【実施例】
【0015】
図3は、本発明の実施例に係る車載システム10のシステム全体構成例を示すブロック図である。車載システム10は、入力部11、位置情報検出部13、ナビゲーション部15、放送受信部17、アンテナ171、記憶部19、音声出力部21、表示出力部23、ディスプレイ231、制御部25を含んで構成される。
【0016】
入力部11は、ユーザーが車載システム10に対して各種情報を入力することを可能にする。入力部11は、例えば、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネル等を含み、ユーザーは、入力部11を介してメニュー選択操作、チャンネル切り替え、地図スクロール、目的地の設定などの各種指示を入力することができる。また、ディスプレイ231に取り付けられたタッチパネル等により構成されていてもよい。操作内容に応じた操作信号を制御部25に出力する。
【0017】
位置情報検出部13は、自車の現在位置を検出する。位置情報検出部13は、例えば、GPS信号を利用した測位、自律航法センサを利用した測位に基づき自車位置を検出する。自律航法センサは、例えば、角速度センサや地磁気センサ等の方位センサ、車速パルスセンサ等の車速センサなどを備える。位置情報検出部13によって検出された自車位置情報は、ナビゲーション部15に提供される。なお、車載システムに備わっている通信機能を利用して、位置情報配信サイトや配信サーバにアクセスし、自車位置情報を取得するものであってもよい。
【0018】
ナビゲーション部15は、制御部25と連携してナビゲーション機能を実行する。ナビゲーション部15は、ユーザーから目的地の設定が行われたとき、位置情報検出部13によって検出された自車位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路を音声出力部21および表示出力部23より出力する。あるいは、自車位置周辺の道路地図を案内する。また、ナビゲーション部15は、渋滞情報等を考慮して経由地および目的地への到着予測時間を算出し、到着時間も合わせた経路案内を行う。また、ナビゲーションに必要なデータは、記憶部19から取得可能であるが、通信機能を備えている場合には、外部サーバから必要なデータを取得することも可能である。
【0019】
放送受信部17は、
図4に示すように、アンテナ171a〜171d、チューナ173a〜173d、ダイバーシティ合成部175、誤り訂正部177、デマルチプレクサ部179、音声デコーダ181、映像デコーダ183、データデコーダ185、音声選択部187、映像選択部189を含んで構成される。アンテナ171a〜171dは、地上波デジタル放送の電波(放送波)を受信し、これをチューナ173a〜173dへ提供する。チューナ173a〜173dは、入力部11からのユーザー入力または制御部25からの制御信号に応じて、放送局またはチャンネルの周波数を選択し、その選択された放送局からの放送波を受信する。さらに、受信された信号を復調し、トランスポートストリーム信号(以下、TS)を生成し、これをダイバーシティ合成部175へ提供する。
【0020】
ダイバーシティ合成部175は、各チューナからの信号を受け取り、ダイバーシティ合成されたTSを生成する。好ましくは、ダイバーシティ合成部175は、各チューナからの信号の位相を制御し、位相制御されたTSを合成する。また、ダイバーシティ合成部175は、位相制御の方法以外にも、例えば、最大電力の信号を選択する方法や、信号電力に比例した重みを付ける方法などを行うものであってもよい。
【0021】
誤り訂正部177は、伝送中に生じる誤りを訂正し、デマルチプレクサ部179に出力する。この際、誤り率を示すBER(Bit Error Rate)を制御部25へ出力する。誤り率BERは、ダイバーシティ合成部175により合成されるチューナの数に応じたものであり、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送局を受信して、残り2つのチューナで代替局のサーチを行っている場合には、それぞれの2ダイバ合成の誤り率が出力される。
【0022】
デマルチプレクサ部179は、多重化されているTSから音声ストリーム、映像ストリーム、およびデータストリームをそれぞれ分離し、音声ストリームを音声デコーダ部181、映像ストリームを映像デコーダ部183、データストリームをデータデコーダ部185にそれぞれ出力する。データストリームには、データ放送用の情報ストリームが含まれ、さらにそこには、NIT(Network Information Table)やEIT(Event Information Table)が含まれている。EITには、番組情報を識別するためのイベントID等が含まれており、このイベントIDはフルセグメントの番組とワンセグメントの番組が同一か否かを判定することに用いられる。NITには、受信している放送局と同一番組を放送している中継局や系列局の情報等を含んでいる。
【0023】
音声デコーダ部181は、入力された音声ストリームをデコードする。この際、フルセグメント放送の番組とワンセグメント放送の番組の音声ストリームを分けてデコードして、音声選択部187へ出力する。映像デコーダ部183は、入力された映像ストリームをデコードする。この際、フルセグメント放送の番組とワンセグメント放送の番組の映像ストリームを分けてデコードして、映像選択部189へ出力する。データデコーダ部185は、データストリームをデコードし、その結果を制御部25へ出力する。
【0024】
音声選択部187は、制御部25からの制御信号に応じて、フルセグメント放送の番組またはワンセグメント放送の番組の音声信号を選択する。つまり、受信感度が良好の場合はフルセグメント放送の番組の音声信号を選択し、受信感度が悪い場合は、ノイズ耐性のあるワンセグメント放送の番組の音声信号を選択する。映像選択部189も同様に、受信感度による制御部25からの制御信号に応じて、フルセグメント放送の番組またはワンセグメント放送の番組の音声信号を選択する。そして、音声選択部187および映像選択部189で選択された音声信号および映像信号は、音声出力部21および表示出力部23から出力される。
【0025】
図3に戻り、記憶部19は、ナビゲーション部15が必要とする道路地図データや、制御部25が実行する各種プログラムデータを記憶する。道路地図データ等は、外部サーバから随時取得し、記憶部19へ記憶するような態様であってもよい。さらに、記憶部19は、後述する履歴情報作成部340より作成された探索位置情報と探索結果を含む探索履歴情報を記憶する。
【0026】
音声出力部21は、放送受信部17から提供される音声信号(テレビ音声)やナビゲーション部15から提供される音声信号(誘導案内音声)をD/A変換し、スピーカを介して音声出力する。表示出力部23は、放送受信部17から提供される映像信号(テレビ画像)やナビゲーション部15から提供される映像信号(地図画像)を動作に応じて、選択的にディスプレイ231に表示させる。
【0027】
制御部25は、車載システム10の全体の動作を制御する。本実施形態では、中央処理装置、マイクロコンピュータ、またはマイクロプロセッサなどから構成され、記憶部19に格納されたプログラムを実行することで、ナビゲーション部15および放送受信部17の動作を制御する。本実施形態では、制御部25は、条件に基づいて全局スキャンを実行するか否かを制御するスキャン制御プログラム300を実行する。
【0028】
図5は、本実施形態に係るスキャン制御プログラム300の機能的な構成を示すブロック図である。スキャン制御プログラム300は、受信感度検出部310、履歴情報照合部320、全局スキャン実行部330、履歴情報作成部340を含んで構成される。
【0029】
受信感度検出部310は、現在の放送波の受信感度が良好であるか低下しているかを検出する。好ましくは、受信感度を判定するための情報として、ダイバーシティ合成部175によりダイバ合成された信号の搬送波対雑音比(C/N値:Carrier to Noise Ratio値)を用いる。この場合、C/N値が閾値を超えれば受信感度が良好と判定し、C/N値が閾値以下となれば受信感度が低下したと判定する。また、ある実施態様では、誤り訂正部177から出力される誤り率(BER)からも受信感度を判定することができ、この場合、誤り率(BER)が閾値以上の場合は、受信感度が低下したと判定し、誤り率(BER)が閾値未満の場合は、受信感度が良好と判定する。また、ある実施態様では、誤り率(BER)からC/N値を算出し、この算出されたC/N値から受信感度を判定することも可能である。
【0030】
また、本実施形態では、4つのチューナを備えており、この4つのチューナで受信を行っている場合は、4ダイバ合成された信号のC/N値と閾値を比較し受信感度の低下を検出する。また、バックグラウンドサーチ機能のような、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送波を受信し、残りの2つのチューナで代替局サーチしている場合には、現在視聴中の放送波の受信に割り当てられた2ダイバ合成された信号のC/N値と、他の放送局のサーチに割り当てられた2ダイバ合成された信号のC/N値とのそれぞれが閾値比較される。
【0031】
履歴情報照合部320は、受信感度検出部310により受信感度が低下していることが検出されたとき、これに応答して、記憶部19に記憶されている探索履歴情報に含まれている位置情報の中から、現在位置と同一地点のものがあるかの照合を行う。全局スキャン実行部330は、受信感度検出部310の受信感度の低下の検出に応答して、放送波の受信帯域の下限から上限までの周波数をスキャンして受信可能な放送局の検出を行う。
【0032】
履歴情報作成部340は、全局スキャン実行部330の探索結果が所定の条件を満たした場合に、全局スキャンを開始するに至った、受信感度が低下した地点における位置情報を位置情報検出部13から取得して記憶する。本実施形態における所定の条件として、全局スキャンを行う前後でチャンネル(放送局周波数)が同一であった場合に、受信感度が低下した地点を記憶するようにしている。全局スキャンが行われた前後でチャンネルが同一であるということは、中継局や系列局から離れたことによる受信感度の低下ではなく、放送波遮断領域による一時的な低下によるものと推定できるからである。
【0033】
よって、本実施形態では、全局スキャンを行う前の現在受信しているチャンネルを一時記録し、全局スキャン実行部330による全局スキャンが行われ切り替えられたチャンネルが、全局スキャン前のチャンネルと同一であるか否かを判定し、同一であった場合に、履歴情報作成部340は、その結果と受信感度が低下した地点における位置情報を含む探索履歴情報を記憶部19へ記憶する。
【0034】
また、本実施形態では、履歴情報作成部340は、全局スキャンが行われた際、ユーザーによる全局スキャンの中断の指示があったことを検知した場合に、受信感度が低下した地点における位置情報を含む探索履歴情報を記憶部19へ記憶するようにしている。これにより、ユーザーが、全局スキャンが必要ないと感じている地点が記憶される。
【0035】
図6は、本発明の実施形態に係る探索履歴情報の一例を示す図である。探索履歴情報は、探索履歴を識別するための記録ID、日時に関する情報、地点の座標を表す経度と緯度の情報、その地点を通過したときの車の走行方向に関する情報、探索結果に関する情報等を含んでいる。通過方向の算出方法としては、例えば、受信感度が低下した際に取得した現在位置から所定時間後の車両の現在位置の変化により、車両の走行方向を算出するようにしてもよいし、自車両が走行している上りまたは下りのレーン情報から算出するようにしてもよい。また、通過方向の記録は走行方向の方位を記録してもよい。なお、他の実施形態では、これに限らず変形可能であり、日時、通過方向、探索結果の情報は無くてもよく、少なくとも条件を満たした地点の位置情報さえ記録できていればよい。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る全局スキャンの制御動作について
図7のフローチャートを参照して説明する。まず、受信感度検出部310は、放送受信部17により地上波デジタル放送が受信中(視聴中)であるか否かを判断する(S101)。地上波デジタル放送を受信中であった場合は、受信感度検出部310は、受信感度の低下の有無を検出する(S103)。受信感度検出部310は、現在受信している放送波の受信感度を随時監視し、例えば、C/N値が閾値以下になった場合に、受信感度の低下を検出して次のステップへ進む。
【0037】
次に、受信感度の低下が検出されたことに応答して、位置情報検出部13は、位置情報検出部13を介して自車両の現在位置に関する情報を取得する(S105)。この際に、自車両の走行方向に関する情報も同時に取得する。次に、履歴情報照合部320より、受信感度が低下した現在位置と、記憶部19に記憶されている探索履歴情報の中から一致する地点が存在しているか照合を行う(S107)。履歴情報照合部320は、例えば、現在位置の経度および緯度と探索履歴情報に含まれる地点の経度および緯度とが同一または近似しているかで判定を行うなどして照合を行う。また、走行方向に関しても、探索履歴情報に含まれる通過方向と同一方向であるかの照合を行う。これにより、照合の精度がさらに改善される。
【0038】
探索履歴情報と照合した結果、一致していた場合には全局スキャン実行部330による全局スキャンの実行を禁止する(S109)。これにより、一時的に受信感度が低下する地点において、無駄に全局スキャンを行わないで済むようになる。全局スキャンの実行禁止後に処理を終了する。次に、探索履歴情報と照合した結果、一致していない場合には、全局スキャン実行部330により全局スキャンを実行する(S111)。この際に、現在視聴している放送局のチャンネルを記憶部19にて一時的に記録する。
【0039】
全局スキャンを実施している途中で、ユーザーなどからによる全局スキャンの中断操作を検出する(S113)。ここで、ユーザーによる中断操作が検出された場合には、履歴情報作成部340より、探索履歴情報を作成する(S115)。履歴情報作成部340は、中断操作を検出したことに応答して、全局スキャンを行うに至った、受信感度が低化した地点の位置情報(走行方向を含む)を取得し、
図6のような探索履歴データを生成して記憶部19に記録する。これにより、次回以降、同一地点を走行した際に全局スキャンの開始を自動で禁止することができるようになる。そして、探索履歴情報を作成後に処理を終了する。
【0040】
S113に戻り、ユーザーによる中断操作が行われること無く全局スキャンが完了する(S117)。そして、全局スキャンによって切り替わったチャンネルが、記録した全局スキャン実行前のチャンネルと同一であるか判定する(S119)。ここで、全局スキャン前後でチャンネルが同一であった場合には、履歴情報作成部340より、探索履歴情報を作成する(S115)。履歴情報作成部340は、全局スキャン前後でチャンネルが同一であったことに応答して、全局スキャンを行うに至った、受信感度が低下した地点の位置情報(走行方向を含む)を取得し、
図6のような探索履歴データを生成して記憶部19に記録する。これにより、次回以降、同一地点を走行した際に全局スキャンを自動で禁止することができるようになる。そして、探索履歴情報を作成後に処理を終了する。
【0041】
S119に戻り、全局スキャン実行前のチャンネルと同一ではなかった場合は、この地点における全局スキャンは必要なものであると言えるため、履歴情報作成部340よる探索履歴情報の作成は行わずに処理を終了する。
【0042】
以上のような、全局スキャンを必要としない地点を随時記憶していき、再度当該地点を通過する際に自動的に全局スキャンの実行を禁止することで、必要のない全局スキャンを行わずに済むようになる。また、
図2の従来技術の課題で挙げた、BC区間のような放送波を受信できるのに全局スキャンにより視聴ができない時間を、本実施例のように全局スキャンの実行を禁止することでB地点から視聴できるようになり、BC区間分だけ視聴時間を延ばすことができる。例えば、全局スキャンにおよそ1分の時間がかかってしまうような場合に、受信不可エリアを10秒で通過したとすると、従来では50秒間視聴することができなかったが、本発明を実施することで、従来に比べて50秒間視聴時間を拡大することができるようになる。
【0043】
次に、本実施例の変形例についての説明を行う。上記実施例では、全局スキャン機能を備えるデジタル放送受信機を例に説明を行ってきたが、本変形例では、(中継局または系列局)代替局サーチおよびバックグラウンドサーチを行うデジタル放送受信機について説明する。バックグラウンドサーチとは、放送波の受信感度が低下した際に、1つまたは複数のチューナで所望の放送局を受信中に、残りのチューナで他の放送局をサーチすることである。
【0044】
このバックグラウンドサーチを実行する場合、誤り訂正部177が、誤り率を示すBERを制御部25へ出力する際は、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送局を受信して、残り2つのチューナで代替局のサーチを行っている場合には、それぞれの2ダイバ合成の誤り率が出力されるようになる。また、バックグラウンドサーチにおける受信感度を示すC/N値は、例えば、2つのチューナで現在視聴中の放送波を受信し、残りの2つのチューナで代替極サーチしている場合には、現在視聴中の放送波の受信に割り当てられた2ダイバ合成された信号のC/N値と、他の放送局のサーチに割り当てられた2ダイバ合成された信号のC/N値とのそれぞれが閾値比較されるようになる。この閾値比較により、受信感度の低下を検出できる。
【0045】
変形例において、制御部25は、バックグラウンドサーチ制御プログラム400を実行する。
図8に、バックグラウンドサーチ制御プログラム400の機能的な構成を示す。バックグラウンドサーチ制御プログラム400は、受信感度検出部410、履歴情報照合部420、バックグラウンドサーチ実行部430、履歴情報作成部440を含んで構成される。なお、受信感度検出部410、履歴情報照合部420、履歴情報作成部440は、
図5に示す受信感度検出部310、履歴情報照合部320、履歴情報作成部340と同一の機能を備えているため説明は省略する。
【0046】
バックグラウンドサーチ実行部430は、受信感度検出部410が受信感度の低下を検出したことに応答して、現在視聴中の放送局を受信している2チューナとは別の2チューナを用いて、バックグラウンドで代替局サーチを行う。この代替局サーチは、予めNITなどに記載されている各放送局の情報を初期スキャンの実施時に取得し、選局可能なリストから代替可能な中継局および系列局を探索していく機能である。好ましくは、探索に時間がかからない中継局から探索し、中継局が無かった場合に系列局の探索に遷移するようにする。実施形態によっては、系列局の探索を行っても受信感度の良好な放送局が見つからなかった場合は、全局スキャンを行うようにしてもよい。
【0047】
次に、変形例に係るバックグラウンドサーチの制御動作について
図9のフローチャートを参照して説明する。
図7におけるS105までは同一の処理を行うため説明は省略する。S207にて、探索履歴情報と照合した結果、現在の受信感度が低下した地点が探索履歴情報に記録された地点に一致していた場合に、バックグラウンドサーチ実行部430による代替局サーチの実行を禁止する(S209)。これにより、一時的に受信感度が低下する地点において、無駄にバックグラウンドサーチを行わないで済むようになる。バックグラウンドサーチの実行禁止後、処理を終了する。次に、探索履歴情報と照合した結果、一致していない場合にはバックグラウンドサーチ実行部430により代替局サーチを実行する(S211)。この際に、現在視聴している放送局のチャンネルを記憶部19にて一時的に記録する。
【0048】
バックグラウンドサーチ時は、例えば、2つのチューナで代替局サーチを行う(S213)。バックグランドサーチの間、視聴者は2つのチューナで受信された放送局の視聴を継続していることになるため、バックグラウンドサーチの中断操作は基本的にはユーザーよって指示されない。それ故、変形例では中断操作による地点の記憶は行わない。
【0049】
バックグラウンドサーチ実行部430による代替局サーチが完了し(S215)、このとき、代替局サーチにより切り替えられた放送局が、記録したバックグラウンドサーチ実行前のチャンネルと同一であるか判定する(S217)。ここで、バックグラウンドサーチ前後でチャンネルが同一であった場合には、履歴情報作成部440より探索履歴情報が作成される(S219)。履歴情報作成部340は、バックグラウンドサーチ前後でチャンネルが同一であったことに応答して、バックグラウンドサーチを行うに至った、受信感度が低下した地点の位置情報(走行方向を含む)を取得し、
図6のような探索履歴データを生成して記憶部19に記録する。これにより、次回以降、同一地点を走行した際にバックグラウンドサーチの開始を自動で禁止することができるようになる。そして、探索履歴情報を作成後に処理を終了する。
【0050】
以上のような、バックグラウンドサーチを必要としない地点を随時記憶していき、再度当該地点を通過する際に自動的にバックグラウンドサーチの実行を禁止することで、過度なバックグラウンドサーチの実行を抑制することができる。なお、上記の説明では、代替局サーチをバックグラウンドにて行ったが、実施形態によっては、バックグラウンドサーチ機能を備えずに、全局スキャンのように全チューナを用いて代替局サーチを行うようなものにも本発明は適応可能である。
【0051】
また、履歴情報照合部による地点の照合を行う場合、
図10のような所定範囲を持たせてもよい。
図10におけるAは、履歴情報が作成された地点である。このA地点から例えば、半径数百メートルの所定区間を設け、この所定区間を全局スキャンおよび代替局サーチを禁止する禁止エリアとするようにしてもよい。このように禁止エリアを設定することで、例えば、次回走行した際に、禁止エリア内に位置するY地点で受信感度が悪化した場合でも、放送局の探索を禁止できるようになる。
【0052】
また、上記の実施例では、始めに地上波デジタル放送を視聴しているかを判定していたが、禁止エリアを設けることによって、記憶された地点を通過した後に視聴を開始した場合にも適応することが可能となる。例えば、
図10において、X地点を通過後に禁止エリア内のZ地点で視聴を開始した場合に、地点Zから禁止エリアの終点までの間は受信感度が低下しても放送局の探索を禁止するようにする。これにより、記憶された地点通過後に放送波の受信を行うような状況でも、本発明を適応することができるようになる。また、禁止エリア以外にも、履歴情報に記憶されている地点から所定時間内は放送局の探索を禁止するようにしてもよい。
【0053】
また、上記の履歴情報は、過去に自車両が走行した地点を判定して条件を満たす地点を記憶していたが、他車両が蓄えている履歴情報を車車間通信などを利用して取得し、その履歴情報に記憶されている地点を自車両が通過する際に、放送局の探索を禁止するようにしてもよい。これにより、初めて走行するような道路でも履歴情報を改めて作成する必要がなくなり、最初から放送局の探索を禁止することができるようになる。
【0054】
なお、上記の実施例では、地点の通過方向を記憶し、履歴情報照合部320においても通過方向による照合を行っていたが、通過方向の記憶および照合は実施形態によっては行わなくてもよい。通過方向を考慮しない場合は、履歴情報に記憶されている地点を通過したことをトリガに放送局探索の禁止制御を行ってもよいし、上記の禁止エリアを設けるようにしてもよい。
【0055】
以上のような処理を行うことで、GPS信号が低下せず自車位置検出はできるが放送受信感度が低下するような場所において、必要のない全局スキャンおよび代替局サーチなどの放送局の探索を禁止できるようになり、受信可能になった時点ですぐに放送波を受信できるようになる。これにより、過度な放送局の探索の抑制、並びに、視聴時間を拡大することが可能となる。
【0056】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。