特開2019-172337(P2019-172337A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-172337(P2019-172337A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】容器及び容器積載体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20190913BHJP
【FI】
   B65D81/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-64256(P2018-64256)
(22)【出願日】2018年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹彦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA05C
3E067BB17C
3E067BC06C
3E067CA18
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE19
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA03
3E067GB02
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】内部の温度のばらつきを低減可能な容器を提供する。
【解決手段】容器10は、底板部22と側板部24とを有し、内部が収容空間Sとされ、上端に開口部Pが設けられた本体20と、本体20に着脱可能であって、収容空間Sを覆う上板部32を有する蓋30と、を備える。底板部22には収容空間Sの内外を連通する貫通孔41が形成され、上板部32には収容空間Sの内外を連通する貫通孔42が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と前記底板部の外周から立ち上がる側板部とを有し、内部が収容空間とされ、上端に開口部が設けられた本体と、
前記本体に着脱可能であって、前記収容空間を覆う上板部を有する蓋と、
を備え、
前記底板部には前記収容空間の内外を連通する第1貫通孔が1以上形成され、
前記上板部には前記収容空間の内外を連通する第2貫通孔が1以上形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記第1貫通孔の開口面積の合計は、前記底板部の内底面の面積の1%以上10%以下である、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2貫通孔の開口面積の合計は、前記開口部の面積の1%以上10%以下である、
請求項1または請求項2に記載の容器。
【請求項4】
鉛直方向から見て前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが少なくとも部分的に重なる、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の容器。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の容器を2以上有し、
前記2以上の容器が鉛直方向に沿って積載されていることを特徴とする容器積載体。
【請求項6】
前記上方の容器の前記底板部の外底面乃至前記下方の容器の前記上板部の外上面には前記収容空間の内外と連通する流路が形成されている、
請求項5に記載の容器積載体。
【請求項7】
前記第2貫通孔の開口面積の合計が前記第1貫通孔の開口面積の合計より大きい、
請求項5または請求項6に記載の容器積載体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及び容器積載体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品等のように温度管理に注意を要する物品を運搬する際には、内部を所定の温度帯に保持可能な容器が使用されている。このような容器に物品が収容されることによって、物品の品質低下が抑えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器本体と容器本体に被着自在な蓋体とを備え、容器本体に蓋体を被着した状態で容器本体の側壁部に容器本体の内部と外部とを連通する貫通孔が形成された保冷容器が開示されている。特許文献1に記載の保冷容器では、側壁部を水平方向から見た側面視において、保冷容器の外部から貫通孔を介して容器本体内の収容空間が見えず、保冷容器の側壁部を水平方向に対して斜め上方向から見たときに、保冷容器の外部から貫通孔を介して収容空間が見えるように、貫通孔が形成されている。
【0004】
別の事例として、例えば、特許文献2には、容器本体と容器本体に被せる蓋体とを備え、箱状に形成された蓋体の内部にドライアイスを収容する冷気供給室が設けられた配送用保冷容器が開示されている。特許文献2に記載の配送用保冷容器において、蓋体は、枠板状に形成されて下方の容器本体に開口する蓋本体と、蓋本体の上に着脱可能な上蓋、蓋本体の底面に着脱可能な下蓋とを有する。下蓋には、蓋本体に上蓋及び下蓋を装着した際に蓋本体と上蓋と下蓋とによって囲まれて形成される冷気供給室の冷気を容器本体に供給する通気用の開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−145081号公報
【特許文献2】特開2004−043020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の保冷容器では、保冷容器の内部の温度のばらつきが大きくなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の配送用保冷容器では、蓋体を容器本体に被せた状態において、冷気供給室から容器本体の内部に対して下降する冷気に起因し、特許文献1に記載の保冷容器と同様に内部の温度のばらつきが大きいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、内部の温度のばらつきを低減可能な容器及び容器積載体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容器は、底板部と前記底板部の外周から立ち上がる側板部とを有し、内部が収容空間とされ、上端に開口部が設けられた本体と、前記本体に着脱可能であって、前記収容空間を覆う上板部を有する蓋と、を備え、前記底板部には前記収容空間の内外を連通する第1貫通孔が1以上形成され、前記上板部には前記収容空間の内外を連通する第2貫通孔が1以上形成されていることを特徴とする。
上記容器によれば、第1貫通孔及び第2貫通孔が形成されているので、収容空間の外部から第2貫通孔を介して内部に流入する空気、第2貫通孔から第1貫通孔へ流動する空気及び、内部から第1貫通孔を介して外部に流出する空気のそれぞれの対流が鉛直方向に沿って発生し、内部(すなわち、収容空間)の温度のばらつきが少なくなる。
【0009】
本発明の容器では、前記第1貫通孔の開口面積の合計は、前記底板部の内底面の面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
また、本発明の容器では、前記第2貫通孔の開口面積は、前記開口部の面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
上記容器によれば、第1貫通孔及び第2貫通孔の開口面積が適度になり、内部の温度のばらつきがより一層少なくなる。また、収容空間の外部から第2貫通孔を介して内部に流入する空気の量及び容器の内部から第1貫通孔を介して外部に流出する空気の量が適度になり、容器の耐熱性及び温度保持性能の向上が図られる。
【0010】
本発明の容器では、平面視で前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが少なくとも部分的に重なることが好ましい。
上記容器によれば、第2貫通孔から第1貫通孔へ流動する空気の対流が垂直方向により一層沿うことになり、内部の温度のばらつきが効率的に少なくなる。
【0011】
本発明の容器積載体は、上述の容器を2以上有し、前記2以上の容器が鉛直方向に沿って積載されていることを特徴とする。
上記容器積載体では、個々の容器の内部で生じる空気の対流が鉛直方向に沿って積載された複数の容器同士でつながり、全体として空気の対流が鉛直方向に沿って発生する。そのため、上記容器積載体によれば、個々の容器の内部の温度のばらつきが少なくなることに加え、鉛直方向において隣り合う容器間の内部の温度のばらつきが少なくなる。
【0012】
本発明の容器積載体では、前記上方の容器の前記底板部の外底面乃至前記下方の容器の前記上板部の外上面には前記収容空間の内外と連通する流路が形成されていることが好ましい。
上記容器積載体では、鉛直方向において隣り合う容器同士間の空気の対流が円滑につながるので、複数の容器における内部の温度のばらつきがより一層少なくなる。
【0013】
本発明の容器積載体では、前記第2貫通孔の開口面積が前記第1貫通孔の開口面積より大きいことが好ましい。
上記容器積載体では、上方の容器の第1貫通孔から流出した空気が下方の容器の第2貫通孔へ鉛直方向に沿って拡がりつつ円滑に流入するので、複数の容器における内部の温度のばらつきがより一層少なくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内部の温度のばらつきを低減可能な容器及び容器積載体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である容器を分解した斜視図である。
図2図1に示す容器の本体の平面図である。
図3図1に示す容器を示す図であり、本体に蓋を装着した状態で容器を図1に示すC1−C1線で矢視した場合の断面図である。
図4】本発明の一実施形態である容器積載体を部分的に破断した側面図である。
図5図1に示す容器の第1変形例の本体の底面図である。
図6図1に示す容器の第2変形例の本体の底面図である。
図7図1に示す容器の第3変形例の本体の上面図である。
図8図1に示す容器の第3変形例を示す図であり、図7に示すC2−C2線で矢視した場合に対応する容器の断面図である。
図9図1に示す容器の第3変形例を示す図であり、図7に示すC3−C3線で矢視した場合に対応する容器の断面図である。
図10図1に示す容器の第4変形例の本体の平面図である。
図11図1に示す容器の第4変形例を示す図であり、図10に示すC4−C4線で矢視した場合に対応する容器の断面図である。
図12図1に示す容器の第5変形例を示す図であり、図3に対応する断面図である。
図13】実施例における容器を示す図であり、図3に対応する断面図である。
図14】実施例において、収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品及び上段の物品のそれぞれの表面温度の変化を示すグラフである。
図15】比較例における容器を示す断面図である。
図16】比較例において、収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品及び上段の物品のそれぞれの表面温度の変化を示すグラフである。
図17】は、実施例及び比較例における物品Vの収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品V1及び上段の物品V2のそれぞれの表面温度の変化をピックアップして比較した表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態である容器及びこの容器を積載して構成される容器積載体について、図面を参照し、説明する。
【0017】
[容器]
初めに、本実施形態の容器10は、所定の温度の環境下での管理が求められる物品を運搬または保管する際に、物品を収容するために用いられる容器である。物品は、例えば青果物等の食品に代表されるが、食品に限定されない。
【0018】
図1は、本実施形態の単体の容器10Aを鉛直方向D1に分解した斜視図である。容器10Aは、箱状に形成された本体20と、本体20に着脱可能な蓋30とを備える。
【0019】
本体20は、底板部22と、底板部22の内底面22aの外周から内底面22aに対して垂直に、すなわち鉛直方向D1に沿って立ち上がる側板部24とを有する。側板部24は、底板部22を挟んで互いに対向する2枚の側板部24A,24B及び、2枚の側板部24C,24Dで構成されている。底板部22及び側板部24に囲まれた本体20の内部は、物品Vを収容する収容空間Sとされている。以下、平面視とは、容器が鉛直方向D1に直交する任意の床面に置かれて、鉛直方向D1に沿って上側から下側に見る状態を表す。
【0020】
図2は、本体20の平面図である。底板部22には、鉛直方向D1に沿って貫通し、収容空間Sの内外を連通する貫通孔(第1貫通孔)41が形成されている。貫通孔41は、平面視で円形に形成されている。なお、貫通孔41の形状は、円形に限定されず、矩形、その他の任意の形状であってもよい。貫通孔41の開口面積の合計は、底板部22において収容空間Sに露出している内底面22aの面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
【0021】
図3は、本体20に蓋30を装着した状態で容器10Aを図2に示すC1−C1線に対応する位置で矢視した場合の断面図である。本実施形態では、図1から図3に示すように、貫通孔41が平面視で底板部22の中央に1つ形成されている。物品Vは、平面視において、貫通孔41とは異なる位置で底板部22の内底面22aに当接して載置される。上述のように貫通孔41と物品Vとの相対配置を所望のようにずらすことができるように、底板部22の大きさ及び物品Vの大きさを勘案して貫通孔41の開口面積が適宜設定される。また、図3には1つの物品Vを例示しているが、運搬時の条件等に合わせて収容空間S内で物品Vを積載することが考えられるため、物品Vの大きさ及び積載数等を勘案して側板部24の高さ(すなわち、鉛直方向D1における大きさ)を勘案して側板部24A,24B,24C,24Dの大きさが適宜設定される。
【0022】
底板部22の外底面22bの外周の所定の位置に、外底面22bから垂直方向D1に沿って下方に突出する凸部51が設けられている。本実施形態では、凸部51が設けられる所定の位置が垂直方向D1から見て外底面22bの四隅である。なお、所定の位置は外底面22bの四隅に限定されず、例えば容器10を床面等に置いた際、または後述するように複数の容器10を鉛直方向D1に沿って積載した際に、容器10の安定性を損なわなければ、適宜変更できる。凸部51は、例えば平面視で外底面22bの各辺の中央であってもよい。また、凸部51は、外底面22bの外周全体にわたって設けられてもよいが、複数の容器10を積載した際に、容器10の内部(すなわち、収容空間S)の空気の対流を鉛直方向D1へ向けて促進する点では、外底面22bの外周の一部に設けられていることが好ましい。
【0023】
図3に示すように、本体20は、上側(すなわち、容器10において底板部22とは反対側)に開口し、開口部Pを有する。蓋30は、本体20に装着した際に収容空間Sを覆う上板部32を有する。
【0024】
上板部32には、垂直方向D1に沿って貫通し、収容空間Sの内外を連通する貫通孔(第2貫通孔)42が形成されている。蓋30が本体20に装着された状態において、貫通孔41,42は、垂直方向D1から見て互いに重なっている。すなわち、貫通孔42は、上板部32の中央に1つ形成されている。また、貫通孔41と同様に、貫通孔42の形状は、円形に限定されず、矩形、その他の任意の形状であってもよい。貫通孔42の開口面積は、開口部Pの面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
【0025】
図1及び図3に示すように、上板部32の内底面32bには、蓋30が本体20に装着された状態において、本体20の側板部24に係止可能な係止部34が設けられている。本実施形態では、係止部34は、蓋30が本体20に装着された際に側板部24の上面24aに当接する内底面32bの外周に対して中央側から隣接する部分から、鉛直方向D1に沿って下方に突出している。蓋30が本体20に装着された状態では、図3に示すように、係止部34が側板部24の内側(収容空間S側)に向く内側面24cに当接している。
【0026】
本体20及び蓋30の素材は、特に限定されないが、例えば発泡樹脂である。本体20及び蓋30は、ビーズ法で得られた発泡樹脂で構成されることが好ましい。本体20及び蓋30に用いる樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂を使用できる。具体的には、例えば、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。なかでも、ポリスチレン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0027】
前述のポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレンが好ましい。
スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させることで得られる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂としては、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましい。
スチレン改質ポリオレフィン系樹脂におけるスチレン成分の割合は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましく、55〜75質量%であることがさらに好ましい。
本体20及び蓋30においては、1種の樹脂を単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本体20及び蓋30の密度は、0.01〜0.1g/cmであることが好ましく、0.015〜0.033g/cmであることがより好ましい。本体20及び蓋30の密度が前記範囲の下限値以上であれば、成形時に収縮しにくい。本体20及び蓋30の密度が前記範囲の上限値以下であれば、発泡性樹脂粒子の使用量を低減できる。
なお、本体20及び蓋30の密度とは、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」記載の方法で測定した密度を表している。
【0029】
[容器積載体]
図4は、本実施形態の容器積載体60を部分的に破断した側面図である。容器積載体60は、容器10が鉛直方向D1に沿って複数(図4では2つ)積載されているものである。具体的には、容器積載体60は、複数の容器10B,10Cを有し、容器10B,10Cが鉛直方向D1に沿って積載されている。容器10B,10Cは、容器10Aと同様の構成を備えるが、以下に説明する点では容器10Aとは異なる。
【0030】
図4に示すように、容器10B,10Cでは、上板部32の上面32aの外周の所定の位置に、上面32aから鉛直方向D1に沿って凹む凹部52が設けられている。平面視での凹部52の形状は、凸部51の形状と一致している。容器10B,10Cが積載された状態において、鉛直方向D1で隣り合う容器10B,10Cのうち容器(上方の容器)10Cの凸部51Cが容器10B,10Cのうち容器(下方の容器)10Bの凹部52Bに挿入されている。凹部52の鉛直方向D1における深さは、凸部51が凹部52に挿入可能であれば特に限定されないが、凹部52Bに挿入された凸部51Cが鉛直方向D1において容器10Bの上板部32の上面32aと容器10Cの底板部22の外底面22bとの間で少なくとも5mm以上10mm以下露出するように、適宜設定されている。この点をふまえ、凹部52の垂直方向D1における深さは、例えば凸部51の垂直方向D1における高さに比べて、5mm以下が好ましい。凹部52の鉛直方向D1における深さが前述の条件を満たすことによって、容器10Cの底板部22の外底面22bと容器10Bの上板部32の上面32aとの離間距離が5mm以上10mm以下になる。
【0031】
また、容器10B,10Cでは、平面視で、1つの貫通孔42の開口面積が1つの貫通孔41の開口面積より大きい。具体的には、1つの貫通孔42の開口面積は、1つの貫通孔41の面積の100%以上150%以下であり、さらに好ましくは、110%以上130%以下である。
なお、平面視において、容器10B,10Cのそれぞれの貫通孔41,42の中心は全て重なり、それぞれの貫通孔41,42は同一線上に配置される。
【0032】
以上説明した本実施形態の容器10は、前述の底板部22と側板部24とを有する本体20と、本体20に着脱可能であって上板部32を有する蓋30と、を備える。本体20の底板部22には貫通孔41が形成され、蓋30の上板部32には貫通孔42が形成されている。
容器10によれば、底板部22の貫通孔41と上板部32の貫通孔42を出入りする空気による対流が鉛直方向D1に沿って略直線状に発生する。このことによって、容器10の内部(すなわち、収容空間S)の温度のばらつきを少なくすることができ、結露も抑制できる。したがって、物品Vの品質や鮮度を保持して運搬及び管理できる。
【0033】
本実施形態の容器10では、貫通孔41の開口面積の合計は、底板部22の内底面22aの面積の1%以上10%以下であることが好ましい。また、貫通孔42の開口面積の合計は、開口部Pの面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
容器10によれば、貫通孔41,42の開口面積が適度に設定され、内部の温度のばらつきをより一層少なくすることができ、本体20及び蓋30の強度を確保できる。また、容器10の貫通孔41,42を介して出入りする空気の量を適度に抑え、容器10の温度保持性能の向上を図ることができる。
【0034】
本実施形態の容器10Aでは、平面視で貫通孔41,42が互いに重なることが好ましい。
容器10Aによれば、貫通孔41,42を介して流動する空気の対流が鉛直方向D1により一層沿うことになり、内部の温度のばらつきを効率的に少なくすることができる。
【0035】
また、本実施形態の容器10Aでは、本体20の底板部22の外底面22bの外周の所定の位置に、外底面22bから鉛直方向D1に沿って下方に突出する凸部51が設けられている。このことによって、容器10Aが床面に載置された際に、外底面22bと床面との間に空隙が生じ、貫通孔41を介して空気の出入りがしやすくなる。そのため、容器10Aの内部の温度のばらつきをより一層少なくすると共に、外底面22bへの汚れの付着を防止できる。
【0036】
また、本実施形態の容器積載体60は、前述の容器10B,10Cを有し、容器10B,10Cは鉛直方向D1に沿って積載されている。
容器積載体60では、容器10B,10Cの内部で生じる空気の対流が鉛直方向Dに沿って積載された容器10B,10C同士でつながり、容器積載体60全体として空気の対流が鉛直方向D1に沿って発生する。このことによって、容器積載体60によれば、容器10B、10Cのそれぞれの内部の温度のばらつきを少なくしつつ、さらに鉛直方向D1において隣り合う容器10B,10C間の内部の温度のばらつきを少なくすることができる。したがって、物品Vの品質や鮮度を保持して運搬及び管理できる。
【0037】
本実施形態の容器積載体60では、容器10B,10Cの本体20の底板部22の外底面22bの所定の位置に凸部51B,51Cが設けられている。また、蓋30の上板部32の外上面32aの外周において、平面視で凸部51と重なる位置に、外上面32aから鉛直方向D1に沿って下方に凹む凹部52が形成されている。容器積載体60では、容器10Cの凸部51Cが容器10Bの凹部52Bに挿入され、容器10Cの底板部22の外底面22bと容器10Bの上板部32の外上面32aとが5mm以上10mm以下程度、離間していることが好ましい。
容器積載体60によれば、垂直方向D1において隣り合う容器10B,10C同士が離間し、容器10B,10C間の空気の対流が円滑につながるので、容器10B,10Cにおける内部の温度のばらつきをより一層少なくすることができる。また、凹部52Bに凸部51Cが挿入されることによって、鉛直方向D1に段積みされた容器10B,10Cを安定させ、容器10B,10Cを崩れにくくすることができる。
【0038】
本実施形態の容器積載体60では、平面視で容器10B,10Cのそれぞれの貫通孔42の開口面積が貫通孔41の開口面積より大きい。
容器積載体60によれば、下部に位置する容器10Bにおける空気の出入りが円滑になり、容器10B,10Cにおける内部の温度のばらつきをより一層少なくすることができる。
【0039】
上述では、本発明の一実施形態の容器10及び容器積載体60について説明したが、主要な構成についていくつかの変形例が挙げられるので、以下に説明する。
【0040】
(第1変形例)
先ず、貫通孔41,42は、底板部22において収容空間Sに露出する内底面22a及び上板部32の内上面32bの中央以外の任意の位置に形成されていてよい。すなわち、図5に例示するように、貫通孔41は、底板部22の内底面22aの中央より外周側に形成されていてもよい。
【0041】
(第2変形例)
次に、貫通孔41,42の数は、1つだけではなく、2つ以上であってもよい。すなわち、図6に例示するように、2つの貫通孔41,41が底板部22において平面視で側板部24に重ならない任意の位置に形成されていてもよい。このように貫通孔41が複数形成される場合は、複数の貫通孔41の開口面積の合計が底板部22の内底面22a(すなわち、底板部22において収容空間Sに露出する内底面22a)の面積の1%以上10%以下であることが好ましい。同様に、貫通孔42が複数形成される場合は、複数の貫通孔42の開口面積の合計が開口部Pの面積の1%以上10%以下であることが好ましい。
【0042】
(第3変形例)
次に、平面視で貫通孔41と物品Vとが互いに重なるように、物品Vが収容空間Sに配置されてもよい。この場合、容器10は、物品Vと貫通孔41との間に空隙を設ける任意の構成を備えることが好ましい。例えば、物品Vと底板部22との間にスペーサーが設けられてもよい。
【0043】
図7は、第3変形例の容器10Xの本体20Xの平面図である。図8及び図9は、本体20Xに蓋30を装着した状態の容器10Xの断面図であって、図8図7に示すC2−C2で矢視した場合に対応し、図9図7に示すC3−C3銭で矢視した場合に対応する。本変形例では、図7に示すように、貫通孔41は底板部22の内底面22aの中央に形成され、物品Vは平面視で底板部22の内底面22aの中央に、貫通孔41と重なって配置されている。物品Vと底板部22との間には、平面視において矩形状のスペーサー70が物品Vの四隅に対応する位置に4つ配置されている。
【0044】
図7及び図9に示すように、底板部22の内底面22aには、それぞれのスペーサー70を着脱可能に嵌められる凹部72が形成されている。スペーサー70が凹部72に嵌められた状態において、スペーサー70の上部(すなわち、収容空間S側の部分)は底板部22の内底面22aから上方に突出すると共に、収容空間S内に露出する。図9に示すように、鉛直方向D1における底板部22の内底面22aとスペーサー70の上面70aとの間隔は、5mm以上10mm以内であることが好ましい。鉛直方向D1における底板部22の内底面22aとスペーサー70の上面70aとの間隔が前述の条件を満たすことによって、図7及び図8に示すように、物品Vが前述のように収容空間Sに収容された際に、貫通孔41と物品Vとの間に空隙が形成される。このように空隙が形成されることによって、容器10Xの内部から貫通孔41を介して空気が良好に出入りし、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0045】
(第4変形例)
また、物品Vと貫通孔41との間に空隙を設けるための第3変形例とは別の構成として、本体20の底板部22の内底面22aに、貫通孔41から底板部22の外周側に通じる溝が形成されていてもよい。
【0046】
図10は、第4変形例の容器10Yの本体20Yの平面図である。図8及び図9は、本体20Yに蓋30を装着した状態の容器10Yの断面図であり、図7に示すC4−C4で矢視した場合に対応する。本変形例では、図10に示すように、底板部22の内底面22aに、平面視で、水平方向D2,D3のそれぞれに所定の間隔をあけて溝74が複数形成されている。所定の間隔は収容空間Sに配置した状態の物品Vの水平方向D2,D3の大きさより小さく、収容空間Sに配置した状態の物品Vが複数の溝74に被さることが好ましい。鉛直方向D1における溝74の深さは、5mm以上10mm以内であることが好ましい。このように溝74が形成されることによって、物品Vが底板部22の内底面22aに直接載置されても、容器10Xの内部から溝74を介して貫通孔41へと空気が良好に出入りし、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0047】
なお、平面視において、収容空間Sに配置した状態の物品Vの底面と貫通孔41とを連通できれば、複数の溝74は図10に示すように水平方向D2,D3に沿うもの同士が直交する配置に限らない。例えば、複数の溝74は、貫通孔41の外周端から底板部22の内底面22aに向けて平面視で放射状に形成されてもよい。
【0048】
(第5変形例)
また、容器10は、図12に例示するように、貫通孔41,42に着脱可能な底栓81,蓋栓82をさらに備えてもよい。底栓81,蓋栓82を備えることによって、物品Vの運搬・管理の状況に合わせて容器10の内外への空気の流通量を調節できる。
【0049】
(第6変形例)
また、容器10及び容器積載体60は、冷凍コンテナ又は冷蔵コンテナに収容されていてもよい。このような構成によれば、冷凍コンテナ又は冷蔵コンテナの内部を容器10の内部の凡その設定温度に近い温度に設定し、容器10の内部の温度バラツキが少ない状態で、容器10の内部をより正確に早く設定温度に保つことができる。
【0050】
本発明の一実施態様のように、積載された容器10(すなわち、容器積層体60)の上段の容器10Cの外底面22bに凸部51Cが設けられ、下段の容器10Bの蓋30の外上面32aには凸部51Cを挿入する凹部52Bが設けられているが、凹部52Bを設けなくてもよい。また、上段の容器10Cと下段の容器10Bとの凸部51および凹部52の配置が互いに逆であってもよい。さらに、貫通孔41,42と容器外とが連通する連通溝が上段の容器10Cの外底面22及び/または下段の容器10Bの蓋30の外上面32aに形成されていてもよい。すなわち、本発明では、容器10の収容空間Sの内外を連通できる通路が形成されていればよい。
【0051】
以上、本発明の一実施形態の容器10、容器積載体60及び典型的な変形例について説明したが、本発明を適用した容器及び容器積載体は、上記例示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。また、上述の実施形態及び変形例は適宜組み合わせ可能である。
【実施例】
【0052】
次いで、本発明を適用した実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例及び比較例に限定されない。
【0053】
(実施例)
図13に示すように、容器10Aと同様の構成を備えた容器11を用意した。容器11の大きさは、横380mm×縦300mm×高さ250mmとした。貫通孔41,42の形状は、直径50mmの平面視円形とした。また、本体20の底板部22及び側板部24の厚みは30mmとした。容器10Aの本体20及び蓋30の素材には、40倍の発泡スチロール(EPS)を選択した。
【0054】
次に、容器11の周囲の環境温度を30度に設定し、容器11の収容空間Sに、物品Vとして、内容量500mlのペットボトルを、平面視において貫通孔41からずれるように収容した。ペットボトルは、通常の設置状態(倒立した状態)で、横60mm×縦60mm×高さ205mmの大きさを有し、高さ方向に沿って正四角形の断面を有する。そのため、高さ方向を容器11の水平方向D2,D3と平行にし、正四角形の断面のうちの一辺を互いに当接させる形で、2本のペットボトルを収容空間S内に2段重ねで収容した。
【0055】
上述の構成において、容器11の周囲の環境温度を30℃とし、物品Vの初期温度を5℃として、時間の経過に応じた下段の物品V1の表面温度及び上段の物品V2の表面温度を解析した。図14は、物品Vの収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品V1及び上段の物品V2のそれぞれの表面温度の変化を示すグラフである。図14に示すように、物品V1,V2のそれぞれの表面温度は、経過時間が増すにしたがって、高くなった。本実施例では、測定開始から2時間経過後までの間に、物品V1,V2の表面温度の差が0℃から約0.9℃に増大した。2時間経過後以降は、物品V1,V2の表面温度の差が0.9℃で略一定になった。
【0056】
(比較例)
図15に示すように、貫通孔41,42が形成されていない点を除いて容器11と同様の大きさ、素材で構成された容器12を用意した。容器12の収容空間S内に、実施例と同様に2本の内容量500mlのペットボトルを同様の条件で収容した。このような構成において、容器12の周囲の環境温度を30℃とし、物品Vの初期温度を5℃として、時間の経過に応じた下段の物品V1の表面温度及び上段の物品V2の表面温度を解析した。
【0057】
図16は、物品Vの収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品V1及び上段の物品V2のそれぞれの表面温度の変化を示すグラフである。図16に示すように、物品V1,V2のそれぞれの表面温度は、実施例と同様に、経過時間が増すにしたがって、高くなった。しかしながら、本比較例では、測定開始から2時間経過後までの間に、物品V1,V2の表面温度の差が0℃から約2.0℃に増大した。さらに、2時間経過後から4時間経過後までの間に、物品V1,V2の表面温度の差が2.0℃から2.5℃に増大した。4時間経過後以降は、物品V1,V2の表面温度の差が2.5℃で略一定になった。
【0058】
(実施例と比較例との比較)
図17は、実施例及び比較例における物品Vの収容完了時からの経過時間に応じた下段の物品V1及び上段の物品V2のそれぞれの表面温度の変化をピックアップして比較した表である。
【0059】
図17を見てもわかるように、実施例では、貫通孔41,42が形成された本発明に係る容器11では、物品V1,V2の表面温度の差が最大0.9℃に抑えられている。この結果は、貫通孔41,42が形成されていることによって、容器11の内部の空気の流れが物品Vの収容完了時から短時間内で鉛直方向D1に沿って形成され、円滑な空気の流れによって容器11の内部で温度差が生じにくくなったためと考えられる。一方、貫通孔41,42が形成されていない点以外は同様の構成を備えた容器12を用いて実施例と同様の条件で測定を行った比較例では、物品V1,V2の表面温度の差が最大2.5℃に達した。この結果は、物品Vの収容完了時から4時間経過するまでの間に容器12の内部で、環境温度30℃と物品Vの初期温度5℃との温度差に起因する空気の対流が旋回し、容器12の下部の温度は低く、上部の温度は高いというような温度差が生じて平衡状態になったためと考えられる。
【0060】
以上説明した実施例及び比較例によれば、本発明を適用した容器を用いることによって、容器の内部の温度のばらつきが抑えられることが確認された。
【符号の説明】
【0061】
10,10B,10C,10X,10Y…容器
20,20X,20Y…本体
22…底板部
22a…内底面
22b…外底面
24…側板部
30…蓋
32…上板部
41…貫通孔(第1貫通孔)
42…貫通孔(第2貫通孔)
51…凸部
52…凹部
60…容器積載体
D1…鉛直方向
D2,D3…水平方向
P…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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