(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-174015(P2019-174015A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】表面燃焼バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/14 20060101AFI20190913BHJP
F23D 14/16 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
F23D14/14 D
F23D14/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-60980(P2018-60980)
(22)【出願日】2018年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太希
(72)【発明者】
【氏名】生田 将崇
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017BA02
3K017BB01
3K017BC03
3K017BE03
3K017BE09
(57)【要約】
【課題】金属製多孔板の周囲を耐熱金属繊維製編物で覆ったバーナエレメントを持ち、耐熱金属繊維製編物の外側表面に予混合ガスを噴射して燃焼を行う表面燃焼バーナにおいて、燃焼の安定性を向上させて振動燃焼が発生することを抑制することのできる表面燃焼バーナを提供する。
【解決手段】筒状に加工した金属製多孔板4と、筒状の金属製多孔板の外側表面を覆う耐熱金属繊維製編物5からなるバーナヘッド2を持ち、金属製多孔板で形成した筒内へ燃焼用空気と燃料ガスを予め混合した予混合ガスを供給するようにしており、予混合ガスは前記の金属製多孔板と耐熱熱金属繊維製編物を透過させて耐熱金属繊維製編物の外側表面で燃焼させるようにしている表面燃焼バーナにおいて、前記の金属製多孔板5は、バーナヘッド2の根本側に近い部分における開口率を、バーナヘッドの先端側にあたる部分における開口率よりも大きくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に加工した金属製多孔板と、筒状の金属製多孔板の外側表面を覆う耐熱金属繊維製編物からなるバーナヘッドを持ち、金属製多孔板で形成した筒内へ燃焼用空気と燃料ガスを予め混合した予混合ガスを供給するようにしており、予混合ガスは前記の金属製多孔板と耐熱熱金属繊維製編物を透過させて耐熱金属繊維製編物の外側表面で燃焼させるようにしている表面燃焼バーナにおいて、
前記の金属製多孔板は、バーナヘッドの根本側に近い部分における開口率を、バーナヘッドの先端側にあたる部分における開口率よりも大きくしていることを特徴とする表面燃焼バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載の表面燃焼バーナにおいて、前記金属製多孔板によって形成した筒内には、筒内部を流れる予混合ガス流を周囲の金属製多孔板方向へ誘導する風向調節板を設置していることを特徴とする表面燃焼バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱金属繊維製編物と金属製多孔板とを一体的に積層したバーナエレメントを持つバーナヘッドに、燃焼用空気と燃料ガスを混合した予混合ガスを金属製多孔板側から供給し、耐熱金属繊維製編物の外側へ予混合ガスを噴射することにより、耐熱金属繊維製編物の外側表面で燃焼を行う表面燃焼バーナに関するものであり、より詳しくは火炎の燃焼安定性を向上させ、振動燃焼の発生を防止することのできる表面燃焼バーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2001−235117号公報に記載があるように、耐熱金属繊維製編物(メタルニット)と金属製多孔板(パンチングメタル)を一体的に積層したバーナエレメントを持つバーナヘッドに、燃焼用空気と燃料ガスを予め混合した予混合ガス供給し、金属製多孔板の穴と耐熱金属繊維製編物層を通して予混合ガスを噴射して耐熱金属繊維製編物の表面で燃焼を行う表面燃焼バーナが知られている。特開2001−235117号公報で記載の表面燃焼バーナでは、平板状の金属製多孔板に平板状の耐熱金属繊維製編物を溶接しておき、金属製多孔板の側から耐熱金属繊維製編物の外面側へ予混合ガスを噴射し、耐熱金属繊維製編物の外側表面付近で燃焼を行うようにしている。
【0003】
また、特開2001−235117号公報の記載のバーナでは、直方体の空間内に水管群を設置しておいて水管群の一方の側面から燃焼を行うバーナであるために、耐熱金属繊維製編物と金属製多孔板からなるバーナエレメントは平板状としているが、中心に設けた燃焼室の周囲を取り囲むように水管を環状に配置してバーナは燃焼室中央部に設置するようにしているボイラに使用する場合には、金属製多孔板を円筒状に加工して円筒形金属製多孔板の周部分に耐熱金属繊維製編物を張り付けた構造の表面燃焼バーナを使用することも行われている。
【0004】
このような表面燃焼バーナの場合、火炎は広い面で燃焼するために火炎は短いものとすることができ、燃焼室を小さくすることができるために装置を小型化することができるというメリットもある。しかしデメリットとしては、火炎が広く分散するものであるために燃焼が不安定になりやすく、高空気比側での燃焼を行うと振動燃焼が発生しやすいという問題があった。そのため、燃焼の安定性を向上させることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−235117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、金属製多孔板の周囲を耐熱金属繊維製編物で覆ったバーナエレメントを持ち、耐熱金属繊維製編物の外側表面に予混合ガスを噴射して燃焼を行う表面燃焼バーナにおいて、燃焼の安定性を向上させて振動燃焼が発生することを抑制することのできる表面燃焼バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、筒状に加工した金属製多孔板と、筒状の金属製多孔板の外側表面を覆う耐熱金属繊維製編物からなるバーナヘッドを持ち、金属製多孔板で形成した筒内へ燃焼用空気と燃料ガスを予め混合した予混合ガスを供給するようにしており、予混合ガスは前記の金属製多孔板と耐熱熱金属繊維製編物を透過させて耐熱金属繊維製編物の外側表面で燃焼させるようにしている表面燃焼バーナにおいて、前記の金属製多孔板は、バーナヘッドの根本側に近い部分における開口率を、バーナヘッドの先端側にあたる部分における開口率よりも大きくしていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記の表面燃焼バーナにおいて、前記金属製多孔板によって形成した筒内には、筒内部を流れる予混合ガス流を周囲の金属製多孔板方向へ誘導する風向調節板を設置していることを特徴とする。
【0009】
金属製多孔板の開口率を、バーナヘッドの根本側で大きくして先端側では小さくすると、開口率の大きな根本側から耐熱金属繊維製編物の外側へ出ていく予混合ガス量が多くなり、開口率の小さな先端側から耐熱金属繊維製編物の外側へ出ていく予混合ガス量は少なくなる。また、金属製多孔板によって形成した筒内には、筒内部を流れる予混合ガス流を周囲の金属製多孔板方向へ誘導する風向調節板を設置していると、バーナヘッドの根本側から耐熱金属繊維製編物の外側へ出ていく予混合ガス量が多くなり、開口率の小さな先端側から耐熱金属繊維製編物の外側へ出ていく予混合ガス量は少なくなる。バーナの燃焼面を透過する予混合ガスは、バーナ燃焼面の上流側で多くなるようにすると、バーナ燃焼面の上流側での火炎が大きくなり、火炎の燃焼は安定する。保炎された火炎があることで燃焼面全体での燃焼が安定し、振動燃焼の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明を実施することで、火炎の燃焼を安定させることができ、振動燃焼の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を実施している表面燃焼バーナでの耐熱金属繊維製編物層の一部を切り取った一部断面斜視図
【
図2】本発明を実施している表面燃焼バーナでの金属製多孔板部分で切断した一部断面斜視図
【
図3】本発明を実施している表面燃焼バーナ全体のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している表面燃焼バーナでの耐熱金属繊維製編物層の一部を切り取った一部断面斜視図、
図2は本発明を実施している表面燃焼バーナでの金属製多孔板部分で切断した一部断面斜視図、
図3は本発明を実施している表面燃焼バーナ全体のフロー図である。
【0013】
本発明の表面燃焼バーナは、燃焼用空気を流すバーナダクト1内に燃料ガスを噴射することでバーナダクト内での燃焼用空気と燃料ガスを混合し、予混合ガスをバーナヘッド2へ送る。バーナダクト1は、送風機9から送られてきた燃焼用空気を流す径の大きなパイプである。バーナダクト1の途中には、バーナダクト内の流路面積を縮小するベンチュリー管3を設置し、ベンチュリー管3を設置している箇所に、燃料ガスの供給を行う燃料ガス配管8を接続する。
【0014】
送風機からバーナダクト1内を通して送ってきた燃焼用空気は、ベンチュリー管3の内側面に沿って流れ、ベンチュリー管3によって燃焼用空気が流れる流路断面積は減少していくために燃焼用空気の流速は増加する。燃焼用空気の流路断面積は、ベンチュリー管3の先端を超えたところで急拡大して外側に広がるため、燃焼用空気流はベンチュリー管3の先端を超えた箇所から末広がりに広がっていく。
【0015】
燃焼用空気流のベンチュリー管3の先端から広がっていく部分では、圧力が低くなるために周囲からの巻き込みが発生し、燃料ガス配管8から供給している燃料ガス流を引き込む作用が発生する。そのため、燃焼用空気と燃料ガスは混合が促進される。
【0016】
燃焼用空気と燃料ガスが混ざり合った予混合ガスは、バーナダクト1の先にあるバーナヘッド2へ送っており、バーナヘッド2の部分で燃焼する。バーナヘッド2は円筒形のバーナエレメントを持ったものであり、バーナダクト1を通してきた予混合ガスは円筒形のバーナヘッド内部へ入り、円筒形のバーナエレメントを透過して周方向へ予混合ガスを噴出する。
【0017】
バーナダクト1の下流に設置しているバーナヘッド2のバーナエレメントは、金属製多孔板であるパンチングメタル4を円筒形に加工し、その周囲を耐熱金属繊維製編物であるメタルニット5で覆ったものとしている。パンチングメタル4は、バーナヘッド2の根本側にあたる部分と先端側にあたる部分で穴の径を異ならせておく。穴のピッチは同じであってバーナヘッド根本側では穴径を大きくしておくと、パンチングメタル4の開口率はバーナヘッドの根本側で大きくなり、先端側では小さいことになる。
【0018】
また、円筒形としたパンチングメタルの内側にできる円柱状空間には、筒内部を流れる予混合ガス流を筒壁面方向へ誘導する先拡がりの風向調節板7を設置する。風向調節板は、
図2で上方から下向きに流れてきた予混合ガスの流れに対し、周方向への要素を加えるものであって、円錐型の風向調節板を円筒形のパンチングメタルと同心に設けている。風向調節板7は、バーナヘッド内では比較的上流側部分に設け、風向調節板7で変化した予混合ガスの流動方向は、バーナヘッド根本部側のパンチングメタルの開口部を大きくしている部分に向かうようにしておく。
【0019】
金属板に多数の穴を開けたパンチングメタル4は、穴の部分は予混合ガスを通すことができ、穴以外の部分では予混合ガスは通さない。パンチングメタル4の外側に被せているメタルニット5では、全体的に予混合ガスを透過させるが、パンチングメタルでの開口率の大きい部分ではメタルニット層に送り込まれる予混合ガス量が多くなり、開口率の小さい部分ではメタルニット層に送り込まれる予混合ガス量が少なくなる。
【0020】
また、風向調節板によって、バーナヘッドの上流側では予混合ガスの流れが周方向へより多く流れるようにしているため、バーナヘッドの上流側でメタルニット層を透過する予混合ガス量が多くなる。
【0021】
バーナヘッドの燃焼部にパイロット火炎を発生させるパイロットバーナ6を設置しておき、パイロットバーナ6にてパイロット火炎を燃焼している状態でパンチングメタルの内側からメタルニット層の外側へ予混合ガスを噴射すると、メタルニット層の外側表面付近で火炎の燃焼が行われる。
【0022】
バーナヘッド2へ送った予混合ガスは、バーナヘッド2の根本に近い部分ではメタルニット層を通過する量が多くなり、バーナヘッド2の先端に近い部分ではメタルニット層を通過してくる量は根本側より少なくなる。そのため、バーナヘッド2での燃焼は、予混合ガスを多く噴射している部分ではしっかりとした火炎が発生し、安定した燃焼を行うこの火炎があることで、バーナヘッド表面の広い範囲で行われる火炎も安定するため、燃焼が不安定になることによる振動燃焼が発生することを抑制することができる。
【0023】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。例えば実施例では、風向調節板7は円錐形状としているが、これを先拡がりの円錐台形状にしてもよく、パンチングメタルは径の大きさは同じとしておいて穴のピッチを上流側で大きくするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 バーナダクト
2 バーナヘッド
3 ベンチュリー管
4 金属製多孔板(パンチングメタル)
5 耐熱金属繊維製編物(メタルニット)
6 パイロットバーナ
7 風向調節板
8 燃料ガス配管
9 送風機