【解決手段】モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、を備える電動アクチュエータ10。出力部は、出力軸61と、マグネットホルダ64と、操作部68と、を有する。被駆動シャフト100は、操作体連結部と、駆動連結部とを有し、操作体連結部と駆動連結部とは、被駆動シャフトの軸方向に間隔を空けて配置される。マグネットホルダは、筒状部と弾性部材67とを有する。弾性部材は、被駆動シャフトの軸方向において、操作体連結部と、駆動連結部との間に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼び、X軸方向と平行な方向を「第1方向X」と呼び、Y軸方向と平行な方向を「第2方向Y」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
電動アクチュエータ10は、ハウジング11と、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、回路基板70と、を備える。
【0012】
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、および回路基板70を収容する。ハウジング11は、モータケース30と、回路基板ケース20と、を有する。
モータケース30は、上側に開口する。
図1に示すように、モータケース30は、モータケース本体31と、モータケース本体31内に固定されるステータ固定部材37と、を有する。
【0013】
モータケース本体31は、モータ収容部32と、出力部保持部33と、を有する。モータ収容部32は、底部を有し上側に開口する筒状である。モータ収容部32は、中心軸J1を中心とする円筒状である。モータ収容部32は、モータ部40を収容する。
【0014】
モータ収容部32は、金属製のステータ固定部材37を有する。ステータ固定部材37は、底部を有し上側に開口する筒状である。ステータ固定部材37は、中心軸J1を中心とする円筒状である。ステータ固定部材37の上側の端部は、モータ収容部32よりも上側に突出する。ステータ固定部材37の底部には、モータ部40の第2ベアリング44bが保持される。ステータ固定部材37の内周面には、モータ部40を構成するステータ43の外周面が固定される。モータケース30は、例えば、金型にステータ固定部材37が挿入された状態で樹脂が流し込まれるインサート成形によって作られる。
【0015】
ステータ固定部材37の上側の開口に、バスバーホルダ90が配置される。バスバーホルダ90は、中心軸J1を中心とする円環状であり、板面が軸方向Zと直交する板状である。バスバーホルダ90は、図示しないバスバーを保持する。バスバーホルダ90は、ステータ43の上側を覆う。
【0016】
出力部保持部33は、モータ収容部32の径方向外側に位置する。出力部保持部33は、基部33aと、出力軸保持部33bと、を有する。基部33aは、モータ収容部32から径方向外側に突出する。出力軸保持部33bは、基部33aの径方向外側の端部から軸方向両側に延びる円筒状である。出力軸保持部33bは、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力軸保持部33bは、軸方向両側に開口する。
【0017】
出力軸保持部33bの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。ブッシュ65の上側の端部には、出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部65aが設けられる。ブッシュ65のフランジ部は、出力軸保持部33bの上側の端部によって下側から支持される。ブッシュ65は、出力軸61を出力中心軸J3周りに回転可能に支持する。
【0018】
回路基板ケース20は、略直方体の箱状である。回路基板ケース20には、回路基板70が収容される。回路基板ケース20は、モータケース30の上側に取り付けられてモータケース30の開口を塞ぐ。回路基板ケース20は、回路基板70を収容する。回路基板ケース20は、回路基板ケース本体21と、金属部材22と、回路基板ケースカバー26と、を有する。
【0019】
回路基板ケース本体21とモータケース本体31とは、樹脂製である。本実施形態においては、回路基板ケース本体21とモータケース本体31とによってハウジング本体11aが構成される。
【0020】
回路基板ケース本体21は、上側に開口する箱状である。回路基板ケース本体21は、底壁21aと、側壁21bと、を有する。すなわち、回路基板ケース20は、底壁21aと、側壁21bと、を有する。底壁21aは、軸方向Zと直交する平面に沿って拡がる。底壁21aは、軸方向Zに沿って視て、モータケース本体31よりも径方向外側に拡がる。底壁21aは、モータケース30の上側の開口を塞ぐ。
【0021】
底壁21aは、底壁21aの下側の面から上側に窪む凹部21cを有する。底壁21aは、底壁21aを軸方向Zに貫通する中央貫通孔21dを有する。中央貫通孔21dは、凹部21cの底面から底壁21aの上側の面まで底壁21aを貫通する。中央貫通孔21dは、軸方向Zに沿って視て、中心軸J1を中心とする円形状である。中央貫通孔21dには、モータ部40のモータシャフト41が通される。
【0022】
側壁21bは、底壁21aの外縁部から上側に延びる筒状である。側壁21bの内側には、回路基板70が収容される。側壁21bは、上側に開口する。側壁21bの上側の開口、すなわち回路基板ケース20の上側の開口は、回路基板ケースカバー26によって塞がれる。回路基板ケースカバー26は、例えば、金属製である。
【0023】
金属部材22は、ハウジング本体11aの回路基板ケース本体21に保持される。金属部材22は、凹部21c内に収容される。本実施形態の場合、金属部材22は、インサート成形により回路基板ケース本体21に埋め込まれる。金属部材22は、ベアリング保持部23と、腕部25と、出力軸支持部24と、を有する。ベアリング保持部23は、円環板部23aと、外側筒部23bと、内側筒部23cと、天板部23dと、を有する。円環板部23aは、中心軸J1を中心とする円環板状である。円環板部23aの板面は、軸方向Zと直交する。
【0024】
外側筒部23bは、円環板部23aの外周縁部から下側に延びる円筒状である。外側筒部23bの径方向内側に、減速機構50の内歯ギア52が保持される。内側筒部23cは、円環板部23aの内周縁部から上側に延びる円筒状である。内側筒部23cの径方向内側には、モータ部40の第1ベアリング44aが保持される。
【0025】
天板部23dは、内側筒部23cの上側の端部から径方向内側に広がる円環状であり、板面が軸方向Zと直交する板状である。天板部23dの内側には、モータシャフト41の上側の端部が通される。天板部23dと第1ベアリング44aとの軸方向Zの間には、予圧部材47が配置される。予圧部材47は、例えばウェーブワッシャである。
【0026】
腕部25は、ベアリング保持部23からモータシャフト41の径方向外側に延びる。腕部25は、板面が軸方向Zと直交する板状である。腕部25は、ベアリング保持部23と出力軸支持部24とを繋ぐ。出力軸支持部24は、腕部25の径方向外側の端部に繋がる。出力軸支持部24は、出力中心軸J3を中心とする円環状であり、板面が軸方向Zと直交する板状である。出力軸支持部24は、出力軸支持部24を軸方向Zに貫通する貫通孔24aを有する。貫通孔24aには、出力部60の出力軸61が挿入される。
【0027】
モータ部40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ部用センサマグネット45と、マグネットホルダ46と、を有する。モータシャフト41は、軸方向Zに延びる。
【0028】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1周りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0029】
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0030】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。より詳細には、ロータ本体42は、モータシャフト41の下側の部分に固定される。ロータ本体42は、ロータコア42aと、ロータマグネット42bと、を有する。ロータコア42aは、モータシャフト41のうち偏心軸部41aよりも下側の部分の外周面に固定される。ロータマグネット42bは、ロータコア42aの外周面に固定される。
【0031】
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、ステータコア43aと、インシュレータ43bと、複数のコイル43cと、を有する。コイル43cは、インシュレータ43bを介してステータコア43aに装着される。ステータコア43aの外周面が、ステータ固定部材37の内周面に接触して固定される。
【0032】
マグネットホルダ46は、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定される。モータ部用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円環板状である。モータ部用センサマグネット45の板面は、軸方向Zと直交する。モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46の下面のうち径方向外周縁部に固定される。これにより、モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられる。
本実施形態においてモータ部用センサマグネット45は、モータシャフト41のうち回路基板70よりも上側に突出した部分に取り付けられ、回路基板70の上側の面と隙間を介して対向する。
【0033】
減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の上側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。
【0034】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に拡がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2周りに相対的に回転可能に連結する。
【0035】
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向Zに貫通する複数の孔51aを有する。複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。
【0036】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲んで回路基板ケース20に固定され、外歯ギア51と噛み合う。内歯ギア52は、ハウジング11の後述する金属部材22に保持される。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。
【0037】
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の下側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aの歯車部は、内歯ギア52よりも径方向外側に突出する。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
【0038】
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの上面から上側に突出する円筒状である。複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、外歯ギア51の孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに下側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0039】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に位置する。出力部60は、出力軸61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、シール部材66と、操作部68と、を有する。
【0040】
出力軸61は、
図1および
図2に示すように、モータシャフト41の軸方向Zに延びる筒状である。出力軸61がモータシャフト41と同じ方向に延びる構成により、モータシャフト41の回転を出力軸61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力軸61は円筒状であり、仮想軸である出力中心軸J3を中心とする。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と出力軸61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。
【0041】
出力軸61は、出力軸61を軸方向に貫通するシャフト挿入孔61dを有する。本実施形態において出力軸61は、軸方向両側に開口する。出力軸61は、シャフト挿入孔61dの下部にスプライン溝を有する。出力軸61は、円筒状の出力軸本体61aと、出力軸本体61aの外周面から出力中心軸J3の径方向外側に広がるフランジ部61bと、を有する。
【0042】
出力軸本体61aのうちフランジ部61bよりも下側の部分が、ブッシュ65の内側に嵌め合わされる。フランジ部61bは、ブッシュ65のフランジ部65aを介して出力軸保持部33bの上側の端部によって下側から支持される。出力軸61の下側の端部は、ブッシュ65よりも下側、かつ、モータシャフト41の下側の端部よりも上側に配置される。
【0043】
出力軸61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。出力軸61は、出力軸本体61aの上側の端部である嵌合部61cにおいて、出力軸支持部24の貫通孔24aに挿入される。これにより、出力軸支持部24は、出力軸61を支持する。
出力軸61の上側の開口部内に、シール部材66が配置される。シール部材66は、例えば、ゴムまたは樹脂からなる弾性体を有するオイルシールである。
【0044】
駆動ギア62は、出力軸61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において駆動ギア62は、出力軸本体61aの外周面のうちフランジ部61bよりも上側の部分に固定される。駆動ギア62は、フランジ部61bの上面と接触する。駆動ギア62は、出力軸61から出力ギア53に向かって延びる扇形ギアである。駆動ギア62の出力ギア53側の端部には、歯車部が設けられる。駆動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。
【0045】
マグネットホルダ64は、出力中心軸J3を中心として軸方向Zに延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、軸方向両側に開口する。マグネットホルダ64の内部は、出力軸61の内部と繋がる。マグネットホルダ64は、出力軸61の上側、かつ、減速機構50の径方向外側に配置される。この構成により、モータ部40と出力部60とが径方向に並んだ構成において、ハウジング11内のスペースを有効に利用してマグネットホルダ64を配置できる。これにより、電動アクチュエータ10の軸方向の長さを小さくできる。
【0046】
マグネットホルダ64は、軸方向に延びる筒状部64aと、筒状部64aの上部から径方向に拡がる円環状のフランジ部64bとを有する。フランジ部64bの上面に円環状の出力部用センサマグネット63が固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の上側の面と隙間を介して対向する。
【0047】
マグネットホルダ64の筒状部64aは、底壁21aに設けられる筒状のホルダ収容部121に挿入される。ホルダ収容部121は、出力軸保持部33bの上側に位置し、底壁21aを軸方向Zに貫通する貫通孔121aを有する。ホルダ収容部121の下側からは出力軸61が挿入される。
【0048】
マグネットホルダ64は、筒状部64aの下端部に、筒状部64aの外周面から径方向外側へ突出する突起からなる移動抑制部64cを有する。移動抑制部64cは、ホルダ収容部121の内周面に設けられ周方向に延びる凹溝122に挿入される。移動抑制部64cは、マグネットホルダ64の軸方向の移動を抑制する。これにより、マグネットホルダ64を抜け止めでき、組み立て作業性も向上する。
【0049】
筒状部64aは、
図2および
図3に示すように、ホルダ収容部121に挿入される下側の部分が、周方向に並ぶ2つの分割片64dに分割される。移動抑制部64cは、分割片64dのそれぞれの下端において周方向に円弧状に延びる。分割片64dは、フランジ部64b側を固定端として、移動抑制部64c側の端部を径方向に撓ませることができる。これにより、マグネットホルダ64をホルダ収容部121の所定位置まで押し込むと、移動抑制部64cがスナップフィットにより凹溝122に嵌め込まれる。
図4に示す筒状部64aに被駆動シャフト100が挿入された状態では、分割片64dは、被駆動シャフト100とホルダ収容部121の内面とに挟まれるため、径方向への変形が制限される。これにより、移動抑制部64cのスナップフィットが外れにくくなる。
【0050】
マグネットホルダ64は、内周面の軸方向の中央部に、他の部位よりも孔径が小さい小径部64eを有する。小径部64eの内周面の2箇所に、径方向外側へ凹む凹部64fが設けられる。
【0051】
マグネットホルダ64の内部には、金属製のバネ体である弾性部材67が配置される。弾性部材67は、
図3に示すように、径方向に対向する2つの板バネ部67aと、周方向に延びる円弧状の支持部67cと、を有する。それぞれの板バネ部67aは、下端から径方向外側へ延びる板状の下板部67eと、上端から径方向外側へ延びる板状の上板部67dとを有する。板バネ部67aは、上板部67dを介して支持部67cに接続される。それぞれの板バネ部67aは、径方向内側の面に、板バネ部67aから径方向内側へ突出する突起部67bを有する。
【0052】
弾性部材67の2つの板バネ部67aは、小径部64eの内周の凹部64fにそれぞれ配置される。上板部67dは小径部64eの上側の段差面に沿って配置される。支持部67cは、小径部64eよりも上側の筒状部64aの内周面の周方向に沿って配置される。下板部67eは、小径部64eの下側の段差面に沿って配置される。板バネ部67aは、上板部67dと下板部67eとにより軸方向の移動が制限される。弾性部材67の突起部67bは、小径部64eの内周面よりも径方向内側に突出する。
【0053】
出力部60には、出力軸61の下側から被駆動シャフト100が挿入されて連結される。被駆動シャフト100は、
図3および
図4に示すように、軸方向に延びるスプライン部を有する駆動連結部101と、駆動連結部101の先端から軸方向に延びる中間軸部102と、中間軸部102の先端に位置し、工具等の操作体を連結可能な操作体連結部103と、を有する。
【0054】
中間軸部102の外周面の2箇所に、中間軸部102の先端から基端側へ軸方向に沿って延びる凹溝104が設けられる。すなわち、駆動連結部101と操作体連結部103とは、軸方向に間隔を空けて配置されており、被駆動シャフト100は、操作体連結部103と駆動連結部101との間に位置する凹部を有する。凹溝104は、操作体連結部103の駆動連結部101側の端部から被駆動シャフト100の軸方向に沿って延びる。
【0055】
本実施形態では、2つの凹溝104は、被駆動シャフト100の中心軸に対して対称な位置に配置される。ただし、2つの凹溝104の位置関係は特に限定されず、中間軸部102の周方向において、2つの凹溝104を任意に配置可能である。
【0056】
被駆動シャフト100は、駆動連結部101のスプライン部が、出力軸61の内周面のスプライン溝に嵌め合わされることで、出力軸61に連結される。被駆動シャフト100の上端部は、出力軸61の奥側に位置するマグネットホルダ64に圧入される。これにより、被駆動シャフト100に対して、マグネットホルダ64および出力部用センサマグネット63が固定される。被駆動シャフト100の上端の操作体連結部103は、
図4に示すように、小径部64eから上側へ突出し、筒状部64aの内部の操作部68に配置される。
【0057】
本実施形態の場合、被駆動シャフト100の中間軸部102がマグネットホルダ64の小径部64eに通される。このとき、小径部64eに位置する弾性部材67の2つの突起部67bが、被駆動シャフト100の凹溝104に嵌め合わされる。突起部67bは、弾性力によって凹溝104を径方向内側に押す。すなわち、マグネットホルダ64は、被駆動シャフト100が挿入される筒状部64aの内周面と被駆動シャフト100の外周面との間に径方向の弾性力を作用させる弾性部材67を有する。
上記構成によれば、被駆動シャフト100にマグネットホルダ64が直接固定されるため、出力軸61と被駆動シャフト100のがたつきの影響を受けることなく、被駆動シャフト100の回転角を正確に検出できる。
【0058】
本実施形態では、マグネットホルダ64は、操作体連結部103よりも駆動連結部101側に位置する中間軸部102の外周面に固定される。すなわち、弾性部材67は、工具により操作される操作体連結部103には接触しない。操作体連結部103は、被駆動シャフト100を手動操作する際に傷ついたり、変形したりする場合がある。本実施形態の構成によれば、操作体連結部103が傷ついたり、変形していても、マグネットホルダ64を被駆動シャフト100に対して正確な位置に取り付け可能である。
【0059】
また本実施形態では、弾性部材67は、筒状部64aの内周面と対向して配置される板バネ部67aと、板バネ部67aから筒状部64aの径方向内側へ突出する突起部67bとを有し、突起部67bは、被駆動シャフト100の操作体連結部103と駆動連結部101との間に位置する凹部である凹溝104に挿入される。この構成によれば、突起部67bと凹溝104とにより、マグネットホルダ64が被駆動シャフト100の周方向において位置決めされた状態で固定される。また、突起部67bを凹溝104に滑り込ませる構成とすることで、突起部67bに不要な応力がかかるのを抑制でき、破損しにくくなる。弾性部材67の変形量が小さくなるので、変形させるためのスペースを小さくでき、出力部60が大きくなるのを防げる。
【0060】
本実施形態では、弾性部材67は2つの突起部67bを有し、被駆動シャフト100は2つの凹溝104を有する。すなわち、弾性部材67の第1突起部および第2突起部が、それぞれ被駆動シャフト100の外周面の凹部に挿入される。この構成により、マグネットホルダ64がより安定に固定される。マグネットホルダ64のがたつきが低減されるため、出力部センサ72による回転角検出がより安定に行われる。
【0061】
本実施形態では、マグネットホルダ64の筒状部64aは、弾性部材67の板バネ部67aが配置される第1部分である小径部64eと、被駆動シャフト100の操作体連結部103が配置される第2部分である操作部68とを有する。第2部分である操作部68の内径は、第1部分である小径部64eの内径よりも大きい。この構成によれば、マグネットホルダ64の内部に操作体連結部103が配置されるので、操作体連結部103がマグネットホルダ64の上側へ突出する場合と比較して、電動アクチュエータ10の軸方向長さを小さくできる。
【0062】
回路基板70は、ロータ本体42よりも上側に配置される。回路基板70は、減速機構50の上側に配置される。回路基板70は、板面が軸方向Zと直交する板状である。回路基板70は、回路基板70を軸方向Zに貫通する貫通孔70aを有する。貫通孔70aには、モータシャフト41が通される。これにより、モータシャフト41は、回路基板70を軸方向Zに貫通する。回路基板70は、図示しないバスバーを介して、ステータ43と電気的に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続される。
【0063】
モータ部センサ71は、回路基板70の上面に固定される。より詳細には、モータ部センサ71は、回路基板70の上側の面のうちモータ部用センサマグネット45と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ部センサ71は、例えば、ホール素子である。図示は省略するが、モータ部センサ71は、例えば、周方向に沿って3つ設けられる。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ部用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0064】
出力部センサ72は、回路基板70の上面に固定される。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の上側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホール素子である。図示は省略するが、出力部センサ72は、例えば、出力中心軸J3を中心とする周方向に沿って3つ設けられる。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して被駆動シャフト100の回転を検出する。
【0065】
上記構成を備える本実施形態の電動アクチュエータ10において、モータシャフト41が中心軸J1周りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0066】
内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2周りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2周りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1周りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0067】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3周りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力軸61が出力中心軸J3周りに回転する。このようにして、出力軸61には、減速機構50を介してモータシャフト41の回転が伝達される。