特開2019-178462(P2019-178462A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-178462(P2019-178462A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】頭蓋形状誘導ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/04 20060101AFI20190920BHJP
【FI】
   A42B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-69493(P2018-69493)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】500181588
【氏名又は名称】丸紅情報システムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510136312
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立成育医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 剛
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 信
(72)【発明者】
【氏名】高松 亜子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】平野 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】杉山 久幸
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA02
3B107CA03
3B107DA04
(57)【要約】
【課題】軽量で冷却性能に優れた頭蓋形状誘導ヘルメットを提供する。
【解決手段】頭蓋形状誘導ヘルメットのシェルは、前記シェルの内表面を形成する内側壁と、前記シェルの外表面を形成する外側壁と、前記内側壁と前記外側壁とによって前記シェルの内部に形成された中空部分と、前記中空部分と前記シェルの前記内表面とを連通するように前記内側壁に設けられた1又は複数の第1開口と、前記中空部分と前記シェルの側端面又は前記外表面とを連通する第2開口と、を備え、前記中空部分は、前記第1開口及び前記第2開口を通じて前記シェルの外部と前記中空部分との間における空気の流通を可能とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋の変形を矯正するように頭蓋形状を誘導するためのヘルメットであって、
前記ヘルメットのシェルは、
前記シェルの内表面を形成する内側壁と、
前記シェルの外表面を形成する外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁とによって前記シェルの内部に形成された中空部分と、
前記中空部分と前記シェルの前記内表面とを連通するように前記内側壁に設けられた1又は複数の第1開口と、
前記中空部分と前記シェルの側端面又は前記外表面とを連通する第2開口と、
を備え、
前記中空部分は、前記第1開口及び前記第2開口を通じて前記シェルの外部と前記中空部分との間における空気の流通を可能とする、
頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項2】
前記シェルの頭頂部に前記内表面から前記外表面まで貫通する第1貫通孔を備える、請求項1に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項3】
前記第2開口は前記第1貫通孔の側面に開口する、請求項2に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項4】
前記シェルは、前記内側壁と前記外側壁との間に、前記第1貫通孔から放射方向に延びる複数のリブを備える、請求項3に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項5】
前記リブによって前記中空部分が複数の区画に分割され、前記中空部分の各区画は、区画毎にそれぞれ別個に空気が前記放射方向に沿って流通することを可能にする、請求項4に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項6】
前記シェルは、前記内側壁と前記外側壁との間に複数の島状リブを備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項7】
前記シェルは、前記内表面から前記外表面まで貫通するが前記中空部分には連通しない複数の第2貫通孔を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項8】
前記シェルは、前側シェルと後側シェルとから構成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項9】
前記前側シェルと前記後側シェルの少なくとも一方は、前記前側シェルと前記後側シェルを互いに前後方向にスライド移動可能とするための、前後方向に長い長穴を有する、請求項8に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【請求項10】
ボルト又は面ファスナーを用いて前記前側シェルと前記後側シェルを相互に固定可能に構成される、請求項8又は請求項9に記載の頭蓋形状誘導ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭蓋の変形を矯正するように頭蓋形状を誘導するための頭蓋形状誘導ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
乳児期の外圧による頭蓋変形には、斜頭症、短頭症、長頭症がある。斜頭症の典型例は、一側の後頭部の平坦化であるが、更に進行すると同側の耳介の前方移動、前頭の突出、さらには頬部の突出といった顔面の非対称を呈する。両側性では短頭となる。
【0003】
外圧による頭蓋変形の原因は、出生前と出生後に大別される。前者は、子宮内における持続的外圧であり、このリスク因子として骨盤位、横位、多胎、児頭の骨盤腔内への早期下降などが知られている。後者の多くは向き癖によるものである。向き癖を生じる原疾患として明らかなものに、筋性斜頸と肢体不自由児での頸部の運動制限があげられる。
【0004】
そして、非頭蓋縫合早期癒合による中等度から重度の変形性斜頭または短頭を有する生後3ヶ月から18ヶ月までの月齢の早い時期の乳児に、この治療として、乳児の頭蓋に頭蓋変形矯正ヘルメットを被嵌して、頭蓋の成長を変形が矯正される方向に誘導する治療様式が採用されている。下記に、複数の通気用貫通孔を持つ非発泡合成樹脂製外側シェルとこのシェルの内側に発泡合成樹脂製ライナーを持つ頭蓋変形矯正ヘルメットの特許文献を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−169510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の乳児頭蓋変形矯正用の形状誘導ヘルメットは、シェルに矯正力を求める余りに、その重量が200g〜300gと高重量となり、この時期の乳児にとって、頸部への高重量の負担は好ましくない。また、本治療方法は米国が本場であり、概ね夏期においては湿度が低くことさら大きな問題とはならないが、当該治療方法を我が国をはじめ、東南アジア諸国にて施療するためには、夏期における患者頭部の炎症に関する対策が必須となる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、軽量で冷却性能に優れた頭蓋形状誘導ヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、頭蓋の変形を矯正するように頭蓋形状を誘導するためのヘルメットであって、前記ヘルメットのシェルは、前記シェルの内表面を形成する内側壁と、前記シェルの外表面を形成する外側壁と、前記内側壁と前記外側壁とによって前記シェルの内部に形成された中空部分と、前記中空部分と前記シェルの前記内表面とを連通するように前記内側壁に設けられた1又は複数の第1開口と、前記中空部分と前記シェルの側端面又は前記外表面とを連通する第2開口と、を備え、前記中空部分は、前記第1開口及び前記第2開口を通じて前記シェルの外部と前記中空部分との間における空気の流通を可能とする、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記シェルの頭頂部に前記内表面から前記外表面まで貫通する第1貫通孔を備える、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第2開口は前記第1貫通孔の側面に開口する、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記シェルは、前記内側壁と前記外側壁との間に、前記第1貫通孔から放射方向に延びる複数のリブを備える、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記リブによって前記中空部分が複数の区画に分割され、前記中空部分の各区画は、区画毎にそれぞれ別個に空気が前記放射方向に沿って流通することを可能にする、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記シェルは、前記内側壁と前記外側壁との間に複数の島状リブを備える、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記シェルは、前記内表面から前記外表面まで貫通するが前記中空部分には連通しない複数の第2貫通孔を備える、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記シェルは、前側シェルと後側シェルとから構成される、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記前側シェルと前記後側シェルの少なくとも一方は、前記前側シェルと前記後側シェルを互いに前後方向にスライド移動可能とするための、前後方向に長い長穴を有する、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、ボルト又は面ファスナーを用いて前記前側シェルと前記後側シェルを相互に固定可能に構成される、頭蓋形状誘導ヘルメットである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軽量で冷却性能に優れた頭蓋形状誘導ヘルメットが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】頭蓋形状誘導ヘルメット100の正面図である。
図1B】頭蓋形状誘導ヘルメット100の右側面図である。
図1C】頭蓋形状誘導ヘルメット100の上面図である。
図1D】頭蓋形状誘導ヘルメット100の背面図である。
図1E】頭蓋形状誘導ヘルメット100の下面図である。
図1F】頭蓋形状誘導ヘルメット100の斜視図である。
図2】シェル110の詳細構造を示す模式的な断面図である。
図3】シェル110の貫通孔152付近の拡大図である。
図4】シェル110の詳細構造を示す模式的な断面図である。
図5A】前側シェル120におけるリブ260の配置を示す図である。
図5B】後側シェル130におけるリブ260の配置を示す図である。
図6】島状のリブ265を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0021】
図1Aから図1Fは、本発明の一実施形態に係る頭蓋形状誘導ヘルメット100の全体的な構成を示す図である。図1A図1B図1C図1D図1E、及び図1Fは、それぞれ頭蓋形状誘導ヘルメット100の正面図、右側面図、上面図、背面図、下面図、斜視図を示す。
【0022】
頭蓋形状誘導ヘルメット100は、前側シェル120と後側シェル130からなるシェル110を備える。前側シェル120は、ヘルメット100の装着時に装着者のおおよそ前頭部から側頭部までを覆う部分である。後側シェル130は、ヘルメット100の装着時に主に装着者の後頭部を覆う部分である。前側シェル120と後側シェル130は、組み合わせられることによってシェル110を構成する。前側シェル120の後端部122は、後側シェル130の前端部に乗り上げるようにして重なっている。前側シェル120の後端部122には、ヘルメット100の前後方向に長く伸びた長穴142が設けられている。長穴142と重なる後側シェル130の前端部には、丸穴144が設けられている。前側シェル120の長穴142と後側シェル130の丸穴144には不図示のボルトが挿通され、このボルトと不図示のナットを用いて前側シェル120と後側シェル130を締結することによって、前側シェル120と後側シェル130は一体のシェル110として固定される。長穴142を利用して前側シェル120と後側シェル130を相互に対してスライド移動させることで、前側シェル120と後側シェル130を長穴142の大きさの範囲で任意の所望の相対位置に固定することもできる。これにより、シェル110の内容積を可変とすることができる。例えば、頭蓋形状誘導ヘルメット100を最初に装着する際には、締結具(ボルト及びナット)を緩めた状態でシェル110を装着者の頭に被せ、前側シェル120と後側シェル130を前後にスライド移動させながらシェル110が装着者の頭にぴったりフィットするように位置決めをした後に、締結具を締めて前側シェル120と後側シェル130を相互に固定するとよい。装着者である乳児の頭蓋が成長により大きくなった時は、再び締結具を緩めて同様の作業を行うことで、シェル110が頭にフィットした状態を長期間にわたって維持することができる。なお、前側シェル120と後側シェル130の固定には、面ファスナーを用いてもよい。
【0023】
シェル110は、そのトップ部(頭蓋形状誘導ヘルメット100を装着した時に装着者の頭頂部に当たる部分)に貫通孔152を有する。貫通孔152は、前側シェル120の側の半円部分と後側シェル130の側の半円部分からなり、前側シェル120と後側シェル130をシェル110として一体化させた状態において全体としてほぼ円形の形状である。更に、前側シェル120と後側シェル130は、装着者の前頭部、側頭部、及び後頭部に対応する部分に適宜の間隔で配置された複数の貫通孔154を有する。貫通孔152及び154は、ヘルメット100の装着者の頭からの熱や汗を発散させるための通気孔として作用する。
【0024】
シェル110は、更に複数の第1開口240及び複数の第2開口250を備えるが、これについては図2を参照して後述する。
【0025】
頭蓋形状誘導ヘルメット100は更に、シェル110の内側に、ヘルメット100の装着者の頭と直接接する不図示のライナー(内張り)を備えてもよい。例えば、ライナーは、シェル110の内表面に沿った形状を有し、適宜の手段を用いてシェル110の内表面に対して貼着、接着、又は他の方法で固定される。ライナーの材質としては、例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリエチレンなどの発泡樹脂を適用することが好適である。
【0026】
図2は、シェル110の詳細構造を示す模式的な断面図である。図2では特に前側シェル120の構造に焦点を当てており、後側シェル130の大部分については図示を省略しているが、後側シェル130も前側シェル120と同様の構造を有している。図示されるように、シェル110は、内側壁210と外側壁220からなる二重壁構造として構成される。内側壁210は、シェル110の内表面110aを形成し、外側壁220は、シェル110の外表面110bを形成する。シェル110の内表面110aは、シェル110の内側を向いた面、即ち頭蓋形状誘導ヘルメット100の装着時に装着者の頭Hと対向する面である。シェル110の外表面110bは、シェル110の外側を向いた面である。シェル110の内側壁210と外側壁220は所定の距離だけ離隔して配置され、これによりシェル110の内部には、内側壁210と外側壁220とによって挟まれた中空部分230が形成されている。中空部分230は、後述するリブ260の部分を除いて、シェル110内部のほぼ全体にわたって広がっている。このように中空部分230がシェル110内部に存在するため、シェル110は非常に軽量であり、したがって乳児の月齢の早い時点から頭蓋形状誘導ヘルメット100を使用することが可能である。
【0027】
内側壁210には、複数の第1開口240が設けられている。第1開口240は、シェル110の中空部分230と内表面110aとを連通する。これにより、複数の第1開口240の各々を介して、シェル110内部の中空部分230からシェル110の外部(ヘルメット100の装着者の頭Hの側)へ、又はその逆に装着者の頭H側からシェル110内部の中空部分230へ、空気が流通することが可能である。また、シェル110のトップ部の上述した貫通孔152の側面152aには、複数の第2開口250が設けられている。なお図2は断面図であるため1つの第2開口250のみを示す。図3はシェル110の貫通孔152付近の拡大図であり、第2開口250が複数設けられていることを明瞭に示す。図2に戻り、第2開口250は、シェル110の中空部分230とシェル110の貫通孔152の側面152aとを連通する。これにより、複数の第2開口250の各々を介して、シェル110内部の中空部分230からシェル110の貫通孔152へ、又はその逆にシェル110の貫通孔152からシェル110内部の中空部分230へ、空気が流通することが可能である。
【0028】
このように、シェル110の中空部分230は、第1開口240及び第2開口250によって、それぞれシェル110の内表面110aとシェル110の貫通孔152の側面152aへ連通している。したがって、図2中に矢印で示されるように、空気が第2開口250を介してシェル110の貫通孔152側から中空部分230へ流れ込み、流れ込んだ空気が中空部分230を通ってシェル110の内表面110aの第1開口240からヘルメット装着者の頭側へ流れ出すことができる。あるいはその逆に、空気がシェル110の第1開口240、中空部分230、及び第2開口250を順に通り、ヘルメット装着者の頭側からシェル110の貫通孔152側へ流れることができる。これにより、頭蓋形状誘導ヘルメット100を装着した装着者の頭の周りの通気・換気が増進され、ヘルメット装着者の頭から発した熱や汗をより一層効率的に発散させることができる。
【0029】
更に、不図示のアタッチメントをシェル110の貫通孔152に取り付けると共に、当該アタッチメントに連結された不図示の送風機からの空気を貫通孔152の側面152aの第2開口250から中空部分230へ送り込む、又は、当該アタッチメントに連結された不図示の吸引機を用いて、第2開口250を介して中空部分230から空気を吸引するようにするとよい。これにより、ヘルメット装着者の頭の周りの通気・換気を更に増進することができる。なお、送風機/吸引機の荷重がヘルメット装着者にかからないようにするために、送風機/吸引機は柔軟に曲げることが可能なホース等を用いてアタッチメントに連結し、送風機/吸引機自体は例えば床などに設置することとするのが好適である。
【0030】
シェル110の中空部分230は、1つの連続した空間として形成されてもよいし、あるいは次に説明するように、複数の区画に分割されていてもよい。
【0031】
図4は、シェル110の詳細構造を示す模式的な断面図であり、図2の断面に対してほぼ直角な断面を示す。したがって図2に矢印で示された空気の流通方向は、図4においては紙面に垂直な方向に対応する。図4に示されるように、シェル110は、内側壁210と外側壁220との間に、内側壁210と外側壁220を連結するリブ260を備える。リブ260は、内側壁210と外側壁220の間隔を一定に維持してシェル110の二重壁構造を補強すると共に、シェル110の中空部分を複数の区画された中空部分235に分割する。
【0032】
図5A及び図5Bは、それぞれ前側シェル120と後側シェル130におけるリブ260の配置を示す図である。図中に点線で示されるように、各リブ260は、シェル110のトップ部の貫通孔152からシェル110の下端までにわたって放射方向に延びるように設けられている。したがって、シェル110内部の複数に区画された中空部分235の各々も、シェル110のトップ部の貫通孔152側から放射方向に長く伸びた形状を有するように形成される。これにより、空気は区画された各中空部分235の中をそれぞれ別個に(即ちある1つの区画から隣の区画へ空気が漏れることなく)、貫通孔152を中心とした放射方向に流通する。
【0033】
なお、リブ260は、前側シェル120及び後側シェル130にそれぞれ適宜の間隔で配置されている複数の貫通孔154を取り囲むようにして設けられている。そのため、複数の区画された各中空部分235は貫通孔154とは連通しておらず、したがって区画された各中空部分235の中を流れる空気は、貫通孔154からは漏れ出すことがない。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【0035】
第1の変形例として、第2開口250は、シェル110の外表面110bに開口して設けられてもよい。
【0036】
第2の変形例として、貫通孔152から放射方向に延びるリブ260に代えて、又はリブ260と共に、図6に示されるような島状のリブ265が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0037】
100 頭蓋形状誘導ヘルメット
110 シェル
120 前側シェル
130 後側シェル
142 長穴
144 丸穴
152 貫通孔
154 貫通孔
210 内側壁
220 外側壁
230 中空部分
235 区画された中空部分
240 第1開口
250 第2開口
260 リブ
265 島状リブ
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6