特開2019-172709(P2019-172709A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-172709C8F17Brを含む組成物及びC8F17Brの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-172709(P2019-172709A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】C8F17Brを含む組成物及びC8F17Brの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 19/14 20060101AFI20190913BHJP
   C07C 17/20 20060101ALI20190913BHJP
   C07C 17/38 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
   C07C19/14
   C07C17/20
   C07C17/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-132252(P2019-132252)
(22)【出願日】2019年7月17日
(62)【分割の表示】特願2017-130363(P2017-130363)の分割
【原出願日】2017年7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 禎洋
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC30
4H006EA02
(57)【要約】
【課題】PFOAの含有量が従来のPFOBよりも少なく、環境に悪影響を与えにくいPFOBを含む組成物及びPFOBの製造方法を提供する。
【解決手段】C17Brを含む組成物であって、C15COOHをさらに含有し、C15COOHの含有量がC17Brの全重量に対して25ppb以下である。C17Brの製造方法は、C17Iと臭素化剤との反応によりC17Brを得る工程、及び、得られたC17Brをアルカリ洗浄することでC15COOHの含有量をC17Brの全重量に対して25ppb以下に低減する工程を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
17Brを含む組成物であって、
15COOHをさらに含有し、
15COOHの含有量がC17Brの全重量に対して25ppb以下である、組成物。
【請求項2】
17Brの製造方法であって、
17Iと臭素化剤との反応によりC17Brを得る工程、及び、
得られたC17Brをアルカリ洗浄することでC15COOHの含有量をC17Brの全重量に対して25ppb以下に低減する工程、
を備える製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ洗浄は、濃度が0.01〜98重量%であるアルカリ溶液を使用する、請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C17Brを含む組成物及びC17Brの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式C17Brで表されるパーフルオロオクチルブロマイド(PFOBと略記する)は、X線造影及びMR造影能を有している化合物として知られており、診断薬の原体及び医薬中間体等として使用できることが知られている。
【0003】
PFOBは、種々の方法で製造できることが知られている。例えば、一般式C17Iで表される化合物(n−ペルフルオロオクチルヨウ化物、PFOIと略記する)と、臭素等の臭素化剤とを気相で反応することでPFOBを得る方法(例えば、特許文献1)、あるいは、PFOIの光化学的臭素化によってPFOBを得る方法(例えば、特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−287551号公報
【特許文献2】特開平6−234671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願発明者らがPFOIを原料とするPFOBの製造方法を詳細に検討したところ、少なくとも水及び/又は酸素が存在する条件下では、光又は熱の作用によって原料のPFOIの分解が発生し、パーフルオロオクタン酸(PFOA;C15COOH)が生成するという問題があることを突き止めた。このようなPFOAが混在した原料を使用してPFOBを製造すると、生成物中にPFOAが混入しやすく、PFOBの純度が低下しやすい。また、PFOBへのPFOAの混入量を極力減らすには、例えば、PFOIを別途精製するための工程も要したり、原料であるPFOIの保管方法や保管時間を厳密に管理したりする必要があった。さらに、PFOAは、環境に悪影響をおよぼしやすい化合物と認識されているため、PFOAの量がより少ないPFOBを提供することの重要性は高いといえる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、不純物であるPFOAの含有量が少ないPFOBを含む組成物及び該PFOBの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、PFOBからPFOAを効率よく除去する洗浄方法を採用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の発明を包含する。
項1.C17Brを含む組成物であって、
15COOHをさらに含有し、
15COOHの含有量がC17Brの全重量に対して25ppb以下である、組成物。
項2.C17Brの製造方法であって、
17Iと臭素化剤との反応によりC17Brを得る工程、及び、
得られたC17Brをアルカリ洗浄することでC15COOHの含有量をC17Brの全重量に対して25ppb以下に低減する工程、
を備える製造方法。
項3.前記アルカリ洗浄は、濃度が0.01〜98重量%であるアルカリ溶液を使用する、請求項2に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のC17Br(PFOB)を含む組成物は、C15COOH(PFOA)の含有量が少なく、PFOBの純度が高く、環境に悪影響を与えにくい。
【0010】
本発明のPFOBの製造方法は、PFOAの含有量をPFOBの全重量に対して25ppb以下に低減しやすく、高い純度のPFOBを簡便な工程によって製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0012】
<1.C17Brを含む組成物>
本発明のC17Brを含む組成物は、C15COOHをさらに含有し、C15COOHの含有量がC17Brの全重量に対して25ppb以下である。C15COOHは、後記するように、組成物中における不純物成分となり得る。あるいは、C15COOHは、例えば、C17Brの製造時における副生成物であってもよいし、さらには、C15COOHは、例えば、組成物に意図的に添加される成分であってもよい。
【0013】
なお、本明細書において、C17Br(パーフルオロオクチルブロマイド)は、「PFOB」と、C15COOH(パーフルオロオクタン酸)は、「PFOA」と略記する。また、後記の一般式C17I(n−ペルフルオロオクチルヨウ化物)で表される化合物を「PFOI」と略記する。
【0014】
本発明の組成物において、PFOAの含有量をPFOBの全重量に対して25ppb以下とするための方法は特に限定されず、種々の方法を広く採用することができる。特に、後記する「2.C17Brの製造方法」で説明する精製工程を好適に採用することができ、この場合、PFOAが含まれるPFOIを原料として使用するにもかかわらず、PFOAが少なく、純度が高いPFOBを得ることができ、容易にPFOAの含有量をPFOBの全重量に対して25ppb以下にすることができる。
【0015】
本発明の組成物において、PFOAの含有量の上限は、PFOBの全重量に対して、20ppb、15ppb、10ppb、5ppb、3ppb、2ppb、1ppb、0.5ppb、0.2ppb、0.1ppb、0.05ppb、0.01ppbの順に好ましい。さらにいうと、本発明の組成物は、PFOAの含有量の上限が、PFOBの全重量に対して、0.001ppbの場合も有り得る。
【0016】
本発明の組成物において、PFOAの含有量がPFOBの全重量に対して25ppbを超える場合、PFOAが環境に悪影響を与えるおそれがあり、PFOBが使用される用途等が制限されるので好ましくない。
【0017】
PFOB中にPFOAが不純物として含まれ得る原因は種々存在すると考えられる。中でも、PFOBを製造するときに使用する原料がPFOIである場合は、PFOAが多く含まれやすい。なぜなら、PFOIは、光及び熱に不安定な化合物であって、光又は熱もしくは光と熱の両方の作用によって酸素若しくは空気中に存在する酸素及び/又は水と反応し、PFOIがPFOAに分解しやすいためである。酸素及び/又は水分が存在する場合は特にPFOIはPFOAに分解しやすい。
【0018】
本発明の組成物は、本発明の効果が阻害されない限りは、PFOB以外の化合物、例えば、公知の添加剤等を含むことができる。本発明の組成物が、PFOB以外の化合物等を含む場合、本発明の組成物の全重量に対して、PFOBを50重量%以上含むことができ、80重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことがより好ましく、99重量%以上含むことが特に好ましい。本発明の組成物は、25ppb以下のPFOAを含むPFOBのみで形成されていてもよい。
【0019】
本発明の組成物を調製する方法は特に限定的ではなく、例えば、後記するC17Brの製造方法を採用することで、本発明の組成物を調製できる。
【0020】
<2.C17Brの製造方法>
本発明のC17Br(PFOB)の製造方法は特に限定されない。
【0021】
例えば、本発明のPFOBの製造方法は、
17Iと臭素化剤との反応によりC17Brを得る工程、及び、
得られたC17Brをアルカリ洗浄することでC15COOHの含有量をC17Brの全重量に対して25ppb以下に低減する工程
を備えることができる。この製造方法で得られる生成物は、不純物としてPFOA(C15COOH)を含有するPFOB(C17Br)であり、特に、PFOAの含有量は、PFOB全重量に対して25ppb以下である。
【0022】
以下、C17I(PFOI)と臭素化剤との反応によりC17Brを得る工程を「反応工程」、得られたC17Brをアルカリ洗浄することでC15COOHの含有量をC17Brの全重量に対して25ppb以下に低減する工程を「精製工程」という。
【0023】
前記反応工程では、PFOIと臭素化剤との反応によりPFOBが製造される。
【0024】
臭素化剤としては特に限定されず、例えば、臭素を使用することができ、その他、臭素を遊離する化合物を使用することもできる。臭素を遊離する化合物としては、IBr及びIBr、N−ブロモスクシンイミド、N−ブロモフタルイミド、ジブロロイソシアヌル酸、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモアセトアミド、N−ブロモサッカリン等を挙げることができる。臭素化剤としては臭素を使用することが好ましい。
【0025】
前記反応工程使用するPFOIは、例えば、公知の方法で製造して得ることができ、あるいは、市販品を使用することができる。前述のように、PFOIには、PFOAが不純物として含まれるので、例えば、あらかじめPFOIを精製してから使用することもできる。ただし、本発明の製造方法では、反応工程の後の精製工程にて、不純物であるPFOAを容易に除去することができるので、あらかじめPFOIを精製することなく、反応工程に供することができる。これにより、全体の製造工程をより簡便にすることができる。
【0026】
また、原料であるPFOIは、保管中に光及び/又は熱の作用によってPFOAが生成する。そのため、PFOIの保管条件を厳密に管理することも重要であるが、本発明の製造方法では、精製によってPFOAの量を容易に低減できるので、必ずしもPFOIの保管条件を厳密に管理する必要はない。
【0027】
PFOIと臭素化剤との使用割合は特に限定されない。例えば、1モルのPFOIに対して、臭素化剤を1〜10モル、好ましくは1〜5モルとすることができる。
【0028】
PFOIと臭素化剤との反応は、例えば、窒素等の不活性ガスの存在下で行うことができる。
【0029】
PFOIと臭素化剤との反応は、例えば、PFOIを供給した光透過性の反応容器を加熱し、光を照射しながら臭素化剤を滴下する方法を採用することができ、また、これらに限らず、例えば、光照射なしで加熱する方法も採用できる。光照射なしで加熱する場合、例えば加熱温度が約140℃であっても反応は進行する。臭素化剤は、一部をあらかじめ前記反応容器に供給しておき、その後、さらに追加で臭素化剤を供給させるといったように、分割して供給させることもできる。PFOIと臭素化剤との反応は連続式で行うこともできる。光透過性の反応容器は、例えば、ガラス製のフラスコ又はガラス製のチユーブ等、種々のガラス製の反応容器を使用できる。PFOIと臭素化剤との反応は、気相で行うことができる。
【0030】
前記反応容器の加熱温度、すなわち、反応温度は特に限定されず、例えば、PFOIが還流する程度の80〜180℃が好ましく、特に130〜160℃が好ましい。PFOIと臭素化剤との反応時間は特に限定されない。
【0031】
PFOIと臭素化剤との反応において、光を照射する場合は、可視光及び紫外光等の波長が1μm以下(好ましくは0.2〜0.7μm)の光を用いることができる。
【0032】
PFOIと臭素化剤との反応によって得られる生成物中には、目的物であるPFOBが含まれる。また、生成物中には、副生成物としてIBr等も生成する。さらに、前述のようにPFOIには、不純物としてPFOAが含まれることから、反応後の生成物中には、PFOAも含まれ得る。反応工程にて得られた生成物は、精製工程に供される。
【0033】
精製工程では、前記反応工程で得られたPFOBをアルカリ洗浄する。この精製工程において、生成物に含まれるPFOAの含有量が、PFOBの全重量に対して25ppb以下に低減され得る。
【0034】
アルカリ洗浄の方法は特に限定されない。例えば、アルカリ溶液を生成物に添加して撹拌を行い、その後、静置させて、生成物が含まれる層と、アルカリ溶液の層(アルカリ層ということがある)との2層に分離させ、分液によって生成物が含まれる層を取り出す方法が挙げられる。これにより、生成物であるPFOBを得ることができる。その他、アルカリ溶液を生成物に添加した後、蒸留することで生成物であるPFOBを含む層を得ることもできる。
【0035】
アルカリ溶液の添加から分液して生成物が含まれる層を取り出すまでの一連の操作を「アルカリ洗浄」いう。
【0036】
前記アルカリ洗浄は、複数回行うことが好ましく、この場合、生成物がより高純度で精製され、特に、PFOIを所望の量にまで低減しやすくなる。より具体的には、前記アルカリ洗浄後のアルカリ層のpHが7以上、好ましくは、8以上、特に好ましくは10以上になるまでアルカリ洗浄を繰り返すことが好ましい。
【0037】
アルカリ洗浄で使用するアルカリの種類は特に限定されず、公知の塩基を広く使用することができる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素アンモニウム等の無機塩基を挙げることができる。その他、アルカリとしては、有機アミン、塩基性アミノ酸、金属アルコキシド等の有機塩基を使用することもできる。
【0038】
アルカリ洗浄においてアルカリ溶液を使用する場合は、アルカリ溶液の溶媒として水、アルコール、又はこれらの混合溶媒を挙げることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールを挙げることができる。
【0039】
アルカリ洗浄で使用するアルカリ溶液の濃度は特に限定されない。生成物に含まれるPFOAの含有量をより低減しやすいという点で、アルカリ洗浄は、濃度が0.01〜98重量%であるアルカリ溶液を使用することができ、0.01〜48重量%であるアルカリ溶液を使用することが好ましい。アルカリ溶液の濃度は、25重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましく、5重量%以下であることが特に好ましく、4.5重量%以下であることが最も好ましい。また、アルカリ溶液の濃度は、1重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることが特に好ましい。
【0040】
精製工程におけるアルカリ洗浄では、生成物中に含まれるPFOAが除去される他、副生成物であるIBrも除去され得る。
【0041】
アルカリ洗浄を行った後、必要に応じて、無機塩を含む溶液で、生成物を洗浄してもよい。無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができる。これにより、アルカリ洗浄後の生成物のpHを調整することができ、また、水分も除去することができる。
【0042】
精製工程では、前記アルカリ処理の後、更に必要に応じて生成物を乾燥処理、及び、蒸留処理することができる。乾燥処理は、例えば、生成物に乾燥剤を添加する方法によって行うことができる。乾燥剤の種類は特に限定されず、例えば、無水硫酸マグネシウムを挙げることができる。また、蒸留処理は、例えば、乾燥処理の後に行うことができる。蒸留処理の方法は特に限定的でなく、公知の蒸留方法を広く採用することができる。
【0043】
精製工程を経ることで、PFOBが精製され、不純物として含まれるPFOAが25ppb以下である純度の高いPFOBを製造することができる。
【0044】
特に本発明の製造方法では、PFOAが含まれるPFOIを原料として使用してPFOBを製造するにもかかわらず、得られたPFOB中にはPFOAの量が少ないため、純度が高いPFOBを得ることができる。また、本発明の製造方法では、精製によってPFOAの量を容易に低減できるので、保管条件が厳密に管理されていないPFOIを原料として使用することができる。
【0045】
本発明の製造方法で得られたPFOBは、例えば、前記本発明のPFOBを含む組成物を調製するための原料として好適に使用することができる。特に、PFOBは、PFOAの含有量が従来のPFOBよりも少ないので、環境に悪影響を与えにくい。そのため、PFOBは、環境規制等の影響を受けにくい。
【0046】
本発明のPFOBを含む組成物及び本発明の製造方法で得られたPFOBは、PFOBのX線造影及びMR造影能という特徴を活かして、診断薬の原体及び医薬中間体等の各種用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
反応槽にPFOIを1760g供給し、該反応槽を140〜142℃に加熱し、反応槽内のPFOIを撹拌した。次いで、この反応槽に、臭素1000〜1600gを、複数回に分けて供給して、加熱還流することで、PFOIの臭素化を行った。
【0049】
臭素化の終了後、反応液を冷却し、反応液のアルカリ洗浄を行った。このアルカリ洗浄では、まず、得られた反応液に2〜3重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を約0.5L加えて撹拌し、その後、撹拌を止めて反応槽を静置させて生成物を含む層及び水酸化ナトリウム水溶液の層に分離し、分液により生成物を含む層を抽出した。このアルカリ洗浄を繰返し実施し、水酸化ナトリウム水溶液の層のpHが8を超えるまで行った。
【0050】
その後、生成物に7〜10%に調整した食塩水を約0.3L加えて洗浄し、その後、生成物を含む層を取り出した。この取り出した生成物を含む層に、無水硫酸マグネシウムを約20g加えて撹拌した。その後、ろ過により、前記生成物を含む層を取り出し、これを蒸留することによりPFOBを1500g得た。
【0051】
得られたPFOB中のPFOAの濃度をLC−MS/MSにより分析したところ、PFOAの濃度は、PFOBの全重量に対して5ppb以下であった。
【0052】
(実施例2)
PFOIとして、PFOAを350重量ppm含むPFOIに変更したこと以外は実施例1と同様の方法でPFOBを1500g得た。
【0053】
得られたPFOB中のPFOAの濃度をLC−MS/MSにより分析したところ、PFOAの濃度は、PFOBの全重量に対して5ppb以下であった。