【解決手段】密閉容器に設けられる防爆弁1は、弁孔211を備える板状の基部21と、基部21から延設されると共に弾性変形可能な延設部22と、を備えるバネ部材2と、延設部22に係止又は一体成型されることにより保持されると共に弁孔211を塞ぐ閉塞位置に延設部22により付勢されるシーリング部材3と、を有する。
前記基部を前記プレス加工である絞り加工及び曲げ加工して、前記シーリング部材の前記閉塞位置からの移動に伴って弾性変形する折り曲げ部を備える前記延設部を形成すると共に、前記延設部のうちの少なくとも前記折り曲げ部を前記絞り加工により前記基部よりも薄肉に形成する、
ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の防爆弁の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態につき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
<カバーの構成>
本発明の第1の実施形態に係る防爆弁1を備えるカバー100の構成につき、
図1を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係るカバー100は、リチウムイオン電池の図示しない密閉容器の筐体の一部を構成する筐体構成部材であり、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属により形成されている。カバー100は、防爆弁1と、基板101と、貫通孔102と、を有している。なお、カバー100は、リチウムイオン電池の密閉容器を構成する場合に限らず、リチウムイオン電池以外の電池又はコンデンサ等の密閉容器を構成してもよい。
【0018】
防爆弁1は、基板101に設けられ、密閉容器内の内圧が平常値である場合に閉弁し、密閉容器内の内圧の上昇に伴って開弁する構成を有している。なお、防爆弁1の構成の詳細については後述する。
【0019】
基板101は、金属板により形成されており、左右方向の中央に設けられた防爆弁1と、防爆弁1の左右に一対設けられた貫通孔102と、を有している。
【0020】
貫通孔102は、基板101において板厚方向(上下方向)に貫通して設けられている。貫通孔102には、図示しない電極の端子が挿通される。
【0021】
<防爆弁の構成>
本発明の第1の実施形態に係る防爆弁1の構成につき、
図2から
図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0022】
防爆弁1は、バネ部材2と、シーリング部材3と、を有している。
【0023】
バネ部材2は、シーリング部材3を保持しており、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属により形成されている。バネ部材2は、基部21と、延設部22と、を備えている。
【0024】
基部21は、板状であり、カバー100の基板101と一体に形成されて基板101の一部を構成している。基部21には、板厚方向に貫通する弁孔211が設けられている。
【0025】
延設部22は、複数設けられており、弁孔211の周囲に間隔を空けて配列されていると共に、基部21から上方に延設されている。延設部22は、基部21よりも厚みが薄い薄肉になるように形成されており、弾性変形可能である。具体的には、延設部22は、保持部221と、付勢部222と、保持部223と、を備えている。
【0026】
保持部221は、基部21から上方に延設された後に外部側方に延設されており、シーリング部材3を移動自在に保持している。
【0027】
付勢部222は、保持部221との接続部から内部側方に延設されている。ここで、保持部221と付勢部222との接続部は、折り曲げ部を構成している。付勢部222は、
図4に示すように、弁孔211を塞ぐ閉塞位置にシーリング部材3を付勢している。
【0028】
保持部223は、付勢部222の延設方向の先端において付勢部222に接続しており、シーリング部材3と一体成型されることによりシーリング部材3を保持している。
【0029】
シーリング部材3は、平面視で円形であると共にバネ部材2に保持されており、例えばシリコンゴム、ポリペプチド(PPT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリテトラフルオロエチレン(PFA)等の弾性を有する材料により形成されている。シーリング部材3は、閉塞部31と、突出部32と、を備えている。
【0030】
閉塞部31は、平面視において弁孔211の内径よりも大きい外径を有しており、外部から力を受けない状態において延設部22により弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢されている。閉塞部31は、下方に突出していると共に保持部221に移動自在に係止される係止部311を外周端部に備えている。
【0031】
突出部32は、閉塞部31から上方に突出している。突出部32は、平面視において弁孔211の内径よりも小さい外径を有しており、
図2に示すように、弁孔211の周縁との間に隙間S2を有している。突出部32は、保持部223と一体成型されることにより保持部223に保持されている。
【0032】
ここで、
図2から
図4に示す防爆弁1には、弁孔211の周囲に延設部22を45度間隔で4つ設けているが、弁孔211の周囲において弁孔211を開弁する所望の内圧に応じた数の延設部22を設けることができる。具体的には、弁孔211を本実施形態よりも小さい内圧で開弁させたい場合には延設部22を3つ以下とし、弁孔211を本実施形態よりも大きい内圧になってから開弁させたい場合には延設部22を5つ以上にすることができる。なお、延設部22の各々は、弁孔211の周囲に等角度間隔で設ける場合に限らず、弁孔211の周囲に異なる角度間隔で設けてもよい。
【0033】
また、延設部22における基部21と保持部221との接続部から付勢部222と保持部223との接続部までの長さは、弁孔211を開弁する所望の内圧に応じた長さにすることができる。特に、付勢部222における保持部221との接続部から保持部223との接続部までの長さを調整することにより、所望の内圧で弁孔211を開弁させることができる。
【0034】
<防爆弁の動作>
本発明の第1の実施形態に係る防爆弁1の動作につき、
図2から
図5を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0035】
図示しない密閉容器内の内圧が平常値である場合には、防爆弁1は、延設部22によりシーリング部材3を付勢することにより、シーリング部材3により弁孔211を閉塞する
図4に示す状態になっている。
【0036】
防爆弁1は、
図4に示す状態において密閉容器内の内圧が上昇した際において、弁孔211を介してシーリング部材3に内圧が加わってシーリング部材3が上方に押圧され、シーリング部材3に対する上方への押圧力が延設部22のシーリング部材3を閉塞位置に付勢する付勢力に打ち勝った際に、シーリング部材3が延設部22の付勢力に抗して閉塞位置から移動して、保持部221と付勢部222との接続部が弾性変形する。これにより、防爆弁1は、バネ部材2の保持部221に対するシーリング部材3の係止部311の係止状態が解除されると共に、係止部311が上方に移動して、バネ部材2と係止部311との間に隙間S3を生じる
図5に示す状態になる。
【0037】
防爆弁1は、
図5に示す状態になることにより、密閉容器内のガス等を弁孔211、隙間S3及び隙間S2の順番で外部に逃がすことにより、密閉容器内の内圧を開放することができる。
【0038】
防爆弁1は、密閉容器内の内圧が低下する過程において、延設部22のシーリング部材3を閉塞位置に付勢する付勢力が密閉容器内の内圧によるシーリング部材3に対する上方への押圧力に打ち勝った際に、延設部22の付勢力によりシーリング部材3が閉塞位置に付勢されてシーリング部材3により弁孔211を塞ぐ。これにより、防爆弁1は、密閉容器内を外部から密閉する。
【0039】
<防爆弁の製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る防爆弁1の製造方法につき、
図6を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0040】
まず、金属板である基板101を絞り加工して、基部21と、基部21より上方に凸となる円筒部23と、を形成する(
図6(a))。円筒部23を絞り加工により形成することにより、円筒部23は基部21よりも厚みが薄くなる。
【0041】
次に、円筒部23を基板101の平面(x−y平面)に平行に切断して、弁孔211と、基部21から円筒状に立設された立設壁24と、を形成する(
図6(b))。
【0042】
次に、立設壁24を加工して基部21から延設される4つの延設片を形成すると共に、各延設片を曲げ加工して4つの延設部22を形成することによりバネ部材2を形成する。そして、バネ部材2を成型用金型にセットし、溶融した樹脂を成型用金型に注入して冷却することにより、バネ部材2の保持部223に一体成型されて保持されたシーリング部材3を形成する(
図6(c))。この際に、シーリング部材3の閉塞部31の係止部311は、保持部221に保持されない。
【0043】
次に、シーリング部材3を延設部22からの下方への付勢力に抗して下方から上方に押圧して延設部22を弾性変形させると共に、シーリング部材3の係止部311を保持部221に係止させる(
図6(d))。これにより、シーリング部材3は、延設部22により弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、弁孔211を備える板状の基部21と、基部21から延設されると共にシーリング部材3を弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢する延設部22と、を備えるバネ部材2と、シーリング部材3と、により防爆弁1を構成することにより、開弁後に閉弁することができると共に、部品点数を削減して製造工程を簡略化することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、密閉容器を構成するカバー100の基板101に防爆弁1を一体に形成することにより、密閉容器に対する防爆弁1の取り付け作業を削減することができ、防爆弁1を密閉容器に容易に設けることができる。
【0046】
なお、本実施形態において、シーリング部材3を保持する保持部221及び保持部223と、シーリング部材3を弁孔211に付勢する付勢部222と、を延設部22に設けたが、シーリング部材3を保持する保持部とシーリング部材3を弁孔211に付勢する付勢部との各々を、基部より延設された異なる延設部に設けてもよい。
【0047】
また、本実施形態において、延設部22を基部21よりも厚みが薄くなるように形成したが、延設部22を基部21と同一の厚みになるように形成してもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るカバーの構成は防爆弁1の代わりに防爆弁4を設ける以外は
図1と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0049】
<防爆弁の構成>
本発明の第2の実施形態に係る防爆弁4の構成につき、
図7から
図9を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0050】
なお、
図7から
図9において、
図1から
図5と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
防爆弁4は、バネ部材2と、シーリング部材5と、を有している。
【0052】
保持部221は、基部21から上方に延設された後に外部側方に延設されており、シーリング部材5を移動自在に保持している。
【0053】
付勢部222は、保持部221との接続部から内部側方に延設されている。付勢部222は、弁孔211を塞ぐ閉塞位置にシーリング部材5を付勢している。
【0054】
シーリング部材5は、平面視で円形であると共にバネ部材2に保持されており、例えばシリコンゴム、ポリペプチド(PPT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリテトラフルオロエチレン(PFA)等の弾性を有する材料により形成されている。シーリング部材5は、閉塞部51を備えている。
【0055】
閉塞部51は、平面視において弁孔211の内径よりも大きい外径を有しており、外部から力を受けない状態において延設部22により弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢されている。閉塞部51は、下方に突出していると共に保持部221に移動自在に係止される係止部511を外周端部に備えている。
【0056】
ここで、
図7から
図9に示す防爆弁4には、弁孔211の周囲に延設部22を45度間隔で4つ設けているが、弁孔211の周囲において弁孔211を開弁する所望の内圧に応じた数の延設部22を設けることができる。具体的には、弁孔211を本実施形態よりも小さい内圧で開弁させたい場合には延設部22を3つ以下とし、弁孔211を本実施形態よりも大きい内圧になってから開弁させたい場合には延設部22を5つ以上にすることができる。なお、延設部22の各々は、弁孔211の周囲に等角度間隔で設ける場合に限らず、弁孔211の周囲に異なる角度間隔で設けてもよい。
【0057】
また、延設部22における基部21と保持部221との接続部から延設方向の先端までの長さは、弁孔211を開弁する所望の内圧に応じた長さにすることができる。特に、付勢部222における保持部221との接続部から延設方向の先端までの長さを調整することにより、所望の内圧で弁孔211を開弁させることができる。
【0058】
<防爆弁の動作>
本発明の第2の実施形態に係る防爆弁4の動作につき、
図7から
図10を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0059】
図示しない密閉容器内の内圧が平常値である場合には、防爆弁4は、延設部22によりシーリング部材5を付勢することにより、シーリング部材5により弁孔211を閉塞する
図9に示す状態になっている。
【0060】
防爆弁4は、
図9に示す状態において密閉容器内の内圧が上昇した際において、弁孔211を介してシーリング部材5に内圧が加わってシーリング部材5が上方に押圧され、シーリング部材5に対する上方への押圧力が延設部22のシーリング部材5を閉塞位置に付勢する付勢力に打ち勝った際に、シーリング部材5が延設部22の付勢力に抗して閉塞位置から移動すると共に、保持部221と付勢部222との接続部が弾性変形する。これにより、防爆弁4は、バネ部材2の保持部221に対するシーリング部材5の係止部511の係止状態が解除されると共に、係止部511が上方に移動して、バネ部材2と係止部511との間に、外部に連通する隙間S4を生じる
図10に示す状態になる。
【0061】
防爆弁4は、
図10に示す状態になることにより、密閉容器内のガス等を、弁孔211及び隙間S4の順番で外部に逃がすことにより、密閉容器内の内圧を開放することができる。
【0062】
防爆弁4は、密閉容器内の内圧が低下する過程において、延設部22のシーリング部材5を閉塞位置に付勢する付勢力が密閉容器内の内圧によるシーリング部材5に対する上方への押圧力に打ち勝った際に、延設部22の付勢力によりシーリング部材5が閉塞位置に付勢されてシーリング部材5により弁孔211を塞ぐ。これにより、防爆弁4は、密閉容器内を外部から密閉する。
【0063】
<防爆弁の製造方法>
本発明の第2の実施形態に係る防爆弁4の製造方法につき、
図11を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0064】
まず、金属板である基板101を絞り加工して、基部21と、基部21より上方に凸となる円筒部23と、を形成する(
図11(a))。円筒部23を絞り加工により形成することにより、円筒部23は基部21よりも厚みが薄くなる。
【0065】
次に、円筒部23を基板101の平面(x−y平面)に平行に切断して、弁孔211と、基部21から立設された円筒状の立設壁24と、を形成する(
図11(b))。
【0066】
次に、立設壁24を加工して基部21から延設される4つの延設片を形成すると共に、各延設片を曲げ加工して4つの延設部22を形成することによりバネ部材2を形成する(
図11(c))。
【0067】
次に、シーリング部材5を延設部22からの下方への付勢力に抗して下方から上方に押圧して延設部22を弾性変形させると共に、シーリング部材5の係止部511を保持部221に係止させる(
図11(d))。これにより、シーリング部材5は、延設部22により弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢される。
【0068】
このように、本実施形態によれば、弁孔211を備える板状の基部21と、基部21から延設されると共にシーリング部材5を弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢する延設部22と、を備えるバネ部材2と、シーリング部材5と、により防爆弁4を構成することにより、開弁後に閉弁することができると共に、部品点数を削減して製造工程を簡略化することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、密閉容器を構成するカバー100の基板101に防爆弁4を一体に形成することにより、密閉容器に対する防爆弁1の取り付け作業を削減することができ、防爆弁4を密閉容器に容易に設けることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、シーリング部材5をバネ部材2に係止して保持させることにより、上記第1の実施形態に比べて、防爆弁4を容易に製造することができる。
【0071】
なお、本実施形態において、シーリング部材5を保持する保持部221と、シーリング部材5を弁孔211に付勢する付勢部222と、を延設部22に設けたが、シーリング部材5を保持する保持部とシーリング部材5を弁孔211に付勢する付勢部との各々を基部より延設された異なる延設部に各々設けてもよい。
【0072】
また、本実施形態において、延設部22を基部21よりも厚みが薄くなるように形成したが、延設部22を基部21と同一の厚みになるように形成してもよい。
【0073】
(第3の実施形態)
<防爆弁の構成>
本発明の第3の実施形態に係る防爆弁6の構成につき、
図12及び
図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0074】
防爆弁6は、バネ部材7と、シーリング部材8と、を有している。
【0075】
バネ部材7は、シーリング部材8を保持しており、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属により形成されている。バネ部材7は、基部71と、延設部72と、を備えている。
【0076】
基部71は、板状であり、平面視で円形である。基部71には、板厚方向に貫通する弁孔711が設けられている。なお、基部71は、図示しない密閉容器の筐体の一部を構成するカバー等の筐体構成部材に溶接等により取り付けられ、筐体構成部材とは別体になっている。
【0077】
延設部72は、複数設けられており、弁孔711の周囲に間隔を空けて配列されていると共に、基部71から上方に延設されている。延設部72は、付勢部721と、保持部722と、折り曲げ部723と、を備えている。
【0078】
付勢部721は、折り曲げ部723から内部側方に延設されている。付勢部721は、シーリング部材8を弁孔711を塞ぐ閉塞位置に付勢している。
【0079】
保持部722は、付勢部721の延設方向の先端において付勢部721に接続しており、シーリング部材8と一体成型されることによりシーリング部材8を保持している。
【0080】
折り曲げ部723は、U字状に折り曲げられていると共に基部71と付勢部721とを接続しており、基部71及び付勢部721よりも厚みが薄い薄肉になるように形成されている。
【0081】
シーリング部材8は、例えばシリコンゴム、ポリペプチド(PPT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリテトラフルオロエチレン(PFA)等の弾性を有する材料により形成されている。シーリング部材8は、円筒形状であると共にバネ部材7に保持されている。シーリング部材8は、平面視において弁孔711の内径よりも大きい外径を有しており、外部から力を受けない状態において延設部72により弁孔711を塞ぐ閉塞位置に付勢されている。
【0082】
ここで、
図12及び
図13に示す防爆弁6には、基部71から延設部72を180度間隔で2つ設けているが、弁孔711を開弁する所望の内圧に応じた数の延設部72を設けることができる。具体的には、弁孔711を本実施形態よりも大きい内圧になってから開弁させたい場合には延設部72を3つ以上にすることができる。
【0083】
また、延設部72の各々は、弁孔711の周囲に等角度間隔で設ける場合に限らず、弁孔711の周囲に異なる角度間隔で設けてもよい。
【0084】
<防爆弁の動作>
本発明の第3の実施形態に係る防爆弁6の動作につき、
図12から
図14を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0085】
図示しない密閉容器内の内圧が平常値である場合には、防爆弁6は、延設部72によりシーリング部材8を付勢することにより、シーリング部材8により弁孔711を閉塞する
図13に示す状態になっている。
【0086】
防爆弁6は、
図13に示す状態において密閉容器内の内圧が上昇した際において、弁孔711を介してシーリング部材8に内圧が加わってシーリング部材8が上方に押圧され、シーリング部材8に対する上方への押圧力が延設部72のシーリング部材8を閉塞位置に付勢する付勢力に打ち勝った際に、シーリング部材8が延設部72の付勢力に抗して閉塞位置から上方に移動すると共に、折り曲げ部723が弾性変形する。これにより、防爆弁6は、バネ部材7とシーリング部材8との間に、外部に連通する隙間S5を生じる
図14に示す状態になる。
【0087】
防爆弁6は、
図14に示す状態になることにより、密閉容器内のガス等を、弁孔711及び隙間S5の順番で外部に逃がすことにより、密閉容器内の内圧を開放することができる。
【0088】
防爆弁6は、密閉容器内の内圧が低下する過程において、延設部72のシーリング部材8を閉塞位置に付勢する付勢力が密閉容器内の内圧によるシーリング部材8に対する上方への押圧力に打ち勝った際に、延設部72の付勢力によりシーリング部材8が閉塞位置に付勢されてシーリング部材8により弁孔711を塞ぐ。これにより、防爆弁6は、密閉容器内を外部から密閉する。
【0089】
<防爆弁の製造方法>
本発明の第3の実施形態に係る防爆弁6の製造方法につき、
図15を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0090】
まず、プレス金型を用いて金属板を曲げ加工等のプレス加工して、弁孔711を備える基部71と、基部71から延設される延設部72と、を形成する。この際に、延設部72を内方に折り曲げると共に、延設部72の先端が弁孔711の上端に位置するまで延設部72を下方に折り曲げる(
図15(a))。また、延設部72の折り曲げ部723を絞り加工して形成することにより、折り曲げ部723を基部71及び付勢部721よりも厚みを薄くして薄肉にする。
【0091】
次に、
図15(a)の加工品を図示しない成型用の金型にセットすると共に、保持部722を延設部72の付勢力に抗して金型ピンPで上方に押圧して延設部72を弾性変形させる(
図15(b))。
【0092】
次に、金型ピンPで延設部72を上方に押圧した状態で、成型用の金型に溶融させた樹脂を注入して硬化させることにより保持部722に一体成型により保持されたシーリング部材8を形成する(
図15(c))。
【0093】
次に、保持部722に対する金型ピンPによる上方への押圧力を除去することにより、シーリング部材8が延設部72の弾性復帰力により弁孔711を塞ぐ閉塞位置に付勢される。
【0094】
このように、本実施形態によれば、弁孔711を備える板状の基部71と、基部71から延設されると共にシーリング部材8を弁孔711を塞ぐ閉塞位置に付勢する延設部72と、を備えるバネ部材7と、シーリング部材8と、により防爆弁6を構成することにより、開弁後に閉弁することができると共に、部品点数を削減して製造工程を簡略化することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、防爆弁6をカバー等と一体に形成せずに単体で構成することにより、密閉容器の大きさ又は取付位置に応じたサイズの防爆弁6を密閉容器に取り付けることができる。
【0096】
なお、本実施形態において、シーリング部材8を保持する保持部722と、シーリング部材8を弁孔711に付勢する付勢部721と、を延設部72に設けたが、シーリング部材8を保持する保持部とシーリング部材8を弁孔711に付勢する付勢部との各々を基部より延設された異なる延設部に各々設けてもよい。
【0097】
また、本実施形態において、折り曲げ部723を基部71及び付勢部721よりも厚みが薄くなるように形成したが、折り曲げ部723を基部71及び付勢部721と同一の厚みになるように形成してもよい。
【0098】
(第4の実施形態)
<防爆弁の構成>
本発明の第4の実施形態に係る防爆弁9の構成につき、
図16及び
図17を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0099】
なお、
図16及び
図17において、
図1から
図4と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
防爆弁9は、シーリング部材3と、バネ部材10と、を有している。
【0101】
バネ部材10は、シーリング部材3を保持しており、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属により形成されている。バネ部材10は、延設部22と、基部1021と、を備えている。
【0102】
基部1021は、板状であり、平面視で円形である。基部1021には、板厚方向に貫通する弁孔211が設けられている。なお、基部1021は、図示しない密閉容器の筐体の一部を構成するカバー等の筐体構成部材に溶接等により取り付けられ、筐体構成部材とは別体になっている。
【0103】
延設部22は、複数設けられており、弁孔211の周囲に間隔を空けて配列されていると共に、基部1021から上方に延設されている。延設部22は、基部1021よりも厚みが薄い薄肉になるように形成されており、弾性変形可能である。
【0104】
保持部221は、基部1021から上方に延設された後に外部側方に延設されており、シーリング部材3を移動自在に保持している。
【0105】
シーリング部材3は、平面視で円形であると共にバネ部材10に保持されている。
【0106】
ここで、
図16及び
図17に示す防爆弁9には、弁孔211の周囲に延設部22を180度間隔で2つ設けているが、弁孔211を開弁する所望の内圧に応じた数の延設部22を設けることができる。具体的には、弁孔211を本実施形態よりも大きい内圧になってから開弁させたい場合には延設部22を3つ以上にすることができる。
【0107】
なお、防爆弁9の動作は防爆弁1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。また、防爆弁9の製造方法は、防爆弁1の製造方法において防爆弁1をカバー100に一体に形成することに代えて、防爆弁9をカバー等とは別体に形成する以外は防爆弁1の製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0108】
このように、本実施形態によれば、弁孔211を備える板状の基部1021と、基部1021から延設されると共にシーリング部材3を弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢する延設部22と、を備えるバネ部材10と、シーリング部材3と、により防爆弁9を構成することにより、開弁後に閉弁することができると共に、部品点数を削減して製造工程を簡略化することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、防爆弁6をカバー等と一体に形成せずに単体で構成することにより、密閉容器の大きさ又は取付位置に応じたサイズの防爆弁6を密閉容器に取り付けることができる。
【0110】
なお、本実施形態において、シーリング部材3を保持する保持部221及び保持部223と、シーリング部材3を弁孔211に付勢する付勢部222と、を延設部22に設けたが、シーリング部材3を保持する保持部とシーリング部材3を弁孔211に付勢する付勢部との各々を基部より延設された異なる延設部に各々設けてもよい。
【0111】
また、本実施形態において、延設部22を基部1021よりも厚みが薄くなるように形成したが、延設部22を基部1021と同一の厚みになるように形成してもよい。
【0112】
(第5の実施形態)
<防爆弁の構成>
本発明の第5の実施形態に係る防爆弁11の構成につき、
図18及び
図19を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0113】
なお、
図18から
図19において、
図7から
図9と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0114】
防爆弁11は、シーリング部材5と、バネ部材12と、を有している。
【0115】
バネ部材12は、シーリング部材5を保持しており、例えばアルミニウム又はステンレス等の金属により形成されている。バネ部材12は、延設部22と、基部1121と、を備えている。
【0116】
延設部22は、複数設けられており、弁孔211の周囲に間隔を空けて配列されていると共に、基部1121から上方に延設されている。延設部22は、基部1121よりも厚みが薄い薄肉になるように形成されており、弾性変形可能である。
【0117】
基部1121は、板状であり、平面視で円形である。基部1121には、板厚方向に貫通する弁孔211が設けられている。なお、基部1121は、図示しない密閉容器の筐体の一部を構成するカバー等の筐体構成部材に溶接等により取り付けられ、筐体構成部材とは別体になっている。
【0118】
保持部221は、基部1121から上方に延設された後に外部側方に延設されており、シーリング部材5を移動自在に保持している。
【0119】
シーリング部材5は、平面視で円形であると共にバネ部材12に保持されており、閉塞部51を備えている。
【0120】
なお、防爆弁11の動作は防爆弁4の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。また、防爆弁11の製造方法は、防爆弁4の製造方法において防爆弁4をカバー100に一体に形成することに代えて、防爆弁11をカバー等とは別体に形成する以外は防爆弁4の製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0121】
このように、本実施形態によれば、弁孔211を備える板状の基部1121と、基部1121から延設されると共にシーリング部材5を弁孔211を塞ぐ閉塞位置に付勢する延設部22と、を備えるバネ部材12と、シーリング部材5と、により防爆弁11を構成することにより、開弁後に閉弁することができると共に、部品点数を削減して製造工程を簡略化することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、防爆弁6をカバー等と一体に形成せずに単体で構成することにより、密閉容器の大きさ又は取付位置に応じたサイズの防爆弁6を密閉容器に取り付けることができる。
【0123】
なお、本実施形態において、シーリング部材5を保持する保持部221と、シーリング部材5を弁孔211に付勢する付勢部222と、を延設部22に設けたが、シーリング部材5を保持する保持部とシーリング部材5を弁孔211に付勢する付勢部との各々を基部より延設された異なる延設部に各々設けてもよい。
【0124】
また、本実施形態において、延設部22を基部1121よりも厚みが薄くなるように形成したが、延設部22を基部1121と同一の厚みになるように形成してもよい。
【0125】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。