【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。なお、
図1では、明瞭化のため、電極膜5〜8にハッチングを付して示している。
半導体装置1は、平面視四角形状の本発明の半導体層の一例としての半導体基板2を含む。半導体基板2の第1方向の長さL1(
図1では、半導体基板2の側面2Aおよび2Cに沿う長さ)は、たとえば1.0mm〜9.0mmであり、当該第1方向に直交する第2方向の長さL2(
図1では、半導体基板2の側面2Bおよび2Dに沿う長さ)は、たとえば1.0mm〜9.0mmであってもよい。
【0017】
半導体基板2は、平面視において、その中央領域にアクティブ部3を含む。アクティブ部3は、主に、後述する単位セル29が形成された領域であり、半導体装置1のソース−ドレイン間が導通状態のとき(オン時)に半導体基板2の厚さ方向に電流が流れる領域である。半導体基板2は、さらに、当該アクティブ部3の周囲に外周部4を含んでいる。
半導体装置1は、アクティブ部3上に形成されたソース電極膜5と、外周部4上に形成されたゲート電極膜6、本発明の第1電極の一例としての外周電極膜7および等電位リング膜8とを含む。これらの電極膜は、共通の電極膜のパターニングによって互いに分離されて形成される。
【0018】
ソース電極膜5は、アクティブ部3の大部分を覆う平面視略四角形状に形成されている。ソース電極膜5の互いに対向する一対の側部(
図1では、半導体基板2の側面2Aに近い側部および側面2Cに近い側部)には、ソース電極膜5の内方に向かって凹むパッド用凹部9,10が形成されている。パッド用凹部9,10は、それぞれ、後述する外周パッド17およびゲートパッド12の配置スペースを有効に確保するために設けられたものである。パッド用凹部9,10を互いに比較すると、外周パッド17用の凹部9が、ゲートパッド12用の凹部10に比べて幅広に形成されている。ソース電極膜5は、表面保護膜48(
図3参照)で選択的に覆われており、その一部がソースパッド11として露出している。ソースパッド11には、たとえばボンディングワイヤ等の接合部材が接続される。
【0019】
ゲート電極膜6は、ゲートパッド12と、ゲートフィンガー13とを含む。
ゲートパッド12は、表面保護膜48(
図3参照)で覆われたゲート電極膜6のうち、当該表面保護膜48から選択的に露出した部分である。ゲートパッド12には、ボンディングワイヤ等の接合部材が接続される。ゲートパッド12は、半導体基板2の互いに対向する一対の側面(
図1では、側面2Aおよび側面2C)の一方の側面側に選択的に配置されている。この実施形態では、ゲートパッド12は、平面視において、パッド用凹部10の内方領域に重なるように設けられており、パッド用凹部10の側部を両側から区画するソース電極膜5の一対の突出部14,14によって間隔を空けて挟まれている。
【0020】
ゲートフィンガー13は、ゲートパッド12から半導体基板2の側面2A〜2Dに沿う直線状に形成されている。この実施形態では、ゲートフィンガー13は、ソース電極膜5を取り囲む閉環状に形成されている。ゲートフィンガー13におけるゲートパッド12に対向する部分(半導体基板2の側面2Aに近い部分)は、平面視において、その幅方向一方の辺および他方の辺がパッド用凹部9に沿うように形成されている。これにより、パッド用凹部9に、ゲートフィンガー13の一部によって区画されたフィンガー凹部15が形成されている。この実施形態では、フィンガー凹部15は、平面視において、パッド用凹部9の側部を両側から区画するソース電極膜5の一対の突出部16,16によって間隔を空けて挟まれている。なお、ゲートフィンガー13は、閉環状に形成されている必要はなく、一部が開放された形状であってもよい。たとえば、ゲートフィンガー13は、後述する外周フィンガー18に倣って、ゲートパッド12の反対側が開放された形状であってもよい。また、ゲートフィンガー13は、表面保護膜48(
図3参照)に覆われている。
【0021】
外周電極膜7は、外周パッド17と、外周フィンガー18とを含む。
外周パッド17は、表面保護膜48(
図3参照)で覆われた外周電極膜7のうち、当該表面保護膜48から選択的に露出した部分である。外周パッド17には、ボンディングワイヤ等の接合部材が接続される。外周パッド17は、半導体基板2の互いに対向する一対の側面(
図1では、側面2Aおよび側面2C)の一方の側面側に選択的に配置されている。この実施形態では、外周パッド17は、平面視において、ゲートパッド12の反対側に配置され、フィンガー凹部15の内方領域に重なるように設けられている。これにより、外周パッド17は、フィンガー凹部15の側部を両側から区画するゲートフィンガー13の一対の突出部19,19によって間隔を空けて挟まれている。なお、
図1では、外周パッド17は、ゲートパッド12とパッド用凹部10との関係とは異なり、パッド用凹部9の内方領域に重なるように設けられていない。しかしながら、たとえば、ゲートフィンガー13のパッド用凹部9側が開放される態様では、パッド用凹部9がパッド用凹部10とほぼ同じ幅に形成され、外周パッド17が、当該パッド用凹部9の内方領域に重なるように設けられていてもよい。
【0022】
外周フィンガー18は、ゲートフィンガー13よりも外側において、外周パッド17から半導体基板2の側面(
図1では、側面2A,2B,2D)に沿う直線状に形成されている。この実施形態では、外周フィンガー18は、ソース電極膜5およびゲート電極膜6を取り囲み、外周パッド17の反対側が開放された形状に形成されている。なお、外周フィンガー18は、ソース電極膜5およびゲート電極膜6を完全に取り囲む閉環状に形成されていてもよい。また、外周フィンガー18は、ゲートフィンガー13と同じ幅で形成され、ゲートフィンガー13に対して間隔を空けて平行に配置されていてもよい。また、外周フィンガー18は、表面保護膜48(
図3参照)に覆われている。
【0023】
等電位リング膜8は、ソース電極膜5、ゲート電極膜6および外周電極膜7を取り囲む閉環状に形成されている。また、等電位リング膜8は、ゲートフィンガー13および外周フィンガー18よりも狭い幅で形成されていてもよい。また、等電位リング膜8は、表面保護膜48(
図3参照)に覆われている。
図2は、
図1の半導体装置1の破線IIで囲まれた部分の断面斜視図である。
図3は、
図1のIII−III断面を示す断面図である。なお、
図2では、層間絶縁膜43上の構成を省略して示している。
【0024】
半導体装置1は、スーパージャンクション構造を有するnチャンネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
半導体装置1は、n
+型ドレイン層20と、n
−型ベース層21と、p型ボディ領域22と、p
−型コラム層23と、n
+型ソース領域24と、p
+型ボディコンタクト領域25と、ゲート絶縁膜26と、ゲート電極27と、ドレイン電極28とを含む。
図1の半導体基板2は、n
+型ドレイン層20およびn
−型ベース層21を合わせた概念であってもよい。
【0025】
n
+型ドレイン層20は、n
+型の半導体基板(たとえばシリコン基板)からなっていてもよい。その他、SiC基板、GaN基板等、一般的にトランジスタに採用される基板であってもよい。n
+型の半導体基板は、n型不純物をドープしながら結晶成長させた半導体基板であってもよい。n型不純物としては、P(リン)、As(ヒ素)、SB(アンチモン)等を適用できる。また、n
+型ドレイン層20の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
18cm
−3〜5.0×10
20cm
−3程度である。また、n
+型ドレイン層20の厚さは、たとえば、1.0×10
18μm〜5.0×10
20μmである。
【0026】
n
−型ベース層21は、n型不純物が注入された半導体層である。より具体的には、n
+型ドレイン層20上に、n型不純物を注入しながらエピタキシャル成長されたn型エピタキシャル層であってもよい。n型不純物としては、前述のものを適用できる。また、n
−型ベース層21の不純物濃度は、n
+型ドレイン層20よりも低く、たとえば、1.0×10
10cm
−3〜1.0×10
16cm
−3程度である。また、n
−型ベース層21の厚さは、たとえば、10μm〜50μmである。
【0027】
p型ボディ領域22は、p型不純物が注入された半導体層である。より具体的には、n
−型ベース層21の表面(本発明の第1面の一例)に対してp型不純物をイオン注入(インプラ)することによって形成された半導体層であってもよい。p型不純物としては、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)等を適用できる。また、p型ボディ領域22の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
19cm
−3程度である。
【0028】
p型ボディ領域22は、n
−型ベース層21の表面部に選択的に形成されている。この実施形態では、
図2に示すように、複数のp型ボディ領域22は、互いに平行なストライプ状に形成されており、たとえば、半導体基板2の側面2A,2Cに沿う方向に延びている(
図1参照)。なお、複数のp型ボディ領域22は、n
−型ベース層21の表面部において行列状に配列されていてもよい。各p型ボディ領域22の幅は、たとえば、3μm〜10μmである。各p型ボディ領域22およびその周囲のn
−型ベース層21を含む領域は、単位セル29を形成している。すなわち、この半導体装置1は、
図2のレイアウトでは、平面視においてストライプ状に配列された多数(複数)の単位セル29を有している。また、
図2において、隣り合う単位セル29の幅(セルピッチ)は、たとえば、5μm〜20μmである。
【0029】
また、各p型ボディ領域22は、
図3に示すように、アクティブ部3と外周部4との間に跨って形成されている。各p型ボディ領域22の外周部4における端部36は、半導体基板2の側面2Dに対して内側に間隔を空けた位置に配置されており、当該端部36と側面2Dとの間の領域は、n
−型ベース層21の領域となっている。また、各p型ボディ領域22は、
図2に示すように、n
−型ベース層21との界面(pn接合面)に寄生ダイオード(ボディダイオード)34を形成している。
【0030】
p
−型コラム層23は、n
−型ベース層21に対してp型不純物をイオン注入(インプラ)することによって形成された半導体層であってもよい。p型不純物としては、前述のものを適用できる。また、p
−型コラム層23の不純物濃度は、p型ボディ領域22よりも低く、たとえば、1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
19cm
−3程度である。
図2に示すように、p
−型コラム層23は、各単位セル29のp型ボディ領域22の内方の領域に形成されている。より具体的には、p
−型コラム層23は、p型ボディ領域22の幅方向中央の領域においてストライプ状に形成されている。
【0031】
また、この実施形態では、p
−型コラム層23は、アクティブ部3において、p型ボディ領域22の下方(n
−型ベース層21の裏面側)に間隔を空けて形成された分断コラム30を含んでいる。これにより、p型ボディ領域22と分断コラム30との間には、n
−型ベース層21の一部からなるn
−型の分断領域31が形成されている。分断領域31の間隔(p型ボディ領域22の下端と分断コラム30の上端との距離)は、たとえば、0.5μm〜5.0μmであってもよい。
【0032】
このp
−型コラム層23は、
図3を参照して、p型ボディ領域22の下方部においてアクティブ部3と外周部4との間に跨って形成されている。これにより、p
−型コラム層23は、外周部4において、分断コラム30の延長部からなり、p型ボディ領域22の外周部4の端部36よりも外側(側面2A側)に引き出された引き出し部32をさらに含む。
当該引き出し部32からは、n
−型ベース層21の表面側に向かって延び、n
−型ベース層21の表面に露出したp
−型層33が形成されている。p
−型層33は、n
−型ベース層21に対してp型不純物をイオン注入(インプラ)することによって形成された半導体層であってもよい。p型不純物としては、前述のものを適用できる。また、p
−型層33の不純物濃度は、p
−型コラム層23と同じで、たとえば、1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
19cm
−3程度である。
【0033】
p
−型層33は、p型ボディ領域22の端部36から間隔を空けた位置において、n
−型ベース層21の厚さ方向に延びている。つまり、端的に言えば、p
−型コラム層23およびp
−型層33が一体的に形成されてなるp型の不純物領域が、外周部4において、p型ボディ領域22の下方部から側方部に回り込むように形成されており、p型ボディ領域22の下方部および側方部の両方において、n
−型ベース層21によってp型ボディ領域22から隔てられている。これにより、n
−型ベース層21の表面に沿う方向においては、p型ボディ領域22、n
−型ベース層21およびp
−型層33が順に整列することによるpnp構造が形成されている。
【0034】
また、p
−型コラム層23およびp
−型層33のn
−型ベース層21の深さ方向に沿う側面は、当該方向に沿って周期的に起伏した凹凸面となっている。この凹凸の数は、通常、後述するn型半導体層51(
図4Aおよび
図4G)の段数とほぼ一致する。なお、
図2では、明瞭化のため、当該凹凸面を省略したp
−型コラム層23を示している。
図2および
図3を参照して、p
−型コラム層23には、埋め込み電極38が埋め込まれている。埋め込み電極38は、周囲が絶縁膜39で覆われており、p
−型コラム層23から電気的に絶縁されている。埋め込み電極38は、たとえば、ポリシリコンからなり、n型またはp型の不純物を含有していてもよい。絶縁膜39は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)や窒化シリコン(SiN)からなり、500Å〜2000Å程度の厚さを有していてもよい。
【0035】
埋め込み電極38は、p型ボディ領域22のストライプを分断する方向の断面(
図2)において、p
−型コラム層23の深さ方向に沿って延びる断面視柱状に形成されており、p
−型コラム層23の上端および下端のそれぞれから間隔を空ける上端および下端を有している。また、埋め込み電極38は、この実施形態では、p型ボディ領域22のストライプを分断する方向の断面(
図2)において、断面視四角形状を有している。
【0036】
一方、埋め込み電極38は、p型ボディ領域22のストライプに沿う方向の断面(
図3)において、p
−型コラム層23に沿ってアクティブ部3と外周部4との間に跨って形成され、p
−型層33の下方に位置する端部64(n
−型ベース層21の厚さ方向においてp
−型層33に対向する端部64)を有している。埋め込み電極38の端部64において、絶縁膜39には、埋め込み電極38の一部を露出させる開口65が形成されている。
【0037】
また、埋め込み電極38は、この実施形態では、p
−型コラム層23の深さ方向(n
−型ベース層21の厚さ方向)の中央部よりもn
−型ベース層21の表面側に配置されている。より具体的には、p
−型コラム層23の深さ方向において、埋め込み電極38の少なくとも半分を超える領域が、p
−型コラム層23の中央部よりもn
−型ベース層21の表面側に形成されている。
【0038】
図3を参照して、p
−型層33には、埋め込みコンタクト60が埋め込まれている。埋め込みコンタクト60とp
−型層33との間には絶縁膜61が介在されており、この絶縁膜61によって、埋め込みコンタクト60とp
−型層33との間が絶縁されている。埋め込みコンタクト60は、n
−型ベース層21の裏面側の端部が開口65を介して埋め込み電極38の端部64に接続されており、n
−型ベース層21の表面側の端部が、n
−型ベース層21の表面に露出している。
【0039】
埋め込みコンタクト60は、たとえば、タングステン、銅等の埋め込み性に優れる金属材料からなる。埋め込みコンタクト60として低抵抗な金属材料を用いることによって、埋め込み電極38に電圧を印加する際の遅延を抑制することができる。むろん、埋め込みコンタクト60は、金属以外の埋め込みに適した導電材料(たとえば、ポリシリコン等)であってもよい。絶縁膜61は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)や窒化シリコン(SiN)からなり、500Å〜2000Å程度の厚さを有していてもよい。
【0040】
なお、図示はしないが、埋め込みコンタクト60によって、埋め込み電極38に対するコンタクトをn
−型ベース層21の表面側に引き上げる構造は、ソースパッド11を挟む1対の外周フィンガー18のどちらにも形成されている。つまり、単位セル29のストライプの両端部に埋め込みコンタクト60が配置されているため、埋め込み電極38に対しては、ストライプ方向の一端部および他端部の両側から電圧を印加することができ、効率がよい。
【0041】
n
+型ソース領域24は、各単位セル29のp型ボディ領域22の内方領域に形成されている。n
+型ソース領域24は、当該領域において、p型ボディ領域22の表面部に選択的に形成されている。n
+型ソース領域24は、p型ボディ領域22にn型不純物を選択的にイオン注入することによって形成されてもよい。n型不純物の例は、前述のとおりである。また、n
+型ソース領域24の不純物濃度は、n
−型ベース層21よりも高く、たとえば、1.0×10
18cm
−3〜5.0×10
20cm
−3程度である。
【0042】
n
+型ソース領域24は、p型ボディ領域22の周縁(p型ボディ領域22とn
−型ベース層21との界面)から所定距離だけ内側に位置するようにp型ボディ領域22内に形成されている。これにより、n
−型ベース層21およびp型ボディ領域22等を含む半導体層の表層領域において、n
+型ソース領域24とn
−型ベース層21との間には、p型ボディ領域22の表面部が介在し、この介在している表面部がチャネル領域35を提供する。
【0043】
この実施形態では、n
+型ソース領域24は、ストライプ状に形成されており、p
−型コラム層23の側面よりも外側の領域に形成されている。チャネル領域35は、n
+型ソース領域24の形状に応じて、ストライプ状の形状を有している。
p
+型ボディコンタクト領域25は、p
−型コラム層23の直上の領域に形成されている。p
+型ボディコンタクト領域25は、当該領域において、p型ボディ領域22の表面部に選択的に形成されている。p
+型ボディコンタクト領域25は、p型ボディ領域22にp型不純物を選択的にイオン注入することによって形成されてもよい。p型不純物の例は、前述のとおりである。また、p
+型ボディコンタクト領域25の不純物濃度は、p型ボディ領域22よりも高く、たとえば、5.0×10
17cm
−3〜1.0×10
19cm
−3程度である。
【0044】
p
+型ボディコンタクト領域25は、n
+型ソース領域24を通過してp型ボディ領域22の途中の位置までn
+型ドレイン層20に向かって延びている。
この実施形態では、p
+型ボディコンタクト領域25は、ストライプ状に形成されている。
図3を参照して、各p
+型ボディコンタクト領域25の端部37はアクティブ部3内に配置されており、p型ボディ領域22の端部36に対して内側に間隔を空けた位置に配置されている。これにより、当該端部37とp型ボディ領域22の端部36との間の領域は、p型ボディ領域22の領域となっている。
【0045】
また、
図3を参照して、n
−型ベース層21の表面部には、n
−型ベース層21の端面(半導体基板2の側面)および表面に露出する端面側p型領域42が形成されている。端面側p型領域42は、p型ボディ領域22と同一の工程で形成されるものであり、その深さも同じである。したがって、端面側p型領域42の不純物濃度は、p型ボディ領域22と同じで、たとえば、1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
19cm
−3程度である。
【0046】
ゲート絶縁膜26は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸化膜、アルミナ膜、タンタル酸化膜等からなっていてもよい。ゲート絶縁膜26は、
図2を参照して、少なくともチャネル領域35におけるp型ボディ領域22の表面を覆うように形成されている。この実施形態では、ゲート絶縁膜26は、n
+型ソース領域24の一部、チャネル領域35およびn
−型ベース層21の表面を覆うように形成されている。より端的には、ゲート絶縁膜26は、各単位セル29のp
+型ボディコンタクト領域25およびこのp
+型ボディコンタクト領域25に連なるn
+型ソース領域24の内縁領域に開口を有するパターンで形成されている。また、
図3を参照して、ゲート絶縁膜26は、アクティブ部3から外周部4に延び、外周部4にも選択的に形成されている。
【0047】
ゲート電極27は、ゲート絶縁膜26を介してチャネル領域35に対向するように形成されている。ゲート電極27は、たとえば、不純物を注入して低抵抗化したポリシリコンからなっていてもよい。
図2を参照して、アクティブ部3において、ゲート電極27は、ゲート絶縁膜26とほぼ同じパターンに形成されており、ゲート絶縁膜26の表面を覆っている。すなわち、ゲート電極27は、n
+型ソース領域24の一部、チャネル領域35およびn
−型ベース層21の表面の上方に配置されている。より端的には、ゲート電極27は、各単位セル29のp
+型ボディコンタクト領域25およびこのp
+型ボディコンタクト領域25に連なるn
+型ソース領域24の内縁領域に開口を有するパターンで形成されている。すなわち、ゲート電極27は、複数の単位セル29を共通に制御するように形成されている。これにより、プレーナゲート構造が構成されている。
【0048】
一方、
図3を参照して、外周部4において、ゲート電極27は、p
+型ボディコンタクト領域25の端部37とp型ボディ領域22の端部36との間の領域に対向する位置に配置されたコンタクト部40を有している。コンタクト部40には、外部電極であるゲート電極膜6(ゲートフィンガー13)が接続される。また、外周部4には、ゲート電極27と同じ材料からなる等電位リング電極41が、ゲート絶縁膜26上に設けられている。等電位リング電極41は、p
−型層33と端面側p型領域42との間の領域上に配置され、p
−型層33および端面側p型領域42に重ならないように形成されている。
【0049】
n
−型ベース層21上には、ゲート電極27および等電位リング電極41を覆うように、層間絶縁膜43が形成されている。層間絶縁膜43は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、TEOS(テトラエトキシシラン)等の絶縁材料からなる。
層間絶縁膜43には、各単位セル29のp
+型ボディコンタクト領域25およびn
+型ソース領域24を露出させるコンタクト孔44、ゲート電極27のコンタクト部40を露出させるコンタクト孔45、p
−型層33を露出させるコンタクト孔46、および等電位リング電極41を露出させるコンタクト孔47が形成されている。これらのコンタクト孔44〜47は、層間絶縁膜43およびゲート絶縁膜26を貫通して形成されている。
【0050】
ソース電極膜5は、アルミニウムその他の金属からなる。ソース電極膜5は、
図3を参照して、層間絶縁膜43の表面を選択的に覆い、かつコンタクト孔44に埋め込まれるように形成されている。これにより、ソース電極膜5は、n
+型ソース領域24にオーミック接続されている。したがって、ソース電極膜5は、複数の単位セル29に並列に接続されており、複数の単位セル29に流れる全電流が流れるように構成されている。また、ソース電極膜5は、コンタクト孔44を介して各単位セル29のp
+型ボディコンタクト領域25およびにオーミック接続されており、p型ボディ領域22の電位を安定化する。
【0051】
ゲート電極膜6は、アルミニウムその他の金属からなる。ゲート電極膜6は、
図3を参照して、層間絶縁膜43の表面を選択的に覆い、かつコンタクト孔45に埋め込まれるように形成されている。これにより、ゲート電極膜6は、ゲート電極27のコンタクト部40にオーミック接続されている。
外周電極膜7は、アルミニウムその他の金属からなる。外周電極膜7は、
図3を参照して、層間絶縁膜43の表面を選択的に覆い、かつコンタクト孔46に埋め込まれるように形成されている。これにより、外周電極膜7は、埋め込みコンタクト60にオーミック接続されている。
【0052】
等電位リング膜8は、アルミニウムその他の金属からなる。等電位リング膜8は、
図3を参照して、層間絶縁膜43の表面を選択的に覆い、かつコンタクト孔47に埋め込まれるように形成されている。これにより、等電位リング膜8は、等電位リング電極41にオーミック接続されている。
半導体基板2の最表面には、電極膜5〜8を覆うように、表面保護膜48が形成されている。表面保護膜48は、たとえば、シリコン窒化膜、ポリイミド膜等の絶縁材料からなる。表面保護膜48には、
図3を参照して、ソース電極膜5の一部をソースパッド11として露出させるパッド開口49が形成されている。なお、図示しないが、表面保護膜48には、ゲート電極膜6および外周電極膜7のそれぞれ一部を、ゲートパッド12および外周パッド17として露出させるパッド開口が形成されている。一方、ゲート電極膜6および外周電極膜7のフィンガー部分(ゲートフィンガー13および外周フィンガー18)については、表面保護膜48で覆われている。等電位リング膜8に関しては、その全体が表面保護膜48で覆われている。
【0053】
ドレイン電極28は、アルミニウムその他の金属からなる。ドレイン電極28は、n
+型ドレイン層20の裏面に接するように形成されている。これにより、ドレイン電極28は、複数の単位セル29に並列に接続されており、複数の単位セル29に流れる全電流が流れるように構成されている。
ドレイン電極28を高電位側、ソース電極膜5を低電位側として、ソース電極膜5およびドレイン電極28の間に直流電源を接続すると、寄生ダイオード34には逆バイアスが与えられる。このとき、ゲート電極27に所定の閾値電圧よりも低い制御電圧が与えられていると、ドレイン−ソース間にはいずれの電流経路も形成されない。すなわち、半導体装置1は、オフ状態となる。一方、ゲート電極27に閾値電圧以上の制御電圧を与えると、チャネル領域35の表面に電子が引き寄せられて反転層(チャネル)が形成される。これにより、n
+型ソース領域24とn
−型ベース層21との間が導通する。すなわち、ソース電極膜5から、n
+型ソース領域24、チャネル領域35の反転層、n
−型ベース層21を順に通って、ドレイン電極28に至る電流経路が形成される。すなわち、半導体装置1は、オン状態となる。
【0054】
図4A〜
図4Jは、半導体装置1の製造工程を工程順に示す図である。なお、
図4A〜
図4Jは、
図3の断面図に対応するものである。
半導体装置1を製造するには、まず、
図4Aを参照して、n
+型ドレイン層20上に、初期ベース層50が形成される。次に、初期ベース層50の上に、p
−型コラム層23を形成すべき位置にp型不純物を選択的に注入しながらn型半導体層51を形成する工程を繰り返すマルチエピタキシャル成長によって、複数層のn型半導体層51を積層させる。これにより、複数枚のn型半導体層51と初期ベース層50とが一体化されて、n
−型ベース層21が形成される。
【0055】
次に、アニール処理(1000℃〜1200℃)を行うことによって、複数枚のn型半導体層51のp型不純物をドライブ拡散させる。これにより、
図4Bを参照して、n
−型ベース層21内に、p
−型コラム層23が形成される。次に、p
−型コラム層23を、埋め込み電極38に対応するパターンで選択的に除去(たとえば、ドライエッチング)することによって、p
−型コラム層23にトレンチ52が形成される。
【0056】
次に、
図4Cを参照して、たとえばCVD法によって、トレンチ52の内面を覆うように絶縁膜39が形成される。より具体的には、
図3の絶縁膜39の埋め込み電極38の底面および側面を覆う部分が、埋め込み電極38の上面を覆う部分に先行して形成される。絶縁膜39は、トレンチ52の内面に形成されると共に、n
−型ベース層21上にも形成される。なお、絶縁膜39は、トレンチ52の内面を熱酸化することによって形成されてもよい。
【0057】
次に、
図4Dを参照して、たとえばCVD法によって、埋め込み電極38の材料53がトレンチ52に埋め込まれる。材料53は、トレンチ52を埋め尽くすと共に、n
−型ベース層21上にも形成される。
次に、
図4Eを参照して、たとえばエッチバックによって、材料53の不要部分(トレンチ52外の部分)が選択的に除去され、埋め込み電極38が形成される。その後、絶縁膜39のトレンチ52外の部分も除去される。
【0058】
次に、
図4Fを参照して、たとえばCVD法によって、絶縁膜39の残りの部分(埋め込み電極38の上面を覆う部分)がn
−型ベース層21に形成される。
次に、
図4Gを参照して、埋め込み電極38を覆うように、p
−型コラム層23の残りの部分(埋め込み電極38よりもn
−型ベース層21の表面側の部分)およびp
−型層33を形成すべき位置にp型不純物を選択的に注入しながらn型半導体層51を形成する工程を繰り返すマルチエピタキシャル成長によって、複数層のn型半導体層51を積層させる。
【0059】
次に、アニール処理(1000℃〜1200℃)を行うことによって、複数枚のn型半導体層51のp型不純物をドライブ拡散させる。これにより、
図4Hを参照して、n
−型ベース層21内に、p
−型コラム層23(の残りの部分)およびp
−型層33が同時に形成される。次に、p
−型層33を、埋め込みコンタクト60に対応するパターンで選択的に除去(たとえば、ドライエッチング)することによって、p
−型層33にトレンチ54が形成される。トレンチ54の形成に続いて、絶縁膜39には開口65が形成される。
【0060】
次に、
図4Iを参照して、たとえばCVD法によって、トレンチ54の内面を覆うように絶縁膜61が形成される。なお、絶縁膜61は、トレンチ54の内面を熱酸化することによって形成されてもよい。次に、たとえばCVD法によって、トレンチ54に埋め込みコンタクト60が埋め込まれる。
次に、
図4Jを参照して、n
−型ベース層21上に、ゲート絶縁膜26が形成される。ゲート絶縁膜26は、半導体結晶表面の熱酸化によって形成されてもよい。さらに、ゲート絶縁膜26上に、ゲート電極27および等電位リング電極41が形成される。ゲート電極27および等電位リング電極41の形成は、たとえば、不純物を添加して低抵抗化したポリシリコン膜を全表面に形成し、その後、そのポリシリコン膜をフォトリソグラフィによって選択的にエッチングすることによって行ってもよい。
【0061】
さらに、
図4Jを参照して、ゲート電極27および等電位リング電極41を覆うように、層間絶縁膜43が形成され、この層間絶縁膜43に、フォトリソグラフィによって、コンタクト孔44〜47が形成される。次に、層間絶縁膜43上に、ソース電極膜5、ゲート電極膜6、外周電極膜7および等電位リング膜8が形成される。
次に、
図4Jを参照して、ソース電極膜5、ゲート電極膜6、外周電極膜7および等電位リング膜8を覆うように、表面保護膜48が形成され、この表面保護膜48に、フォトリソグラフィによって、パッド開口49が形成される。こうして、半導体装置1のMIS構造が形成される。
【0062】
この後、n
+型ドレイン層20の裏面にドレイン電極28が形成されることによって、
図1〜
図3の半導体装置1を得ることができる。
以上、この半導体装置1によれば、p
−型コラム層23に絶縁膜39を介して埋め込み電極38が埋め込まれている。埋め込み電極38は、埋め込みコンタクト60を介して外周電極膜7に電気的に接続されている。外周電極膜7に電圧を印加することによって、埋め込みコンタクト60を介して埋め込み電極38に電圧を印加することができる。これにより、p
−型コラム層23内の負側のチャージを簡単に制御することができる。つまり、p
−型コラム層23に相対するn
−型ベース層21の不純物濃度が比較的濃くても、p
−型コラム層23内の負側のチャージを制御することによって、チャージバランスを簡単に確保することができる。
【0063】
しかも、p
−型コラム層23内のチャージの量を、外周電極膜7へ印加する電圧値の設定の変更によって変更できるので、n
−型ベース層21およびp
−型コラム層23の不純物濃度や、単位セル29のピッチを制御する場合に比べて誤差も少ない。その結果、従来の構造から、n
−型ベース層21の不純物濃度や、単位セル29のピッチに課される制約を少なくすることができる。その結果、たとえば、n
−型ベース層21とp
−型コラム層23とのチャージバランスを確保しながら、n
−型ベース層21の不純物濃度を高くすることによって、n
−型ベース層21のキャリア移動度(この実施形態では、ホール移動度)を高くできるので、リカバリ特性を向上させることができる。
【0064】
また、この実施形態では、埋め込み電極38は、p
−型コラム層23の深さ方向(n
−型ベース層21の厚さ方向)の中央部よりもn
−型ベース層21の表面側に配置されている。これにより、埋め込み電極38が存在していないp
−型コラム層23の下方部を、半導体基板2において電圧降下が激しい部分(たとえば、寄生ダイオード34の近傍)から離すことができ、電圧降下の影響を小さくすることができる。その結果、n
−型ベース層21とp
−型コラム層23との接合界面から発生する空乏層を、n
−型ベース層21の厚さ方向に良好に伸ばすことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、外周フィンガー18は、ソースパッド11を挟むようにソースパッド11の両側(半導体基板2の側面2Bおよび側面2D側)に形成されていたが、
図5を参照して、ソースパッド11の片側のみに形成されていてもよい。
また、前述の実施形態では、埋め込み電極38は、p
−型コラム層23の深さ方向の中央部よりもn
−型ベース層21の表面側に配置されていたが、
図6を参照して、p
−型コラム層23の深さ方向の中央部よりもn
−型ベース層21の裏面側に配置されていてもよい。
【0066】
また、前述の実施形態では、すべてのp
−型コラム層23に埋め込み電極38が形成されていたが、
図7を参照して、一部のp
−型コラム層23に埋め込み電極38が形成され、その他のp
−型コラム層23には、埋め込み電極38が形成されていなくてもよい。
また、前述の実施形態では、p
−型コラム層23は、p型ボディ領域22から間隔を空けて形成された分断コラム30であったが、
図8を参照して、p型ボディ領域22の下方に連なって形成された連続コラム55を含んでいてもよい。
図8では、分断コラム30および連続コラム55を、それぞれ1つずつしか示していないが、分断コラム30および連続コラム63は、たとえば、ストライプ方向に直交する方向に、交互に配列されていてもよい。また、この場合、
図9を参照して、分断コラム30のみに選択的に埋め込み電極38が形成されていてもよいし、
図10を参照して、連続コラム55のみに選択的に埋め込み電極38が形成されていてもよい。
【0067】
また、前述の実施形態では、埋め込み電極38に対するコンタクトは、埋め込みコンタクト60によって確保されたが、埋め込み電極38からコンタクトをn
−型ベース層21の表面側に引き上げる構造であれば、特に制限されない。
また、前述の実施形態では、p
−型コラム層23は、マルチエピタキシャル成長によって形成したが、たとえば、n
−型ベース層21にディープトレンチを形成し、当該ディープトレンチにp型半導体層を埋め込むことによっても形成することができる。
【0068】
また、単位セル29の構造は、前述の実施形態のようにプレーナゲート構造であってもよいし、トレンチゲート構造であってもよい。
また、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0069】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。