【解決手段】回転子40は、軸線O回り回転する回転子40であって、磁性体により形成され軸線O方向に積層された複数のコア材47を有するコア部42と、コア部42が収容された筒状の磁石部43と、を備え、複数のコア材47のうち、コア部42における軸線O方向の端部を形成する第1コア材51において、軸線O回りに沿う周方向の一部には、質量調整部53が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載の回転子においては、例えばコア部材の偏芯により、周方向の質量の偏りが大きくなる場合がある。このようなアンバランス質量が大きいと、モータの回転に伴って大きな振動やノイズが生じる。
特許文献1に記載の回転子のように、コア部材の表面に永久磁石が固定されている場合、コア部材を削ることが困難であるため、コア部材を削ることでアンバランス質量を削減することが容易でない。コア部材を削ることに代えて永久磁石を削ると、モータの性能が悪化する。また、永久磁石を削る工程で永久磁石が割れる可能性があるため、製造歩留まりが悪化する。また、アンバランス質量をパテにより調整する方式は、比較的に大きなスペースが必要となるため、小型のモータには適用することが容易でない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転子の周方向の質量の偏りを容易に調整でき、回転子の製造歩留まりを高めることができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の一態様に係る回転子は、軸線回り回転する回転子であって、磁性体により形成され前記軸線方向に積層された複数のコア材を有するコア部と、前記コア部が収容された筒状の磁石部と、を備え、前記複数のコア材のうち、前記コア部における前記軸線方向の端部を形成する第1コア材において、前記軸線回りに沿う周方向の一部には、質量調整部が設けられている。
【0007】
第1コア材の周方向の一部に質量調整部が設けられている。したがって、回転子の周方向の質量バランスを調整することができる。これにより、例えば、回転子の回転時に振動やノイズが生じるのを抑制すること等ができる。
第1コア材が、コア部における軸線方向の端部を形成する。したがって、コア部の形成に際し、コア部のうち、第1コア材以外のコア材を積層してプレコアを形成した後、このプレコアに軸線方向の外側から第1コア材を積層することで、コア部を形成することができる。そのため、回転子の製造に際し、まず、プレコアと磁石部とを組み付けた状態で、これらの組付け体の周方向の質量バランスを確認した後、その質量バランスを適切に調整できるような第1コア材をプレコアに積層し、回転子全体としての質量バランスを調整することができる。したがって、例えば、磁石部を切削したり磁石部に質量体を固着させたりし、磁石部の質量を増減させることで質量バランスを調整する場合などに比べて、歩留まりを高めつつ、質量バランスを容易にかつ精度良く調整することができる。
質量調整部が第1コア材に設けられている。したがって、質量バランスを調整するために、コア材(コア部)と異なる部材を別途設ける必要がない。これにより、例えば、回転子の磁力を確保しつつ、構造の複雑化や部品点数の増加などを抑えることができる。
【0008】
(2)上記(1)に係る回転子では、前記質量調整部は、前記第1コア材の一部が欠損されてなる欠損部を備える構成を採用してもよい。
【0009】
質量調整部が欠損部を備える。したがって、質量調整部(欠損部)を容易に形成することができる。
【0010】
(3)上記(2)に係る回転子では、前記欠損部は、前記第1コア材の外周縁よりも内側に位置する貫通孔を備える構成を採用してもよい。
【0011】
欠損部が貫通孔を備える。貫通孔は、第1コア材の外周縁よりも内側に位置し、第1コア材の外周縁から開口していない。したがって、第1コア材の外周縁を周方向の全周にわたって連続させ、第1コア材の外周縁を、磁石部の内周面に周方向の全周にわたって連続して対向させることができる。これにより、例えば、第1コア材の外周縁の一部が欠損しており、第1コア材の外周縁の一部が、磁石部の内周面に対向していない場合に比べて、回転子の磁力を効果的に確保することができる。
【0012】
(4)上記(2)または(3)に係る回転子では、前記磁石部では、異なる磁極が前記周方向に交互に配置され、前記欠損部は、前記磁石部のうち、前記周方向に隣り合う磁極の間に位置する中間部分と、前記周方向に沿って同等の位置に配置されている構成を採用してもよい。
【0013】
磁石部の前記中間部分に生じる磁力線は少なく、コア部のうち、この中間部分の径方向の内側に位置する部分は、回転子の磁力を確保することについて寄与が小さい。
欠損部が、磁石部の前記中間部分と周方向に沿って同等の位置に配置されている。したがって、前述のように回転子の磁力を確保することについて寄与が小さい部分に、欠損部を配置することができる。その結果、コア部(コア材)が欠損部を有する回転子であっても、回転子の磁力を確保し易くすることができる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに係る回転子では、前記質量調整部は、前記第1コア材の外周部分に配置されている構成を採用してもよい。
【0015】
質量調整部が、第1コア材の外周部分に配置されている。これにより、例えば、質量調整部が、第1コア材の内周部分に配置されている場合に比べて、質量調整部が回転時の質量バランスに与える影響を大きくし、質量バランスを調整し易くすることができる。
【0016】
(6)本発明の一態様に係る回転電機は、上記(1)から(5)のいずれか1つに係る回転子を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回転子の周方向の質量の偏りを容易に調整でき、回転子の製造歩留まりを高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図10を参照し、本発明の一実施形態に係る回転電機10(モータ)を説明する。本実施形態の回転電機10は、いわゆるブラシレスモータである。回転電機10は、自動車等の電装に用いられてもよく、その他の用途に採用されてもよい。
【0020】
(基本構成)
図1に示すように、回転電機10は、ケース20と、固定子30と、回転子40と、ホール素子70と、を備えている。
なお、ケース20、固定子30および回転子40の各中心軸線は共通軸上に配置されている。以下では、この共通軸を軸線Oという。軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。軸線Oは、回転子40の軸線でもあり、回転子40は、軸線O周り(周方向)に回転可能とされている。
【0021】
ケース20は、ハウジング21と、エンドベル22と、を備えている。ハウジング21は、固定子30を収容する筒状の周壁部23と、周壁部23における軸線O方向の両端部のうちの第1端部を閉塞する端面部24と、を備えている。エンドベル22は、周壁部23における軸線O方向の両端部のうちの第2端部に装着され、第2端部を閉塞する。
以下では、軸線O方向に沿って周壁部23の第1端部側を第1側D1といい、第2端部側を第2側D2という。
【0022】
ケース20は、固定子30および回転子40を収容する。ケース20は、固定子30の全体を内部に収容している。ケース20は、回転子40の大半の部分を内部に収容しているものの、回転子40の一部(後述する回転軸41)は、ケース20からハウジング21(端面部24)を通して外部に突出している。
【0023】
固定子30は、筒状に形成されている。固定子30の外周面は、ハウジング21の内周面に固定されている。固定子30には、図示しない励磁コイルが介装されている。前記励磁コイルが通電されると固定子30の一部が磁化し、回転子40が回転する。
図1および
図2に示すように、回転子40は、回転軸41と、コア部42と、磁石部43と、を備えている。回転子40の軸線Oは、回転軸41の中心軸線である。
【0024】
回転軸41は、軸受44a、44bを介してケース20に支持されている。回転軸41の軸線O方向の両端部のうち、第2側D2に位置する第2端部は、エンドベル22に設けられた第2軸受44bを介してケース20に支持されている。一方、前記両端部のうち、第1側D1に位置する第1端部は、ハウジング21からケース20の外部に突出している。回転軸41のうち、前記両端部の間に位置する部分は、ハウジング21(端面部24)に設けられた第1軸受44aを介してケース20に支持されている。
【0025】
回転軸41には、環状のブッシュ45a、45bが固定されている。ブッシュ45a、45bは、軸線O方向に間隔をあけて一対設けられている。ブッシュ45a、45bは、第1軸受44aに第1ワッシャ46aを介して当接する第1ブッシュ45aと、第2軸受44bに第2ワッシャ46bを介して当接する第2ブッシュ45bと、を備えている。
これらの軸受44a、44b、ブッシュ45a、45bおよびワッシャ46a、46bを介して、回転軸41は、ケース20に軸線O回りに回転可能に支持されている。
【0026】
コア部42は、筒状に形成されている。コア部42の内周面は、回転軸41の外周面に固定されている。コア部42の内周面と回転軸41の内周面とは、例えば、コア部42内に回転軸41を圧入すること等で固定される。コア部42は、一対のブッシュ45a、45bの間に配置され、ケース20内に収容されている。
【0027】
コア部42は、複数のコア材47を備える。複数のコア材47は、軸線O方向に積層されている。コア部42は、複数のコア材47からなる積層体により形成されている。各コア材47は、磁性体により板状に形成されている。本実施形態では、各コア材47が、同一材料(強磁性体、具体的には鉄)により形成されている。
【0028】
複数のコア材47は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。言い換えると、複数のコア材47を同軸に並べた状態では、各コア材47の外周縁47aが互いに一致する。図示の例では、各コア材47は、平面視において同一の円環形状をなし、各コア材47の外周縁47aは、平面視において同一の真円形状をなす。複数のコア材47の厚さは、互いに同等であり、例えば、0.2mm程度である。
【0029】
磁石部43は、筒状に形成されている。磁石部43は、永久磁石により形成されている。
図3に示すように、磁石部43では、異なる磁極48が周方向に交互に配置されている。図示の例では、磁石部43は、4極(N極48aとS極48bが2極ずつ)の磁極48を備えている。なお
図3において、破線は、磁石部43のうち、周方向に隣り合う磁極48の間に位置する中間部分48cを示している。
【0030】
図1に示すように、磁石部43には、コア部42が収容されている。磁石部43の軸線O方向の大きさは、コア部42の軸線O方向の大きさよりも大きい。コア部42は、磁石部43の軸線O方向の内側に配置されている。
磁石部43の内周面は、コア部42の外周面に固定されている。磁石部43の内周面とコア部42の外周面とは、例えば、磁石部43内にコア部42を圧入すること等で固定される。
磁石部43は、例えば、いわゆるボンド磁石などにより形成することができる。
【0031】
ホール素子70は、ケース20(エンドベル22)に固定されている。ホール素子70は、回転子40の回転を検出する。ホール素子70は、回転子40の磁石部43に第2側D2から対向している。
【0032】
(周方向の質量バランス)
上記回転電機10において、例えば、磁石部43にボンド磁石を採用した場合、磁石部43の質量が周方向にばらつき易くなる。すなわち、ボンド磁石は、例えば、フェライト磁石と合成樹脂とを混合してなる磁石であり、製造時に混合される材料のばらつきを要因として、ボンド磁石(磁石部43)の質量が周方向にばらつき易くなる。
また上記回転電機10において、小径化を図りつつトルク出力を向上させるためには、回転電機10(固定子30や回転子40)を軸線O方向に長くすることが考えられる。しかしながらこの場合、コア部42のコア材47の積層枚数が多くなる。その結果、各コア材47に周方向の質量バランスの偏りがある場合、1枚毎の偏りは小さいとしても、その偏りが積算されて大きな偏りとなり易い。これにより、回転子40における周方向の質量バランスが悪くなるおそれがある。
【0033】
(質量調整部53)
本実施形態では、複数のコア材47は、第1コア材51と、第2コア材52と、を備えている。第1コア材51には、質量調整部53が設けられていて、第2コア材52には、この質量調整部53が設けられていない。質量調整部53は、第1コア材51における周方向の質量のバランスを調整する。その結果、質量調整部53は、回転子40全体での周方向の質量のバランスを調整する。
【0034】
第1コア材51は、コア部42における軸線O方向の端部を形成する。本実施形態では、第1コア材51は、コア部42における第2側D2の端部を形成している。言い換えると、第1コア材51は、コア部42を形成するコア材47の積層体のうち、最も第2側D2に位置する1枚のコア材47である。第2コア材52は、コア部42における第2側D2の端部以外の部分を形成している。
【0035】
なお第1コア材51は、最も第2側D2に位置する1枚を含む、第2側D2から複数枚のコア材47であってもよい。また第1コア材51が、コア部42における両方の端部を形成してもよい。さらに第1コア材51が、コア部42における第1側D1の端部のみを形成してもよい。
【0036】
図4に示すように、質量調整部53は、第1コア材51における周方向の一部に限定して設けられている。すなわち、質量調整部53は、第1コア材51における周方向の全周にわたっては設けられていない。
質量調整部53は、第1コア材51の外周部分51oに配置されている。第1コア材51の外周部分51oとは、第1コア材51において内周縁と外周縁47aとの間に位置する径方向の中央よりも、外周縁47a側に位置する部分をいう。第1コア材51の内周部分51iとは、第1コア材51の前記中央よりも内周縁側に位置する部分をいう。
【0037】
質量調整部53は、第1コア材51の一部が欠損されてなる欠損部54を備える。欠損部54は、第1コア材51の外周縁47aよりも内側に位置する貫通孔55である。貫通孔55は、軸線O方向から見た平面視で円形状(図示の例では真円形状)に形成されている。貫通孔55の直径は、第1コア材51の内径よりも小さい。
【0038】
図3に示すように、欠損部54は、磁石部43の前記中間部分48cと周方向に沿って同等の位置に配置されている。言い換えると、欠損部54は、磁石部43の中間部分48cに対して径方向の内側に位置している。なお欠損部54は、前記中間部分48cに対して周方向にずらされていてもよい。
【0039】
(製造方法)
上記回転電機10における回転子40は、以下に示す製造方法により製造することができる。なお、以下に示す製造方法は一例であり、製造方法はこの方法に限られない。
まず、コア部42の第2コア材52を積層してプレコアを形成する。このとき、例えば、第2コア材52を回転軸41に圧入しながら積層させて前記プレコアを形成する。
その後、プレコアと磁石部43とを組み付ける。このとき、例えば、プレコアを磁石部43に圧入してプレコアの外周面を磁石部43の内周面に固定する。これにより、コア部42に第1コア材51が積層されていない状態の回転子40(以下、プレロータという。)が形成される。
【0040】
次いで、プレロータの周方向の質量バランスを確認する。質量バランスの確認方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。
最後に、質量バランスを適切に調整できるような第1コア材51を準備した上でプレコアに積層し、回転子40全体としての質量バランスを調整する。
これにより、周方向の質量バランスが調整された回転子40が製造される。回転電機10の製造に際しては、例えば、この製造方法により製造された回転子40と、ケース20および固定子30を組み付ける方法などを採用することができる。
【0041】
なお上記回転子40の製造方法において、質量バランスを確認する前に、複数種類の第1コア材51を予め準備しておいてもよく、質量バランスを確認した後、その質量バランスに応じて適切な質量調整部53を有する第1コア材51を形成してもよい。
第1コア材51としては、例えば、
図5から
図10に示す第1変形例から第6変形例が挙げられる。
【0042】
図5に示すように、第1変形例の第1コア材51Aには、貫通孔55が周方向に間隔をあけて複数(図示の例では3つ)設けられている。複数の貫通孔55は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさである。複数の貫通孔55は、径方向に同等の位置に配置され、周方向に同等の間隔をあけて配置されている。
【0043】
図6に示すように、第2変形例の第1コア材51Bには、第1変形例と同様に、貫通孔55が周方向に間隔をあけて複数(図示の例では3つ)設けられている。第2変形例が第1変形例と異なる点は、複数の貫通孔55のうちの1つの貫通孔55が、他の貫通孔55よりも大径である点である。
【0044】
図7に示すように、第3変形例の第1コア材51Cには、貫通孔55が1つのみ設けられているが、その貫通孔55が、平面視において周方向に延びる長孔状に形成されている。
【0045】
図8に示すように、第4変形例の第1コア材51Dには、質量調整部53として、貫通孔55に代えて切り欠き56が設けられている。切り欠き56は、第1コア材51の外周縁47aから径方向の内側に向けて延びている。切り欠き56は、第1コア材51の外周縁47aに開口している。切り欠き56は、平面視において径方向に延びる直線状に形成されている。図示の例では、切り欠き56は1つのみ設けられている。
【0046】
図9に示すように、第5変形例の第1コア材51Eには、第4変形例と同様に、切り欠き56が設けられている。第5変形例が第4変形例と異なる点は、切り欠き56が、周方向に複数設けられている点である。複数の切り欠き56は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさである。
【0047】
図10に示すように、第6変形例の第1コア材51Fは、第4変形例と同様に、切り欠き56が設けられている。第6変形例が第4変形例と異なる点は、切り欠き56が、中心角が180度以上の扇形状に形成されている点である。切り欠き56は、第1コア材51Fの外周部分51oから内周部分51iに至るまで形成されている。その結果、第1コア材51において欠損部54以外の部分の平面視形状は、中心角が180度未満の扇形状となる。
【0048】
なお
図4から
図10に示す第1コア材51、51A〜51Fでは、質量調整部53として欠損部54が設けられているが、欠損部54に代えて、または欠損部54とともに、質量調整部53としての質量体(ウェイト)を備えていてもよい。
また
図4から
図9に示す第1コア材51、51A〜51Eにおいて、質量調整部53が、第1コア材51の内周部分51iに配置されていてもよい。
【0049】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る回転電機10および回転子40によれば、第1コア材51の周方向の一部に質量調整部53が設けられている。したがって、回転子40の周方向の質量バランスを調整することができる。これにより、例えば、回転子40の回転時に振動やノイズが生じるのを抑制すること等ができる。
【0050】
第1コア材51が、コア部42における軸線O方向の端部を形成する。したがって、コア部42の形成に際し、コア部42のうち、第1コア材51以外のコア材47を積層してプレコアを形成した後、このプレコアに軸線O方向の外側から第1コア材51を積層することで、コア部42を形成することができる。そのため、回転子40の製造に際し、まず、プレコアと磁石部43とを組み付けた状態で、これらの組付け体の周方向の質量バランスを確認した後、その質量バランスを適切に調整できるような第1コア材51をプレコアに積層し、回転子40全体としての質量バランスを調整することができる。したがって、例えば、磁石部43を切削したり磁石部43に質量体を固着させたりし、磁石部43の質量を増減させることで質量バランスを調整する場合などに比べて、歩留まりを高めつつ、質量バランスを容易にかつ精度良く調整することができる。
【0051】
質量調整部53が第1コア材51に設けられている。したがって、質量バランスを調整するために、コア材47(コア部42)と異なる部材を別途設ける必要がない。これにより、例えば、回転子40の磁力を確保しつつ、構造の複雑化や部品点数の増加などを抑えることができる。
質量調整部53が欠損部54を備える。したがって、質量調整部53(欠損部54)を容易に形成することができる。
【0052】
貫通孔55は、第1コア材51の外周縁47aよりも内側に位置し、第1コア材51の外周縁47aから開口していない。したがって、
図4から
図7に示すように、欠損部54が貫通孔55によって形成されている場合、第1コア材51の外周縁47aを周方向の全周にわたって連続させ、第1コア材51の外周縁47aを、磁石部43の内周面に周方向の全周にわたって連続して対向させることができる。これにより、例えば、第1コア材51の外周縁47aの一部が欠損しており、第1コア材51の外周縁47aの一部が、磁石部43の内周面に対向していない場合に比べて、回転子40の磁力を効果的に確保することができる。
【0053】
図3に示すような磁石部43の前記中間部分48cに生じる磁力線は少なく、コア部42のうち、この中間部分48cの径方向の内側に位置する部分は、回転子40の磁力を確保することについて寄与が小さい。
欠損部54が、磁石部43の前記中間部分48cと周方向に沿って同等の位置に配置されている。したがって、前述のように回転子40の磁力を確保することについて寄与が小さい部分に、欠損部54を配置することができる。その結果、コア部42(コア材47)が欠損部54を有する回転子40であっても、回転子40の磁力を確保し易くすることができる。
【0054】
質量調整部53が、第1コア材51の外周部分51oに配置されている。これにより、例えば、質量調整部53が、第1コア材51の内周部分51iに配置されている場合に比べて、質量調整部53が回転時の質量バランスに与える影響を大きくし、質量バランスを調整し易くすることができる。
【0055】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。