(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-174077(P2019-174077A)
(43)【公開日】2019年10月10日
(54)【発明の名称】薬剤入りカプセルおよび空気処理装置の部品
(51)【国際特許分類】
F28F 19/00 20060101AFI20190913BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20190913BHJP
F28F 13/18 20060101ALI20190913BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20190913BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20190913BHJP
A01N 25/28 20060101ALI20190913BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20190913BHJP
【FI】
F28F19/00 501B
F24F13/22 228
F28F13/18 B
A61L2/18
A01N25/00 101
A01N25/28
A01P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-65107(P2018-65107)
(22)【出願日】2018年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堂下 裕香
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅子
【テーマコード(参考)】
4C058
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA24
4C058BB07
4C058JJ06
4H011AA02
4H011BA01
4H011DA05
4H011DF02
(57)【要約】
【課題】特定の微生物が繁殖していない状態で薬剤が放出されるのを抑制する。
【解決手段】薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプセル材(21,31,41)と、カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える。カプセル材(21,31,41)は、特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル材(21,31,41)と、
上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備え、
上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有する
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項2】
請求項1において、
上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌である
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項3】
請求項2において、
上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、
上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、
上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記特定の微生物によって生分解される材料は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体である
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記カプセル材(21)は、層状に複数設けられ、
上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられている
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項7】
請求項6において、
上記被膜(13)は、複数種類の上記薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、
上記複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なる
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【請求項8】
空気処理装置(1)で使用するための薬剤入りカプセル(20,30,40)であって、
カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、
上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤入りカプセルおよび空気処理装置の部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基材および親水性被膜を備えた熱交換器のフィンが知られている(例えば、特許文献1)。ここで、親水性被膜は、水に対する徐溶性を有するカプセル材により表面が被覆され、薬剤効果を発現させる時期が互いに異なる複数種類の薬剤粒子を含む。これにより、薬剤粒子による薬剤効果を長期間にわたって発現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−125698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のカプセル材は、水に対して徐溶性を有するため、当該カプセル材に水が接触する状態がある程度の期間続くと内部の薬剤粒子が放出され得る。すなわち、カプセル材の近傍で水が発生すれば、たとえ薬剤効果の対象である特定の微生物が繁殖していない状態であっても内部の薬剤粒子が放出され、その薬剤効果が有効に発揮されることなく薬剤粒子が浪費されてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示の目的は、特定の微生物が繁殖していない状態で薬剤が放出されるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、カプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備えた薬剤入りカプセル(20,30,40)を対象とする。そして、上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有する。
【0007】
第1の態様では、カプセル材(21,31,41)は、特定の微生物が繁殖した箇所で当該微生物によって被分解部(21a,31a,41a)が生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて繁殖した微生物が殺菌される。このように、特定の微生物がある程度繁殖するまでは薬剤(22,32,42)が放出されない。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌であることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、特定のカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、上記特定の微生物によって生分解される材料は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体であることを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、上記の重合体を生分解し得る微生物に対して効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、上記カプセル材(21)は、層状に複数設けられ、上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられていることを特徴とする。
【0015】
第5の態様では、最外側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。その後、内側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。このように、1つの薬剤入りカプセル(20)毎に複数回の薬剤効果を得ることができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、空気処理装置(1)の部品(10)を対象とする。この部品(10)は、上記第1〜第5の態様のいずれか1つに係る薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える。
【0017】
第6の態様では、空気処理装置(1)において、薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)が設けられた部品(10)での特定の微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第6の態様において、上記被膜(13)は、複数種類の上記薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、上記複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なることを特徴とする。
【0019】
第7の態様では、被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なるカプセル材(21,31,41)は、生分解によって孔が空くタイミングが異なり、よって互いに異なるタイミングで内部の薬剤(22,32,42)が放出される。したがって、複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)全体として薬剤効果をより長期にわたって発現させることができる。
【0020】
本開示の第8の態様は、空気処理装置(1)で使用するための薬剤入りカプセル(20,30,40)を対象とする。この薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える。
【0021】
第8の態様では、カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、空気処理装置(1)で繁殖する微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて当該微生物が殺菌される。したがって、空気処理装置(1)において、微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態の空気調和装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態の空気調和装置の熱交換器の表面近傍を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、その他の実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、その他の実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態に係る薬剤入りカプセル(20,30,40)は、空気処理装置(1)に用いられるものである。そして、実施形態に係る空気処理装置(1)は、
図1に示すように、空気調和装置(1)によって構成されている。この空気調和装置(1)は、ケーシング(2)と、それぞれがケーシング(2)に収容された熱交換器(10a)、ファン(10b)、ドレンパン(10c)、フィルタ(10d)、およびフラップ(図示せず)と、ダクト(図示せず)とを備える。これらは、それぞれが部品(10)を構成している。
【0024】
−部品の表面近傍の構成−
図2に示すように、空気調和装置(1)の各部品(10)は、基材(11)と、この基材(11)上に形成された耐食被膜(12)と、この耐食被膜(12)上に形成された親水被膜(13)とを備える。基材(11)は、例えば金属または樹脂で構成され、耐食被膜(12)および親水被膜(13)は、例えば互いに種類の異なる樹脂で構成されていてもよい。親水被膜(13)は、被膜を構成している。
【0025】
−薬剤入りカプセル−
図2に示すように、親水被膜(13)は、内部に複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む。この例では、親水被膜(13)は、3種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)、すなわち第1薬剤入りカプセル(20)と、第2薬剤入りカプセル(30)と、第3薬剤入りカプセル(40)とを含む。
【0026】
第1薬剤入りカプセル(20)は、
図3に示すように、層状に複数(この例では、2つ)設けられた例えば中空球体状のカプセル材(21)と、各カプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(22)とを備える。カプセル材(21)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(21a)を有する。この例では、カプセル材(21)は、全体が被分解部(21a)によって構成されている。薬剤(22)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。なお、各図において、防カビ・抗菌剤を白無地で、植物精油を濃いハッチングでそれぞれ示す。
【0027】
第2薬剤入りカプセル(30)は、
図4に示すように、1つの例えば中空球体状のカプセル材(31)と、このカプセル材(31)の内部に設けられた薬剤(32)とを備える。カプセル材(31)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(31a)を有する。この例では、カプセル材(31)は、全体が被分解部(31a)によって構成されている。薬剤(32)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。
【0028】
第3薬剤入りカプセル(40)は、
図5に示すように、1つの例えば中空球体状のカプセル材(41)と、このカプセル材(41)の内部に設けられた薬剤(42)とを備える。カプセル材(41)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(41a)を有する。この例では、カプセル材(41)は、全体が被分解部(41a)によって構成されている。第3薬剤入りカプセル(40)のカプセル材(41)の厚み(T3)は、第1薬剤入りカプセル(20)の外側のカプセル材(21)の厚み(T1)および第2薬剤入りカプセル(30)のカプセル材(31)の厚み(T2)よりも大きい(T1<T3、T2<T3)。薬剤(42)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。
【0029】
なお、本明細書において、「特定の微生物」とは、薬剤入りカプセル(20,30,40)の殺菌の対象となる微生物を意味する。当該微生物は、具体的には、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌であって、当該カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、当該酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、当該細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む。
【0030】
−薬剤効果の発現−
薬剤入りカプセル(20,30,40)の薬剤効果がどのように発現するかについて説明する。
【0031】
例えば空気調和装置(1)の熱交換器(10a)の表面では、冷房運転時に空気中の水分が結露して発生するドレン水によって特定の微生物が繁殖する。
【0032】
繁殖した特定の微生物は、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)を生分解する。その場合、まず、第1薬剤入りカプセル(20)の外側のカプセル材(21)と第2薬剤入りカプセル(30)のカプセル材(31)に孔が空く。すると、当該カプセル材(21,31)の内部の薬剤(22,32)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0033】
特定の微生物がさらに繁殖すると、次は、第1薬剤入りカプセル(20)の内側のカプセル材(21)に孔が空く。すると、当該カプセル材(21)の内部の薬剤(22)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0034】
特定の微生物がさらに繁殖すると、次は、第3薬剤入りカプセル(40)のカプセル材(41)に孔が空く。すると、当該カプセル材(41)の内部の薬剤(42)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0035】
以上のように、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)は、特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングでその薬剤効果を発現する。また、各カプセル材(21,31,41)に孔が空く時期が互いに異なるので、比較的長期にわたって薬剤効果を発現させることができる。
【0036】
−実施形態の効果−
本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備え、上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有する。
【0037】
本願発明者は、特定の微生物が繁殖する箇所に、当該特定の微生物を対象とする薬剤入りカプセル(20,30,40)を設けることに着目した。そして、当該特定の微生物によって生分解される材料でカプセル材(21,31,41)の少なくとも一部を構成することで、当該特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングを狙ってこれを殺菌できることを見出した。そして、本実施形態のカプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、特定の微生物が繁殖した箇所で当該微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて繁殖した微生物が殺菌される。このように、特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【0038】
また、上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌である。したがって、本実施形態によれば、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0039】
また、上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む。本願発明者は、これらのカビ、酵母、または細菌が空気処理装置(1)で繁殖するという知見を新たに得た。そして、本実施形態では、当該カビ、酵母、または細菌によって生分解される材料でカプセル材(21,31,41)を構成している。したがって、本実施形態によれば、特定のカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0040】
また、本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記特定の微生物によって生分解される材料が、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体である。したがって、本実施形態によれば、上記の重合体を生分解し得る微生物に対して効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0041】
また、本実施形態の第1薬剤入りカプセル(20)は、上記カプセル材(21)が、層状に2つ設けられ、上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられている。このため、外側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。その後、内側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。このように、1つの第1薬剤入りカプセル(20)毎に2回の薬剤効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態の空気処理装置(1)の部品(10)は、薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える。このため、本実施形態によれば、空気処理装置(1)において、薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)が設けられた部品(10)での特定の微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の空気処理装置(1)の部品(10)は、上記被膜(13)が、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、第3薬剤入りカプセル(40)は、上記カプセル材(41)の被分解部(41a)の厚み(T3)が、第1および第2薬剤入りカプセル(20,30)のカプセル材(21,31)の被分解部(21a,31a)の厚み(T1,T2)よりも大きい。このため、第3薬剤入りカプセル(40)は、第1薬剤入りカプセル(20)および第2薬剤入りカプセル(30)よりも、カプセル材(21,31,41)が生分解によって孔が空くタイミングが遅く、よって薬剤効果の発現時期が遅い。したがって、全ての薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)の厚み(T1〜T3)が実質的に等しい場合に比べて、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)全体として薬剤効果の発現期間を長くすることができる。
【0044】
また、本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える。したがって、カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、空気処理装置(1)で繁殖する微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて当該微生物が殺菌される。このように、空気処理装置(1)において、微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【0045】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0046】
上記実施形態では、空気処理装置(1)は、空気調和装置(1)によって構成されているが、空気処理装置(1)は、例えば、空気浄化装置、調湿装置、または換気装置によって構成されていてもよい。その場合、部品(10)は、例えば、空気浄化装置のファンもしくはフィルタ、調湿装置の加湿ユニット、ファン、もしくはフィルタ、または換気装置のファン、フィルタ、もしくはダクトによって構成されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第1薬剤入りカプセル(20)の2つのカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(22)の種類が同じであるが、
図6に示すように、外側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(23)の種類と、内側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(24)の種類とが互いに異なっていてもよい。なお、この例では、外側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(23)は、防カビ・抗菌剤であって、内側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(24)は、植物精油である。また、第1薬剤入りカプセル(20)のカプセル材(21)の数は、3つ以上であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)の全体が被分解部(21a,31a,41a)で構成されているが、
図7に示すように、例えば第2薬剤入りカプセル(30)において、カプセル材(31)の一部のみが被分解部(31a)で構成されていてもよい。この場合、被分解部(31a)が特定の微生物によって生分解され、そこから薬剤(32)が放出される。なお、同様のことが第1および第3薬剤入りカプセル(20,40)についても言える。
【0049】
また、親水被膜(13)が含む薬剤入りカプセル(20,30,40)の種類は、2種類以下であってもよいし4種類以上であってもよい。
【0050】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本開示は、薬剤入りカプセルおよび空気処理装置の部品について有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 空気調和装置(空気処理装置)
10 部品
10a 熱交換器(部品)
10b ファン(部品)
10c ドレンパン(部品)
10d フィルタ(部品)
13 親水被膜(被膜)
20 第1薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
21 カプセル材
21a 被分解部
22 薬剤
30 第2薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
31 カプセル材
31a 被分解部
32 薬剤
40 第3薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
41 カプセル材
41a 被分解部
42 薬剤
T1〜T3 (被分解部の)厚み
【手続補正書】
【提出日】2019年7月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤入りカプセルおよび空気処理装置の部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基材および親水性被膜を備えた熱交換器のフィンが知られている(例えば、特許文献1)。ここで、親水性被膜は、水に対する徐溶性を有するカプセル材により表面が被覆され、薬剤効果を発現させる時期が互いに異なる複数種類の薬剤粒子を含む。これにより、薬剤粒子による薬剤効果を長期間にわたって発現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−125698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のカプセル材は、水に対して徐溶性を有するため、当該カプセル材に水が接触する状態がある程度の期間続くと内部の薬剤粒子が放出され得る。すなわち、カプセル材の近傍で水が発生すれば、たとえ薬剤効果の対象である特定の微生物が繁殖していない状態であっても内部の薬剤粒子が放出され、その薬剤効果が有効に発揮されることなく薬剤粒子が浪費されてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示の目的は、特定の微生物が繁殖していない状態で薬剤が放出されるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
空気処理装置の部品を対象とする。空気処理装置の部品は、カプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを
有し、上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を
含む薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える。
【0007】
第1の態様では、カプセル材(21,31,41)は、特定の微生物が繁殖した箇所で当該微生物によって被分解部(21a,31a,41a)が生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて繁殖した微生物が殺菌される。このように、特定の微生物がある程度繁殖するまでは薬剤(22,32,42)が放出されない。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記カプセル材(21,31,41)は、全体が上記被分解部(21a,31a,41a)で構成されることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、カプセル材(21,31,41)の全体が被分解部(21a,31a,41a)で構成される。これにより、カプセル材(21,31,41)を容易に製造できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記空気処理装置(1)が備えるケーシング(2)、ファン(10b)、ドレンパン(10c)、フィルタ(10d)、フラップ、またはダクトで構成されることを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、空気処理装置(1)が備える所定の部品において、特定の微生物の繁殖が抑えられる。
【0012】
本開示の第
4の態様は、上記第1
〜第3の態様
のいずれか1つにおいて、上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌であることを特徴とする。
【0013】
第
4の態様では、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0014】
本開示の第
5の態様は、上記第
4の態様において、上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
第
5の態様では、特定のカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0016】
本開示の第
6の態様は、上記第1〜第
5の態様のいずれか1つにおいて、上記特定の微生物によって生分解される材料は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体であることを特徴とする。
【0017】
第
6の態様では、上記の重合体を生分解し得る微生物に対して効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0018】
本開示の第
7の態様は、上記第1〜第
6の態様のいずれか1つにおいて、上記カプセル材(21)は、層状に複数設けられ、上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられていることを特徴とする。
【0019】
第
7の態様では、最外側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。その後、内側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。このように、1つの薬剤入りカプセル(20)毎に複数回の薬剤効果を得ることができる。
【0020】
本開示の第
8の態様は、上記第
1〜第7の態様
のいずれか1つにおいて、上記被膜(13)は、複数種類の上記薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、上記複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なることを特徴とする。
【0021】
第
8の態様では、被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なるカプセル材(21,31,41)は、生分解によって孔が空くタイミングが異なり、よって互いに異なるタイミングで内部の薬剤(22,32,42)が放出される。したがって、複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)全体として薬剤効果をより長期にわたって発現させることができる。
【0022】
本開示の第
9の態様は、空気処理装置(1)で使用するための薬剤入りカプセル(20,30,40)を対象とする。この薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える。
【0023】
第
9の態様では、カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、空気処理装置(1)で繁殖する微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて当該微生物が殺菌される。したがって、空気処理装置(1)において、微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態の空気調和装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態の空気調和装置の熱交換器の表面近傍を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、その他の実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、その他の実施形態の薬剤入りカプセルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態に係る薬剤入りカプセル(20,30,40)は、空気処理装置(1)に用いられるものである。そして、実施形態に係る空気処理装置(1)は、
図1に示すように、空気調和装置(1)によって構成されている。この空気調和装置(1)は、ケーシング(2)と、それぞれがケーシング(2)に収容された熱交換器(10a)、ファン(10b)、ドレンパン(10c)、フィルタ(10d)、およびフラップ(図示せず)と、ダクト(図示せず)とを備える。これらは、それぞれが部品(10)を構成している。
【0026】
−部品の表面近傍の構成−
図2に示すように、空気調和装置(1)の各部品(10)は、基材(11)と、この基材(11)上に形成された耐食被膜(12)と、この耐食被膜(12)上に形成された親水被膜(13)とを備える。基材(11)は、例えば金属または樹脂で構成され、耐食被膜(12)および親水被膜(13)は、例えば互いに種類の異なる樹脂で構成されていてもよい。親水被膜(13)は、被膜を構成している。
【0027】
−薬剤入りカプセル−
図2に示すように、親水被膜(13)は、内部に複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む。この例では、親水被膜(13)は、3種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)、すなわち第1薬剤入りカプセル(20)と、第2薬剤入りカプセル(30)と、第3薬剤入りカプセル(40)とを含む。
【0028】
第1薬剤入りカプセル(20)は、
図3に示すように、層状に複数(この例では、2つ)設けられた例えば中空球体状のカプセル材(21)と、各カプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(22)とを備える。カプセル材(21)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(21a)を有する。この例では、カプセル材(21)は、全体が被分解部(21a)によって構成されている。薬剤(22)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。なお、各図において、防カビ・抗菌剤を白無地で、植物精油を濃いハッチングでそれぞれ示す。
【0029】
第2薬剤入りカプセル(30)は、
図4に示すように、1つの例えば中空球体状のカプセル材(31)と、このカプセル材(31)の内部に設けられた薬剤(32)とを備える。カプセル材(31)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(31a)を有する。この例では、カプセル材(31)は、全体が被分解部(31a)によって構成されている。薬剤(32)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。
【0030】
第3薬剤入りカプセル(40)は、
図5に示すように、1つの例えば中空球体状のカプセル材(41)と、このカプセル材(41)の内部に設けられた薬剤(42)とを備える。カプセル材(41)は、特定の微生物によって生分解される材料(具体的には、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体)で構成された被分解部(41a)を有する。この例では、カプセル材(41)は、全体が被分解部(41a)によって構成されている。第3薬剤入りカプセル(40)のカプセル材(41)の厚み(T3)は、第1薬剤入りカプセル(20)の外側のカプセル材(21)の厚み(T1)および第2薬剤入りカプセル(30)のカプセル材(31)の厚み(T2)よりも大きい(T1<T3、T2<T3)。薬剤(42)は、特定の微生物の殺菌作用を有するものであって、例えば防カビ・抗菌剤および植物精油を含む。
【0031】
なお、本明細書において、「特定の微生物」とは、薬剤入りカプセル(20,30,40)の殺菌の対象となる微生物を意味する。当該微生物は、具体的には、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌であって、当該カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、当該酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、当該細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む。
【0032】
−薬剤効果の発現−
薬剤入りカプセル(20,30,40)の薬剤効果がどのように発現するかについて説明する。
【0033】
例えば空気調和装置(1)の熱交換器(10a)の表面では、冷房運転時に空気中の水分が結露して発生するドレン水によって特定の微生物が繁殖する。
【0034】
繁殖した特定の微生物は、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)を生分解する。その場合、まず、第1薬剤入りカプセル(20)の外側のカプセル材(21)と第2薬剤入りカプセル(30)のカプセル材(31)に孔が空く。すると、当該カプセル材(21,31)の内部の薬剤(22,32)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0035】
特定の微生物がさらに繁殖すると、次は、第1薬剤入りカプセル(20)の内側のカプセル材(21)に孔が空く。すると、当該カプセル材(21)の内部の薬剤(22)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0036】
特定の微生物がさらに繁殖すると、次は、第3薬剤入りカプセル(40)のカプセル材(41)に孔が空く。すると、当該カプセル材(41)の内部の薬剤(42)が放出され、特定の微生物が殺菌される。
【0037】
以上のように、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)は、特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングでその薬剤効果を発現する。また、各カプセル材(21,31,41)に孔が空く時期が互いに異なるので、比較的長期にわたって薬剤効果を発現させることができる。
【0038】
−実施形態の効果−
本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備え、上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有する。
【0039】
本願発明者は、特定の微生物が繁殖する箇所に、当該特定の微生物を対象とする薬剤入りカプセル(20,30,40)を設けることに着目した。そして、当該特定の微生物によって生分解される材料でカプセル材(21,31,41)の少なくとも一部を構成することで、当該特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングを狙ってこれを殺菌できることを見出した。そして、本実施形態のカプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、特定の微生物が繁殖した箇所で当該微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて繁殖した微生物が殺菌される。このように、特定の微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【0040】
また、上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌である。したがって、本実施形態によれば、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0041】
また、上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む。本願発明者は、これらのカビ、酵母、または細菌が空気処理装置(1)で繁殖するという知見を新たに得た。そして、本実施形態では、当該カビ、酵母、または細菌によって生分解される材料でカプセル材(21,31,41)を構成している。したがって、本実施形態によれば、特定のカビ、酵母、または細菌に効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0042】
また、本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記特定の微生物によって生分解される材料が、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体である。したがって、本実施形態によれば、上記の重合体を生分解し得る微生物に対して効果的な薬剤入りカプセル(20,30,40)を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態の第1薬剤入りカプセル(20)は、上記カプセル材(21)が、層状に2つ設けられ、上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられている。このため、外側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。その後、内側のカプセル材(21)が生分解されると、その内部の薬剤(22)が放出されて特定の微生物が殺菌される。このように、1つの第1薬剤入りカプセル(20)毎に2回の薬剤効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施形態の空気処理装置(1)の部品(10)は、薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える。このため、本実施形態によれば、空気処理装置(1)において、薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)が設けられた部品(10)での特定の微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態の空気処理装置(1)の部品(10)は、上記被膜(13)が、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、第3薬剤入りカプセル(40)は、上記カプセル材(41)の被分解部(41a)の厚み(T3)が、第1および第2薬剤入りカプセル(20,30)のカプセル材(21,31)の被分解部(21a,31a)の厚み(T1,T2)よりも大きい。このため、第3薬剤入りカプセル(40)は、第1薬剤入りカプセル(20)および第2薬剤入りカプセル(30)よりも、カプセル材(21,31,41)が生分解によって孔が空くタイミングが遅く、よって薬剤効果の発現時期が遅い。したがって、全ての薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)の厚み(T1〜T3)が実質的に等しい場合に比べて、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)全体として薬剤効果の発現期間を長くすることができる。
【0046】
また、本実施形態の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える。したがって、カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)は、空気処理装置(1)で繁殖する微生物によって生分解される。すると、カプセル材(21,31,41)内の薬剤(22,32,42)が放出されて当該微生物が殺菌される。このように、空気処理装置(1)において、微生物が繁殖した箇所およびタイミングで薬剤(22,32,42)の薬剤効果を発現させることができる。
【0047】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0048】
上記実施形態では、空気処理装置(1)は、空気調和装置(1)によって構成されているが、空気処理装置(1)は、例えば、空気浄化装置、調湿装置、または換気装置によって構成されていてもよい。その場合、部品(10)は、例えば、空気浄化装置のファンもしくはフィルタ、調湿装置の加湿ユニット、ファン、もしくはフィルタ、または換気装置のファン、フィルタ、もしくはダクトによって構成されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第1薬剤入りカプセル(20)の2つのカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(22)の種類が同じであるが、
図6に示すように、外側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(23)の種類と、内側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(24)の種類とが互いに異なっていてもよい。なお、この例では、外側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(23)は、防カビ・抗菌剤であって、内側のカプセル材(21)の内部に設けられた薬剤(24)は、植物精油である。また、第1薬剤入りカプセル(20)のカプセル材(21)の数は、3つ以上であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、第1〜第3薬剤入りカプセル(20,30,40)のカプセル材(21,31,41)の全体が被分解部(21a,31a,41a)で構成されているが、
図7に示すように、例えば第2薬剤入りカプセル(30)において、カプセル材(31)の一部のみが被分解部(31a)で構成されていてもよい。この場合、被分解部(31a)が特定の微生物によって生分解され、そこから薬剤(32)が放出される。なお、同様のことが第1および第3薬剤入りカプセル(20,40)についても言える。
【0051】
また、親水被膜(13)が含む薬剤入りカプセル(20,30,40)の種類は、2種類以下であってもよいし4種類以上であってもよい。
【0052】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本開示は、薬剤入りカプセルおよび空気処理装置の部品について有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 空気調和装置(空気処理装置)
10 部品
10a 熱交換器(部品)
10b ファン(部品)
10c ドレンパン(部品)
10d フィルタ(部品)
13 親水被膜(被膜)
20 第1薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
21 カプセル材
21a 被分解部
22 薬剤
30 第2薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
31 カプセル材
31a 被分解部
32 薬剤
40 第3薬剤入りカプセル(薬剤入りカプセル)
41 カプセル材
41a 被分解部
42 薬剤
T1〜T3 (被分解部の)厚み
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル材(21,31,41)と、上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、特定の微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを有し、上記カプセル材(21,31,41)は、上記特定の微生物によって生分解される材料で構成された被分解部(21a,31a,41a)を含む薬剤入りカプセル(20,30,40)を含む被膜(13)を備える
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項2】
請求項1において、
上記カプセル材(21,31,41)は、全体が上記被分解部(21a,31a,41a)で構成される
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記空気処理装置(1)が備えるケーシング(2)、ファン(10b)、ドレンパン(10c)、フィルタ(10d)、フラップ、またはダクトで構成される
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記特定の微生物は、空気処理装置(1)で繁殖するカビ、酵母、または細菌である
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項5】
請求項4において、
上記カビは、ペニシリウム(Penicillium)属のカビ、クラドスポリウム(Cladosporium)属のカビ、アスペルギルス(Aspergillus)属のカビ、トキシコクラドスポリウム(Toxicocladosporium)属のカビ、エンギオドンチウム(Engyodontium)属のカビ、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属のカビ、アルテルナリア(Alternaria)属のカビ、ペシロマイセス(Paecilomyces)属のカビ、トリコデルマ(Tricoderma)属のカビ、ニグロスポラ(Nigrospora)属のカビ、カエトミウム(Chaetomium)属のカビ、ウロクラジウム(Ulocladium)属のカビ、フザリウム(Fusarium)属のカビ、ユーロチウム(Eurotium)属のカビ、カーブラリア(Curvularia)属のカビ、ロドトルラ(Rhodotorula)属のカビ、ケトミウム(Chaetomium)属のカビ、ムコール(Mucor)属のカビ、およびリゾプス(Rhizopus)属のカビのうち少なくとも1つを含み、
上記酵母は、酵母と総称される真菌類のうち少なくとも1つを含み、
上記細菌は、アルスロバクター(Arthrobacter)属の細菌、バシラス(Baccilus)属の細菌、セラチア(Serratia)属の細菌、および黄色ブドウ球菌のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
上記特定の微生物によって生分解される材料は、カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体である
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
上記カプセル材(21)は、層状に複数設けられ、
上記薬剤(22)は、各上記カプセル材(21)の内部に設けられている
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
上記被膜(13)は、複数種類の上記薬剤入りカプセル(20,30,40)を含み、
上記複数種類の薬剤入りカプセル(20,30,40)は、上記カプセル材(21,31,41)の被分解部(21a,31a,41a)の厚み(T1,T2,T3)が互いに異なる
ことを特徴とする空気処理装置の部品。
【請求項9】
空気処理装置(1)で使用するための薬剤入りカプセル(20,30,40)であって、
カプロラクトンを含む重合体、またはエチレンアジペートを含む重合体で構成された被分解部(21a,31a,41a)を有するカプセル材(21,31,41)と、
上記カプセル材(21,31,41)の内部に設けられ、微生物の殺菌作用を有する薬剤(22,32,42)とを備える
ことを特徴とする薬剤入りカプセル。