【解決手段】二つの金属製管状部材の接合構造であって、端部が前記接合構造における内側に配置される第1金属製管状部材(1)と、端部が前記接合構造における外側に配置される第2金属製管状部材(2)とを有する。また、前記接合構造における接合面(1a,2a)を形成する第1金属製管状部材(1)の外周面と第2金属製管状部材(2)の内周面とのうちの少なくとも何れか一方の、少なくとも一部には、金属製管状部材(1,2)の表面そのままの状態より表面粗度を大きくした凹凸構造部(3)が形成されている。
前記接合構造における接合面(1a,2a)を形成する前記第1金属製管状部材(1)の外周面と前記第2金属製管状部材(2)の内周面との間には、前記金属製管状部材(1,2)を接合する接合材としての第三の物質を流し込む隙間(S)が形成されている
請求項1記載の金属製管状部材の接合構造。
前記凹凸構造部(3)として、単一方向に向かう溝(32a,33a)により構成される溝状部(32,33)が形成され、前記溝状部(32,33)を構成する前記溝(32a,33a)は前記接合面(1a,2a)の端部において外部に通ずるように形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の金属製管状部材の接合構造。
前記凹凸構造部(3)として、溝(34a,35a)が交叉する交叉状の溝状部(34,35)が形成され、前記溝状部(34,35)を構成する前記溝(34a,35a)が前記接合構造における前記接合面(1a,2a)の端部において外部に通ずるように形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の金属製管状部材の接合構造。
前記接合面(1a)を形成する前記第1金属製管状部材(1)の前記外周面には、前記凹凸構造部(3)として雄ねじ(36)が形成され、前記接合面(2a)を形成する前記第2金属製管状部材(2)の前記内周面には、前記凹凸構造部(3)として前記雄ねじ(36)に螺合される雌ねじ(37)が形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の金属製管状部材の接合構造。
前記第1金属製管状部材(1)と前記第2金属製管状部材(2)とは、それぞれが銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、マグネシウム、及びこれらを含む合金の中から選択される金属により形成され、かつ、前記第1金属製管状部材(1)と前記第2金属製管状部材(2)とは、互いには同一又は異なる金属により形成されている
請求項1〜7の何れか1項に記載の金属製管状部材の接合構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、上記のように構成することによりろう材の流し込みを容易にし、ろう材のつき回りを改善したものであるが、金属製管状部材の接合面の改良により二つの金属製管状部材同士の接合強度を向上させる方法については触れていない。
【0005】
本開示は、金属製管状部材の接合面を改良することにより、金属製管状部材の接合強度を向上させた金属製管状部材の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、二つの金属製管状部材の接合構造であって、端部が前記接合構造における内側に配置される第1金属製管状部材と、端部が前記接合構造における外側に配置される第2金属製管状部材とを有し、前記接合構造における接合面を形成する、前記第1金属製管状部材の外周面と前記第2金属製管状部材の内周面のうちの少なくとも何れか一方の、かつ、少なくとも一部には、前記金属製管状部材の表面そのままの状態と比較して表面粗度を大きくした凹凸構造部が形成されている。
【0007】
この構成によれば、二つの金属製管状部材の接合面積が増加するので、二つの金属製管状部材の接合強度を増大させることができる。
第2の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記接合構造における接合面を形成する前記第1金属製管状部材の外周面と前記第2金属製管状部材の内周面との間には、前記金属製管状部材を接合する接合材としての第三の物質を流し込む隙間が形成されている。
【0008】
この構成によれば、適正とされる隙間を形成することにより接合部材としての金属等の第三の物質の流し込みを適正に行うことができる。また、接合面に表面粗度を大きくした部分が形成されていることにより、隙間に流し込まれる接合材としての金属等の第三の物質のアンカー効果を得ることができ、これにより接合強度を向上させることができる。
【0009】
第3の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記第1金属製管状部材と前記第2金属製管状部材とは、ろう付接合、はんだ付接合、低温接合、接着接合のうちの何れかにより接合されている。
【0010】
この構成によれば、銅製管状部材同士の接合はもちろんのこと、アルミ製管状部材同士の接合や、アルミ製管状部材と銅製管状部材との結合を容易に行うことができる。
第4の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記凹凸構造部として、規則性のない凹凸からなる凹凸部が形成されている。
【0011】
この構成によれば、低コストの加工により表面粗度の大きい部分を形成することができる。
第5の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記凹凸構造部として、単一方向に向かう溝により構成される溝状部が形成され、前記溝状部を構成する前記溝は接合面の端部において外部に通ずるように形成されている。
【0012】
この構成によれば、凹凸構造部として、接合面の端部において外部に通ずる単一方向の溝状部が形成されているので、ブローホールの発生を抑制することができる。
第6の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記凹凸構造部として、溝が交差する交叉状の溝状部が形成され、前記交叉状の溝状部を構成する溝が前記接合構造における接合面の端部において外部に通ずるように形成されている。
【0013】
この構成によれば、溝状部を構成する溝が接合面の管状部材の端部において外部に通ずるので、ブローホールの発生を抑制することができる。
第7の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記接合面を形成する前記第1金属製管状部材の前記外周面には、前記凹凸構造部として雄ねじが形成され、前記接合面を形成する前記第2金属製管状部材の前記内周面には、前記凹凸構造部として前記雄ねじに螺合される雌ねじが形成されている。
【0014】
この構成によれば、二つの金属製管状部材はねじ込みにより結合されているので、管状部材のずれが発生し難い。このため、ねじ込みでないものに比べ安定した接合が可能になる。
【0015】
第8の観点に係る金属製管状部材の接合構造によれば、前記第1金属製管状部材と前記第2金属製管状部材とは、それぞれが銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、マグネシウム、及びこれらを含む合金の中から選択される金属により形成され、かつ、前記第1金属製管状部材と前記第2金属製管状部材とは、互いには同一又は異なる金属により形成されている。
【0016】
この構成によれば、多種多様な金属同士、又はそれら金属の組み合わせにより使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、本開示に係る金属製管状部材の接合構造について説明する。
本開示に係る二つの金属製管状部材の接合構造は、二つの金属製管状部材の一方の端部が、他方の管状部材の端部の中に挿入されて接合されるものである。また、
図1(a)に示すように本開示においては、二つの金属製管状部材の接合構造において端部が内側に配置される金属製管状部材を第1金属製管状部材1と称し、二つの金属製管状部材の接合構造において端部が外側に配置される金属製管状部材を第2金属製管状部材2と称する。
【0019】
実施の形態1は、二つの金属製管状部材として空調装置に最も一般的に使用されている銅管の接合構造についてのものである。接合方法はろう付が用いられている。第1金属製管状部材1及び第2金属製管状部材2は、同一の外径の銅管である。ただし、
図1(a)に示すように、第2金属製管状部材2に係る銅管は、端部が拡管されている。この拡管部は、第1金属製管状部材1の端部を挿入させて接合するための雌側接合部21を形成している。
【0020】
図1(b)に示すように、第1金属製管状部材1である銅管の端部は、第2金属製管状部材2の雌側接合部21に挿入される雄側接合部11を構成する。雄側接合部11の外周面は、第2金属製管状部材2との接合面1aを成す。そして、第1金属製管状部材1の接合面1aには、第1金属製管状部材1の表面そのままの状態より表面粗度を大きくした凹凸構造部3が形成されている。なお、接合面1aに隣接する外周面1b(接合面1a以外の部分)は、何ら特別の加工を行う必要がなく、第1金属製管状部材1の表面そのままの状態とされている。
【0021】
一方、第2金属製管状部材2である銅管の拡管された端部は、第1金属製管状部材1の端部である雄側接合部11を挿入させる雌側接合部21を構成し、雌側接合部21の内周面は第1金属製管状部材1との接合面2aを構成する。そして、第2金属製管状部材2の接合面2aには、第2金属製管状部材2の表面そのままの状態より表面粗度を大きくした凹凸構造部3が形成されている。なお、接合面2aに隣接する内周面2b(接合面2a以外の部分)は、何ら特別の加工を行う必要がなく、第2金属製管状部材2の表面そのままの状態とされている。
【0022】
接合面1a及び接合面2aに形成される凹凸構造部3は、規則性のない微細な凹凸部31が形成されたものである。この凹凸構造部3の表面粗さは、JIS B 0601に規定される算術平均粗さRaが2μm〜25μmとすることが好ましい。なお、第1金属製管状部材1における接合面1aに隣接する他の外周面1bと第2金属製管状部材2における接合面2aに隣接する他の内周面2bの表面粗度は、金属製管状部材1,2の表面そのままの状態であり、算術平均粗さRaは通常1μm程度である。
【0023】
次に、第1金属製管状部材1及び第2金属製管状部材2の接合構造における諸寸法を、
図1(c)に基づき説明する。この実施の形態においては、第1金属製管状部材1における雄側接合部11の外周面である接合面1aと、第2金属製管状部材2における雌側接合部21の内周面である接合面2aとの間に、金属製管状部材を接合する接合材としての母材以外の第三の物質としての金属を流し込む隙間Sが形成されている。
【0024】
また、この実施の形態に係る接合構造は、空気調和機における銅管のろう付に適用される。このため、このろう付接合には、平成22年3月31日施行の経済産業省令第12号「冷凍保安規則の一部を改正する省令」の表23.8に記載の規定が適用される。この規定において、
図3に示す最小はまりこみ深さBと、第1金属製管状部材1の端部の外周面である接合面1aと第2金属製管状部材2の拡管部の内周面である接合面2aとの間の隙間Sの寸法(すなわち、C−A)が規定されている。ここで、本実施の形態に関連して述べると
図1(c)に示すように、Aは雄側接合部11の外径であり、Bは雄側接合部11のはまりこみ深さであり、Cは雌側接合部21の内径である。因みにその一部を示すと、銅管の外径12mm以上16mm未満では、最小はまりこみ深さBは8mm、隙間Sの寸法(すなわち、C−A)は0.05〜0.45となっている。
【0025】
(作用)
実施の形態1は、以上のように構成されているので、ろう付は次のように行われる。以下実施の形態1の作用説明として、実施の形態1におけるろう付接合について説明する。
【0026】
まず初めに、第1金属製管状部材1の端部における最小はまりこみ深さBに相当する部分、すなわち、雄側接合部11の外周面である接合面1aに凹凸構造部3を形成する。凹凸構造部3として、接合面1a全体にショットブラスト等によりランダムな凹凸31aからなる凹凸部31を形成する。次いで、第1金属製管状部材1の接合面1a及び第2金属製管状部材の接合面2aにフラックスを塗布して母材表面の酸化を防止する。
【0027】
次に、第1金属製管状部材1の雄側接合部11を第2金属製管状部材2の雌側接合部21内に挿入する。そして、
図1(c)に示すように、ろう材5を雌側接合部21の一端に配置し、ろう材5を適正な加熱温度で加熱する。なお、ろう材は、図示のようなリング状以外のものでもよいことは勿論である。例えば、棒状、線状、箔状、板状、ペースト状など使用条件に合わせて使い分けすればよい。ろう材を加熱すると、ろう材5は溶けて隙間Sに流れ込み、接合面1a,2a全体に行き渡る。このとき第1金属製管状部材1の接合面1aに凹凸構造部3が形成されているため、接合面積が増加している。また、接合面1aの凹凸構造部3として、微細な凹凸31aからなる凹凸部31が形成されている。このため、濡れ長さが大きくなり、融解したろう材5のアンカー効果を得ることができる。第1金属製管状部材1と第2金属製管状部材2との接合は、このような接合面積の増加及びアンカー効果により接合強度の向上が図れる。なお、実験により得た知見では、算術平均粗さRaが25μmの範囲以下の範囲では、算術平均粗さRaを大きくするにつれ濡れ長さ、すなわち、ろう材が接合部に流れ込む長さが大きくなることが確認されている。
【0028】
(実施の形態1の効果)
本金属製管状部材の接合構造は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。
【0029】
(1)二つの金属製管状部材の接合構造において、第1金属製管状部材1の雄側接合部11の外周面と第2金属製管状部材2の雌側接合部21の内周面とが接合面1a,2aを形成する。この場合において、一方の接合面1aに凹凸構造部3として、微細な凹凸31aからなる凹凸部31が形成されているので、二つの金属製管状部材の接合面積を増加させ、二つの金属製管状部材の接合強度を増大させることができる。
【0030】
(2)第1金属製管状部材1の雄側接合部11の外周面である接合面1aと第2金属製管状部材2の雌側接合部21の内周面である接合面2aとの間に、金属製管状部材を接合する接合材としての母材以外の第三の物質を流し込む隙間Sが形成されている。これにより、第三の物質としての金属(この実施の形態においてはろう材5)が流し込まれ、第三の物質としての金属についてのアンカー効果を得ることができる。
【0031】
(3)凹凸構造部3を、接合面1aの差し込み寸法分に合わせて正確に形成しておくと、差し込み寸法が明確になり、差し込みの過不足を解消することができる。結果として不良品の削減につながる。
【0032】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図2に基づき説明する。
【0033】
実施の形態1は、接合面1a,2aのうち一方のみ、具体的には接合面1aのみに凹凸構造部3が形成されていたが、実施の形態2は、接合面1a,2aの双方に同様の凹凸構造部3が形成されている。実施の形態1と実施の形態2とはこの点においてのみ相違し、他の点はすべて同一である。
【0034】
以上のように構成された実施の形態2は、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施の形態1と比較すると、二つの金属製管状部材の接合面積が実施の形態1の場合よりさらに増加する。また、双方の接合面1a,2aに微細な凹凸31あからなる凹凸部31が形成されるので、より一層アンカー効果が得られる。したがって、実施の形態2は、実施の形態1よりも接合強度が向上する。
【0035】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図3に基づき説明する。
【0036】
実施の形態3は、実施の形態1において凹凸構造部3の凹凸仕様を変更したものである。すなわち、実施の形態3における凹凸構造部3の凹凸仕様は、管軸方向に向かう溝32aを一定のピッチで配置した溝状部32である。溝状部32の溝32aは、ケガキ等により形成したものでよい。溝状部32の溝32aの一端は、接合面1aの端部において外部に通ずるように形成されている。溝状部32の溝の深さ、幅、ピッチ等は、特に限定されるものではない。
【0037】
実施の形態3は、以上のように構成されているので、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施の形態3は、凹凸構造部3に単一方向の微細な溝32aからなる溝状部32を形成し、溝32aが接合面1aの端部において外部に通ずるように形成されているので、濡れ性が向上しブローホールの発生を抑制することができる。
【0038】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図4に基づき説明する。
【0039】
実施の形態4は、実施の形態3における溝32aの向きを変更したものである。すなわち、実施の形態3では、溝状部32の溝32aが管軸方向に向いていたが、実施の形態4は、溝状部33を構成する溝33aを管軸に対し交叉するように斜めに向けたものである。実施の形態4は、この点を除いては実施の形態3と同様であるので、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0040】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図5に基づき説明する。
【0041】
実施の形態5は、実施の形態3における溝状部32の構成を変更したものである。すなわち、実施の形態5では、凹凸構造部3として、溝34aを管軸方向と、管軸方向に対し直角方向とに格子状に交叉させた交叉状の溝状部34を形成している。また、この交叉状の溝状部34のうち管軸方向の溝34aは、接合面1aの端部において外部に通ずるように形成されている。
【0042】
実施の形態5は、以上のように構成されているので、全ての溝34aが接合面1aの端部を介して外部に通ずるので、実施の形態3の場合と同様に、ブローホールの発生を抑制することができる。
【0043】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図6に基づき説明する。
【0044】
実施の形態6は、実施の形態5における溝状部34を構成する溝34aの向きを変更したものである。すなわち、実施の形態6の溝状部35は、溝状部35を構成する溝35aを管軸方向に対し全て斜め方向にすることにより交叉状にしたものである。
【0045】
実施の形態6は、以上のように構成されているので、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図7に基づき説明する。以下、主として実施の形態1との相違点について説明する。
【0046】
図7(a)に示すように、実施の形態7における二つの金属製管状部材は外形寸法が異なる。外形寸法の小さい金属製管状部材が第1金属製管状部材1である。第1金属製管状部材1の端部は、雄側接合部11を成し、その外周面が接合面1aを構成している。また、
図7(b)に示すように、雄側接合部11の外周面である接合面1aには、凹凸構造部3として雄ねじ36が形成されている。
【0047】
一方、外形寸法の大きい金属製管状部材が第2金属製管状部材2である。第2金属製管状部材2の端部は、雌側接合部21を成し、その内周面が接合面2aを構成している。また、雌側接合部21の内周面である接合面2aには、凹凸構造部3として前記雄ねじ36に螺合する雌ねじ37が形成されている。
【0048】
図7(c)に示すように、雄ねじ36と雌ねじ37との螺合面には、ねじ構造一般にみられるように隙間Sが存在している。この隙間Sは、本開示における、金属製管状部材を接合する接合材としての母材以外の第三の物質としての金属を流し込む隙間Sを構成する。
【0049】
実施の形態7は、以上のように構成されているので、実施の形態1における(1)及び(3)の効果を奏する。また、実施の形態7は、ねじを螺合した上で第三の物質としての金属を接合材とする溶接が行われるので、芯ずれがなく接合強度が大きくなる。
【0050】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図8に基づき説明する。以下、主として実施の形態7との相違点について説明する。
【0051】
実施の形態8における二つの金属製管状部材は、
図8(a)に示すように、外形寸法が同一である。一方の金属製管状部材の端部は拡管されている。拡管されない方の金属製管状部材が第1金属製管状部材1であり、拡管された方の金属製管状部材が第2金属製管状部材2である。
【0052】
図8(b)に示すように、第1金属製管状部材1の端部は、実施の形態7と同様に、雄側接合部11を成し、その外周面が接合面1aを構成している。また、雄側接合部11の外周面である接合面1aには、凹凸構造部3として雄ねじ36が形成されている。第2金属製管状部材2の拡管された端部は、雌側接合部21を成し、その内周面が接合面2aを構成している。また、雌側接合部21の内周面である接合面2aには、凹凸構造部3として実施の形態7と同様に、第1金属製管状部材1の雄ねじ36に螺合する雌ねじ37が形成されている。
【0053】
実施の形態8は、以上のように構成されているので、実施の形態7と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態9)
次に、実施の形態9に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図9に基づき説明する。以下、主として実施の形態7との相違点について説明する。
【0054】
実施の形態9における二つの金属製管状部材は、
図9(a)に示すように、外形寸法が同一である。一方の金属製管状部材の端部は縮管されている。縮管された方の金属製管状部材が第1金属製管状部材1であり、縮管されない方の金属製管状部材が第2金属製管状部材2である。
【0055】
図9(b)に示すように、第1金属製管状部材1の縮管された端部は、雄側接合部11を成し、その外周面が接合面1aを構成している。また、雄側接合部11の外周面である接合面1aには、凹凸構造部3として雄ねじ36が形成されている。第2金属製管状部材2の縮管されていない端部は、雌側接合部21を成し、その内周面が接合面2aを構成している。また、雌側接合部21の内周面である接合面2aには、凹凸構造部3として実施の形態7と同様に、第1金属製管状部材1の雄ねじ36に螺合する雌ねじ37が形成されている。
【0056】
実施の形態9は、以上のように構成されているので、実施の形態7及び実施の形態8と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態10)
次に、実施の形態10に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図10に基づき説明する。
【0057】
図10(a)及び
図10(b)から分かるように、実施の形態10は、実施の形態1において、第2金属製管状部材2を銅合金製のソケットとしたものである。この実施の形態における第1金属製管状部材1は実施の形態1におけるものと同一の構成の銅管である。また、第2金属製管状部材2としてのソケットは、その配管差し込み部が実施の形態1における雌側接合部21と実質的に同一である。
【0058】
したがって、この実施の形態10における第1金属製管状部材1と第2金属製管状部材2との接合構造は、第2金属製管状部材2としての部材が異なっていても実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(実施の形態11)
次に、実施の形態11に係る二つの金属製管状部材の接合構造について、
図11に基づき説明する。
【0060】
図11(a)及び
図11(b)から分かるように、実施の形態11は、実施の形態1において、第2金属製管状部材2を銅合金製の閉鎖弁としたものである。この実施の形態における第1金属製管状部材1は実施の形態1におけるものと同一の構成の銅管である。また、第2金属製管状部材2としての閉鎖弁は、ハウジング60、弁座61に対しY方向に移動するように操作される弁体62、キャップ部材63などを備えてものであるが、配管差し込み部は実施の形態1における雌側接合部21と実質的に同様である。
【0061】
したがって、この実施の形態11における第1金属製管状部材1と第2金属製管状部材2との接合構造は、第2金属製管状部材2としての部材が異なっていても実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0062】
(変形例)
本開示の金属製管状部材の接合構造は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0063】
・前記各実施の形態においては、第1金属製管状部材1と第2金属製管状部材2とは、ろう付接合されている例を記載していたが、はんだ付接合、低温接合、接着接合のうちの何れかにより接合されていてもよい。なお、本明細書において低温接合とは、接合温度は450℃未満であるが、接合後の接合材の溶融温度が450℃以上となるものをいう。このような接合材としては、例えば、銀ナノ粒子などを挙げることができる。
【0064】
・第1金属製管状部材1及び第2金属製管状部材2の材料は、前記各実施の形態において使用されている銅、或いは銅合金でもよいが、これに限られたものではない。すなわち、第1金属製管状部材1及び第2金属製管状部材2の材料は、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、マグネシウム、及びこれらを含む合金の中から選択される金属により形成され、かつ、互いには同一又は異なる金属により形成されているものでよい。
【0065】
・前記実施の形態3〜6においては、第1金属製管状部材1の接合面1aを成す雄側接合部11の外周面のみに凹凸構造部3が形成されていたが、実施の形態2の場合と同様に第2金属製管状部材2の接合面2aを成す雌側接合部21の内周面にも凹凸構造部3を形成してもよい。
【0066】
・また、凹凸構造部3は、第1金属製管状部材1の接合面1aを成す雄側接合部11の外周面には形成せず、第2金属製管状部材2の接合面2aを成す雌側接合部21の内周面のみに形成してもよい。
、
・凹凸構造部3は、第1金属製管状部材1の接合面1aを成す雄側接合部11の外周面に形成する仕様と、第2金属製管状部材2の接合面2aを成す雌側接合部21の内周面に仕様とは同一である必要はない。例えば、実施の形態2において、雌側接合部21の内周面の凹凸構造部3として、実施の形態3に適用されている単一方向に向かう溝34aにより構成される溝状部32を適用してもよい。
【0067】
・前記各実施の形態において、凹凸構造部3は、第1金属製管状部材1の接合面1a又は第2金属製管状部材2の接合面2aの全面にわたって形成されていたが、接合面1a又は接合面2aの一部に形成するものでもよい。
【0068】
・また、前記各実施の形態において、凹凸構造部3は、第1金属製管状部材1の接合面1a又は第2金属製管状部材2の接合面2aの全面ぴったりの部分に形成されていたが、接合面1aに隣接する第1金属製管状部材1の外周面1b又は接合面2aに隣接する第2金属製管状部材2の内周面2bに拡がって形成されていてもよい。
【0069】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。