【解決手段】一対の段ロール11,12からなる段ロールユニット10を複数装備したシングルフェーサであって、段ロールユニット10をそれぞれ、芯紙を段繰り加工する使用位置Puと、使用位置の直下に隣接する第1位置P1と、第1位置の直下に隣接する第2位置P2との間で昇降移動させる昇降装置30と、段ロールユニットをそれぞれ、第1位置と、第1位置に対して用紙搬送方向に沿った一方側に隣接する第3位置P3と、第1位置に対して用紙搬送方向に沿った他方側に隣接する第4位置P4と、の間で水平移動させる水平移動装置40と、昇降装置と水平移動装置を制御して段ロールユニットを移動させる制御装置とを備える。
前記昇降装置は、昇降移動させる前記段ロールユニットを収容し支持する収容支持空間を上下に2段備え、それぞれの前記収容支持空間に前記段ロールユニットを収容し支持した状態で昇降可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のシングルフェーサ。
前記段ロールユニットを前記使用位置に昇降移動させる際に、前記段ロールユニットと干渉しない退避位置と、前記使用位置にある前記段ロールユニットを支持する支持位置とに切替可能な可動支持部材を有する支持機構を備え、
前記制御装置は、前記可動支持部材の位置を前記退避位置と前記支持位置とで切替制御する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のシングルフェーサ。
2つの前記待機位置の少なくとも何れか一方の待機位置にある前記段ロールユニットを、前記用紙搬送方向と直交する装置幅方向に移動可能とする幅方向可動機構を備えている
ことを特徴とする請求項2又は請求項2を引用する請求項3〜6の何れか1項に記載のシングルフェーサ。
請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜8の何れか1項に記載のシングルフェーサにおいて、生産オーダーの変更に応じて、前記使用位置に配置された前記段ロールユニットと、前記第3位置に配置された前記段ロールユニットとを交換して、使用する前記段ロールユニットを切り替える段ロールユニットの切替方法であって、
前記水平移動装置を作動させて、前記第4位置に配置された前記段ロールユニットを、前記第1位置に水平移動させる工程と、
前記昇降装置を作動させて、前記使用位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで降下させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第2位置まで降下させる工程と、
前記水平移動装置を作動させて、前記第3位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで水平移動させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記4位置まで水平移動させる工程と、
前記昇降装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記使用位置まで上昇させると共に、前記第2位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで上昇させる工程と、
さらに、前記水平移動装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第3位置に水平移動させる工程と、を備えている
ことを特徴とするシングルフェーサの段ロールユニットの切替方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1では、1台のシングルフェーサで2種類の片面段ボールシートを効率よく製造できるが、1台のシングルフェーサでより多種類の片面段ボールシートを効率よく製造できるようにすることが要望されている。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、装置内に2台よりも多くの段ロールユニットを装備して、これらの段ロールユニットを簡便な操作で切り替えて使用することができるようにした、シングルフェーサ並びにシングルフェーサの段ロールユニットの切替方法及びシングルフェーサの段ロールユニットの交換方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明のシングルフェーサは、一対の段ロールからなる段ロールユニットを複数装備したシングルフェーサであって、前記段ロールユニットをそれぞれ、芯紙を段繰り加工する使用位置と、前記使用位置の直下に隣接する第1位置と、前記第1位置の直下に隣接する第2位置との間で昇降移動させる昇降装置と、前記段ロールユニットをそれぞれ、前記第1位置と、前記第1位置に対して用紙搬送方向に沿った一方側に隣接する第3位置と、前記第1位置に対して前記用紙搬送方向に沿った他方側に隣接する第4位置との間で水平移動させる水平移動装置と、前記昇降装置と前記水平移動装置とを制御して前記段ロールユニットを移動させる制御装置とを備えていることを特徴としている。
【0009】
(2)フルートの異なる前記段ロールユニットが3つ装備され、前記制御装置は、生産オーダーに適合した何れか1つの前記段ロールユニットを前記使用位置に配置し、残る2つの前記段ロールユニットを前記第1〜4位置のうちの何れか2つである待機位置に配置することが好ましい。
(3)前記第1位置及び前記第2位置は前記段ロールユニットを交換する際に使用する交換位置であって、前記第3位置及び前記第4位置は前記待機位置であって、前記制御装置は、生産オーダーの変更に応じて、前記使用位置に配置された前記段ロールユニットと、前記第3位置又は前記第4位置に配置された前記段ロールユニットとを交換する際には、前記第1位置及び前記第2位置を使用することが好ましい。
(4)前記昇降装置は、昇降移動させる前記段ロールユニットを収容し支持する収容支持空間を上下に2段備え、それぞれの前記収容支持空間に前記段ロールユニットを収容し支持した状態で昇降可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
(5)前記制御装置は、生産オーダーの変更に応じて、前記使用位置に配置された前記段ロールユニットと、前記第3位置に配置された前記段ロールユニットとを交換する際には、前記水平移動装置を作動させて、前記第4位置に配置された前記段ロールユニットを、前記第1位置に水平移動させて、前記昇降装置を作動させて、前記使用位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで降下させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第2位置まで降下させて、前記水平移動装置を作動させて、前記第3位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで水平移動させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第4位置まで水平移動させて、前記昇降装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記使用位置まで上昇させると共に、前記第2位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置に上昇させて、さらに、前記水平移動装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第3位置に水平移動させることが好ましい。
(6)前記段ロールユニットを前記使用位置に昇降移動させる際に、前記段ロールユニットと干渉しない退避位置と、前記使用位置にある前記段ロールユニットを支持する支持位置とに切替可能な可動支持部材を有する支持機構を備え、前記制御装置は、前記可動支持部材の位置を前記退避位置と前記支持位置とで切替制御することが好ましい。
(7)2つの前記待機位置の少なくとも何れか一方の待機位置にある前記段ロールユニットを、前記用紙搬送方向と直交する装置幅方向に移動可能とする幅方向可動機構を備えていることが好ましい。
(8)前記一方の待機位置にある前記段ロールユニットを前記用紙搬送方向と直交する装置幅方向に移動させる幅方向移動装置を備えていることが好ましい。
【0011】
(9)本発明のシングルフェーサの段ロールユニットの切替方法は、上記(3)の構成を備えたシングルフェーサにおいて、生産オーダーの変更に応じて、前記使用位置に配置された前記段ロールユニットと、前記第3位置に配置された前記段ロールユニットとを交換して、使用する前記段ロールユニットを切り替える段ロールユニットの切替方法であって、前記水平移動装置を作動させて、前記第4位置に配置された前記段ロールユニットを、前記第1位置に水平移動させる工程と、前記昇降装置を作動させて、前記使用位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで降下させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第2位置まで降下させる工程と、前記水平移動装置を作動させて、前記第3位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで水平移動させると共に、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記4位置まで水平移動させる工程と、前記昇降装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記使用位置まで上昇させると共に、前記第2位置にある前記段ロールユニットを前記第1位置まで上昇させる工程と、さらに、前記水平移動装置を作動させて、前記第1位置にある前記段ロールユニットを前記第3位置に水平移動させる工程と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
(10)本発明のシングルフェーサの段ロールユニットの交換方法は、上記(7)の構成を備えたシングルフェーサにおいて、待機位置にある段ロールユニットを交換する段ロールユニットの交換方法であって、前記一方の待機位置にある前記段ロールユニットを前記装置幅方向の搬出方向に移動して搬出する搬出工程と、前記搬出した前記段ロールユニットとは別の段ロールユニットを前記装置幅方向の搬入方向に移動して搬入する搬入工程とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシングルフェーサによれば、芯紙を段繰り加工する使用位置の直下に隣接する第1位置と、第1位置の直下に隣接する第2位置とを備え、第1位置に対して用紙搬送方向に沿った一方側に隣接する第3位置と、第1位置に対して前記用紙搬送方向に沿った他方側に隣接する第4位置とを備えているので、使用位置以外の第1位置〜第4位置の4つの位置のうち2つの位置にそれぞれ段ロールユニットを待機させておけば、昇降装置と水平移動装置を用いて、使用位置にある段ロールユニットと使用位置以外の2つの位置に待機している段ロールユニットの何れかと切り替えて使用することができる。したがって、シングルフェーサの装置内に合計3台の段ロールユニットを装備して、これらの段ロールユニットを簡便な操作で切り替えて使用することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
〔シングルフェーサ〕
まず、
図1を参照して本実施形態にかかるシングルフェーサの要部構成を説明する。
本実施形態のシングルフェーサは、
図1に示すように、互いに噛み合って対向回転する一対の段ロール、即ち、上段ロール11及び下段ロール12からなる段ロールユニット10を備えている。芯紙1やライナ2は、
図1に矢印A1,A2で示す方向に搬送されながら加工される。以下、この搬送方向を用紙搬送方向と称して説明する。
【0017】
芯紙1は、上段ロール11と下段ロール12との間隙を通過することによって波形状に段繰り加工される。段繰りされた芯紙1を、上段ロール11の周面と共に移動させながら、段繰りにより形成された山形段頂部へ糊付け装置20によって糊を塗布し、この後、芯紙1に他経路を通って送り込まれたライナ2を合流させて、これらに所定の温度,加圧力を付加することによって片面段ボールシート3を製造する。矢印A3は片面段ボールシート3の搬送方向を示す。
【0018】
なお、糊付け装置20は、糊付けロール21と、ドクターロール22と、これらのロール21,22により片側壁を形成させた糊溜23とから構成される。
また、本実施形態のシングルフェーサは、上段ロール11とこの上方のエンドレスベルト13との間に挟まれて移送する芯紙1及びライナ2に、エンドレスベルト13によって加圧力を与えるベルト加圧型シングルフェーサである。
【0019】
〔段ロールユニット〕
段ロールユニット10は、
図1,
図2に示すように、フレーム10Fと、このフレーム10Fに所定の姿勢で配置された上段ロール11及び下段ロール12と、これらの段ロール11,12をそれぞれ回転自在に軸支する軸受け部(図示略)とを備えている。段ロールユニット10は、後述の昇降装置30と水平移動装置40とによって移動及び交換可能なカートリッジ状に構成されている。
【0020】
〔昇降装置、水平移動装置、及び幅方向可動機構〕
図1,
図2に示すように、シングルフェーサの装置内には、段ロールユニット10を配置する位置として、芯紙1を段繰り加工する使用位置Puに加えて、使用位置Puの直下の第1位置P1と、第1位置P1の直下の第2位置P2と、第1位置P1に対して用紙搬送方向に沿った一方側に隣接する第3位置P3と、第1位置P1に対して用紙搬送方向に沿った他方側に隣接する第4位置P4との4つの移動可能な位置が設けられている。第1位置P1,第3位置P3,第4位置P4は何れも工場の床面F上に水平に並んで配置される。なお、このようにそれぞれの位置Pu,P1〜P4が設けられていることは、各位置Pu,P1〜P4に段ロールユニット10を収容可能な「空間」が設けられていることを意味する。
【0021】
昇降装置30は、段ロールユニット10を、使用位置Puと第1位置P1と第2位置P2との間で昇降移動させるもので、支柱31と、支柱31に沿って昇降する昇降体32と、昇降体32を昇降駆動する昇降アクチュエータ(図示略)とを備えている。
なお、アクチュエータとしては、チェーンと電動モータを利用したものや油圧シリンダを用いることができる。
【0022】
昇降体32は、段ロールユニット10のフレーム10Fを支持する支持アーム33,34を上下に有している。支持アーム33の上方には、段ロールユニット10を収容し支持する収容支持空間35が、支持アーム34の上方には、段ロールユニット10を収容し支持する収容支持空間36が、それぞれ設けられている。したがって、支持アーム33,34及び収容支持空間35,36は上下に2段設けられている。
なお、
図2においては、収容支持空間35内のみに段ロールユニット10が収容されているが、収容支持空間36内に段ロールユニット10が収容される場合は、一点鎖線で示す領域内に収容される。
【0023】
昇降体32及び昇降アクチュエータは、各収容支持空間35,36内にそれぞれ段ロールユニット10を収容し、支持アーム33,34にて支持した状態で昇降できるように、強度及び駆動力が設定されている。
【0024】
また、昇降装置30は、段ロールユニット10を昇降させる際のみ、昇降体32の支持アーム33,34で段ロールユニット10を支持し、段ロールユニット10を使用位置Puに移動させた後は、使用位置Puに対応して設けられた可動支持部材37によって支持するようになっている。
【0025】
可動支持部材37は、
図3に示すように、ピン37aによって支柱31に搖動可能に支持されており、二点鎖線で示す退避状態と実線で示す支持状態との間で、旋回アクチュエータ(図示略)によって駆動される。可動支持部材37は、少なくとも支持状態では図示しないストッパによって機械的に搖動を規制され、旋回アクチュエータの反力に頼らずに使用位置Puにある段ロールユニット10を下方から支持することができる。
【0026】
水平移動装置40は、
図4に示すように、アクチュエータとして油圧シリンダ装置41を備えている。油圧シリンダ装置41は水平方向に配設され、シリンダ42内を往復動するピストン43に連結されたピストンロッド44は水平方向に移動する。ピストンロッド44の先端には、フック状の係止部44aが形成され、この係止部44aが段ロールユニット10のフレーム10Fの下部側面から突設されたピン45に係止されることで、油圧シリンダ装置41の伸縮に応じて段ロールユニット10を水平方向に移動する。
なお、係止部44aはピン45に対して係脱操作することができ、段ロールユニット10を水平方向に移動させる場合に、係止部44aをピン45に係止する。
【0027】
また、水平移動装置40は、段ロールユニット10を、第1位置P1と第3位置P3との間との間で水平移動させることができると共に、第1位置P1と第4位置P4との間で水平移動させることができる。図示しない連携機構によって2つの段ロールユニット10を同時に水平移動させることもできる。また、段ロールユニット10を、第1位置P1と第3位置P3との間との間で水平移動させる水平移動装置と、第1位置P1と第4位置P4との間との間で水平移動させる水平移動装置とを、それぞれ設けてもよい。
【0028】
また、
図1に示すように、第3位置P3及び第4位置P4にはそれぞれ、幅方向可動機構として台車50が装備されている。この台車50は、台車本体51とこの台車本体51に回転自在に軸支された車輪52とを備え、台車本体51の上に段ロールユニット10を載せた状態で、用紙搬送方向と直交する装置幅方向に移動させることができる。なお、第3位置P3及び第4位置P4の一方だけに台車50を装備し、他方は移動不能な固定台としてもよい。
【0029】
なお、各段ロールユニット10のフレーム10Fの下部には、図示しないキャスタが装備され、水平移動装置40による水平移動を円滑に行えるようになっている。なお、この水平移動時には、第3位置P3及び第4位置P4では台車本体51或いは固定台の上を段ロールユニット10が走行し、第1位置P1では、昇降体32の各支持アーム33,34付近の高さ位置に装備された図示しない支持プレート部の上を、段ロールユニット10が走行するようになっている。
【0030】
昇降装置30及び可動支持部材37並びに水平移動装置40の各アクチュエータは、制御装置60によって制御され、これによって、所要の段ロールユニット10が移動して配置を切り替えられるようになっている。
【0031】
〔制御装置〕
ここで、制御装置60による制御を説明する。
なお、ここでは、第3位置P3及び第4位置P4を、シングルフェーサの装置内に装備されるが段繰りに使用されない待機中の段ロールユニット10Wが位置する待機位置とし、生産オーダーに応じて、段繰りに使用中の段ロールユニット10と交換するようになっている。
【0032】
制御装置60は、生産オーダーに応じて使用中の段ロールユニット10を待機中の段ロールユニット10Wと交換して段繰り条件を切り替える場合に、各アクチュエータを制御してこの切替を行う。
この段ロールユニット10の切替には、段ロールユニット10が位置していない第1位置P1及び第2位置P2の空間を利用する。なお、第1位置P1及び第2位置P2については、段ロールユニット10の交換する際に使用する交換位置とする。
【0033】
図5に、制御装置60による具体的な段ロールユニット10の交換例を説明する。なお、ここでは、装置内に装備される3つの段ロールユニット10,10W,10WをA,B,Cの符号を付けて区別して説明する。
この例では、使用位置Puにある使用中の段ロールユニットAに替えて、第3位置P3にある待機中の段ロールユニットBを使用するように交換する。
【0034】
まず、
図5(a)に示すように、使用位置Puに使用中の段ロールユニットAが、第3位置P3に待機中の段ロールユニットBが、第4位置P4に待機中の段ロールユニットCが位置している。第1位置P1,第2位置P2は空いている。
はじめに、シングルフェーサを停止させてから、水平移動装置40のアクチュエータ41を作動させて、
図5(b)に示すように、段ロールユニットCを第4位置P4から第1位置P1に水平移動する。
【0035】
次に、可動支持部材37のアクチュエータを作動させて、可動支持部材37を支持状態から退避状態に搖動させた後に、昇降装置30のアクチュエータを作動させて、
図5(c)に示すように、段ロールユニットAを使用位置Puから第1位置P1に、段ロールユニットCを第1位置P1から第2位置P2に同時に降下させる。
【0036】
次に、水平移動装置40のアクチュエータ41を作動させて、
図5(d)に示すように、段ロールユニットBを第3位置P3から第1位置P1に、段ロールユニットAを第1位置P1から第4位置P4に、同時に水平移動する。
【0037】
次に、昇降装置30のアクチュエータを作動させて、
図5(e)に示すように、段ロールユニットBを第1位置P1から使用位置Puに、段ロールユニットCを第2位置P2から第1位置P1に、同時に上昇させる。
【0038】
最後に、水平移動装置40のアクチュエータ41を作動させて、
図5(f)に示すように、段ロールユニットCを第1位置P1から第3位置P3に水平移動する。
また、可動支持部材37のアクチュエータを作動させて、可動支持部材37を退避状態から支持状態に搖動させる。
【0039】
〔シングルフェーサの段ロールユニットの切替方法〕
この制御装置60の制御によって行う、使用中の段ロールユニット10の切替手順をより一般化して、シングルフェーサの段ロールユニットの切替方法として説明すれば、次のようになる。
【0040】
前提として、生産オーダーの変更に応じて、使用中の段ロールユニット10である段ロールユニットAと、待機中の段ロールユニットである段ロールユニットB,段ロールユニットCのうちの段ロールユニットBとを交換して、使用する段ロールユニット10を切り替えるものとする(
図5(a)参照)。シングルフェーサを停止させて以下の処理を行う。
【0041】
まず、第1工程として、水平移動装置40を作動させて、残りの待機中の段ロールユニットである段ロールユニットCを、2つの待機位置である第3位置P3,第4位置P4の一方の第4位置P4から第1位置P1に水平移動させる(
図5(b)参照)。
【0042】
次に、第2工程として、昇降装置30を作動させて使用位置Puにある段ロールユニットAを第1位置P1まで共に降下させると共に、第1位置P1にある段ロールユニットCを第2位置P2まで降下させる(
図5(c)参照)。
【0043】
次に、第3工程として、水平移動装置40を作動させて、2つの待機位置である第3位置P3,第4位置P4の他方の第3位置P3にある段ロールユニットBを第1位置P1まで水平移動させると共に、第1位置P1にある段ロールユニットAを第4位置P4まで水平移動させる(
図5(d)参照)。
【0044】
次に、第4工程として、昇降装置30を作動させて、第1位置P1にある段ロールユニットBを使用位置Puまで上昇させると共に、第2位置P2にある段ロールユニットCを第1位置P1まで上昇させる(
図5(e)参照)。
【0045】
さらに、第5工程として、水平移動装置40を作動させて、第1位置P1にある段ロールユニットCを第3位置P3に水平移動させる(
図5(f)参照)。
また、シングルフェーサの始動前までに、可動支持部材37のアクチュエータを作動させて、可動支持部材37を退避状態から支持状態に搖動させる。
【0046】
〔シングルフェーサの待機中の段ロールユニットの交換方法〕
なお、本シングルフェーサでは、シングルフェーサの作動中であっても、待機中の段ロールユニット10Wを交換することができる。
つまり、待機位置である第3位置P3,第4位置P4の何れか一方にある待機中の段ロールユニット10Wを、幅方向可動機構50を用いて装置幅方向の搬出方向に移動して搬出する(搬出工程)。
そして、この搬出されて空いた第3位置P3又は第4位置P4に新たに待機させた別の段ロールユニットを、幅方向可動機構50を用いて装置幅方向の搬入方向に移動して搬入する(搬入工程)。
なお、待機中の段ロールユニット10Wの交換にあたっては、シングルフェーサの駆動側或いは操作側を一時待機場所として使用することができる。
【0047】
〔作用及び効果〕
本実施形態にかかるシングルフェーサ並びにその段ロールユニットの切替方法及びに段ロールユニットの交換方法は、上述のように構成されているので、以下のような作用、効果を得ることができる。
【0048】
つまり、使用位置Pu以外に、段ロールユニット10を配置できる位置が第1位置P1〜第4位置P4の4つ備えられ、第1位置P1を中心に、使用位置Pu及び第2位置P2〜第4位置P4が何れも第1位置P1に隣接して配置されるため、装置内に3つの段ロールユニット10を装備しても、第1位置P1を利用して各段ロールユニット10を何れの位置にも移動させることができ、3つの段ロールユニット10を生産オーダーに合わせて選択的に使用することができる。
【0049】
したがって、フルート形状の異なる3種の段ロールユニット10を装置内に装備すれば、この3種のフルート形状の生産オーダーに対して、外部から交換用の段ロールユニット10を導入して交換することなく対応することができる。これにより、段ロールユニット10を速やかに切り替えることができ、生産性が向上する。
【0050】
また、制御装置60による昇降装置30及び可動支持部材37並びに水平移動装置40の各アクチュエータの制御によって、所要の段ロールユニット10を移動させて配置を自動で切り替えられるので、生産にかかるオーダーチェンジの際の作業者の負担を軽減することができる。
【0051】
また、第1位置P1〜第4位置P4は、何れの装置幅内に配置することができるので、装置の大型化を抑えることができる。
本実施形態では、工場の床面F上の第3位置P3,第4位置P4を待機位置としているので、シングルフェーサの運転中であっても、使用中の段ロールユニット10等に支障なく待機中の段ロールユニット10Wの交換を実施することができる。これにより、シングルフェーサの停止時間を増大させることなく3台(3種)よりも多くの段ロールユニット10を使用することができる。
【0052】
ただし、第1位置P1や第2位置P2を待機位置としてもよい。
この場合、例えば第2位置P2の待機中の段ロールユニット10Wを幅方向可動機構として台車50で支持して、第2位置P2の幅方向外側であるシングルフェーサの駆動側或いは操作側の床面Fの下方、つまり、地下を一時待機場所として使用して、待機中の段ロールユニット10Wの交換を実施することができる。
【0053】
また、使用位置の段ロールユニット10は、可動支持部材37で支持されるので、昇降装置30の荷重負担を軽減させることができ、装置の耐久性を向上させることができる。ただし、昇降装置30の荷重負担に問題がなければ、可動支持部材37を廃止して、昇降装置30によって使用位置の段ロールユニット10を支持するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、昇降装置30が、各収容支持空間35,36内にそれぞれ段ロールユニット10を収容し、支持アーム33,34にて支持した状態で昇降できるため、昇降ストロークは1段分だけでよく、昇降装置30の上下方向サイズを抑えることができる。ただし、昇降装置30の昇降ストロークを2段分として、段ロールユニット10を1つずつ昇降させるようにしてもよい。この場合、昇降装置30の上下方向サイズは拡大するが、昇降装置30の昇降に係る荷重負担は軽減される。
【0055】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、昇降装置30及び可動支持部材37並びに水平移動装置40の各アクチュエータの作動の制御を制御装置60によって自動で行っているが、各アクチュエータの作動の制御を作業者がスイッチ操作等で行ってもよい。
また、上記実施形態では、待機中の段ロールユニット10Wの交換操作を作業者が行うことを想定して説明したが、待機中の段ロールユニット10Wの交換も制御装置60或いは他の制御装置により自動で行ってもよい。
また、上記実施形態では、使用位置Puにある使用中の段ロールユニットAに替えて、第3位置P3にある待機中の段ロールユニットBを使用するように交換したが、第4位置P4にある待機中の段ロールユニットCを使用するように交換してもよい。