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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-173832(P2019-173832A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】コントロールバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20190913BHJP
   F16K 27/04 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
   F16K31/06 305Z
   F16K27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-61376(P2018-61376)
(22)【出願日】2018年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】倉持 健太
(72)【発明者】
【氏名】荒 貴典
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉明
【テーマコード(参考)】
3H051
3H106
【Fターム(参考)】
3H051AA10
3H051BB02
3H051CC17
3H106DA22
3H106DC09
3H106EE42
3H106GC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルタの取付作業を簡易化し、取り付けたフィルタの脱落を防ぐ。
【解決手段】コントロールバルブ装置は、積層された第1ボディ30A及び第2ボディ30Bを有するバルブボディ30を有する。第1ボディには、第1油路と、第1油路の開口を覆うフィルタ50と、第1油路の開口を囲む一定領域において第2ボディとの境界面から離れる方向に凹む第1収容部31と、第1収容部の両端部外側において前記境界面から離れる方向に第1収容部よりもさらに凹む2つの第2収容部32と、がさらに設けられる。フィルタは、第1収容部に配置され、第1ボディと第2ボディの間に挟まれて第1油路の開口を覆う板状のフィルタ部と、フィルタ部の両端部から延びて、フィルタ部の厚さ方向に屈曲する2つの板バネ部と、を有する。2つの板バネ部はそれぞれ2つの第2収容部に配置され、各板バネ部の端部が第2収容部の第1油路側に向く第1壁面に接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路が設けられ、前記流路を開閉する弁体を有するバルブボディを有し、
前記バルブボディは、
第1ボディと、
前記第1ボディに積層された第2ボディと、を有し、
前記第1ボディには、隣接する前記第2ボディとの境界面において開口する第1油路が設けられ、
前記第2ボディには、隣接する前記第1ボディとの境界面において開口する流路であって、前記第1油路と連通する第2油路が設けられ、
前記第1ボディには、
前記第1油路の開口を覆うフィルタと、
前記第1油路の開口を囲む一定領域において、前記境界面から離れる方向に凹む第1収容部と、
前記第1収容部の前記第1油路を介した両端部外側において、前記境界面から離れる方向に前記第1収容部よりもさらに凹む2つの第2収容部と、がさらに設けられ、
前記フィルタは、
板状のフィルタ部と、
前記フィルタ部の両端部から延びて、前記フィルタ部の厚さ方向に屈曲する2つの板バネ部と、を有し、
前記フィルタ部は、前記第1収容部に配置され、前記第1ボディと前記第2ボディの間に挟まれて前記第1油路の開口を覆い、
前記2つの板バネ部は、それぞれ前記2つの第2収容部に配置され、各板バネ部の端部が前記第2収容部の前記第1油路側に向く第1壁面に接触する、
コントロールバルブ装置。
【請求項2】
前記2つの板バネ部の端部は、前記2つの第2収容部の各第1壁面に接触して、前記各第1壁面を前記第1油路から離れる方向に付勢する、
請求項1に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項3】
前記2つの第2収容部の各第1壁面間の寸法は、前記フィルタの両端部間の寸法より小さい、
請求項1又は2に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項4】
前記板バネ部は、前記フィルタ部の端部から前記第2収容部の底面側に延びて、前記境界面側に折り返す屈曲部を有し、
前記板バネ部の前記境界面側に折り返した端部は、前記第2収容部の第1壁面に接触する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項5】
前記屈曲部から前記第2収容部の第1壁面に接触する端部までの前記板バネ部の側面が、前記第1壁面に接触するか、又は前記フィルタ部側の端部から前記屈曲部までの前記板バネ部の側面が、前記第2収容部の第2壁面と接触する、
請求項4に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項6】
前記第1収容部の底面から前記第2収容部の底面までの寸法は、前記フィルタ部の底面から前記屈曲部までの前記板バネ部の寸法より大きい、
請求項4又は5に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項7】
前記第1収容部の底面から前記境界面までの寸法は、前記フィルタ部の厚さ以上である、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項8】
前記バルブボディは、前記第1ボディと前記第2ボディ間にセパレートプレートを有し、
前記セパレートプレートは、前記第1ボディの前記第1油路と前記第2ボディの前記第2油路にそれぞれ連通する開口部が設けられ、
前記フィルタ部の面積は、前記セパレートプレートの開口部の面積以上である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項9】
前記フィルタ部は、複数の孔が設けられた板状部材であり、
前記板状部材において前記複数の孔が設けられた領域の面積は、前記第1油路の開口の面積以上である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項10】
前記第1ボディは、
複数の前記第1油路と、
前記複数の第1油路の開口をそれぞれ覆う複数の前記フィルタと、
前記複数のフィルタがそれぞれ配置される、複数の前記第1収容部と複数の前記第2収容部と、が設けられる、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項11】
前記弁体は、前記複数の第1油路を開閉するスプール弁である、
請求項10に記載のコントロールバルブ装置。
【請求項12】
前記フィルタは、前記第1ボディと前記第2ボディのうち、前記境界面が重力方向上側に位置するボディに設けられる、
請求項1〜11のいずれか一項に記載のコントロールバルブ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油、水、ガス等の流体の流路を開閉するコントロールバルブ装置には、流体に含まれる異物を除去するために、フィルタが設けられることが一般的である。例えば、バルブのホルダーの端面又は外周面に設けられたフィルタは、ポートの開口付近において流体をろ過する(例えば、特許文献1参照。)。また、2つのボディ、例えばバルブケースとシリンダヘッドカバーの間に設けられたフィルタは、流路の途中においてろ過する(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−532830号公報
【特許文献2】特開2009−79543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バルブの外周面等に設けられたフィルタは、衝撃等によって脱落することがある。また、フィルタを流路の途中に設ける場合、コントロールバルブ装置の組み立て時に、各ボディにフィルタを溶着する、嵌め合わせる等の時間を要する作業が必要になるため、生産効率が低下する。
【0005】
本発明は、フィルタの取付作業を簡易化し、取り付けたフィルタの脱落を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の例示的な第1発明によれば、流体の流路が設けられ、前記流路を開閉する弁体を有するバルブボディを有し、前記バルブボディは、第1ボディと、前記第1ボディに積層された第2ボディと、を有し、前記第1ボディには、隣接する前記第2ボディとの境界面において開口する第1油路が設けられ、前記第2ボディには、隣接する前記第1ボディとの境界面において開口する流路であって、前記第1油路と連通する第2油路が設けられ、前記第1ボディには、前記第1油路の開口を覆うフィルタと、前記第1油路の開口を囲む一定領域において、前記境界面から離れる方向に凹む第1収容部と、前記第1収容部の前記第1油路を介した両端部外側において、前記境界面から離れる方向に前記第1収容部よりもさらに凹む2つの第2収容部と、がさらに設けられ、前記フィルタは、板状のフィルタ部と、前記フィルタ部の両端部から延びて、前記フィルタ部の厚さ方向に屈曲する2つの板バネ部と、を有し、前記フィルタ部は、前記第1収容部に配置され、前記第1ボディと前記第2ボディの間に挟まれて前記第1油路の開口を覆い、前記2つの板バネ部は、それぞれ前記2つの第2収容部に配置され、各板バネ部の端部が前記第2収容部の前記第1油路側に向く第1壁面に接触する、コントロールバルブ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本願の例示的な第1発明によれば、フィルタの取付作業を簡易化し、取り付けたフィルタの脱落を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のコントロールバルブ装置を示す斜視図である。
図2図1のコントロールバルブ装置の断面図である。
図3】第1ボディに取り付ける前のフィルタの斜視図である。
図4】第1ボディに取り付けた後のフィルタの斜視図である。
図5】第1ボディに設けられたフィルタの上面図である。
図6】第1ボディに設けられたフィルタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態のコントロールバルブ装置について説明する。以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、図2に示す中心軸Jと平行な方向とする。特に断りのない限り、図2に示す中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。また、Z軸の+z方向を上側、−z方向を下側ということがある。なお、上側及び下側は、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0011】
図1は、本実施形態のコントロールバルブ装置10を示す。
図1に示すように、コントロールバルブ装置10は、バルブボディ30を有する。バルブボディ30には、ソレノイドを取り付け可能である。本実施形態のコントロールバルブ装置10は、バルブボディ30に油路が設けられ、当該油路を開閉して、油圧を制御する。
【0012】
(バルブボディ)
バルブボディ30は、第1ボディ30Aと、第1ボディ30Aに積層された第2ボディ30Bと、を有する。第1ボディ30Aは、重力方向下側に配置され、ロアボディと呼ばれることがある。第2ボディ30Bは、第1ボディ30Aより重力方向上側に配置され、アッパボディと呼ばれることがある。本実施形態において、バルブボディ30は、第1ボディ30Aと第2ボディ30B間に、セパレートプレート30Cを有する。セパレートプレート30Cにより、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bの面同士を密接に合わせることが容易となる。
【0013】
図2は、図1中のA−A線におけるコントロールバルブ装置10の断面図である。
図2に示すように、第1ボディ30Aには2つの第1油路331が設けられる。各第1油路331は、セパレートプレート30Cを介して隣接する第2ボディ30Bとの境界面Saにおいて開口する。第2ボディ30Bにおいても2つの第2油路332が設けられる。2つの第2油路332は、第1ボディ30Aとセパレートプレート30Cを介して隣接する境界面Sbにおいて開口する。
【0014】
セパレートプレート30Cは、第1ボディ30Aの第1油路331と第2ボディ30Bの第2油路332にそれぞれ連通する開口部35が設けられる。本実施形態においては、開口部35を介して、第1ボディ30Aの2つの第1油路331が第2ボディ30Bの2つの第2油路332とそれぞれ連通する。セパレートプレート30Cの開口部35の面積は、第1油路331の開口の面積以下とすることができる。セパレートプレート30Cの開口部35の面積によって、第1油路331と第2油路332が連通する開口の大きさを制御することができる。
【0015】
図2に示すように、バルブボディ30は、弁体40を有する。本実施形態では、第1ボディ30Aが弁体40を有し、弁体40によって2つの第1油路331を開閉する。具体的には、第1ボディ30Aに軸方向に沿った貫通孔30hが設けられ、この貫通孔30hに弁体40が配置される。貫通孔30hは、各第1油路331に連通する。
【0016】
本実施形態の弁体40は、スプール弁である。スプール弁である弁体40は、図2に示すように、円柱状であり、貫通孔30hの内側面に接する径を有する第1径部41と、第1径部41よりも小径の第2径部42とを有する。弁体40の材料としては、油と透磁率の異なるアルミニウム等の金属を用いることができる。弁体40より軸方向他方側、すなわち+y方向側には、ピン21と、コイルの励磁によりピン21を軸方向に駆動するソレノイド部20と、を取り付けることが可能である。
【0017】
第1ボディ30Aは、貫通孔30hにおいて弁体40より軸方向一方側、すなわち−y方向に蓋部材43とバネ44とを有する。蓋部材43は、円柱状であり、貫通孔30hの軸方向一方側の開口を塞ぐ。蓋部材43は、例えば外周に雄ねじ部が設けられ、貫通孔30hの内周面に設けられる雌ねじ部にねじ込まれることで、第1ボディ30Aに固定される。蓋部材43は、軸方向一方側に凹む凹部43aを有する。一方、弁体40は、軸方向他方側に凹む凹部43bを、軸方向一方側の端部に有する。バネ44は、凹部43a及び43bに収容され、バネ44の軸方向一方側の端部が凹部43aの底面に接触し、軸方向他方側の端部が凹部43bに接触して、弁体40を軸方向他方側に付勢する。
【0018】
ソレノイド部20のコイルの非励磁時には、弁体40はバネ44の付勢力によって軸方向他方側に位置する。コイルの励磁時には、ソレノイド部20に駆動されたピン21が軸方向一方側に移動する。移動したピン21に接触した弁体40も軸方向一方側に移動すると、弁体40の第1径部41が、貫通孔30hと連通する各第1油路331の開口部を塞ぐ割合が変化する。これにより、第1油路331を流れる油量、すなわち油圧を制御することができる。
【0019】
(フィルタ及びフィルタの収容部)
図1及び図2に示すように、第1ボディ30Aには、2つの第1油路331の開口をそれぞれ覆う2つのフィルタ50が設けられる。また、第1ボディ30Aの境界面Saには、フィルタ50ごとに、フィルタ50が配置される第1収容部31と2つの第2収容部32が設けられる。
【0020】
図3は、第1ボディ30Aに取り付ける前のフィルタ50を示す斜視図である。図4は第1ボディ30Aに取り付けた後のフィルタ50を示す斜視図である。
図3及び図4に示すように、フィルタ50は、板状のフィルタ部51と、フィルタ部51の両端部から延びた2つの板バネ部52と、を有する。各板バネ部52は、フィルタ部51の厚さ方向、すなわちZ軸方向に屈曲する。本実施形態において、フィルタ部51と板バネ部52は単一部材であるが、別部材としてもよい。
【0021】
フィルタ部51は、複数の孔54が設けられた板状部材である。板状部材において複数の孔54が設けられた領域の面積は、第1油路331の開口の面積以上である。これにより、フィルタ部51の孔54に、第1油路331内の油のすべてを通過させることができ、油中の異物をフィルタ50によってろ過することができる。本実施形態では、第1油路331の開口の大きさは、セパレートプレート30Cの開口部35より小さく制限される。そのため、孔54が設けられた領域の面積が開口部35の面積以上であれば、第1油路331の開口の面積以上とすることができる。
【0022】
図5は、フィルタ50が設けられた第1ボディ30Aの境界面Saを、+z方向から示す上面図である。図6は、図5中のB−B線におけるフィルタ50と第1ボディ30Aの断面図である。
図5及び図6に示すように、第1収容部31は、第1油路331の開口を囲む一定領域において、境界面Saから離れる方向に凹む。また、2つの第2収容部32は、第1収容部31の第1油路331を介した両端部外側において、境界面Saから離れる方向に第1収容部31よりもさらに凹む。境界面Saから離れる方向とは、第1ボディ30Aの最表面である境界面Saから第1ボディ30A内部へ向かう方向をいい、本実施形態では−z方向である。
【0023】
図5及び図6に示すように、フィルタ50のフィルタ部51は、第1収容部31に配置される。図2に示すように、フィルタ部51は、第1ボディ30Aと第2ボディ30B間に挟まれて第1油路331の開口を覆う。図6に示すように、フィルタ部51の一方の面が、第1収容部31の底面に接触すると、異物を効果的に除去でき、好ましい。
【0024】
図5に示すように、フィルタ部51の面積は、セパレートプレート30Cの開口部35の面積以上である。フィルタ50を開口部35の周辺のセパレートプレート30Cと接触させることができ、フィルタ50の浮きをセパレートプレート30Cで防いで、フィルタ50のがたつきを減らすことができる。
【0025】
フィルタ50の2つの板バネ部52は、2つの第2収容部32にそれぞれ配置される。各板バネ部52の端部は、図6に示すように、第1油路331側に向く第2収容部32の第1壁面321に接触する。本実施形態において、板バネ部52は、図6に示すように、フィルタ部51の端部から第2収容部32の底面側に延びて、境界面Sa側に折り返す屈曲部53を有する。この境界面Sa側に折り返した板バネ部52の端部が、第2収容部32の第1壁面321に接触する。
【0026】
図3に示すように、第1ボディ30Aに取り付ける前の両端部間のフィルタ50の寸法は、寸法d1である。これに対し、2つの第2収容部32の各第1壁面321間の寸法d2は、フィルタ50の寸法d1より小さいことが好ましい。フィルタ50よりも寸法が小さい第1収容部31と第2収容部32に、フィルタ50が配置されると、図4に示すように、板バネ部52が弾性変形して撓み、フィルタ50の両端部間の寸法は寸法d2になる。撓んだ板バネ部52の弾性力によって、各板バネ部52の端部が接触した各第1壁面321を第1油路331から離れる方向に付勢するため、フィルタ50の位置ずれによるがたつきを減らすことができる。
【0027】
屈曲部53から第2収容部32の第1壁面321に接触する端部までの板バネ部52の側面は、第1壁面321に接触してもよい。または、フィルタ部51側の端部から屈曲部53までの板バネ部52の側面が、第2収容部32の第2壁面322と接触してもよい。第2壁面322は、第1壁面321と対面する壁面である。板バネ部52と第2収容部32の接触面積を増やすことにより、フィルタ50と第2収容部32との摩擦力を増大させ、フィルタ50がより脱落しにくい構造とすることができる。
【0028】
第1収容部31の底面から第2収容部32の底面までの寸法d3は、フィルタ部51の底面から屈曲部53までの板バネ部52の寸法d4より大きい。板バネ部52が、第2収容部32の底面よりも境界面Sa側に収容されるので、板バネ部52が底面に接触してフィルタ50が浮くことを防ぐことができる。
【0029】
図6に示すように、第1収容部31の底面から境界面Saまでの寸法d5は、フィルタ部51の厚さd6以上である。第1収容部31の凹みがフィルタ部51の厚さ以上に深いので、境界面Saよりも第1ボディ30Aの内部側にフィルタ50を収容することができる。境界面Saからのフィルタ50の浮きを防止し、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bを、セパレートプレート30Cを介して境界面Saで密接させることができる。
【0030】
フィルタ50は、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bのうち、境界面Saが重力方向上側に位置する第1ボディ30Aに設けられることが好ましい。第1ボディ30Aにフィルタ50を取り付ける場合、重力方向上側に位置する境界面Sa上の第1収容部31及び第2収容部32に対し、重力方向下側に向けて負荷をかければ、フィルタ50を差し込むことができる。負荷をかけやすく、フィルタ50の取り付け作業が非常に容易になる。
【0031】
(1)以上のように、本実施形態のコントロールバルブ装置10によれば、第1ボディ30Aの境界面Saからの凹みである第1収容部31と第2収容部32に、フィルタ50のフィルタ部51と板バネ部52を配置できる。よって、境界面Sa側から差し込むだけの簡単な作業で取り付けが可能になる。フィルタ部51は第1ボディ30Aと第2ボディ30Bに挟まれ、板バネ部52が第2収容部32の第1壁面321に接触するので、バルブボディ30からのフィルタ50の脱落を防止することもできる。したがって、フィルタ50の取付作業を簡易化するとともに、取り付けたフィルタ50の脱落を防ぐことができる。
【0032】
(2)本実施形態の板バネ部52は、第2収容部32の第1壁面321に接触して、第1壁面321を第1油路331から離れる方向に付勢する。付勢によりフィルタ50の位置を固定することができ、フィルタ50の位置ずれを抑えることができる。
【0033】
(3)また、板バネ部52は、フィルタ部51の端部から第2収容部32の底面側に延びて、境界面Sa側に折り返す屈曲部53を有し、折り返した端部が第1壁面321に接触する。フィルタ50を第1収容部31及び第2収容部32に収容するときの差し込み方向と同じ方向に屈曲部53が突出するので、差し込み作業がより容易となる。また、板バネ部52の端部が境界面Sa側に突き出て第1壁面321に接触するため、フィルタ50の位置が境界面Sa側にずれにくくなり、フィルタ50の位置ずれをより抑えやすい。
【0034】
(4)第1ボディ30Aは、第2ボディ30Bと連通する2つの第1油路331を有する。そのため、第1ボディ30Aには、各第1油路331に対して、フィルタ50、第1収容部31及び2つの第2収容部32が設けられ、各第1油路331の開口が各フィルタ50によって覆われる。このように、複数の第1油路331に対して複数のフィルタ50の取り付けが必要な場合でも、本実施形態によればフィルタ50の取付作業が簡易であるため、フィルタ50の脱落を防止できるバルブボディ30を効率良く組み立てることができる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、油が流れる油路を開閉するコントロールバルブ装置10の例を説明したが、流体の流路を開閉するコントロールバルブ装置であれば、油に限らず本発明を実施することができる。また、スプール弁以外の弁体により1つの油路の開閉を行うコントロールバルブ装置にも本発明を実施することができる。
【0036】
また、上記実施形態において板バネ部52は1つの屈曲部53を有するが、板バネ部52がフィルタ部51の厚み方向に複数回屈曲して複数の屈曲部53を有する構成であってもよい。複数回屈曲する板バネ部52は、弾性変形したときの弾性力が強いため、第1壁面321をより強く付勢して、位置ずれをさらに抑えることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 コントロールバルブ装置
30 バルブボディ
30A 第1ボディ
Sa 境界面
30B 第2ボディ
30C セパレートプレート
31 第1収容部
32 第2収容部
321 第1壁面
40 弁体
50 フィルタ
51 フィルタ部
52 板バネ部
53 屈曲部

図1
図2
図3
図4
図5
図6