(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-173310(P2019-173310A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】開き戸及びレバーハンドル
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20190913BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20190913BHJP
E05B 1/06 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
E05B1/00 311S
E06B7/28 A
E06B7/28 C
E05B1/00 311M
E05B1/06 104
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-59975(P2018-59975)
(22)【出願日】2018年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小曽根 翔士
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】川島 歩
(57)【要約】
【課題】開き戸を戸押側から開ける際に、当該開き戸が今から開くことを戸引側にいる人に知らせることができるようにする。
【解決手段】レバーハンドル110を備えた開き戸100は、戸押側に設けられ、人の接近を検知する戸押側人感センサ114Aと、戸引側に設けられ、人の接近を検知する戸引側人感センサ114Aと、戸押側人感センサ及び戸引側人感センサからの検知信号を判定する判定部117とを備えている。戸押側及び戸引側の各レバーハンドル110には、それぞれ人検知LED115が設けられている。判定部117は、戸押側人感センサと戸引側人感センサとの双方からの検知信号を受信した場合に、少なくとも戸引側人検知LED115を作動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた開き戸であって、
戸押側に設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、
戸引側に設けられ、人の接近を検知する戸引側人検知手段と、
前記戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備え、
前記戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルには、戸押側光源手段及び戸引側光源手段がそれぞれ設けられており、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段と前記戸引側人検知手段との双方からの検知信号を受信した場合に、少なくとも前記戸引側光源手段を作動する、開き戸。
【請求項2】
請求項1に記載の開き戸において、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段の検知信号を受信し、且つ、前記戸引側人検知手段の検知信号を受信しなかった場合に、前記戸押側光源手段を作動する、開き戸。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開き戸において、
前記戸押側人検知手段は、前記戸押側ハンドルに設けられ、
前記戸引側人検知手段は、前記戸引側ハンドルに設けられている、開き戸。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の開き戸において、
戸押側に設けられ、周囲の照度を検知する照度検知手段をさらに備え、
前記戸押側光源手段は、前記照度検知手段からの検知信号により作動する、開き戸。
【請求項5】
請求項4に記載の開き戸において、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号、前記戸引側人検知手段からの検知信号、及び前記照度検知手段からの検知信号を判定する、開き戸。
【請求項6】
請求項5に記載の開き戸において、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を、前記照度検知手段からの検知信号よりも優先して判定する、開き戸。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の開き戸において、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、前記戸押側光源手段を作動する、開き戸。
【請求項8】
戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた一対のレバーハンドルであって、
前記戸押側ハンドルに設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、
前記戸引側ハンドルに設けられ、人の接近を検知する戸引側人検知手段と、
前記戸押側ハンドル又は前記戸引側ハンドルに設けられ、前記戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備え、
前記戸押側ハンドルには、戸押側光源手段が設けられ、
前記戸引側ハンドルには、戸引側光源手段が設けられており、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段と前記戸引側人検知手段との双方からの検知信号を受信した場合に、少なくとも前記戸引側光源手段を作動する、レバーハンドル。
【請求項9】
請求項8に記載のレバーハンドルにおいて、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段の検知信号を受信し、且つ、前記戸引側人検知手段の検知信号を受信しなかった場合に、前記戸押側光源手段を作動する、レバーハンドル。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のレバーハンドルにおいて、
前記戸押側ハンドルには、照度を検知する照度検知手段が設けられており、
前記戸押側光源手段は、前記照度検知手段からの検知信号により作動する、レバーハンドル。
【請求項11】
請求項10に記載のレバーハンドルにおいて、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号、前記戸引側人検知手段からの検知信号、及び前記照度検知手段からの検知信号を判定する、レバーハンドル。
【請求項12】
請求項11に記載のレバーハンドルにおいて、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を、前記照度検知手段からの検知信号よりも優先して判定する、レバーハンドル。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載のレバーハンドルにおいて、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、前記戸押側光源手段を作動する、レバーハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き戸及びレバーハンドルに関し、特に、人感センサが内蔵された開き戸及びレバーハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暗闇のなかでもドアの開閉操作を容易に行うことができるように、センサを用いて光源手段を発光させる機能を持たせたドアが知られている(特許文献1を参照。)。特許文献1に記載の発明は、センサの周囲の照度に合わせて光源手段の点灯制御を行っている。これにより、ドアを開ける人のドアへの衝突を防ぎ、また、ドアの開閉の容易性を向上している。
【0003】
従って、特許文献1に記載の発明は、ドアを開ける際のドアを開閉する人の裏側(戸押側の反対側)にいる他人のことは考えられていない。
【0004】
また、特許文献2には、ドアに人感センサ及び発光体を設けて、ドアの開閉時における該ドアとその裏側の他人との衝突を回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−169623号公報
【特許文献2】実用新案登録第3105434号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、発光体が戸押側に設けられ、人感センサが戸押側の反対側(戸引側)に設けられており、戸引側の他人に当該ドアが開くことを知らせる構成ではない。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決し、開き戸を戸押側から開ける際に、当該開き戸が今から開くことを戸引側にいる人に知らせることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、開き戸及びレバーハンドルにおいて、戸押側及び戸引側に人が対峙した場合に、戸引側の人に戸が開くことを光等で知らせる構成とする。
【0009】
具体的に、本発明は、開き戸及びレバーハンドルを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた開き戸を対象とし、戸押側に設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、戸引側に設けられ、人の接近を検知する戸引側人検知手段と、戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備えている。戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルには、戸押側光源手段及び戸引側光源手段がそれぞれ設けられている。判定手段は、戸押側人検知手段と戸引側人検知手段との双方からの検知信号を受信した場合に、少なくとも戸引側光源手段を作動する。
【0011】
これによれば、開き戸が採光部を持たない場合に、すなわち、開き戸の反対側にいる人を確認できない構成の場合に、戸押側の人が開き戸を開ける際に、これとほぼ同時に戸引側にも人がいると、戸引側ハンドルに設けられた戸引側光源手段が点灯するので、戸引側にいる人に該開き戸が今から開くことを知らせることができる。従って、開き戸が不意に開いた場合に、該開き戸の戸引側(反対側)にいる人との衝突を未然に防ぐことができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段の検知信号を受信し、且つ、戸引側人検知手段の検知信号を受信しなかった場合に、戸押側光源手段を作動してもよい。
【0013】
これによれば、戸引側で人を感知せず、戸押側でのみ人を検知した場合には、戸押側の光源手段を作動させることができる。これにより、戸押側の人は反対側の安全を確認でき、安心して開き戸を開けることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、戸押側人検知手段は戸押側ハンドルに設けられ、戸引側人検知手段は戸引側ハンドルに設けられていてもよい。
【0015】
これによれば、各検知手段がそれぞれのハンドルに設けられているため、一対のドアハンドルのみで機能を満たすことができるので、開き戸本体に検知手段を設ける際の加工が不要となる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明において、戸押側に設けられ、周囲の照度を検知する照度検知手段をさらに備え、戸押側光源手段は、照度検知手段からの検知信号により作動してもよい。
【0017】
これによれば、夜間等の屋内が暗い場合に、人が開き戸の戸押側に接近した際に、戸押側光源手段が点灯することにより、開き戸における戸押側ハンドルの把手部の位置が容易に認識できるので、該開き戸の開閉を容易に行うことができる。
【0018】
第5の発明は、上記第4の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段からの検知信号、戸引側人検知手段からの検知信号及び照度検知手段からの検知信号を判定してもよい。
【0019】
これによれば、戸押側光源手段が、照度検知手段からの検知信号により作動している場合に、戸引側人検知手段が人を検知した際には、戸引側光源手段を点灯して、戸引側にいる人に開扉を知らせることができる。
【0020】
従って、第6の発明は、上記第5の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を、照度検知手段からの検知信号よりも優先して判定することが好ましい。
【0021】
第7の発明は、上記第1〜第6の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、戸引側光源手段を作動してもよい。
【0022】
これによれば、開き戸の戸引側に人を検知しない場合でも、戸引側光源手段が点灯するため、例えば、戸押側(屋内又は室内)にいるはずの人の安否確認の必要性を外部に知らせることができる。
【0023】
また、第8の発明は、戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた一対のレバーハンドルを対象とし、戸押側ハンドルに設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、戸引側ハンドルに設けられ、人の接近を検知する戸引側人検知手段と、戸押側ハンドル又は戸引側ハンドルに設けられ、戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備えている。戸押側ハンドルには、戸押側光源手段が設けられ、戸引側ハンドルには、戸引側光源手段が設けられている。判定手段は、戸押側人検知手段と戸引側人検知手段との双方からの検知信号を受信した場合に、戸引側光源手段のみを作動する。
【0024】
これによれば、開き戸が採光部を持たない場合に、すなわち、開き戸の反対側にいる人を確認できない構成の場合に、戸押側の人が開き戸を開ける際に、これとほぼ同時に戸引側にも人がいると、戸引側ハンドルに設けられた戸引側光源手段が点灯するので、戸引側にいる人に該開き戸が今から開くことを知らせることができる。従って、開き戸が不意に開いた場合に、該開き戸の戸引側(反対側)にいる人との衝突を未然に防ぐことができる。
【0025】
第9の発明は、上記第8の発明において、前記判定手段は、前記戸押側人検知手段の検知信号を受信し、且つ、前記戸引側人検知手段の検知信号を受信しなかった場合に、前記戸押側光源手段を作動してもよい。
【0026】
これによれば、戸押側の人は反対側の安全を確認でき、安心して開き戸をあけることができる。
【0027】
第10の発明は、上記第8又は第9の発明において、戸押側ハンドルには、照度を検知する照度検知手段が設けられており、戸押側光源手段は、照度検知手段からの検知信号により作動してもよい。
【0028】
これによれば、夜間等の屋内が暗い場合に、人が開き戸の戸押側に接近した際に、戸押側ハンドルの戸押側光源手段が点灯することにより、開き戸における戸押側ハンドルの把手部の位置が容易に認識できるので、該開き戸の開閉を容易に行うことができる。
【0029】
第11の発明は、上記第10の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段からの検知信号、戸引側人検知手段からの検知信号、及び照度検知手段からの検知信号を判定してもよい。
【0030】
これによれば、戸押側光源手段が、照度検知手段からの検知信号により作動している場合に、戸引側人検知手段が人を検知した際には、戸引側ハンドルの戸引側光源手段を点灯して、戸引側にいる人に開扉を知らせることができる。
【0031】
従って、第12の発明は、上記第11の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段及び戸引側人検知手段からの検知信号を、照度検知手段からの検知信号よりも優先して判定することが好ましい。
【0032】
第13の発明は、上記第8〜第12の発明において、判定手段は、戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、戸引側光源手段を作動してもよい。
【0033】
これによれば、開き戸の戸引側に人を検知しない場合でも、戸引側ハンドルの戸引側光源手段が点灯するため、例えば、戸押側(屋内又は室内)にいるはずの人の安否確認の必要性を外部に知らせることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、開き戸を戸押側から開ける際に、当該開き戸が今から開くことを戸引側にいる人に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る開き戸の要部を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の一実施形態に係る開き戸のレバーハンドルの把手の表側を示す分解透視斜視図である。
【
図3】
図3は本発明の一実施形態に係る開き戸のレバーハンドルの把手の裏側を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は本発明の一実施形態に係る開き戸における各種センサ及びLEDの動作(戸の裏側が無人の場合)を模式的に説明する平面図である。
【
図5】
図5は本発明の一実施形態に係る開き戸における各種センサ及びLEDの動作(戸の裏側が有人の場合)を模式的に説明する平面図である。
【
図6】
図6は本発明の一実施形態に係る開き戸における各種センサ及びLEDの動作(暗がりで戸の裏側が無人の場合)を模式的に説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は一実施形態に係る人感センサが内蔵された開き戸を示している。
図1に示すように、開き戸100は、例えば、開き戸本体101と、該開き戸本体101における戸押側面101A及び戸引側面101Bの対称な位置に取り付けられ、戸先側小口101aにラッチボルト112を有するレバーハンドル110とを備えている。
【0038】
図2及び
図3に本実施形態に係るレバーハンドル110を拡大して示す。
図2はレバーハンドル110の表側から見た図であり、
図3はレバーハンドル110の裏側から見た図である。
図2及び
図3に示すように、レバーハンドル110は、ラッチボルト112と連動する角軸110aが一体に設けられた基部110bを有している。レバーハンドル110には、例えば、ダイキャスト製の合金を用いることができる。
【0039】
レバーハンドル110の基部110bには、その表側に窓部110cが設けられている。基部110bの内部には、電子回路を搭載する基板113が、該窓部110cと対向するように収容されている。基板113の窓部110c側には、人感センサ114A及び照度センサ114B(以下、人感/照度センサ114A、114Bとも呼ぶ。)、人検知発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)115、並びに照明発光ダイオード(LED)116が設けられている。
【0040】
人検知LED115は、例えば、赤色LEDが点灯又は点滅する構成としてもよい。一方、照明LED116は、例えば、青色LEDが点灯(又は点滅)する構成としてもよい。人感/照度センサ114A、114Bには、公知のセンサ類を用いることができる。例えば、人感センサ114Aは、赤外線、超音波又は可視光等を用いるセンサであってもよい。ここでは、人感センサ114Aには、赤外線を用いたセンサが好適である。窓部110cには、
図2に示すように、例えば、半透明樹脂材からなる保護パネル130を嵌めている。
【0041】
また、
図3に示すように、基板113の裏側には、人感/照度センサ114A、114B及び各LED115、116を駆動する電源となる電池120が電池ボックス120Aに収容されて配置されている。例えば、電池120及び基板113を交換する際には、レバーハンドル110の基部110bに設けられた、把手部分の延伸方向に向かって開口する開口部110dから行うことができる。開口部110dは、例えば、レバーハンドル110と共色で、樹脂材からなる蓋体110eにより封止されていてもよい。
【0042】
さらに、基板113の裏側には、例えば、人感センサ114Aからの検知信号と照度センサ114Bからの検知信号とから、人検知LED115と照明LED116との点灯を制御する判定部117が搭載されていてもよい。なお、人検知LED115と照明LED116とを1つのLEDで兼用する構成とする場合は、人感センサ114Aからの検知信号を照度センサ114Bからの検知信号よりも優先するように、判定部117を設定することが好ましい。従って、照明LED116を人検知LED115と兼用させる構成の場合は、先に照明LED116が点灯している場合でも、該照明LED116を消灯して、人検知LED115を点灯又は点滅させることができる。ここで、判定部117には、公知のマイクロコンピュータ(マイコン)チップを用いることができる。
【0043】
また、基板113の裏側から取り出され、先端部に端子122が設けられた配線124は、角軸110aを通って、対をなす他方のレバーハンドル(図示せず)と電気的に接続される。
【0044】
なお、レバーハンドル110の表側に設けた窓部110c及び保護パネル130は、それらの意匠性を考慮して、また、その機能を損なわない限り、色を含めその形状を任意に設定することができる。また、レバーハンドル110自体においても、
図1〜
図3に示した形状(外形)は一例に過ぎず、レバーハンドルとしての機能を損なわず、且つ、基板113及び電池ボックス120A等を収容できる限りは、任意の形状とすることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、戸押し側のレバーハンドル110と、戸引側のレバーハンドル(図示せず)とは、電気的に同一の構成(仕様)としている。
【0046】
また、本実施形態においては、人感/照度センサ114A、114B、各LED115、116、判定部117、及び電池120を、レバーハンドル110の基部110bの内部に収容しているが、各LED115、116を除く部品のいずれか又は全てを、開き戸本体101における表裏面材の内側に組み込んでもよい。このようにすると、レバーハンドル110の基部110bを、よりコンパクトに形成できるので、当該基部101bの意匠性を高めることができる。逆に、
図2及び
図3に示すように、レバーハンドル110の基部110bに上記の全ての電子部品を収容した場合は、メンテナンス性を向上することができる。
【0047】
例えば、人感/照度センサ114A、114Bを、開き戸本体101の表裏面又は表裏面材の内側の任意の位置に設けるようにしてもよい。これにより、使用対象に合わせた位置で人の接近を検知できることにより、開き戸100を開ける際の安全性を向上させることができる。
【0048】
(周囲が明るい場合の人感/照度センサ及び各LEDの動作説明)
図1において、戸押側面101Aを室内(屋内)側とし、戸引側面101Bを室外(屋外)側とする。
【0049】
まず、
図4に示すように、ある程度の明るさが確保されている室内を想定する。すなわち、この場合は、照度センサ114Bでは、照度がその検知閾値を上回っている。ここで、室内にいる人200が開き戸本体101の戸押側面101Aに近づくと、レバーハンドル110の人感センサ114Aが人200を検知する。その後、レバーハンドル110に手を差し出し、該レバーハンドル110を押下しながら、開き戸本体101を向こうに押そうとする。
【0050】
このとき、
図4に示すように、戸引側に人がいない場合は、該戸引側のレバーハンドル110の人感センサ114Aは人を検知しない。従って、戸引側のレバーハンドル110の人検知LED115は点灯しない。なお、この場合に、一変形例として、戸押側のレバーハンドル110に設けられた人検知LED115を点灯する設定としてもよい。さらに、この場合には、戸押側の人検知LED154における点灯色を緑色等に設定すると、なお好ましい。このようにすると、戸押側の人200は安心して開き戸100を開けることができる。
【0051】
また、他の変形例として、戸引側のレバーハンドル110の人感センサ114Aが人を検知していない場合であっても、戸引側の人検知LED115を、例えば赤色に点灯又は点滅させてもよい。このようにすると、戸引側の人感センサ114Aが人を検知するよりも前に、すなわち、開き戸本体101から、より離れた位置で戸引側の人検知LED115が点灯又は点滅するため、戸押側の人200は、より一層安心して開き戸本体101を開けることができる。但し、いずれの場合も、人感/照度センサ114A、114Bは、スイッチがオン状態である限り、常時起動している。
【0052】
なお、上記の各変形例における戸押側又は戸引側の人検知LED115の消灯動作は、戸押側の人感センサ114Aによる検知信号がオフ状態となった場合に消灯する。
【0053】
次に、
図5に示すように、人200が開き戸本体101の戸押側面101Aに近づき、開き戸本体101を押そうとする間に、開き戸本体101の戸引側面101Bに他人210が近づいた場合には、戸引側のレバーハンドル110の人感センサ114Aがこの他人210を検知する。
【0054】
このとき、レバーハンドル110内の判定部117は、戸押側面101Aの人感センサ114A及び戸引側面101Bの人感センサ114Aの両方が、開き戸本体101の戸押側面101Aにいる人200と、戸引側面101Bに立った他人210とを同時に検知した場合に、戸引側面101Bのレバーハンドル110の人検知LED115を、例えば赤色に点灯又は点滅させる。これにより、開き戸本体101の戸引側に立った他人210に、該開き戸本体101が今から開くであろうことを知らせることができる。これにより、開き戸本体101の戸引側に立ち止まった他人210が、開き戸本体101が不意に開くことによる該開き戸本体101との衝突を未然に防ぐことができる。
【0055】
なお、戸引側の人検知LED115が点灯又は点滅している際に、この戸引側の人検知LED115と同期して、戸押側の人検知LED115においても、人200へのモニタ用として点灯又は点滅させてもよい。
【0056】
また、戸引側の人検知LED115の消灯動作は、戸押側の人感センサ114Aによる検知信号と、戸引側の人感センサ114Aによる検知信号との論理積(and)が条件であるので、いずれか一方の検知信号がオフ状態となった場合に消灯する。
【0057】
(人感センサ及び各LEDの他の使用例)
本実施形態に係るレバーハンドル110の他の使用例として、室内にいるはずの人の安否確認用のアラームとして室外又は屋外に知らせることができる例を説明する。
【0058】
例えば、レバーハンドル110に組み込まれた判定部117は、戸押側の人感センサ114Aからの人の検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、戸引側の人検知LED115を点灯又は点滅させてもよい。この場合の所定の時間は、例えば12時間から24時間程度と、適当な値を設定することができる。この場合には、人検知LED115の点滅の間隔を通常よりも短くする等、外部に異常であることを示す点灯動作が好ましい。なお、上記の設定時間は、判定部117が戸押側(室内側)の人感センサ114Aからの検知信号を受信しない時間を積算して保持しておけばよい。
【0059】
(周囲が暗い場合の人感/照度センサ及び各LEDの動作説明)
次に、室内が暗い場合、具体的には、開き戸本体101の戸押側面101Aにおけるレバーハンドル110の周囲の照度が所定の設定値(閾値)を下回っている場合に、判定部117は、照度センサ114Bから、照度が閾値を下回ったことを検知する検知信号を受信している。この状態で、
図6に示すように、室内にいる人200が開き戸本体101の戸押側面101Aに近づくと、戸押側面101Aにおけるレバーハンドル110の人感センサ114Aは、この人200を検知する。これにより、判定部117では、人感センサ114Aによる人の検知と照度センサ114Bによる照度低下の検知とのand条件が成立するため、照明LED116に対してオン信号を送信する。このオン信号により、戸押側(室内側)の照明LED116が青色に点灯する。
【0060】
このように、室内が暗い場合に、該室内にいた人200が開き戸本体101を開けようとした際には、該開き戸本体101の位置、すなわちレバーハンドル110の位置を容易に認識できるので、人200の開き戸本体101への衝突を回避することができる。
【0061】
また、戸押側のレバーハンドル110に設けられた人感/照度センサ114A、114Bと戸引側のレバーハンドル110に設けられた人感/照度センサ114A、114Bとは、互いに独立して動作するように設定してもよい。この場合、例えば、戸引側(室外側)の照明LED116は、開き戸本体101の戸引側に人が接近した際に、その周囲の照度に応じて点灯又は消灯するようにしてもよい。
【0062】
なお、人検知LED115と照明LED116とを兼用する構成の場合は、照明LED116の点灯時に、室内にいる人200が開き戸本体101を開けようとし、且つ、該開き戸本体101の室外側に他人210が立ち止まった際に、すなわち、戸押側及び戸引側の双方の人感センサ114Aがそれぞれ人200、210を検知した際に、青色の照明LED116に優先して、赤色の人検知LED115をオン状態とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る人感センサが内蔵された開き戸は、該開き戸が今から開くことをその裏側にいる人に知らせることができ、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0064】
100 開き戸
101 開き戸本体
101A 戸押側面
101A 戸引側面
101a 戸先側小口
110 レバーハンドル(戸押側ハンドル/戸引側ハンドル)
110a 角軸部
110b 基部
110c 窓部
110d 開口部
110e 蓋体
114A 人感センサ(人検知手段)
114B 照度センサ(照度検知手段)
115 人検知発光ダイオード(人検知LED/光源手段)
116 照明発光ダイオード(照明LED/光源手段)
117 判定部(判定手段)
120 電池
120A 電池ボックス
122 端子
124 配線
【手続補正書】
【提出日】2019年7月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた開き戸であって、
戸押側に設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、
前記戸押側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備え、
前記戸引側ハンドルには、戸引側光源手段が設けられており、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を受信した場合に、前記戸引側光源手段のみを作動する、開き戸。
【請求項2】
請求項1に記載の開き戸において、
前記戸押側人検知手段は、前記戸押側ハンドルに設けられている、開き戸。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開き戸において、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、前記戸引側光源手段を作動する、開き戸。
【請求項4】
戸押側ハンドル及び戸引側ハンドルを備えた一対のレバーハンドルであって、
前記戸押側ハンドルに設けられ、人の接近を検知する戸押側人検知手段と、
前記戸押側ハンドル又は前記戸引側ハンドルに設けられ、前記戸押側人検知手段からの検知信号を判定する判定手段とを備え、
前記戸引側ハンドルには、戸引側光源手段が設けられており、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を受信した場合に、前記戸引側光源手段のみを作動する、レバーハンドル。
【請求項5】
請求項4に記載のレバーハンドルにおいて、
前記判定手段は、前記戸押側人検知手段からの検知信号を所定の時間を超えて検知しない場合は、前記戸引側光源手段を作動する、レバーハンドル。