【解決手段】工作機械(10)に付属し、NC装置(20)と連携して工作機械(10)を制御する制御装置(30)は、所定の時間間隔毎の工作機械(10)の稼働状態を予め決められた複数の稼働状態区分に分類し、かつ、工作機械(10)の稼働状態を分類された稼働状態区分で時系列式に含む積上げグラフを作成する、積上げグラフ作成部(33f)を有する、演算処理部(33)と、作成された積上げグラフと、積上げグラフの各稼働状態区分における工作機械(10)の稼働状態の詳細を示す工作機械(10)の稼働情報と、を関連付けて記憶する、記憶部(34)と、積上げグラフを表示するとともに、積上げグラフの一部分が選択された場合に、選択された一部分に対応する工作機械(10)の稼働情報を表示する、操作部(35)と、を具備する。
前記複数の状態区分は、前記工作機械の電源オン、NC自動運転、段取り、アラームによる停止、及び、前記工作機械の電源オフ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の工作機械の制御装置。
前記工作機械の前記稼働情報は、各稼働状態区分の、加工プログラム、加工プログラムの変更履歴、加工プログラムの加工条件、及び、アラーム内容、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の工作機械の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る工作機械の制御装置を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る工作機械の制御装置を含むシステムを示す概略的なブロック図である。システム100は、工作機械10と、NC装置20と、制御装置30と、遠隔監視装置(外部の監視装置)40と、を備えている。
【0015】
工作機械10は、例えば、マシニングセンタ、レーザ加工機、又は、放電加工機等の様々なNC工作機械であることができる。NC装置20は、加工プログラムに基づいて、工作機械10の様々な構成要素の動作を制御する。NC装置20は、工作機械に付属することができ、例えば、工作機械の周辺に配置されてもよく、又は、工作機械の任意の構成要素に取り付けられてもよい。NC装置20は、加工プログラムを保存するための記憶部(不図示)及び加工プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(不図示)を有することができる。
【0016】
制御装置30は、NC装置20と連携して工作機械10を制御し、工作機械10の稼働状態をユーザーに提供することができる(詳しくは後述)。制御装置30は、工作機械に付属することができ、例えば、NC装置20に組み込まれてもよく、又は、NC装置20とは別個にして、工作機械の周辺に配置されてもよく、若しくは、工作機械の任意の構成要素に取り付けられてもよい。また、制御装置30は、例えば、自動工具交換装置等の工作機械10の周辺機器を制御するための機械制御装置に組み込まれてもよい。工作機械10、NC装置20及び制御装置30は、例えば、有線又は無線LAN等によって、相互に通信可能である。また、制御装置30は、ネットワークNを介して、遠隔監視装置40と通信可能である。ネットワークNは、例えば、インターネット、WiFi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、3G及び4G等の3GPP(Third Generation Partnership Project)により定められた通信規格に基づく通信方式、若しくは、その他の通信方式、又は、これらの任意の組み合わせを使用することができ、有線若しくは無線又はこれらの組み合わせを使用することができる。
【0017】
遠隔監視装置40は、例えば、工作機械10のユーザー側に設けられた装置、及び/又は、工作機械10の製造メーカ側に設けられた装置であることができ、例えば、コンピュータ、サーバ、並びに/又は、スマートフォン及び/若しくはタブレット等の携帯端末等であることができる。なお、
図1は、1つの遠隔監視装置40を示しているが、複数の遠隔監視装置40が制御装置30と通信可能であってもよい。
【0018】
次に、制御装置30について詳細に説明する。制御装置30は、入出力制御部31と、ネットワーク制御部32と、演算処理部33と、記憶部34と、操作部35と、を有しており、これらの構成要素は、例えば不図示のバス等を介して相互に接続されている。制御装置30は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等のその他の構成要素を更に有してもよい。
【0019】
入出力制御部31は、制御装置30とNC装置20との間及び制御装置30と工作機械10との間でのデータの入出力を制御し、制御装置30がNC装置20及び工作機械10と通信することを可能にする。ネットワーク制御部32は、制御装置30とネットワークNとの間でのデータの入出力を制御し、制御装置30がネットワークNを介して遠隔監視装置40と通信することを可能にする。入出力制御部31及びネットワーク制御部32は、例えば、それぞれI/Oポートであることができる。
【0020】
演算処理部33は、例えば、1つ又は複数のCPU等のプロセッサであることができる。例えば、制御装置30がNC装置20に組み込まれる場合、演算処理部33は、例えば、NC装置20用のCPUとは別個のCPUであってもよく、又は、NC装置20用のCPUによって実現されてもよい。演算処理部33は、ON時間カウンタ33aと、OFF時間カウンタ33bと、稼働時間カウンタ33cと、アラーム時間カウンタ33dと、段取り時間カウンタ33eと、積上げグラフ作成部33fと、加工プログラム複製部33gと、を含んでおり、これらは、例えば記憶部34に保存されたプログラムによって実現されることができる。
【0021】
ON時間カウンタ33aは、工作機械10の電源オン時間を計数する。ON時間カウンタ33aは、例えば、電源ボタン35a(詳しくは後述)の操作によって、工作機械10の電源がオンにされた時刻から工作機械10の電源がオフにされた時刻までの時間を計数する。
【0022】
OFF時間カウンタ33bは、工作機械10の電源オフ時間を計数する。OFF時間カウンタ33bは、例えば、電源ボタン35aの操作によって、工作機械10の電源がオフにされた時刻から工作機械10の電源がオンにされた時刻までの時間を計数する。
【0023】
稼働時間カウンタ33cは、工作機械10が加工プログラムにしたがって稼働している(又は自動運転している)NC自動運転時間を計数する。稼働時間カウンタ33cは、例えば、オペレータによるサイクルスタートボタン35b(詳しくは後述)の操作等によって工作機械10の自動運転が開始された時刻から工作機械10の自動運転が終了した時刻までの時間を計数する。
【0024】
アラーム時間カウンタ33dは、工作機械10がアラームによって停止しているアラーム時間を計数する。アラーム時間カウンタ33dは、例えば、工作機械10からアラーム信号を受信した時刻から、工作機械10又は操作部35等からアラーム解除信号を受信した時刻までの時間を計数する。
【0025】
段取り時間カウンタ33eは、工作機械10が工作物を加工する前に必要な調整等が行われる段取り時間を計数する。段取りは、例えば、オペレータによって手動で実行され得るし、又は、段取り用プログラムによって自動的に実行され得る。段取りがオペレータによって手動で実行される場合、段取り時間カウンタ33eは、例えば、工作機械10からドアが開かれたことを示す信号を受信した時刻から、工作機械10からドアが閉じられたことを示す信号を受信した時刻までの時間を計数することができる。また、段取りが段取り用プログラムによって自動的に実行される場合、段取り時間カウンタ33eは、例えば、段取り用プログラムに含まれるコードを参照することによって、段取りが開示された時刻から段取りが終了した時刻までの時間を計数することができる。工作機械10がウォータージェットレーザ加工機である場合、段取りには、例えば、ウォータージェット噴射用のノズル交換、レーザ光とノズル穴との位置合わせのためのレーザアライメント、ワークビューカメラの焦点調整のためのキャリブレーション、及び、ワーク位置決めのための計測等が含まれる。また、工作機械10がマシニングセンタである場合、段取りには、例えば、主軸及び送り軸の暖機運転、工具マガジンへの工具準備、パレットへのワーク取付け、切屑の清掃、ワーク及び工具の自動計測、並びに、ワーク座標系の設定等が含まれる。また、工作機械10が放電加工機である場合、段取りには、ワイヤ放電加工機における加工液の噴流圧力調整及び自動結線、並びに、形彫放電加工機における加工槽への加工液の供給及び排出等が含まれる。
【0026】
計数された電源オン時間、電源オフ時間、NC自動運転時間、アラーム時間、及び、段取り時間は、それらの開始日時及び終了日時と関連付けられて、記憶部34に保存されることができる(詳しくは後述)。
【0027】
積上げグラフ作成部33fは、所定の時間間隔(例えば、数〜数百マイクロ秒、数〜数百ミリ秒、数〜数十秒、及び、数分のうちのいずれか)毎の工作機械10の稼働状態を予め決められた複数の稼働状態区分に分類する。具体的には、複数の稼働状態区分には、工作機械10の電源オン、NC自動運転、段取り、アラームによる停止、及び、工作機械10の電源オフが含まれる。稼働状態区分は、工作機械10の他の状態(例えば、工作機械10が実際にワークから材料を除去している加工状態)を含んでもよい。積上げグラフ作成部33fは、「電源オン時間」が計数されていた期間の工作機械10の稼働状態を、稼働状態区分「電源オン」として分類する。同様に、積上げグラフ作成部33fは、「電源オフ時間」、「NC自動運転時間」、「アラーム時間」及び「段取り時間」が計数されていた期間の工作機械10の稼働状態を、それぞれ、稼働状態区分「電源オフ」、「NC自動運転」、「アラームによる停止」及び「段取り」に分類する。なお、「電源オン時間」には、「NC自動運転時間」、「アラーム時間」及び「段取り時間」が含まれ得るため、「電源オン時間」と、「NC自動運転時間」、「アラーム時間」及び「段取り時間」のうちの1つと、の双方が計数されていた期間については、積上げグラフ作成部33fは、その期間の工作機械10の稼働状態を、稼働状態区分「NC自動運転」、「アラームによる停止」及び「段取り」のうちの該当する1つに分類することに留意されたい。積上げグラフ作成部33fは、分類された工作機械10の稼働状態区分に基づいて、積上げグラフを作成する。積上げグラフは、分類された工作機械10の稼働状態区分を時系列式に含んでいる。
【0028】
積上げグラフ作成部33fは、さらに、作成された積上げグラフと、積上げグラフの各稼働状態区分における工作機械10の稼働情報と、を関連付けて記憶部34に記憶させる。具体的には、工作機械10の稼働情報は、各稼働状態区分における工作機械10の稼働状態の詳細を示し、様々な情報を含むことができる。例えば、稼働情報は、各稼働状態区分の開始日時、終了日時、及び、経過時間(すなわち、計数された電源オン時間、電源オフ時間、NC自動運転時間、アラーム時間、及び、段取り時間)等を含むことができる。また、稼働状態区分がアラームによる停止である場合には、稼働情報は、アラームの詳細内容を含むことができる。また、稼働状態区分がNC自動運転である場合には、稼働情報は、加工プログラム、加工プログラムのプログラム番号、加工プログラムの変更履歴、加工プログラムの加工条件、及び、加工条件の番号等を含むことができる。
【0029】
例えば、工作機械10がウォータージェットレーザ加工機である場合には、加工条件は、レーザ光の出力、水ポンプユニットの水圧、ノズル径、送り軸の送り速度、及び、ワーク材質等を含むことができる。また、例えば、工作機械10がマシニングセンタである場合には、加工条件は、工具種類、工具寸法、ワーク材質、ワーク座標原点位置、主軸回転速度、及び、送り軸の送り速度等を含むことができる。また、例えば、工作機械10が放電加工機である場合には、加工条件は、荒加工、仕上げ加工の別、電極材質、ワーク材質、ワーク寸法、ワイヤ電極径、加工パワー、送り軸の送り速度、及び、加工液の種類等を含むことができる。
【0030】
また、工作機械10のユーザーは、NC装置20において、加工プログラム中のコマンドを調整する可能性がある。この場合、プログラム番号が同じであっても、加工プログラムは、使用された日時によって互いに異なる可能性がある。したがって、同じプログラム番号を有する標準的な加工プログラムからの変更履歴のみが、加工プログラムの内容として積上げグラフに関連付けられてもよい。
【0031】
また、稼働情報は、対応する稼働状態区分に関連する写真(詳しくは後述)を含んでもよい。例えば、稼働状態区分がNC自動運転である場合には、稼働情報は、対応するNC自動運転によって得られた工作物の写真を含んでもよい。
【0032】
加工プログラム複製部33gは、操作部35において加工プログラムを複製するための複製ボタン35e(詳しくは後述)が押された場合には、記憶部34において積上げグラフと関連付けられた稼働情報の中から該当する加工プログラムを読み出し、当該加工プログラムを積上げグラフとは別個に記憶部34に複製する。
【0033】
記憶部34は、例えば、1つ又は複数のハードディスクドライブ等であり得る。例えば、制御装置30がNC装置20に組み込まれる場合、記憶部34は、例えば、NC装置20用のハードディスクとは別個のハードディスクであってもよく、又は、NC装置20用のハードディスクによって実現されてもよい。記憶部34は、積上げグラフ及び工作機械10の稼働情報を関連付けて記憶する。記憶部34は、その他、様々なデータ及び/又はプログラムを記憶してもよい。制御装置30は、演算処理部33と記憶部34との間のデータの入出力を制御するための不図示のインターフェースを有することができる。
【0034】
操作部35は、ユーザーに対して情報を示すように構成された表示部と、ユーザーからの入力を受け付けるように構成された入力部と、を含むことができる。操作部35は、例えば、タッチパネル35dを含むことができる。また、操作部35は、液晶ディスプレイ等の表示装置、並びに、キーボード及び/又はマウス等の入力装置を含んでもよい。また、操作部35は、工作機械10の電源をオン/オフするための電源ボタン35a、工作機械10をNCプログラムにしたがって自動運転させるためのサイクルスタートボタン35b、及び、工作機械10の自動運転及び手動運転を切り替えるための切り替えボタン35cを含むことができる。ボタン35a,35b,35cは、例えば、機械的なボタンであることができる。
【0035】
次に、操作部35に表示される画面について詳細に説明する。
【0036】
図2は、操作部(具体的には、タッチパネル35d)に表示される画面の例を示している。
図2は、例えば、工作機械10がウォータージェットレーザ加工機である場合の画面の例を示しており、例えば、左側の領域DLには、様々なボタンが表示され、右側の領域DRには、ユーザーに対して様々な情報が表示される。また、画面の右上には、稼働情報に含まれる写真を撮影するためのキャプチャボタンCBが設けられており、キャプチャボタンCBによって動作される不図示の撮像手段が、工作機械10に又は工作機械10の近傍に設けられている。
【0037】
例えば、
図2の領域DLの上部にある「ステータス」ボタンを押すと、領域DL上に、例えば「アラーム」及び「加工履歴」を含む様々なボタンが表示される。「加工履歴」ボタンを押すと、
図3〜
図7に示されるような工作機械10の稼働状態に関する画面にアクセスすることが可能であり、「アラーム」ボタンを押すと、
図8に示されるようなアラームの詳細情報に関する画面にアクセスすることが可能である。
【0038】
図3は、積上げグラフの例を示し、
図4及び
図5は、積上げフラフと関連付けられた稼働情報の例を示す。
図2及び
図4を参照して、
図2の画面において「加工履歴」ボタンを押すと、領域DRに、
図4に示されるような、「グラフと集計」タブと、「稼働時間履歴」タブと、「加工状態履歴」タブと、を含む画面が表示される。
【0039】
「グラフと集計」タブが選択されると、
図3に示されるような積上げグラフを含む画面が表示される。
図3は、例えば、ある1月間の積上げグラフを示しており、縦軸が1月間の日付を示し横軸が1日における時間を示している。選択によって、例えば、ある1週間の積上げグラフ(例えば、縦軸が1週間の日付を示し横軸が1日における時間を示す)、又は、ある1日の積上げグラフ(例えば、縦軸が1日における時間を示し横軸が1時間における分を示す)が表示されてもよい。
図3では、稼働状態区分として、「電源オン」、「稼働(NC自動運転)」、「アラームによる停止」、及び、「段取り」の凡例が示されているが、積上げグラフ中で空白の期間は、「電源オフ」を示すことができる。
【0040】
図3及び
図4を参照して、本開示に係る制御装置30では、上記のように、作成された積上げグラフと、積上げグラフの各稼働状態区分における工作機械10の稼働情報と、が関連付けられていることから、
図3に示される積上げグラフの一部分(例えば、ある時点)が選択(例えば、タッチ又はクリック)されると、
図4に示されるように、選択された一部分を含む、ある期間における工作機械10の稼働情報が領域DRに表示される。なお、
図4に示される稼働情報は、「稼働時間履歴」タブを選択することによっても表示可能であることに留意されたい。
図4において、左側半分には、工作機械10の稼働状態の履歴が示されており、各稼働状態は、開始日時、終了日時、稼働時間(NC自動運転時間)、加工時間及び加工プログラム番号を稼働情報として含んでいる。なお、加工時間とは、稼働時間のうち、工作機械10が実際にワークから材料を除去している時間を意味することに留意されたい。
【0041】
図4において、右上部分の情報は、左側半分の履歴のなかから、ある稼働状態が選択された場合に表示されることができる。例えば、
図4では、右上部分に、開始日時、終了日時、稼働時間、加工時間、加工プログラム番号及び加工条件の番号が稼働情報として示されている。また、
図4において、右下部分の情報は、右上部分の情報からある項目が選択された場合に、表示されることができる。例えば、
図4では、右上部分から選択された、加工プログラム番号「O6」に関する詳細な情報が、右下部分に表示されている。また、例えば、
図5では、右上部分から選択された、加工条件番号「T41」に関する詳細な情報が、右下部分に表示されている。
【0042】
図4及び
図5に示されるように、操作部35(具体的には、タッチパネル35d)は、複製ボタン35eを含んでいる。複製ボタン35eが押されると、演算処理部33の加工プログラム複製部33gは、現在タッチパネル35dの右上部分に表示されている(すなわち、ユーザーによって選択された)加工プログラム「O6」を記憶部34から読み出し、当該加工プログラムを積上げグラフとは別個に記憶部34に複製する。なお、上記のように、ある特定の事象で使用されたこの加工プログラム「O6」は、工作機械10のユーザーによって、標準的な加工プログラム「O6」から変更された可能性がある。
【0043】
図6は、加工プログラムを複製するための画面の例を示す。
図4〜
図6を参照して、
図4及び
図5の複製ボタン35eが押されると、
図6の画面が領域DRに表示される。
図6の画面において、例えば「2」を入力すると、上記の特定の事象で使用された加工プログラム「O6」が、新しい番号「O2」で記憶部34に保存される、又は、既に加工プログラム「O2」が存在する場合には、加工プログラム「O2」が上書きされてもよい。代替的に、例えば、
図6の画面において、同じ番号「6」を入力すると、上記の特定の事象で使用された加工プログラム「O6」が、記憶部34に記憶されている標準的な加工プログラム「O6」に上書きされてもよい。記憶部34に積上げグラフとは別個に複製された加工プログラムは、入出力制御部31を介して、NC装置20に入力されることができる。
【0044】
図7は、発生事象の履歴の例を示す。「加工状態履歴」タブが選択されると、
図7に示されるような工作機械10で発生した事象の履歴を含む画面が表示される。発生事象としては、例えば、工作機械10の電源オン及び電源オフ、各発生事象中に示されている加工プログラムの運転開始及び運転リセット、並びに、各発生事象中に示されている加工プログラムの運転中のアラーム等が含まれる。発生事象には、その他の事象が含まれてもよい。
【0045】
図8は、アラームの履歴の例を示す。
図2及び
図8を参照して、
図2の画面において「アラーム」ボタンを押すと、
図8に示されるような、アラーム履歴を含む画面にアクセスすることができる。例えば、アラーム履歴のなかから、あるアラームを選択(例えば、タッチ又はクリック)すると、そのアラームを解消するための方法が記載されたマニュアル(不図示)が画面に表示されてもよい。
【0046】
以上のような本実施形態に係る制御装置30は、工作機械10に付属しており、工作機械10の稼働状態区分を時系列式に含む積上げグラフ(例えば、
図3)と、各稼働状態区分における工作機械10の稼働情報(例えば、
図4及び
図5)とを、関連付けて記憶する。そして、タッチパネル35dにおいて積上げグラフの一部分が選択された場合に、選択された一部分に対応する工作機械10の稼働情報が表示される。したがって、ユーザーは、所望の日時における工作機械10の稼働状態区分と、関連する稼働情報とを、工作機械10に付属するタッチパネル35dで迅速に閲覧することができる。したがって、ユーザーは、所望の日時における工作機械10の稼働情報を迅速に容易に閲覧することができる。また、ユーザーは、所望の日時における工作機械10の稼働情報を迅速に閲覧することができるため、トラブルを迅速に調査することが可能となり、ひいては、工作機械10の稼働率を向上させることができる。
【0047】
また、制御装置30では、複数の稼働状態区分は、工作機械の電源オン、NC自動運転、段取り、アラームによる停止、及び、工作機械の電源オフを含む。また、制御装置30では、稼働情報は、積上げグラフの選択された一部分についての、開始日時、終了日時、経過時間、加工プログラム、加工プログラムのプログラム番号、加工プログラムの変更履歴、加工プログラムの加工条件、及び、アラーム内容を含む。したがって、ユーザーは、例えば、過去の加工プログラムと現在の加工プログラムとを容易に比較することが可能となる。
【0048】
また、制御装置30では、操作部35は、表示されている加工プログラムを記憶部34に複製するための複製ボタン35eを有している。工作機械10のユーザーは、しばしば、過去に使用された加工プログラムを至急に必要とする場合がある。制御装置30では、過去の工作機械10の稼働状態区分及び稼働情報に含まれる加工プログラムが関連付けて時系列式に記憶されているため、加工プログラムが使用された日時に基づいて該当する加工プログラムを容易に見つけることができ、さらに、複製ボタン35eにより加工プログラムを容易に複製することができる。したがって、ユーザーは、至急の要求に迅速に対応することが可能である。
【0049】
また、制御装置30は、ネットワークNを介して遠隔監視装置40と通信するためのネットワーク制御部32を更に具備している。したがって、ユーザーは、工作機械10から離れた場所から、工作機械10の稼働状態を迅速に容易に閲覧することができる。また、例えば、工作機械10のユーザーに加えて、工作機械10の製造メーカの保守担当者が、工作機械の稼働状態を迅速に容易に閲覧することができる。また、本実施形態では、各工作機械10に付属する制御装置30が対応する工作機械10の稼働状態を記憶するため、工作機械の製造メーカ側の監視装置40は、複数の工作機械の膨大な稼働状態を記憶する必要がない。このため、製造メーカ側の監視装置40は、例えば、大規模でないコンピュータ、又は、スマートフォン若しくはタブレット等の携帯端末であることができる。
【0050】
工作機械の制御装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。
本開示の一態様は、工作機械に付属し、NC装置と連携して工作機械を制御する、工作機械の制御装置において、所定の時間間隔毎の工作機械の稼働状態を予め決められた複数の稼働状態区分に分類し、かつ、工作機械の稼働状態を分類された稼働状態区分で時系列式に積上げグラフを作成する、積上げグラフ作成部を有する、演算処理部と、作成された積上げグラフと、当該積上げグラフの各稼働状態区分
前記複数の状態区分は、前記工作機械の電源オン、NC自動運転、段取り、アラームによる停止、及び、前記工作機械の電源オフ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の工作機械の制御装置。