【課題】本発明は、本発明は、効率的な生産が可能であり、及び/又は目的物の純度を高めることができる、亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法を提供することを目的とする。
前記エーテル溶媒は、式:R−O−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基を表すか、或いはこれらが連結して炭化水素鎖を形成していてもよい。)で表される溶媒である請求項6に記載の製造方法。
前記ケトン溶媒は、式:R−CO−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基を表すか、或いはこれらが連結して炭化水素鎖を形成していてもよい。)で表される溶媒である請求項6に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記背景技術に鑑み、本発明は、効率的な生産が可能であり、及び/又は目的物の純度を高めることができる、亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、新規の亜硝酸テトラアルキルアンモニウムを提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、
亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法であって、
極性溶媒中で、テトラアルキルアンモニウム塩を、アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上の金属亜硝酸塩と反応させて、亜硝酸テトラアルキルアンモニウム、及び不溶性金属塩を生成させる工程A
を含む製造方法
によって、前記課題が解決できることを見出し、及び本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、次の態様を含む。
【0012】
項1.
亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法であって、
溶媒中で、テトラアルキルアンモニウム塩を、
金属塩(但し、銀塩を除く)と反応させて、
亜硝酸テトラアルキルアンモニウム、及び不溶性金属塩を生成させる工程A
を含む製造方法。
項2.
前記金属塩が、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上の金属亜硝酸塩である項1に記載の製造方法。
項3.
前記テトラアルキルアンモニウム塩におけるカウンターアニオンが、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上である項1又は2に記載の方法。
項4.
前記テトラアルキルアンモニウム塩におけるカウンターアニオンが、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上である項3に記載の方法。
項5.
前記溶媒が、
非芳香族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、ニトリル溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、ケトン溶媒、低級アルコール溶媒、及び水系溶媒
からなる群より選択される一種以上である項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記溶媒は、エーテル溶媒、アミド溶媒、ケトン溶媒、及び低級アルコール溶媒からなる群より選択される一種以上の極性溶媒である項5に記載の製造方法。
項7.
前記エーテル溶媒は、式:R−O−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基を表すか、或いはこれらが連結して炭化水素鎖を形成していてもよい。)で表される溶媒である項6に記載の製造方法。
項8.
前記アミド溶媒は、式:R−N(−COR
A)−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基を表すか、或いはこれらが連結して炭化水素鎖を形成していてもよい。R
Aは、水素、又はアルキル基を表す。)で表される溶媒からなる群より選択される一種以上である項6に記載の製造方法。
項9.
前記ケトン溶媒は、式:R−CO−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基を表すか、或いはこれらが連結して炭化水素鎖を形成していてもよい。)で表される溶媒である項6に記載の製造方法。
項10.
前記低級アルコール溶媒は、式:R−OH(当該式中、Rは、炭化水素基を表す。)で表される溶媒からなる群より選択される一種以上である項6に記載の製造方法。
項11.
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
Rは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表すか、或いは2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成していてもよい。]
で表される亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法であって、
前記工程Aにおいて、前記溶媒中で、
式:R
4N
+X
−
[式中、X
−は、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)である。Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるテトラアルキルアンモニウム塩を、
式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩と反応させて、
式:M
n+(X
−)
n
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
を生成させる
項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
項12.
前記工程Aで生成される、前記不溶性金属塩の20℃の水に対する溶解度が、1g/100g以下である項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
項13.
更に、前記工程Aにより生成した前記不溶性金属塩を除去する工程Bを含む、項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
項14.
更に、前記溶媒を除去する工程Cを含む、項10に記載の製造方法。
項15.
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成し、及び
その他のRは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表す。]
で表される亜硝酸テトラアルキルアンモニウム。
項16.
(a)亜硝酸テトラアルキルアンモニウムと、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上のカウンターカチオンと、
(b)Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上のカウンターアニオンと
からなる塩
を含有する組成物。
項17.
(a)亜硝酸テトラアルキルアンモニウムと、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上のカウンターカチオンと、
(b)F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−から選ばれる1種以上のカウンターアニオンと
からなる塩
を含有する組成物。
項18.
前記塩の含有量が1質量%未満である、項16又は17に記載の組成物。
項19.
前記カウンターアニオンの含有量が1質量%未満である、項16〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率的な生産が可能であり、及び/又は目的物の純度を高めることができる、亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法が提供される。
【0014】
本発明によれば、更に、新規の亜硝酸テトラアルキルアンモニウムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0016】
本明細書中、用語「不溶性」は、語句「不溶性、又は難溶性」に置き換えられ得る。
【0017】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0018】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
【0019】
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
【0020】
本明細書中、表記「C
n−C
m」(ここで、n、及びmは、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0021】
本明細書、用語「不溶性」は、完全に、若しくは実質的に完全に不溶性であること、及び/又は溶解性が極めて低いことを意味することができる。
「溶解性が極めて低いこと」は、具体的には、例えば、室温での溶解度が1g/100g以下であることを意味することができる。
【0022】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン原子」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含できる。
【0023】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルカリ金属」の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムを包含できる。
【0024】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルカリ土類金属」の例は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びラジウムを包含できる。
【0025】
本明細書中、「ヒドロカルビル」の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルカジエニル、アリール、アラルキル、及びこれらの1以上の組合せからなる基を包含できる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル」の例は、メチル、エチル、プロピル(例:n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例:n−ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル)、ペンチル(例:n−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C
1−C
10アルキルを包含できる。
【0026】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルケニル」の例は、メテニル(H
2C=)、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、及び5−へキセン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C
1−C
10アルケニルを包含できる。
【0027】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキニル」の例は、メチニル(HC≡)、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C
1−C
10アルキニル基を包含できる。
【0028】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルコキシ」の例は、C
1−C
6アルコキシ基を包含できる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「C
1−C
6アルコキシ」の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシを包含できる。
【0029】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルキル基」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、及びアダマンチル等のC
3−C
10シクロアルキル基を包含できる。
【0030】
1.亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法
本発明の亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法は、
極性溶媒中で、テトラアルキルアンモニウム塩を、アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上の金属亜硝酸塩と反応させて、亜硝酸テトラアルキルアンモニウム、及び不溶性金属塩を生成させる工程A
を含む。
【0031】
本発明の当該製造方法は、更に、工程Aにより生成した、前記不溶性金属塩を除去する工程Bを好適に含むことができる。
【0032】
本発明の当該製造方法は、更に、前記極性溶媒を除去する工程Cを好適に含むことができる。
【0033】
1−1.亜硝酸テトラアルキルアンモニウム
本発明の製造方法により製造される亜硝酸テトラアルキルアンモニウムは、好ましくは、
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
Rは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表すか、或いは2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成していてもよい。]
で表される亜硝酸テトラアルキルアンモニウムである。
【0034】
Rは、各出現において同一又は異なって、好ましくは、メチル、エチル、プロピル(例:n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例:n−ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル)、ペンチル(例:n−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルである。
【0035】
本発明の好適な一態様では、Rは、各出現において同一であって、C
1−C
4アルキル基ある。
本発明の好適な一態様では、Rは、各出現において同一であって、メチルである。
本発明の別の好適な一態様では、Rは、各出現において同一であって、エチルである。
本発明の更に別の好適な一態様では、Rは、各出現において同一であって、n−プロピルである。
本発明の更に別の好適な一態様では、Rは、各出現において同一であって、n−ブチルである。
【0036】
Rで表される「1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基」における「置換基」の例は、
(1)ハロゲン原子;
(2)ニトロ基;
(3)シアノ基;
(4)アミノ基;
(5)オキソ基(=O)
(6)ヒドロキシ基;
(7)1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基
(8)エステル化されていてもよいカルボキシ基(例:1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ−カルボニル基);
(9)チオール基;
(10)スルホ基;
(11)スルファモイル基;
(12)スルフィナモイル基;
(13)スルフェナモイル基;
(14)チオカルバモイル基;
(15)1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基;及び
(16)1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基
を包含し、及びその数は、1個から置換可能な最大数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0037】
当該アルコキシ基、当該アルケニル基、及び当該アルキニル基がそれぞれ有していてもよい各置換基の例は、次の置換基群Aの置換基を包含し、及びその数は、1個から置換可能な最大数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0038】
置換基群Aは、
(a)ハロゲン原子;
(b)ニトロ基;
(c)シアノ基;
(d)アミノ基;
(e)オキソ基(=O)
(f)ヒドロキシ基;
(g)チオール基;
(h)スルホ基;
(i)スルファモイル基;
(j)スルフィナモイル基;
(k)スルフェナモイル基;及び
(l)チオカルバモイル基
を包含する。
【0039】
2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成する場合、当該環は、例えば、3〜21員環であることができる。当該環は、当該窒素以外に、環構成原子として、更に1個以上のヘテロ原子(例:窒素、酸素、硫黄)を有していてもよい。
当該環の例は、5〜6員の単環式含窒素複素環(例:ピロリジン、及びピペリジン)、及びかご形含窒素複素環(例:キヌクリジン)を包含する。
当該炭素数2〜20の含窒素複素環が有していてもよい「置換基」の例は、アルキル基、及び前記置換基群Aの置換基を包含し、その数は、1個から置換可能な最大数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0040】
1−2.工程A
以下に、前記工程Aについて説明する。
【0041】
1−2−1.溶媒
工程Aにおいて用いられる溶媒は、好ましくは「極性溶媒」である。
工程Aにおいて用いられる「溶媒」及び好適な溶媒である「極性溶媒」としては、これに対する前記テトラアルキルアンモニウム塩の溶解度が高いものが好ましい。当該溶解度については、後記するテトラアルキルアンモニウム塩についての説明から理解される。
前記「極性溶媒」としては、これに対する前記亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの溶解度が高いものが好ましい。当該溶解度については、後記する亜硝酸テトラアルキルアンモニウムについての説明から理解される。
【0042】
後述の工程Bについての説明等から理解される通り、工程Aにおいて用いられる「溶媒」及び好適な溶媒である「極性溶媒」としては、これに対する前記不溶性塩の溶解度が低いものが好ましい。当該溶解度については、後記する不溶性塩についての説明から理解される。
【0043】
後述の工程Cについての説明等から理解される通り、工程Aにおいて用いられる「極性溶媒」としては、蒸留等の手段により、前記亜硝酸テトラアルキルアンモニウムから分離して除去することが容易なものが好ましい。
【0044】
当該極性溶媒に求められる好ましい他の性質は、本明細書の他の記載からも理解される。
【0045】
工程Aにおいて用いられる「溶媒」の例は、非芳香族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、ニトリル溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、ケトン溶媒、低級アルコール溶媒、及び水系溶媒を包含する。
前記エーテル溶媒は、
式:R−O−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、ヒドロカルビル基を表すか、或いはこれらが連結してヒドロカルビル鎖を形成していてもよい。)で表される溶媒であることができる。
前記アミド溶媒は、
式:R−N(−COR
A)−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、ヒドロカルビル基を表すか、或いはこれらが連結してヒドロカルビル鎖を形成していてもよい。R
Aは、水素、又はアルキル基を表す。)で表される溶媒であることができる。
前記ケトン溶媒は、
式:R−CO−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、ヒドロカルビル基を表すか、或いはこれらが連結してヒドロカルビル鎖を形成していてもよい。)
であることができる。
前記低級アルコール溶媒は、
式:R−OH(当該式中、Rは、ヒドロカルビル基を表すか、或いはこれらが連結してヒドロカルビル鎖を形成していてもよい。)
であることができる。
前記水系溶媒は、例えば水であることができる。
【0046】
非芳香族炭化水素溶媒の例は、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、n−デカン、イソドデカン、及びトリデカン
を包含する。
芳香族炭化水素溶媒の例は、
ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ベラトロール、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、メシチレン、インデン、及びジフェニルスルフィド
を包含する。
ケトン溶媒の例は、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、及びイソホロン
を包含する。
ハロゲン化炭化水素溶媒の例は、
ジクロロメタン、クロロホルム、及びクロロベンゼン
を包含する。
エーテル溶媒の例は、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、及びジイソアミルエーテル
を包含する。
エステル溶媒の例は、
酢酸エチル、酢酸イソプロピル、マロン酸ジエチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル、及びα−アセチル−γ−ブチロラクトン
を包含する。
ニトリル溶媒の例は、
アセトニトリル、及びベンゾニトリルを包含する。
スルホキシド溶媒の例は、
ジメチルスルホキシド、及びスルホラン
を包含する。
アミド溶媒の例は、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミド
を包含する。
【0047】
前記溶媒は、好ましくは極性溶媒である。
工程Aにおいて用いられる「極性溶媒」の好適な例は、
(1)低級アルコール溶媒(例:C
1−C
6アルコール、好ましくはC
1−C
4アルコール)(具体例:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール);
(2)エーテル溶媒(具体例:テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル);
(3)アミド溶媒(具体例:N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド)
(4)ケトン溶媒(具体例:アセトン)
等の極性有機溶媒;
並びに水
を包含する。
これらの性溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程Aにおいて用いられる「極性溶媒」の好適な例は、
(1)C
2−C
6アルコール溶媒(具体例:エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール);
(2)エーテル溶媒(具体例:テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル);
(3)アミド溶媒(具体例:N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド);及び
(4)ケトン溶媒(具体例:アセトン)
等の極性有機溶媒;
並びに水
を包含する。
前記好適な溶媒としての極性溶媒は、好ましくは「極性有機溶媒」は、極性有機溶媒を含有する溶媒、極性有機溶媒から本質的になる溶媒、又は極性有機溶媒からなる溶媒であることができる。
【0048】
工程Aにおいて用いられ得る前記「極性有機溶媒」は、本発明の効果を著しく害しない限りにおいて、極性有機以外の成分を含有してもよい。
当該成分の具体例は、水を包含する。
工程Aにおいて用いられ得る前記「極性有機溶媒」における「極性有機溶媒以外の成分」の含有量は、当該成分の合計として、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下、或いは0質量%であることができる。
当該他の成分としての水の含有量は、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下、或いは0質量%であることができる。
工程Aにおいて用いられる「極性有機溶媒」における「水」の含有量は、当該成分の合計として、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下、或いは0質量%であることができる。
当該他の成分としての水の含有量は、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下、或いは0質量%であることができる。
【0049】
1−2−2.テトラアルキルアンモニウム塩
工程Aにおいて、後記で説明する金属亜硝酸塩との反応に付される、テトラアルキルアンモニウム塩は、好ましくは、
式:R
4N
+X
−
[式中、X
−は、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)である。Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるテトラアルキルアンモニウム塩
である。
ここで、本発明の趣旨に照らして当業者が理解する通り、後記で説明する金属亜硝酸塩との反応に付される、テトラアルキルアンモニウム塩は、亜硝酸塩ではない。
【0050】
当該テトラアルキルアンモニウム塩としては、工程Aにおける前記金属亜硝酸塩反応によって、前記極性溶媒に対する溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができるものが好ましい。
【0051】
当該テトラアルキルアンモニウム塩としては、工程Aにおける前記金属亜硝酸塩反応によって、20℃の水に対する溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができるものが好ましい。
【0052】
1−2−3.金属塩
工程Aにおいて、前記で説明したテトラアルキルアンモニウム塩との反応に用いられる金属塩からは、銀塩は除かれる。
前記金属塩は、好適に、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上の金属亜硝酸塩であることができる。
前記金属亜硝酸塩は、アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上である。
その好適な例は、式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩
を包含する。
当業者が通常理解できる通り、当該nは、金属Mのイオンの価数である。
【0053】
前記工程Aで生成される前記金属亜硝酸塩の極性溶媒に対する溶解度は、高いことが好ましい。具体的には、当該溶解度は、工程Aの温度(又は、20℃)の極性溶媒に対して、好ましくは3g/100g以上、より好ましくは4g/100g以上、更に好ましくは5g/100g以上、及びより更に好ましくは6g/100g以上である。
【0054】
前記工程Aで生成される前記金属亜硝酸塩の水に対する溶解度は、高いことが好ましい。具体的には、20℃の水に対して、好ましくは953g/100g以上、より好ましくは984g/100g以上、更に好ましくは995g/100g以上であることができる。
当該溶解度の上限は、特に限定されないが、例えば、100g/100gであることができる。
【0055】
前記金属亜硝酸塩における金属の好適な具体例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムを包含する。
【0056】
当該金属亜硝酸塩としては、工程Aにおけるテトラアルキルアンモニウム塩との反応によって、前記極性溶媒に対する溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができるものが好ましい。
【0057】
当該金属亜硝酸塩としては、工程Aにおけるテトラアルキルアンモニウム塩との反応によって、20℃の水に対する溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができるものが好ましい。
【0058】
本発明の製造方法の好適な一態様では、
前記工程Aにおいて、前記極性溶媒中で、
アニオン(X
−)が、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)であるテトラアルキルアンモニウム塩を、
式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩と反応させて、
式:M
n+(X
−)
n
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される不溶性金属塩
を生成させる。
【0059】
本発明の製造方法のより好適な一態様では、
前記工程Aにおいて、メタノール溶媒中で、
アニオン(X
−)が、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)であるであるテトラアルキルアンモニウム塩を、
式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩と反応させて、
式:M
n+(X
−)
n
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される不溶性金属塩
を生成させる。
【0060】
前記の説明から理解される通り、前記極性溶媒、前記テトラアルキルアンモニウム塩、及び金属亜硝酸塩の組合せは、当該極性溶媒への溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができる組合せが好ましい。
【0061】
前記の説明から理解される通り、前記極性溶媒、前記テトラアルキルアンモニウム塩、及び金属亜硝酸塩の組合せは、20℃の水に対する溶解度が低い不溶性金属塩を与えることができる組合せが好ましい。
【0062】
1−2−4.不溶性金属塩
工程Aによって生成される不溶性金属塩は、前記極性溶媒に対する溶解性が低い金属塩である。すなわち、当該不溶性金属塩は、前記極性溶媒に対して不溶性の金属塩である。
工程Aによって生成される不溶性金属塩は、水に対する溶解性が低い金属塩である。すなわち、当該不溶性金属塩は、水不溶性金属塩である。
【0063】
前記工程Aで生成される、前記不溶性金属塩の極性溶媒に対する溶解度は低いことが好ましく、及び具体的には、工程Aの温度(又は、20℃)の極性溶媒に対して、好ましくは0.016g/100g以下、より好ましくは0.0088g/100g以下、更に好ましくは0.0016g/100g以下、より更に好ましくは0.00088g/100g以下、及び特に好ましくは0.00016g/100gである。
【0064】
前記工程Aで生成される、前記不溶性金属塩の水に対する溶解度は低いことが好ましく、及び具体的には、20℃の水に対して、好ましくは0.016g/100g以下、より好ましくは0.0088g/100g以下、更に好ましくは0.0016g/100g以下、より更に好ましくは0.00088g/100g以下、及び特に好ましくは0.00016g/100g以下である。
【0065】
当該溶解度がこのような値であることにより、工程Aにおいて当該塩が析出し、後記で説明する工程Bにおいて当該塩を除去できる。
【0066】
当該溶解度が低い不溶性金属塩の例は、フッ化カルシウム(0.0016g/100g)、フッ化マグネシウム(0.013g/100g)、テトラフルオロホウ酸カリウム(0.45g/100g)、ケイフッ化ナトリウム(0.44g/100g)、及びケイフッ化カリウム(0.12g/100g)を包含する。
丸括弧内の数値は、20℃の水に対する溶解度である。
【0067】
すなわち、前記極性溶媒、前記テトラアルキルアンモニウム塩、及び金属亜硝酸塩の好適な組合せの例は、このような不溶性金属塩を与えることができる組合せを包含する。
【0068】
工程Aで用いられる極性溶媒の量は、前記テトラアルキルアンモニウム塩の溶解度によって異なることができるが、
例えば、前記テトラアルキルアンモニウム塩の100質量部に対して、
好ましくは1〜1000質量部の範囲内、
より好ましくは50〜750質量部の範囲内、及び
更に好ましくは100〜600質量部の範囲内
であることができる。
【0069】
工程Aで用いられる極性溶媒の量は、前記金属亜硝酸塩の溶解度によって異なることができるが、
例えば、前記金属亜硝酸塩の100質量部に対して、
好ましくは1〜100質量部の範囲内、
より好ましくは2〜70質量部の範囲内、及び
更に好ましくは3〜50の範囲内の範囲内
であることができる。
工程Aで用いられる金属亜硝酸塩の量は、
例えば、前記テトラアルキルアンモニウム塩の100質量部に対して、
好ましくは100〜2000質量部の範囲内、
より好ましくは200〜1900質量部の範囲内、及び
更に好ましくは300〜1800質量部の範囲内
であることができる。
【0070】
工程Aの反応温度は、例えば10〜30℃の範囲内であることができる。
【0071】
工程Aの反応時間は、例えば2〜10時間の範囲内であることができる。
【0072】
工程Aは、不活性ガス(例:窒素ガス)の存在下、又は不存在下で実施され得る。
【0073】
本発明の製造方法の好適な一態様は、工程Aとして、
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
Rは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表すか、或いは2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成していてもよい。]
で表される亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法であって、
前記工程Aにおいて、前記極性溶媒中で、
式:R
4N
+X
−
[式中、X
−は、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)である。Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるテトラアルキルアンモニウム塩を、
式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩と反応させて、
式:M
n+(X
−)
n
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される不溶性金属塩
を生成させる工程を含む製造方法である。
【0074】
本発明のより好適な一態様は、工程Aとして、
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
Rは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表すか、或いは2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成していてもよい。]
で表される亜硝酸テトラアルキルアンモニウムの製造方法であって、
前記工程Aにおいて、メタノール溶媒中で、
式:R
4N
+X
−
[式中、X
−は、Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上(好ましくは、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上)である。Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるテトラアルキルアンモニウム塩を、
式:M
n+(NO
2−)
n
[式中、Mは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表し、及びnは1、又は2の数を表す。]
で表される金属亜硝酸塩と反応させて、
式:M
n+(X
−)
n
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される不溶性金属塩
を生成させる工程を含む製造方法である。
【0075】
1−3.工程B
本発明の方法は、更に、工程Aにより生成した、前記不溶性金属塩を除去する工程Bを含むことができる。
【0076】
工程Bは、工程Aの開始後に開始される。
工程Bは、工程Aと並行して実施されてもよい。
工程B、及び工程Aの間には他の工程が実施されてもよい。
工程Bにおける当該塩の除去は、濾過、及び遠心分離等の公知の方法を採用して実施すればよい。
工程Bの処理温度は、例えば10〜30℃の範囲内であることができる。
工程Bは、不活性ガス(例、窒素ガス)の存在下、又は不存在下で実施され得る。
【0077】
1−4.工程C
本発明の方法は、更に、前記極性溶媒を除去する工程Cを含むことができる。
【0078】
工程Cは、前記極性溶媒を除去する工程である。
工程Cは、好ましくは、工程Bの後に実施される。
工程C、及び工程Bの間には他の工程が実施されてもよい。
工程Cにおける前記極性溶媒の除去は、蒸留(例:減圧蒸留)等の公知の方法を採用して実施すればよい。
工程Cの処理温度は、例えば10〜30℃の範囲内であることができる。
工程Cは、不活性ガス(例、窒素ガス)の存在下、又は不存在下で実施され得る。
【0079】
本発明の製造方法の工程Aで生成した亜硝酸テトラアルキルアンモニウムは、所望により、前記工程B、及び工程Cに加えて、精製工程に付されてもよい。
当該精製工程は、例えば、工程B、及び/又は工程Cの後に実施できる。
当該精製は、例えば、所望により、抽出、溶解、濃縮、析出、脱水、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製できる等の公知の方法を採用して実施すればよい。
【0080】
2.テトラアルキルアンモニウム化合物
本発明の製造方法により製造することができる、
式:R
4N
+NO
2−
[式中、
2個若しくは3個のRがこれらが隣接する窒素と一緒になって置換基を有していてもよい炭素数2〜20の含窒素複素環を形成し、及び
その他のRは、各出現において同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいC
1−C
10アルキル基を表す。]
で表されるテトラアルキルアンモニウム塩は、新規化合物である。
本発明は、また、当該化合物も提供する。
当該式中のRの例は、前記の製造方法で説明した例と同じであることができる。
【0081】
3.組成物
本発明はまた、(a)亜硝酸テトラアルキルアンモニウムと、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上のカウンターカチオンと、
(b)Cl
−、OH
−、BH
4−、HF
2−、Cl
2Br
−、Br
3−、ClO
4−、F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−からなる群より選択される1種以上のカウンターアニオンと
からなる塩
を含有する組成物
を提供する。
【0082】
本発明はまた、(a)亜硝酸テトラアルキルアンモニウムと、
アルカリ金属亜硝酸塩、及びアルカリ土類金属亜硝酸塩からなる群より選択される1種以上のカウンターカチオンと、
(b)F
−、BF
4−、Br
−、I
−、HSO
4−、CH
3COO
−、及びPF
6−から選ばれる1種以上のカウンターアニオンと
からなる塩
を含有する組成物
を提供する。
【0083】
当該組成物は、本明細書の記載、及び技術常識から理解され得る。
【0084】
これらの組成物における前記塩の含有量は、
好ましくは1質量%未満、
より好ましくは0.5質量%未満、及び
更に好ましくは0.1質量%未満、
であることができる。
【0085】
これらの組成物における前記カウンターアニオンの含有量は、
好適に1%未満
より好ましくは0.5質量%未満、及び
更に好ましくは0.1質量%未満、
であることができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
Et
2O:ジエチルエーテル
ACTN:アセトン
EtOH:エタノール
MeOH:メタノール
PrOH:プロパノール
iPrOH:イソプロパノール
【0088】
実施例1
1−エチル−1−メチルピロリジニウムブロマイド (2.00g)、亜硝酸カリウム(0.91 g)、メタノール(24 mL)の混合物を20℃下2時間撹拌した。
反応液を減圧濾過し、濾液を留去し、1−エチル−1−メチルピロリジニウムナイトライト(1.45 g)を収率90%で得た。
得られた1−エチル−1−メチルピロリジニウムナイトライト(0.1 g)に内部標準物質トリフルオロエタノール(0.013g)を加え、重水で希釈することで、NMR測定試料作製し、
1H−NMR測定を行った。
得られた1−エチル−1−メチルピロリジニウムナイトライトの純度が99%以上であることを確認した。含有する主成分以外の不純物含有率を表1に記載した。
なお、本反応で使用したメタノールはカールフィッシャー水分計を用いて水分測定を行った(表1)。
【0089】
実施例2〜19
実施例1に記載の同様の方法にて反応を行い、テトラアルキル亜硝酸塩を得た。
原料アンモニウム塩としては表1(表1−1、及び表1−2)に記載の化合物の2.0gを用い、及び金属亜硝酸塩としては、原料アンモニウム塩に対して1.05モル等量の亜硝酸カリウムを用いた。
溶媒としては、原料アンモニウム塩の12容積倍量の溶媒量を使用した。
反応で使用した表1に記載の各溶媒の水含有量[溶媒中H
2O量(wt%)]は、カールフィッシャー水分計を用いて測定した。
【0090】
【表1-1】
【0091】
【表1-2】