【解決手段】モータ20と減速機構30とを備え、減速機構は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、外歯ギアの複数の孔に通される複数のピン32と、を有し、外歯ギアは、軸方向に見て、歯先を構成する第1円弧と、歯底を構成する第2円弧とが交互に連続する形状の第1歯車部を有し、内歯ギアは、軸方向に見て、歯底を構成する第3円弧と、歯先を構成する第4円弧とが交互に連続し、歯先の先端部に第4円弧の円弧曲線よりも歯底側へ後退した逃げ部を有する形状の第2歯車部を有する、電動アクチュエータ10。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータの断面図である。
図2は、減速機構を下側から見た図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、第1中心軸J1の軸方向に延びるモータシャフト21を有するモータ20と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。第1中心軸J1の軸方向は、上下方向と平行である。
【0011】
以下の説明においては、第1中心軸J1の軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、軸方向における
図1の下側を単に「下側」と呼ぶ。また、第1中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、第1中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。なお、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。
【0012】
ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、ケース筒部12aと、上蓋部12gと、ケースフランジ部12bと、円環板部12dと、ベアリング保持部12eと、コネクタ部12cと、を有する。
【0013】
ケース筒部12aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向両側に開口する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。ケース筒部12aの内部のうち円環板部12dよりも上側の部分は、制御基板収容部12fである。上蓋部12gは、ケース筒部12aの上端開口、すなわち制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。
【0014】
ケースフランジ部12bは、ケース筒部12aの下端部から径方向外側に拡がる円環板状である。円環板部12dは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環板状である。円環板部12dは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。ベアリング保持部12eは、円環板部12dの下面から下側に突出する円筒状である。ベアリング保持部12eは、第1中心軸J1を中心とし、下側に開口する。ベアリング保持部12eの内周面には、第3ベアリング53が固定されて保持される。コネクタ部12cは、ケース筒部12aの上端部における外周面から径方向外側に延びる柱状である。コネクタ部12cは、径方向外端部から径方向内側に窪む凹部を有する。コネクタ部12cには、図示しない外部電源が接続される。
【0015】
減速機構ケース13は、蓋部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、を有する。すなわち、ケース11は、蓋部13aを有する。蓋部13aは、第1中心軸J1を中心とする円環板状である。蓋部13aの径方向外端は、ケース筒部12aよりも径方向外側に位置する。蓋部13aは、減速機構30の下側を覆う。蓋部13aは、蓋部13aの上側の面から下側に窪む第2凹部13dを有する。第2凹部13dは、周方向に延びる環状である。
【0016】
筒部13bは、蓋部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bの上端部は、ケースフランジ部12bの下面の径方向外縁部に接触して固定される。突出筒部13cは、蓋部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、下側に開口する。
【0017】
突出筒部13cの内部は、第1大径部13eと、小径部13fと、第2大径部13gと、を有する。第1大径部13eは、突出筒部13cの内部の上端部であり、上側に開口して、筒部13bの内部と繋がる。小径部13fは、第1大径部13eの下側において、第1大径部13eの下端と繋がる。小径部13fの内径は、第1大径部13eの内径よりも小さい。第2大径部13gは、小径部13fの下側において、小径部13fの下端に繋がる。第2大径部13gは、突出筒部13cの内部の下端部であり、下側に開口して、ケース11の外部と繋がる。第2大径部13gの内径は、小径部13fの内径よりも大きい。第2大径部13gの内径は、例えば、第1大径部13eの内径と同じである。なお、第2大径部13gの内径は、第1大径部13eの内径より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0018】
突出筒部13cの内部には、軸方向に延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径部13fに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54の下端は、小径部13fの下端よりも上側に位置する。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ54のフランジ部は、第1大径部13eと小径部13fとの間の段差に上側から接触する。これにより、ブッシュ54が小径部13fから下側に抜けることが抑制される。
【0019】
モータ20は、モータシャフト21と、ロータ22と、ステータ23と、制御部24と、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52と第3ベアリング53とによって、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、第3軸部21cと、を有する。
【0020】
第1軸部21aは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第1軸部21aは、ロータ固定軸部21dと、上側軸部21eと、下側軸部21fと、を有する。ロータ固定軸部21dの外周面には、ロータ22が固定される。上側軸部21eは、ロータ固定軸部21dの上側において、ロータ固定軸部21dの上端と繋がる。上側軸部21eは、第1軸部21aの上端部であり、モータシャフト21の上端部である。上側軸部21eの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さい。上側軸部21eは、第3ベアリング53に支持される。
【0021】
下側軸部21fは、ロータ固定軸部21dの下側において、ロータ固定軸部21dの下端と繋がる。下側軸部21fは、第1軸部21aの下端部である。下側軸部21fの外径は、ロータ固定軸部21dの外径よりも小さく、上側軸部21eの外径よりも大きい。下側軸部21fの外径は、第2ベアリング52の内輪の内径よりも大きい。下側軸部21fは、第2ベアリング52の内輪の上側において、第2ベアリング52の内輪と軸方向に対向する。
【0022】
第2軸部21bは、第1軸部21aの下側において、第1中心軸J1に対して偏心した第2中心軸J2を中心として延びる。第2中心軸J2は、第1中心軸J1と平行である。
図1では、第2中心軸J2は、第1中心軸J1に対して左側に偏心する。第2軸部21bは、第1軸部21aの下端と繋がる。第2軸部21bの外径は、下側軸部21fの外径よりも小さい。第2軸部21bは、第2ベアリング52に支持される。
【0023】
第3軸部21cは、第1中心軸J1を中心として軸方向に延びる。第3軸部21cは、第2軸部21bの下側において、第2軸部21bの下端と繋がる。第3軸部21cの外径は、第2軸部21bの外径よりも小さい。第3軸部21cは、モータシャフト21の下端部である。第3軸部21cは、第1ベアリング51に支持される。
【0024】
ロータ22は、ロータ固定軸部21dの外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアの外周面に固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ22の径方向外側を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着される複数のコイルと、を有する。ステータ23は、ケース筒部12aの内周面に固定される。
【0025】
制御部24は、制御基板70と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ71と、バスバー80と、を有する。制御基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。制御基板70は、制御基板収容部12f内に収容され、円環板部12dの上面に固定される。図示は省略するが、制御基板70には、ステータ23のコイルが電気的に接続される。
【0026】
第2取付部材73は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第2取付部材73の内周面は、ロータ固定軸部21dにおけるロータ22よりも上側の部分の外周面に固定される。第2取付部材73の径方向外縁部は、上側に突出した位置に配置される。第2取付部材73の径方向外縁部は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲む。第2取付部材73は、例えば、非磁性体製である。なお、第2取付部材73は、磁性体製であってもよい。
【0027】
第2マグネット74は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第2マグネット74は、第2取付部材73の径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21とともに回転する。第2マグネット74は、第3ベアリング53およびベアリング保持部12eの径方向外側を囲み、第3ベアリング53と径方向に重なる位置に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0028】
第2回転センサ71は、制御基板70の下面に取り付けられる。第2回転センサ71は、円環板部12dを軸方向に貫通する孔部の内側に配置される。第2回転センサ71は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向に対向する。第2回転センサ71は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ71は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ71は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ71用いて、モータシャフト21とともに回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0029】
バスバー80は、コネクタ部12cに埋め込まれて保持される。バスバー80の一端は、制御基板70の上面に固定される。バスバー80の他端は、コネクタ部12cの径方向外端部に設けられた凹部からケース11の外部に露出する。バスバー80は、コネクタ部12cに接続される外部電源と電気的に接続される。バスバー80および制御基板70を介して、外部電源からステータ23のコイルに電源が供給される。
【0030】
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。より詳細には、減速機構30は、第2軸部21bおよび第3軸部21cの径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、蓋部13aとケースフランジ部12bとの軸方向の間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア33と、接続部34と、を有する。
【0031】
外歯ギア31は、第2中心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に拡がる略円環板状である。
図2に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。
図1および
図2に示すように、外歯ギア31は、第2軸部21bに第2ベアリング52を介して接続される。すなわち、第2軸部21bは、第2ベアリング52を介して、減速機構30接続され、減速機構30は、モータシャフト21に連結される。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52はモータシャフト21と外歯ギア31とを、第2中心軸J2周りに相対的に回転可能に連結する。なお、
図2においては、後述する円筒部34bの図示を省略している。
【0032】
外歯ギア31は、複数のピン32を有する。
図1に示すように、ピン32は、下側に突出する円柱状である。
図2に示すように、複数のピン32は、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図2では、ピン32は、例えば、8つ設けられる。
【0033】
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。
図1および
図2に示すように、内歯ギア33は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。
図1に示すように、内歯ギア33の径方向外縁部は、筒部13bの内周面に設けられた径方向外側に窪む凹部内に配置されて固定される。
図2に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部(
図2では左側部分)において噛み合う。
【0034】
図3は、外歯歯車の歯車部を示す部分平面図である。
図4は、内歯歯車の歯車部を示す部分平面図である。
図5は、外歯歯車と内歯歯車の噛み合い部分を拡大して示す部分平面図である。
【0035】
外歯ギア31は、
図3に示すように、軸方向に見て、歯先を構成する第1円弧C1と、歯底を構成する第2円弧C2とが交互に連続する形状の第1歯車部31aを有する。
内歯ギア33は、
図4に示すように、軸方向に見て、歯底を構成する第3円弧C3と、歯先を構成する第4円弧C4とが交互に連続し、かつ歯先の先端部に第4円弧C4の円弧曲線よりも歯底側へ後退する逃げ部33bを有する形状の第2歯車部33aを有する。
【0036】
図5に示す外歯ギア31と内歯ギア33が噛み合う部分において、外歯ギア31の歯先は、内歯ギア33の歯溝の内側を、径方向外側に突出する凸曲線状に移動する。そのため、外歯ギア31の第1円弧C1と第2円弧C2との接続点31bが、内歯ギア33の歯面との初期接触位置となる。従来の減速機構では、外歯ギアの歯先の角部が内歯ギアの歯面に接触する構成であったため、初期接触位置での摩擦が大きく、外歯ギア31と内歯ギア33との伝達効率が低下していた。
【0037】
一方、本実施形態の減速機構30では、外歯ギア31が、第1円弧C1と第2円弧C2とを連結した形状であることにより、外歯ギア31の歯面が軸方向から見て角部のない曲線形状となる。第1円弧C1と第2円弧C2との接続点31bの周辺における歯面形状がなだらかな曲線状となる。この構成により、
図5に示す外歯ギア31と内歯ギア33との噛み合い部Mを、なだらかな曲面接触とすることができる。その結果、減速機構30における歯の摩耗が抑制され、長期間にわたって使用しても効率が低下しにくくなる。また本実施形態では、外歯ギア31および内歯ギア33の歯形の基本形状を4つの円弧で構成できるため、製造が容易で精度を高めやすい。
【0038】
内歯ギア33に逃げ部33bを設けることで、外歯ギア31の歯が内歯ギア33の歯溝から抜ける際の歯同士の接触を避けることができる。より具体的には、本実施形態において、内歯ギア33の逃げ部33bが第4円弧C4の円弧曲線から後退する後退長さLrは、外歯ギア31の第1円弧C1の半径R1と等しい。この構成により、外歯ギア31の歯たけが長くなる分だけ内歯ギア33の歯たけが短くなるので、歯先同士の干渉を避けることができる。
【0039】
本実施形態では、外歯ギア31の歯先円は、
図3に示すように、3つ以上の第2円弧C2の中心を結ぶ仮想円Cvに一致する。より詳細には、本実施形態では、内歯ギア33に逃げ部33bを有することで、外歯ギア31の歯たけを長くでき、歯先円を仮想円Cvと重なる位置に配置できる。これにより、
図5に示すように、外歯ギア31が内歯ギア33の歯溝のより奥側で接触するので、バックラッシを小さくでき、電動アクチュエータ10の位置精度が向上する。
【0040】
なお、外歯ギア31の歯先円の位置は、仮想円Cvに対して多少ずれていてもよい。ただし、第1円弧C1が径方向内側に行くほどバックラッシが増える。また、外歯ギア31の歯たけが長くなると内歯ギア33の歯先と干渉しやすくなる。したがって、外歯ギア31の歯先円と仮想円Cvとのずれ幅は、第1円弧C1の半径R1の0.5倍以下であることが好ましい。
【0041】
本実施形態では、
図5に示すように、外歯ギア31の歯面は、第1円弧C1と第2円弧C2との接続点31bから径方向内側の部分で内歯ギア33の歯面と接触し、内歯ギア33の歯面は、逃げ部33b以外の部分で外歯ギア31の歯面と接触する。外歯ギア31の第1円弧C1の部分を内歯ギア33の歯面に接触しない範囲とすることで、第2円弧C2よりも曲率の大きい第1円弧C1を設けることによるバックラッシの増加を抑制できる。すなわち、位置精度を低下させることなく、減速機構30の伝達効率を高めることができる。
【0042】
本実施形態では、
図4に示すように、内歯ギア33の逃げ部33bの先端面は、内歯ギア33の中心と同心の円筒面CSの一部である。この構成により、内歯ギア33の製造工程において、逃げ部33bを加工しやすくなる。
【0043】
図5に示すように、第1円弧C1の半径R1、第2円弧C2の半径R2、第3円弧C3の半径R3、および第4円弧C4の半径R4は、R1<R3<R4<R2の関係を満たす。すなわち、本実施形態では、外歯ギア31の歯先の幅が、内歯ギア33の歯先の幅よりも狭い。歯先の幅が狭い外歯ギア31の先端に逃げ部が設けられていると、歯先に鋭角な角部が発生しやすい。本実施形態の外歯ギア31の先端を円弧状とする構成は、幅の狭い外歯ギア31に用いることで、より効果的である。
【0044】
本実施形態において、外歯ギア31および内歯ギア33の少なくとも一方の歯面に、潤滑油を保持する凹部を有する構成としてもよい。上記歯面の凹部は、例えばショットブラスト処理またはコイニング処理により設けることができる。この構成によれば、外歯ギア31と内歯ギア33の噛み合い部分に適量の潤滑油を保持できる。これにより、例えば低温時に潤滑油の粘度が上昇して流動しにくくなった場合でも、減速機構30が動きにくくなるのを抑制できる。また、ギアの摩擦が低減されることにより、減速機構30および電動アクチュエータ10の寿命が延びる。
【0045】
図1に示すように、接続部34は、外歯ギア31の下側に配置される。接続部34は、円環部34aと、円筒部34bと、を有する。円環部34aは、第1中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。円環部34aは、円環部34aを軸方向に貫通する複数の孔34cを有する。すなわち、接続部34は、複数の孔34cを有する。
【0046】
図2に示すように、複数の孔34cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図2では、孔34cは、例えば、8つ設けられる。孔34cの軸方向に沿って視た形状は、円形状である。孔34cの内径は、ピン32の外径よりも大きい。
図1および
図2に示すように、複数の孔34cには、外歯ギア31に設けられた複数のピン32がそれぞれ通される。ピン32の外周面は、孔34cの内周面と内接する。孔34cの内周面は、ピン32を介して、外歯ギア31を第1中心軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0047】
図1に示すように、円筒部34bは、円環部34aの内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部34bは、軸方向両側に開口する円筒状の円筒部本体34dと、円筒部本体34dの下端部から径方向内側に突出し、周方向に延びる円環板状の円環底板部34eと、を有する。円筒部本体34dの上端部における内周面には、第1ベアリング51が固定される。円筒部本体34dの下端部および円環底板部34eは、第1大径部13eに挿入される。円環底板部34eの下面は、ブッシュ54のフランジ部の上面と接触する。本実施形態において接続部34は、単一の部材である。
【0048】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部40は、上述した減速機構30の接続部34と、出力シャフト部41と、を有する。上述したように、接続部34の円筒部本体34dの上端部における内周面には、モータシャフト21を支持する第1ベアリング51が固定される。これにより、第1ベアリング51は、モータシャフト21と出力部40とを互いに相対回転可能に連結する。
【0049】
出力シャフト部41は、軸方向に延び、モータシャフト21の下側に配置される。本実施形態において出力シャフト部41は、第1中心軸J1を中心とする多段の円柱状である。出力シャフト部41は、被支持部41aと、フランジ部41bと、被取付部41cと、を有する。
【0050】
出力シャフト部41は、接続部34に固定されて接続される。より詳細には、出力シャフト部41は、例えば、被支持部41aまたはフランジ部41bが円環底板部34eと溶接されることで、接続部34に固定される。これにより、出力シャフト部41は、円筒部34bの下側の端部に接続される。
【0051】
出力シャフト部41の被支持部41aは、ブッシュ54の径方向内側に挿入される。被支持部41aは、ブッシュ54に、第1中心軸J1周りに回転可能に支持される。被支持部41aの下端は、第2大径部13g内に位置する。フランジ部41bは、被支持部41aの上端部から径方向外側に拡がる。フランジ部41bは、円筒部本体34dの径方向内側に位置する。出力シャフト部41は、フランジ部41bの下面が円環底板部34eの上面と接触する状態で接続部34に接合される。被取付部41cは、被支持部41aの下側において、被支持部41aの下端と繋がる。被取付部41cは、突出筒部13cよりも下側に突出する。被取付部41cには、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
【0052】
出力部40は、上側から下側に窪む第1凹部40aを有する。本実施形態において第1凹部40aは、円筒部本体34dの内周面と出力シャフト部41の上端面とによって構成される。第1ベアリング51は、第1凹部40aの径方向内側面に固定される。第1ベアリング51に支持される第3軸部21c、すなわちモータシャフト21の下側の端部は、第1凹部40a内に収容される。
【0053】
第1凹部40aの下側の底面、すなわち本実施形態では出力シャフト部41の上端面と、モータシャフト21の下側の端面、すなわち本実施形態では第3軸部21cの下端面との間には、隙間DPが設けられる。
【0054】
モータシャフト21が第1中心軸J1周りに回転されると、第2軸部21b(第2中心軸J2)は、第1中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、孔34cの内周面とピン32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0055】
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が第2中心軸J2周りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の第2中心軸J2周りの回転は、孔34cとピン32とを介して、接続部34に伝達される。これにより、接続部34が第1中心軸J1周りに回転し、出力部40が第1中心軸J1周りに回転する。このようにして、出力シャフト部41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0056】
出力部40の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rは、R=−(N2−N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力部40の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、−1/60となる。
【0057】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力部40の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力部40の回転トルクを比較的大きくできる。
【0058】
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60は、回路基板61と、第1取付部材64と、第1マグネット63と、第1回転センサ62と、を有する。回路基板61には、第1回転センサ62が取り付けられる。回路基板61は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。回路基板61は、円筒部本体34dの径方向外側を囲む円環板状である。
【0059】
回路基板61は、図示しない配線を介して、制御基板70と電気的に接続される。これにより、回転検出装置60と制御部24とが電気的に接続され、コネクタ部12cに接続される外部電源から回転検出装置60に電源が供給される。
【0060】
第1取付部材64は、第1中心軸J1を中心とする円環状である。第1取付部材64は、出力部40に固定される。より詳細には、第1取付部材64は、接続部34に固定される。第1取付部材64を接続部34に固定する方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等である。第1マグネット63は、第1中心軸J1を中心とし、軸方向と直交する平面に拡がる円環板状である。第1マグネット63は、第1取付部材64の径方向外縁部の下端面に固定される。
【0061】
第1回転センサ62は、回路基板61の上面に取り付けられる。第1回転センサ62は、第1マグネット63と隙間を介して軸方向に対向する。第1回転センサ62は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ62は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第1回転センサ62は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第1回転センサ62を用いて、出力部40とともに回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、回転検出装置60は、出力部40の回転を検出することができる。