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特開2019-178823火力発電プラント、混焼ボイラ及びボイラの改造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-178823(P2019-178823A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】火力発電プラント、混焼ボイラ及びボイラの改造方法
(51)【国際特許分類】
   F23C 1/12 20060101AFI20190920BHJP
   F23J 7/00 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   F23C1/12
   F23C99/00 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-69227(P2018-69227)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
(72)【発明者】
【氏名】相木 英鋭
(72)【発明者】
【氏名】江守 大昌
(72)【発明者】
【氏名】北風 恒輔
【テーマコード(参考)】
3K065
3K091
【Fターム(参考)】
3K065BA01
3K065BA03
3K065BA06
3K065BA09
3K065GA17
3K065GA32
3K065QA01
3K065QB12
3K065QC00
3K065RA00
3K065SA00
3K065SA03
3K065SA05
3K065SA07
3K065SB02
3K065SB03
3K065SB06
3K065TA01
3K065TA05
3K065TB01
3K065TC01
3K065TC04
3K065TC10
3K065TD01
3K065TD04
3K065TD07
3K065TD09
3K065TD10
3K065TE02
3K065TE03
3K065TF02
3K065TF09
3K065TH10
3K091AA01
3K091AA20
3K091BB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にする。
【解決手段】混焼ボイラ2は、開口部を有する火炉壁20aを含む火炉20と、火炉壁20aの開口部に取り付けられるバーナユニット30と、火炉20内における燃焼ガスの流れ方向においてバーナユニット30の下流側に設けられる追加空気供給部33と、を備える炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラ2であって、バーナユニット30は、炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナ31と、アンモニア燃料を火炉20内に供給するためのアンモニア燃料供給ポートと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備える炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラであって、
前記バーナユニットは、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナと、
前記アンモニア燃料を前記火炉内に供給するためのアンモニア燃料供給ポートと、
を含む混焼ボイラ。
【請求項2】
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記バーナユニットのうち最上流側又は最下流側に位置する
請求項1に記載の混焼ボイラ。
【請求項3】
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記ボイラの稼働時に前記炭素含有燃料の供給を受けていない第2バーナの燃料噴射口又は空気ポートである
請求項1に記載の混焼ボイラ。
【請求項4】
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記火炉内に前記アンモニア燃料と空気とを供給するように構成された
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の混焼ボイラ。
【請求項5】
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記火炉内に前記アンモニア燃料のみを供給するように構成された
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の混焼ボイラ。
【請求項6】
前記火炉のうち前記アンモニア燃料供給ポートの設置位置と前記追加空気供給部の設置位置との間の部位の容積V[m]とし、前記火炉内の燃焼ガスの体積流量をF[m/sec]としたとき、前記アンモニア燃料供給ポートの設置位置はV/F≧1[sec]を満たすように設定された
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の混焼ボイラ。
【請求項7】
全燃料に対する前記アンモニア燃料のカロリー比が、10%以上30%以下である
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の混焼ボイラ。
【請求項8】
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備えた炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラであって、
前記バーナユニットは、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナと、
前記炭素含有燃料と前記アンモニア燃料とを選択的に切り替えて前記火炉内に供給可能な第3バーナと、
を含む混焼ボイラ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の混焼ボイラと、
前記混焼ボイラで生成された蒸気により駆動される蒸気タービンと、
を備えることを特徴とする火力発電プラント。
【請求項10】
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備えるボイラの改造方法であって、
前記バーナユニットは、
前記バーナユニットの最上流側に位置する上流側空気ポートと、
前記バーナユニットの最下流側に位置する下流側空気ポートと、
前記流れ方向において前記上流側空気ポートと前記下流側空気ポートとの間に位置する複数のバーナと、
を含み、
前記上流側空気ポート、前記下流側空気ポート、または、前記複数のバーナのうち前記ボイラの稼働時に炭素含有燃料が流れる第1バーナ以外の第2バーナに対して、アンモニア燃料供給ラインを接続するステップを備える
ボイラの改造方法。
【請求項11】
前記アンモニア燃料供給ラインを接続するステップでは、前記上流側空気ポート又は前記下流側空気ポートに前記アンモニア燃料供給ラインを接続する
ことを特徴とする請求項10に記載のボイラの改造方法。
【請求項12】
前記アンモニア燃料供給ラインを接続するステップでは、前記上流側空気ポートに前記アンモニア燃料供給ラインを接続する
ことを特徴とする請求項11に記載のボイラの改造方法。
【請求項13】
炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラの運転方法であって、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナには前記炭素含有燃料を供給し、
前記炭素含有燃料と前記アンモニア燃料とを選択的に切り替えて前記混焼ボイラの火炉内に供給可能な第3バーナから前記アンモニア燃料を供給するときは、前記第3バーナから前記炭素含有燃料を供給しない
混焼ボイラの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火力発電プラント、混焼ボイラ及びボイラの改造方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電プラントにおいては、地球環境への影響を考慮して、二酸化炭素排出量を削減することが課題となっており、化石燃料の消費量削減や化石燃料に代わるエネルギー資源への転換が図られている。このような低炭素社会に向けた環境に優しい新たなエネルギー資源として、炭素を含有しないため燃焼時に二酸化炭素を生じることがないアンモニア及び水素が注目されている。
【0003】
ところで、火力発電プラントにアンモニアを用いる技術として、特許文献1には化石燃料を燃焼させる複数のバーナと、これら複数のバーナの下流側で上記バーナでの不足分の燃焼用空気を火炉内に供給するアフタエアノズルを備え、最上段に位置するバーナと上記アフタエアノズルとの間において火炉内に還元剤としてのアンモニアを注入する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−93013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ボイラの火炉を構成する火炉壁は、一般に、内部に流体が流れる複数の火炉壁管とこれら複数の火炉壁管同士の間に配置されたフィンとを含んで構成される。このため、火炉壁を貫通するようにして新たに燃料や空気の供給ポートを接続する際は、流体の流れを阻害せずに該供給ポートを回避するように火炉壁管を屈曲させる必要があり、屈曲部を含む火炉壁管と入れえたり、上記供給ポート周辺における炉内外の気密性又は液密性を確保したりする必要があるため、改修工事が大掛かりとなる。この点、上記特許文献1に記載のボイラは、火炉内に還元剤としてアンモニアを供給するように構成されているが、アンモニアの供給ポートを設ける際における上記の問題について何ら対策が開示されていない。
また、アンモニアを燃料として火炉へ供給する際は、化石燃料等の炭素含有燃料と共に火炉内へアンモニアを供給する必要があるが、炭素含有燃料用のバーナは炭素含有燃料を効率的に燃焼させ得るように構成されており、このようなバーナをアンモニア供給用に用いる際には燃焼安定性低下への対策としてバーナの改造が必要となる。よって、この場合も改修工事が大掛かりになるという問題があった。
【0006】
上記事情に鑑み、本開示における幾つかの実施形態では、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る混焼ボイラは、
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備える炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラであって、
前記バーナユニットは、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナと、
前記アンモニア燃料を前記火炉内に供給するためのアンモニア燃料供給ポートと、
を含む。
【0008】
本発明者らの知見によれば、バーナユニットの下流側に追加空気供給部を備えた所謂2段燃焼ボイラにおいて、追加空気供給部よりも上流側の位置にアンモニア燃料を投入すれば、火炉内の還元雰囲気においてアンモニア燃料の窒素分がNに還元され、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出を抑制しつつ、NOx濃度の増加を抑制できる。
そして、上記(1)の構成によれば、既設のバーナユニットを改造したりバーナユニットを新設したりする際に、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ自体の設計変更を必要とせずにアンモニア燃料供給ポートから火炉内にアンモニア燃料を供給することができるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナの燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラでのNOx排出量を低減することができる。
なお、本明細書において、「アンモニア燃料」とは、アンモニアを含有する燃料をいい、アンモニアとともに他の成分(例えば水素、水分、窒素等)を含有していてもよい。
また、アンモニア燃料供給ポートは、ボイラの稼働時に実際に炭素含有燃料を供給している第1バーナ以外の噴射口又はポートであればよく、少なくとも一つの第1バーナのうちボイラの稼働時に炭素含有燃料の供給に用いない第1バーナをアンモニア燃料供給ポートとして用いてもよい。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記バーナユニットのうち最上流側又は最下流側に位置してもよい。
【0010】
上記(2)の構成により、アンモニア燃料供給ポートがバーナユニットの最上流側に配置された場合は、第1バーナから投入された炭素含有燃料の燃焼領域の下流側に形成される還元雰囲気を、燃焼ガスの流れ方向の上流から下流の全域に亘ってアンモニア燃料が通過するから、アンモニア燃料が還元雰囲気に晒される時間を十分に長く確保することができる。よって、未燃アンモニア及びNOxの排出をより効果的に低減することができる。一方、アンモニア燃料供給ポートがバーナユニットの最下流側に配置された場合は、火炉内に投入されたアンモニア燃料が燃焼ガスの流れに乗って下流側に案内されるから、流れに乗らずに炉底部に滞留したりすることを抑制することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記ボイラの稼働時に前記炭素含有燃料の供給を受けていない第2バーナの燃料噴射口又は空気ポートであってもよい。
【0012】
上記(3)の構成によれば、ボイラの稼働時に炭素含有燃料の供給を受けていない第2バーナの燃料噴射口又は空気ポートをアンモニア燃料供給ポートとして用いて火炉内にアンモニア燃料を供給することができる。つまり、炭素含有燃料を燃焼可能に構成された少なくとも一つの第1バーナのうち、ボイラの稼働時に炭素含有燃料の供給に用いていない第1バーナをアンモニア燃料供給用の第2バーナとして用いることで火炉内にアンモニア燃料を供給することができる。よって、既設の設備又は設計を有効に活用し、簡易な構成で、燃焼安定性を損なわずにNOx排出量を低減し得るアンモニア混焼ボイラを実現することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の構成において、
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記火炉内に前記アンモニア燃料と空気とを供給するように構成されてもよい。
【0014】
上記(4)の構成によれば、アンモニア燃料供給ポートからアンモニア燃料と空気とを供給することができる。これにより、例えば、アンモニア燃料供給ポートから供給するアンモニア燃料と空気との比率を必要に応じて調整することで、火炉内に投入する空気量の調整にアンモニア燃料供給ポートを用いることができるから、空気量調節の自由度の向上が図られる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の構成において、
前記アンモニア燃料供給ポートは、前記火炉内に前記アンモニア燃料のみを供給するように構成されてもよい。
【0016】
上記(5)の構成によれば、アンモニア燃料供給ポートからはアンモニア燃料のみ供給するように構成された混焼ボイラにおいて、上記(1)〜(3)の何れかで述べた効果を享受することができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れか1つに記載の構成において、
前記火炉のうち前記アンモニア燃料供給ポートの設置位置と前記追加空気供給部の設置位置との間の部位の容積V[m]とし、前記火炉内の燃焼ガスの体積流量をF[m/sec]としたとき、前記アンモニア燃料供給ポートの設置位置はV/F≧1[sec]を満たすように設定されてもよい。
【0018】
上記(6)の構成によれば、追加空気供給部に対して十分に上流側(V/F≧1[sec]を満たす位置)にアンモニア供給位置を設定することにより、炉内還元領域におけるアンモニア燃料の滞留時間を1sec以上確保可能となり、NOx濃度をより効果的に低減することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れか1つに記載の構成において、
全燃料に対する前記アンモニア燃料のカロリー比が、10%以上30%以下であってもよい。
【0020】
本発明者らの知見によれば、炉出口におけるNOx濃度は全燃料に対するアンモニア燃料の混焼率に概ね比例するが、上記(7)の構成によれば、未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減とを両立することができる。
【0021】
(8)本開示の少なくとも一実施形態に係る混焼ボイラは、
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備えた炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラであって、
前記バーナユニットは、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナと、
前記炭素含有燃料と前記アンモニア燃料とを選択的に切り替えて前記火炉内に供給可能な第3バーナと、を含む。
【0022】
上記(8)の構成によれば、第3バーナを切り替えて用いることにより、混焼ボイラは、第1バーナと第3バーナとの両方から炭素含有燃料を供給する場合と、第1バーナから炭素含有燃料を供給するとともに、第3バーナからはアンモニア燃料のみを供給する場合とで切り替えて運転することができる。このような第3バーナは、例えば、第1バーナにおける炭素含有燃料の供給ラインにアンモニア燃料の供給ラインとバルブとを付設することで実現できるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナの燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラでのNOx排出量を低減することができる。
【0023】
(9)本開示の少なくとも一実施形態に係る火力発電プラントは、
上記(1)〜(8)の何れか1つに記載の混焼ボイラと、
前記ボイラで生成された蒸気により駆動される蒸気タービンと、を備える。
【0024】
上記(9)の構成によれば、炭素含有燃料とアンモニア燃料との混焼ボイラを備えた火力発電プラントにおいて、上記(1)で述べたように、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができ、また、炭素含有燃料を燃焼させる第1バーナの燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラでのNOx排出量及び未燃アンモニアの排出を低減することができる火力発電プラントを実現することができる。
【0025】
(10)本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラの改造方法は、
開口部を有する火炉壁を含む火炉と、
前記火炉壁の前記開口部に取り付けられるバーナユニットと、
前記火炉内における燃焼ガスの流れ方向において前記バーナユニットの下流側に設けられる追加空気供給部と、を備えるボイラの改造方法であって、
前記バーナユニットは、
前記バーナユニットの最上流側に位置する上流側空気ポートと、
前記バーナユニットの最下流側に位置する下流側空気ポートと、
前記流れ方向において前記上流側空気ポートと前記下流側空気ポートとの間に位置する複数のバーナと、
を含み、
前記上流側空気ポート、前記下流側空気ポート、または、前記複数のバーナのうち前記ボイラの稼働時に炭素含有燃料が流れる第1バーナ以外の第2バーナに対して、アンモニア燃料の供給ラインを接続するステップを備える。
【0026】
上記(10)の方法によれば、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ自体の設計変更を必要とせずに、ボイラの追加空気供給部の上流側にアンモニア燃料の供給ラインを設置する改造工事により、炉内の還元雰囲気を利用してアンモニア燃料の窒素分をNに分解して、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の増加を抑制可能となる。これにより、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができるとともに、第1バーナの燃焼安定性を損なうことなく、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、貯蔵や輸送技術が確立されているアンモニアの利点を享受でき、且つ、未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減を図ることができるアンモニア混焼ボイラを簡易な方法で実現することができる。
【0027】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)に記載の方法において、
前記アンモニア燃料の供給ラインを接続するステップでは、前記上流側空気ポート又は前記下流側空気ポートに前記アンモニア燃料の供給ラインを接続してもよい。
【0028】
上記(11)の方法によれば、既設のバーナユニットを改造する際に、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ自体の設計変更を必要としないから、既存のボイラの構成要素を有効活用して改造工事を小規模にとどめ、第1バーナの燃焼安定性を損なうことなく未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減とを実現することができる。
【0029】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載の方法において、
前記アンモニア燃料の供給ラインを接続するステップでは、前記上流側空気ポートに前記アンモニア燃料の供給ラインを接続してもよい。
【0030】
上記(12)の方法によれば、アンモニア燃料の供給ラインがバーナユニットの最上流側に配置されるから、第1バーナから投入された炭素含有燃料の燃焼領域の下流側に形成される還元雰囲気を、燃焼ガスの流れ方向の上流から下流の全域に亘ってアンモニア燃料が通過する。よって、アンモニア燃料が還元雰囲気に晒される時間を十分に長く確保することができるから、未燃アンモニア及びNOxの排出をより効果的に低減することができる。
【0031】
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係る混焼ボイラの運転方法は、
炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラの運転方法であって、
前記炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナには前記炭素含有燃料を供給し、
前記炭素含有燃料と前記アンモニア燃料とを選択的に切り替えて前記混焼ボイラの火炉内に供給可能な第3バーナから前記アンモニア燃料を供給するときは、前記第3バーナから前記炭素含有燃料を供給しない。
【0032】
上記(13)の方法によれば、上記(8)で述べたように、第3バーナを切り替えて用いることにより、混焼ボイラは、第1バーナと第3バーナとの両方から炭素含有燃料を供給する場合と、第1バーナから炭素含有燃料を供給するとともに、第3バーナからはアンモニア燃料のみを供給する場合とで切り替えて運転することができる。このような第3バーナは、例えば、第1バーナにおける炭素含有燃料の供給ラインにアンモニア燃料の供給ラインとバルブとを付設することで実現できるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナの燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラでのNOx排出量を低減することができる。
【発明の効果】
【0033】
本開示の幾つかの実施形態によれば、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラでのNOx排出量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一実施形態に係る火力発電プラントの構成例を示す概略図である。
図2】一実施形態に係るボイラの構成例を示す概略図である。
図3】アンモニアの炉内滞留時間を説明するための概略図である。
図4】アンモニア及び化石燃料を含む全燃料に対するアンモニアの混焼率と火炉出口におけるNOx増加量との関係を示す図である。
図5】二段燃焼における主燃料の1段空気比と、混焼したアンモニアの1段燃焼出口におけるアンモニアリーク率及びNOx転換率を示す図である。
図6】一実施形態におけるバーナユニットの構成例を示す概略図である。
図7】幾つかの実施形態におけるバーナを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0036】
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係る火力発電プラントの構成例を示す概略図であり、図2は、本開示の幾つかの実施形態に係る混焼ボイラの構成例を示す概略図である。
図1に示すように、火力発電プラント1は、炭素含有燃料とアンモニア燃料との混焼ボイラ2(以下、ボイラ2またはアンモニア混焼ボイラ2ともいう)と、ボイラ2で発生した熱により加熱されて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービン3と、蒸気タービン3により駆動されて発電する発電機4と、発電に寄与し仕事を終えた蒸気を液相に戻す復水器5と、復水器5で液化された水を循環させるポンプ6と、ボイラ2からの排気を排出する煙突8と、を備えている。
【0037】
幾つかの実施形態において、火力発電プラント1は、ボイラ2にアンモニア燃料を供給するためのアンモニア燃料供給ライン34を備えている。なお、火力発電プラント1は、少なくとも化石燃料又はバイオマスを含む炭素含有燃料を燃焼させて発生した熱により蒸気タービン3を駆動して発電する構成と、ボイラ2にアンモニア燃料を供給するためのアンモニア燃料供給ライン34とを備えていればよく、上記構成以外にも必要に応じて種々の構成を備え得る。
【0038】
蒸気タービン3は、ボイラ2からの高温ガスにより火炉伝熱管、節炭器及び過熱器等の熱交換器7を介して熱媒体としての水が加熱され、これにより得られた高圧蒸気(高圧ST)を利用して回転される高圧タービン3aと、高圧タービン3aを回転させた後の低圧蒸気(低圧ST)により回転されて駆動される低圧タービン3bと、を含む。
また、蒸気タービン3は、図1の例に限定されず、例えば、他のタンデムコンパウンド(くし形)やクロスコンパウンド(並列型)の構成を備えていてもよい。また、蒸気タービン3は、高圧、中圧、低圧の種々のタービンの組み合わせてなるユニットにより構成されていてもよい。この場合、高圧タービン3aを駆動した後の蒸気は、例えば、再熱器等の熱交換器7によりボイラ2内で再度加熱された後に中圧タービンに供給されてもよい。
【0039】
次に、幾つかの実施形態におけるボイラ2について詳しく説明する。
幾つかの実施形態において、ボイラ2は、図示しないミルにより炭素含有燃料としての石炭(化石燃料)を粉砕して生成した微粉炭(石炭の微粉)を燃焼させるように構成された微粉炭焚きボイラであってもよい。幾つかの実施形態において、ボイラ2は、燃料として化石燃料に加えてアンモニア燃料を用い、該化石燃料とアンモニア燃料との混焼を行う混焼ボイラとして構成され得る。なお、化石燃料は微粉炭に限定されず、例えば、重油、軽油、液化天然ガス(LNG)等、他の種類や他の形態の化石燃料であってもよい。また、炭素含有燃料は化石燃料のほかバイオマス燃料を含み得る。
【0040】
そして、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る混焼ボイラ2は、開口部21(図6参照)を有する火炉壁21aを含む火炉20と、火炉壁21aの開口部21に取り付けられるバーナユニット30と、火炉20内における燃焼ガスの流れ方向A(図1参照)においてバーナユニット30の下流側(図1及び図2においてバーナ31の上方側)に設けられる追加空気供給部33と、を備える炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラ2として設けられる。
【0041】
火炉20は、燃料と燃焼用空気とを反応させて燃焼させる筒状の中空体であり、例えば、円筒形状や四角柱状等、種々の形態をとり得る。幾つかの実施形態において、火炉20は、炉壁部20a及び炉底部20bを含み、燃焼ガスの流れ方向Aの下流側、即ち、当該火炉20の上方側において煙道48に連通している。
そして、本開示の一実施形態におけるバーナユニット30は、ボイラ2の稼働時に炭素含有燃料を燃焼させる少なくとも一つのバーナ(第1バーナ)31と、アンモニア燃料を火炉20内に供給するためのアンモニア燃料供給ポート24と、を含む。なお、アンモニア燃料供給ポート31は第1バーナ31とは別に設けられていてもよい(例えば、図7(a)参照)。
【0042】
バーナ31は、火炉20外から火炉20内に化石燃料(本実施形態では微粉炭、即ち、固体粉末燃料)と搬送用ガスとの混合気体、オイル又はガス並びに燃焼用の1次空気を供給可能に構成されている。搬送用ガスは例えば空気である。
幾つかの実施形態において、ボイラ2は、バーナ31に化石燃料を供給するための第1燃料供給ライン38を備えている。即ち、図1に示す化石燃料供給部43から第1燃料供給ライン38を介してバーナ31に微粉炭と搬送用ガスとの混合気体、オイル又はガスが供給され、バーナ31にて1次空気と混合燃焼し、燃焼ガスが火炉20内に噴出される。
【0043】
上記1次空気を供給する1次空気供給部32は、火炉20内に供給する空気量を任意に調節可能に構成される。こうして、1次空気供給部32から供給される空気量を調節することにより、火炉20内の下部領域、即ち、火炉20内におけるバーナ31の近傍に形成される燃焼領域45に供給される酸素量(Oの供給量)を規定範囲内に調節することができるようになっている。
【0044】
図2に例示するように、幾つかの実施形態では、複数段のバーナ31が、それぞれ、火炉20内における燃焼ガスの流れ方向Aにおける異なる位置に設けられる。即ち、バーナ31は、火炉20の上下方向において下部(下方)から中部或いは上部(上方)にかけて複数段に亘って設けられていてもよい。この場合、複数段に亘って設けられたバーナ31のうち、上下方向において最下部に位置するバーナ31が、燃焼ガスの流れ方向Aにおける最上流側バーナ(最下段バーナ)31aとなる。
【0045】
追加空気供給部33は、多段に設けられた複数のバーナ31に対して、燃焼ガスの流れ方向Aにおける下流側、即ち、火炉20において上記複数のバーナ31よりも上方に配設される。
この追加空気供給部33から供給される2次空気は、アフターエアー(AA)又はオーバーファイヤーエア(OFA)とも呼ばれ、1次空気供給部32により供給される1次空気で燃焼しきれずに燃え残った化石燃料を完全燃焼させるために、追加的に酸素を供給するために供給される。
このように、ボイラ2は、1次空気を供給する1次空気供給部32と、2次空気を供給する追加空気供給部33とで段階的に火炉20内に空気(酸素)を供給し、化石燃料を段階的(2段階)に燃焼させて完全燃焼させる構成となっている。このように、本実施形態のボイラ2は所謂2段燃焼ボイラとして構成される。
なお、各空気供給部32,33は、送風機として各々が個別のブロワ(図示省略)等によって空気を供給してもよいし、同一のブロワ(図示省略)から分岐させて空気を供給する構成であってもよい。各々の空気供給流路には流量調整弁(図示省略)が設けられ、各流量調整弁は、個別に全閉から全開の状態までとり得るように開度制御可能となっている。また、図2では1つの火炉20にそれぞれ1次空気供給部32、追加空気供給部33、化石燃料供給部43及びアンモニア燃料供給部35が1つずつ設けられた様子を示しているが、これらの構成要素(32,33,43,35)の少なくとも何れか1つが火炉20の周方向において何れの方向に設けられていてもよく、1つの火炉20に対して複数或いは2方向以上に配置されていてもよい。
【0046】
ここで、本発明者らの知見によれば、バーナユニット30の下流側に追加空気供給部33を備えた所謂2段燃焼ボイラにおいて、追加空気供給部33よりも上流側の位置にアンモニア燃料を投入すれば、火炉20内の還元雰囲気(還元領域46)においてアンモニア燃料の窒素分がNに還元され、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出を抑制しつつ、NOx濃度の増加を抑制できる。
そして、上記の構成によれば、既設のバーナユニット30を改造したりバーナユニット30を新設したりする際に、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ31自体の設計変更を必要とせずに第1バーナ31とは別のアンモニア燃料供給ポート40から火炉20内にアンモニア燃料を供給することができるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラ2でのNOx排出量を低減することができる。
なお、本明細書において、「アンモニア燃料」とは、アンモニアを含有する燃料をいい、アンモニアとともに他の成分(例えば水素、水分、窒素等)を含有していてもよい。
また、アンモニア燃料供給ポート40は、ボイラ2の稼働時に実際に炭素含有燃料を供給している第1バーナ31以外の噴射口又はポートであればよく、少なくとも一つの第1バーナ31のうちボイラ2の稼働時に炭素含有燃料の供給に用いていない第1バーナ31をアンモニア燃料供給ポート40として用いてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、上記の構成において、アンモニア燃料供給ポート40は、バーナユニット30のうち最上流側又は最下流側に位置してもよい。
【0048】
上記の構成により、アンモニア燃料供給ポート40がバーナユニット30の最上流側に配置された場合は、第1バーナ31から投入された炭素含有燃料の燃焼領域45の下流側に形成される還元雰囲気(還元領域46)を、燃焼ガスの流れ方向Aの上流から下流の全域に亘ってアンモニア燃料が通過するから、アンモニア燃料が還元雰囲気に晒される時間を十分に長く確保することができる。よって、未燃アンモニア及びNOxの排出をより効果的に低減することができる。一方、アンモニア燃料供給ポート40がバーナユニット30の最下流側に配置された場合は、火炉20内に投入されたアンモニア燃料が燃焼ガスの流れに乗って下流側に案内されるから、火炉20内でアンモニア燃料が燃焼ガスの流れに乗らずに炉底部21bに滞留することを抑制することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、上記の構成において、アンモニア燃料供給ポート40は、ボイラ2の稼働時に炭素含有燃料の供給を受けていない第2バーナ40の燃料噴射口又は空気ポートであってもよい。
【0050】
上記の構成によれば、ボイラ2の稼働時に炭素含有燃料の供給を受けていない第2バーナ40の燃料噴射口又は空気ポートをアンモニア燃料供給ポート40として用いて火炉20内にアンモニア燃料を供給することができる。つまり、炭素含有燃料を燃焼可能に構成された少なくとも一つの第1バーナ31のうち、ボイラ2の稼働時に炭素含有燃料の供給に用いていない第1バーナ31をアンモニア燃料供給用の第2バーナ40として用いることで火炉20内にアンモニア燃料を供給することができる。よって、既設の設備又は設計を有効に活用し、簡易な構成で、燃焼安定性を損なわずにNOx排出量を低減し得るアンモニア混焼ボイラ2を実現することができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、上記何れかの実施形態に記載の構成において、アンモニア燃料供給ポート40は、火炉20内にアンモニア燃料と空気とを供給するように構成されてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、アンモニア燃料供給ポート40からアンモニア燃料と空気とを供給することができる。これにより、例えば、アンモニア燃料供給ポート40から供給するアンモニア燃料と空気との比率を必要に応じて調整することで、火炉20内に投入する空気量の調整にアンモニア燃料供給ポート40を用いることができるから、空気量調節の自由度の向上が図られる。
【0053】
幾つかの実施形態では、上記何れかの実施形態に記載の構成において、アンモニア燃料供給ポート40は、火炉20内にアンモニア燃料のみを供給するように構成されてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、アンモニア燃料供給ポート40からはアンモニア燃料のみ供給するように構成された混焼ボイラ2において、上記何れかの実施形態で述べた効果を享受することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、上記何れかの実施形態に記載の構成において、火炉20のうちアンモニア燃料供給ポート40の設置位置と追加空気供給部33の設置位置との間の部位の容積V[m]とし、火炉20内の燃焼ガスの体積流量をF[m/sec]としたとき、アンモニア燃料供給ポート40の設置位置はV/F≧1[sec]を満たすように設定されてもよい(以下の数式(1)参照)。
[数1]
V/F≧1[sec] ・・・(1)
【0056】
具体的には、図3に示すように、アンモニア供給位置37に供給されたアンモニア燃料は、該アンモニア供給位置37から体積流量F[m/sec]で火炉20内を燃焼ガスの流れ方向Aに沿って下流側(図1,2における上方側)に移動する。
その際、上記移動の方向(燃焼ガスの流れ方向A)に直交する火炉20内部の断面積は、火力発電プラント1の定格出力やサイクル形態、発電効率等を考慮した種々の設計事情等により、火炉20での燃焼ガスの流れ方向Aにおいて一様の場合もあれば一様でない場合もあり得、燃焼ガスの流れ方向Aに沿う距離xに応じて変化することもあり得る。このため、燃焼ガスの流れ方向Aに直交する火炉20内部の断面積を、例えば、燃焼ガスの流れ方向Aに沿う距離xの関数S(x)[m]とすると、容積Vは以下の数式(2)のように表すことができる。
[数2]
V=∫S(x)dx ・・・(2)
【0057】
このように、幾つかの実施形態によれば、追加空気供給部33に対して十分に上流側(V/F≧1を満たす位置)にアンモニア供給位置37を設定したので、火炉20内の還元領域46におけるアンモニア燃料の滞留時間を1sec以上確保することが可能となり、未燃アンモニアの排出を抑制すると共にNOxをより効果的に低減することができる。
【0058】
好ましくは、アンモニア供給位置37は、火炉20内に供給されたアンモニアが還元領域46を通過する時間(還元領域46における滞留時間)を示すV/Fが2sec以上となるような位置とするのがよい。
【0059】
図4は、本発明者らの鋭意研究により得られた図であり、全燃料に対するアンモニアの混焼率(カロリー比)と、化石燃料の専燃時を基準とした火炉20の出口におけるNOxの増加量との関係を示すグラフである。同図から明らかなように、火炉20出口におけるNOx増加量は、全燃料に対するアンモニアのカロリー比に概ね比例して直線的(線形的)に増加する。
【0060】
このグラフに基づき、全燃料に対するアンモニア燃料のカロリー比は、NOxの増加を抑制しながら、アンモニア燃料の使用によるメリットを享受し得るような範囲内に任意に設定可能である。全燃料に対するアンモニア燃料のカロリー比は、例えば、1%以上80%以下としてもよいし、5%以上40%以下としてもよいし、10%以上30%以下としてもよい。幾つかの実施形態では、全燃料に対するアンモニア燃料のカロリー比を、10%以上30%以下とすることにより、未反応アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減とを両立することができる。
【0061】
また、図5は、本発明者らの鋭意研究により得られた図であり、2段燃焼ボイラにおいて、ボイラ全体の空気量に対する1段空気の比率を1段空気比とし、混焼したアンモニアの1段燃焼出口におけるアンモニアリーク率及びNOx転換率を示したグラフである。
【0062】
同図からわかるように、空気比を0.6〜1.0の間で増加させていくと、火炉20の出口におけるアンモニアリーク率は1段空気比の増加に伴い低下し、逆に、火炉20の出口におけるNOx転換率は増加する。さらに、1段燃焼出口のリークアンモニアは、下流における還元雰囲気を通過する際に水素と窒素に分解されるため、2段燃焼部へのリークアンモニアをほぼ0とすることができる。同図から得られる知見を踏まえ、アンモニアリーク低減とNOx低減とを両立する観点から、1段空気比は、0.8以上0.95以下に設定することが好ましい。
【0063】
このように、幾つかの実施形態によれば、化石燃料とアンモニア燃料とを用いたボイラ2を備えた火力発電プラント1を実現することができる。また、上述したように、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、貯蔵や輸送技術が確立されているアンモニアの利点を享受しながら、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出の抑制やNOx濃度の低減を図ることができる。
【0064】
なお、上記構成のボイラ2は、図1又は図2に示すアンモニア燃料供給ライン34を既存の火力発電プラントに追加的に設置する改造工事により、容易に実現することができる。
即ち、幾つかの実施形態において、火炉20と、化石燃料を火炉20内で燃焼させるためのバーナ31と、化石燃料を燃焼させるための追加空気を火炉20に供給するように構成された追加空気供給部33と、を備える既存のボイラを改造することで、上記構成のボイラ2を得てもよい。この改造工事では、ボイラ2の追加空気供給部33に対して燃焼ガスの流れ方向Aの上流側においてアンモニア燃料を火炉20に供給するためのアンモニア燃料供給ライン34を設置する。こうして、既存の火力発電プラントのボイラ2を容易に改造することができる。このようなボイラの改造方法によれば、ボイラ2の追加空気供給部33の上流側にアンモニア燃料を供給するためのアンモニア燃料供給ライン34を設置する改造工事により、火炉20内の還元雰囲気を利用してアンモニア燃料の窒素分をNに分解して、アンモニア燃料の燃焼に伴うNOx濃度の増加を抑制可能となる。これにより、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、貯蔵や輸送技術が確立されているアンモニアの利点を享受しながら、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減を図ることができる。
【0065】
また、ボイラの上記改造工事に際して、アンモニア燃料供給部35を設置するとともに、化石燃料を供給する第1燃料供給ライン38にアンモニア燃料を混入させるための第2燃料供給ライン39を第1燃料供給ライン38に接続してもよい。このようにすれば、既存のボイラの構成要素を有効活用して改造工事を小規模にとどめることができ、未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減とをさらに確実に実現することができる。
他の実施形態では、ボイラの上記改造工事に際して、アンモニア燃料供給部35を設置するとともに、該アンモニア燃料供給部35から供給されるアンモニア燃料を火炉20内に直接供給するラインを設置してもよい。
【0066】
以上説明したように、上記実施形態の構成は本発明者らの知見を利用したものであり、追加空気供給部33の上流側にアンモニア燃料を供給するようにしたので、火炉20内の還元雰囲気を利用してアンモニア燃料の窒素分をNに分解して、アンモニア燃料の燃焼に伴うNOx濃度の増加を抑制できる。また、典型的なボイラでは、火炉20内の燃焼温度は、例えば、1500〜1600℃程度と非常に高温であるため、触媒等を設けなくとも、アンモニアから窒素及び水素への分解反応が円滑に進むようになっている。このため、火炉20内の還元雰囲気を利用してアンモニア燃料を効果的に分解させて、高価な触媒等を用いることなく、未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の増加を抑制できる。
これにより、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、貯蔵や輸送技術が確立されているアンモニアの利点を享受しながら、未燃アンモニア燃料の排出の抑制とNOx濃度の低減とを図ることができる。
【0067】
本開示の少なくとも一実施形態に係る混焼ボイラ2は、開口部21を有する火炉壁(炉壁部20a)を含む火炉20と、火炉壁の開口部21に取り付けられるバーナユニット30と、火炉20内における燃焼ガスの流れ方向Aにおいてバーナユニット30の下流側に設けられる追加空気供給部33と、を備えた炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラ2であって、バーナユニット30は、炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナ31と、炭素含有燃料とアンモニア燃料とを選択的に切り替えて火炉20内に供給可能な第3バーナ60と、を含む(例えば図7(b)、図7(c)参照)。
【0068】
上記構成によれば、第3バーナ60を切り替えて用いることにより、混焼ボイラ2は、第1バーナ31と第3バーナ60との両方から炭素含有燃料を供給する場合と、第1バーナ31から炭素含有燃料を供給するとともに、第3バーナ60からはアンモニア燃料のみを供給する場合とで切り替えて運転することができる。このような第3バーナ60は、例えば、第1バーナ31における炭素含有燃料の供給ライン(第1燃料供給ライン38)にアンモニア燃料供給ライン34とバルブとを付設することで実現できるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラ2でのNOx排出量を低減することができる。
【0069】
また、上記のように、本開示の少なくとも一実施形態に係る火力発電プラント1は、上記何れかの実施形態に記載の混焼ボイラ2と、ボイラ2で生成された蒸気により駆動される蒸気タービン3と、を備える(例えば図1参照)。
【0070】
上記の構成によれば、炭素含有燃料とアンモニア燃料との混焼ボイラ2を備えた火力発電プラント1において、上述したように、炭素含有燃料を燃焼させる第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラ2でのNOx排出量及び未燃アンモニアの排出を低減することができる火力発電プラント1を実現することができる。
【0071】
また、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラの改造方法は、開口部21を有する火炉壁21aを含む火炉20と、火炉壁21aの開口部21に取り付けられるバーナユニット30と、火炉20内における燃焼ガスの流れ方向Aにおいてバーナユニット30の下流側に設けられる追加空気供給部33と、を備えるボイラの改造方法である。
バーナユニット30は、当該バーナユニット30の最上流側に位置する上流側空気ポート51と、バーナユニット30の最下流側に位置する下流側空気ポート52と、燃焼ガスの流れ方向Aにおいて上流側空気ポート51と下流側空気ポート52との間に位置する複数のバーナ31と、を含む(図6参照)。
そして、本開示の少なくとも一実施形態に係るボイラの改造方法は、上流側空気ポート51、下流側空気ポート52、または、複数のバーナ31のうちボイラ2の稼働時に炭素含有燃料が流れている第1バーナ31以外の第2バーナ40に対して、アンモニア燃料供給ライン34を接続する工程を備えている。
【0072】
上記の方法によれば、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ31自体の設計変更を必要とせずに、ボイラ2の追加空気供給部33の上流側にアンモニア燃料供給ライン34を設置する改造工事により、炉内の還元雰囲気を利用してアンモニア燃料の窒素分をNに分解して、アンモニア燃料の燃焼に伴う未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の増加を抑制可能となる。これにより、第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなく、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、貯蔵や輸送技術が確立されているアンモニアの利点を享受でき、且つ、未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減を図ることができるアンモニア混焼ボイラ2を簡易な方法で実現することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、上記の方法において、アンモニア燃料供給ライン34を接続するステップでは、上流側空気ポート51又は下流側空気ポート52にアンモニア燃料供給ライン34を接続してもよい。
【0074】
上記の方法によれば、既設のバーナユニット30を改造する際に、炭素含有燃料を燃焼させる各々の第1バーナ31自体の設計変更を必要としないから、既存のボイラ2の構成要素を有効活用して改造工事を小規模にとどめ、第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなく未燃アンモニアの排出の抑制とNOx濃度の低減とを実現することができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、上記の方法において、アンモニア燃料供給ライン34を接続するステップでは、複数のバーナ31のうち燃焼ガスの流れ方向Aにおいて最上流側に配置されたバーナ31にアンモニア燃料供給ライン34を接続してもよい。
【0076】
上記の方法によれば、アンモニア燃料供給ライン34がバーナユニット30の最上流側に配置されるから、第1バーナ31から投入された炭素含有燃料の燃焼領域45の下流側に形成される還元雰囲気46を、燃焼ガスの流れ方向Aの上流から下流の全域に亘ってアンモニア燃料が通過する。よって、アンモニア燃料が還元雰囲気に晒される時間を十分に長く確保することができるから、未燃アンモニア及びNOxの排出をより効果的に低減することができる。
【0077】
本開示の少なくとも一実施形態に係る混焼ボイラ2の運転方法は、炭素含有燃料及びアンモニア燃料の混焼ボイラ2の運転方法であって、炭素含有燃料を燃焼させるように構成された少なくとも一つの第1バーナ31には炭素含有燃料を供給し、炭素含有燃料とアンモニア燃料とを選択的に切り替えて混焼ボイラ2の火炉20内に供給可能な第3バーナ60(図7(b)又は図7(c)参照)からアンモニア燃料を供給するときは、第3バーナ60から炭素含有燃料を供給しない。
【0078】
上記の方法によれば、第3バーナ60を切り替えて用いることにより、混焼ボイラ2は、第1バーナ31と第3バーナ60との両方から炭素含有燃料を供給する場合と、第1バーナ31から炭素含有燃料を供給するとともに、第3バーナ60からはアンモニア燃料のみを供給する場合とで切り替えて運転することができる。上述したように、このような第3バーナ60は、例えば、第1バーナ31における炭素含有燃料の供給ライン(第1燃料供給ライン38)にアンモニア燃料供給ライン34とバルブとを付設することで実現できるから、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。
【0079】
本開示の幾つかの実施形態によれば、既存のボイラの構造又は設計への変更を抑制しつつ、アンモニアを燃料として利用可能にすることができる。またこれにより、第1バーナ31の燃焼安定性を損なうことなくアンモニア混焼ボイラ2でのNOx排出量を低減することができる。
【0080】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0081】
1 火力発電プラント
2 ボイラ
3 蒸気タービン
20 火炉
20a 炉壁部(火炉壁)
21 開口部
30 バーナユニット
31 バーナ(第1バーナ)
33 追加空気供給部(2次空気/AA)
34 アンモニア燃料供給ライン
40 アンモニア燃料供給ポート(第2バーナ)
51 上流側空気ポート
52 下流側空気ポート
60 第3バーナ
A 燃焼ガスの流れ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7