【解決手段】発光素子駆動装置700は、発光素子LED1に流れる出力電流Ioutに応じた帰還電圧Vfb1(より正確には帰還電圧調整部720で調整済みの帰還電圧Vfb2)と第1基準電圧Vref1とが一致するように出力電流Ioutの定電流制御を行う出力電流駆動部710と;電源立ち上げ時において、発光素子LED1の一端に現れる出力電圧Voutが第2基準電圧Vref2に達するまでの間、両電圧の差分値(=Vref2−Vout)に応じたオフセット電圧Voffset分だけ、帰還電圧Vfb1を第1基準電圧Vref1に近付けるように調整する帰還電圧調整部720と;を有する。
前記第1基準電圧をVref1とし、前記第2基準電圧をVref2とし、前記第1抵抗の抵抗値をR1とし、前記第2抵抗の抵抗値をR2とすると、(R2/R1)×Vref2≧Vref1が成立することを特徴とする請求項3に記載の発光素子駆動装置。
前記第1基準電圧をVref1とし、前記第2基準電圧をVref2とし、前記出力トランジスタのオン抵抗値をRonとし、前記センス抵抗の抵抗値をRsとすると、Vref2≧(Vref1/Rs)×(Rs+Ron)が成立することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発光素子駆動装置。
【背景技術】
【0002】
従来、LED[light emitting diode](発光ダイオード)などの発光素子を駆動する発光素子駆動装置が様々に開発されてきている。
【0003】
なお、リニア駆動型の発光素子駆動装置においては、点灯開始直後のLED駆動電流がゼロから設定した目標電流値に上昇する際、フィードバック制御系の遅れにより、LED駆動電流が瞬間的に目標電流値を超えてオーバーシュートすることがある。この場合、オーバーシュートしたLED駆動電流により、点灯開始時に閃光が生じたり、最大定格電流をオーバーしてLEDが劣化したりするという恐れがあった。
【0004】
特許文献1は、オーバーシュートの抑制に関して述べる。特許文献1の
図2を参照すると、ソフトスタート回路は、時間とともにその電圧レベルが上昇するソフトスタート電圧を生成する。パルス幅変調器は、スイッチング電源の出力電圧に応じたフィードバック電圧がソフトスタート電圧と一致するようにデューティ比が調節されるPWM信号を生成する。ドライバ回路は、PWM信号に応じてスイッチング素子を制御する。キャパシタは、一端の電位が固定される。電流源は、PWM信号と同期して間欠的に流れる充電電流を生成してキャパシタを充電する。ソフトスタート回路は、キャパシタに生ずる電圧をソフトスタート電圧として出力する。
【0005】
この構成によりキャパシタを間欠的に充電することにより、実効的な充電電流を減らすことができるため、キャパシタの容量値が小さくても、時間変化率の小さなソフトスタート電圧、言い換えれば、時定数の長いソフトスタート電圧を生成でき、オーバーシュートを抑制することができる。
【0006】
図5は、オーバーシュートの不具合に関して本願の発明者が事前に検討した発光素子駆動装置500の構成を示す。
【0007】
発光素子駆動装置500は、ドライブアンプ1(DRV_AMP)、定電流源2、駆動素子3(Pチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]トランジスタ)、コンパレータ4、定電圧源5、制御部6、抵抗R1、及び、抵抗R2を有しており、複数の発光素子を直列接続した発光素子光源LED1を定電流駆動する。
【0008】
電源端子INには抵抗R1の一端と抵抗R2の一端とが接続され、抵抗R1の他端には定電流源2の一端とドライブアンプ1(DRV_AMP)の非反転入力端子(+)が接続され、抵抗R2の他端にはドライブアンプ1(DRV_AMP)の反転入力端子(−)と駆動素子3のソースが接続されている。
【0009】
ドライブアンプ1(DRV_AMP)の出力は駆動素子3のゲートに接続され、駆動素子3のドレインは発光素子光源LED1のアノードに接続され、発光素子光源LED1のカソードは接地端子GNDに接続されている。
【0010】
発光素子光源LED1のアノードには、コンパレータ4の非反転入力端子(+)が接続されており、コンパレータ4の反転入力端子(−)は定電圧源5の一端と接続され、定電圧源5の他端は電源端子INと接続されている。定電圧源5は、LEDオープン検出電圧VOPを生成する。コンパレータ4によってLEDオープン検出信号LODが生成され、制御部6へ入力される。制御部6はドライブアンプ1(DRV_AMP)を制御する。
【0011】
発光素子駆動装置500の動作を簡単に説明する。定電流源2で発生する基準電流ISET_HVが抵抗R1を流れることで発生する基準電圧VR1がドライブアンプ1(DRV_AMP)の非反転入力端子(+)に印加され、その反転入力端子(−)に基準電圧VR1と等しい電圧が取り出される。その電圧により抵抗R2で発生した電流(≒(VIN−VR1)/R2)が駆動素子3を介して発光素子光源LED1に供給される。
【0012】
図6は、発光素子駆動装置500における問題点を説明する為の電源電圧VINの立ち上げ時におけるタイミングチャートを示す。
【0013】
電源電圧VINは、時刻t0において、0Vから徐々に立ち上げられていく。一方、出力電圧VOUTは、ドライブアンプ1(DRV_AMP)が起動する時刻t1以降、電源電圧VINに追随して上昇していく。
【0014】
ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGS(=駆動素子3のゲート・ソース間に印加される電圧、以下も同様)は、時刻t1において低電圧誤動作防止(いわゆるUVLO[under-voltage locked-out])が解除されて、ドライブアンプ1(DRV_AMP)が起動するまで発生しない。低電圧誤動作防止は、電源投入時や電源瞬断時の誤動作を防止するための保護機能のことで、電源電圧VINが例えば5V以上になると解除される。
【0015】
その後、ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGSは、最大値(VGS_MAX)となり、時刻t3まで、すなわち、次式の条件が満たされる時刻となるまで維持される。
【0016】
VIN>VF_TOTAL
【0017】
ここで、VF_TOTALは、発光素子光源LED1の総順方向電圧を意味する。その後、時刻t4で定常状態になる。
【0018】
LED駆動電流I_LEDは、時刻t2において流れ始める。時刻t3において、発光素子光源LED1にあらかじめ定めた一定の設定電流I_LED_Cが流れる。理想であれば、この瞬間に設定電流I_LED_Cは一定となることが望まれるが、ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGSの制御遅れにより、オーバーシュート電流Iosが時刻t3〜t4の区間で流れてしまう。LED駆動電流I_LEDは、ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGSが回路動作に追従する時刻t4で定常状態となり、以降は設定電流I_LED_Cを維持する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、発光素子駆動装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図5と同等の働きをする部分には同じ符号を付している。
【0037】
本実施形態の発光素子駆動装置100は、ドライブアンプ1(DRV_AMP)、定電流源2、駆動素子3、コンパレータ4、定電圧源5、制御部6、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)、定電圧源8、及び、Pチャネル型のMOSトランジスタM0〜M1を有しており、発光素子光源LED1を定電流駆動する。
【0038】
MOSトランジスタM0のソースは、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)に接続されており、ゲートは内部電圧VINCLPの印加端に接続されており、ドレインは定電流源2の一端とドライブアンプ1(DRV_AMP)の非反転入力端子(+)に接続されている。定電流源2の他端は、接地端子GNDに接続されている。内部電圧VINCLPは、例えばツェナーダイオードを用いて生成される。内部電圧VINCLPと電源電圧VINの大小関係は、VINCLP<VINである。なお、MOSトランジスタM0と定電流源2が電源端子IN(電源電圧VIN)と接地端子GNDとの間に接続されているものを基準電圧生成回路と称する。
【0039】
また、MOSトランジスタM1のソースは、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)に接続されており、ゲートは電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の出力に接続されており、ドレインはドライブアンプ1(DRV_AMP)の反転入力端子(−)と駆動素子3の第1主電極(ソース)に接続されている。駆動素子3は、発光素子光源LED1に出力電圧VOUTとLED駆動電流I_LEDを供給する。駆動素子3は、例えば、Pチャネル型のMOSトランジスタである。なお、MOSトランジスタM1をLED駆動電流生成回路とも称する。
【0040】
図2は、
図1のMOSトランジスタM0,M1をそれぞれ等価的な抵抗RM0,RM1に置き換えた等価回路図である。本図で示すように、MOSトランジスタM0は、等価的に固定抵抗RM0を構成する。一方、MOSトランジスタM1は、等価的に可変抵抗RM1を構成する。この可変抵抗RM1の抵抗値は、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の出力電圧に応じて変化することになる。
【0041】
MOSトランジスタM1による可変抵抗RM1の抵抗値は、電源電圧VINの立ち上げ開始時が最も大きく、電源電圧VINが立ち上がっていくにつれて小さくなっていくように構成されている。このような特性をもたせることが重要であり、後述するLEDオープン誤検出範囲の設定に関わってくる。
【0042】
ここで、
図1に戻り説明を続ける。MOSトランジスタM0とM1を同じ種類のトランジスタで構成することは、LED駆動電流I_LEDを精度よく供給する為に極めて重要である。
【0043】
そのために、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)では、その第1電源Vddとして電源電圧VINが接続されており、第2電源Vssとして内部電圧VINCLPが接続されている。この構成により、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)が出力する最低電圧値が、内部電圧VINCLPと等しくなる。従って、MOSトランジスタM0とMOSトランジスタM1のゲートは、電源電圧VINと出力電圧VOUTが所定の電圧差を持った時、いずれも内部電圧VINCLPに接続されているのと同じこととなり、MOSトランジスタM0とM1のオン抵抗を制御しやすくすることができる。
【0044】
ドライブアンプ1(DRV_AMP)の出力は、駆動素子3の制御電極(ゲート)に接続され、駆動素子3の第2主電極(ドレイン)は、出力端子OUTに接続されている。
【0045】
なお、駆動素子3は、Pチャネル型のMOSトランジスタではなくPNP型のバイポーラトランジスタに置き換えても良い。PNPバイポーラトランジスタにおいては、第1主電極、第2主電極及び制御電極は、エミッタ、コレクタ及びベースがそれぞれ対応する。
【0046】
出力端子OUTは、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の非反転入力端子(+)と発光素子光源LED1のアノードに接続され、発光素子光源LED1のカソードは、接地端子GNDに接続されている。
【0047】
発光素子光源LED1のアノードには、コンパレータ4の非反転入力端子(+)が接続されており、コンパレータ4の反転入力端子(−)は定電圧源5の一端と接続され、定電圧源5の他端は、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)と接続されている。定電圧源5は、LEDオープン検出電圧VOPを生成する。
【0048】
コンパレータ4の出力は制御部6に入力され、制御部6はドライブアンプ1(DRV_AMP)を制御する。
【0049】
電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の反転入力端子(−)は、定電圧源8の一端と接続され、定電圧源8の他端は、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)と接続されている。定電圧源8は、電源電圧VINよりも基準電圧VREFだけ低い電圧(=VIN−VREF)を生成する。基準電圧VREFは、例えば接地端子GND基準のバンドギャップ電源を作製し、そこから電源電圧VIN基準にシフトするようにして作製される。
【0050】
図1には、発光素子光源LED1を説明の便宜上1列のLEDで示したが、複数列の並列接続やマトリクス状もしくは単一のLEDにしてもよい。
【0051】
図1を用いて発光素子駆動装置100の動作原理を説明する。定電流源2で発生する基準電流ISET_HVがMOSトランジスタM0を流れることで発生する基準電圧VR1(=ISET_HV×RM0)がドライブアンプ1(DRV_AMP)の非反転入力端子(+)に印加され、その反転入力端子(−)に取り出される。その電圧によりMOSトランジスタM1で発生したLED駆動電流I_LED(≒(VIN−VR1)/RM1)が発光素子光源LED1に供給される。
【0052】
図3は、第1実施形態における電源立ち上げ時のタイミングチャートを示す。
【0053】
電源電圧VINは、時刻t0において0Vから徐々に立ち上げられていく。一方、出力電圧VOUTは、UVLO解除によりドライブアンプ1(DRV_AMP)が起動する時刻t1から時刻t2まで、電源電圧VINに追随して上昇していく。
【0054】
時刻t2において、出力電圧VOUTが電源電圧VINに追従しなくなる。これは発光素子光源LED1にLED駆動電流I_LEDが流れ始めたことに起因する。
【0055】
その後、出力電圧VOUTは、電源電圧VINと出力電圧VOUTとの差分値が基準電位VREFと同じになる時刻t3まで一定値を示す。
【0056】
その後、出力電圧VOUTは、時刻t5まで電源電圧VINと一定の差、すなわち、基準電圧VREFと同じ幅を保ちながら上昇を続ける。時刻t5において、発光素子光源LED1に流れるLED駆動電流I_LEDが設定電流I_LED_Cに到達しており、出力電圧VOUTは、これ以降一定値を示す。
【0057】
ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGS1(=駆動素子3のゲート・ソース間に印加される電圧、以下も同様)は、時刻t1においてUVLOが解除され、ドライブアンプ1(DRV_AMP)が起動するまで発生しない。その後、ドライブアンプ1(DRV_AMP)のゲート・ソース間電圧VGS1は、時刻t3まで最大値(VGS_MAX)を示す。
【0058】
その後、ドライブアンプ1(DRV_AMP)の出力側から入力側への負帰還が、時刻t4で十分に安定となり、時刻t5で定常状態になる。
【0059】
一方、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)のゲート・ソース間電圧VGS2(=MOSトランジスタM1のゲート・ソース間に印加される電圧、以下も同様)は、時刻t1でUVLOが解除された後、時刻t3において、電源電圧VINと出力電圧VOUTの差分値が基準電圧VREFとなることで発生し始める。その後、ゲート・ソース間電圧VGS2は、時刻t5で最大値となり、以降は一定値を示す。
【0060】
LED駆動電流I_LEDは、時刻t2において流れ始める。その後、時刻t3からMOSトランジスタM1が徐々にオンしていき、時刻t5でフルオンすると、LED駆動電流I_LEDは、設定電流I_LED_Cとなり定常状態に入る。
【0061】
LED駆動電流I_LEDは、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)により電源電圧VINと出力電圧VOUTと基準電圧VREFに次の関係が成り立つように制限される。
【0063】
その後、LED駆動電流I_LEDは、次式の条件になった時に、設定電流I_LED_Cに維持される。
【0065】
VF_T0は、発光素子光源LED1に設定電流I_LED_Cが流れている時の総順方向電圧を示す。
【0066】
その結果、LED駆動電流I_LEDが設定電流I_LED_Cに到達するときには、ドライブアンプ1(DRV_AMP)での負帰還は十分に安定であるため、オーバーシュート電流Iosは発生しなくなっている。
【0067】
ここで、基準電圧VREFについて述べる。基準電圧VREFは、適切な大きさに設定される必要がある。基準電圧VREFが大きすぎると、電源電圧VINが必要以上に大きくならないと設定電流I_LED_Cを流すことができなくなり、逆に、基準電圧VREFが小さすぎると設定電流I_LED_Cに到達するのが早くなりオーバーシュート電流Iosが発生する恐れがある。そのため、基準電圧VREFは、例えば0.75Vに設定されている。
【0068】
これまではオーバーシュート電流Iosの発生への対策効果について述べてきたが、本願の発明者は、上記構成を利用することでLEDオープン検出の誤検出範囲減少に対しても効果があることを知見した。
【0069】
LEDオープン検出は、例えば、直列に接続された発光素子光源LED1のどこかで断線(オープン故障)が起きた場合に、その電力供給を停止する為に用いられる。オープン故障が起きた場合、出力電圧VOUTは、電源電圧VIN近くまで持ち上がることになる。このような出力電圧VOUTの異常上昇を検知することにより、LEDオープン検出が行われる。再度
図1に戻り、LEDオープン検出について説明する。
【0070】
図1において、コンパレータ4と定電圧源5によりLEDオープン検出は行われる。LEDオープン検出信号LODは、制御部6に入力され、制御部6はドライブアンプ1(DRV_AMP)をオフさせることでLED駆動電流I_LEDをオフにする。
【0071】
しかし、減電圧時(例えば電源電圧VINの起動時)においては、出力電圧VOUTは電源電圧VINと同レベルとなるため、この区間はLEDオープン検出をマスク(停止)する必要がある。このマスクは制御部6にて行われる。
【0072】
ここで、LEDオープン検出マスク機能について説明する。これは、例えば、電源電圧VINの起動中において、LEDオープンが生じていない(=発光素子光源LED1に順方向電圧VFが発生しているとき)にも関わらず、電源電圧VINと出力電圧VOUTが等しい電圧となる時、これをLEDオープンとして誤検出してしまわないように、電源電圧VINのLEDオープン検出マスク閾値VOPEを設定する機能である。LEDオープン検出マスク閾値VOPEとは、電源電圧VINがこの電圧値よりも低い間、LEDが正しく接続されているか否かを判定しないための閾値となるものであり、LEDオープン検出マスク閾値VOPEは、以下の式で表わされる。
【0074】
VF_TはLEDの順方向電圧VFの合計を示し、VOPはLEDオープン検出電圧を示す。VF_TはLEDが3個の場合に例えば10.5Vであるとし、LEDオープン検出電圧VOPは例えば0.05Vに設定される。従って、LEDオープン検出マスク閾値VOPEは、例えば10.55Vとなる。発光素子光源LED1の直列段数やLEDの順方向電圧VFのばらつきを考えて、LEDオープン検出マスク閾値VOPEは、例えば0〜11Vまでに設定される。
【0075】
これにより、電源電圧VINがLEDオープン検出マスク閾値VOPE(例えば、11V)以上においてのみ、LEDオープン検出が動作することとなる。
【0076】
<第2実施形態>
図4は、発光素子駆動装置の第2実施形態を示すブロック図である。
図1と同等の働きをする部分には同じ符号を付している。
【0077】
本実施形態の発光素子駆動装置400は、ドライブアンプ1(DRV_AMP)、定電流源2、駆動素子3、コンパレータ4、定電圧源5、制御部6、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)、定電圧源8、MOSトランジスタM2〜M267、抵抗R1、及び、抵抗R2を有し、発光素子光源LED1を定電流駆動する。
【0078】
MOSトランジスタM2のソースは、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)に接続されており、例えば16個のMOSトランジスタM2〜M17は直列に接続されている。MOSトランジスタM2〜M17は、第1トランジスタ群を構成する。MOSトランジスタM2〜M17の共通のゲートは、内部電圧VINCLPの印加端に接続されており、電源端子IN(電源電圧VIN)から最も離れて接続されるトランジスタM17のドレインは、抵抗R1(第1の抵抗に相当)の一端に接続されており、抵抗R1の他端は、定電流源2の一端とドライブアンプ1(DRV_AMP)の非反転入力端子(+)に接続されている。定電流源2の他端は、接地端子GNDに接続されている。
【0079】
また、MOSトランジスタM18と例えば249個のMOSトランジスタM19〜M267は並列に接続され、合わせて250個のMOSトランジスタの共通のソースは電源端子IN(電源電圧VINの印加端)に接続されており、MOSトランジスタM18のゲートは、内部電圧VINCLPの印加端に接続されており、MOSトランジスタM19〜M267のゲートは、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の出力に接続されている。MOSトランジスタM18〜M267は、第2トランジスタ群を構成する。MOSトランジスタM18とMOSトランジスタM19〜M267のドレインは、抵抗R2(第2の抵抗に相当)の一端に共通接続されており、抵抗R2の他端は、ドライブアンプ1(DRV_AMP)の反転入力端子(−)と駆動素子3の第1主電極(ソース)に接続されている。
【0080】
MOSトランジスタM2〜M17の個数とMOSトランジスタM18〜M267の個数のバランスを取ることは、極めて重要である。16個のMOSトランジスタM2〜M17の総直列オン抵抗をRON_T1とし、250個のMOSトランジスタM18〜M267の総並列オン抵抗をRON_T2とすると、これらの抵抗値には、以下の比率関係を持たせることが重要となる。
【0081】
I_LED:ISET_HV=R1:R2=RON_T1:RON_T2=N:1
【0082】
本例においては、抵抗R1=2kΩ、抵抗R2=0.5Ωであり、N=4000となっている。なお、Nの範囲は出力したいLED駆動電流I_LEDにより自由に設計可能な2以上の有理数である。
【0083】
こうした比率関係を持たせることにより、基準電流ISET_HVとLED駆動電流I_LEDの比率が所定の値に保たれることとなり、所望のLED駆動電流I_LEDを精度よく生成することが可能となる。
【0084】
そのために、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の第1電源Vddとして電源電圧VINが接続されると共に、第2電源Vssとして内部電圧VINCLPが接続されている。この構成により、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)が出力する最低電圧値が、内部電圧VINCLPと等しくなる。従って、MOSトランジスタM2〜M17とMOSトランジスタM18〜M267のゲートは、電源電圧VINと出力電圧VOUTが所定の電圧差を持った時、全て内部電圧VINCLPに接続されているのと同じこととなり、MOSトランジスタのオン抵抗を全て同一とすることができる。従って、I_LED:ISET_HV=R1:R2=RON_T1:RON_T2=N:1を満たすことができる。
【0085】
また、電源電圧VINと内部電圧VINCLPの電圧差を小さくしておくことによってMOSトランジスタM2〜M17とMOSトランジスタM18〜M267を低耐圧素子で作製することができ、回路面積の削減を行うことが可能となる。例えば、内部電圧VINCLPは、電源電位VIN−5Vに設定される。
【0086】
MOSトランジスタM2〜M267の個数は本例に限定されない。I_LED:ISET_HV=R1:R2=RON_T1:RON_T2=N:1の比率の関係を満たすことのできる範囲において自由に設定可能である。
【0087】
ドライブアンプ1(DRV_AMP)の出力は、駆動素子3の制御電極(ゲート)に接続され、駆動素子3の第2主電極(ドレイン)は、出力端子OUTに接続されている。
【0088】
出力端子OUTは、電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の非反転入力端子(+)と発光素子光源LED1のアノードに接続され、発光素子光源LED1のカソードは、接地端子GNDに接続されている。
【0089】
発光素子光源LED1のアノードには、コンパレータ4の非反転入力端子(+)が接続されており、コンパレータ4の反転入力端子(−)は、定電圧源5の一端と接続され、定電圧源5の他端は、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)と接続されている。
【0090】
コンパレータ4の出力は制御部6に入力され、制御部6はドライブアンプ1(DRV_AMP)を制御する。
【0091】
電流制限アンプ7(ILIM_AMP)の反転入力端子(−)は、定電圧源8の一端と接続されており、定電圧源8の他端は、電源端子IN(電源電圧VINの印加端)と接続されている。
【0092】
ここで、MOSトランジスタM18とMOSトランジスタM19〜M267の関係を述べる。MOSトランジスタM18のゲートが内部電圧VINCLPに接続されているが、これはLEDオープン検出マスク閾値VOPEをできるだけ小さな値にするためである。LEDオープン検出電圧VOPは例えば0.05Vであり、電源立ち上げ時においてMOSトランジスタM18しかオンしていないときにMOSトランジスタM18を流れる電流IF1は以下の式となる。
【0094】
ここで、RON_M18は、MOSトランジスタM18のオン抵抗であり、例えば100Ωである。また、抵抗R2の抵抗値はRON_M18に比べて十分に小さい値に選ぶ。今、RON_M18を100Ωとすると、電流IF1は、IF1=0.5mAとなる。
【0095】
IF1=0.5mAの時の発光素子光源LED1の順方向電圧VFの合計をVF_T1とすると、LEDオープン検出マスク閾値VOPE1は、次式で表わされる。
【0097】
これまでは、MOSトランジスタM18のみが最初にオンしていることを前提に説明してきたが、仮にMOSトランジスタM19も最初にオンしている場合を想定してみる。すなわち、MOSトランジスタM19のゲートがMOSトランジスタM18のゲートと共通に内部電圧VINCLPに接続されている場合である。この設定の時にMOSトランジスタM18とMOSトランジスタM19に流れる電流をIF2とする。
【0098】
IF2=0.05/((RON_M18*RON_M19)/(RON_M18+RON_M19))
【0099】
ここで、RON_M19は、MOSトランジスタM19のオン抵抗であり、例えば100Ωである。今、RON_M19を100Ωとすると、電流IF2は、IF2=1mAとなる。
【0100】
IF2=1mAの時の発光素子光源LED1の順方向電圧VFの合計をVF_T2とすると、LEDオープン誤検出範囲VOPE2は次式で表わされる。
【0102】
一般的にLEDの順方向電圧VFは流れる電流が大きいほど大きくなる。すなわち、VF_T2>VF_T1であるため、VOPE2>VOPE1となる。以上のことにより、MOSトランジスタM18のゲートのみが内部電圧VINCLPに接続されている方が、より低い電圧でLEDオープン検出マスク閾値VOPEを設定できることとなる。
【0103】
すなわち、電源電圧VINと出力電圧VOUTが所定の電圧差(VOP)を持った時に発生する電流が小さいほど、LEDオープン検出マスク閾値VOPEを引き下げることができる。
【0104】
従って、MOSトランジスタM18〜M267に関しては1個(MOSトランジスタM18)のMOSトランジスタがオンしている状態がより適しているといえる。
【0105】
なお、本願の発明者が事前に検討した
図5の回路においては、LEDオープン検出マスク閾値VOPEの算出に用いられる電流IFは、以下の式となる。
【0106】
IF=0.05/(R2+RON_M1)
【0107】
ここで、RON_M1は駆動素子3のオン抵抗であり、R2の抵抗値と合わせて例えば1Ωである。今、(R2+RON_M1)を1Ωとすると、電流IFは、IF=50mAとなる。
【0108】
先にも述べた通り、一般にLEDの順方向電圧VFは流れる電流が大きいほど大きくなる。しかも、LED個々によるばらつきも大きく、電流値が大きくなるほど順方向電圧VFのばらつきは大きくなる。例えば、そのばらつきは1Vにもなる。そのため、LEDオープン検出マスク閾値VOPEが大きな電圧値となっており、LEDオープン検出マスク機能へのマージンが十分に確保できないという問題があったが、
図4の回路においては、その問題も解決されることを知見した。
【0109】
なお、上記実施形態では、MOSトランジスタとしてPMOSトランジスタを使用しており、発光素子光源LED1に対してLED駆動電流I_LEDをソースする形式で説明を行ったが、同形式でPMOSトランジスタの代わりにPNPバイポーラトランジスタを使用することも可能である。
【0110】
また、PMOSトランジスタの代わりにNMOSトランジスタを使用し、発光素子光源LED1に対してLED駆動電流I_LEDをシンクする形式での利用も可能である。
【0111】
<第3実施形態>
図7は、発光素子駆動装置の第3実施形態を示すブロック図である。本実施形態の発光素子駆動装置700は、車両Xに搭載される発光装置X1の構成要素として用いられている。なお、車両Xは、発光装置X1のほかに、バッテリX2と、電源スイッチX3と、コントローラX4と、を有する。
【0112】
発光装置X1は、バッテリX2から電源電圧Vinの供給を受けて点灯する車載ランプである。なお、発光装置X1の一例としては、ヘッドランプ、昼間走行用ランプ、テールランプ、ストップランプ、ないしは、ターンランプなどを挙げることができる。
【0113】
バッテリX2は、車両Xの電源であり、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などが好適に用いられる。
【0114】
電源スイッチX3は、発光装置X1とバッテリX2との間に接続されており、コントローラX4からの制御を受けてオン/オフされる。
【0115】
コントローラX4は、電源スイッチX3のオン/オフ制御を行う。
【0116】
<発光装置>
引き続き、
図7を参照しながら、発光装置X1の内部構成について説明する。発光装置X1は、発光素子駆動装置700と、発光素子光源LED1と、逆流防止ダイオードD1と、を含む。
【0117】
発光素子駆動装置700は、バッテリX2から電源電圧Vinの供給を受けて動作し、発光素子光源LED1に供給するための出力電流Iout(=先出のLED駆動電流I_LEDに相当)を生成する半導体集積回路装置(いわゆるLEDドライバIC)である。
【0118】
発光素子光源LED1は、直列接続された複数の発光ダイオードを含む直列発光体(いわゆるLEDストリング)である。複数の発光ダイオードを個別に見た場合、それぞれを単一の発光ダイオード素子として理解することもできるし、或いは、複数の発光ダイオード素子を直列ないしは並列に組み合わせた発光素子集合体として理解することもできる。なお、本実施形態の発光装置X1では、発光素子光源LED1のアノードが発光素子駆動装置700の電源端子IN(=電源電圧Vinの印加端)に接続されており、発光素子光源LED1のカソードが発光素子駆動装置700の出力端子OUTに接続されている。
【0119】
逆流防止ダイオードD1は、発光装置X1からバッテリX2への逆流電流を遮断する。
【0120】
<発光素子駆動装置>
次に、発光素子駆動装置700の内部構成について説明する。本実施形態の発光素子駆動装置700は、その要部構成として、出力電流駆動部710と帰還電圧調整部720を有する。なお、本図では明示されていないが、発光素子駆動装置700には、これらの回路ブロック以外にも、制御ロジック回路、内部電源回路、並びに、各種の異常保護回路などが組み込まれている。
【0121】
出力電流駆動部710は、発光素子光源LED1に流れる出力電流Ioutに応じた帰還電圧Vfb1(より正確には、帰還電圧調整部720で調整済みの帰還電圧Vfb2)と所定の基準電圧Vref1とが一致するように、出力電流Ioutの定電流制御を行う回路ブロックであり、オペアンプ711と、出力トランジスタ712(本図ではNMOSFET、オン抵抗値:Ron)と、センス抵抗713(抵抗値:Rs)と、を含む。
【0122】
オペアンプ711は、帰還電圧調整部720から反転入力端(−)に入力される調整済みの帰還電圧Vfb2(=Vfb1+Voffset)と、非反転入力端(+)に入力される所定の基準電圧Vref1とが一致(=イマジナリショート)するように、出力トランジスタ712のゲート・ソース間電圧Vgs1をリニア駆動する。
【0123】
出力トランジスタ712のドレインは、出力端子OUTに接続されている。出力トランジスタ712のソース及びバックゲートは、センス抵抗713の第1端(=帰還電圧Vfb1の出力端に相当)に接続されている。センス抵抗713の第2端は、接地端に接続されている。このように、出力トランジスタ712とセンス抵抗713は、出力電流Ioutの流れる経路上に設けられている。なお、センス抵抗713は、これに流れる出力電流Ioutを帰還電圧Vfb1(=Iout×Rs)に変換して帰還電圧調整部720に出力する電流/電圧変換素子として機能する。
【0124】
このように、本実施形態の発光素子駆動装置700では、出力電流駆動部710が電流シンク型(=発光素子光源LED1のカソードから接地端に向けて出力電流Ioutを引き込む出力形式)とされている。
【0125】
帰還電圧調整部720は、電源電圧Vinの立ち上げ時において、出力端子OUT(=発光素子光源LED1のカソード)に現れる出力電圧Voutが基準電圧Vref2に達するまでの間、両電圧の差分値(=Vref2−Vout)に応じたオフセット電圧Voffsetの分だけ、帰還電圧Vfb1を基準電圧Vref1に近付けるようにオフセットした調整済みの帰還電圧Vfb2(=Vfb1+Voffset)を生成する回路ブロックであり、オペアンプ721と、トランジスタ722(本図の例ではNMOSFET)と、抵抗723及び724(抵抗値:R1及びR2)と、カレントミラー725と、電流源726と、を含む。
【0126】
オペアンプ721は、抵抗723の第1端から反転入力端(−)に入力されるノード電圧Vn1と、非反転入力端(+)に入力される所定の基準電圧Vref2とが一致(=イマジナリショート)するように、トランジスタ722のゲート・ソース間電圧Vgs2をリニア駆動する。
【0127】
トランジスタ722のドレインは、カレントミラー725の入力端に接続されている。トランジスタ722のソース及びバックゲートは、抵抗723の第1端(=ノード電圧Vn1の出力端に相当)に接続されている。抵抗723の第2端は、出力端子OUT(=出力電圧Voutの印加端)に接続されている。このようにして接続された抵抗723は、その両端間電圧(=基準電圧Vref2と出力電圧Voutとの差分値に相当)をオフセット電流Ioffset(=(Vref2−Vout)/R1)に変換してカレントミラー725の入力端から引き込む電圧/電流変換素子として機能する。
【0128】
カレントミラー725は、その入力端に流れるオフセット電流Ioffsetを所定のミラー比α(例えばα=1)で自身の出力端に複製する。なお、カレントミラー725の出力端は、抵抗724の第1端に接続されている。従って、抵抗724には、オフセット電流Ioffsetが流れる。
【0129】
抵抗724の第1端は、帰還電圧調整部720の出力端(=調整済みの帰還電圧Vfb2の出力端)として、オペアンプ711の反転入力端(−)に接続されている。抵抗724の第2端は、センス抵抗713の第1端(=調整前の帰還電圧Vfb1の出力端)に接続されている。このようにして接続された抵抗724は、オペアンプ711の反転入力端(−)とセンス抵抗713の第1端との間で、オフセット電流Ioffsetに応じたオフセット電圧Voffset(=Ioffset×R2)を生じさせる電流/電圧変換素子として機能する。
【0130】
電流源726は、出力トランジスタ712のドレイン・ソース間に接続されている。このような電流源726を設けておくことにより、電源電圧Vinの立ち上げ時において、出力トランジスタ712が強制的にオフされているとき(詳細は後述)であっても、出力電圧Voutの電圧値が不定となることはない。
【0131】
図8は、第3実施形態における電源立ち上げ時のタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧Vin(実線)及び出力電圧Vout(一点鎖線)、オフセット電流Ioffset、出力トランジスタ712のゲート・ソース間電圧Vgs1、及び、出力電流Ioutが描写されている。なお、本図中の破線は、帰還電圧調整部720が未導入である場合、すなわち、帰還電圧Vfb1がオペアンプ711の反転入力端(−)に直接入力される場合の挙動を示している。
【0132】
時刻t11において、発光装置X1に電源が投入されると、電源電圧Vinが0Vから徐々に上昇していく。
【0133】
その後、時刻t12において、電源電圧Vinが所定の閾値を上回り、発光素子駆動装置700のUVLOが解除されると、出力電流駆動部710及び帰還電圧調整部720が動作可能状態となる。
【0134】
ここで、Vout<Vref2であるときには、両者の差分値(=Vref2−Vout)に応じたオフセット電流Ioffsetが抵抗724に流される。その結果、オペアンプ711には、帰還電圧Vfb1をオフセット電圧Voffsetの分だけ基準電圧Vref側に引き上げた調整済みの帰還電圧Vfb2(=Vfb1+Voffset)が入力されることになる。
【0135】
なお、基準電圧Vref1及びVref2それぞれの電圧値、並びに、抵抗723及び724それぞれの抵抗値R1及びR2(ただし、R1,R2>>Rs)については、(R2/R1)×Vref2≧Vref1が成立するように設定しておくことが望ましい。
【0136】
このような設定を行うことにより、Vout=0Vであるときには、Vfb2>Vref1となり、出力トランジスタ712が強制的にオフされた状態から動作し始めるので、電源立ち上げ時における出力電流Ioutのオーバーシュートを生じずに済む。
【0137】
その後、電源電圧Vinの上昇が進み、時刻t13において、Vin>VF_T(ただし、VF_Tは、発光素子光源LED1の順方向電圧VFの合計値)が満たされると、出力電圧Voutが上昇し始める。これに伴い、オフセット電圧Voffsetは、徐々に低下していくので、調整済みの帰還電圧Vfb2が本来の帰還電圧Vfb1に近付いていく。従って、オペアンプ711により出力トランジスタ712のゲート・ソース間電圧Vgs1が緩やかに引き上げられるので、そのオン抵抗値Ronが徐々に低下していく。
【0138】
このように、時刻t13以降、出力トランジスタ712を徐々にオンすることにより、出力電流Ioutは、オーバーシュートを生じることなく緩やかに増大していき、最終的には、時刻t14において、所望の目標値(=Vref1/Rs)に至る。
【0139】
なお、基準電圧Vref1及びVref2それぞれの電圧値、出力トランジスタ711のオン抵抗値Ron、並びに、センス抵抗713の抵抗値Rsについては、Vref2≧(Vref1/Rs)×(Rs+Ron)が成立するように設定しておくとよい。
【0140】
このような設定を行うことにより、出力電流Ioutが所望の目標値に達してから、オフセット電流Ioffset(延いては、オフセット電圧Voffset)がゼロ値になるので、出力電流Ioutのオーバーシュートを確実に抑制することが可能となる。
【0141】
また、電源電圧Vinの立ち上げ後には、帰還電圧調整部720が無効状態(Ioffset=0)となるので、発光素子駆動装置700の定常動作時における特性の悪化を招くこともない。
【0142】
また、本実施形態の発光素子駆動装置700において、帰還電圧調整部720は、出力電圧Voutに応じたオープン制御により、帰還電圧Vfb1に与えるオフセット電圧Voffsetを一義的に決定する構成とされている。従って、帰還電圧調整部720は、電流駆動部710の特性に影響を及ぼさないので、先出の第1実施形態(
図1)や第2実施形態(
図4)(=出力電圧VOUTに応じたフィードバック制御により、センス抵抗RM1の抵抗値を可変する構成)と比べて、その動作安定性を高めることが可能となる。
【0143】
<第4実施形態>
図9は、発光素子駆動装置の第4実施形態を示すブロック図である。本実施形態の発光素子駆動装置900は、第3実施形態(
図7)をベースとしつつ、電流シンク型の出力電流駆動部710に代えて、電流ソース型(=電源端から発光素子光源LED1のアノードに出力電流Ioutを流し込む出力形式)の出力電流駆動部910が採用されている。これに伴い、発光素子光源LED1の接続位置は、発光素子駆動装置900の出力端子OUTと接地端との間に変更されている。また、帰還電圧調整部720は、帰還電圧調整部920に置き換えられている。
【0144】
出力電流駆動部910は、発光素子光源LED1に流れる出力電流Ioutに応じた帰還電圧Vfb3(より正確には、帰還電圧調整部920で調整済みの帰還電圧Vfb4)と所定の基準電圧Vref3とが一致するように、出力電流Ioutの定電流制御を行う回路ブロックであり、オペアンプ911と、出力トランジスタ912(本図ではPMOSFET、オン抵抗値:Ron)と、センス抵抗913(抵抗値:Rs)と、を含む。
【0145】
オペアンプ911は、帰還電圧調整部920から反転入力端(−)に入力される調整済みの帰還電圧Vfb4(=Vfb3−Voffset)と、非反転入力端(+)に入力される所定の基準電圧Vref3とが一致(=イマジナリショート)するように、出力トランジスタ912のゲート・ソース間電圧Vgs3をリニア駆動する。なお、基準電圧Vref3は、電源電圧Vinを所定値だけ引き下げて生成される。
【0146】
出力トランジスタ912のドレインは、出力端子OUTに接続されている。出力トランジスタ912のソース及びバックゲートは、センス抵抗913の第1端(=帰還電圧Vfb3の出力端に相当)に接続されている。センス抵抗913の第2端は、電源端(=電源電圧Vinが印加される電源端子IN)に接続されている。このように、出力トランジスタ912とセンス抵抗913は、出力電流Ioutの流れる経路上に設けられている。なお、センス抵抗913は、これに流れる出力電流Ioutを帰還電圧Vfb3(=Vin−Iout×Rs)に変換して帰還電圧調整部920に出力する電流/電圧変換素子として機能する。
【0147】
このように、本実施形態の発光素子駆動装置900では、出力電流駆動部910が電流ソース型(=電源端から発光素子光源LED1のアノードに出力電流Ioutを流し込む出力形式)とされている。
【0148】
帰還電圧調整部920は、電源電圧Vinの立ち上げ時において、出力端子OUT(=発光素子光源LED1のアノード)に現れる出力電圧Voutが基準電圧Vref4に達するまでの間、両電圧の差分値(=Vout−Vref4)に応じたオフセット電圧Voffsetの分だけ、帰還電圧Vfb3を基準電圧Vref3に近付けるようにオフセットした調整済みの帰還電圧Vfb4(=Vfb3−Voffset)を生成する回路ブロックであり、オペアンプ921と、トランジスタ922(本図の例ではPMOSFET)と、抵抗923及び924(抵抗値:R3及びR4)と、カレントミラー925と、電流源926と、を含む。
【0149】
オペアンプ921は、抵抗923の第1端から反転入力端(−)に入力されるノード電圧Vn2と、非反転入力端(+)に入力される所定の基準電圧Vref4とが一致(=イマジナリショート)するように、トランジスタ922のゲート・ソース間電圧Vgs4をリニア駆動する。なお、基準電圧Vref4は、電源電圧Vinを所定値だけ引き下げて生成される。
【0150】
トランジスタ922のドレインは、カレントミラー925の入力端に接続されている。トランジスタ922のソース及びバックゲートは、抵抗923の第1端(=ノード電圧Vn2の出力端に相当)に接続されている。抵抗923の第2端は、出力端子OUT(=出力電圧Voutの印加端)に接続されている。このようにして接続された抵抗923は、その両端間電圧(=基準電圧Vref4と出力電圧Voutとの差分値に相当)をオフセット電流Ioffset(=(Vout−Vref4)/R3)に変換してカレントミラー925の入力端に流し込む電圧/電流変換素子として機能する。
【0151】
カレントミラー925は、その入力端に流れるオフセット電流Ioffsetを所定のミラー比α(例えばα=1)で自身の出力端に複製する。なお、カレントミラー925の出力端は、抵抗924の第1端に接続されている。従って、抵抗924には、オフセット電流Ioffsetが流れる。
【0152】
抵抗924の第1端は、帰還電圧調整部920の出力端(=調整済みの帰還電圧Vfb4の出力端)として、オペアンプ911の反転入力端(−)に接続されている。抵抗924の第2端は、センス抵抗913の第1端(=調整前の帰還電圧Vfb3の出力端)に接続されている。このようにして接続された抵抗924は、オペアンプ911の反転入力端(−)とセンス抵抗913の第1端との間で、オフセット電流Ioffsetに応じたオフセット電圧Voffset(=Ioffset×R4)を生じさせる電流/電圧変換素子として機能する。
【0153】
電流源926は、出力トランジスタ912のドレイン・ソース間に接続されている。このような電流源926を設けておくことにより、電源電圧Vinの立ち上げ時において、出力トランジスタ912が強制的にオフされているときでも、出力電圧Voutの電圧値が不定となることはない。
【0154】
本実施形態の発光素子駆動装置900によれば、電流ソース型の出力電流駆動部910を採用した場合であっても、先出の第3実施形態(
図7)と同じく、出力トランジスタ912が強制的にオフされた状態から動作し始めるので、電源立ち上げ時における出力電流Ioutのオーバーシュートを抑制することが可能となる。
【0155】
<用途>
なお、これまでに説明してきた発光素子駆動装置(100、400、700、900)は、例えば、
図10及び
図11で示すように、車両X10のヘッドランプ(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、昼間走行用ランプ(DRL[daylight running lamps])X12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、並びに、ターンランプX15などの発光装置に組み込んで用いることができる。
【0156】
なお、発光素子駆動装置(100、400、700、900)は、駆動対象となる発光素子光源LED1と共にモジュール(
図12のLEDヘッドランプモジュールY10、
図13のLEDターンランプモジュールY20、及び、
図14のLEDリアランプモジュールY30など)として提供されるものであってもよいし、発光素子光源LED1とは独立にIC単体として提供されるものであってもよい。
【0157】
<その他の変形例>
上記の実施形態では、発光素子として発光ダイオードを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、発光素子として有機EL[electro-luminescence]素子を用いることも可能である。
【0158】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。