【解決手段】無機系基材2上に、ベースコート層3、着色剤を含有する加飾層4及びふっ素樹脂パウダーを含有するクリヤー層5をこの順に備える塗装体1であって、前記クリヤー層5の厚さが1〜25μmの範囲内であるとともに、該クリヤー層5が前記無機系基材2上に形成される層の最外層を構成しており、前記塗装体1は、表面硬度が鉛筆硬度でH以上であることを特徴とする、塗装体1である。
無機系基材上に、ベースコート層、着色剤を含有する加飾層及びふっ素樹脂パウダーを含有するクリヤー層をこの順に備える塗装体であって、前記クリヤー層の厚さが1〜25μmの範囲内であるとともに、該クリヤー層が前記無機系基材上に形成される層の最外層を構成しており、前記塗装体は、表面硬度が鉛筆硬度でH以上であることを特徴とする、塗装体。
前記ふっ素樹脂パウダーの体積平均粒子径が、前記クリヤー層の厚さの1.5倍以内であり、前記クリヤー層中における該ふっ素樹脂パウダーの含有量が0.5〜10体積%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の塗装体。
前記細粒状粒子が、アルミナ、窒化ホウ素、二酸化珪素、ジルコン及びダイヤモンドより選ばれる1種以上の粒子を含むことを特徴とする、請求項6から8のいずれかに記載の塗装体。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の塗装体を詳細に説明する。本発明の塗装体は、無機系基材上に、ベースコート層、着色剤を含有する加飾層及びふっ素樹脂パウダーを含有するクリヤー層をこの順に備える塗装体であって、前記クリヤー層の厚さが1〜25μmの範囲内であるとともに、該クリヤー層が前記無機系基材上に形成される層の最外層を構成しており、前記塗装体は、表面硬度が鉛筆硬度でH以上であることを特徴とする。
【0023】
本発明の塗装体は、基材が無機系基材であるため、不燃性に優れる。無機系基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄鋼、亜鉛めっき鋼(例えばトタン板)、錫めっき鋼(例えばブリキ板)、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属基材、石膏、珪酸カルシウム、ガラス、セラミック、コンクリート、セメント、モルタル、スレート等の非金属基材が挙げられる。また、他にも、木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・珪酸カルシウム板等の複合基材も例示できる。金属基材には、各種表面処理、例えば酸化処理が施された基材も含まれる。また、その表面が無機物で被覆されているようなプラスチック基材(例えば、ガラス質で被覆されたプラスチック基材)は、無機系基材に含まれる。なお、基材は、プライマー処理が施されていてもよいし、基材表面の少なくとも一部に旧塗膜(本発明の塗装体の作製においてベースコート層を形成する際に既に形成されている塗膜)が存在していてもよい。
【0024】
上記無機系基材としては、上述したように各種材質の基材を使用できるが、その具体例としては、建築物、車両、家具、建具やそれらの部品が好適に挙げられる。
【0025】
本発明の塗装体において、ベースコート層は、無機系基材上に形成される層であって、該ベースコート層上には加飾層が形成される。ベースコート層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。ベースコート層には、塗料から形成される塗膜(下塗り塗膜、中塗り塗膜、受理層等とも呼ばれる)やインクから形成される印刷層(インク層、受理層等とも呼ばれる)の他、シーラーやプライマーから形成される下地層も含まれる。ベースコート層の厚さは、20〜200μmの範囲内であることが好ましい。ベースコート層の厚さが20μm以上であると、隠ぺい性や耐透水性の観点から好ましく、200μm以下であると、防火認定の観点から好ましい。
【0026】
上記ベースコート層は、樹脂を含むことが好ましく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加飾層が印刷層である場合、インクの発色性の向上効果の観点から、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂が好適である。また、ベースコート層に可撓性を付与する観点からは、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂が好適である。
ここに記載される「樹脂」とは主としてバインダーに分類される樹脂であり、ベースコート層中で粒子の形状を維持する樹脂ビーズは除外される。
これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ベースコート層中において、樹脂の含有量は、30〜60体積%であることが好ましい。
【0027】
上記ベースコート層は、基材隠蔽性を高める観点から、着色顔料や染料等の着色剤を含むこともできる。着色剤としては、公知の材料が使用でき、例えば、酸化チタン及びカーボンブラック、黄色酸化鉄、弁柄、ニッケルチタンイエロー、ビスマスイエロー、コバルトブルー、コバルトアルミブルー、ウルトラマリンブルー等の無機顔料・染料やフタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料等の有機顔料・染料が挙げられる。
これら着色剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ベースコート層中において、着色剤の含有量は、10〜70体積%であることが好ましい。
【0028】
上記ベースコート層は、体質顔料を含むことが好ましい。体質顔料は、インクの濡れ性を向上させる効果があり、インクの発色性向上に寄与するため、加飾層が印刷層である場合に好ましい。体質顔料としては、公知の材料が使用でき、例えば、タルク、カオリン、硫酸バリウム、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、珪石粉、珪藻土、シリカ(結晶性シリカ、非晶質シリカなど)、アロフェン、イモゴライト、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライト、ガラスビーズ等が挙げられる。
これら体質顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ベースコート層中において、体質顔料の含有量は、40〜70体積%であることが好ましい。
【0029】
ベースコート層の形成には、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、活性エネルギー線硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の従来から公知の各種塗料及びインクや公知のシーラー及びプライマー等が利用可能である。ベースコート層の形成のための塗料、インク、シーラー及びプライマーには、その他の成分として、湿潤剤、分散剤、乳化剤、樹脂ビーズ、粘性調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、成膜助剤、防錆顔料、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。上記塗料、インク、シーラー及びプライマーは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。
【0030】
ベースコート層の形成に使用できる塗料、シーラー及びプライマーの塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装など)等が利用できる。また、ベースコート層の形成に使用できるインクの印刷手段は、特に限定されず、既知の印刷手段、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷及びインクジェット印刷(インクジェットプリンタを用いた印刷)等が利用できる。
ベースコート層の形成において、乾燥や硬化の手段は特に制限されるものではなく、使用する塗料、シーラー、プライマー及びインクの種類に応じて適宜選択される。例えば、加熱による乾燥や、加熱又は紫外線照射等による硬化を行ってもよいし、また、自発的に硬化反応が進む塗料(例えば2液型塗料)や自然乾燥が可能な塗料(例えば揮発性溶剤系塗料)であれば特別な乾燥や硬化手段を採用しなくてもよい。
【0031】
本発明の塗装体において、加飾層は、塗装体に意匠を施す目的でベースコート層上に形成される層である。加飾層は、通常、塗料から形成される塗膜やインクから形成される印刷層で構成されるが、両方を組み合わせる場合もある。加飾層の厚さは、1〜40μmの範囲内であることを例示できる。
【0032】
上記加飾層は、塗装体に意匠を施す目的で、着色顔料や染料等の着色剤を含む。着色剤としては、公知の材料が使用でき、例えば、カーボンブラック、黄色酸化鉄、弁柄、複合酸化物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・バナジウム系、コバルト・アルミニウム系、コバルト・アルミニウム・クロム系、ウルトラマリンブルー)、酸化チタン等の無機顔料・染料や、キナクリドン系、ジケトプロロピール系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アンスラピリミジン系、フタロシアニン系、スレン系、ジオキサジン系、アゾ系等の有機顔料・染料が挙げられる。
これら着色剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記加飾層中において、着色剤の含有量は、インクの場合で2〜15体積%であることが好ましく、塗料の場合で40〜70体積%であることが好ましい。
【0033】
上記加飾層は、樹脂を含むことが好ましく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。
これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記加飾層中において、樹脂の含有量は、30〜98体積%であることが好ましい。
【0034】
加飾層の形成には、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、活性エネルギー線硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の従来から公知の各種塗料及びインクが利用可能である。上記塗料及びインクには、その他の成分として、湿潤剤、分散剤、乳化剤、粘性調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、成膜助剤、防錆顔料、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。上記塗料及びインクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。
【0035】
加飾層の形成に使用できる塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装など)等が利用できる。また、加飾層の形成に使用できるインクの印刷手段は、特に限定されず、既知の印刷手段、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷及びインクジェット印刷(インクジェットプリンタを用いた印刷)等が利用できる。意匠性に優れる加飾層を形成させる観点から、インクジェット印刷を利用することが最も好ましい。
加飾層の形成において、乾燥や硬化の手段は特に制限されるものではなく、使用する塗料やインクの種類に応じて適宜選択される。例えば、加熱による乾燥や、加熱又は紫外線照射等による硬化を行ってもよいし、また、自発的に硬化反応が進む塗料(例えば2液型塗料)や自然乾燥が可能な塗料(例えば揮発性溶剤系塗料)であれば特別な乾燥や硬化手段を採用しなくてもよい。
【0036】
本発明の塗装体において、クリヤー層は、単層であってもよいし、複数層であってもよいが、加飾層を保護する目的で加飾層上に形成される層であり、上記無機系基材上に形成される層のうち該無機系基材から最も外側の層(最外層)を構成している。なお、塗装体の意匠によっては、加飾層がベースコート層の全体を被覆せず、ベースコート層の一部が露出している場合もあるが、この場合、クリヤー層は、加飾層に加えて、露出したベースコート層を覆うように形成されることが好ましい。
本発明の塗装体において、クリヤー層は、優れた汚染防止性を付与する観点から、その厚さが1μm以上であり、一方で、加飾層の視認性や不燃性を確保する観点から、その厚さは25μm以下であることが好ましい。本発明の塗装体において、クリヤー層の厚さは、1〜15μmの範囲内であることが更に好ましく、5〜10μmの範囲内であることが特に好ましい。
本明細書において、クリヤー層の厚さは、ふっ素樹脂パウダー等の粒子による凸部が形成された領域ではなく、表面が平らな領域の厚さであり、加飾層の表面からクリヤー層表面までの距離のうち最も小さい値を「クリヤー層の厚さ」と定義する。
【0037】
本明細書において「クリヤー層」とは、透明な層であり、その下に形成された層を視認することができる層であり、透過率が30%以上である層を「クリヤー層」と定義する。
ここで、透過率は、可視領域(360nm〜750nm)における全光線透過率を意味し、JIS K 7375に基づき測定することで求められる。
【0038】
上記クリヤー層は、ふっ素樹脂パウダーを含む。ふっ素樹脂パウダーは、ふっ素樹脂が持つ耐油性や耐水性により、人の手等の軟らかい物質に起因する塗膜の汚れを防止する効果を有するが、粉末で存在することから、接触して擦りあった部分に対しフッ素成分が移行し、ふっ素同士をすり合わせた時の様な優れた低摩擦性が得られる。そのため、ある物体がクリヤー層に接触する際の摩擦を低減してクリヤー層の耐摩耗性を向上できるため、例えば金属等の硬い物質が接触した場合にシリカ等の顔料を加えたクリヤー層に比べクリヤー層に傷が付くことを防止することもできる。本発明の塗装体によれば、クリヤー層にふっ素樹脂パウダーを配合すると共に、後述するように塗装体の表面硬度を特定の範囲に調整することで、軟らかい物質に起因する汚れのみならず、硬い物質に起因する汚れに対しても優れた汚染防止性を発揮することができる。これにより、日常生活で想定される様々な汚染に対し優れた防汚性を発揮することが出来る。
【0039】
上記ふっ素樹脂パウダーは、塗膜中で粉末の形状を維持する固体状のふっ素樹脂であれば特に限定されるものではない。
ふっ素樹脂は、例えば、ふっ素含有モノマーと、必要に応じて他のモノマーとの重合によって製造することが可能であり、該ふっ素含有モノマーとしては、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、(パー)フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル〔(パー)フルオロアルキル基の炭素数は、1〜18個である。〕等が挙げられる。
ふっ素樹脂パウダーとしては、市販品を使用することができ、例えば、株式会社喜多村製KT/KTL等が挙げられる。
上記クリヤー層中において、ふっ素樹脂パウダーの含有量は、0.5〜10体積%の範囲内であることが好ましく、2〜8体積%の範囲内であることが更に好ましく、3〜7体積%の範囲内であることが特に好ましい。
なお、(C)ふっ素樹脂パウダーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記ふっ素樹脂パウダーは、体積平均粒子径が、クリヤー層の厚さの1.5倍以内であることが好ましく、クリヤー層の厚さの1.5倍より小さい倍率から1.0倍以内であることが更に好ましく、クリヤー層の厚さの1.0倍〜0.2倍の範囲内であることが特に好ましい。また、ふっ素樹脂パウダーの体積平均粒子径は1〜20μmの範囲内であることが好ましく、1〜15μmの範囲内であることが更に好ましく、5〜10μmの範囲内であることが特に好ましい。
ふっ素樹脂パウダーの体積平均粒子径は、摩擦の低減の観点から大きい方が好ましいものの、大きすぎると外観が著しく悪くなる恐れがあるため、上記した特定の範囲が望ましい。
本明細書において、体積平均粒子径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D
50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本明細書における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
【0041】
上記クリヤー層は、さらにビッカース硬度500以上の細粒状粒子を含有することが好ましい。上記細粒状粒子は、ふっ素樹脂パウダーとは異なり、塗膜の摩擦を上昇させてしまう一方で、ふっ素樹脂パウダーの弱点である傷つきやすさを補うことが出来、適量添加することでクリヤー層の低摩擦性を大きく損なうことなく、クリヤー層の表面硬度を大幅に向上させることができる。
本明細書において、細粒状粒子のビッカース硬度は、JIS Z 2244:2009に規定されるビッカース硬さ試験によって決定される。
上記細粒状粒子のビッカース硬度は、その上限値について特に制限はないものの、15,000以下であることを例示することができる。
【0042】
上記細粒状粒子は、アルミナ、窒化ホウ素、二酸化珪素、ジルコン及びダイヤモンドより選ばれる1種以上の粒子を含むことが好ましく、これらの中でも、透明性、白色度、硬度、耐薬品性、コストの観点から、アルミナを少なくとも含むことが好ましい。上記細粒状粒子としては、市販品を使用することができる。
上記クリヤー層中において、上記細粒状粒子の含有量は、5〜30体積%の範囲内であることが好ましく、10〜20体積%の範囲内であることが更に好ましい。
なお、上記細粒状粒子は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記細粒状粒子は、体積平均粒子径が、クリヤー層の厚さの1.5倍以内であることが好ましく、クリヤー層の厚さの1.5倍より小さい倍率から1.0倍以内であることが更に好ましく、クリヤー層の厚さの1.0倍〜0.2倍の範囲内であることが特に好ましい。また、細粒状粒子の体積平均粒子径は1〜20μmの範囲内であることが好ましく、10〜20μmの範囲内であることが更に好ましい。細粒状粒子の体積平均粒子径がクリヤー層の厚さの1.5倍以内であることで、塗膜外観を良好に維持でき、細粒状粒子の体積平均粒子径が1μm以上であることで、塗膜に硬度を付与し、傷付き防止性を向上させることができる。
本明細書において、体積平均粒子径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D
50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本明細書における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
【0044】
上記クリヤー層は、樹脂を含むことが好ましく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここに記載される「樹脂」とは主としてバインダーに分類される樹脂であり、クリヤー層中で粉末の形状を維持する前述のふっ素樹脂パウダーは除外される。
上記クリヤー層中において、樹脂の含有量は、60〜80体積%の範囲内であることが好ましい。
【0045】
上記クリヤー層は、耐候性、塗装作業性、成膜性の観点から、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ふっ素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、及びアルキド樹脂より選ばれる1種以上の樹脂を含むことが好ましく、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂より選ばれる1種以上の樹脂を含むことが更に好ましく、アクリル樹脂を含むことが特に好ましい。
上記クリヤー層中において、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ふっ素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂及びアルキド樹脂より選ばれる樹脂の合計含有量は60〜80体積%の範囲内であることが好ましい。
【0046】
上記クリヤー層は、通常、塗料から形成される塗膜やインクから形成される印刷層で構成されるが、両方を組み合わせる場合もある。
クリヤー層の形成には、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、活性エネルギー線硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の従来から公知の各種塗料及びインクが利用可能である。上記塗料及びインクには、その他の成分として、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、粘性調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、顔料、染料、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、成膜助剤、防錆顔料、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。上記塗料及びインクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって、調製できる。
【0047】
上記クリヤー層の形成に使用できる有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、炭化水素類(脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素など)、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類等の各種有機溶媒が使用できる。なお、有機溶剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記有機溶剤は、環境、人体への負荷が少なく、樹脂の溶解性、分散性、顔料等の粒子状物質の分散性に優れる観点から、酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン及びメトキシプロピルアセテートより選ばれる1種以上の溶媒を含むことが好ましい。
【0048】
また、粘性調整剤は、塗料やインク中でふっ素樹脂パウダーや細粒状粒子が沈降することを防止することができるため、好ましい。粘性調整剤としては、例えば、アルミニウムステアレートやジンクステアレート等の金属石鹸の他、ベントナイト、アクリルオリゴマー、アマイドワックス、酸化ポリエチレン等が挙げられ、これらの中でも、ベントナイト及びアマイドワックスが好ましい。粘性調整剤としては、市販品を使用することができる。クリヤー層中における粘性調整剤の含有量は、例えば1質量%以下である。
【0049】
クリヤー層の形成に使用できる塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装など)等が利用できる。
また、クリヤー層の形成に使用できるインクの印刷手段は、特に限定されず、既知の印刷手段、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷及びインクジェット印刷(インクジェットプリンタを用いた印刷)等が利用できる。
本発明の塗装体においては、クリヤー層が最外層を構成するため、塗装の跡が付き難いフローコーター塗装やスプレー塗装が好適である。
クリヤー層の形成において、乾燥や硬化の手段は特に制限されるものではなく、使用する塗料やインクの種類に応じて適宜選択される。例えば、加熱による乾燥や、加熱又は紫外線照射等による硬化を行ってもよいし、また、自発的に硬化反応が進む塗料(例えば2液型塗料)や自然乾燥が可能な塗料(例えば揮発性溶剤系塗料)であれば特別な乾燥や硬化手段を採用しなくてもよい。
【0050】
本発明の塗装体は、表面硬度が鉛筆硬度でH以上である。上述したように、特定の範囲の表面硬度と、最外層であるクリヤー層中に配合されたふっ素樹脂パウダーとを組み合わせることで、軟らかい物質に起因する汚れのみならず、硬い物質に起因する汚れに対しても優れた汚染防止性を発揮できる塗装体を形成することができる。
ここで、上記表面硬度が鉛筆硬度でHよりも硬度が低いと、金属など硬い物質との接触が想定される場所では良好な汚染防止効果が期待できない。
【0051】
本発明の塗装体において、上記表面硬度は、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に規定される鉛筆硬度によって決定される。ここに規定される鉛筆硬度は、硬度の低い等級から6B・5B・4B・3B・2B・B・HB・F・H・2H・3H・4H・5H・6Hの順に規定されている。つまり、等級が6Bである塗膜は、上記等級の中で鉛筆硬度が最も低く、一方、等級が6Hである塗膜は、上記等級の中で鉛筆硬度が最も高いことを示す。
本発明においては、塗装体の最外層であるクリヤー層側から表面硬度の測定を行う。
本発明の塗装体において、上記表面硬度は、鉛筆硬度でH以上であるが、5H以上であることが好ましい。
本発明の塗装体においては、例えば、クリヤー層中におけるふっ素樹脂パウダーの含有量を増加させたり、細粒状粒子を配合させたり、UV硬化形樹脂を使用したり、ガラス転移点の高い樹脂を使用したりすることで、塗装体の表面硬度を高くすることができる。特に、細粒状粒子を用いることで表面硬度を大幅に向上できるため、5H以上の鉛筆硬度も達成可能となる。
【0052】
本発明の塗装体は、すべり抵抗係数が1未満であることが好ましい。すべり抵抗係数が1.0を超えると、接触による擦れによって汚れが付着しやすくなる。ここで、上記すべり抵抗係数は、JIS A 1454:2016に規定される滑り性試験によって決定される滑り抵抗係数である。すべり抵抗係数が低いほど、滑り性が高い(滑りやすい)。
本発明においては、塗装体の最外層であるクリヤー層表面に対して滑り性試験を行う。
本発明の塗装体において、上記すべり抵抗係数は、0.2以上0.9以下であることが更に好ましく、0.3以上0.8以下であることが特に好ましい。
本発明の塗装体においては、例えば、ワックス等の表面調整剤の添加や、ふっ素樹脂パウダーの添加によって、塗膜のすべり抵抗係数を低くすることができる。
【0053】
本発明の塗装体は、クリヤー層がふっ素樹脂パウダーと必要に応じて細粒状粒子とを含むため、クリヤー層の耐摩耗性を向上させ、延いてはクリヤー層に傷が付くことを防止することができるが、より確実にクリヤー層の耐摩耗性を向上させる観点から、本発明の塗装体は、表面粗さが算術平均粗さ(Sa)で0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましい。一方、本発明の塗装体の表面粗さは、接触物の削れによる汚染防止の観点から、算術平均粗さ(Sa)で3.0μm以下であることが好ましく、好ましくは2.5μm以下、特には2.0μm以下であることが更に好ましい。
本発明の塗装体において、上記算術平均粗さ(Sa)は、JIS B 0601:2013によって決定される算術平均粗さ(Ra)における二次元表面粗さの算術平均粗さ(Ra)の測定方法に準じ、これを三次元に拡張したもの(三次元表面粗さ)である。「三次元表面粗さ」とは、JIS−B0601:2013に規定される表面粗さ、つまり(X、Z)座標を基準とする二次元表面粗さに準じ、かかる基準を(X、Y、Z)座標に拡張した値を意味する。このような表面粗さSa、つまり、三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(Ra)は試験板の表面粗度を光干渉顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製XGシリーズ、商品名、3次元画像処理システム)を用いて測定することにより、求めることができる。
本発明においては、塗装体の最外層であるクリヤー層側から表面粗さの測定を行う。
本発明の塗装体においては、例えば、クリヤー層中におけるふっ素樹脂パウダーや細粒状粒子の体積平均粒子径や含有量を適宜調整したり、塗装膜厚を調整したりすることで、塗装体の表面粗さを調整することができる。
【0054】
本発明の塗装体は、60°表面光沢度が30以下の範囲内であることが好ましく、1〜20の範囲内であることが更に好ましく、3〜10の範囲内であることが特に好ましい。上記特定した光沢度の範囲を満たす塗装体は、内装材として好適である。
本発明の塗装体において、上記60°表面光沢度は、JIS B 5600−4−7:1999によって決定される60°鏡面光沢度である。
本発明においては、塗装体の最外層であるクリヤー層側から60°表面光沢度の測定を行う。
本発明の塗装体においては、例えば、ふっ素樹脂パウダー、細粒状粒子のうち体質顔料に分類されるもの、又はシリカ等の他の体質顔料を添加することで、塗装体の60°表面光沢度を低下させることができる。
【0055】
本発明の塗装体において、無機系基材上に形成される層全体の厚さは、10〜210μmの範囲内であることが好ましく、22〜200μmの範囲内であることが更に好ましく、30〜150μmの範囲内であることが特に好ましい。上記特定した層全体の厚さの範囲を満たす塗装体は、不燃性を安定して確保できるとともに、本発明の目的を達成する観点からも好ましい。
本明細書において、層全体の厚さは、上記のクリヤー層の厚さに基づく厚さとして定義される。このため、基材の表面からクリヤー層表面までの距離のうち最も小さい値を「層全体の厚さ」と定義する。
【0056】
本発明の塗装体は、建築物や車両等の外装材や内装材として好適に使用できるが、特に、指輪等の宝石や貴金属を用いた装身具、コイン、その他金属製品等の硬い物質に起因する汚れに対しても優れた汚染防止性を発揮できるため、内装材(例えば化粧板など)として好適である。
【0057】
次に、図を参照しながら、本発明の塗装体の実施態様について説明する。
図1は、本発明の塗装体の一実施態様の概略断面図である。
図1の塗装体1は、無機系基材2と、該無機系基材2上に配置されたベースコート層3と、該ベースコート層3上に配置された加飾層4と、該加飾層4上に配置されたクリヤー層5とを備える。
図1において、加飾層4は、ベースコート層3の全体を被覆しているが、本発明においてはこれに限定されず、塗装体上にて施される意匠によっては、加飾層がベースコート層の一部のみを被覆している場合もある。この場合、クリヤー層は、加飾層に加えて、ベースコート層における加飾層で被覆されていない部分も覆うように形成されていることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
<加飾層用活性エネルギー線硬化型インクの調製例>
表1に示す配合処方に従い、原料を混合して、加飾層用活性エネルギー線硬化型インクを調製し、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクからなるインクセットを用意した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1中の「SOLSPERS32000」は、ルーブリゾール社製の分散剤である。
表1中の「LUCIRIN TPO」は、BASF社製の開始剤である。
【0062】
<クリヤー層用塗料組成物の調製例>
表2〜4に示す配合処方に従い、原料を混合して、クリヤー層用塗料組成物を調製した。
【0063】
<塗装体の製造例>
1.基材
スレート板(150mm×70mm×5mm、TP技研社製)を使用した。
【0064】
2.ベースコート層
上記基材の表面に水系シーラー(大日本塗料(株)製、製品名:水性マイティーシーラーマルチ)を塗布量100g/m
2(乾燥膜厚20μm相当)となるようにエアスプレーで塗装し、室温で2時間乾燥した。その後、シーラー塗装済みの基材を60℃に加温した状態で、基材のシーラー塗装面に、大日本塗料(株)製、製品名:Vセラン#100を、シーラー塗装との合計が表2〜4に示した乾燥膜厚となるようにエアレススプレーで塗装した。その後、100℃で3分間乾燥させて、表2〜4に示される乾燥膜厚を有するベースコート層を形成させた。尚、基材表面の温度測定は、赤外線放射型非接触温度計(ISK−8700II、アズワン(株)社製)を用いて行った。
【0065】
3.加飾層
ベースコート層を形成した後、上記インクセットを備えたインクジェットプリンターを用いて、ベースコート層上にJIS X9201 2001 N3Aで規定される画像を印刷した。この際、インクを吐出する際の温度は45℃であった。
印刷後、メタルハライドランプにより、ピーク照度800mW/cm
2で1回あたりの積算光量50mJ/cm
2の紫外線を照射して、インクを硬化し、表2〜4に示される乾燥膜厚を有する加飾層を形成させた。
【0066】
4.クリヤー層
加飾層を形成した後、小型乾燥炉(MO−931、富山産業(株)社製)を用いて加温し、加飾層の表面温度が50℃の状態で、上述のクリヤー層用塗料組成物を表2〜4に示される乾燥膜厚になるよう塗装した。塗装後、80℃で20分乾燥させ、表2〜4に示される乾燥膜厚を有するクリヤー層を形成させた。尚、基材表面の温度測定は、赤外線放射型非接触温度計(ISK−8700II、アズワン(株)社製)を用いて行った。なお、使用したクリヤー層用塗料組成物を表2〜4に示す。
【0067】
<実施例1〜21、比較例1〜7>
上記塗装体の製造例に従って用意した加飾試験板について各種評価を行った。
【0068】
<評価>
下記に示す方法に従って、加飾試験板の表面硬度、算術平均粗さ(Sa)、光沢度、すべり抵抗係数を測定し、塗膜外観、耐汚染性を評価した。結果を表2〜4に示す。
【0069】
<表面硬度>
JIS K−5600−5−4に従い、引っ掻き硬度(鉛筆法)により評価を行った。
【0070】
<算術平均粗さ(Sa)>
試験板の表面粗度(算術平均粗さ、Sa値)を光干渉顕微鏡(株式会社キーエンス製XGシリーズ、商品名、3次元画像処理システム)を用いて測定した。
【0071】
<60°鏡面光沢度>
JIS K 5600−4−7に準拠し、光沢度計(BYK社製micro−TRI−gross:入反射角60°)を用いて測定した。
【0072】
<すべり抵抗係数>
JIS A 1454:2016に規定される滑り性試験に準拠して試験を行い、滑り抵抗係数を求めた。
【0073】
<塗膜外観>
クリヤー層を形成した後の加飾試験板について、以下の基準について外観を評価した。
○:加飾層の意匠を鮮明に確認できる。
△:全体の意匠に問題はないものの、画像の一部にやや不鮮明な箇所が確認される。
×:加飾層の意匠がクリヤー層によって隠蔽され、あるいはクリヤー層表面の外観が悪く、十分な意匠性が感じられない。
【0074】
<耐汚染性−1>
油性ペン・水性ペンによる汚染性(軟らかい物質に起因する汚れ)
試験板の表面に5mm×3cmの線を油性ペンと水性ペンで各々描き、5分経過した後にふき取りを行った。この際、油性ペンで描いた線のふき取りには塗料用シンナーを用い、水性ペンで描いた線のふき取りには水を用いた。
○:汚れが付着しにくく、ふき取りにより汚れを完全に除去することが容易である。
△:おおよその汚れを除去できるが、ふき取った後にN9程度の痕跡が残る
△−:おおよその汚れを除去できるが、ふき取った後にN8.5程度の痕跡が残る
×:ふいた後も汚れが残っている
【0075】
<耐汚染性−2>
コイン等の硬い物質の接触による汚染性(硬い物質に起因する汚れ)
試験板表面に10円硬貨の側面部分を接触させ、1kgあるいは500gの加重をかけつつ5cmの距離を移動させた。このとき試験板の表面に形成された10円硬貨の削れ痕(金属汚れ)の状況を以下の評価基準をもとに評価した。
◎:加重1kgの場合においても、塗膜に、10円硬貨の削れ痕及び10円硬貨との接触によるキズを生じない。
〇:加重1kgの場合では塗膜にキズを生じるものの、加重500gの場合においては、塗膜に、10円硬貨の削れ痕及び10円硬貨との接触によるキズを生じない。
△:加重500gの場合において、塗膜に、10円硬貨の削れ痕もしくは10円硬貨との接触によるキズがわずかに生じる。
×:加重1kgと加重500gの両方の場合において、塗膜に、10円硬貨の削れ痕もしくは10円硬貨との接触によるキズがはっきりと生じる。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
※1 樹脂1:日本触媒(株)製アクリル樹脂溶液、固形分50質量%、Tg70℃
※2 樹脂2:日本触媒(株)製アクリル樹脂溶液、固形分50質量%、Tg30℃
※3 ふっ素樹脂パウダー1:(株)喜多村製、KTL−9S、体積平均粒子径10μm
※4 ふっ素樹脂パウダー2:(株)喜多村製、KTL−2N、体積平均粒子径5μm
※5 ふっ素樹脂パウダー3:(株)喜多村製、KTL−10S、体積平均粒子径15μm
※6 ふっ素樹脂パウダー4:(株)喜多村製、KTL−20N、体積平均粒子径20μm
※7 ふっ素樹脂パウダー5:(株)喜多村製、KTL−1N、体積平均粒子径2.5μm
※8 細粒状粒子1:昭和電工(株)製アルミナ、モランダム#800、体積平均粒子径14μm、ビッカース硬度1600
※9 細粒状粒子2:昭和電工(株)製アルミナ、モランダム#1500、体積平均粒子径8μm、ビッカース硬度1600
※10 細粒状粒子3:昭和電工(株)製アルミナ、モランダム#600、体積平均粒子径20μm、ビッカース硬度1600
※11 シリカ:Evonik社製ACEMATT TS100、体積平均粒子径10μm
※12 アマイドワックス:ディスパロン6820−10M、楠本化成(株)製粘性調整剤