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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-173595(P2019-173595A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】タービン動翼及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20190913BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
   F01D5/18
   F02C7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-60015(P2018-60015)
(22)【出願日】2018年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮久 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】羽田 哲
(72)【発明者】
【氏名】若園 進
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202JJ02
3G202JJ22
(57)【要約】
【課題】冷却流体の冷却能力を効率的に利用する。
【解決手段】タービン動翼は、腹側翼壁と、背側翼壁と、を含む翼体を備えるタービン動翼である。前記翼体は、前記腹側翼壁と前記背側翼壁とを接続する隔壁であって前記翼体の高さ方向に沿って延在する隔壁により複数に仕切られた冷却流路からなるサーペンタイン流路を内部に有する。前記翼体は、一端が前記腹側翼壁の内壁面又は前記背側翼壁の内壁面に形成された第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された第1出口側開口に連通する第1冷却孔であって、前記第1入口側開口から前記第1出口側開口に向かって前縁方向に延伸する第1冷却孔を含んで形成される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側翼壁と、背側翼壁と、を含む翼体を備えるタービン動翼であって、
前記翼体は、
前記腹側翼壁と前記背側翼壁とを接続する隔壁であって前記翼体の高さ方向に沿って延在する隔壁により複数に仕切られた冷却流路からなるサーペンタイン流路を内部に有し、
一端が前記腹側翼壁の内壁面又は前記背側翼壁の内壁面に形成された第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された第1出口側開口に連通する第1冷却孔であって、前記第1入口側開口から前記第1出口側開口に向かって前縁方向に延伸する第1冷却孔を含んで形成される、
タービン動翼。
【請求項2】
前記第1冷却孔は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面に形成された腹側第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された腹側第1出口側開口に連通する腹側第1冷却孔であって、前記腹側第1入口側開口から前記腹側第1出口側開口に向かって前記前縁方向に延伸する腹側第1冷却孔と、
一端が前記背側翼壁の内壁面に形成された背側第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された背側第1出口側開口に連通する背側第1冷却孔であって、前記背側第1入口側開口から前記背側第1出口側開口に向かって前記前縁方向に延伸する背側第1冷却孔と、を含む
請求項1に記載のタービン動翼。
【請求項3】
前記冷却流路は、前記第1冷却孔が連通される後縁側冷却流路と、前記後縁側冷却流路の前縁側に隣接して配置される前縁側冷却流路を含み、
前記翼体は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面又は前記背側翼壁の内壁面に形成された第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された第2出口側開口に連通する第2冷却孔であって、前記第2入口側開口から第2出口側開口に向かって後縁方向に延伸する第2冷却孔を含んでいる、
請求項1又は2に記載のタービン動翼。
【請求項4】
前記第2冷却孔は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面に形成された腹側第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された腹側第2出口側開口に連通する腹側第2冷却孔であって、前記腹側第2入口側開口から前記腹側第2出口側開口に向かって前記後縁方向に延伸する腹側第2冷却孔と、
一端が前記背側翼壁の内壁面に形成された背側第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された背側第2出口側開口に連通する背側第2冷却孔であって、前記背側第2入口側開口から前記背側第2出口側開口に向かって前記後縁方向に延伸する背側第2冷却孔と、を含む
請求項3に記載のタービン動翼。
【請求項5】
前記第1出口側開口の位置と前記第2出口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さは、前記第1入口側開口の位置と前記第2入口側開口の位置との間の前記前縁―後縁方向の長さより短い
請求項3又は4に記載のタービン動翼。
【請求項6】
前記第1出口側開口の位置と前記第2出口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さは、前記隔壁の厚さより短い
請求項3乃至5のいずれか一項に記載のタービン動翼。
【請求項7】
前記腹側翼壁及び前記背側翼壁は、前記隔壁が接合される隔壁接合領域をそれぞれ含み、
前記第1冷却孔又は前記第2冷却孔のうち少なくとも一方は、前記隔壁接合領域の一部を通過する
請求項3乃至6のいずれか一項に記載のタービン動翼。
【請求項8】
前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、中心位置が前記隔壁接合領域に存在するように前記翼体の前記外壁面に形成される
請求項7に記載のタービン動翼。
【請求項9】
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、前記天板の外壁面に形成されている
請求項3乃至8のいずれか一項に記載のタービン動翼。
【請求項10】
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記腹側翼壁と前記天板との接続部には、前記翼体の外部側で前記腹側翼壁及び前記天板の双方に対して傾斜した傾斜面が形成され、
前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、前記傾斜面に形成されている
請求項3乃至8のいずれか一項に記載のタービン動翼。
【請求項11】
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記第1入口側開口及び前記第2入口側開口は、前記サーペンタイン流路に面して前記天板から前記翼体の基端側に離れた位置に形成される
請求項3乃至10の何れか一項に記載のタービン動翼。
【請求項12】
前記第1入口側開口は、前記サーペンタイン流路のうち、最も後縁側において前記翼体の高さ方向に沿って延在する前記冷却流路に面して形成される
請求項2乃至11の何れか一項に記載のタービン動翼。
【請求項13】
前記腹側第1入口側開口は、前記背側第1入口側開口よりも前記翼体の基端側に形成される
請求項2乃至12の何れか一項に記載のタービン動翼。
【請求項14】
前記隔壁は、前記腹側翼壁及び前記背側翼壁の何れか一方から他方へ向かう前記隔壁の中心線がキャンバーラインに対して傾斜している
請求項1乃至13の何れか一項に記載のタービン動翼。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のタービン動翼を備えるガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービン動翼及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンなどに用いられるタービン動翼は、高温の燃焼ガス中で使用されるため、冷却のための冷却流路を内部に備えており、冷却流路に冷却空気を流通させることで翼メタルの温度上昇を抑制している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−322002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のガスタービン翼では、翼体内にサーペンタイン流路を備え、このサーペンタイン流路に冷却空気を流通させて翼体を冷却し、更に翼壁に設けたフィルム冷却孔で翼壁及び隔壁を冷却している。しかし、特許文献1に記載のフィルム冷却孔では、冷却空気の冷却能力を効率的に利用しているとは言えない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、冷却流体の冷却能力を効率的に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るタービン動翼は、
腹側翼壁と、背側翼壁と、を含む翼体を備えるタービン動翼であって、
前記翼体は、
前記腹側翼壁と前記背側翼壁とを接続する隔壁であって前記翼体の高さ方向に沿って延在する隔壁により複数に仕切られた冷却流路からなるサーペンタイン流路を内部に有し、
一端が前記腹側翼壁の内壁面又は前記背側翼壁の内壁面に形成された第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された第1出口側開口に連通する第1冷却孔であって、前記第1入口側開口から前記第1出口側開口に向かって前縁方向に延伸する第1冷却孔を含んで形成される。
【0007】
上記(1)の構成によれば、第1入口開口を介して冷却流路に連通する第1冷却孔は、前記冷却流路を形成する隔壁の冷却流体の流れ方向の下流側の流路の内壁面に形成される。第1冷却孔に供給される冷却流体は、前記隔壁を介して冷却流路の上流側に配置された上流側冷却流路を冷却した後の冷却流体である。供給された冷却流体は、隔壁下流側の冷却流路を冷却した後、第1冷却孔を流れる過程で隔壁近傍の翼体を対流冷却する。したがって、冷却流体の使い廻しにより、冷却流体の冷却能力を効率的に利用することが出来る。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1冷却孔は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面に形成された腹側第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された腹側第1出口側開口に連通する腹側第1冷却孔であって、前記腹側第1入口側開口から前記腹側第1出口側開口に向かって前記前縁方向に延伸する腹側第1冷却孔と、
一端が前記背側翼壁の内壁面に形成された背側第1入口側開口を介して前記冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された背側第1出口側開口に連通する背側第1冷却孔であって、前記背側第1入口側開口から前記背側第1出口側開口に向かって前記前縁方向に延伸する背側第1冷却孔と、を含む。
【0009】
上記(2)の構成によれば、第1冷却孔が腹側第1冷却孔と背側第1冷却孔を含むので、翼体を腹側と背側の両方から効率的に冷却できる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記冷却流路は、前記第1冷却孔が連通される後縁側冷却流路と、前記後縁側冷却流路の前縁側に隣接して配置される前縁側冷却流路を含み、
前記翼体は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面又は前記背側翼壁の内壁面に形成された第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された第2出口側開口に連通する第2冷却孔であって、前記第2入口側開口から第2出口側開口に向かって後縁方向に延伸する第2冷却孔を含んでいる。
【0011】
上記(3)の構成によれば、上述した第1冷却孔に加えて、第2冷却孔さらに含むので、翼体の冷却流路を形成する隔壁の冷却し難い領域の冷却が一層強化され、翼体をより効果的に冷却できる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記第2冷却孔は、
一端が前記腹側翼壁の内壁面に形成された腹側第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された腹側第2出口側開口に連通する腹側第2冷却孔であって、前記腹側第2入口側開口から前記腹側第2出口側開口に向かって前記後縁方向に延伸する腹側第2冷却孔と、
一端が前記背側翼壁の内壁面に形成された背側第2入口側開口を介して前記前縁側冷却流路に連通し、他端が前記翼体の外壁面に形成された背側第2出口側開口に連通する背側第2冷却孔であって、前記背側第2入口側開口から前記背側第2出口側開口に向かって前記後縁方向に延伸する背側第2冷却孔と、を含む。
【0013】
上記(4)の構成によれば、第2冷却孔が腹側第2冷却孔と背側第2冷却孔を含むので、翼体の冷却流路を形成する隔壁を腹側と背側の両方から対流冷却され、翼体を更に効率的に冷却できる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、
前記第1出口側開口の位置と前記第2出口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さは、前記第1入口側開口の位置と前記第2入口側開口の位置との間の前記前縁―後縁方向の長さより短い。
【0015】
上記(5)の構成によれば、第1出口側開口の位置と第2出口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さが、第1入口側開口の位置と第2入口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さより短いので、隔壁を挟んで配置された第1冷却孔と第2冷却孔が、出口開口に近づくと共に隔壁に一層接近することになり、隔壁の冷却し難い領域の冷却が一層強化される。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(5)の構成において、前記第1出口側開口の位置と前記第2出口側開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さは、前記隔壁の厚さより短い。
【0017】
上記(6)の構成では、第1冷却孔の第1出口開口の位置と第2出口開口の位置との間の前縁―後縁方向の長さが、隔壁の厚さより短いので、第1出口開口の位置と第2出口開口の位置が更に接近する。従って、第1冷却孔と第2冷却孔が、前縁―後縁方向に更に接近して、隔壁の冷却し難い領域の冷却が一層強化される。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(6)の何れかの構成において、
前記腹側翼壁及び前記背側翼壁は、前記隔壁が接合される隔壁接合領域をそれぞれ含み、
前記第1冷却孔又は前記第2冷却孔のうち少なくとも一方は、前記隔壁接合領域の一部を通過する。
【0019】
上述したように、隔壁接合領域では、冷却流路に直接接していないため冷却され難い領域であり、冷却流路を流れる冷却流体による冷却効果が得られ難い。
その点、上記(7)の構成によれば、第1冷却孔又は第2冷却孔のうち少なくとも一方が隔壁接合領域の一部を通過するので、冷却し難い隔壁接合領域を第1冷却孔又は第2冷却孔の少なくとも一方を流れる冷却流体によって冷却できる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、中心位置が前記隔壁接合領域に存在するように前記翼体の前記外壁面に形成される。
【0021】
上記(8)の構成によれば、第1出口側開口又は第2出口側開口の少なくとも一方の中心位置が隔壁接合領域に存在するように翼体の外壁面に形成されるので、隔壁接合領域を効果的に冷却できる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(8)の何れかの構成において、
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、前記天板の外壁面に形成されている。
【0023】
一般的に、タービン動翼では、天板と、天板と対向するケーシングとの間を燃焼ガスが通り抜ける際、天板とケーシングとの間の隙間が小さいため燃焼ガスの流速が高くなり、翼体に対する熱伝達率が向上するため、天板における熱負荷が他の部位よりも高い。
その点、上記(9)の構成によれば、第1出口側開口又は第2出口側開口の少なくとも一方が天板の外壁面に形成されているので、第1冷却孔又は第2冷却孔の少なくとも一方を通過した冷却流体によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板を効果的に冷却できる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(8)の何れかの構成において、
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記腹側翼壁と前記天板との接続部には、前記翼体の外部側で前記腹側翼壁及び前記天板の双方に対して傾斜した傾斜面が形成され、
前記第1出口側開口又は前記第2出口側開口の少なくとも一方は、前記傾斜面に形成されている。
【0025】
上述したように、一般的に、タービン動翼では、天板と、天板と対向するケーシングとの間を燃焼ガスが通り抜ける際、天板とケーシングとの間の隙間が小さいため燃焼ガスの流速が高くなり、翼体に対する熱伝達率が向上するため、天板における熱負荷が他の部位よりも高い。そのため、腹側翼壁と天板との接続部の温度は、天板からの伝熱によって高くなりがちである。
また、翼体における腹側翼壁と天板との接続部では、該接続部近傍での燃焼ガスの流れの乱れを抑制するためや、該接続部の面取りのために、翼体の外部側で腹側翼壁及び天板の双方に対して傾斜した傾斜面が設けられることがある。
その点、上記(10)の構成によれば、第1出口側開口又は第2出口側開口の少なくとも一方が上記傾斜面に形成されているので、第1冷却孔又は第2冷却孔の少なくとも一方を通過した冷却流体によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板を冷却しつつ、温度が高くなりがちな腹側翼壁と天板との接続部を効果的に冷却できる。
【0026】
(11)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(10)の何れかの構成において、
前記翼体は、翼頂側に形成された天板を備え、
前記第1入口側開口及び前記第2入口側開口は、前記サーペンタイン流路に面して前記天板から前記翼体の基端側に離れた位置に形成される。
【0027】
天板と翼壁との接続部では、延在方向が異なる天板と翼壁とが接続されているため、応力集中が発生し易い。その点、上記(11)の構成によれば、第1入口側開口及び第2入口側開口がサーペンタイン流路に面して天板から翼体の基端側に離れた位置に形成されるので、応力集中が発生し易い場所に、第1入口側開口及び第2入口側開口が形成されることを避けることができる。
【0028】
(12)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(11)の何れかの構成において、前記第1入口側開口は、前記サーペンタイン流路のうち、最も後縁側において前記翼体の高さ方向に沿って延在する前記冷却流路に面して形成される。
【0029】
上記(12)の構成によれば、第1入口側開口がサーペンタイン流路のうち、最も後縁側の冷却流路に面して形成されるので、該冷却流路よりも上流側の冷却流路に第1入口側開口が形成された場合と比べて、第1冷却孔から翼体の外部に排出される冷却流体は、サーペンタイン流路に沿ってより長い距離を流れることになり、より多くの熱を奪うことができる。このように、上記(12)の構成によれば、第1冷却孔から翼体の外部に排出される冷却流体により多くの熱を奪わせることができるので、冷却流体の流量を抑制でき、タービン効率の低下を抑制できる。
【0030】
(13)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(12)の何れかの構成において、前記腹側第1入口側開口は、前記背側第1入口側開口よりも前記翼体の基端側に形成される。
【0031】
上述したように、天板と翼壁との接続部では、延在方向が異なる天板と翼壁とが接続されているため、応力集中が発生し易い。また、一般的に、タービン動翼では、背側に比べて腹側の方が翼体の温度が高くなりがちである。
その点、上記(13)の構成によれば、腹側第1入口側開口が背側第1入口側開口よりも翼体の基端側に形成されているので、背側に比べて温度が高くなりがちな腹側において、応力集中が発生し易い天板と腹側翼壁との接続部からさらに離れた位置に腹側第1入口側開口を形成できる。
【0032】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(13)の何れかの構成において、前記隔壁は、前記腹側翼壁及び前記背側翼壁の何れか一方から他方へ向かう前記隔壁の中心線がキャンバーラインに対して傾斜している。
【0033】
上記(14)の構成では、腹側翼壁及び背側翼壁の何れか一方から他方へ向かう隔壁の中心線がキャンバーラインに対して傾斜しているので、隔壁の断面形状が変形し、腹側隔壁接合領域や背側隔壁接合領域の前縁―後縁方向の幅が大きくなり、冷却し難い領域が拡大する傾向になる。その点、上記(14)の構成では、第1冷却孔と第2冷却孔の組合せにより、腹側の隔壁接合領域や背側の隔壁接合領域の少なくとも一方の温度上昇を抑制できる。
【0034】
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、上記構成(1)乃至(14)の何れかのタービン動翼を備えるので、冷却流体の冷却能力を効率的に利用して、翼体を効果的に冷却することができる。これにより、冷却流体の流量を抑制でき、タービン効率の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、冷却流体の冷却能力を効率的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】幾つかの実施形態に係るタービン動翼が用いられる一実施形態のガスタービンを示す概略構成図である。
図2】一実施形態のタービン動翼の内部断面図である。
図3】一実施形態のタービン動翼の図2におけるA−A矢視断面図である。
図4A】一実施形態のタービン動翼の後縁近傍をタービン動翼1の先端側から径方向内側方向に見た図である。
図4B図4Aの隔壁周りの拡大断面図である。
図5図4Aに示した一実施形態のタービン動翼の翼体における各冷却孔の延在状態を説明するための模式的な断面図である。
図6図4Aに示した一実施形態のタービン動翼の翼体における各冷却孔の他の実施形態について、各冷却孔の延在状態を説明するための模式的な断面図である。
図7】他の実施形態のタービン動翼の後縁近傍をタービン動翼の先端側から見た図(図8におけるB−B矢視断面図)である。
図8図7に示した他の実施形態のタービン動翼の翼体における各冷却孔の延在状態を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0038】
最初に、幾つかの実施形態に係るタービン動翼が用いられるガスタービンについて、図1を参照して説明する。なお、図1は、幾つかの実施形態に係るタービン動翼が用いられる一実施形態のガスタービン100を示す概略構成図である。
【0039】
図1に示すように、一実施形態に係るガスタービン100は、圧縮空気を生成するための圧縮機102と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器104と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン106と、を備える。発電用のガスタービン100の場合、タービン106には不図示の発電機が連結され、タービン106の回転エネルギーによって発電が行われるようになっている。
【0040】
ガスタービン100における各部位の具体的な構成例について説明する。
圧縮機102は、圧縮機車室110と、圧縮機車室110の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口112と、圧縮機車室110及び後述するタービン車室122を共に貫通するように設けられたロータシャフト108と、圧縮機車室110内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口112側に設けられた入口案内翼114と、圧縮機車室110側に固定された複数の圧縮機静翼116と、圧縮機静翼116に対して軸方向に交互に配列されるようにロータシャフト108に植設された複数の圧縮機動翼118と、を含む。なお、圧縮機102は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機102において、空気取入口112から取り込まれた空気は、複数の圧縮機静翼116及び複数の圧縮機動翼118を通過して圧縮されることで圧縮空気が生成される。そして、圧縮空気は圧縮機102から後段の燃焼器104に送られる。
【0041】
燃焼器104は、ケーシング(燃焼器車室)120内に配置される。図1に示すように、燃焼器104は、ケーシング120内にロータシャフト108を中心として環状に複数配置されていてもよい。燃焼器104には燃料と圧縮機102で生成された圧縮空気とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン106の作動流体である高温高圧の燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼ガスは燃焼器104から後段のタービン106に送られる。
【0042】
タービン106は、タービン車室(ケーシング)122と、タービン車室122内に配置された各種のタービン翼と、を備える。各種のタービン翼は、タービン車室122側に固定された複数のタービン静翼124と、タービン静翼124に対して軸方向に交互に配列されるようにロータシャフト108に植設された複数のタービン動翼1と、を含む。
なお、タービン106では、ロータシャフト108は、図1における左右方向に延在し、燃焼ガスは、図1における左側から右側に向かって流れる。したがって、図1では、図示左側が軸方向上流側であり、図示右側が軸流方向下流側である。
タービン動翼1は、タービン静翼124とともにタービン車室122内を流れる高温高圧の燃焼ガスから回転駆動力を発生させるように構成される。この回転駆動力がロータシャフト108に伝達されることで、ロータシャフト108に連結された発電機が駆動される。なお、タービン動翼1の具体的な構成例については後述する。
【0043】
タービン車室122の下流側には、排気車室128を介して排気室129が連結されている。タービン106を駆動した後の燃焼ガスは、排気車室128及び排気室129を通って外部へ排出される。
【0044】
図2は、一実施形態のタービン動翼1の内部断面図である。図3は、一実施形態のタービン動翼1の図2におけるA−A矢視断面図である。図4Aは、一実施形態のタービン動翼1の後縁近傍をタービン動翼1の先端側から径方向内側方向に見た図である。図4Bは、図4Aにおける隔壁10周りの拡大断面図である。一実施形態のタービン動翼1は、タービン106に用いられるタービン動翼であって、プラットフォームとシャンク部2と翼部(翼体)3とを備えており、翼体3が高温高圧の燃焼ガスに曝される。
【0045】
翼体3は、翼面が凹状に形成された正圧面である腹側の壁部(腹側翼壁)13と、翼面が凸状に形成された負圧面である背側の壁部(背側翼壁)14と、翼頂側の天板15とを有する。翼体3の内部には、対向する腹側翼壁13の内壁面13aと背側翼壁14の内壁面14aとの間に冷却流体(冷却媒体)としての冷却空気を流す前縁側サーペンタイン流路6と後縁側サーペンタイン流路7が形成されている。
具体的には、翼体3の内部には、腹側翼壁13と背側翼壁14とを接続する隔壁10a,10b,10c,10d,10eが設けられており、隔壁10a,10b,10c,10d,10eと腹側翼壁13と背側翼壁14とによって囲まれた冷却流路4a,4b,4c,4d,4e,4fが形成される。各冷却流路4a,4b,4c,4d,4e,4fは、タービン動翼1の径方向、すなわちロータシャフト108の径方向に沿って延在する流路である。
すなわち、翼体3は、腹側翼壁13と背側翼壁14とを接続する隔壁10a,10b,10c,10d,10eであって翼体3の高さ方向に沿って延在する隔壁10a,10b,10c,10d,10eにより複数に仕切られた冷却流路4a,4b,4c,4d,4e,4fからなるサーペンタイン流路6,7を内部に有する。
【0046】
なお、以下の説明では、各隔壁10a,10b,10c,10d,10eを区別する必要がない場合には、符号における番号の後のアルファベットの記載を省略して、単に隔壁10と称することがある。同様に、以下の説明では、各冷却流路4a,4b,4c,4d,4e,4fを区別する必要がない場合には、符号における番号の後のアルファベットの記載を省略して、単に冷却流路4と称することがある。
【0047】
前縁側サーペンタイン流路6は、後縁側サーペンタイン流路7よりも前縁18側に設けられた冷却流路であり、冷却流路4a,4b,4cを含む。冷却流路4aと冷却流路4bとは転向部5aによって接続され、冷却流路4bと冷却流路4cとは転向部5bによって接続されている。
前縁側サーペンタイン流路6の冷却空気の供給流路9aの入口9cはタービン動翼1の基端側に設けられ、冷却空気の出口6bは翼体3の外周側(先端側)の端部に設けられている。
【0048】
後縁側サーペンタイン流路7は、前縁側サーペンタイン流路6よりも後縁19側に設けられた冷却流路であり、冷却流路4d,4e,4fを含む。冷却流路4dと冷却流路4eとは転向部5cによって接続され、冷却流路4eと冷却流路4fとは転向部5dによって接続されている。
後縁側サーペンタイン流路7の冷却空気の供給流路9bの入口9dは、タービン動翼1の基端側に設けられ、冷却空気の出口7bは、後縁側サーペンタイン流路7において冷却空気の流れに対して最も下流側の冷却流路4fに沿って翼体3の後縁19に設けられている。
【0049】
各サーペンタイン流路6,7内には、冷却空気への熱伝達を促進するための堰状のリブ12が複数設けられている。また、後縁側サーペンタイン流路7において最も下流側の冷却流路4fには、上流側で冷却流路4fに連通し、後縁19の端部に開口する後縁冷却流路8が形成され、後縁領域を対流冷却している。後縁冷却流路8には、冷却空気への熱伝達を促進するための複数のピンフィン20が設けられている。なお、後縁冷却流路8には、ピンフィン20に替えて、複数の冷却孔を配置した冷却構造を設けてもよい。
【0050】
タービン動翼1に供給される冷却空気には、例えば、圧縮機102から抽気した圧縮空気が利用される。
前縁側サーペンタイン流路6では、入口9cから流入した冷却空気は、供給流路9aを介して冷却流路4a,4b,4cを順に流れることで翼体3の先端側と基端側との間で蛇行し、出口6bからタービン動翼1の外部に流出する。このように、前縁側サーペンタイン流路6では、冷却空気は、冷却流路4a,4b,4cを順に流れることで、翼体3内で前縁18側から後縁19側に向かって、すなわち、燃焼ガスの主たる流れの上流側から下流側へ向かって流れる。
後縁側サーペンタイン流路7では、入口9dから流入した冷却空気は、供給流路9bを介して冷却流路4d,4e,4fを順に流れることで翼体3の先端側と基端側との間で蛇行し、出口7bからタービン動翼1の外部に流出する。このように、後縁側サーペンタイン流路7では、冷却空気は、冷却流路4d,4e,4fを順に流れることで、翼体3内で前縁18側から後縁19側に向かって、すなわち、燃焼ガスの主たる流れの上流側から下流側へ向かって流れる。後縁19側最も近い冷却流路4fは、後縁側サーペンタイン流路7の最終流路を形成し、最終流路を流れる冷却空気の一部は、翼頂側の天板15に形成された出口7aから外部の燃焼ガス中に排出される。
【0051】
なお、冷却流路4cと冷却流路4dとが転向部によって接続されて、前縁側サーペンタイン流路6と後縁側サーペンタイン流路7とが一体化されていてもよい。この場合、冷却空気の供給流路9aから流入した冷却空気は、冷却流路4a,4b,4c,4d,4e,4fを順に流れることで翼体3の先端側と基端側との間で蛇行し、出口7bからタービン動翼1の外部に流出する。
【0052】
図2に示す翼構造は、サーペンタイン流路6、7に冷却空気を流通させて翼体を対流冷却し、更に翼壁に設けたフィルム冷却孔(図示なし)で翼壁をフィルム冷却している。
【0053】
図4A,7に示すように、幾つかの実施形態では、翼体3は、一端が腹側翼壁13の内壁面13aに形成された腹側第1入口側開口(入口側開口31A)を介して冷却流路4に連通し、他端が翼体3の外壁面3bに形成された腹側第1出口側開口(出口側開口31B)に連通する腹側第1冷却孔31を含む。腹側第1冷却孔31は、入口側開口31Aから出口側開口31Bに向かって前縁18方向に延伸する。換言すると、翼体3のキャンバーラインCに沿って出口側開口31Bが入口側開口31Aよりも前縁18側に位置するように腹側第1冷却孔31が形成されている。
また、図4A,7に示すように、幾つかの実施形態では、翼体3は、一端が背側翼壁14の内壁面14aに形成された背側第1入口側開口(入口側開口41A)を介して冷却流路4に連通し、他端が翼体3の外壁面3bに形成された背側第1出口側開口(出口側開口41B)に連通する背側第1冷却孔41を含む。背側第1冷却孔41は、入口側開口41Aから出口側開口41Bに向かって前縁18方向に延伸する。換言すると、翼体3のキャンバーラインCに沿って出口側開口41Bが入口側開口41Aよりも前縁18側に位置するように背側第1冷却孔41が形成されている。
【0054】
サーペンタイン流路6、7を冷却流体が流れる過程で、冷却流体は翼体3を対流冷却し、冷却流体の温度は上昇する。一方、サーペンタイン流路6、7を流れる過程で、冷却流体の圧力損失により冷却流体の圧力は低下する。冷却流体の流れ方向の下流側を流れる冷却流体は、上流側を流れる冷却流体と比較して、冷却流体の使い廻しにより効率的に利用されていることになる。
例えば、図2において、隣接する冷却流路4e、4fで比較した場合、隔壁10eを挟んで上流側の冷却流路4e(後述の上流側冷却流路4U)を流れ、翼体3を対流冷却した冷却流体は、転向部5dを経て隔壁10eの下流側に隣接する冷却流路4f(後述の下流側冷却流路4D)に流入する。冷却流体は、冷却流路4eを流れる過程で、圧力損失により圧力を下げて冷却流路4fに供給される。更に、冷却流体は、冷却流路4fを流れる過程で、冷却流路4fを更に冷却する。
つまり、隔壁10eを挟んで冷却流体の流れ方向の上流側の冷却流路4eを流れる冷却流体は、未だ冷却流体自体の温度が低く、圧力が高く、冷却能力を十分に備えているにも拘わらず、後述の第2冷却孔32、42から燃焼ガス中に排出されるので、冷却能力を有する冷却流体を無駄に捨てることになる。一方、隔壁10eの上流側の冷却流路4eを冷却した後、隔壁10eの下流側の冷却流路4fに供給された冷却流体は、冷却流路4fを更に冷却した後、上述の第1冷却孔31、41から燃焼ガス中に排出されることになる。従って、隔壁10eを間に挟んで下流側の冷却流路4fを流れる冷却流体は、隔壁10eを間に挟んで上流側の冷却流路4eから第2冷却孔32、42を介して燃焼ガス中に排出される冷却流体と比較して、下流側の冷却流路4fを冷却した後、更に第1冷却孔31、41を流れる過程で、翼体3を対流冷却するので、冷却流体の使い廻しがされ、効率的な冷却が行われている。特に、冷却流路4fが後縁19に最も近い最終流路の場合、他の上流側の流路と比較して、その効果が最も大きい。
【0055】
これにより、冷却流路4に面した入口側開口31Aから流入した冷却空気は、腹側第1冷却孔31内を出口側開口31Bに向かって前縁18方向に流れることによって、隔壁10近傍の腹側の翼体3を対流冷却する。
同様に、冷却流路4に面した入口側開口41Aから流入した冷却空気は、背側第1冷却孔41内を出口側開口41Bに向かって前縁18方向に流れることによって、隔壁10近傍の背側の翼体3を対流冷却する。
【0056】
更に、第1冷却孔31、41が、隔壁10の冷却流体の流れ方向の下流側の冷却流路に連通しているので、冷却流体の効率的な使い廻しがされている。したがって、冷却空気の冷却能力を効率的に利用して、翼体3を効果的に冷却することができる。
【0057】
また、幾つかの実施形態に係るガスタービン100では、幾つかの実施形態に係るタービン動翼1を備えるので、冷却空気の冷却能力を効率的に利用して、翼体3を効果的に冷却することができる。これにより、冷却空気の流量を抑制でき、タービン効率の低下を抑制できる。
【0058】
なお、翼体3には、腹側第1冷却孔31又は背側第1冷却孔41の少なくとも一方が設けられていればよい。翼体3に、腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41の双方を設ければ、翼体3を腹側と背側の両方から効率的に冷却できる。
【0059】
サーペンタイン流路6,7の各冷却流路4のうち、冷却空気の流れ方向に対して、任意の隔壁10の上流側に位置する冷却流路4を上流側冷却流路4Uとし、冷却空気の流れに対して該隔壁10の下流側に位置する冷却流路4を下流側冷却流路4Dと呼ぶ。
例えば冷却流路4eは、隔壁10eに対しては上流側冷却流路4Uであるが、隔壁10dに対しては下流側冷却流路4Dである。
なお、上流側冷却流路4Uは、下流側冷却流路4Dに対して前縁18側に隣接して配置されている。したがって、以下の説明では、上流側冷却流路4Uを前縁側冷却流路4Uと呼ぶこともある。また、下流側冷却流路4Dは、上流側冷却流路4Uに対して後縁19側に隣接して配置されている。したがって、以下の説明では、下流側冷却流路4Dを後縁側冷却流路4Dと呼ぶこともある。
【0060】
ここで、サーペンタイン流路6を形成する隔壁10と翼体3との接合構造について、図2図4A図4Bを用いて以下に説明する。
隔壁10は、冷却流路4を区切り、サーペンタイン流路6を形成する仕切壁の役割を果たすが、翼壁13、14と共に鋳造により一体で形成される。隔壁10は、先端側の転向部5a、5c及び基端側の転向部5b、5dを除き、先端側から基端側まで径方向に延在し、各通路を形成している。
【0061】
図4Bを用いて、翼体を径方向に見た場合の隔壁10、10e周りの断面構造を説明する。隔壁10は、腹側内壁面13aと背側内壁面14aに滑らかに内接するように形成されている。すなわち、隔壁10の一部を形成し翼体3の内壁面13a、14aに内接する接合部10A1、10A2、10B1、10B2は、製造上の都合から曲面状のRを持たせて形成されている。各接合部10A1、10A2、10B1、10B2が翼体3の内壁面13a、14aに内接する内縁を点P11、P12、P21、P22とすれば、各接合部10A1、10A2、10B1、10B2が内壁面13a、14aに接する末端が、点P11、P12、P21、P22に相当する。なお、翼体3の前縁―後縁方向の中心軸を規定するキャンバーラインCが隔壁と交差する前縁側の位置を点P51、後縁側の位置を点P52とすれば、点P51と点P52との間の長さが、隔壁10の最小厚さに相当する。以下の説明では、ある2つ点の間を結ぶ線分のことを、両端の点の符号をハイフンを挟んで併記して表すこともある。例えば、点P51と点P52とを結ぶ線分を、単にP51−P52と表すこともある。
【0062】
図4Bに示すように、内縁P11、P12、P21、P22を通り、隔壁10の中心線Wxに平行なラインが翼体3の外表面である腹側翼壁13、背側翼壁14と交差する位置を点P13、P14、P23、P24とすれば、点P11、P12、P13、P14で囲われた領域を腹側隔壁接合領域Raと呼び、点P21、P22、P23、P24で囲われた領域を背側隔壁接合領域Rbと呼ぶ。図4Bに示すように、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbは共に、冷却流路4に直接接していないため、冷却流体による冷却を行い難い領域である。なお、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbの内側の領域を形成する内縁P11とP12及び内縁P21とP22のそれぞれの前縁―後縁方向の長さは、いずれも隔壁10の厚さ(最少厚さP51−P52)より大きくなる。つまり、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbの前縁―後縁方向の幅は、隔壁10の厚さより大きくなる。なお、隔壁10の中心線Wxは、腹側翼壁13の内壁面13aに形成された内縁P11とP12を結ぶライン(境界線P11―P12)の中点及び背側翼壁14の内壁面14aに形成された内縁P21とP22を結ぶライン(境界線P21−P22)の中点並びに隔壁の最小厚さP51−P52の中間点を結ぶ直線状のラインで規定される。
【0063】
腹側翼壁13と背側翼壁14は、隔壁10により結合された構造体である。従って、燃焼ガス側からの入熱により翼壁13、14は熱伸びを生ずる。一方、翼壁13、14と隔壁10との接合部分は隔壁10により拘束されているため、翼壁13、14と隔壁10との接合部分である腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbには、大きな熱応力が発生する傾向にある。また、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbは、冷却流路4に直接接していないため、燃焼ガス側からの入熱によりメタル温度が高くなり易い。一方、隔壁10は、冷却空気の流れ方向上流側及び下流側の両側で冷却流路4(上流側冷却流路4U及び下流側冷却流路4D)に直接接しているため、メタル温度は比較的低くなる。両者の温度差の違いにより、熱応力が更に大きくなる傾向にある。
【0064】
腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbの内壁面13a、14a側の位置を画定する境界線P11−P12、P21−P22(内縁P11と内縁P12及び内縁P21と内縁P22を接続するライン)が長くなるほど、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbは、一層冷却し難くなり、熱応力は更に高くなる。
【0065】
そのため、図4Bに示すように、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbを冷却するため、第1冷却孔31、41及び第2冷却孔32、42が配置されている。その配置の構造の詳細は、後述する。
【0066】
腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbを第1冷却孔31、41又は第2冷却孔32、42のいずれか一方の冷却孔一つのみで冷却する構造も想定される。燃焼ガス流からの入熱が比較的小さく、熱応力が大きくない構造の場合は、いずれか一方の冷却孔を配置することのみでも冷却可能な場合もある。しかしながら、燃焼ガス側からの入熱が大きく構造上の拘束により、熱応力が高くなる構造の場合、いずれか一方の冷却孔のみによる冷却では、冷却不足となり、過大な熱応力の発生を抑制できない場合がある。
【0067】
図4Bを用いて、一例を挙げて説明する。腹側隔壁接合領域Raを冷却するため、第1冷却孔31、41のみを配置する場合を想定する。この場合、腹側第1冷却孔31の内壁面13aに形成される腹側第1入口側開口31Aの開口は、少なくとも隔壁10の接合部10A1の内縁P11と干渉しないように、内縁P11の位置より後縁側に寄った位置に配置する必要がある。一方、腹側第1冷却孔31の他方の開口で、外壁面3bに形成された腹側第1出口開口31Bは、腹側隔壁接合領域Raの前縁側の位置を画定する境界線P12−P14(La2)近傍まで延伸することが望ましい。しかしながら、腹側第1入口開口31Aを内縁P11より更に後縁側に配置し、腹側第1出口開口31Bを前縁側の境界線P12−P14近傍まで延伸させて、腹側第1冷却孔31を腹側翼壁13の内部に形成するためには、第1冷却孔31の中心軸(AXa1)が腹側翼壁13又は腹側の内壁面13aに対して、傾斜角θ(図4B)を小さくするのが望ましい。つまり、冷却孔は放電加工又は機械加工等で形成されるが、加工ノズルの翼外表面に対する傾斜角度には限界があり、加工ノズルの前縁―後縁方向の中心軸(キャンバーラインC)に対する傾きが小さくなると、穴加工が困難になる。この状況は、背側第1冷却孔41でも同様であり、第2冷却孔32、42でも同様である。
【0068】
また、第1冷却孔31、41のみにより腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbを冷却する場合、冷却不足となる場合がある。すなわち、冷却流路4fを流れ、第1冷却孔31、41に供給される冷却空気は、冷却流路4eに流入し、第2冷却孔32、42に供給される冷却空気より、圧力が低下している。一方、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbを第1冷却孔31、41のみにより冷却するとなると、第1冷却孔31、41は、領域の前縁側の境界線P12−P14及びP22−P24近傍まで延伸させることになる。つまり、冷却孔の長さを伸ばせば圧力損失が大きくなり、一方で、燃焼ガス側と冷却流路4fの間の差圧は小さくなる。従って、条件によっては、第1冷却孔31、41を流れる冷却空気の流量が、十分に確保できない場合がある。
【0069】
上記のようなタービン翼の場合には、第1冷却孔31、41単独の配置では冷却不足となり、第1冷却孔31、41及び第2冷却孔32、42の組合せが望ましい場合がある。
【0070】
なお、翼体3は後縁に近くなると翼幅が小さくなり、冷却流路4の背腹方向の流路幅が小さくなる。従って、冷却流路4の形状は、背腹方向の流路幅が小さく、前縁―後縁方向の流路の長さが長くなり、台形形状、菱形形状や三角形状等の変形した流路形状になる。そのため、内壁面13a、14aを結合する隔壁10の断面形状も菱形状に変形して、キャンバーラインCに対する隔壁10の中心線Wxも傾斜する傾向になる。つまり、キャンバーラインCに対する隔壁10の中心線Wxの傾きが小さくなると、隔壁10の接合部10A1、10A2、10B1、10B2の曲率Rが大きくなり、隔壁10の厚さ(P51−P52)と比較して、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbの前縁―後縁方向の長さが相対的に長くなり、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbは、一層冷却し難い構造になる。このような場合は、設置スペースの点から、腹側隔壁接合領域Ra及び背側隔壁接合領域Rbには、それぞれの隔壁接合領域について、複数の冷却孔(少なくとも、第1冷却孔31と第2冷却孔32の組合せ又は第1冷却孔41と第2冷却孔42の組合せ)を配置するのが望ましい。
【0071】
なお、腹側隔壁接合領域Raは、前縁―後縁方向の前縁側の位置を画定する境界線La2と前縁―後縁方向の後縁側の位置を画定する境界線La1により確定され、背側隔壁接合領域Rbは、前縁―後縁方向の前縁側の位置を画定する境界線Lb2と前縁―後縁方向の後縁側の位置を画定する境界線Lb1により確定される。また、腹側隔壁接合領域Raと背側隔壁接合領域Rbとを特に区別する必要がない場合、以下の説明では、単に隔壁接合領域と呼ぶこともある。
【0072】
図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、冷却流路4は、腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41が連通される後縁側冷却流路(下流側冷却流路)4Dと、後縁側冷却流路4Dの前縁18側に隣接して配置される前縁側冷却流路(上流側冷却流路)4Uを含む。
そして翼体3は、一端が腹側翼壁13の内壁面13aに形成された腹側第2入口側開口(入口側開口32A)を介して前縁側冷却流路4Uに連通し、他端が翼体3の外壁面3bに形成された腹側第2出口側開口(出口側開口32B)に連通する腹側第2冷却孔32を含む。腹側第2冷却孔32は、入口側開口32Aから出口側開口32Bに向かって後縁19方向に延伸する。
また、図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、翼体3は、一端が背側翼壁14の内壁面14aに形成された背側第2入口側開口(入口側開口42A)を介して前縁側冷却流路4Uに連通し、他端が翼体3の外壁面3bに形成された背側第2出口側開口(出口側開口42B)に連通する背側第2冷却孔42を含む。背側第2冷却孔42は、入口側開口42Aから出口側開口42Bに向かって後縁19方向に延伸する。
【0073】
これにより、翼体3がさらに腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42を有するので、翼体3を効果的に冷却できる。
具体的には、翼体3が腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41の少なくとも一方を含むので、翼体3のうち、第1入口側開口31Aの形成位置と第1出口側開口31Bの形成位置との間の隔壁10に接合する領域を対流冷却できる。また、翼体3が腹側第2冷却孔32又は背側第2冷却孔42の少なくとも一方を含むので、腹側第2冷却孔32又は背側第2冷却孔42の少なくとも一方を流れる冷却空気によって、翼体3のうち、第2入口側開口32Aの形成位置と第2出口側開口32Bの形成位置との間の領域及び第2入口側開口42Aの形成位置と第2出口側開口42Bの形成位置との間の領域の少なくとも一方の冷却が困難な隔壁10に接合する領域を対流冷却できる。さらに、第2出口側開口32B又は第2出口側開口42Bの少なくとも一方から流出して翼の表面に沿って後縁側に流れる冷却空気によって、第2出口側開口32Bよりも後縁側の翼体の外表面、及び、第2出口側開口42Bよりも後縁側の翼体の外表面の少なくとも一方をフィルム冷却できる。これにより、腹側第1冷却孔31又は背側第1冷却孔41の少なくとも一方による冷却効果と、腹側第2冷却孔32又は背側第2冷却孔42の少なくとも一方による冷却効果とが相まって、翼体3をより効果的に冷却できる。このため、例えば翼体3において温度が高くなる傾向にある部位を2つの冷却孔の組合せによってより効果的に冷却することができる。
なお、翼体3には、腹側第2冷却孔32又は背側第2冷却孔42の少なくとも一方が設けられていればよい。翼体3に、腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42の双方を設ければ、翼体3を腹側と背側の両方から効率的に冷却できる。
【0074】
図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、腹側第1冷却孔31は、腹側第1冷却孔31の少なくとも一部が腹側隔壁接合領域Raを通過する。
図4A,7,9に示すように、幾つかの実施形態では、腹側第2冷却孔32は、腹側第2冷却孔32の少なくとも一部が腹側隔壁接合領域Raを通過する。
【0075】
図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、背側第1冷却孔41は、背側第1冷却孔41の少なくとも一部が背側隔壁接合領域Rbを通過する。
図4A,4B,7に示すように、背側第2冷却孔42は、背側第2冷却孔42の少なくとも一部が背側隔壁接合領域Rbを通過する。
【0076】
図5は、図4Aに示した一実施形態のタービン動翼1の翼体3における各冷却孔31,32,41,42の延在状態を説明するための模式的な断面図である。図6は、図4Aに示した一実施形態のタービン動翼1の翼体3における各冷却孔31,32,41,42の他の実施形態について、各冷却孔31,32,41,42の延在状態を説明するための模式的な断面図である。図7は、他の実施形態のタービン動翼1の後端近傍をタービン動翼1の先端側から見た図である。図8は、図7に示した他の実施形態のタービン動翼1の翼体3における各冷却孔31,32,41,42の延在状態を説明するための模式的な断面図である。
なお、図5,6,8で図示された各冷却孔31,32,41,42の断面は、説明の便宜上、各冷却孔31,32,41,42をそれぞれの延在方向に沿って切断した際に表れる断面を前縁18側から投影した模式的なものである。
【0077】
図4A,4B,7,9に示す幾つかの実施形態では、各冷却孔31,32,41,42は、冷却空気の流れに沿って最も下流側に位置する隔壁10eを挟んで上流側と下流側に位置する上流側冷却流路4U又は下流側冷却流路4Dからの冷却空気を流通させるように構成されている。しかし、各冷却孔31,32,41,42は、冷却空気の流れに沿って最も下流側に位置する隔壁10e以外の何れかの隔壁10a〜10dを挟んで上流側と下流側に位置する上流側冷却流路4U又は下流側冷却流路4Dからの冷却空気を流通させるように構成されていてもよい。以下の説明では、図4A,4B,7を参照して説明する場合であっても、特に言及していない限り、各冷却孔31,32,41,42は、何れかの隔壁10a〜10eを挟んで上流側と下流側に位置する上流側冷却流路4U又は下流側冷却流路4Dからの冷却空気を流通させるように構成されているものとする。
【0078】
図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、翼体3は、腹側第1冷却孔31と、腹側第2冷却孔32と、背側第1冷却孔41と、背側第2冷却孔42とを有する。しかし、翼体3は、各冷却孔31,32,41,42の少なくとも何れか一つを有していれば、その少なくとも何れか一つの冷却孔の少なくとも一部が通過する隔壁接合領域を冷却できる。
【0079】
例えば、翼体3は、腹側第1冷却孔31と、背側第1冷却孔41との少なくとも一方を有していてもよい。
【0080】
図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32における、出口側開口31Bの位置と出口側開口32Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さ、すなわち前縁18と後縁19とを結ぶ翼弦方向の長さは、入口側開口31Aの位置と入口側開口32Aの位置との間の前縁―後縁方向の長さより短い。
これにより、隔壁10eを挟んで配置された腹側第1冷却孔31と腹側第2冷却孔32が、出口側開口31B,32Bに近づくと共に隔壁10eに一層接近することになり、隔壁10eの冷却し難い領域の冷却が一層強化される。
同様に、図4A,4B,7に示すように、幾つかの実施形態では、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42における、出口側開口41Bの位置と出口側開口42Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さは、入口側開口41Aの位置と入口側開口42Aの位置との間の前縁―後縁方向の長さより短い。
これにより、隔壁10eを挟んで配置された背側第1冷却孔41と背側第2冷却孔42が、出口側開口41B,42Bに近づくと共に隔壁10eに一層接近することになり、隔壁10eの冷却し難い領域の冷却が一層強化される。
【0081】
図4A,4Bに示す実施形態では、腹側第1冷却孔31の出口側開口31Bの位置と、腹側第2冷却孔32の出口側開口32Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さは、隔壁10eの厚さより短い。
同様に、図4A,4Bに示す実施形態では、背側第1冷却孔41の出口側開口41Bの位置と、背側第2冷却孔42の出口側開口42Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さは、隔壁10eの厚さより短い。
【0082】
幾つかの実施形態では、隔壁10を挟んで隣接して配置される前縁側冷却流路4Uと後縁側冷却流路4Dのうち、前縁側冷却流路4Uには腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42が連通し、後縁側冷却流路4Dには腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41が連通する。
したがって、腹側第1冷却孔31の出口側開口31Bの位置と、腹側第2冷却孔32の出口側開口32Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さが隔壁10eの厚さより短い場合、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32が腹側隔壁接合領域Raに一層接近して、腹側隔壁接合領域Raの冷却が強化される。
同様に、背側第1冷却孔41の出口側開口41Bの位置と、背側第2冷却孔42の出口側開口42Bの位置との間の前縁―後縁方向の長さが隔壁10eの厚さより短い場合、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42が背側隔壁接合領域Rbに一層接近して、腹側隔壁接合領域Raの冷却が強化される。
これにより、腹側翼壁13において冷却流路4と対面している領域と比べて冷却し難い腹側隔壁接合領域Raを腹側第1冷却孔31又は腹側第2冷却孔32の少なくとも一方を流れる冷却空気によって冷却できる。同様に、背側翼壁14において冷却流路4と対面している領域と比べて冷却し難い背側隔壁接合領域Rbを背側第1冷却孔41又は背側第2冷却孔42の少なくとも一方を流れる冷却空気によって冷却できる。
【0083】
例えば図6に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口31A,32Aと、天板15の表面(外壁面)15bに形成される出口側開口31B,32Bとをそれぞれ有する。
腹側第1冷却孔31の出口側開口31Bは、腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aよりも腹側翼壁13の厚み方向に沿って翼体3の外部側に形成されている。
腹側第2冷却孔32の出口側開口32Bは、腹側第2冷却孔32の入口側開口32Aよりも腹側翼壁13の厚み方向に沿って翼体3の外部側に形成されている。
【0084】
一般的に、タービン動翼1では、天板15と、天板15と対向するタービン車室(ケーシング)122との間を燃焼ガスが通り抜ける際、天板15とケーシング122との間の隙間が小さいため燃焼ガスの流速が高くなり、翼体3に対する熱伝達率が向上するため、天板15における熱負荷が他の部位よりも高い。
その点、図6に示す実施形態のように、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bが天板15の表面に形成され、その位置が腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の入口側開口31A,32Aよりも腹側翼壁13の厚み方向に沿って翼体3の外部側であれば、入口側開口31A,32Aから腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32に流入した冷却空気によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板15を効果的に冷却しつつ、腹側隔壁接合領域Raを冷却できる。
なお、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0085】
なお、背側についても同様であってもよい。すなわち、例えば図6に示す実施形態では、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口41A,42Aと、天板15の外壁面15bに形成される出口側開口41B,42Bとをそれぞれ有する。
背側第1冷却孔41の出口側開口41Bは、背側第1冷却孔41の入口側開口41Aよりも背側翼壁14の厚み方向に沿って翼体3の外部側に形成されている。
背側第2冷却孔42の出口側開口42Bは、背側第2冷却孔42の入口側開口42Aよりも背側翼壁14の厚み方向に沿って翼体3の外部側に形成されている。
これにより、入口側開口41A,42Aから背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42に流入した冷却空気によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板15を効果的に冷却しつつ、背側隔壁接合領域Rbを冷却できる。
なお、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0086】
例えば図5に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口31A,32Aと、腹側翼壁13の表面に形成される出口側開口31B,32Bと、をそれぞれ有する。
腹側第1冷却孔31の出口側開口31Bは、腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aよりも翼頂側に形成されている。
腹側第2冷却孔32の出口側開口32Bは、腹側第2冷却孔32の入口側開口32Aよりも翼頂側に形成されている。
【0087】
上述したように、一般的に、タービン動翼1では、天板15における熱負荷が他の部位よりも高いため、翼壁13,14の温度は、天板15からの伝熱によって翼頂側が高くなりがちである。
その点、図5に示す実施形態のように、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bが腹側翼壁13の表面に形成され、その位置が腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の入口側開口31A,32Aよりも翼頂側であれば、入口側開口31A,32Aから腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32に流入した冷却空気によって、腹側隔壁接合領域Raを冷却できるとともに、腹側隔壁接合領域Raのうち温度がより高くなりがちな翼頂側の領域を効果的に冷却できる。
なお、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0088】
なお、背側についても同様であってもよい。すなわち、例えば図5に示す実施形態では、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口41A,42Aと、背側翼壁14の表面に形成される出口側開口41B,42Bとをそれぞれ有する。
背側第1冷却孔41の出口側開口41Bは、背側第1冷却孔41の入口側開口41Aよりも翼頂側に形成されている。
背側第2冷却孔42の出口側開口42Bは、背側第2冷却孔42の入口側開口42Aよりも翼頂側に形成されている。
これにより、入口側開口41A,42Aから背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42に流入した冷却空気によって、背側隔壁接合領域Rbを冷却できるとともに、背側隔壁接合領域Rbのうち温度がより高くなりがちな翼頂側の領域を効果的に冷却できる。
なお、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0089】
図7,8に示す一実施形態では、翼体3における腹側翼壁13と天板15との接続部の近傍での燃焼ガスの流れの乱れを抑制するためや、該接続部の面取りのために、翼体3の外部側で腹側翼壁13及び天板15の双方に対して傾斜した傾斜面16aを有する接続部16が設けられている。
また、幾つかの実施形態に係る翼体3には、天板15と、天板15と対向するケーシング122とのクリアランスのリーク流れに起因した損失低減を目的として、例えば、図7,8に示すように、天板15にスキーラリブ17を設けてもよい。
【0090】
例えば図7,8に示す実施形態では、翼体3は、腹側翼壁13と天板15との接続部であって、翼体3の外部側で腹側翼壁13及び天板15の双方に対して傾斜した傾斜面16aを有する接続部16を有する。
腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口31A,32Aと、接続部16の傾斜面16aに形成される出口側開口31B,32Bと、をそれぞれ有する。腹側翼壁13と天板15の接続部16に傾斜面16aを設けることにより、腹側翼面から天板15に流れる燃焼ガス流の隔離が減少し、燃焼ガス流の乱れによる天板の過熱が抑制される。
【0091】
上述したように、一般的に、タービン動翼1では、天板15における熱負荷が他の部位よりも高い。
また、図7,8に示す一実施形態では、上述したように、傾斜面16aを有する接続部16が設けられている。
その点、図7,8に示す実施形態のように、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bが傾斜面16aに形成されていれば、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32に流入した冷却空気によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板15を冷却しつつ、腹側隔壁接合領域Raのうち温度がより高くなりがちな翼頂側の領域である腹側翼壁13と天板15との接続部16を効果的に冷却できる。
なお、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0092】
なお、図示はしないが、図7,8に示す実施形態の傾斜面16aように、背側翼壁14と天板15との接続部に翼体3の外部側で背側翼壁14及び天板15の双方に対して傾斜した傾斜面が形成されている場合、上述した構成と同様に、該傾斜面に背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bを形成してもよい。
これにより、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42から背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42に流入した冷却空気によって、他の部位よりも熱負荷が高い天板15を冷却しつつ、背側隔壁接合領域Rbのうち温度がより高くなりがちな翼頂側の領域を効果的に冷却できる。
なお、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0093】
また、図7,8に示すように、天板15にスキーラリブ17が設けられていれば、上述した構成と同様に、スキーラリブ17に背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bを形成してもよい。
なお、図7,8に示すように、スキーラリブ17に背側翼壁14及び天板15の双方に対して傾斜した傾斜面17aが形成されている場合、スキーラリブ17の傾斜面17aに背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bを形成してもよい。これらのような構成によっても、他の部位よりも熱負荷が高い天板15を冷却しつつ、背側隔壁接合領域Rbのうち温度がより高くなりがちな翼頂側の領域を効果的に冷却できる。
【0094】
例えば図4A,7に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口31A,32Aと、開口の中心位置が腹側隔壁接合領域Raに存在するように翼体3の表面に形成される出口側開口31B,32Bと、をそれぞれ有する。なお、ここで、翼体3の表面とは、翼壁13,14の表面だけではなく、天板15や接続部16、スキーラリブ17の表面も含む。
【0095】
このように、例えば図4A,7に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bが、開口の中心位置が腹側隔壁接合領域Raに存在するように翼体3の表面に形成されるので、出口側開口31B,32Bの開口の中心位置が腹側隔壁接合領域Raに存在しない場合と比べて、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32が腹側隔壁接合領域Raを通過する距離を大きくすることができる。これにより、腹側隔壁接合領域Raを効果的に冷却できる。
また、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bを、その中心位置が腹側隔壁接合領域Raに存在するように翼体3の表面に形成することで、腹側隔壁接合領域Raにおける翼面を出口側開口31B,32Bから流出した冷却空気によって効果的な冷却を行うことができる。
なお、腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の出口側開口31B,32Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0096】
なお、背側についても同様であってもよい。すなわち、例えば図4A,7に示す実施形態では、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42は、サーペンタイン流路6,7に面して形成される入口側開口41A,42Aと、中心位置が背側隔壁接合領域Rbに存在するように翼体3の表面に形成される出口側開口41B,42Bとをそれぞれ有する。
このように、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bの形成位置を上述したように設定することで、出口側開口41B,42Bの開口の中心位置が背側隔壁接合領域Rbに存在しない場合と比べて、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42が背側隔壁接合領域Rbを通過する距離を大きくすることができる。これにより、背側隔壁接合領域Rbを効果的に冷却できる。
また、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bを、開口の中心位置が背側隔壁接合領域Rbに存在するように翼体3の表面に形成することで、背側隔壁接合領域Rbにおける翼面を出口側開口41B,42Bから流出した冷却空気によって効果的な冷却を行うことができる。
なお、背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の出口側開口41B,42Bの何れか一方だけが上述したように構成されていてもよい。
【0097】
例えば図4A,7では、幾つかの実施形態に係る腹側第1冷却孔31は、サーペンタイン流路6,7のうち、最も下流側、すなわち最も後縁19側に近い位置においてタービン動翼1の径方向に沿って延在する冷却流路4c,4fに面して形成される入口側開口31Aを有する。
これにより、冷却流路4c,4fよりも上流側においてタービン動翼1の径方向に沿って延在する冷却流路の何れかに腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aが形成された場合と比べて、腹側第1冷却孔31から翼体3の外部に排出される冷却空気は、サーペンタイン流路6,7に沿ってより長い距離を流れることになり、冷却流路を形成する翼体から、より多くの熱を奪うことができる。したがって、腹側第1冷却孔31から翼体3の外部に排出される冷却空気により多くの熱を奪わせることができるので、冷却空気の流量を抑制でき、タービン効率の低下を抑制できる。
なお、前縁側サーペンタイン流路6の冷却流路4cに面して形成される入口側開口31Aを有する腹側第1冷却孔31と、後縁側サーペンタイン流路7の冷却流路4fに面して形成される入口側開口31Aを有する腹側第1冷却孔31との、双方を設けてもよく、何れか一方だけを設けてもよい。この点は、次に述べる背側についても同様である。
【0098】
なお、背側についても同様であってもよい。すなわち、例えば図4A,7では、幾つかの実施形態に係る背側第1冷却孔41は、サーペンタイン流路6,7のうち、最も下流側においてタービン動翼1の径方向に沿って延在する冷却流路4c,4fに面して形成される入口側開口41Aを有する。
これにより、冷却流路4c,4fよりも上流側においてタービン動翼1の径方向に沿って延在する冷却流路の何れかに背側第1冷却孔41の入口側開口41Aが形成された場合と比べて、背側第1冷却孔41から翼体3の外部に排出される冷却空気は、サーペンタイン流路6,7に沿ってより長い距離を流れることになり、より多くの熱を奪うことができる。したがって、背側第1冷却孔41から翼体3の外部に排出される冷却空気により多くの熱を奪わせることができるので、冷却空気の流量を抑制でき、タービン効率の低下を抑制できる。
【0099】
例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31は、サーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成される入口側開口31Aをそれぞれ有する。
【0100】
天板15と腹側翼壁13との接続部では、延在方向が異なる天板15と腹側翼壁13とが接続されているため、応力集中が発生し易い。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aがサーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成されるので、応力集中が発生し易い場所に入口側開口31Aが形成されることを避けることができる。
【0101】
なお、背側についても同様であってもよい。すなわち、例えば図5,6,8に示す実施形態では、背側第1冷却孔41は、サーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成される入口側開口41Aをそれぞれ有する。
天板15と背側翼壁14との接続部では、延在方向が異なる天板15と背側翼壁14とが接続されているため、応力集中が発生し易い。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、背側第1冷却孔41の入口側開口41Aがサーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成されるので、応力集中が発生し易い場所に入口側開口41Aが形成されることを避けることができる。
【0102】
例えば図5,6,8に示す実施形態では、翼体3は、腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41を有する。
腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41は、サーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成される入口側開口31A,41Aをそれぞれ有する。
腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aは、背側第1冷却孔41の入口側開口41Aよりも翼体の基端側に形成される。
【0103】
上述したように、天板15と腹側翼壁13との接続部では、延在方向が異なる天板15と腹側翼壁13とが接続されているため、応力集中が発生し易い。同様に、天板15と背側翼壁14との接続部では、延在方向が異なる天板15と背側翼壁14とが接続されているため、応力集中が発生し易い。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31及び背側第1冷却孔41のそれぞれの入口側開口31A,41Aがサーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成されるので、応力集中が発生し易い場所に入口側開口31A,41Aが形成されることを避けることができる。
また、上述したように、一般的に、タービン動翼1では、背側に比べて腹側の方が翼体3の温度が高くなりがちである。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aが背側第1冷却孔41の入口側開口41Aよりも翼体3の基端側に形成されているので、背側に比べて温度が高くなりがちな腹側において、応力集中が発生し易い天板15と腹側翼壁13との接続部からさらに離れた位置に腹側第1冷却孔31の入口側開口31Aを形成できる。
【0104】
なお、腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42についても同様であってもよい。すなわち、例えば図5,6,8に示す実施形態では、翼体3は、腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42を有する。
腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42は、サーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成される入口側開口32A,42Aをそれぞれ有する。
腹側第2冷却孔32の入口側開口32Aは、背側第2冷却孔42の入口側開口42Aよりも翼体の基端側に形成される。
【0105】
上述したように、天板15と腹側翼壁13との接続部、及び、天板15と背側翼壁14との接続部では、応力集中が発生し易い。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第2冷却孔32及び背側第2冷却孔42のそれぞれの入口側開口32A,42Aがサーペンタイン流路6,7に面して天板15から翼体3の基端側に離れた位置に形成されるので、応力集中が発生し易い場所に入口側開口32A,42Aが形成されることを避けることができる。
また、上述したように、一般的に、タービン動翼1では、背側に比べて腹側の方が翼体3の温度が高くなりがちである。その点、例えば図5,6,8に示す実施形態では、腹側第2冷却孔32の入口側開口32Aが背側第2冷却孔42の入口側開口42Aよりも翼体3の基端側に形成されているので、背側に比べて温度が高くなりがちな腹側において、応力集中が発生し易い天板15と腹側翼壁13との接続部からさらに離れた位置に腹側第2冷却孔32の入口側開口32Aを形成できる。
【0106】
例えば図4A,7に示す実施形態では、隔壁10は、腹側翼壁13及び背側翼壁14の何れか一方から他方へ向かう隔壁10の中心線WxがキャンバーラインCに対して傾斜している。すなわち、図4A,7,9に示す実施形態では、隔壁10は、腹側翼壁13及び背側翼壁14の何れか一方から他方へ向かう隔壁10の中心線WxがキャンバーラインCに直交する線分と交差する。
【0107】
このように、例えば図4A,7に示す実施形態では、隔壁の中心線Wxが翼型の中心線であるキャンバーラインCに対して傾斜しているので、腹側翼壁13及び背側翼壁14に対して傾斜した状態で接続されている。そのため、腹側隔壁接合領域Raや背側隔壁接合領域Rbが大きくなる。腹側隔壁接合領域Raや背側隔壁接合領域Rbが大きくなると、サーペンタイン流路6,7を流れる冷却空気によって腹側隔壁接合領域Raや背側隔壁接合領域Rbを冷却し難くなる。
その点、例えば図4A,7に示す実施形態では、少なくとも一部が腹側隔壁接合領域Raを通過する腹側第1冷却孔31及び腹側第2冷却孔32の組合せ、及び、少なくとも一部が背側隔壁接合領域Rbを通過する背側第1冷却孔41及び背側第2冷却孔42の組合せの少なくとも一方を有するので、腹側隔壁接合領域Raや背側隔壁接合領域Rbが上述した理由により大きくなってしまっても、腹側隔壁接合領域Raや背側隔壁接合領域Rbの少なくとも一方の温度上昇を抑制できる。
【0108】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述したように、翼体3は、各冷却孔31,32,41,42の少なくとも何れか一つを有していれば、その少なくとも何れか一つの冷却孔の少なくとも一部が通過する隔壁接合領域を冷却できる。
なお、翼体3を、各冷却孔31,32,41,42の少なくとも何れか一つを有するように構成する場合、上述した幾つかの実施形態に係る各冷却孔31,32,41,42の何れの実施形態の冷却孔を採用することができる。また、翼体3を、各冷却孔31,32,41,42の少なくとも二つ以上を有するように構成する場合、上述した幾つかの実施形態に係る各冷却孔31,32,41,42の中から異なる実施形態の冷却孔を適宜組み合わせて採用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 タービン動翼
3 翼部(翼体)
4,4a,4b,4c,4d,4e,4f 冷却流路
4U 上流側冷却流路(前縁側冷却流路)
4D 下流側冷却流路(後縁側冷却流路)
6 前縁側サーペンタイン流路
7 後縁側サーペンタイン流路
8,9 供給流路
10 隔壁
13 腹側の壁部(腹側翼壁)
14 背側の壁部(背側翼壁)
15 天板
16 接続部
31 腹側第1冷却孔
31A,32A,41A,42A 入口側開口
31B,32B,41B,42B 出口側開口
32 腹側第2冷却孔
41 背側第1冷却孔
42 背側第2冷却孔
AXa1,AXa2,AXb1,AXb2 中心軸
C キャンバーライン
Ra 腹側隔壁接合領域
Rb 背側隔壁接合領域
Wx 中心線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8