252によって反射され、この内向きミラー表面252から光4’として発散する。画像側ハーフフレネルレンズ260は、内向きミラー表面252により反射されこの内向きミラー表面252から光4’として発散する光3’が内向き表面262に入射するような形で、平面反射境界250に対し位置付けされる。光4’は、画像側ハーフフレネルレンズ260を通って伝播し(光5’)、この画像側ハーフフレネルレンズにより光6’として集束されて、クローキングアセンブリ20の画像側24で基準光学軸25の第2の側に画像「I」の一部分を提供する。
【0042】
外向きフレネル表面244上に入射する光1’は、光2’として物体側ハーフフレネルレンズ240を通って内向き表面242まで伝播する。光2’は概して、物体側ハーフフレネルレンズ240により光3’として、平面反射境界250の内向きミラー表面252上の焦線f
4に集束された後、発散光4’として画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262に反射される。光5’は、画像側ハーフフレネルレンズ260を通って外向きフレネル表面264まで伝播する。画像側ハーフフレネルレンズ260は、その原初の経路に対し平行に、光6’として光5’を集束して、クローキングアセンブリ20の画像側24に画像「I」の第2の側の部分(−X方向)を形成する。したがって、基準光学軸25の第2の側(−X方向)の物体Oからの光1’は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ240−平面反射境界250−画像側ハーフフレネルレンズ260−画像、という光路を介し画像側へ伝播して、基準光学軸25の第2の側に画像Iを形成する。すなわち、基準光学軸25の第2の側(−X方向)の物体Oからの光1’は、物体O−物体側ハーフフレネルレンズ240の外向きフレネル表面244−物体側ハーフフレネルレンズ240の内向き表面242−平面反射境界250の内向きミラー表面252−画像側ハーフフレネルレンズ260の内向き表面262−画像側ハーフフレネルレンズ260の外向きフレネル表面264−画像I、という光路を介して伝播する。
【0043】
組み合わせで、すなわち、クローキングアセンブリ20の物体側22の物体Oからの基準光学軸25の第1の側(+X方向)および第2の側(−X方向)の光1は、物体−物体側ハーフフレネルレンズ200、240−平面反射境界210、250−画像側ハーフフレネルレンズ220、260−画像、という光路を介して画像側24まで伝播する。すなわち、物体Oからの光1は、物体O−それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ200、240の外向きフレネル表面204、244−それぞれ物体側ハーフフレネルレンズ200、240の内向き表面202、242−それぞれ平面反射境界210、250の内向きミラー表面212、252−それぞれ画像側ハーフフレネルレンズ220、260の内向き表面222、262−それぞれ画像側ハーフフレネルレンズ220、260の外向きフレネル表面224、264−画像I、という光路を介して伝播する。
【0044】
ここで
図1、4および5を参照すると、
図1に関連して論述された実施形態に係るクローキングデバイスの頂面斜視図および側面図が、それぞれ
図4および5に示されている。具体的には、
図4は、クローキングデバイス10の被クローキング領域CR内部の支柱「C」の形の部材および+Y方向でクローキングアセンブリ10の物体側12の支柱Cの後ろに位置設定された自動車「A」の頂面斜視図である。支柱Cは、クローキングデバイスの高さhよりも大きいZ方向の高さ寸法(+Z方向に増大した高さ)を有する(
図5)。
図5は、
図1に示されたクローキングアセンブリ10の+Y方向から見た側面図であり、+Y方向でクローキングアセンブリ10を見ている観察者にとって、被クローキング領域内部にある支柱Cの部分が視認不能であり、+Y方向で支柱Cの後ろに位置設定された自動車Aが視認可能であるということを示している。したがって、クローキングアセンブリ10の画像側14を見ている観察者には、被クローキング領域内部に位置付けされた支柱Cが視認できず、画像側14を見ている観察者には自動車Aが視認できる。
図4および5中の支柱Cは内向き表面(例えばクローキングアセンブリ10の内向き表面102、122、142、162)から離間しており、すなわち支柱Cはクローキングアセンブリ10とは別個の物体であるものの、支柱Cは構造的にクローキングアセンブリ10の一部を成し、ハーフフレネルレンズの内向き表面を提供しまたはこれと同等である外部表面を有することもできるということを認識すべきである。
【0045】
図6を参照すると、クローキングデバイスによりクローキングされているビークルのAピラーの実施形態が示されている。詳細には、
図6は、ビークルVのAピラーPの一部分をクローキングする、本開示中に記載されているクローキングデバイス19を示す。AピラーPの一部分は、クローキングデバイス19の被クローキング領域(図示せず)の内部に位置付けされており、AピラーPの一部分はクローキングデバイスを超えて延在し、トリムTでカバーされている。クローキングデバイス19の物体側でビークルVの外側に例示されているのは、歩行者の形をした標的物体「O」である。歩行者Oの一部分は、ビークルVのサイドウィンドウを通して視認でき、歩行者の一部分は、クローキングデバイス19によりクローキングされたAピラーPを「通して」視認可能である。クローキングデバイス19は、歩行者Oから反射された光を、クローキングデバイス19のクローキング領域の内部に位置付けされたAピラーPの周りに方向変換し、歩行者Oの方を見ているビークルVの乗員にとって視認可能である歩行者Oの画像Iをクローキングデバイス19の画像側でビークルの内部に形成する。したがって、歩行者Oからの光は、AピラーPを通過したように見え、典型的にAピラーPが作り出す死角は、AピラーPがクローキングデバイス19の被クローキング領域の内部に位置付けされていない場合ほど存在しない。実施形態において、AピラーP自体は、被クローキング領域として役立つ。すなわちAピラーPは、歩行者からの光をAピラーPの周りに方向変換するのを補助する1つ以上の内向き表面を備える外部表面を有する。クローキングデバイス19を用いたAピラーPのクローキングおよびAピラーPによって生成される死角の迂回は、メタマテリアル、ビデオ画像、カメラ、最新の電子工学などを使用することなく実施される、ということを認識すべきである。
【0046】
実施例
ここで
図7A〜7Eを参照すると、クローキングアセンブリ10の物体側12に位置付けされたエンブレムの形をした物体の、市販ソフトウェアプログラム(Zemax OpticStudio)を用いてシミュレートされた、画像側14から見た画像が描かれている。物体側ハーフフレネルレンズ100、140および画像側ハーフフレネルレンズ120、160は、アクリルポリマから形成されたハーフフレネルレンズである。物体側ハーフフレネルレンズ100、140および画像側ハーフフレネルレンズ120、160は、31mmの焦点距離、および1.5mmの厚みを有する。全デバイス領域と隠ぺい領域の縦横比は、それぞれ0.77および0.81であり、クローキング比(すなわち隠ぺい領域/総デバイス領域)は約48%であった。
図7Aは、基準光学軸15と+Y方向からのクローキングアセンブリ10の視角の間の不整合が全くない状態(0°)の物体の画像を描く。すなわち、本開示で使用されている「不整合」なる用語は、クローキングアセンブリの基準光学軸と、図中で+Y方向により描かれている画像側からクローキングアセンブリを見る観察者の視線とにより画定される角度(本開示中では「視角」とも呼ばれる)を意味する。
図7Bは、基準光学軸15とクローキングアセンブリ10の視角の間に1°の不整合を有する物体の画像を描く。
図7Cは、基準光学軸15とクローキングアセンブリ10の視角の間に2°の不整合を有する物体の画像を描く。
図7Dは、基準光学軸15とクローキングアセンブリ10の視角の間に3°の不整合を有する物体の画像を描く。
図7Eは、基準光学軸15とクローキングアセンブリ10の視角の間に5°の不整合を有する物体の画像を描く。
図7A〜7E中の画像により示されるように、クローキングアセンブリ10の物体側12の物体の画像は、5°までの不整合において、明確に見ることができる。
【0047】
本開示中に記載のクローキングデバイスは、ビークルの内部から見た場合のビークル部材、例えばビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどをクローキングし、ビークル部材がもたらす死角を迂回するために使用され得る。「物体」および「部材」なる用語は、互換的に、光を反射するかまたは光を透過する視覚的物体または画像(2Dまたは3D)を意味し、「〜からの光」なる用語は、「〜から反射された光」または「〜から透過された光」を意味することができる。「概して」および「約」なる用語は、本開示では、いずれかの定量的比較、値、測定または他の表現に起因する可能性のある固有の不確実性度を表わすために使用され得る。これらの用語は、本開示においては同様に、問題となっている主題の基本的機能の変化を結果としてもたらすことなく定量的表現が定められた基準から変動し得る度合いを表わすためにも使用される。
【0048】
図中に開示され描かれている実施形態は、4つのハーフフレネルレンズおよび2つの平面反射境界と境を接する被クローキング領域を備えるクローキングアセンブリを描いているものの、2つのハーフフレネルレンズおよび1つの平面反射境界と境を接する被クローキング領域を備えるクローキングアセンブリも提供される。例えば、非限定的に、被クローキング領域は、物体側ハーフフレネルレンズ、平面反射境界および画像側曲線CR境界の間で境を接していてもよい。
【0049】
本開示中で使用されている方向用語、例えば上、下、右、左、前、後、頂部、底部、垂直、水平などは、描画された通りの図を基準としているにすぎず、別段の規定のないかぎり絶対的配向を暗示するように意図されていない。
【0050】
本開示中では特定の実施形態が例示され説明されてきたが、請求対象の主題の真意および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正を加えることができるということを理解すべきである。その上、本開示中では、請求対象の主題のさまざまな態様が説明されてきたが、このような態様を組み合わせで使用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は請求対象の主題の範囲内に入るこのような変更および修正の全てを網羅することが意図されている。
【0051】
[例1]
クローキングデバイスであって、
物体側、画像側、前記物体側と前記画像側の間の被クローキング領域、および前記物体側から前記画像側まで延在する基準光学軸と、
物体側ハーフフレネルレンズおよび画像側ハーフフレネルレンズであって、各々が内向き表面、外向きフレネル表面、第1の端部および第2の端部を有し、前記内向き表面および前記外向きフレネル表面が前記第1の端部と前記第2の端部の間に拡がっている、物体側ハーフフレネルレンズおよび画像側ハーフフレネルレンズと、
前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされた平面反射境界であって、前記基準光学軸と平行に配向された内向きミラー表面を含む、平面反射境界と、
を含み、
前記クローキングデバイスの物体側に位置付けされ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側ハーフフレネルレンズ、前記平面反射境界および前記画像側ハーフフレネルレンズにより前記被クローキング領域の周りに方向変換されて前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
クローキングデバイス。
[例2]
前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第2の端部が、前記基準光学軸に対して近位に位置付けされており、前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部が、前記基準光学軸に対して遠位に位置付けされている、例1に記載のクローキングデバイス。
[例3]
前記平面反射境界の前記内向きミラー表面が、前記物体側ハーフフレネルレンズの焦線に位置付けされている、例1に記載のクローキングデバイス。
[例4]
前記物体側ハーフフレネルレンズは、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置付けされた前記物体からの光を前記平面反射境界の前記内向きミラー表面上に集束させるように配向されており、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面は、前記物体側ハーフフレネルレンズからの光を前記画像側ハーフフレネルレンズに反射するように配向されており、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面から反射された光は発散光であり、前記画像側ハーフフレネルレンズは、前記平面反射境界の前記内向きミラー表面からの前記発散光を集束させて前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の前記画像を形成するように配向されている、例1に記載のクローキングデバイス。
[例5]
前記クローキングデバイスの前記物体側の物体からの光が、物体−前記物体側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−前記物体側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記平面反射境界の内向きミラー表面−前記画像側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記画像側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−画像、という光路を介して前記被クローキング領域の周りに方向転換されている、例1に記載のクローキングデバイス。
[例6]
前記物体側ハーフフレネルレンズは一対の物体側ハーフフレネルレンズを含み、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記第1の側と反対側の前記基準光学軸の第2の側に位置付けされており、
前記画像側ハーフフレネルレンズは一対の画像側ハーフフレネルレンズを含み、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされており、
前記平面反射境界は一対の平面反射境界を含み、前記一対の平面反射境界のうちの一方が、前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、前記一対の平面反射境界のうちの他方が、前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、
前記クローキングデバイスの物体側に位置付けされ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの前記光が、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズ、前記一対の平面反射境界および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズにより前記被クローキング領域の周りに方向変換されて前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
例1に記載のクローキングデバイス。
[例7]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みが互いに等しい、例6に記載のクローキングデバイス。
[例8]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みが互いに等しくない、例6に記載のクローキングデバイス。
[例9]
クローキングデバイスアセンブリであって、
物体側、画像側、被クローキング領域、前記被クローキング領域内部に位置付けされた被クローキング部材、および前記物体側から前記画像側まで延在する基準光学軸と、
一対の物体側ハーフフレネルレンズであって、各々の物体側ハーフフレネルレンズが内向き表面および外向きフレネル表面を含み、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の第1の側に位置付けされており、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記第1の側とは反対側の前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされている、一対の物体側ハーフフレネルレンズと、
一対の画像側ハーフフレネルレンズであって、各々の画像側ハーフフレネルレンズが内向き表面および外向きフレネル表面を含み、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの一方が前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされており、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズのうちの他方が前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされている、一対の画像側ハーフフレネルレンズと、
一対の平面反射境界であって、各々の平面反射境界が前記基準光学軸に対して平行に配向された内向きミラー表面を含み、前記一対の平面反射境界のうちの一方が、前記基準光学軸の前記第1の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされており、前記一対の平面反射境界のうちの他方が、前記基準光学軸の前記第2の側に位置付けされた前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされている、一対の平面反射境界と、
を含み、
前記クローキングデバイスアセンブリの物体側に位置付けされ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズ、前記一対の平面反射境界および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズにより前記被クローキング部材の周りに方向変換されて前記クローキングデバイスアセンブリの画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
クローキングデバイスアセンブリ。
[例10]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々が、第1の端部および第2の端部を含み、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々の前記内向き表面および前記外向きフレネル表面が前記第1の端部と前記第2の端部の間に拡がっている、例9に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例11]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々および前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々の第2の端部が、前記基準光学軸に対し近位に位置付けされ、前記第1の端部の各々が、前記基準光学軸に対し遠位に位置付けされている、例10に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例12]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々の前記第1の端部の厚みが互いに等しく、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々の前記第1の端部の厚みが互いに等しい、例10に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例13]
前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの各々の前記第1の端部の厚みが互いに等しくなく、前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの各々の前記第1の端部の厚みが互いに等しくない、例10に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例14]
前記一対の平面反射境界の前記内向きミラー表面が、前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの焦線に位置付けされている、例9に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例15]
前記クローキングデバイスの前記物体側に位置付けされた物体からの前記光が、物体−前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−前記一対の物体側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記一対の平面反射境界の内向きミラー表面−前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの内向き表面−前記一対の画像側ハーフフレネルレンズの外向きフレネル表面−画像、という光路を介し前記画像側まで伝播して前記画像を形成する、例9に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例16]
ビークルであって、
Aピラーと、
前記Aピラー上に位置付けされたクローキングデバイスであって、
物体側、画像側、被クローキング領域、および前記物体側から前記画像側まで延在する基準光学軸であって、前記Aピラーが前記被クローキング領域内に位置付けされており、前記物体側がビークルの外部に位置付けされており、前記画像側が前記ビークルの内部に位置付けされている、物体側、画像側、被クローキング領域及び基準光学軸と、
物体側ハーフフレネルレンズおよび画像側ハーフフレネルレンズであって、各々が内向き表面、外向きフレネル表面、第1の端部および第2の端部を有し、前記内向き表面および前記外向きフレネル表面が前記第1の端部と前記第2の端部の間に拡がっている、物体側ハーフフレネルレンズおよび画像側ハーフフレネルレンズと、
前記物体側ハーフフレネルレンズと前記画像側ハーフフレネルレンズの間に位置付けされた平面反射境界であって、前記基準光学軸と平行に配向された内向きミラー表面を含む、平面反射境界と、
を含み、
前記クローキングデバイスの前記物体側に位置付けされ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側ハーフフレネルレンズを通る前記平面反射境界上への前記光の伝播と、前記物体側ハーフフレネルレンズからの前記光の前記平面反射境界による前記画像側ハーフフレネルレンズ上への反射と、前記平面反射境界からの前記光の前記画像側ハーフフレネルレンズを通る伝播と、を介し前記Aピラーの周りに方向変換されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
クローキングデバイスと、
を含むビークル。
[例17]
前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第2の端部が、前記基準光学軸に対して近位に位置付けされており、前記物体側および画像側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部が、前記基準光学軸に対して遠位に位置付けされている、例16に記載のビークル。
[例18]
前記平面反射境界の前記内向きミラー表面が、前記物体側ハーフフレネルレンズの焦線に位置付けされている、例16に記載のビークル。
[例19]
前記物体側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みが、前記画像側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みに等しい、例16に記載のビークル。
[例20]
前記物体側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みが前記画像側ハーフフレネルレンズの前記第1の端部の厚みに等しくない、例16に記載のビークル。