【実施例】
【0032】
以下、本発明を、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0033】
(第1の実施例:
図1)
11は、シートバックの、例えば車両のサイドドアと相対する側の側方内部に設ける、本発明のサイドエアバッグ装置である。
【0034】
このサイドエアバッグ装置11は、エアバッグ12と、例えば側面衝突時に衝撃を検知したセンサーからの出力信号を受信してエアバッグ12内にガスを噴射するインフレータ13を備えている。
【0035】
このうち、インフレータ13は、
図1(c)に示すように、エアバッグ12の後端側の内部に取付けられ、エアバッグ12内へのガスの噴射により、例えば車両のサイドドアとシートの間で、車両の前方方向にエアバッグ12を展開させて乗員を保護する。
【0036】
インフレータ13は、例えば筒形状をなし、その外側面に設けた噴出孔からエアバッグ12の内部にガスを噴射する構成である。このインフレータ13の外側面には、固定用のスタッドボルト13aがその長手方向に適宜の間隔を存して例えば2本突き出しており、これらスタッドボルト13aを用いてシートバックのフレームに設置する。
【0037】
一方、エアバッグ12は、車両の前後方向よりも上下方向が長く形成され、車両の幅方向に厚みを有するように、袋状に形成した構成である。
図1に示した実施例では、例えば車内側基布12aと車外側基布12bを、後端を中心として線対称に配置した1枚の基布で形成し、当該基布を折り曲げてその外周部を例えば縫製により接合することで袋状にしている。なお、12cは前記縫製による接合部、12dはインフレータ13のスタッドボルト13aを挿通する孔を示す。
【0038】
このエアバッグ12は、後方側にインフレータ13を挿入する開口部12eが形成されている。この開口部12eは、車内側基布12aと車外側基布12bを折り曲げてその外周部を接合して袋状にする際、前記接合を行わないことによって形成する。
【0039】
加えて、本発明では、エアバッグ12を形成する前記基布12a,12bの前記開口部12eの周囲から突出するように、前記エアバッグ12の内部に向かって折り返す延長布部12fを設けたことが特徴である。
【0040】
第1の実施例では、前記延長布部12fに、インフレータ13に設けられたスタッドボルト13aのうちのエアバッグ12内に挿入されない方のスタッドボルト13aを挿通する孔12faを設けている。この孔12faは、前記延長布部12fをエアバッグ12の内部に向かって折り返したときに、エアバッグ12に設けた孔12dのうちのエアバッグ12内に挿入されない方の孔12dと一致する位置に設ける。
【0041】
また、第1の実施例では、前記延長布部12fの両側辺部分の、エアバッグ12の外周縁から約中間位置までを、前記エアバッグ12の内側と接合12fbするものを示している。
【0042】
この延長布部12fの接合12fbによって、エアバッグ12の前記開口部12eの内径を、インフレータ13を挿入可能な範囲で狭くしている。
【0043】
この第1の実施例では、基布12a,12bを折り曲げて外周部を接合する際、延長布部1
2fをエアバッグ12の内部に向かって折り返し(
図1(b)参照)、エアバッグ12に設けた孔12dと延長布部12fに設けた孔12fbを一致させる。
【0044】
前記状態で、基布12a,12bの外周部を接合(12c)する際に、折り返した延長布部12fの両側辺部分の、エアバッグ12の外周縁から約中間位置までを接合12fbし、エアバッグ12を完成させる。
【0045】
その後、前記エアバッグ12の開口部12eからインフレータ13を挿入し、エアバッグ12に設けた孔12d及び延長布部12fに設けた孔12faからスタッドボルト13aを突出させる(
図1(c)参照)。
【0046】
インフレータ13を挿入したエアバッグ12は、その基布12a及び延長布部12fから突出させたインフレータ13のスタッドボルト13aを用いて、シートを構成するシートバックのフレームに設置する。
【0047】
本発明のサイドエアバッグ装置11の第1の実施例では、インフレータ13をエアバッグ12に挿入した後、開口部12eを縫製などによって閉じる後処理作業が不要である。そして、エアバッグ12が展開した際には、
図1(d)に示す様に、エアバッグ12の内圧によって折り返した延長布部12fがインフレータ13の外側面に押付けられて密着し、開口部12eからのガス漏れを効果的に抑制することができる。その際、エアバッグ12の展開挙動が変化することもない。
【0048】
図1に示した例では、前記延長布部12fは台形状に形成したものを示しているが、エアバッグ12の内部に折り返した状態でインフレータ13の外側面を覆うことができるものであれば、その形状は限定されない。
【0049】
また、前記延長布部12fに設けた孔12faやエアバッグ12の外周縁から約中間位置までの接合12fbは必ずしも必須の構成ではない。
【0050】
(第2の実施例:
図2)
第2の実施例は、例えば
図2(a)に示したように、前記延長布部12fをエアバッグ12の外周縁方向に帯状となるように形成したものである。そして、第2の実施例では、例えば、この延長布部12fの先端側を折り返して接合12fcすることで形成した空間15に、5個の磁石14を等間隔に配置している。
【0051】
第2の実施例では、基布12a,12bを折り曲げて外周部を接合する際、延長布部12fをエアバッグ12の内部に向かって折り返す(
図2(c)参照)。その後、前記エアバッグ12の開口部12eからインフレータ13を挿入し、エアバッグ12に設けた孔12dからスタッドボルト13aを突出させ、シートバックのフレームに設置する。
【0052】
この第2の実施例では、折り返した延長布部12fは磁石14によってインフレータ13の外側面に押付けられて密着している。そして、エアバッグ12が展開した際には、
図2(d)に示す様に、エアバッグ12の内圧も加わって折り返した延長布部12fがインフレータ13の外側面に強固に密着し、開口部12eからのガス漏れを効果的に抑制する。この第2の実施例の場合も、インフレータ13をエアバッグ12に挿入した後、開口部12eを縫製などによって閉じる後処理作業が不要であり、エアバッグ12の展開挙動が変化することもない。
【0053】
第2の実施例では、前記延長布部12fはエアバッグ12の内部に向かって折り返した後、その周囲をエアバッグ12の基布12a,12bと接合しても良い。
【0054】
また、前記磁石14は複数に限らず単数でもよい。
さらに、前記磁石14の延長布部12fへの配置も、延長布部12fに形成した空間15に配置するものに限らず、エアバッグ12の内部に向けて折り返した延長布部12fとエアバッグ12の基布12a,12bの間に配置しても良い。
【0055】
(第3の実施例:
図3)
第3の実施例も、第2の実施例と同様、例えば
図3(a)に示したように、前記延長布部12fをエアバッグ12の外周縁方向に帯状となるように形成したものである。そして、第3の実施例では、この延長布部12fの先端側を折り返して接合12fcすることで形成した孔17に、例えばテザー16を挿通している(
図3(b)参照)。
【0056】
第3の実施例の場合も、基布12a,12bを折り曲げて外周部を接合する際、延長布部12fをエアバッグ12の内部に向かって折り返した後(
図3(c)参照)、前記エアバッグ12の開口部12eからインフレータ13を挿入する。その後、エアバッグ12の孔12dからスタッドボルト13aを突出させ、前記テザー16をエアバッグ12の基布12a又は12bに設けた孔から引出して、インフレータ13に巻き付けた延長布部12fをテザー16で結ぶ(
図3(d)参照)。
【0057】
前記状態でシートバックのフレームに設置した第3の実施例では、テザー16によって折り返した延長布部12fがインフレータ13の外側面に取付けられている。従って、エアバッグ12が展開した際には、
図3(e)に示す様に、エアバッグ12の内圧も加わって折り返した延長布部12fがインフレータ13の外側面に強固に押付けられて密着し、開口部12eからのガス漏れを効果的に抑制する。
【0058】
第3の実施例では、前記テザー16は、
図3に示したような、延長布部12fの先端側に形成した孔17に挿通するものに限らず、折り返した延長布部12fの先端側に例えば縫製によって接合したものでも良い。
【0059】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0060】
すなわち、以上で述べたサイドエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0061】
例えば上記実施例では、車内側基布12aと車外側基布12bを1枚の基布で形成しているが、車内側基布12aと車外側基布12bを別個の基布で形成しても良い。
【0062】
また、ガスの噴射時に車内側基布12aと車外側基布12bをインフレータ13が発する熱から保護する補強布を車内側基布12aと車外側基布12bに取付けても良い。
【0063】
また、第2,3の実施例では、延長布部12fをエアバッグ12の外周縁方向に帯状となるように形成しているが、エアバッグ12の内部に向かって折り返した状態で前記方向に帯状となれば、折り返す前の形状は帯状でなくてもよい。
【0064】
また、上記実施例は、本発明のサイドエアバッグ装置11をシートバックのサイドドア側の側方内部に設置するものについて説明したが、シートバックの隣り合うシート側の側方内部に設置するものに本発明を適用してもよい。