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特開2019-178818液冷却装置および液冷却システムのメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-178818(P2019-178818A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】液冷却装置および液冷却システムのメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20190920BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20190920BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20190920BHJP
   F28G 9/00 20060101ALI20190920BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   F25B1/00 391
   F25B1/00 399Y
   F25B39/04 V
   F25B39/02 M
   F28G9/00 M
   B23Q11/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-68911(P2018-68911)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】仲田 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 剛
(57)【要約】
【課題】凝縮器のメンテナンスが容易に行える液冷却装置を提案する。
【解決手段】液冷却装置は、圧縮機(1)と凝縮器(3)と電動膨脹弁(EV)と蒸発器(4)とが環状に接続された冷媒回路と、冷媒回路の冷媒循環方向を正サイクルから逆サイクルに切り換える四路切換弁(2)と、冷媒回路と四路切換弁(2)を制御する制御装置(20)と、冷媒回路と四路切換弁(2)および制御装置(20)が収容された筐体(11)とを備える。凝縮器(3)を筐体(11)に着脱可能に取り付けている。冷媒回路は、凝縮器(3)と接続される冷媒管を閉鎖する閉鎖弁(V1,V2)を筐体(11)側に有する。制御装置(20)は、凝縮器(3)を筐体(11)から取り外す前に、四路切換弁(2)と冷媒回路を制御して、冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換えた後、圧縮機(1)を起動させて蒸発器(4)側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(1)と凝縮器(3)と減圧機構(EV)と蒸発器(4,204)とが環状に接続された冷媒回路と、
上記冷媒回路の冷媒循環方向を正サイクルから逆サイクルに切り換える四路切換弁(2)と、
上記冷媒回路と上記四路切換弁(2)を制御する制御装置(20)と、
上記冷媒回路と上記四路切換弁(2)および上記制御装置(20)が収容された筐体(11,211)と
を備え、
上記凝縮器(3)は、上記筐体(11,211)に着脱可能に取り付けられており、
上記冷媒回路は、上記凝縮器(3)と接続される冷媒管を閉鎖する閉鎖部(V1,V2)を上記筐体(11,211)側に有し、
上記制御装置(20)は、上記凝縮器(3)を上記筐体(11,211)から取り外す前に、上記四路切換弁(2)と上記冷媒回路を制御して、上記冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換えた後、上記圧縮機(1)を起動させて上記蒸発器(4,204)側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行うことを特徴とする液冷却装置(10,210)。
【請求項2】
請求項1に記載の液冷却装置(10,210)において、
上記蒸発器(4,204)で熱交換される液を循環経路を介して循環させる液ポンプ(P)を備え、
上記ポンプダウン運転時に上記液ポンプ(P)を動作させることを特徴とする液冷却装置(10,210)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液冷却装置(210)において、
上記蒸発器(204)で熱交換される液が循環する液タンク(T)に配設され、上記液タンク内の液を攪拌する液攪拌部(7)を備え、
上記制御装置(20)は、上記液攪拌部(7)を制御して、上記ポンプダウン運転時に上記液攪拌部(7)を動作させることを特徴とする液冷却装置(210)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載された液冷却装置(10,210)を備えた液冷却システムのメンテナンス方法であって、
上記制御装置(20)により上記蒸発器(4,204)側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行うステップと、
上記ポンプダウン運転後に、上記閉鎖部(V1,V2)を閉じて上記凝縮器(3)を上記筐体(11,211)から取り外すステップと、
上記筐体(11,211)から取り外された上記凝縮器(3)を洗浄するステップと、
洗浄後の上記凝縮器(3)を上記筐体(11,211)に取り付けて上記閉鎖部(V1,V2)を開くステップと
を有することを特徴とする液冷却システムのメンテナンス方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液冷却システムのメンテナンス方法において、
上記蒸発器(4,204)で熱交換される液を循環経路を介して循環させる液ポンプ(P)を備え、
上記ポンプダウン運転を行うステップの前に、上記四路切換弁(2)を上記冷媒回路の冷媒循環方向が正サイクルになるようにした状態で、上記液ポンプ(P)を動作させて、上記循環経路を流れる液を上記蒸発器(4,204)で予め冷却するステップを有し、
上記ポンプダウン運転を行うステップにおいて、上記液ポンプ(P)を動作させて上記循環経路を流れる液の冷熱を上記蒸発器(4,204)における冷媒の凝縮に利用することを特徴とする液冷却システムのメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液冷却装置としては、圧縮機と凝縮器と膨脹弁と蒸発器とが環状に接続された冷媒回路と、凝縮器に空気を供給する送風ファンとを備え、工作機械などの研削液や潤滑油(以下「工作液」という)を蒸発器により冷却するものがある(例えば、特開2015−68524号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−68524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液冷却装置では、工作機械などの主機の研削液や潤滑油を冷却するのに用いられる場合、フィルタを凝縮器の前面に配置して、オイルミストや粉塵を捕獲することで凝縮器への付着を防止している。
【0005】
上記液冷却装置では、フィルタの捕獲性能を上げると、圧力損失が大きくなって冷却性能が低下してしまうため、フィルタの網目を細かくすることができず、凝縮器にもオイルミストや粉塵が付着する。このため、上記液冷却装置では、容易に取り外し洗浄が可能なフィルタだけでなく、凝縮器も定期的に洗浄が必要となる。

このような液冷却装置では、フィルタの目詰まりが始まると加速的に進むため、フィルタや凝縮器の洗浄サイクルが非常に短くなる。
【0006】
上記液冷却装置では、凝縮器の洗浄時には据付場所から装置全体を取り外す必要があるため、メンテナンスに時間がかかり、この間、主機を運転できないため、主機の稼働率も低下してしまう。
【0007】
本開示では、凝縮器のメンテナンスが容易に行える液冷却装置および液冷却システムのメンテナンス方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の液冷却装置は、
圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とが環状に接続された冷媒回路と、
上記冷媒回路の冷媒循環方向を正サイクルから逆サイクルに切り換える四路切換弁と、
上記冷媒回路と上記四路切換弁を制御する制御装置と、
上記冷媒回路と上記四路切換弁および上記制御装置が収容された筐体と
を備え、
上記凝縮器は、上記筐体に着脱可能に取り付けられており、
上記冷媒回路は、上記凝縮器と接続される冷媒管を閉鎖する閉鎖部を上記筐体側に有し、
上記制御装置は、上記凝縮器を上記筐体から取り外す前に、上記四路切換弁と上記冷媒回路を制御して、上記冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換えた後、上記圧縮機を起動させて上記蒸発器側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行うことを特徴とする。
【0009】
本開示によれば、凝縮器を筐体から取り外す前に、制御装置により四路切換弁と冷媒回路を制御して、冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換えた後、圧縮機を起動させて蒸発器側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行うことによって、凝縮器内に冷媒が無い状態で凝縮器を筐体から取り外すことが可能となり、凝縮器のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0010】
また、本開示の1つの態様に係る液冷却装置では、
上記蒸発器で熱交換される液を循環経路を介して循環させる液ポンプを備え、
上記ポンプダウン運転時に上記液ポンプを動作させる。
【0011】
本開示によれば、ポンプダウン運転時に液ポンプを動作させて、蒸発器で熱交換される液を循環経路を介して循環させることにより、循環経路を流れる液の冷熱を蒸発器に回収される冷媒の凝縮に利用でき、ポンプダウン運転の時間を短縮できる。
【0012】
また、本開示の1つの態様に係る液冷却装置では、
上記蒸発器で熱交換される液が循環する液タンクに配設され、上記液タンク内の液を攪拌する液攪拌部を備え、
上記制御装置は、上記液攪拌部を制御して、上記ポンプダウン運転時に上記液攪拌部を動作させる。
【0013】
本開示によれば、制御装置により液攪拌部を制御して、ポンプダウン運転時に液攪拌部を動作させて、蒸発器で熱交換される液が循環する液タンク内の液を攪拌することにより、循環経路を流れる液の冷熱を蒸発器における冷媒の凝縮に効率よく利用できる。
【0014】
また、本開示の液冷却システムのメンテナンス方法は、
上記のいずれか1つに記載された液冷却装置を備えた液冷却システムのメンテナンス方法であって、
上記制御装置により上記蒸発器側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行うステップと、
上記ポンプダウン運転後に、上記閉鎖部を閉じて上記凝縮器を上記筐体から取り外すステップと、
上記筐体から取り外された上記凝縮器を洗浄するステップと、
洗浄後の上記凝縮器を上記筐体に取り付けて上記閉鎖部を開くステップと
を有することを特徴とする。
【0015】
本開示によれば、制御装置により蒸発器側に冷媒を溜めるポンプダウン運転後に、閉鎖部を閉じて凝縮器を筐体から取り外し、外された凝縮器を洗浄して、洗浄後の凝縮器を筐体に取り付けて閉鎖部を開くことによって、凝縮器のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0016】
また、本開示の1つの態様に係る液冷却システムのメンテナンス方法では、
上記蒸発器で熱交換される液を循環経路を介して循環させる液ポンプを備え、
上記ポンプダウン運転を行うステップの前に、上記四路切換弁を上記冷媒回路の冷媒循環方向が正サイクルになるようにした状態で、上記液ポンプを動作させて、上記循環経路を流れる液を上記蒸発器で予め冷却するステップを有し、
上記ポンプダウン運転を行うステップにおいて、上記液ポンプを動作させて上記循環経路を流れる液の冷熱を上記蒸発器における冷媒の凝縮に利用する。
【0017】
本開示によれば、ポンプダウン運転時に液ポンプを動作させて、蒸発器で熱交換される液を循環経路を介して循環させることにより、循環経路を流れる液の冷熱を蒸発器に回収される冷媒の凝縮に利用でき、ポンプダウン運転の時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の第1実施形態の液冷却装置の概略構成図である。
図2】上記液冷却装置の斜視図である。
図3】凝縮器を外した状態の液冷却装置の斜視図である。
図4】上記液冷却装置の制御装置の動作および洗浄作業を説明するフローチャートである。
図5】上記制御装置の工作液の冷却運転の動作を説明するフローチャートである。
図6】上記制御装置のポンプダウン運転の動作を説明するフローチャートである。
図7】本開示の第2実施形態の液冷却装置の概略構成図である。
図8】上記液冷却装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は本開示の第1実施形態の液冷却装置10の概略構成図である。この液冷却装置10は、工作機械100の工作液を油タンクTを介して循環させながら工作液を冷却する。油タンクTは、液タンクの一例である。
【0021】
この第1実施形態の液冷却装置10は、図1に示すように、圧縮機1と凝縮器3と電動膨脹弁EVと蒸発器4が環状に接続された冷媒回路と、冷媒回路の冷媒循環方向を正サイクルから逆サイクルに切り換える四路切換弁2と、凝縮器3に空気を供給する送風ファン6と、冷媒回路と四路切換弁2および送風ファン6を制御する制御装置20とを備えている。電動膨脹弁EVは、減圧機構の一例である。
【0022】
上記圧縮機1の吐出側を四路切換弁2の第1ポート2aに接続している。四路切換弁2の第2ポート2bを、閉鎖弁V1と配管接続部15を介して凝縮器3の一端に接続している。凝縮器3の他端を、配管接続部16と閉鎖弁V2を介して電動膨脹弁EVの一端に接続している。閉鎖弁V1,V2は、閉鎖部の一例である。
【0023】
また、電動膨脹弁EVの他端を蒸発器4の一端4aに接続している。また、蒸発器4の他端4bを四路切換弁2の第3ポート2cに接続している。さらに、四路切換弁2の第4ポート2dをアキュムレータ5を介して圧縮機1の吸入側に接続している。
【0024】
また、油タンクT内の工作液に一端が浸漬された配管L1の他端を、蒸発器4の流入ポート4cに接続している。配管L1に循環ポンプPが配設されている。この循環ポンプPは、液ポンプの一例である。
【0025】
また、蒸発器4の流出ポート4dに配管L2の一端が接続され、配管L2の他端が工作機械100に接続されている。
【0026】
上記油タンクTと配管L1と蒸発器4と配管L2と工作機械100および配管L3で、工作液が循環する循環経路を構成している。
【0027】
上記液冷却装置10および循環経路で液冷却システムを構成している。なお、この第1実施形態では、液冷却装置10に循環ポンプP(液ポンプ)を備えたが、液冷却装置とは別に液ポンプを備えて、液冷却装置と液ポンプおよび循環経路で液冷却システムを構成してもよい。
【0028】
図2は上記液冷却装置10の斜視図である。液冷却装置10は、図2に示すように、縦長の直方体形状の筐体11を備えている。この筐体11の一方の側面に吸込口12を設け、吸込口12に網状のフィルタ13を取り付けている。図2において、14は吹出口である。
【0029】
また、図3は凝縮器3を外した状態の液冷却装置10の斜視図である。図3では、吸込口12の網状のフィルタ13は取り外されている。また、図3において、31は凝縮器3に設けられた把手である。
【0030】
図3に示すように、凝縮器3は、筐体11に着脱可能に取り付けられている。凝縮器3と接続される冷媒管を閉鎖する閉鎖弁V1,V2(閉鎖部)を筐体11側に有し、ポンプダウン運転により蒸発器4に冷媒を回収した後に閉鎖弁V1,V2を閉鎖することで、凝縮器3を筐体11から外すことが可能になる。
【0031】
この場合、凝縮器3は、冷媒が入っていない状態であり、圧力容器として扱う必要がなく、取り扱いが容易になる。
【0032】
上記液冷却装置10の工作液の冷却運転において、圧縮機1から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁2を介して凝縮器3に流入し、凝縮器3で外気と熱交換されて凝縮することにより液冷媒となる。次に、電動膨脹弁EVにおいて減圧された液冷媒は、蒸発器4に流入して工作液と熱交換されて蒸発することにより低圧のガス冷媒となり、アキュムレータ5を介して圧縮機1の吸入側に戻る。これにより、蒸発器4において、工作液が冷却される。この工作液の冷却運転では、制御装置20は、工作液の温度や室内温度などに基づいて、圧縮機1の回転周波数や電動膨脹弁EVの開度を制御する。
【0033】
次に、液冷却装置10を備えた液冷却システムのメンテナンス方法について図4図6に従って説明する。
【0034】
図4は上記液冷却装置10の制御装置20の動作および洗浄作業を説明するフローチャートである。図4では、凝縮器3のメンテナンスにおける制御装置20の動作を左側に示し、作業の内容を右側に示している。
【0035】
まず、作業者による操作によって、図4に示すように、制御装置20は、ステップS1において工作液の冷却運転を行う。これにより、ポンプダウン運転を行う前に工作液の温度を予め下げておく。この場合、主機である工作機械100は停止状態とする。
【0036】
次に、ステップS2に進み、循環ポンプPを運転する。これにより、油タンクT内の工作液が、配管L1と蒸発器4と配管L2と工作機械100および配管L3を介して循環する。
【0037】
次に、ステップS3に進み、ポンプダウン運転を行う。これにより、冷媒回路内の冷媒を蒸発器4に回収する。
【0038】
ポンプダウン運転の終了後、ステップS4に進み、循環ポンプPを停止する。
【0039】
<作業>
そして、ステップS11で、作業者は、配管接続部15,16を外すことにより、凝縮器3を筐体11から取り外す。ここで、閉鎖弁V1,V2は、ステップS3のポンプダウン運転において閉鎖される。
【0040】
そうして、ステップS12で、外された凝縮器3を洗浄する。
【0041】
次に、洗浄後の凝縮器3を筐体11に取り付ける。このとき、配管接続部15,16を介して凝縮器3が冷媒回路に接続される。
【0042】
次に、閉鎖弁V1,V2を全開にする。これにより、凝縮器3の洗浄が終了する。なお、凝縮器3の洗浄と同様に、外したフィルタ13も洗浄する。
【0043】
図5図4に示すステップS1の工作液の冷却運転の動作を説明するフローチャートである。
【0044】
工作液の冷却運転の処理がスタートすると、ステップS21で圧縮機1の運転を開始する。
【0045】
次に、ステップS22に進み、循環ポンプPを運転する。
【0046】
次に、ステップS23に進み、蒸発器4の温度や工作液の温度などに応じて電動膨脹弁EVの開度を制御する。
【0047】
次に、ステップS24に進み、工作液の温度が所定温度t1(例えば10℃)以下になったと判断すると、ステップS25に進む一方、工作液の温度が所定温度t1(例えば10℃)よりも高いと判断すると、ステップS23に戻り、ステップS23,S24を繰り返す。
【0048】
そして、ステップS25では、圧縮機1を停止する。
【0049】
次に、ステップS26に進み、循環ポンプPを停止して、工作液の冷却運転の処理を終了する。
【0050】
また、図6図4に示すステップS3のポンプダウン運転の動作を説明するフローチャートである。
【0051】
ポンプダウン運転の処理がスタートすると、ステップS31で四路切換弁2のコイルを励磁して、冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換える。
【0052】
次に、ステップS32に進み、電動膨脹弁EVを全閉にする。
【0053】
次に、ステップS33に進み、圧縮機1の運転を開始する。これにより、冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになって、蒸発器4に冷媒が溜まって蒸発器4で凝縮された液冷媒が回収される。
【0054】
次に、ステップS34に進み、圧縮機1の運転開始から所定時間が経過したと判断すると、ステップS35に進む一方、圧縮機1の運転開始から所定時間が経過していないと判断すると、ステップS34を繰り返す。
【0055】
そして、ステップS36では、圧縮機1を停止する。
【0056】
次に、ステップS37に進み、四路切換弁2のコイルを非励磁にして復帰させる。すなわち、冷媒回路の冷媒循環方向が正サイクルになるように、四路切換弁2を切り換える。
【0057】
<作業>
そして、ステップS40で、ステップS33の圧縮機1の運転開始から冷媒回収が完了して所定時間が経過するまでに、作業者は閉鎖弁V1,V2を閉じる。
【0058】
この第1実施形態では、ポンプダウン運転の終了を、圧縮機1の運転開始から所定時間が経過した時点としたが、ポンプダウン運転の終了は、外気温度や蒸発器4の温度などに基づいてポンプダウン運転を終了するようにしてもよい。
【0059】
上記構成の液冷却装置10および液冷却システムのメンテナンス方法によれば、凝縮器3を筐体11から取り外す前に、制御装置20により四路切換弁2と冷媒回路(圧縮機1,電動膨脹弁EV)を制御して、冷媒回路の冷媒循環方向が逆サイクルになるように切り換えた後、圧縮機1を起動させて蒸発器4側に冷媒を溜めるポンプダウン運転を行う。これによって、凝縮器3内に冷媒が無い状態で凝縮器3を筐体11から取り外すことが可能となり、凝縮器3の取り扱いが容易で洗浄が容易にできる。したがって、凝縮器3のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0060】
また、フィルタ13や凝縮器3の洗浄時に据付場所から装置全体を取り外す必要がなく、メンテナンス時間を大幅に短縮でき、主機の稼働率を向上できる。
【0061】
従来の液冷却装置では、四路切換弁を備えていないため、凝縮器を取り外して洗浄しようとすると、ポンプダウン運転により凝縮器に冷媒が回収されることになり、高圧容器の取り扱いが容易でなく、作業性が悪いという問題がある。これに対して、第1実施形態の液冷却装置10では、圧力容器として扱う必要がなく、取り扱いが容易になり、作業性が向上する。
【0062】
また、ポンプダウン運転時に循環ポンプP(液ポンプ)を動作させて、蒸発器4で熱交換される工作液を循環経路を介して循環させることにより、循環経路を流れる工作液の冷熱を蒸発器4に回収される冷媒の凝縮に利用でき、ポンプダウン運転の時間を短縮できる。
【0063】
上記第1実施形態の工作機械100としては、NC旋盤、研削盤、NC専用機等の工作機械、成形機、プレス機等の産業機械である。
【0064】
〔第2実施形態〕
図7は本開示の第2実施形態の液冷却装置210の概略構成図である。この第2実施形態の液冷却装置210は、蒸発器204を除いて第1実施形態の液冷却装置10と同一の構成をしている。
【0065】
この第2実施形態の液冷却装置210は、図7に示すように、油タンクT内の工作液に浸漬された蒸発器204と、蒸発器204を備えている。
【0066】
蒸発器204は、液冷却装置210の筐体211の底面の下方に配置されており、上下方向に沿ってコイル状に形成されている。また、筐体211の下側には、油タンクT内の工作液を攪拌するための攪拌装置7が取り付けられている。攪拌装置7は、筐体211内に固定されたモータ7aと、モータ7aから下方に向かって延びる軸部7bと、軸部7bの先端に固定された攪拌翼7cとを有する。攪拌装置7は、液攪拌部の一例である。
【0067】
また、図8は上記液冷却装置210の斜視図である。液冷却装置210は、図8に示すように、蒸発器204が油タンクT内に溜められた工作液に浸漬される浸漬型の液冷却装置である。この液冷却装置では、油タンクT内において工作液が冷却される。筐体211は、縦長の略直方体形状をしており、筐体211の底面から下方に突出する複数の脚部215を有する。この筐体211の一方の側面に吸込口212を設け、吸込口212に網状のフィルタ213を取り付けている。図8において、214は吹出口である。
【0068】
油タンクTの上面には、蒸発器204を油タンクT内に挿入するための開口が設けられている。また、油タンクTには、循環ポンプPが設けられており、循環ポンプPを駆動することによって、工作機械100から排出された工作液が油タンクT内に供給され、再び冷却された工作液が工作機械に供給される。
【0069】
上記構成の液冷却装置210によれば、制御装置20によりポンプダウン運転時に制御装置20により攪拌装置7(液攪拌部)を動作させて、蒸発器204で熱交換される工作液が循環する油タンクT(液タンク)内の工作液を攪拌することにより、循環経路を流れる工作液の冷熱を蒸発器204に回収される冷媒の凝縮に効率よく利用できる。
【0070】
また、上記第2実施形態の液冷却装置210は、第1実施形態の液冷却装置10と同様の効果を有する。
【0071】
〔第3実施形態〕
本開示の第3実施形態の液冷却装置は、制御装置20の動作を除いて第1実施形態の液冷却装置と同一の構成をしている。また、この第2実施形態の液冷却装置を備えた液冷却システムのメンテナンス方法では、ポンプダウン運転を行う前に循環経路を流れる工作液を予め冷却するステップを有しない点で第1実施形態の液冷却システムのメンテナンス方法と相違する。
【0072】
上記第3実施形態の液冷却装置210は、第1実施形態の液冷却装置10と同様の効果を有する。
【0073】
上記第1〜第3実施形態では、工作機械100の工作液を油タンクTを介して循環させながら工作液を冷却する液冷却装置10,210について説明したが、蒸発器で熱交換されて冷却される液は、工作液に限らず、研削液や潤滑油以外の液体を冷却する液冷却装置にこの発明を適用してもよい。
【0074】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…圧縮機
2…四路切換弁
3…凝縮器
4,204…蒸発器
5…アキュムレータ
6…送風ファン
7…攪拌装置(液攪拌部)
10,210…液冷却装置
11,211…筐体
12,212…吸込口
13,213…フィルタ
14…吹出口
15,16…配管接続部(閉鎖部)
20…制御装置
100…工作機械
EV…電動膨脹弁
L1,L2,L3…配管
P…潤滑ポンプ(液ポンプ)
T…油タンク(液タンク)
V1,V2…閉鎖弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8