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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-169006(P2019-169006A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】多点同時計測システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20190906BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20190906BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
   G08C15/06 H
   G01H17/00 Z
   G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-57305(P2018-57305)
(22)【出願日】2018年3月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000214191
【氏名又は名称】長崎県
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田口 喜祥
【テーマコード(参考)】
2F073
2G064
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA19
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC10
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD06
2F073DE02
2F073DE14
2F073DE17
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG06
2F073GG08
2F073GG09
2G064AA05
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
(57)【要約】
【課題】 構造体の異なる位置に取付けた複数の計測センサーの同時刻の計測を可能とする多点同時計測システムを提供する。
【解決手段】 異なる位置に取付けられた計測センサーを備えた複数の計測装置と、同計測装置から集めた計測値を同時刻データに交換する修正ソフトを有する解析装置とからなり、計測装置と解析装置とはコンピュータとメモリを備え、又デジタル変調電波で情報の送受信可能にし、又計測装置には計測センサーの計測値を所定のデータサンプリングクロックの周波数のクロックタイミングでデジタル計測値とその時のクロック数を対応してメモリに記憶し、又一斉送信されたアナログ変調電波を受信すると計測センサー,クロックカウンターにクロックを印加させてそれらをメモリへの書き込みを行い、解析装置では計測開始のクロック数を記憶したクロック数から減じた修正クロックを同時刻を示すものと計測値を対応付けして記憶する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報としてメモリに記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報をデジタル変調電波により受信して入力すると各計測装置の計測開始時点のクロック番号が一致するように原情報のデータサンプリングクロックのクロック番号の値から所定クロック番号の値を差し引いた修正クロック番号値とし、前記計測値を修正された修正クロック番号と対応づけて真正情報として記憶する修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、アナログ変調された電波を用いて計測開始信号を各計測装置に一斉に発信するアナログ変調電波発信器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応のクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記アナログ変調電波を受信するアナログ変調電波受信器と,同アナログ変調電波受信器の同調信号から計測開始信号を抽出するアナログ復調器と,同アナログ復調器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、各計測装置からそれが記憶しているデータサンプリングクロックのクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム。

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロックのクロック番号を開始クロック番号とし、次に各計測装置の原情報の各データサンプリングクロックのクロック番号から前記開始クロック番号値を差し引いて修正クロック番号値とし、主メモリの原情報のデータのデータサンプリングクロックのクロック番号に対応した計測値を前記修正クロック番号と関連付けして真正情報として主メモリに記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
【請求項2】
計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報としてメモリに記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報をデジタル変調電波により受信して入力すると各計測装置の計測開始時点のクロック番号が一致するように原情報のデータサンプリングクロックのクロック番号の値から所定クロック番号の値を差し引いた修正値とし、前記計測値を修正された修正クロック番号と対応づけて真正情報として記憶する修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、計測開始信号を示す光信号を各計測装置に一斉に投光する投光器又は照明器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応のクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記投光器又は照明器からの前記光信号を受光すると計測開始信号を出力する受光器と,同受光器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測開始ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、各計測装置からそれが記憶しているデータサンプリングクロックのクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム。

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロックのクロック番号を開始クロック番号とし、次に計測装置の原情報の各クロック番号から前記開始クロック番号値を差し引いて修正クロック番号値とし、主メモリの原情報のデータのデータサンプリングクロックのクロック番号に対応した計測値を前記修正クロック番号と関連付けして真正情報として主メモリに記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
【請求項3】
計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報として記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報がデジタル変調電波により受信して入力されると、受信した各計測装置の原情報の計測値とそのデータサンプリングクロックのクロック番号とを対応付けて且つ計測装置IDと計測番号IDと関連付けて主メモリに原情報として書き込み、しかも原情報のクロック番号を各超音波受信器と超音波発信器との距離差による超音波の伝達時間差をクロック数として考慮して、超音波発信の計測開始時点の各計測装置のクロック番号が同一となるように計測値の対応のクロック番号を修正して、同時刻を示す修正クロック番号として計測値と対応付けて主メモリに真正情報として記憶させる修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、計測開始信号の超音波を各計測装置に向け一斉に発信する超音波発信器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応データサンプリングクロックのクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記超音波信号を受信すると計測開始信号を出力する超音波受信器と、同超音波受信器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測開始ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、所定位置にある超音波発信器と各計測装置の超音波受信器との間の距離による超音波受信の到着時間の時間を予め測定又は計算して、各到着時間をクロック数に換算してその値を位置補正クロック数として各計測装置IDと関連付けて主メモリに記憶しておき、各計測装置からそれが記憶しているクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム。

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロック番号の開始クロック番号を求め、次に各計測装置の原情報の各データサンプリングクロック番号から前記開始クロック番号値を差し引き、更に前記位置補正クロック数を加算して算出した修正クロック番号を求め、その計測装置IDの記憶された原情報のデータのクロック番号に対応の計測値を前記修正クロック番号値と関連付けして主メモリに真正情報として記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
【請求項4】
計測開始信号を発信するアナログ変調電波発信器が、解析装置から制御できる付属装置として組み込まれた、請求項1記載の多点同時計測システム。
【請求項5】
計測開始信号の光を一斉投光する照明器又は投光器の電源が、解析装置で有線又は無線式で開閉制御できる付属装置として組み込まれた、請求項2記載の多点同時計測システム。
【請求項6】
各計測装置が3km以内の範囲の位置に収まるように配置された、請求項1又は2記載の多点同時計測システム。
【請求項7】
超音波発信器が各計測装置の近くに設置され、超音波発信器がアナログ式無線又は有線でその作動のON/OFFを可能にした、請求項3記載の多点同時計測システム。
【請求項8】
各計測装置が10m以内の範囲の位置に収まるように配置された、請求項3記載の多点同時計測システム。
【請求項9】
各計測装置の計測センサーが、構造体の振動を計測する振動センサーである、請求項1〜8いずれか記載の多点同時計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋・機械装置・構造体・道路・列車・トンネル等構造体の数m乃至2km以内程において、複数個所に振動センサー・荷重センサー・変位センサー等計測センサーを配置して、同計測センサーで同時計測して構造体の多点同時刻データを得ることで、構造体の振動・荷重・亀裂・変形変位を正確に計測・検査でき、構造体の劣化・耐久性低下・破断・破壊の恐れを正確に計測することができるための多点同時計測システムに関する。特に、複数の位置の計測センサーから同時刻同期の正確な計測データを得ることができる無線・光又は超音波を使用した多点同時計測システムである。
【背景技術】
【0002】
従来の機械装置や構造物の振動現象を計測するための無線式センサ装置システムでは、機械装置や構造物の剛性を計測するためモード解析の手法が用いられるが、この手法は対象物に複数の有線式振動センサを複数取り付け、同時に計測することで実現できる。しかし、有線式センサ装置を取り付ける場合、配線が邪魔になりセンサを取り付ける場所が限定される、もしくはセンサを取り付けられないなどの問題がある。
振動センサのデータをアナログ式無線で送信すれば振動センサを任意の個所に取り付けるためには無線式振動センサが有効であるが、アナログ無線信号がノイズの影響を受けやすいため測定精度が悪くなるという問題点がある。デジタル式無線通信を用いた場合ノイズの影響は受けにくいが、デジタル通信で一斉の計測開始信号を電波送信しても、各計測装置での受信電波のデジタル処理回路の処理時間に僅かであるがバラツキがあるため、各計測装置における各計測開始時刻を正確に同時刻にできず、時刻ずれが発生し、各計測装置の同時刻の計測値データを取得できないという問題点があった。
この問題を解決するために、正確な時刻計測を行えるGPSからの信号により時刻同期を行う発明がなされているが、GPSの電波が届かない場所ではこの手法は使用できない。
【0003】
この種の計測システムとして、特許文献1記載の「同期記録システム及び同期記録方法」の発明が知られている。しかし、この発明では同期を行うために対象物に振動を加えて、加えた振動の波形を計測することで同期を行う発明もなされているが、測定対象物の振動波形と同期を行うための振動波形を分離する必要があり、データ処理が難しくなるという欠点がある。
更に、特許文献2記載の「時刻同期方法、振動センサー、振動検知装置、プログラム及び記録媒体」(特願2015−225780号)も知られている。
この発明ではGPS情報を使うものであるため、GPSの受信が難しい位置にある計測では採用できないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281771号公報
【特許文献2】特開2017−96651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来の問題点を解消し、GPSを使用せず又はGPS情報が使えない場所における計測位置を異にするように配置された複数の計測装置の同時刻のデジタル計測値を取得できる多点同時計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報としてメモリに記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報をデジタル変調電波により受信して入力すると各計測装置の計測開始時点のクロック番号が一致するように原情報のデータサンプリングクロックのクロック番号の値から所定クロック番号の値を差し引いた修正クロック番号値とし、前記計測値を修正された修正クロック番号と対応づけて真正情報として記憶する修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、アナログ変調された電波を用いて計測開始信号を各計測装置に一斉に発信するアナログ変調電波発信器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応のクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記アナログ変調電波を受信するアナログ変調電波受信器と,同アナログ変調電波受信器の同調信号から計測開始信号を抽出するアナログ復調器と,同アナログ復調器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、各計測装置からそれが記憶しているデータサンプリングクロックのクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロックのクロック番号を開始クロック番号とし、次に各計測装置の原情報の各データサンプリングクロックのクロック番号から前記開始クロック番号値を差し引いて修正クロック番号値とし、主メモリの原情報のデータのデータサンプリングクロックのクロック番号に対応した計測値を前記修正クロック番号と関連付けして真正情報として主メモリに記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
2) 計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報としてメモリに記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報をデジタル変調電波により受信して入力すると各計測装置の計測開始時点のクロック番号が一致するように原情報のデータサンプリングクロックのクロック番号の値から所定クロック番号の値を差し引いた修正値とし、前記計測値を修正された修正クロック番号と対応づけて真正情報として記憶する修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、計測開始信号を示す光信号を各計測装置に一斉に投光する投光器又は照明器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応のクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記投光器又は照明器からの前記光信号を受光すると計測開始信号を出力する受光器と,同受光器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測開始ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、各計測装置からそれが記憶しているデータサンプリングクロックのクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロックのクロック番号を開始クロック番号とし、次に計測装置の原情報の各クロック番号から前記開始クロック番号値を差し引いて修正クロック番号値とし、主メモリの原情報のデータのデータサンプリングクロックのクロック番号に対応した計測値を前記修正クロック番号と関連付けして真正情報として主メモリに記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
3) 計測センサーの計測値を内蔵時計又は所定周波数のデータサンプリングクロックの一定の時間間隔でサンプリングして前記計測センサーの計測値をデジタル値に変換して、そのデータサンプリングクロックのクロック番号と関連付けて原情報として記憶するコンピュータを用い且つ異なった位置に前記計測センサーを配置された複数の計測装置と、各計測装置の計測値とその対応のデータサンプリングクロックのクロック番号の原情報がデジタル変調電波により受信して入力されると、受信した各計測装置の原情報の計測値とそのデータサンプリングクロックのクロック番号とを対応付けて且つ計測装置IDと計測番号IDと関連付けて主メモリに原情報として書き込み、しかも原情報のクロック番号を各超音波受信器と超音波発信器との距離差による超音波の伝達時間差をクロック数として考慮して、超音波発信の計測開始時点の各計測装置のクロック番号が同一となるように計測値の対応のクロック番号を修正して、同時刻を示す修正クロック番号として計測値と対応付けて主メモリに真正情報として記憶させる修正プログラムを有するコンピュータを用いた解析装置と、計測開始信号の超音波を各計測装置に向け一斉に発信する超音波発信器とからなり、
各計測装置及び解析装置は、計測装置ID及び計測番号IDのID番号を付して計測装置と計測番号が分別できるようにしてデジタル方式で前記原情報の計測値のデジタル値とその対応データサンプリングクロックのクロック番号及び必要な制御信号とデータを電波で送受信するためのデジタル変調電波送信器・デジタル変調電波受信器・デジタル復調器とデジタル変調器を備え、更に前記計測装置は前記超音波信号を受信すると計測開始信号を出力する超音波受信器と、同超音波受信器で出力された計測開始信号で計測装置の計測開始時点の対応サンプリングクロックのクロック番号及びその後の計測センサーの計測値のデジタル値とそのサンプリングクロックのクロック番号を対応してメモリに原情報として記憶させる計測開始ソフトと備え、
前記解析装置は、GPS装置又は内蔵時計を有し正確な時刻データを生成でき、所定位置にある超音波発信器と各計測装置の超音波受信器との間の距離による超音波受信の到着時間の時間を予め測定又は計算して、各到着時間をクロック数に換算してその値を位置補正クロック数として各計測装置IDと関連付けて主メモリに記憶しておき、各計測装置からそれが記憶しているクロック番号とその対応の計測値の原情報をデジタル変調電波で受信すると、下記の処理を行う前記修正プログラムを実行して、各計測装置における同時刻の計測値を算定する多点同時計測システム

各計測装置からのデジタル変調電波で受信した同一計測装置IDで同一計測番号IDの計測センサーのデータで、データサンプリングクロックのクロック番号と対応づけられた計測値の原情報のデータを解析装置の主メモリに原情報データとして記憶し、
次に、主メモリの原情報データから各計測装置の計測開始時点の対応データサンプリングクロック番号の開始クロック番号を求め、次に各計測装置の原情報の各データサンプリングクロック番号から前記開始クロック番号値を差し引き、更に前記位置補正クロック数を加算して算出した修正クロック番号を求め、その計測装置IDの記憶された原情報のデータのクロック番号に対応の計測値を前記修正クロック番号値と関連付けして主メモリに真正情報として記憶し、主メモリの同一の修正クロック番号の対応の計測値が同一時刻の各計測装置の真正計測値と算定する処理を行う修正プログラム
4) 計測開始信号を発信するアナログ変調電波発信器が、解析装置から制御できる付属装置として組み込まれた、前記1)記載の多点同時計測システム
5) 計測開始信号の光を一斉投光する照明器又は投光器の電源が、解析装置で有線又は無線式で開閉制御できる付属装置として組み込まれた、前記2)記載の多点同時計測システム
6) 各計測装置が3km以内の範囲の位置に収まるように配置された、前記1)又は2)記載の多点同時計測システム
7) 超音波発信器が各計測装置の近くに設置され、超音波発信器がアナログ式無線又は有線でその作動のON/OFFを可能にした、前記3)記載の多点同時計測システム
8) 各計測装置が10m以内の範囲の位置に収まるように配置された、前記3)記載の多点同時計測システム
9) 各計測装置の計測センサーが、構造体の振動を計測する振動センサーである、前記1)〜8)いずれか記載の多点同時計測システム
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、解析装置と各計測装置との間ではデジタル式の無線の送受信回路を備えているので、デジタルでもってセンサーの計測値・データサンプリングクロック番号・データサンプリング周波数情報・計測開始準備信号・計測装置ID・計測番号ID・計測時間・計測装置の設定初期値・計測ソフト等の伝達されるべき情報はデジタル方式で電波で送受信して、多様な情報をノイズが少なく正確に伝達できる。しかも、両方装置ともCPUとメモリを有するコンピュータを備えているので、デジタルで必要データの情報の伝達及びコンピュータソフト処理とメモリに記憶ができるようになっている。
その上で、請求項1,2の発明では各計測装置への計測開始信号(命令)の一斉送信をアナログ式無線通信又は光通信で行うようにしている。従って、光・電磁波の伝播速度はきわめて速いので数km以内の範囲内に収まるように各計測装置が配置されれば、各計測装置には同時に信号は到着するといえる。しかも、アナログ式の無線受信器又は受光器の電子回路では、各計測装置が受信・受光時点から装置回路に計測開始信号(命令)が出力されるまでの時間差もほとんどないので、アナログ式無線及び光による一斉発信するアナログ変調電波発信器又は投光器・照明器からの計測開始信号は各計測装置に同時に出力されるといえるものである。データサンプリングクロック毎にクロック番号と計測センサーの計測デジタル値がそのクロック番号と関連付けて原情報としてメモリに記憶される。
そして、各計測装置のメモリに記憶された計測デジタル値とそのクロック番号の原情報は、デジタル式無線通信で解析装置に計測後送信されて受信されて解析装置の主メモリに計測装置ID・計測番号IDで分別されて、主メモリに原情報として記憶される。
【0008】
次に、解析装置の修正プログラムのソフトが作動すると、各計測装置における計測開始時の最初のクロック番号を開始クロック番号とし、主メモリに記憶された原情報のクロック番号から開始クロック番号を差し引いた零値から始まる整数の修正クロック番号を計算し、原情報のクロック番号に対応している計測デジタル値を上記の修正クロック番号と関連付けて真正情報として主メモリに記憶する。
尚、各計測装置の最初の修正クロック番号は零値でなくても特定の数値でも可能であるが、計測開始時点を零とするのは分り易いので好ましい。
【0009】
各計測装置のデータサンプリングクロックはそのクロック周波数が所定周波数で同一で、しかもクロック周波数は現在高精度で発生させることができ、加えて計測時間が秒・分レベルであれば一クロックの時間間隔は正確な時間間隔といえるものであり、しかも各計測装置の計測開始信号は同時に作動し、修正クロック番号も零から開始させると、同じ修正クロック番号が計測開始時からの時間を示し、その対応の主メモリの計測(デジタル)値が同時刻の各計測装置の計測値となる。修正クロック番号に一クロックの時間間隔とを乗じれば、経過時間tにも即換算できる。
【0010】
このように、解析装置の主メモリ中の同じ計測番号IDの各計測装置の同じ修正クロック値(時刻・時間への換算もできる)が同時刻の各計測装置の計測値となる。
このように、複数ある計測装置の計測センサーの同時刻の計測値を得ることができ、これによって被計測物の構造物を正確に検査・分析できるようになる。
【0011】
尚、20KHz以上の音波である超音波で計測開始信号(命令)を発信する場合は、超音波の伝播速度は電磁波・光に比べ大巾に遅いので、各計測装置の超音波受信器に受信される時刻がその配置位置によってかなり変動するので、予め超波発信器の位置から各計測装置の超音波受信器で受信するまでの到着時間を予め内蔵時計又はGPS時刻を使って計測し又はその間の距離から計算し、更に計測時の音速を温度T補正して同時刻とするための加算する補正クロック数を計算して、原情報のサンプリングクロックのクロック番号(番号値)から計測開始時のクロック数を差し引き、これから更に補正クロック数を加算して新しい修正クロック番号として対応づけして、主メモリに真正情報として記憶させる。主メモリの同じ修正クロック番号が同時刻の計測値とするようにする。
【0012】
電波又は光の媒体で計測開始信号を送信するものでは、2〜3km以内の範囲にある計測装置における位置による計測開始信号の到着時刻の誤差は通常計測では無視できる程となる。超音波の媒体で計測開始信号を送信する場合は、10m以内の範囲であれば位置による到着時刻の誤差を開始クロック数の他に位置補正クロック数で修正すれば低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の基本構成と計測開始信号と計測値のアナログ値の状態を示す説明図である。
図2図2は本発明の実施例1の各計測装置の配置と解析装置とアナログ電波発信器を示す説明図である。
図3図3は実施例1の計測装置の回路ブロック図である。
図4図4は実施例1の解析装置の回路ブロック図である。
図5図5は実施例1の計測装置におけるメモリのメモリ構造を示す説明図である。
図6図6は実施例1の解析装置の主メモリの構造を示す説明図である。
図7図7は実施例1における計測装置コンピュータの計測ソフトのフローチャート図である。
図8図8は実施例1のおける解析装置のコンピュータの計測と電波送受信の計測と電波送受信の手順とデータサンプリングクロックのクロック番号の修正の修正プログラムを示すフローチャート図である。
図9図9は光を用いて計測開始信号を伝達する実施例2の装置の説明図である。
図10図10は実施例2の計測装置の回路ブロック説明図である。
図11図11は超音波を用いて計測開始信号を伝達する実施例3の装置の説明図である。
図12図12は実施例3の計測装置の回路ブロック説明図である。
図13図13はアナログ電波を変調する計測開始信号として使用するM系列信号のパルス波形を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における複数の各計測装置を設置する配置範囲は、アナログ変調電波又は光の媒体で計測開始信号を伝達する発明では、これら媒体の伝播速度(光・電波の速度)に比べ配置位置の距離の範囲Lは数km以内であれば、通常到着時間差はほとんど無視できる。詳しくはL<<(c/f)を成立させる。ここで、c=光速,f=クロック周波数を示す。データサンプリングクロック周波数fが高い場合は、配置範囲の距離は短くする。又、計測値の時間変化が大きい場合は、データサンプリングクロック周波数fを高目にする。
【0015】
又、各計測装置は同じ電気回路とするのが装置の回路による遅れを同じにできるので好ましい。又、計測開始信号は単パルスでなくても図11に示すM系列信号でもよい。
【0016】
各計測装置は計測開始信号を受信して直ちに作動できるように、予め計測装置の安定作動になるのに数秒〜十数秒かかるので、各計測装置に計測開始信号を送信する前に起動して安定状態(スタンバイ状態)にするため、デジタル信号で作動準備信号及び初期設定値又は計測用設定値を先に送信し、コンピュータソフト・電子回路がその設定値で直ちに作動できるようにするのがよい。これによって、計測しない時間帯の各装置の省エネ対策ともなる。
【0017】
超音波を計測装置の計測開始信号の媒体として使用する場合は、超音波発信器と各計測装置との間の距離の差による到達時間差を予め計測して、データサンプリングクロックの補正クロック数を予め計算しておく。必要に応じて計測地の大気温度でも遅れが変化するので、計測温度を考慮した正確な補正クロック数を解析装置で計算できるようにするのがよい。
【0018】
光を計測開始信号の伝達媒体として使う方法は、同一の光源(面状投光器(照明器))、又は受光器に向けて光を発射させる投光器を同時に発光できるようにして、受光器が同時に到達できるように配置する。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
図1〜8に示す実施例1はアナログ変調電波で計測開始信号を伝達させる例であり、被測定対象は大型橋で、その振動を計測するための装置例であり、計測センサーは振動センサーで大型橋の左右の2グループの2kmの範囲の橋構造体の4個所,5個所に振動センサー(計測装置)を取付け、そのデータサンプリングクロックの周波数は1KHzであり、解析装置に計測開始信号のアナログ変調電波を発信するアナログ変調電波発信器を付属させ、解析装置側の操作によりアナログ変調電波を送信できるようにしている。
【0020】
(符号の説明)
は本発明の実施例1の多点同時計測システム、BRは計測センサー(計測装置)を取付けた被計測対象の大型橋、K11,K12,K13,K14,K15,K16,K17,K18,K19は同大型橋に取付けた同じ回路の計測装置、KCOMは各計測装置K1i(i=1〜9以下同様)に使用されているコンピュータ、CPUは同コンピュータKCOMの集中処理ユニット、KINTは同コンピュータKCOMのインターフェース、KDSは各計測装置K1iのデジタル変調電波送信器、KDRは各計測装置K1iのデジタル変調電波受信器、KDHはデジタル変調電波送信器KDSの前段のデジタル変調器、KDIはデジタル電波変調器KDHへのデジタル信号入力部、KDRFはデジタル電波変調受信器KDRのデジタル復調器、KDROはデジタル復調器KDRFからのデジタル信号出力部、KARは各計測装置K1iのアナログ変調電波受信器、KARFはアナログ電波復調器、KAROはアナログ信号出力部、ANTは電波送受用アンテナである。
【0021】
SESは橋部材の振動を計測する振動センサーを用いた計測センサー、ADは同計測センサーSESのアナログ計測データをデジタル計測データに変換するA/D変換器、SACはデータサンプリングクロックを発生するデータサンプリングクロック発生回路であって、コンピュータKCOMによってそのクロック周波数を設定できるものとなっている。KCCはデータサンプリングクロック発生回路SACで出力されるクロック数をカウントしていくクロックカウンターで、原情報のクロック数を出力する。KSWはデータサンプリングクロック発生回路SACの出力クロックを前記A/D変換器ADとクロックカウンターKCCに印加するか決定する常開のクロック開閉器、KMEは各計測装置K1iのメモリ、KMEKは同メモリKMEの中の基本ソフト(OS,計測ソフト,電波通信手順等)を記憶する基本ソフトメモリ部、KMEDはデジタル計測値,そのデータサンプリングクロックの原情報のクロック番号で前記クロックカウンターKCCが出力するクロック数(クロック番号値),計測装置ID,計測番号ID,解析装置からアナログ変調電波の計測開始信号の発信時のGPSの時刻データ,計測場所BR,計測装置が設置された場所の大気温度等を記憶するデータメモリ部である。
【0022】
MKは実施例1の解析装置、MCOMは解析装置MKのコンピュータ、MCPUはコンピュータMCOMのCPU、MINTはコンピュータMCOMのインターフェース、MMEは解析装置MKのコンピュータMCOMの主メモリ、MDSはデジタル変調電波送信器、MDRはデジタル変調電波受信器、MDHはデジタル変調器、MDIはデジタル変調器MDHへのデジタル信号入力部、MDRFはデジタル復調器、MDROはデジタル復調器MDRFからのデジタル信号出力部、MASは計測開始信号をアナログ変調電波で送信するアナログ変調電波発信器、MASFは計測開始信号のアナログ変調器、MABは計測開始信号を発生させる計測開始ボタンである。MANTは解析装置MKの電波アンテナ、MASIは計測開始信号入力部である。
【0023】
又、MMEKはコンピュータMCOMのOS,アナログ・デジタル電波の通信手順ソフト,修正プログラム等を収める基本ソフトメモリ部、MMEDは計測データを記憶するデータメモリ部で、計測装値ID,計測番号IDと関連付けてデジタルの原情報の計測値,計測時間t,その原情報のクロック番号,計測開始時点のクロック番号、修正クロック番号(原情報のクロック番号から計測開始時点の開始クロック番号を差し引いた修正クロック番号),計測開始時点のGPS時刻,計測開始時点からの経過時間tで、t=Δt(クロック周期Δt)*修正クロック番号,計測センサーの型式,計測センサーの取付場所,計測開始時の大気温度等を記憶している。
【0024】
又、MDISはコンピュータMCOMのディスプレイ、MKBはコンピュータMCOMの入力用キーボードとマウス、MHDはコンピュータMCOMの外付ハードディスクである。
【0025】
(計測手順)
まず、大型橋BRに2kmの範囲の左右両範囲に各計測装置K1i(i=1〜9)を設置している(図2参照)。
計測する時刻が決定したら、その時刻の数分前程に解析装置MKから計測準備命令と設定値情報(クロック周波数fHz,計測時間20sec,計測番号ID等)を先にデジタル電波送信器MDSから各計測装置K1i(i=1〜9)へ送信する。
計測装置K1iがこの計測準備命令のデジタル電波をデジタル変調電波受信器KDRで受信して、デジタル復調器KDRFで復調して、これら情報をデジタル信号出力部KDROからの出力信号によって、コンピュータKCOM,A/D変換器AD,計測センサーSES及びクロック発生回路SAC・起動回路等に主電源を供給して、装置のスタンバイ状態にする。同時にクロック周波数f,計測時間t,GPSの計測準備開始時刻等のメモリ書き込みと、ソフトデータに書き込みを行う。
【0026】
その後、解析装置MKに付属しているアナログ電波発信器MASの計測開始ボタンMABを押すと、単パルスが計測開始信号入力部MASIが発生し、アナログ変調器MASFへ入力され、アナログ電波発信器MASから特定の周波数のアナログ変調電波が送信される。
【0027】
このアナログ変調電波は光と略同速で伝播して、各計測装置K1iのアナログ変調電波受信器KARによって受信されると、そのアナログ電波復調器KARFによって復調され、アナログ信号出力部KAROによって計測開始信号の単パルスがデジタルで出力される。このアナログ信号出力部KAROの出力信号は計測装置K1iの常開のクロック開閉器KSWに印加されて、このクロック開閉器KSWを閉路してクロック発生回路SACのクロック信号をA/D変換器AD等に出力し、計測センサーSESのアナログ信号はA/D変換器ADに入力され、クロックの印加のタイミングで計測センサーSESの計測値はデジタル値で出力され、インターフェースKINTを介してコンピュータKCOMに入力される。又、同じクロック信号がクロックカウンターKCCに入力され、クロックと同期してクロックのカウンター数がクロック数(番号)としてインターフェースKINTを介してコンピュータKCOMによりデータメモリ部KMEDへ原情報として書き込まれる。この計測装置K1iのメモリの状態を図5に示している。
このように、各クロック毎に計測デジタル値とそのクロック数(番号)が計測装置K1iのデータメモリ部KMEDに計測装置ID,計測番号IDと関連付けられて記憶される。このメモリ状態を図5に示している。各計測装置K1iのメモリKMEには各クロック毎に計測デジタル値とその時のクロック番号(数字)が原情報として記憶され、計測時間tの20secを過ぎると、クロック発生回路SACを停止させる。
【0028】
計測時間経過後に、メモリKME中の原情報のデジタルデータをデジタル変調送信器KDSから解析装置MKへデジタル変調電波で送信する。
解析装置MKがデジタル変調電波受信器MDRで受信し、デジタル復調器MDRF・デジタル信号出力部MDROから原情報が出力され、インターフェースMINTを介してコンピュータMCOMによって処理されて、主メモリMMEに原情報データとして書き込まれる。
【0029】
計測装置K1iの計測値(デジタル値)及びそのクロック数(番号)等が原情報として主メモリMMEに記憶されると、コンピュータMCOMのソフトに従って計測開始時点、即ちクロック開閉器KSWが閉路した時点はアナログ変調の為、及び計測範囲が2km程の狭い範囲の為各計測装置K1iにおいて同時刻と見なされる。
【0030】
このクロック開閉器KSWが閉じてクロックカウンターKCCが作動し、その最初のクロック数(番号)C0は「1」(初期値は零値とする)となる。
従って、このクロック数(番号)C0が「1」となる時点が計測開始時刻で、各計測装置K1iとも同時刻となる。即ち、開始クロック番号値CNは「1」となる。
【0031】
解析装置MKの修正ソフトによって各計測値の対応の原情報のクロック数C0値から計測開始信号到着時点の開始クロック番号値CN=1を差し引いて、修正クロック数値C1(0,1,2,3,・・・・)とする。
C1=C0−CN=C0−1となる。
この修正クロック数値C1を原情報の計測(デジタル)値の真正情報として関連付けして(対応の)修正クロック数(番号)C1として主メモリに書き込む。又、計測開始信号時点からの経過時間tjをtj=Δt*修正クロック数C1として計算して、前記計測値と関連付けて主メモリMMEに書き込む。
この修正クロック番号のメモリ状態は図6に示される。
【0032】
この主メモリの状態で、各計測装置K1iで同じ修正クロック数(番号)C1が同一時刻となり、その対応の原情報の計測値が各計測センサーのデジタル値となる。
【0033】
このように、大型橋BRの取付位置を異にする各計測センサーの同時刻(同一修正クロック番号)のデジタル値を得ることができることから、大型橋BRの同時刻の各位置の計測値が分ることから大型橋の振動分析が正確にできることとなる。
【0034】
このように、本発明では種々の数kmから数十mにある複数の計測センサーの計測値の同時刻データを得ることで、被計測物の振動・荷重・亀裂等の計測・分析を正確にすることができる。
又、計測年月日毎にデータを保存することで、経年変化・亀裂等の問題点を正確に検査できる。上記、手順フローの一例を図7,8のフローチャートに示している。
【0035】
(実施例2)
図9,10に示す実施例2の計測開始信号の伝達媒体は「光」を使用し、各計測装置の近くに面発光の照明装置SL又は複数の投光器を設置し、各計測装置にはそれからの光を感知する受光器LRを光が届く位置に設置し、同受光器LRの受光信号をもって実施例1の各計測装置のクロック開閉器KSWを常開から閉じて、クロック信号をA/D変換器AD,クロックカウンターKCC等に印加する。実施例1の計測開始信号をアナログ変調電波とその送受器に代えて、上記照明装置SL又は複数の投光器を有線又はアナログ無線で発光・投光をON/OFFさせ、各計測装置の受光器LRでその計測開信号を同時到着させるようにしている。他は実施例1の回路装置構成と同様である。図10に実施例2の回路ブロック図の説明図を示す。
【0036】
そして、計測センサーSESからのデータのサンプリングのデータのメモリへの記憶・解析装置へのデータの送受信・メモリの構造及びクロック番号の修正は、実施例1と同様であるので省略する。
【0037】
この実施例2では、受光器に太陽光,車のヘッドランプ,街灯の光が入らないように工夫する必要がある。従って、室内・工場の特定場所での使用に適している。
【0038】
(実施例3)
図11,12に示す実施例3は、計測開始信号の伝達媒体と超音波とする例で、超音波の伝播速度は電波・光に比べると大巾に遅いので、計測装置と超音波発信器とが10m以下の狭い範囲の計測開始信号の同時到着させる場合に主に使用される。又、高い周波数の雑音がある場所には適さず、比較的騒音が少ない室内・工場での計測に適する。又、計測クロック周期が長く、又長時間の計測に適している。
【0039】
この実施例3では、実施例1の計測開始信号の伝播媒体として超音波を使用するため、実施例1のアナログ電波の送受信器のMAS,KAR,MASFに代え、特定周波数の超音波を発生させる超音波発信器SSHを解析装置MKに設け、又各計測装置K1iにはアナログ電波受信器のKAR,KARF,KAROの回路に代わり、超音波受信器SSRを設け、同超音波受信器SSRの受信信号でクロック開閉器KSWと閉路させるものであり、他の構造・作用効果は実施例1と同様のフロー・手順であるので省略する。
【0040】
この実施例3では、各計測装置は装置を設置した位置における温度センサーも設けていて、計測温度Tiの情報も解析装置MKへデジタル変調電波で送信して、主メモリMMEに計測装置IDと計測番号IDと関連付けて記憶されている。
各計測装置では、実施例1同様に超音波受信器SSRが計測開始信号を受信すると、このときのクロック番号で計測データ値とそのクロック番号を対応付けしてメモリKMEに原情報として記憶する。そして、計測装置のメモリKMEの原情報等はデジタル変調電波で解析装置MKへ送信され、受信されると主メモリMMEに計測装置ID,計測番号IDと関連付けられ、記憶される。
【0041】
解析装置の修正プログラムでは、各計測装置の原情報のクロック数(番号)は計測開始時のクロック数の開始クロック数をまず差し引く。更に、各計測装置の超音波受信器SSRと超音波発信器SSHとの距離に応じた到着時間差に応じた位置補正クロック数とこれに計測値の温度Tを、各計測装置からの大気温度Tiの平均値の絶対温度Tとして計算し、これを
【数1】
として(但し、Mは空気分子量,Kは空気の比熱比,Rは気体定数)、温度補正を行った位置補正クロック数を算出し加算して(原情報のクロック数−開始クロック数−温度補正した位置補正クロック数)で調整した修正クロック数を算出し、原情報の計測デジタル値と修正クロック数とを関連付けして主メモリMMEに記憶する。
【0042】
主メモリの修正クロック数は、計測開始時からの経過時間tは、t=修正クロック数*Δt(クロック周期)として算出し、主メモリに計測装置ID,計測番号IDにおける原情報の計測値と対応付けして補正クロック数を記憶する。
各計測装置における同一計測番号IDの同じ修正クロック番号(数)が同一の値のものが同一時刻の計測データとなる。
この同一時刻の計測データを用いて被計測物の振動分析を行うことで、正確な振動状態・亀裂の有無等を分析できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
計測するものは、振動センサーの他に荷重センサー,歪センサー,変位計測センサー等計測目的に適したセンサーが採用できる。
【符号の説明】
【0044】
実施例1の多点同時計測システム
実施例2の多点同時計測システム
実施例3の多点同時計測システム
BR 大型橋
11,K12,K13,K14,K15,K16,K17,K18,K19 実施例1の同じ構造の計測装置
KCOM 計測装置のコンピュータ
CPU コンピュータKCOMのCPU
KINT コンピュータKCOMのインターフェース
KDS デジタル変調電波送信器
KDR デジタル変調電波受信器
KDH デジタル変調器
KDI デジタル信号入力部
KDRF デジタル復調器
KDRO デジタル信号出力部(デジタル信号抽出部)
KAR アナログ変調電波受信器
KARF アナログ変調電波復調器(アナログ復調器)
KARO アナログ信号出力部
ANT アンテナ
SES 計測センサー
AD A/D変換器
SAC データサンプリングクロック発生回路
KCC クロックカウンター
KSW 常開のクロック開閉器
KME コンピュータKCOMのメモリ
KMEK 基本ソフトメモリ部
KMED データメモリ部
MK 解析装置
MCOM 解析装置MKのコンピュータ
MCPU コンピュータMCOMのCPU
MINT コンピュータMCOMのインターフェース
MME コンピュータMCOMの主メモリ
MDS デジタル変調電波送信器
MDR デジタル変調電波受信器
MDH デジタル変調器
MDI デジタル信号入力部
MDRF デジタル復調器
MDRO デジタル信号出力部
MAS アナログ変調電波発信器(デジタル式無線発信器)
MASF アナログ変調器(アナログ電波変調器)
MASI 計測開始信号入力部
MAB 計測開始ボタン
MANT 電波アンテナ
MMEK 基本ソフトメモリ部
MMED 主メモリMMEのデータメモリ部
MDIS ディスプレイ
MKB キーボードとマウス
MHD 外付HDD
f データサンプリング周波数
CN 原情報のクロック番号(クロック数)
CN 修正クロック番号(修正クロック数)
t 計測開始時点からの経過時間
Δt 1クロックの周期 1/fsec
SL 照明装置
LR 受光器
SSH 超音波発信器
SW 電源スイッチ
SSR 超音波受信器
SSE 超音波発信器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13