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特開2019-172274伸縮カバーの連係機構および伸縮カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-172274(P2019-172274A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】伸縮カバーの連係機構および伸縮カバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20190913BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
   B65D81/38 R
   B65D25/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-59535(P2018-59535)
(22)【出願日】2018年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】川島 崇志
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB07
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB04
3E062JB08
3E062JC02
3E062JC03
3E062JC05
3E062JD04
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA05A
3E067BA10A
3E067BB15A
3E067BB17A
3E067BC02A
3E067CA12
3E067CA18
3E067EA29
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA11
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】複数の筒状体を円滑に伸縮できる伸縮カバーを提供する。
【解決手段】伸縮カバー10において複数の筒状体12を連係させる連係機構14は、内外に隣り合う筒状体12,12のうちの一方において、他方の筒状体12に相対する面に設けられ、該一方の筒状体12の上縁部または下縁部の何れかに一端が固定された連係体30を備えている。また、連係機構14は、内外に隣り合う筒状体12,12のうちの他方において、前記一方の筒状体12に相対する面に設けられた保持体32を備えている。連係機構14は、保持体32によって連係体30を案内しつつ、内外に隣り合う筒状体12,12の相対的な変位を許容し、保持体32に連係体30が引っ掛かることで、内外に隣り合う筒状体12,12の相対的な変位を規制する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子構造にある複数の筒状体を備え、大きい筒状体の内側に小さい筒状体を収納した縮小状態と、該縮小状態にて内外に隣り合う筒状体を上下へ相対的にずらすように変位した伸張状態との間で伸縮可能に構成された伸縮カバーにおいて、前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体同士を伸縮可能に連係させる連係機構であって、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの一方において、該縮小状態にて他方の筒状体に相対する面に設けられ、該一方の筒状体の上縁部または下縁部の何れかに一端が固定された連係体と、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの他方において、該縮小状態にて一方の筒状体に相対する面に設けられた保持体と、を備え、
前記連係体は、
該連係体の一端の固定端から前記一方の筒状体の面に沿って上下に延在し、前記保持体によって上下方向と交差する方向への変位が規制されるように保持された案内部と、
該連係体における固定端と反対側の他端に、前記案内部と連ねて設けられた係止部と、を備え、
前記保持体は、前記他方の筒状体における前記連係体の固定端と同じ側の縁部に設けられ、前記内外に隣り合う筒状体の上下への相対的な変位に伴う前記案内部の上下方向のスライド変位を許容する一方で、前記係止部に引っ掛かって該保持体を越えた該係止部の変位を規制するように構成されている
ことを特徴とする伸縮カバーの連係機構。
【請求項2】
前記連係体は、板状体である請求項1記載の伸縮カバーの連係機構。
【請求項3】
前記連係体は、前記固定端と反対側の他端が、前記一方の筒状体において該固定端が固定された縁部と反対側の縁部に固定されている請求項1または2記載の伸縮カバーの連係機構。
【請求項4】
前記連係体は、前記固定端である上端が前記縮小状態にて外側に位置する前記筒状体の上縁部内面に固定され、該内面に沿って該内面の上下に亘って延在するように設けられ、
前記保持体は、前記縮小状態にて内側に位置する前記筒状体の上縁部側の外面に固定され、該筒状体の外面との間に前記案内部が通過可能な空間を画成するように形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の伸縮カバーの連係機構。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の伸縮カバーの連係機構を備えている
ことを特徴とする伸縮カバー。
【請求項6】
前記筒状体は、角筒であり、
前記筒状体において内側の収納空間を挟んで相対する側面の組のうちの少なくとも1組に、前記連係機構が設けられている請求項5記載の伸縮カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収納するものの高さに合わせて高さを変更可能な伸縮カバーにおける筒状体を連係させる連係機構およびこの連係機構を備える伸縮カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
輸送や配送に際して、搬送物が収納されたクレート、番重、パン箱などのケースをドーリー台車等の台車に積み重ねて載置し、搬送物がまとめて運ばれる。このような場合、積み重ねたケースをほこりや直射日光から守り、あるいは搬送物を保温や保冷するため、多段に積み重ねたケースをカバーで覆うことがなされている。多段に積み重ねたケースは、配送先でケースが上から順に納入され、高さが変わっていくことから、高さを変化させることができる伸縮カバーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の伸縮カバーは、同じ高さの筒状体が、大きなものの内側に小さなものが収納される入れ子構造になっており、外側の筒状体に内側の筒状体が収納された縮小状態と、外側の筒状体が内側の筒状体に対して上方へずれた伸張状態との間で伸縮変化可能である。隣り合う外側の筒状体および内側の筒状体は、筒状体の高さの半分の長さである可撓性を有する連結シートで連結されている。連結シートは、外側の筒状体と内側の筒状体とが同一高さ関係にある縮小状態において、その基端部がその先端部よりも高い位置に位置してほぼ鉛直な平面状となる。また、連結シートは、外側の筒状体が内側の筒状体より上方へずれた伸張状態において、その先端部がその基端部よりも高い位置に位置してほぼ鉛直な平面状となる。そして、特許文献1の伸縮カバーは、外側の筒状体を持ち上げると連結シートによって引っ張られて内側の筒状体も持ち上がり、複数の筒状体が順次持ち上がるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5507878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の伸縮カバーは、可撓性を有する連結シートが、内外の筒状体の相対的な昇降に伴って、内外の筒状体間の狭いスペースにおいて途中で折れ曲がりながら、外側の筒状体に連結した先端部と内側の筒状体に連結した基端部とが入れ替わる。そのため、可撓性を有する連結シートが複数箇所で折れ曲がるなど折り曲げがうまくいかなかったり、連結シートが内外の筒状体に引っ掛かったりするなどにより、複数の筒状体の伸縮を円滑に行うことができないことがある。
【0006】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、伸縮を円滑になし得る伸縮カバーの連係機構および伸縮カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明は、
入れ子構造にある複数の筒状体を備え、大きい筒状体の内側に小さい筒状体を収納した縮小状態と、該縮小状態にて内外に隣り合う筒状体を上下へ相対的にずらすように変位した伸張状態との間で伸縮可能に構成された伸縮カバーにおいて、前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体同士を伸縮可能に連係させる連係機構であって、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの一方において、該縮小状態にて他方の筒状体に相対する面に設けられ、該一方の筒状体の上縁部または下縁部の何れかに一端が固定された連係体と、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの他方において、該縮小状態にて一方の筒状体に相対する面に設けられた保持体と、を備え、
前記連係体は、
該連係体の一端の固定端から前記一方の筒状体の面に沿って上下に延在し、前記保持体によって上下方向と交差する方向への変位が規制されるように保持された案内部と、
該連係体における固定端と反対側の他端に、前記案内部と連ねて設けられた係止部と、を備え、
前記保持体は、前記他方の筒状体における前記連係体の固定端と同じ側の縁部に設けられ、前記内外に隣り合う筒状体の上下への相対的な変位に伴う前記案内部の上下方向のスライド変位を許容する一方で、前記係止部に引っ掛かって該保持体を越えた該係止部の変位を規制するように構成されている伸縮カバーの連係機構である。また、当該連係機構を備える伸縮カバーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る伸縮カバーの連係機構によれば、複数の筒状体をスムーズに伸縮するように連係させることができる。
本発明に係る伸縮カバーは、連係機構によって複数の筒状体をスムーズに伸縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の好適な実施例に係る連係機構を備えた伸縮カバーを概略的に示す斜視図であって、縮小状態にある。
図2】実施例の連係機構を備えた伸縮カバーを概略的に示す斜視図であって、伸張状態にある。
図3】実施例の伸縮カバーを構成する第4筒状体および第3筒状体を分解した状態で概略的に示す斜視図である。
図4】実施例の伸縮カバーを構成する第2筒状体および第1筒状体を分解した状態で概略的に示す斜視図である。
図5】実施例の連係機構を備えた伸縮カバーを示す断面図であって、縮小状態にある。
図6】実施例の連係機構を備えた伸縮カバーを示す断面図であって、伸張状態にある。
図7】実施例の連係機構を説明する斜視図である。
図8】実施例の連係機構を示す説明図である。
図9】実施例の連係機構を示す断面図である。
図10】実施例の伸縮カバーの高さの変更を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る伸縮カバーの連係機構および伸縮カバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0011】
図1および図2に示すように、実施例に係る伸縮カバー10は、大きい筒状体12の内側に小さい筒状体12を収納可能な入れ子構造の関係にある複数の筒状体12を備えており、実施例では4つの筒状体12で構成されている。伸縮カバー10は、大きい筒状体12の内側に小さい筒状体12を収納した縮小状態(図1および図5参照)と、縮小状態にて内外に隣り合う筒状体12,12を上下方向へ相対的にずらすように変位した伸張状態(図2および図6参照)との間で伸縮可能な状態で、内外に隣り合う筒状体12,12同士が連係機構14により連結されている。伸縮カバー10は、クレート、番重、パン箱などのケースC(図10参照)を収納可能な収納空間を内部に有し、複数の筒状体12を伸ばしたり、縮めたりすることで、段積みするケースCの高さに合わせて収納空間の上下寸法を変更可能に構成されている。
【0012】
図3および図4に示すように、実施例の筒状体12は、前後左右の4つの側面が四角形の壁部で構成されて、上下に貫通する収納空間を有する角筒である。また、筒状体12は、各壁部が垂直に延在しており、上下に亘って同じ開口面積になるように形成されている。壁部は、アルミ蒸着プラスチックシートなど、可撓性や断熱性や遮光性などの所要の機能を有するシート材によって内面および外面が構成され、重ね合わせた2枚のシートの間に、プラスチック段ボール等の補強板やポリウレタンフォーム等の断熱板などの芯材が封入されている。筒状体12は、シート材を直接または間接的に縫製により組み合わせることで、各辺の壁部同士を繋げて構成され、実施例では、筒状体12(壁部)が自立する程度の剛性を有している。複数の筒状体12は、その高さが略同一であり、開口面積が異なる相似形状である。
【0013】
伸縮カバー10は、縮小状態において最も内側に位置する筒状体12が、ケースCを収納し得る収容空間を有し、当該筒状体12から外側へ向かうに従って筒状体12が一回りずつ大きくなっている。以下の説明では、縮小状態において、最も内側に位置する筒状体12を第1筒状体12Aといい、第1筒状体12Aの外側に位置する筒状体12を第2筒状体12Bといい、第2筒状体12Bの外側に位置する筒状体12を第3筒状体12Cといい、第3筒状体12Cの外側にあって最も外側に位置する筒状体12を第4筒状体12Dと指称する場合もある。なお、筒状体12の関係でいう「内外」とは、伸縮カバー10の縮小状態の位置関係を基本的に指す。また、伸縮カバー10の前後左右は、説明の便宜上、図1の向きに従う。
【0014】
図1および図5に示すように、伸縮カバー10は、第4筒状体12Dの後辺上縁に連なるように設けられた蓋部16を備えており、第4筒状体12Dとの連結部で折り曲げ可能な蓋部16によって上部開口を開閉し得るようになっている。蓋部16は、第4筒状体12Dとの連結辺と反対側の前辺に面ファスナー18を備えており、蓋部16の面ファスナー18と第4筒状体12Dの前辺上縁部外面に設けられた面ファスナー20とが着脱可能になっている。また、伸縮カバー10は、蓋部16の左右の横辺と第4筒状体12Dの左右の横辺上縁とが、線ファスナー22によって着脱可能になっている。伸縮カバー10は、基端部が第4筒状体12Dの後辺上縁に接続された位置決め部24を備えている。位置決め部24は、可撓性を有するベルト状または紐状の部材であり、第4筒状体12Dの前辺上縁部外面に設けられた面ファスナー20に対して着脱可能な面ファスナー26を先端部に備えている。伸縮カバー10は、上部開口を横切るように前後に渡して面ファスナー18,20,26同士を接合した位置決め部24および/または上部開口を塞いだ蓋部16が、収納空間に収納したケースCの上端に載ることで、第4筒状体12Dの上下位置が決まり、筒状体12の伸張状態が保持される。図1に示す第4筒状体12Dの横外面に設けられた符号28は、伸縮カバー10を伸縮操作する際に用いる持ち手である。
【0015】
図5,図6および図9に示すように、連係機構14は、内側の筒状体12と外側の筒状体12との間に設けられる。伸縮カバー10には、筒状体12に対して内側の収納空間を挟んで相対する側面の組のうちの少なくとも1組に、連係機構14を設けることが好ましく、実施例では、収納空間を挟んで前後の側面の組と左右の側面の組とのそれぞれに連係機構14が設けられている(図2図4参照)。実施例の伸縮カバー10は、筒状体12の収納空間を挟んで対称な位置関係で連係機構14が配置されており、筒状体12における4つの側面のそれぞれに対応して設けられる連係機構14は、いずれも同じ構造である。
【0016】
図5図9に示すように、連係機構14は、内外に隣り合う筒状体12のうちの一方において、他方の筒状体12に相対する面に設けられた連係体30と、内外に隣り合う筒状体12のうちの他方において、一方の筒状体12に相対する面に設けられた保持体32とを備えている。実施例では、連係体30が外側の筒状体(一方の筒状体)12の内面に設けられ、保持体32が内側の筒状体(他方の筒状体)12の外面に設けられ、連係体30と保持体32とが内外に隣り合う2つの筒状体12,12に振り分けて設置される。
【0017】
図7に示すように、連係体30は、筒状体12の壁部における幅方向中央部に配置されている。連係体30は、外側の筒状体12の上縁部または下縁部の何れかに一端が固定され、実施例では、連係体30の上端(一端)が、筒状体12の上縁部内面に縫製等により固定されて固定端30aとなっている(図5参照)。連係体30は、固定端30aと反対側の他端(特に区別する場合は係止端30bという。)が、外側の筒状体12において固定端30aが固定された上縁部と反対側の下縁部に固定されている(図6参照)。このように、実施例では、連係体30の上端の固定端30aと下端の係止端30bとが外側の筒状体12の内面に固定されている。連係体30は、外側の筒状体12の内面に沿って、該内面の上下全体または略全体に亘って延在するように設けられている(図3および図4参照)。連係体30は、上端および下端以外、外側の筒状体12に固定されておらず、上端と下端との間の途中部分が外側の筒状体12の内面に対して接したり離れたり可能な自由状態にある。連係体30は、固定端30aが固定された筒状体12の上下変位に伴って上下へ変位し、縮小状態で内外に隣り合う筒状体12,12の間に収納され(図5および図7(a)参照)、伸張状態で下部を除く大部分が収納空間に現れる(図6および図7(c)参照)。また、連係体30は、外側の筒状体12の上下変位に伴う昇降に際して、固定端30aと係止端30bとの上下関係が変わることなく、外側の筒状体12の内面に沿った姿勢を保ったまま筒状体12と一体的に昇降する。
【0018】
図7および図8に示すように、連係体30は、固定端30aが固定された筒状体12の内面に沿って固定端30aから上下に延在し、保持体32によって上下方向と交差する方向への変位が規制されるように保持された案内部34を備えている。連係体30の係止端30bには、案内部34と連ねて係止部36が設けられている。連係体30は、案内部34および係止部36が一体的に形成された板状体であり、その厚み方向を内外方向にした姿勢で隣り合う内外の筒状体12,12の間に配置されている(図9参照)。案内部34は、連係体30が固定される壁部の幅よりも狭い幅で形成された板状であり、筒状体12の高さ方向に延在する辺が垂直になっている。係止部36は、連係体30が固定される壁部の幅よりも狭い幅で、かつ案内部34よりも広い幅で形成され、案内部34よりも幅方向へ延出している。係止部36は、幅方向へ互いに反対向きに延出する部分が案内部34を挟んで対称に形成されている。係止部36は、案内部34と反対側の下縁が筒状体12に縫製等により固定されており、案内部34に連なる上縁側が、固定端30aが固定された筒状体12の内面に対して接したり離れたり可能な自由状態にある。実施例の連係体30は、案内部34と係止部36とによって「T」が上下反転したような形状である(図7および図8参照)。
【0019】
連係体30は、ポリエチレンなどの合成樹脂のソリッド体または発泡体等から形成することができ、軽量化できることから、発泡倍率が低い発泡体を用いることが好ましい。連係体30は、外力が加わると湾曲可能であると共に外力がかかっていない自然状態で元に戻る弾力性や、壁部に沿って自立する形状保持性を有する「コシ」があるものが好ましく、軽量で「コシ」を有していることから低発泡ポリエチレンシートが好適である。
【0020】
図5に示すように、保持体32は、内側の筒状体12における連係体30の固定端30aと同じ側の縁部側に設けられており、実施例では、連係体30の固定端30aが筒状体12の上縁部に設定されているので、これに対応して、保持体32が、内側の筒状体12の上縁部側に設けられる。保持体32は、内側の筒状体12の上縁部において、連係体30の固定端30aよりも下方に配置されている。保持体32と内側の筒状体12の外面との間には、連係体30の案内部34が上下へ通して配置され、保持体32よりも下方に係止部36が配置されている(図7および図8参照)。保持体32は、内外に隣り合う筒状体12,12の上下への相対的な変位に伴う案内部34の上下方向のスライド変位を許容する一方で、係止部36に引っ掛かって該保持体32を越えた係止部36の上方変位を規制するように構成されている。具体的には、保持体32は、内側の筒状体12の上縁部外面に固定され、該筒状体12の外面との間に案内部34が通過可能な挿通空間を画成するように形成されている(図9参照)。保持体32は、幅方向の両縁が縫製等により内側の筒状体12に固定され、幅方向両端の間の中間部分が、内側の筒状体12の外面に対して接したり離れたり可能な自由状態にある筒状に形成されている。保持体32によって画成される挿通空間には、連係体30の案内部34が上下に挿通されており、保持体32よりも上方に連係体30の固定端30aが位置し、保持体32よりも下方に連係体30の係止部36(係止端30b)が位置する関係で配置されている。保持体32は、挿通空間の幅が、案内部34の幅よりも大きく、係止部36の幅よりも小さくなるように形成されており、案内部34を上下に通すものの、係止部36が自身に引っ掛かって通らない。
【0021】
保持体32は、ポリエチレンなどの合成樹脂のソリッド体または発泡体等から形成することができ、軽量化できることから、発泡倍率が低い発泡体を用いることが好ましい。保持体32は、外力が加わると湾曲可能であると共に外力がかかっていない自然状態で元に戻る弾力性や、連係体30を保持し得る形状保持性を有する「コシ」があるものが好ましく、軽量で「コシ」を有していることから低発泡ポリエチレンシートが好適である。
【0022】
実施例の連係機構14は、連係体30の下端の係止端30bが外側の筒状体12の内面に固定されているので、係止端30bの固定部分が保持体32に引っ掛かって、保持体32を越えた当該固定部分の上方変位が規制される。従って、連係体30において、係止部36における案内部34よりも幅方向へ延出する部分だけでなく、筒状体12への固定部分も係止部36として機能し得る。また、連係体30の上端の固定端30aが外側の筒状体12の内面に固定されているので、固定端30aが保持体32に引っ掛かって、保持体32を越えた当該固定端30aの下方変位が規制される。
【0023】
図1および図5に示すように、伸縮カバー10は、第1〜第4筒状体12A,12B,12C,12Dが接地状態にある縮小状態において、第4筒状体12Dの内側に第3〜第1筒状体12C,12B,12Aが収納されて、全体の高さが最も低くなる。伸縮カバー10の縮小状態において、連係機構14は、連係体30における案内部34の上部が保持体32に通っている(図7(a)および図8(a)参照)。伸縮カバー10は、連係体30の固定端30aが保持体32に引っ掛かって、内側の筒状体12に対する外側の筒状体12の下方変位が規制されるので、筒状体12が下方へ抜け落ちてバラバラになることはない。
【0024】
伸縮カバー10の高さを調節する場合、大外の第4筒状体12Dを持ち上げると、内側に隣り合う第3筒状体12Cに設けられた保持体32に案内部34が案内されたもとで、第4筒状体12Dに設けられた連係体30も上昇する(図8(b)参照)。更に、第4筒状体12Dを持ち上げると、第3筒状体12Cに設けられた保持体32に第4筒状体12Dに設けられた連係体30の係止部36が引っ掛かり、保持体32と係止部36との係止によって第3筒状体12Cに対する第4筒状体12Dの相対的な上方変位が規制される(図8(c)参照)。更に、第4筒状体12Dを持ち上げると、第4筒状体12Dと第3筒状体12Cとの間の連係機構14によって支持されたもとで、第3筒状体12Cが第4筒状体12Dに連動して持ち上がり、内側に隣り合う第2筒状体12Bに設けられた保持体32に案内部34が案内されたもとで、第3筒状体12Cに設けられた連係体30も上昇する。更に、第4筒状体12Dを持ち上げると、第2筒状体12Bに設けられた保持体32に第3筒状体12Cに設けられた連係体30の係止部36が引っ掛かり、保持体32と係止部36との係止によって第2筒状体12Bに対する第3筒状体12Cの相対的な上方変位が規制される。更に、第4筒状体12Dを持ち上げると、第4筒状体12Dおよび第3筒状体12Cの間の連係機構14と第3筒状体12Cおよび第2筒状体12Bの間の連係機構14によって支持されたもとで、第2筒状体12Bおよび第3筒状体12Cが第4筒状体12Dに連動して持ち上がり、内側に隣り合う第1筒状体12Aに設けられた保持体32に案内部34が案内されたもとで、第2筒状体12Bに設けられた連係体30も上昇する(図7(b)参照)。更に、第4筒状体12Dを持ち上げると、第1筒状体12Aに設けられた保持体32に第2筒状体12Bに設けられた連係体30の係止部36が引っ掛かり(図7(c)参照)、このとき伸縮カバー10が最も高く伸張する(図2および図6参照)。このように、伸縮カバー10は、内外に隣り合う筒状体12,12を連係する連係機構14によって、外側の筒状体12が持ち上がると順番に内側の筒状体12が持ち上がって伸張する。
【0025】
伸縮カバー10は、第4筒状体12Dを降ろすと、内側の筒状体12の自重により保持体32に連係体30の係止部36が引っ掛かって支持された連係機構14によって連係した第2〜3筒状体12B,12Cも一体的に下降する。第4筒状体12Dを降ろしていって第2筒状体12Bが接地して停止すると、第2筒状体12Bの保持体32に第3筒状体12Cの連係体30の案内部34が案内されたもとで、第4筒状体12Dの下降につれて連係機構14によって連係した第3筒状体12Cが一体的に下降する。第4筒状体12Dを降ろしていって第3筒状体12Cが接地して停止すると、第3筒状体12Cの保持体32に第4筒状体12Dの連係体30の案内部34が案内されたもとで、第4筒状体12Dが下降して、第4筒状体12Dが接地すると縮小状態に戻る。伸縮カバー10をある高さの伸張状態で停止する場合は、上部開口を横切るように前後に掛け渡した位置決め部24および/または上部開口を塞いだ蓋部16を、収納空間に収納したケースCの上端に引っ掛けて第4筒状体12Dを停止することで、伸張状態を保持できる(図10参照)。
【0026】
前述した連係機構14は、筒状体12の伸張および縮小に際して、連係体30の案内部34が保持体32によって上下以外の前後左右方向に移動が規制されるように案内されたもとで、固定端30aが固定された筒状体12の上下変位に伴って連係体30が昇降する。また、連係体30は、筒状体12の上下変位につれてそのままの姿勢で上下に変位するので、上下が入れ替わることに伴う折り返しなど、変形させる必要はない。このように連係体30が保持体32に姿勢が保持されつつ案内される構成であるので、連係体30が折れ曲がったり、筒状体12に引っ掛かったりすることが防止され、連係機構14が筒状体12の変位に円滑に連動する。従って、伸縮カバー10は、円滑に連動する連係機構14によって複数の筒状体12を連係しているので、筒状体12の伸張または縮小をスムーズに行うことができる。連係機構14は、保持体32を通る連係体30の案内部34が保持体32によって案内されて変位経路が規定されるので、筒状体12の上下変位の経路を真っ直ぐになるように誘導することができる。これにより伸縮カバー10は、連係機構14によって、筒状体12,12同士が斜めに噛み合ってしまうなどの不具合が防止され、筒状体12の伸張または縮小をスムーズに行うことができる。
【0027】
連係機構14は、保持体32に案内される連係体30が板状体であるので、連係体30の案内部34と保持体32との係合によって案内部34が柱のように機能して、筒状体12の変位経路が真っ直ぐになるように誘導することができる。これにより伸縮カバー10は、連係機構14によって、筒状体12,12同士が斜めに噛み合ってしまうなどの不具合が防止され、筒状体12の伸張または縮小をスムーズに行うことができる。また、筒状体12の壁部に沿って設けられた板状体である連係体30によって、壁部の剛性を補助する支えとして機能させることもできる。
【0028】
連係機構14は、連係体30の一端の固定端30aと他端の係止端30bとの両端が筒状体12に固定してあるので、連係体30を筒状体12の壁部に沿わせて配置することができる。これにより、連係体30の姿勢が保持されるので、前述した連係機構14による筒状体12の上下変位の案内効果を向上することができる。
【0029】
連係機構14は、連係体30の固定端30aを外側の筒状体12の上縁部に固定し、これに対応して保持体32を内側の筒状体12の上縁側に設ける構成とすることで、外側の筒状体12の上方変位につれて内側の筒状体12を上方変位させるように連係させることができる。このようにすることで、筒状体12を伸張した際に、連係体30の案内部34が筒状体12の内側に露出することになり、連係機構14の連係体30および保持体32が伸縮カバー10の外側に露出することはなく、連係機構14が台車等に引っ掛かるなど外部との干渉を防止し得る。
【0030】
伸縮カバー10は、筒状体12において収納空間を挟んで相対する側面のそれぞれに連係機構14を設けてある。従って、伸縮カバー10は、収納空間を挟んで配置された2つの連係機構14,14によって、筒状体12の両側からバランスよく案内・支持されることになり、複数の筒状体12の伸縮をより円滑に行うことができる。
【0031】
(変更例)
前述した実施例の構成に限らず、例えば以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうち、外側の筒状体の内面に連係体を設け、内側の筒状体の外面に保持体を設ける構成であるが、これとは反対に、縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうち、内側の筒状体の外面に連係体を設け、外側の筒状体の内面に保持体を設ける構成であってもよい。この際、内側の筒状体から順次持ち上げて伸張させることになる。
(2)実施例では、筒状体の上縁部に連係体の固定端を固定し、これに対応して筒状体の上縁部側に保持体を設ける構成であるが、これと反対に、筒状体の下縁部に連係体の固定端を固定し、これに対応して筒状体の下縁部側に保持体を設ける構成であってもよい。この際、内側の筒状体から順次持ち上げて伸張させることになる。
(3)実施例では、連係体の係止端を筒状体に固定したが、連係体を固定端だけで筒状体に固定して、係止端を筒状体に固定しなくてもよい。この際、案内部から張り出す形状の係止部を連係体に設ければよい。
(4)実施例では、案内部から張り出す形状の係止部を連係体に設けたが、案内部から張り出す形状を省略して、筒状体に固定した係止端の固定部分を係止部として設定させてもよい。
(5)伸張状態において最下段になる筒状体に、底を設けてもよい。また、蓋部は、伸張状態において最上段になる筒状体に設けるとよい。
【0032】
本開示には、以下の発明が含まれている。
発明Aは、
入れ子構造にある複数の筒状体を備え、該複数の筒状体を順に収納した縮小状態と、該縮小状態にて内外に隣り合う筒状体を上下へ相対的にずらすように変位した伸張状態との間で伸縮可能に構成された伸縮カバーにおいて、前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体同士を伸縮可能に連係させる連係機構であって、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの一方において、該縮小状態にて他方の筒状体に相対する面に設けられた連係体と、
前記縮小状態にて内外に隣り合う筒状体のうちの他方において、該縮小状態にて一方の筒状体に相対する面に設けられた保持体と、を備え、
前記連係体は、前記保持体を通って前記一方の筒状体の面に沿って上下に延在する案内部と、該保持体に係止される係止部と、を備えている伸縮カバーの連係機構である。
【符号の説明】
【0033】
10 伸縮カバー,12 筒状体,12A 第1筒状体,12B 第2筒状体,
12C 第3筒状体,12D 第4筒状体,14 連係機構,30 連係体,
32 保持体,34 案内部,36 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10