(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-17071(P2019-17071A)
(43)【公開日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】画像取り込みを制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20190104BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20190104BHJP
H04N 5/235 20060101ALI20190104BHJP
G03B 19/07 20060101ALI20190104BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
H04N5/232 190
H04N5/225 800
H04N5/235
G03B19/07
G03B15/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-147307(P2018-147307)
(22)【出願日】2018年8月6日
(62)【分割の表示】特願2016-559308(P2016-559308)の分割
【原出願日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】201410135688.4
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】チュー ウェイリ
(72)【発明者】
【氏名】クオ フンヤン
【テーマコード(参考)】
2H054
5C122
【Fターム(参考)】
2H054AA01
2H054BB05
2H054BB07
5C122EA42
5C122FA11
5C122FC04
5C122FF11
5C122FF15
5C122FG14
5C122FH11
5C122FH14
5C122HB01
5C122HB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像取り込みを制御するため、環境パラメータを正確に且つ効果的に検出する方法及び装置を提供する。
【解決手段】第一カメラ136と第二カメラ137とは電子デバイス100の相異なる側に配置される。第一カメラを使って、電子デバイスのユーザの眼の情報を取得し、第一カメラにより取り込まれた眼の情報に基づいて、ユーザが所在する環境の環境パラメータを検出する。事前定義条件が満たされているのに応答して、検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、第二カメラによる画像取り込みを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する方法であって、前記方法は、
電子デバイス上の第一カメラを使って前記電子デバイスのユーザの眼の情報を取得することと;
前記第一カメラによって取得された前記眼の情報に基づいて、前記ユーザが所在する環境の環境パラメータを検出することと;
事前定義条件が満たされているのに応答して、前記検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記電子デバイス上の第二カメラによる画像の取り込みを制御することであって、前記第一カメラと前記第二カメラとは前記電子デバイスの相異なる側に配置される、前記制御することと;
を含み、
前記第二カメラによる前記画像の前記取り込みを制御することが、該第二カメラの感度を制御することを含む、方法。
【請求項2】
前記事前定義されたマッピングが、画像取り込み条件のセットの各画像取り込み条件に関連付けられた環境パラメータと眼の情報とを少なくとも示し、
較正画像のセットからの較正画像の前記ユーザの選択を受信することが、
画像取り込み条件の前記セットからの画像取り込み条件の前記ユーザの選択を受信することと;
前記事前定義されたマッピングに基づいて、前記選択された画像取り込み条件に関連付けられた前記環境パラメータを判定することと;
前記環境パラメータの事前定義された近隣内の候補環境パラメータのセットを選択することと;
較正画像のセットを生成するべく、候補環境パラメータの前記セットの各候補環境パラメータに基づいて画像を取り込むために前記第二カメラを制御することと;
較正画像の前記セットからの前記較正画像の前記ユーザの選択を受信することと;
を備え、
前記事前定義されたマッピングを較正することが、
前記選択された較正画像に関連付けられた前記候補環境パラメータに対応するデフォルト眼情報を決定することと;
前記較正眼情報および前記デフォルト眼情報に基づいて前記事前定義されたマッピングを較正することと;
を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼の情報が、強膜の色を含み、前記環境パラメータを検出することが前記強膜の色に基づいて前記環境の色温度を検出することを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記眼の情報が、瞳孔比を含み、前記環境パラメータを検出することが、前記瞳孔比に基づいて前記環境中の照度の明るさを検出することを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記画像を取り込む間に前記第二カメラによって取得された情報に基づいて、前記環境の参照環境パラメータを検出することと;
前記眼の情報に基づいて検出された前記環境パラメータと、前記参照環境パラメータとを比較することと;
前記環境パラメータと前記参照環境パラメータとの差異が事前定義された閾値よりも低いのに応答して、前記事前定義条件が満たされていると判定することと;
をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記環境パラメータに基づいて前記第二カメラによる前記画像の前記取り込みを制御することを命令するユーザ入力を受信することと;
前記ユーザ入力を受信するのに応答して、前記事前定義条件が満たされていると判定することと;
をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
画像取り込みを制御するため環境パラメータを検出する装置であって、前記装置は、
電子デバイス上の第一カメラを使って、前記電子デバイスのユーザの眼の情報を取得するよう構成された、眼の情報取得ユニットと;
前記第一カメラにより取得された前記眼の情報に基づいて、前記ユーザが所在する環境の環境パラメータを検出するよう構成された、環境検出ユニットと;
事前定義条件が満たされているのに応答して、前記検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記電子デバイス上の第二カメラによる画像の取り込みを制御するよう構成された、画像取り込み制御ユニットであって、前記第一カメラと前記第二カメラとは前記電子デバイスの相異なる側に配置される、前記画像取り込み制御ユニットと;
を備え、前記第二カメラによる前記画像の前記取り込みを制御することが、該第二カメラの感度を制御することを含む、装置。
【請求項8】
前記事前定義されたマッピングが、画像取り込み条件のセットの各画像取り込み条件に関連付けられた環境パラメータと眼の情報とを少なくとも示し、
前記ユーザ選択受信ユニットが、
画像取り込み条件の前記セットからの画像取り込み条件の前記ユーザの選択を受信するよう構成された、第一受信ユニットと;
前記事前定義されたマッピングに基づいて、前記選択された画像取り込み条件に関連付けられた前記環境パラメータを判定するよう構成された、環境パラメータ判定ユニットと;
前記環境パラメータの事前定義された近隣内の候補環境パラメータのセットを選択するよう構成された、候補パラメータ選択ユニットと;
較正画像のセットを生成するべく、候補環境パラメータの前記セットの各候補環境パラメータに基づいて画像を取り込むために前記第二カメラを制御するよう構成された、較正画像生成ユニットと;
較正画像の前記セットからの前記較正画像の前記ユーザの選択を受信するよう構成された、第二受信ユニットと;
を備え、
前記装置が、前記選択された較正画像に関連付けられた前記候補環境パラメータに対応するデフォルト眼情報を決定するよう構成された、デフォルト眼情報決定ユニットをさらに備え、
前記較正ユニットは、前記較正眼情報および前記デフォルト眼情報に基づいて前記事前定義されたマッピングを較正するように構成される、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記眼の情報が、強膜の色を含み、前記環境検出ユニットが、前記強膜の色に基づいて前記環境の色温度を検出するように構成された、色温度検出ユニットを備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記眼の情報が、瞳孔比を含み、前記環境検出ユニットは、前記瞳孔比に基づいて前記環境中の照度の明るさを検出するよう構成された、明るさ検出ユニットを備えることが可能な、請求項7または8に記載の装置。
【請求項11】
前記画像を取り込む間に前記第二カメラによって取得された情報に基づいて、前記環境の参照環境パラメータを検出するよう構成された、参照環境検出ユニットと;
前記眼の情報に基づいて検出された前記環境パラメータと、前記参照環境パラメータとを比較するよう構成された、環境パラメータ比較ユニットと;
前記環境パラメータと前記参照環境パラメータとの差異が事前定義された閾値よりも低いのに応答して、前記事前定義条件が満たされていると判定するよう構成された、第一条件判定ユニットと;
をさらに備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記環境パラメータに基づいて、前記第二カメラによる前記画像の前記取り込みを制御することを命令するユーザ入力を受信するよう構成された、ユーザ入力受信ユニットと;
前記ユーザ入力を受信するのに応答して、前記事前定義条件が満たされていると判定するよう構成された、第二条件判定ユニットと;
をさらに備える、請求項7から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
コントローラと;
第一カメラと;
第二カメラであって、前記第一カメラと第二カメラとは電子デバイスの相異なる側に配置される、前記第二カメラと;
請求項7〜12のいずれか一項に記載の装置;
を備える、前記電子デバイス。
【請求項14】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の諸実施形態は画像処理の分野に関し、さらに具体的には、画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する方法および装置に関する。
【0002】
画像取り込みおよび処理技術の進展に伴って、ますます多くのユーザデバイスが画像取り込みの機能を有している。例えば、現在、ほとんどの携帯デバイス(例えば、携帯電話、携帯情報端末PDA(personal digital assistant)、タブレットコンピュータなど)は、画像を取り込むことの可能なカメラを備えている。ユーザが、画像を取り込むためにかかる携帯デバイスを使用する際に、照度および色温度などの環境パラメータは、環境とともに常に変化し、かかる環境パラメータは画像取り込みに直接に影響を与える。例えば、いろいろな環境パラメータに応じて、カメラは、その露光時間、センサ感度、相異なるカラーチャネルの利得、および/または自動ホワイトバランス処理などを調整する必要がある。調整しなければ、取り込まれた画像に、例えば不適当な明るさまたは色調を有するなど問題が生じるかもしれない。
【0003】
従来、相異なる環境に画像取り込みを適合させるために、ユーザは、露光時間、感光性、ホワイトバランスなどが現在の環境に合っていることを保証すべく、カメラのパラメータを手動で設定できることもある。しかしながら、ユーザ、特に一般消費者には、専門知識がないためカメラパラメータを設定するプロセスは複雑であり、その正確さは保証できない。
【0004】
別の知られたやり方は、ユーザが選択するために、複数の典型的な環境に対するプロフィールを事前設定し保存しておくことである。例えば、かかるプロフィールには、「ハイライト」、「夜景」、「自動」などを含めることができよう。使用において、ユーザは、画像取り込み処理の過程で対応する環境パラメータを適用するため特定の環境に基づいてプロフィールを選択することができる。但し、当然ながら、事前格納されたプロフィールは、ユーザが所在する特定の環境に常に正確にマッチするとは限らない。したがって、プロフィール中に定義された事前設定環境パラメータの適用を介して取り込まれた画像は、最適の品質をまだ達成することはできない。
【0005】
取り込まれる画像に適応した処理を達成するために、環境中の照度および色温度を自動的に検出することが提案されている。しかしながら、既知の方法はそれら自体の欠点を有する。例えば、一つのソリューションは、ホワイトバランスなどの自動画像処理のため、対象情景中の白色点を検出することである。しかしながら、光景中に参照被写体として使用可能な明らかな白色被写体が無い場合、この方法は無効なことになる。
【0006】
前述を考慮すれば、本技術分野において、画像取り込みを制御するため、環境パラメータをもっと正確に且つ効果的に検出できる技術ソリューションが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
前述のおよび他の潜在的問題に対処するため、本発明は、画像取り込みを制御するための方法および装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様において、画像取り込みを制御するため環境パラメータを検出する方法が提供される。本方法は、電子デバイス上の第一カメラを使って、電子デバイスのユーザの眼の情報を取得することと;第一カメラにより取り込まれた眼の情報に基づいて、ユーザが所在する環境の環境パラメータを検出することと;事前定義条件が満たされているのに応答して、検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、該電子デバイス上の第二カメラによる画像取り込みを制御することと;を備え、第一カメラと第二カメラとは電子デバイスの相異なる側に配置される。この態様における諸実施形態は、対応するコンピュータプログラム製品をさらに備える。
【0009】
本発明の別の態様において、画像取り込みを制御するため環境パラメータを検出する装置が提供される。本装置は、電子デバイス上の第一カメラを使って、電子デバイスのユーザの眼の情報を取得するよう構成された、眼情報取得ユニットと;第一カメラにより取り込まれた眼の情報に基づいて、ユーザが所在する環境の環境パラメータを検出するよう構成された、環境検出ユニットと;事前定義条件が満たされているのに応答して、検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、該電子デバイス上の第二カメラによる画像取り込みを制御するよう構成された、画像取り込み制御ユニットと;を備え、第一カメラと第二カメラとは電子デバイスの相異なる側に配置される。
【0010】
以下の説明から当然のことではあるが、本発明の諸実施形態によれば、ユーザが電子デバイス上の或るカメラを使って画像を取り込んでいる間に、ユーザの眼の情報を取得するために該電子デバイスの他の独立したカメラを用いてもよい。人間の眼は、環境検出のために使用可能な安定した参照情報(例えば、強膜の色、瞳孔比など)を提供できるので、取得された眼の情報に基づいて、ユーザが所在する環境の色温度および輝度などの環境パラメータを見積もることが可能である。したがって、カメラによって見積もられた環境パラメータは、例えば自動露光および/または自動ホワイトバランス処理の実施など、他のカメラの画像取り込みの制御に用いることができる。こうして、より高い品質の画像を得ることが可能である。
【0011】
本発明の実施形態の前述並びに他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解し易くなろう。これらの図には、本発明のいくつかの実施形態が、限定でなく例示的な形で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的な実施形態を実装可能な電子デバイスのブロック図を示す。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する方法のフロー図を示す。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、或る特定のユーザ向けに、眼の情報と環境パラメータとの間の事前定義されたマッピングを較正する方法のフロー図を示す。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、オフセットベクトルに基づく、事前定義されたマッピングの較正の概略図を示す。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による、画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する装置のブロック図を示す。
【0013】
それぞれの図中の、同一のまたは対応する参照符号は同一のまたは対応する部分を表す。
【0014】
前述で要約され、以下に詳述されるように、本発明の主要な発想の一つは、ユーザが画像を取り込むため電子デバイス上の或るカメラ(例えば、背面のカメラ)を使用している間に、ユーザの眼の情報を取り込むために該電子デバイスのもう一つの別個のカメラ(例えば前面のカメラ)を使用できることである。人間の眼は、環境検出のために使用可能な安定した参照情報(例えば、強膜の色、瞳孔比など)を提供できるので、取得された眼の情報に基づいて、ユーザが所在する環境の色温度および輝度などの環境パラメータを見積もることが可能である。したがって、或るカメラによって見積もられた環境パラメータを、例えば自動露光および/または自動ホワイトバランス処理の実施など、他のカメラの画像取り込みの制御に用いることができる。こうして、より高い品質の画像を得ることが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、相異なるユーザに対して、環境検出の個別化されたカスタマイズを成就し、これにより、ユーザ体験をさらに向上することができる。
【0015】
なお、本開示の文脈で用いられる用語「画像」は、静止画像だけでなく動画像(すなわちビデオ)をも含む。さらに、本明細書で用いる用語「画像取り込み」は、画像の撮影プロセスを含むだけでなく、撮影画像に対する任意の後処理手順をも含む。
【0016】
以降に、図面中に示されたいくつかの例示的な実施形態を、本発明の原理および主旨を説明するために参照することとする。当然のことながら、これらの実施形態は、当業者が本発明をより良く理解し、その後さらに実装できるようにするためだけに説明されるものであり、いかなる形においても、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0017】
最初に
図1を参照すると、本発明の例示的な実施形態を実装可能な電子デバイス100のブロック図が提示されている。本発明の諸実施形態によれば、電子デバイス100は、携帯電話などの携帯電子デバイスであってよい。但し、当然のことながら、これは例示的で非限定的なものである。また、携帯情報端末(PDA)、ページャ、携帯型コンピュータ、携帯TC、ゲームデバイス、ラップトップコンピュータ、カメラ、ビデオカメラ、GPS、または他の型の音声およびテキスト通信システムなど、他の種類のユーザデバイスも、本発明の実施形態を容易に採用することが可能である。
【0018】
電子デバイス100は、通信機能を有することができる。このため、本図に示されるように、電子デバイス100は、トランスミッタ114およびレシーバ116と通信するよう動作可能な一つ以上のアンテナ112を備えればよい。電子デバイス100は、少なくとも一つのプロセッサコントローラ120をさらに備える。当然のことながら、コントローラ120は、電子デバイス100の全機能を実装するために必要な回路を備える。例えば、コントローラ120は、デジタル信号プロセッサデバイス、マイクロプロセッサデバイス、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、および他の支援回路を備え得る。電子デバイス100の制御および信号処理機能はこれらデバイスのそれぞれの能力に基づいて配分される。電子デバイス100は、例えば、リンガ122、スピーカ124、マイクロフォン126、ディスプレイまたはファインダ128、およびキーパッド130などのユーザインタフェースをさらに備えることが可能で、これらの全てはコントローラ120に連結される。
【0019】
具体的に、電子デバイス100は、静止および/または動画像を取り込むための第一カメラ136および第二カメラ137を備える。本発明の実施形態によれば、第一カメラ136および第二カメラ137は、電子デバイス100の相異なる側に配置される。例えば、いくつかの実施形態において、第一カメラ136は、電子デバイス100の前面カメラであってよい。すなわち、該カメラは、電子デバイス100の、ディスプレイまたはファインダ128と同じ側に配置される。第二カメラ137は、電子デバイス100の背面カメラとすることができる。すなわち、該カメラは、電子デバイス100のディスプレイまたはファインダ128とは反対側に配置される。当然ながら、かかる配置関係は必須ではない。第一カメラ136と第二カメラ137とが、使用時に相異なる光景の画像の取り込みができる限り、これらの間での任意の他の配置関係が可能である。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0020】
電子デバイス100は、電子デバイス100を動作させるために必要な様々な回路への電力を供給し、選択的に検出可能な出力として機械的振動を提供するための振動バッテリパックなどのバッテリ134をさらに備える。電子デバイス100は、ユーザアイデンティティモジュール(UIM:user identity module)138をさらに備えることが可能である。UIM138は、一般に、組み込みプロセッサを有するメモリデバイスである。UIM138は、例えば、加入者アイデンティティモジュール(SIM:subscriber identity module)、汎用集積回路カード(UICC:universal integrated circuit card)、汎用ユーザアイデンティティモジュール(USIM:universal user identity module)、またはリムーバブルユーザアイデンティティモジュール(R−UIM:removable user identity module)などを備えてよい。本発明の実施形態によれば、UIM138は、カード接続検出モジュールを備えることが可能である。
【0021】
電子デバイス100は、ストレージデバイスをさらに備える。例として、電子デバイス100は、一時的にデータを格納するためのキャッシュ領域中に、例えば、不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)などの不揮発性メモリ140を備えることが可能である。電子デバイス100は、組み込み型またはリムーバブル型いずれでもよい他の不揮発性メモリ142をさらに備えることができる。この不揮発性メモリ142は、追加としてまたは代替として、例えば、EEPROMまたはフラッシュメモリなどを備えてもよい。このメモリは、電子デバイス100の機能を実行するために、電子デバイス100によって使われる複数の情報セグメントおよびデータ中の任意の項目を格納することができる。
【0022】
当然のことながら、
図1中の構造図は、例示目的だけのものであって、本発明の範囲を限定することは意図されていない。一部の場合において、実際の必要性に従って、いくつかのコンポーネントを加えたりまたは削減したりしてもよい。
【0023】
図2は、本発明の例示的な実施形態による、画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する方法のフロー図を示す。当然のことながら、方法200は、
図1を参照しながら説明したように、電子デバイス100によって実行、例えばコントローラ120によって実行することが可能である。解説のために、
図1に示された電子デバイス100を参照しながら、方法200を以下に説明することとする。
【0024】
方法200が開始され、ステップS201で、電子デバイス100の第一カメラ136を使って電子デバイス100のユーザの眼の情報が取得される。
【0025】
本発明の諸実施形態によれば、第一カメラ136によるユーザの眼の情報の取得は、様々な相異なる条件によってトリガされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザが第二カメラ137を使って画像を取り込もうとしていることを検知するのに応答して、ステップS201を実施することが可能である。一例として、ユーザが、電子デバイス100上の物理キーまたはボタンまたはユーザインタフェース(UI:user interface)などの制御部を操作して、第二カメラ137を使って画像を取り込むときに、電子デバイス100のコントローラ120は、その動作を検知し、眼の情報を取得するため、対応して第一カメラ136をトリガすることができる。前述のように、本発明の諸実施形態によれば、第一カメラ136は電子デバイス100の前面カメラであってよく、第二カメラ137は電子デバイス100の背面カメラであってよい。ユーザが、第二(背面)カメラ137を用い、背面の光景の画像を取り込むため、電子デバイス100を持ち上げたとき、第一(前面)カメラ136は、丁度ユーザの顔面に向けられ、しかしてユーザの眼の情報を取得することが可能である。
【0026】
これに加えまたは換えて、方法200のステップS201は異なるイベントによってもトリガすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、電子デバイス100のコントローラ120が、ユーザが(例えば、対応するアイコンをクリックするなどして)電子デバイス100上のカメラプログラムを起動したことを検知したならば、コントローラは、第一カメラ136にユーザの眼の検出を開始するよう命令することが可能である。第一カメラ136が、ユーザの眼がその視界に出現したことを検出したならば、眼の情報の取得が開始される。第一カメラ136は、この眼の検出を実装するために、以下に限らないが、画像処理ベースのアルゴリズム、モデル識別アルゴリズム、および眼球の光学特性に基づくアルゴリズムを含む、任意の現在知られたまたは将来開発される技術を使えばよい。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。さらに、当然のことながら、ステップS201に対する任意の他のトリガ条件が可能であり、本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、ステップS201で検出された眼の情報は、ユーザの眼の強膜の色を含むこともできる。知られるように、人の眼で強膜はほぼ白色域であり、強膜の色は、環境の色温度と共に変化することになる。したがって、強膜の色を検知することによって、ユーザが現在所在する環境の色温度を検出することができ、次いでその色温度を、画像取り込みにおいて第二カメラ137を制御するために使用することが可能である。例えば、色温度は自動ホワイトバランス処理に使用が可能であり、これについては後で説明する。本発明の諸実施形態によれば、目の領域中の強膜の色を検出するために、以下に限らないが、画像処理技術、モデル識別技術、および光学知識ベースの技術などを含む、現在知られたまたは将来開発される任意の技術を使えばよい。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0028】
これに加えまたは換えて、本発明のいくつかの実施形態では、ステップS201で検出された眼の情報が、例えば、眼球の区域または眼の領域全体に対する瞳孔または虹彩の比率を備えてもよい。知られているように、人の眼の瞳孔比は、環境中の照度の明るさとともに変化することになる。したがって、瞳孔比を検出することによって、現在ユーザが所在する環境中の照度の明るさなど照度条件が検出可能となり、これにより、画像取り込みの過程で、第二カメラの自動露光処理(例えば、露光時間の調整)を制御するためにこの明るさが使用でき、これについては以降で説明する。本発明の実施形態によれば、例えば、画像処理技術、モード識別技術、および光学知識ベースの技術(例えば、瞳孔角膜反射ベクトルアプローチ)などを含め、任意の現在知られたまたは将来開発される瞳孔検出および処理技術を使えばよい。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0029】
当然のことながら、前述の強膜の色および瞳孔比は、ステップS201でのユーザの眼の情報を検出する単なる例であって、本発明を限定することを意図された実施形態ではない。ステップS201では、環境パラメータを検出するために利用可能な任意の追加または代替の眼の情報を取得してよい。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0030】
次に、方法200は、第一カメラ136によって取り込まれた眼の情報に基づいて、電子デバイス100のユーザが所在する環境の環境パラメータを検出するステップS202に進む。前で説明したように、環境パラメータは、以下に限らないが、照度の明るさ、色温度などを含め、画像の取り込みおよび/または処理に影響を与え得る任意のパラメータを含んでよい。
【0031】
本発明の諸実施形態によれば、ステップS201で検出された眼の情報と対応する環境パラメータとの相互関係は、従前の知識に基づいて前もって定義し、電子デバイス100中に格納しておくことが可能である。言い換えれば、ステップS202では、環境パラメータは、事前定義されたマッピングに基づいて眼の情報から判定することが可能である。
【0032】
例示のためだけであり、強膜の色は眼の情報の一例と見なされる。様々な強膜の色に対応する温度は、例えば、電子デバイス100のメーカーまたはカメラプログラムのプロバイダによって、事前測定され格納されればよい。一例として、いくつかの実施形態において、かかる相互関係は、マッピング表として電子デバイス100中に格納でき、例えば不揮発性メモリ142中に格納される。あるいは、この事前定義されたマッピングは、電子デバイス100とは別個の場所に格納、例えばサーバに格納され電子デバイス100によってアクセスされてもよい。同様に、別の例として、様々な瞳孔比と照度の明るさとの間の相互関係も、前もって測定しマッピング表中に格納しておくことが可能である。
【0033】
具体的に、本発明のいくつかの実施形態によれば、このマッピング表は直接に使用されてよい。また、該マッピング表は、デバイスメーカーおよび/または任意の他のサービスプロバイダによって更新することも可能である。これに加えまたはこれに換えて、いくつかの実施形態では、事前定義のマッピング表を、電子デバイス100のユーザのために較正し、これにより、より正確なおよび/または個別化された画像の取り込みおよび処理を達成することができる。この側面における例示的な実施形態を以降に詳記することとする。
【0034】
方法200は、事前定義条件が満たされているかどうかを判定するステップS203に進む。後記で、事前定義条件のいくつかの例について説明することとする。ステップS203で、事前定義条件が満たされていないと判定されると(「いいえ」分岐)、方法200は、第一カメラ136によってステップS202で検出された環境パラメータを使用することなく、第二カメラ137の画像取り込みを制御するステップS204に進む。ステップS204におけるオペレーションは、既知のソリューションと同様で、ここでは詳記しない。
【0035】
反対に、ステップS203で事前定義条件が満たされていると判定されると(「はい」分岐)、方法200は、ステップS202で検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、電子デバイス100の第二カメラ137の画像取り込みを制御するステップS205に進む。
【0036】
従来式では、画像取り込み処理の過程では、第二カメラ137だけが、取り込みをし、該カメラ自体により取得された情報を処理する。一例としてホワイトバランス処理では、第二カメラ137が光景中の白色点を探し出すことになり、画像を取り込む際に、この白色点によって提供される情報を用いて自動ホワイトバランス処理を実施する。しかしながら、対象光景中に白色点がほとんどないかまたは全く存在さえしないとき、この自動バランス処理は、劣弱な効果しかないかまたは無効にさえなるかもしれない。その結果、得られた画像の品質が劣化することになる。
【0037】
これに比べ、眼の強膜は参照としての白色を安定的に提供できるので、環境の色温度は、第一カメラ136によって正確に検出が可能である。ステップS205における、検出された色温度に基づく画像取り込みの制御を介して、本発明の実施形態は、第二カメラ137により取り込まれる画像に対し、より正確に且つ効果的に自動ホワイトバランス処理を実施することができる。これにより、第二カメラ137は、白色点の探知および処理を重ねて行う必要はない。
【0038】
同様に、前述したように、環境の明るさも第一カメラ136によって取得された瞳孔比に基づいて判定することが可能である。かかる実施形態において、ステップS205で、第二カメラ137の露光時間は少なくとも部分的にこの検出された周囲の明るさに基づいて制御が可能で、これにより、より正確な自動露光処理が達成される。また、これに換えまたは加えて、検出された環境パラメータを、第二カメラ137の感度、一つ以上のカラーチャネルの利得などを制御するために使用することもできよう。なお、任意の適切な方法で、ステップS202で検出された環境パラメータを第二カメラ137の制御に用いることが可能で、これにより高品質の画像が取り込まれる。
【0039】
方法200のステップS203を再び参照すると、本発明の実施形態によれば、第一カメラによって検出された環境パラメータを第二カメラの画像取り込みに使えるようにするため、特定の必要性および用途シナリオに従って、任意の適切な事前定義条件を用いることが可能である。
【0040】
例えば、いくつかの実施形態において、この事前定義条件は、ユーザの入力またはコマンドであってよい。例えば、電子デバイス100の設定にオプションを設け、このオプションをユーザが制御して、第二カメラの画像取り込みプロセスの過程で、第一カメラにより検出された環境パラメータの使用を有効または無効にできるようにすることが可能である。言い換えれば、かかる実施形態では、このようなユーザの選択を受信するのに応答して、ステップS203で事前定義条件が満たされていることが判定される。
【0041】
これに換えてまたは加えて、いくつかの実施形態では、第一カメラと第二カメラとが配置された環境間の差異を測定することが可能で、かかる差異と事前定義された閾値との間の比較をステップS203における事前定義条件としての役割に使うことができる。具体的に、当然のことながら、第二カメラの画像取り込みプロセスの過程で第二カメラ自体も撮像光景からの情報を取得することになり、かかる情報も、照度の明るさ、色温度などその環境の環境パラメータを検出するために使用が可能である。説明のために、第二カメラによって検出された環境パラメータを「参照環境パラメータ」と称することにしたい。かくて、この参照環境パラメータと、ステップS202で第一カメラによって検出された環境パラメータとの比較が可能である。両者間の差異が、事前定義された閾値を下回る場合、ステップS203で、事前定義条件が満たされたと判定すればよい。
【0042】
かかる実施形態において、第一カメラおよび第二カメラそれぞれによって検出された環境パラメータ間の差異を判定することによって、画像品質の潜在的劣化を効果的に回避できる。例えば、次のような状況を考えてみよう:屋内にいる或るユーザがドアまたは窓越しに屋外の光景を撮像するために電子デバイス100を使用する。このシナリオにおいて、ユーザに面する第一カメラによって検出されるのは、屋内の環境パラメータであり、一方、対象の光景に面する第二カメラ137によって検出されるのは、屋外の環境パラメータである。屋外環境と屋内環境との差異が極めて大きい場合、第二カメラ137の画像取り込みが、第一カメラ136によって検出された環境パラメータに基づいて制御されれば、その画像品質は劣化されることになろう。この場合、本発明の前述の実施形態によれば、電子デバイス100は、第二カメラ137の画像取り込みプロセスの過程において、環境パラメータのこれら2つのセットの間の比較に基づいて、第一カメラ136によって検出された環境パラメータを自動的に無効にし、これにより前述の問題の発生を回避することができる。
【0043】
当然のことながら、前述で説明したことは、事前定義条件の単なるいくつかの例であって、本発明の範囲を限定することは意図されていない。任意の他の適切な事前定義条件が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ステップS203で事前定義条件が常に満たされていると判定されるように、事前定義条件は「無し」に設定される。言い換えれば、この点では、第二カメラの画像取り込みは、第一カメラによって検出された環境パラメータに基づいて常に制御される。
【0044】
なお、前述の方法200中のそれぞれのステップのシーケンスは、単なる例示であって、本発明の範囲を限定することは意図されていない。例えば、前述したように、いくつかの実施形態では、ステップS203での事前定義条件は、ユーザにより選択された入力を示してよい。この場合、ステップS203が最初に実行されることが多い。言い換えれば、かかる実施形態では、最初に事前定義条件が満たされているかどうかが判定され、方法の後続のステップは、事前定義条件が満たされた場合にだけ実施される。他の代替シーケンスも可能で、本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0045】
具体的に、前述したように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、例えば、ユーザの眼の情報と対応する環境パラメータとの間の相互関係をマッピング表の形で格納することが可能である。かかるマッピング表は直接用いることができる。あるいは、相異なるユーザの眼が同じ環境で異なる反応を有する(例えば、同じ色温度で相異なる強膜色を有する)可能性が高いことを考慮して、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の特定のユーザに対し、眼の情報と環境パラメータとの間の事前定義されたマッピングを較正することが可能である。
【0046】
いくつかの実施形態において、例えば、所与の条件でのユーザの眼の色をサンプルし対応する較正を行うために、色カードなどの補助ツールを用いることもできよう。これに換えてまたは加えて、較正の効率および使い勝手を向上するために、いくつかの実施形態では以下のような仕方で較正を実装することができる。最初に、較正画像のセット中の較正画像のユーザの選択を受信する。較正画像のこのセットは、同じ画像取り込み条件の下で相異なる環境パラメータを使って取り込まれている。ユーザの較正眼情報が、第一カメラ136によって取得される。その後で、このユーザの較正画像の選択と較正眼情報とに基づいて、較正を行うことが可能である。以降に、この態様における例示的な実施形態を、
図3を参照しながら説明することとする。
【0047】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、特定のユーザ向けに、眼の情報と環境パラメータとの間の事前定義されたマッピングを較正する方法300のフロー図を示す。本発明のこの実施形態によれば、方法300は、前述の方法200の前に実施するのがよい。例えば、方法300は、ユーザが最初に電子デバイス100またはその画像取り込み機能を構成または使用するとき、そのユーザ向けの較正を実装するために、実施するとよい。
【0048】
図3に示された実施形態において、マッピング表は、画像取り込み条件のセット中の各画像取り込み条件に関連付けられた、環境パラメータと対応する眼の情報とを記録している。これらの画像取り込み条件は、例えば、青空、曇り、真昼、タングステン、蝋燭光など、事前定義されたものとすることができる。このマッピング表は、各画像取り込み条件に対して関連付けられた環境パラメータおよび対応する眼の情報を示す。単なる例示および説明のために、環境パラメータとして色温度の例が考慮されている。この場合、対応する眼の情報は強膜の色とすることが可能で、これはタプル(R/G、B/G)で特徴付けることができ、R、G、Bはそれぞれ、強膜の色の赤、緑、青チャネル値を表している。これにより、以下のマッピング表を定義することができる(当然のことながらすべての数値は単なる例示である)。
【0050】
なお、このマッピング表には、他の環境パラメータの値と対応する眼の情報とを記録することも可能であろうし、また、かかる環境パラメータを特定の画像取り込み条件と関連付けなくてもよい。例えば、表1に示された例示的な事前定義されたマッピングにおいて、それぞれの事前定義された画像取り込み条件に関連付けられた色温度に加え、他の色温度、例えば6700kの色温度と対応する強膜の色を示すタプル(R/G,B/G)とを記録してもよい。
【0051】
事前定義されたマッピングを電子デバイス100のユーザに対し適応させて較正するために、方法300のステップS301で、特定の画像取り込み条件のユーザの選択が受信される。説明のために、ユーザが「曇り」画像取り込み条件を選択したと想定する。
【0052】
ステップS302で、ユーザに選択された画像取り込み条件に関連付けられた環境パラメータが事前定義されたマッピングに基づいて判定される。この例では、画像取り込み条件「曇り」に関連付けられているのは色温度6500kである。
【0053】
次に、ステップS303で、ステップS302で判定された環境パラメータの事前定義された近隣値の内から候補環境パラメータのセットが選定される。例えば、候補環境パラメータを取得するため、ステップS302で判定された環境パラメータを中心として、所与のステップ長さの事前定義された範囲内でサンプリングを行うことが可能である。例として、説明の例において、例えば、色温度6500kを中心に、2つの方向にそれぞれ200kのステップ長さでサンプリングを行えばよい。このようにして、候補環境パラメータ{6100k,6300k,6500k,6700k,6900k}のセットを取得することができる。これらの候補環境パラメータは、ステップS302で判定された環境パラメータ自体を含むことが分かる。当然のことながら、この例は、例示の目的のためだけのものであって、任意の他のサンプリング方法も同様に可能である。本発明の範囲はこの側面で限定はされない。
【0054】
方法300のステップS304で、電子デバイス100の第一カメラ136を使ってユーザの眼の情報が取得される。この例では、取得された眼の情報は少なくとも強膜の色を含む。説明のために、ステップS304で取得された眼の情報を「較正眼情報」と称することにしたい。
【0055】
基本的にステップS304と同時であるステップS305で、ステップS303で判定された候補環境パラメータの各々に基づいて、対象光景の画像を取り込むために、第二カメラ137が制御され、これにより、画像のセットが取得され、これを「較正画像」と称することにしたい。すなわち、各較正画像は、相異なる候補環境パラメータに基づいて取り込まれた画像である。例として、上記のパラグラフで説明した例において、候補温度中の各色温度{6100k,6300k,6500k,6700k,6900k}を所与とすれば、第二カメラは、画像取り込みの過程において、それぞれの自動ホワイトバランス処理を適用するよう制御され、これにより5つの較正画像を取得する。
【0056】
次に、ステップS306で、較正画像の一つのユーザの選択が受信される。具体的に、本発明の実施形態によれば、各々の得られた較正画像は、ユーザが、自分が現在の画像取り込み条件に最も合致すると考える較正画像を選択できるように、電子デバイス100のユーザインタフェース(UI)上でユーザに提示することができる。当然のことながら、ユーザに選択された較正画像は、ユーザが視覚的および心理的両面で最良の品質を有すると考える画像である。かかる選定は、客観的画像品質だけでなく或る程度ユーザの好みを反映する。このように、事前定義されたマッピングが較正され、一方、特定のユーザに対する個別化されたカスタム化も同様に達成される。説明のために、この例では、ユーザが、候補環境パラメータ6700kの色温度に基づいて取り込まれた較正画像を選択すると想定する。
【0057】
かくして、ステップS307で、ユーザに選択された較正画像の関連付けられた候補環境パラメータに対応する眼の情報が判定される。説明のために、ステップS307で判定された眼の情報を「デフォルト眼情報」と呼ぶことにしたい。例えば、説明の例において、候補環境パラメータの色温度6700kに対応する強膜の色を、ステップS307でデフォルト眼情報と決定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、ユーザに選択された較正画像に関連付けられた候補環境パラメータに対応するデフォルト眼情報が、既に事前定義されたマッピングに記録されていることがあり得る。この場合、ステップS307で、デフォルト眼情報は、事前定義されたマッピングから直接読み出せばよい。あるいは、いくつかの他の実施形態では、或る特定の候補環境パラメータに対応するデフォルト眼情報が、事前定義されたマッピング中には記録されていないかも知れない。この場合、近隣の既知の環境パラメータおよび眼の情報に基づき、補間法などの技術を用いて、候補環境パラメータに対応する眼の情報を推定または計算することができよう。
【0059】
次に、ステップS308で、ステップS304で取得された較正眼情報およびステップS307で決定されたデフォルト眼情報に基づいて、事前定義されたマッピング表が較正される。例えば、いくつかの実施形態において、デフォルト眼情報から、較正眼情報に向かうオフセットベクトルを構築することが可能である。次いで、このオフセットベクトルに基づいて、事前定義されたマッピングの較正が行われる。
【0060】
具体的に、かかる実施形態において、強膜の色を表すタプル(R/G,B/G)を用いて座標系を定義するのがよい。例えば、R/Gを水平軸に取り、B/Gを縦軸に取ることができる。かくすれば、各タプル(R/G,B/G)は座標系中の点を表すことが可能である。事前定義されたマッピング中に示されたタプル(R/G,B/G)に基づいて、例えば曲線近似技術を使って曲線を得ることができ、これは「マッピング曲線」と言われる。例として、
図4Aは、前述の表1に示されたマッピング表に基づいて生成されたマッピング曲線401を示す。
【0061】
ステップS304で取得された較正眼情報はこの座標系では点Aを定義し、ステップ307で取得されたデフォルト眼情報は、この座標系上の点Bを定義する。具体的に、前述のように、デフォルト眼情報は、事前定義されたマッピングに基づいて生成され、したがって、点Bはこのマッピング曲線401上に位置する。これにより、点Bから点Aに向かうベクトルを、オフセットベクトルとして定義することができる。
図4Bに示されるように、このオフセットベクトルに基づいて、マッピング曲線401を変換して更新マッピング曲線402を得ることができる。次いで、更新されたマッピング曲線402に基づいて、事前定義されたマッピングの較正を仕上げることができる。
【0062】
当然のことながら、事前定義されたマッピングの較正を、強膜の色および色温度を参照して説明しているが、かかる較正メカニズムは、例えば明るさおよび瞳孔比など、他の環境パラメータおよび対応する眼の情報にも同様に適用が可能である。
【0063】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、画像取り込みを制御するための環境パラメータを検出する装置500のブロック図を示す。図示のように、本発明の実施形態によれば、装置500は:電子デバイス上の第一カメラを用いて電子デバイスのユーザの眼の情報を取得するよう構成された、眼情報取得ユニット501と;第一カメラメラによって取得された眼の情報に基づいて、ユーザが所在している環境の環境パラメータを検出するよう構成された、環境検出ユニット502と;事前定義条件が満たされているのに応答して、検出された環境パラメータに少なくとも部分的に基づいて、電子デバイス上の第二カメラによる画像の取り込みを制御するよう構成された、画像取り込み制御ユニット503と;を備え、第一カメラと第二カメラとは電子デバイスの相異なる側に配置される。
【0064】
いくつかの実施形態において、眼の情報は、強膜の色を含み、環境検出ユニット502は、強膜の色に基づいて環境の色温度を検出するよう構成された、色温度検出ユニットを備えることが可能である。
【0065】
いくつかの実施形態において、眼の情報は、瞳孔比を含み、環境検出ユニット502は、瞳孔比に基づいて環境中の照度の明るさを検出するよう構成された、明るさ検出ユニットを備えることも可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、環境検出ユニット502は、事前定義されたマッピングを用いて眼の情報から環境パラメータを判定するように構成することができる。また、かかる実施形態において、装置500は、事前定義されたマッピングを使用する前に、該事前定義されたマッピングをユーザ向けに較正するよう構成された、較正ユニットを備えることも可能である。いくつかの実施形態において、装置500は、較正画像のセットからの較正画像のユーザの選択を受信するよう構成された、ユーザ選択受信ユニットであって、較正画像のこのセットは同じ画像取り込み条件の下で相異なる環境パラメータを使って取り込まれている、該ユーザ選択受信ユニットと;第一カメラを使ってユーザの較正眼情報を取得するよう構成された較正眼情報取得ユニットと;をさらに備える。かかる実施形態において、較正ユニットは、較正画像のユーザの選択および較正眼情報に基づいて、事前定義されたマッピングを較正するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態において、事前定義されたマッピングは、画像取り込み条件のセット中の各一つに関連付けられた、環境パラメータと眼の情報とを少なくとも示す。かかる実施形態において、ユーザ選択受信ユニットは:画像取り込み条件のセットからの画像取り込み条件のユーザの選択を受信するよう構成された、第一受信ユニットと;事前定義されたマッピングに基づいて、選択された画像取り込み条件に関連付けられた環境パラメータを判定するよう構成された、環境パラメータ判定ユニットと;該環境パラメータの事前定義された近隣内の候補環境パラメータのセットを選択するよう構成された、候補パラメータ選択ユニットと;較正画像のセットを生成するべく、候補環境パラメータのセットの各候補環境パラメータに基づいて画像を取り込むため第二カメラを制御するよう構成された、較正画像生成ユニットと;較正画像のセットからの較正画像のユーザの選択を受信するよう構成された、第二受信ユニットと;を備える。上記に応じ、かかる実施形態において、装置500は、選択された較正画像に関連付けられた候補環境パラメータに対応するデフォルト眼情報を決定するよう構成された、デフォルト眼情報決定ユニットをさらに備える。較正ユニットは、較正眼情報およびデフォルト眼情報に基づいて、事前定義されたマッピングを較正するように構成される。
【0068】
また、いくつかの実施形態において、装置500は:画像を取り込むときに、第二カメラによって取得された情報に基づいて、環境の参照環境パラメータを検出するよう構成された、参照環境検出ユニットと;眼の情報に基づいて検出された環境パラメータと参照環境パラメータとを比較するよう構成された、環境パラメータ比較ユニットと;環境パラメータと参照環境パラメータとの差異が事前定義された閾値よりも低いのに応答して、事前定義条件が満たされていると判定するよう構成された、第一条件判定ユニットと;を備えることも可能である。
【0069】
また、これに換えまたは加えて、いくつかの実施形態において、装置500は:環境パラメータに基づいて第二カメラによる画像取り込みを制御することを命令するユーザ入力を受信するよう構成された、ユーザ入力受信ユニットと;ユーザ入力を受信するのに応答して、事前定義条件が満たされていると判定するよう構成された、第二条件判定ユニットと;を備えることも可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、第二カメラによる画像取り込みの制御において、画像取り込み制御ユニット503を、露光時間、感度、少なくとも一つのカラーチャネルの利得、およびホワイトバランスの処理のうちの少なくとも一つを制御するように構成することができる。
【0071】
なお、明確化のため、
図5は、装置500に含まれる一部の光学ユニットまたはサブユニットを示していない。また一方、
図1〜4を参照して前に説明した各種の特徴は、装置500にも同様に適用可能であり、従って詳記はしない。さらに、本明細書の用語「ユニット」は、ハードウェアモジュールであっても、ソフトウェアユニットモジュールであってもよい。それに応じて、装置500は、様々な仕方によって実装することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、本装置は、例えば、コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品として実装するなど、部分的または全体的にソフトウェアおよび/またはファームウェアによって実装されてもよい。これに換えまたは加えて、装置500は、例えば、集積回路(IC:integrated circuit)、特定用途向け集積回路(ASIC:application−specific integrated circuit)、システムオンチップ(SOC:system on chip)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)などとして実装するなど、部分的または全体的にハードウェアに基づいて実装することも可能である。本発明の範囲はこの側面において限定はされない。
【0072】
説明上の目的だけのために、前述で、本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明してきた。本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェアまたはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装されてよい。ハードウェアの部分は、専用のロジックを用いて実装することが可能で、ソフトウェアの部分は、メモリ中に格納し、例えば、マイクロプロセッサまたは専用に設計されたハードウェアなど、適切な命令実行システムによって実行することが可能である。具体的に、
図2および
図3を参照して説明した、前述の方法の両方は、画像取り込みを制御するための環境パラメータ検出用のコンピュータプログラム製品として実装し、該コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体上に有形に格納され、マシン実行可能命令を含み、該マシン実行可能命令が、実行されたとき、該マシンに方法200および/または300のステップを実施させるようにすることができる。
【0073】
当業者は、前述の装置および方法がコンピュータ実行可能命令を使って実装が可能、および/またはプロセッサ制御コードに含めることが可能なことを理解できよう。実装において、かかるコードは、磁気ディスク、CDまたはDVD/ROMなどの媒体、読み取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラマブルメモリ、または光もしくは電子信号搬送波などのデータ搬送波上で提供される。本発明のシステムは、超大規模集積回路またはゲートアレイ、ロジックチップおよびトランジスタなどの半導体、またはフィールドプログラマブルゲートアレイおよびプログラマブルロジックデバイスのようなプログラマブルハードウェアデバイスのハードウェア回路によって、実装することができ、または、様々な種類のプロセッサ実行可能ソフトウェアによって実装することができ、または、ファームウェアなどの前述のハードウェア回路とソフトウェアとの組み合わせによって実装することができる。
【0074】
当然のことながら、前述の詳細な説明で、装置のいくつかのユニットまたはサブユニットが言及されたが、かかる区分は単に例示であって必須ではない。実際上、本発明の実施形態によれば、前述の2つ以上のモジュールの特徴および機能は、一つのモジュール中に具現化することが可能である。反対に、前述の一つのモジュールの特徴および機能を複数のモジュールによって具現化することもできる。さらに、添付図面では、本発明の方法のオペレーションは、特定の順序で記載されているが、これらのオペレーションは、必ずしも特定の順序で実行する必要はなくそう示唆するものでもなく、あるいは、所望の結果を達成するために、全ての提示されたオペレーションを実行しなければならないと要求または示唆するものでもない。それどころか、フローチャートに示されたステップはそれらの順序を変更することが可能である。これに換えてまたは加えて、一部のステップは省略が可能で、複数のステップを実行のため一つのステップに組み合せることも可能で、および/または一つのステップを実行のため複数のステップに分解することも可能である。
【0075】
いくつかの実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当然のことながら、本発明は本明細書で開示された実施形態に限定はされない。本発明には、添付の特許請求の趣旨および範囲に含まれる様々な修改および等価の組み換えを包含することが意図されている。添付の特許請求の範囲は、最広義の解釈に準じ、これにより、すべてのかかる修改と等価の構造体および機能とを包含する。