【解決手段】(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(B)ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、(C)前記(B)以外のシリコーン油、(D)ノニオン性多糖類が配合され、pHが5.0以下である化粧料組成物。更に脂肪酸が配合された化粧組成物。毛髪に用いられる、化粧料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の化粧料組成物を、実施形態に基づき説明する。
【0016】
本実施形態に係る化粧料組成物は、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(B)ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上、(C)前記(B)以外のシリコーン油、(D)ノニオン性多糖類、及び水が配合され(水の配合量は、例えば50質量%以上)、pHが5.0以下のものである。
【0017】
以下において、「(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「(A)成分」と称することがあり、「(B)ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上」における「ポリエーテル変性シリコーン」及び/又は「ポリグリセリン変性シリコーン」を「(B)成分」と称することがあり、「(C)前記(B)以外のシリコーン油」を「(C)成分」と称することがあり、「(D)ノニオン性多糖類」を「(D)成分」と称することがある。
【0018】
<(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル>
本実施形態に係る化粧料組成物に配合されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、高級アルコールに酸化エチレンが付加されたものである。本実施形態の化粧料組成物に1種又は2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合すれば、化粧料組成物に配合された(C)成分の分散性が高まる。
【0019】
本実施形態のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、下記式(1)で表されるものを用いると良い。
【化1】
【0020】
上記式(1)において、Rは炭素数が8〜24(好ましくは、炭素数が12〜22)の炭化水素基を表し、nは1〜200(好ましくは、nが2〜160)を表す。ここで、nは酸化エチレンの付加モル数を示す。
【0021】
上記式(1)の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンイソ2−ヘキシルデシルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンオクチルデシルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜200)等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係る化粧料組成物に配合されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、(C)成分の分散性をより高める観点から、1種又は2種以上の酸化エチレンの付加モル数が1〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び、1種又は2種以上の酸化エチレンの付加モル数が100〜200のポリオキシエチレンアルキルエーテルを組み合わせて用いると好適である。
そのような組み合わせの一例としては、例えば、1種又は2種以上のポリオキシエチレンラウリルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が1〜50)、及び、1種又は2種以上のポリオキシエチレンセチルエーテル(酸化エチレンの付加モル数が100〜200)の組み合わせが挙げられる。
【0023】
本実施形態の化粧料組成物に配合される(A)成分の配合量は、(C)成分の分散性を高める観点から、0.1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜4質量%が特に好ましい。
【0024】
<(B)ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン>
本実施形態の化粧料組成物は、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。上記ポリエーテル変性シリコーンは、シロキサンの一部にポリエーテル基が導入されたものである。また、上記ポリグリセリン変性シリコーンはシロキサンの一部にポリグリセリン基が導入されたものである。
化粧料組成物にポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上を化粧料組成物に配合すれば、化粧料組成物に配合された(C)成分の分散性が高まる。
【0025】
本実施形態の化粧料組成物に配合されるポリエーテル変性シリコーンは、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、下記式(2)で表されるポリエーテル変性シリコーン、下記式(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0027】
上記式(2)中、aは分子量に依存する整数であり、bは1〜5(好ましくは3)であり、cはエチレンオキサイドの平均付加モル数である。
【0028】
上記式(2)で表されるポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG−6メチルエーテルジメチコン、PEG−7メチルエーテルジメチコン、PEG−8メチルエーテルジメチコン、PEG−9メチルエーテルジメチコン、PEG−11メチルエーテルジメチコン、PEG−10メチルエーテルジメチコン、PEG−32メチルエーテルジメチコン等が挙げられる。
【0030】
上記式(3)中、d及びeは、分子量に依存する整数であり、fはエチレンオキサイドの平均付加モル数である。
【0031】
上記式(3)で表されるポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG−3ジメチコン、PEG−7ジメチコン、PEG−8ジメチコン、PEG−9ジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−12ジメチコンが挙げられる。
【0032】
本実施形態の化粧料組成物に配合されるポリグリセリン変性シリコーンは、例えば、下記式(4)で表されるポリグリセリン変性シリコーンが挙げられる。
【0034】
式(4)中、g、h、i及びjは、分子量に依存する整数である。kは、グリセリンの平均付加モル数である。
【0035】
上記式(4)で表されるポリグリセリン変性シリコーンとしては、例えば、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン等が挙げられる。
【0036】
本実施形態の化粧料組成物に配合される(B)成分の配合量は、(C)成分の分散性を高める観点から、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。
なお、上記(B)成分の配合量は、(B)成分全体の合計量であり、(B)成分としてポリエーテル変性シリコーン及びポリグリセリン変性シリコーンの両者が配合された場合は両者の合計量を表し、(B)成分としてポリエーテル変性シリコーン又はポリグリセリン変性シリコーンのいずれかが配合された場合は、ポリエーテル変性シリコーン又はポリグリセリン変性シリコーンのいずれかの合計量を表す。
【0037】
(B)成分の配合量に対する(A)成分の配合量の比[(A)/(B)]は、例えば、1〜15である。
【0038】
<(C)前記(B)以外のシリコーン>
本実施形態に係る化粧料組成物に配合される前記(B)以外のシリコーンの種類は、特に限定されず、例えば、ジメチルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、シラノール基含有シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、シリコーン3次元架橋物等が挙げられる。本実施形態の化粧料組成物に1種又は2種以上の(C)成分が配合されたものとすれば良い。
【0039】
前記ジメチルシリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン(重合度が650以上)等が挙げられる。
【0040】
前記環状ジメチルシリコーンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0041】
前記アミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、コカミドプロピルジメチルアンモニオヒドロキシプロピルオキシプロピルシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体酢酸塩等が挙げられる。
【0042】
前記アミノフェニル変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルフェニルトリメチコン等が挙げられる。
【0043】
前記フェニル変性シリコーンとしては、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
【0044】
前記シラノール基含有シリコーンとしては、例えば、ジメチコノール、高重合ジメチコノール、ジメチルシロキサン・シラノール高重合メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0045】
前記長鎖アルキル変性シリコーンとしては、例えば、セチルジメチコン、ステアロキシメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0046】
前記シリコーン3次元架橋物としては、例えば、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0047】
本実施形態の化粧料組成物に配合される(C)成分の配合量は、例えば、20質量%以上としても良い。
なお、化粧料組成物を毛髪に用いた後の毛髪の指通りに優れる観点から、20〜45質量%が好ましく、23〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%が特に好ましい。
【0048】
(C)成分の配合量に対する(A)成分の配合量の比[(A)/(C)]は、例えば、0.05〜1である。
【0049】
<(D)ノニオン性多糖類>
本実施形態に係る化粧料組成物は、1種又は2種以上の天然又は合成(半合成を含む)のノニオン性多糖類が配合されたものである。化粧料組成物にノニオン性多糖類を配合すれば、増粘により保存安定性が向上する。
【0050】
上記ノニオン性多糖類としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、タマリンドシードガム、カエサルピニアスピノサガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、プルラン、マンナン等が挙げられる。
【0051】
本実施形態の化粧料組成物に配合される(D)成分の配合量は、化粧料組成物を毛髪に用いた際に塗布しやすいものとする観点から、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が特に好ましい。
【0052】
<pH>
本実施形態に係る化粧料組成物のpHは、5.0以下である。pHを5.0以下とすれば、(A)〜(D)成分が配合された化粧料組成物の保存安定性が向上する。pHは、25℃における測定値が採用される。
【0053】
前記pHの上限値は、化粧料組成物の保存安定性をより向上させる観点から、4.8以下が好ましく、4.6以下がより好ましく、4.4以下が特に好ましい。また、本実施形態の化粧料組成物のpHの下限値は、特に限定されないが、例えば、3.0以上である。
【0054】
[任意成分]
本実施形態に係る化粧料組成物は、上記(A)〜(D)成分以外に、下記の任意成分を配合されたものとしても良い。好適な任意成分は、(E)脂肪酸が挙げられる。
(A)〜(D)成分以外の任意成分としては、脂肪酸、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、上記(A)成分以外のノニオン界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、炭化水素、ロウ、上記(D)成分以外の高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、色素、還元剤、酸化剤、染料、顔料、酸、アルカリなどである。
【0055】
[(E)脂肪酸]
本実施形態に係る化粧料組成物は、保存安定性をより向上させるため、1種又は2種以上の脂肪酸が配合されたものとしても良い。
上記脂肪酸は、特に限定されないが、炭素数が8〜22の脂肪酸を用いることができる。そのような脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リノール酸等が挙げられる。
【0056】
上記脂肪酸の配合量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0057】
[カチオン界面活性剤]
本実施形態に係る化粧料組成物は、粘度調整や毛髪の感触改善のため、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤が配合されたものとしても良い。
上記カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩などのアミン塩;長鎖アルキルトリメチル4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチル4級アンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチル4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩;等が挙げられる。上記カチオン界面活性剤の配合量は、例えば、0.1〜3質量%である。
【0058】
[粘度]
本実施形態に係る化粧料組成物の粘度は、特に限定されないが、例えば、1,000mPa・s以上20,000mPa・s以下である。なお、上記粘度は、B型粘度計を使用し、適宜なローターを用いて、25℃でローター回転数12rpmとして計測したときの、計測開始から60秒後の値を意味している。
【0059】
[用途]
本実施形態に係る化粧料組成物の用途は、特に限定されないが、毛髪の感触向上の点から毛髪に用いるのが好適である。毛髪用途としては、例えば、洗い流さないトリートメント、洗い流すトリートメント(リンス、コンディショナーを含む意味)、スタイリング剤が挙げられる。
【0060】
[剤型]
本実施形態に係る化粧料組成物の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状が挙げられる。クリーム状であれば、毛髪への塗布を行い易い。
【0061】
上記剤型の形態は、特に限定されないが、例えばO/W型エマルジョン、W/O/W型エマルジョン、W/O型エマルジョンの形態とすることができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0063】
(実施例1a〜1c、比較例1a)
実施例1a〜1c、比較例1aの化粧料組成物(クリーム状のO/W型エマルジョン)を、表1に示す成分と水と混合して調製した。調製した実施例1a〜1c、比較例1aの化粧料組成物について、保存安定性の評価を下記に示す方法により行った。
【0064】
(保存安定性の評価)
調製した実施例1a〜1c、比較例1aの化粧料組成物を密栓ガラス管(直径:40mm、高さ:120mm)にそれぞれ収容し、50℃の恒温器内に静置し1ヶ月間保存した。1ヶ月経過後、実施例1a〜1c、比較例1aを収容した各ガラス管について、目視によりガラス管下部の離水の有無を確認した。離水が確認されたものは、「密栓ガラス管下部からの離水部の高さ(離水部の高さ)」と「密栓ガラス管に収容した化粧料組成物の高さ(化粧料組成物の高さ)」をそれぞれ測定した後、下記に示す式に従って離水部の割合を算出した。
「離水部の割合(%)」=(「離水部の高さ(mm)」/「化粧料組成物の高さ(mm)」)×100
なお、離水部の割合は、数値が大きいものの方が、数値が小さいものに比べて保存安定性が悪いことを示す。
【0065】
保存安定性の評価における「離水部の割合」の算出について、
図5に概要を示す。ここで、
図5の化粧料組成物は50℃で1ヶ月間保存後に室温で4ヶ月間保存した比較例1aである。
【0066】
実施例1a〜1c、比較例1aの化粧料組成物における保存安定性の評価結果について、水を除く成分と共に、表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1の結果から、50℃で1ヶ月保存後において、pHが5.0以下である実施例1a〜1cは、離水が認められなかったが、pHが5.4の比較例1aは離水が認められた(離水部の割合:2.2%)。よって、成分(A)〜(D)が配合された化粧料組成物において、pHを5.0以下とすれば保存安定性が向上したことが理解できる。
【0069】
(実施例2a、2b、比較例2a)
実施例2a、2b、比較例2aの化粧料組成物(クリーム状のO/W型エマルジョン)を、表2に示す成分と水と混合して調製した。調製した各化粧料組成物について、保存安定性の評価を下記に示す方法により行った。
【0070】
(保存安定性の評価)
上記実施例1a〜1c、比較例1aの化粧料組成物における保存安定性の評価と同様に、実施例2a、2b、比較例2aの化粧料組成物をそれぞれ密栓ガラス管に収容し、50℃で1ヶ月間保存して、保存安定性の評価(離水の有無の確認と離水部の割合の算出)を行った。つづいて、50℃で1ヶ月間保存後、さらに暗所にて室温で4ヶ月間保存し、保存安定性の評価(離水の有無の確認と離水部の割合の算出)を行った。
【0071】
実施例2a、2b、比較例2aの化粧料組成物における保存安定性の評価結果について、水を除く成分と共に、表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
表2に示す結果から、pHが5.0以下である実施例2a、2bは、50℃で1ヶ月保存後の離水は認められなかったものの、pHが5.4の比較例1aは、50℃で1ヶ月保存後の離水が認められたことが分かる。
なお、
図1に50℃で1ヶ月保存後の実施例2a、2b、比較例2aのガラス管下部の写真を示すが、比較例2aにおいてガラス管下部に離水が確認できる。
【0074】
また、表2に示す結果から、50℃で1ヶ月間保存後に室温で4ヶ月間保存した場合、実施例2a、2b及び比較例2aのいずれも離水が認められたが、pHが5.0以下の実施例2a、2bの離水部の割合の値は、pHが5.4の比較例2aの離水部の割合の値よりも小さいものとなった。よって、成分(A)〜(D)が配合された化粧料組成物において、pHを5.0以下とすれば長期間の保存においても保存安定性が向上したことが理解できる。
ここで、ポリエーテル変性シリコーンのPEG−11メチルエーテルジメチコンが配合された実施例2aに比べて、ポリグリセリン変性シリコーンのポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが配合された実施例2bのほうが、離水部の割合の値が小さくなっており、ポリグリセリン変性シリコーンの配合により長期の保存安定性に優れたものであることが理解できる。
なお、
図2に50℃で1ヶ月保存後に室温で4ヶ月間保存した実施例2a、2b、比較例2aのガラス管下部の写真を示す。
【0075】
(実施例3a〜3c)
実施例3a〜3cの化粧料組成物(クリーム状のO/W型エマルジョン)を、表3に示す成分と水と混合して調製した。調製した各化粧料組成物について、保存安定性の評価を上記に示す実施例2a、2b、比較例2aと同様に行った。
【0076】
実施例3a〜3cの化粧料組成物における保存安定性の評価結果について、水を除く成分と共に、表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
表3に示す結果から、pH5.0以下である実施例3a〜3cは、いずれも50℃で1ヶ月保存後の離水は認められなかったことから、安定性に優れたものであることが分かる。また、50℃で1ヶ月間保存後、さらに室温で4ヶ月間保存した場合に、ステアリン酸が配合された実施例3bは離水が認められなかったが、実施例3a、3cには離水が認められた。また、ミリスチン酸が配合された実施例3cは、脂肪酸が配合されていない実施例3aに比べて、離水部の割合の値が小さかった。
これらの結果から、脂肪酸であるステアリン酸又はミリスチン酸を配合すれば、長期間の保存安定性が向上したことが理解できる。さらに脂肪酸の中でも、ステアリン酸を配合すれば、より長期間の保存安定性に優れることが分かる。
【0079】
なお、
図3に50℃で1ヶ月保存後の実施例3a〜3cのガラス管下部の写真を示す。また、
図4に50℃で1ヶ月保存後に室温で4ヶ月間保存した実施例3a〜3cのガラス管下部の写真を示す。
【0080】
(官能評価)
上記の保存安定性の評価以外に、化粧料組成物を毛髪に用いて官能評価を行った。
【0081】
(実施例2a、2b、比較例2aの官能評価)
上記表2で調製した実施例2a、2b、比較例2aの化粧料組成物を用いて次に示す毛髪処理を行い、毛髪の「柔らかさ」、「まとまり」について評価した。
【0082】
(毛髪処理)
同一人物から採取した毛髪から各7gとなるように複数の毛束を作成し、それらの毛束に対して次に示す毛髪処理を行った。
毛束をアニオン界面活性剤が配合されたシャンプーで洗浄した後、濡れた毛束に対して各実施例又は比較例の化粧料組成物をそれぞれ0.15g塗布し、毛束から化粧料組成物を洗い流さずに、ドライヤーで毛束を乾燥させた。
【0083】
(評価方法)
上記毛髪処理後の毛束について、「柔らかさ」、「まとまり」について触診又は目視により官能評価を行った。ここで、「柔らかさ」とは毛束を手で曲げたときに柔らかいと感じる感触であり、「まとまり」とは、目視による毛先のまとまりである。
【0084】
各評価は、評価者の人数を5名とし、基準と比較して、「とても良い」、「良い」、「ほぼ同等」、「悪い」、「とても悪い」の中からいずれか1つを回答させ、下記に示す点数に換算して、評価者全員の合計点を算出した。
【0085】
2点:基準と較べて、とても良いと回答。
1点:基準と較べて、良いと回答。
0点:基準とほぼ同等。
−1点:基準と較べて、悪いと回答。
−2点:基準と較べて、とても悪いと回答。
【0086】
実施例2a、2b、比較例2aの化粧料組成物を毛髪処理した際の官能評価の結果について、表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
表4の結果から、pH5.0以下である実施例2aは、pHが5.4の比較例2aに比べて、柔らかさに優れたものであることがわかる。また、pH5.0以下でありポリグリセリン変性シリコーンのポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが配合された実施例2bは比較例2aに比べて、まとまりに優れたものであることがわかる。
【0089】
(実施例3a〜3cの官能評価)
上記表3で調製した実施例3a〜3cについて、上記の実施例2a、2b、比較例2aにおける評価方法と同様に、毛髪の「柔らかさ」、「まとまり」について官能評価した。
【0090】
実施例3a〜3cの化粧料組成物を毛髪処理した際の官能評価の結果について、表5に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
表5の結果から、脂肪酸を配合しない実施例3aに比べて、ステアリン酸が配合された実施例3b及びミリスチン酸が配合された実施例3cは、柔らかさに優れたものであることが分かる。また、ステアリン酸が配合された実施例3bは、脂肪酸を配合しない実施例3aに比べてまとまりに優れたものであることが分かる。