特開2019-178855(P2019-178855A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019178855-冷凍サイクル装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-178855(P2019-178855A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/24 20110101AFI20190920BHJP
【FI】
   F24F1/24
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-70229(P2018-70229)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】久山 和志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】津村 宜伸
(72)【発明者】
【氏名】陳 柯壁
(72)【発明者】
【氏名】浮舟 正倫
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筐体に固定された電装品の冷媒冷却を行う冷媒冷却部の配管が振動により、応力を受けることを防止する冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル部品と、電装品の冷却用冷媒配管とを結ぶ連絡配管上に、振動伝達抑制部72,76を設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部材(20a)を有する筐体(20)と、
前記底部材上に配置された第2弾性部材(24)と、
前記底部材上に、前記第2弾性部材を介して配置された台(21)と、
前記台上に配置された第1弾性部材(23)と、
前記台上に、前記第1弾性部材を介して配置された、冷媒を圧縮する圧縮機(1)と、
前記筐体に固定され、圧縮機用モータを駆動する電装品(31)と、
前記電装品に固定された伝熱板(81)と、
前記伝熱板に固定され、内部に前記冷媒を流通させる冷却用冷媒配管(74)と、
前記台に固定され、前記冷媒を流通させる冷凍サイクル構成部品(15)と、
前記冷凍サイクル構成部品または前記圧縮機と、前記冷却用冷媒配管とを結び、前記冷媒を流通させる連結配管(71〜77)と、
を備え、
前記連結配管は、
前記台に固定された前記冷凍サイクル構成部品または前記圧縮機の振動を、前記冷却用冷媒配管に伝達することを抑制する振動伝達抑制部(72、76)、
を有する、
冷凍サイクル装置(100)。
【請求項2】
前記冷凍サイクル構成部品は、
エコノマイザー熱交換器(10)、膨張弁(7、8)、逆止弁(9)、空気熱交換器(4)、水熱交換器(11)、四方切換弁(3)、アキュムレーター(2)、および、レシーバーから構成される群の中の一つ、または、これらの組み合わせである、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記振動伝達抑制部は、
前記筐体に固定されている、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記振動伝達抑制部は、
前記底部材に固定されている、
請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記冷凍サイクル装置は、さらに、
前記振動伝達抑制部と前記筐体との間に配置される第3弾性部材を
有する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第3弾性部材のばね定数は、前記第2弾性部材のばね定数以上である、
請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記振動伝達抑制部は、
曲部を含むトラップである、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記振動伝達抑制部は、
可撓性を有する配管である、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置は、使用環境によっては、低騒音性能が求められている。低騒音性能を実現するためには、冷媒回路を構成する圧縮機が振動したとき、振動の機器全体への伝達を抑制する必要がある。このような目的のために、特許文献1(特開2005−241197号公報)は、二重防振構造を開示している。すなわち、筐体に第2の防振材を介して支持部材を配置し、さらに、支持部材上に第1の防振材を介して圧縮機を取り付けている。特許文献1においては、冷凍サイクル構成部品である空気熱交換器、水熱交換器なども、適宜、支持部材上に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、電装品の配置について記載は無い。一般的には、冷凍サイクル装置の全体的な制御を行う電装品は、筐体に固定するのが一般的である。特に二重防振構造を採用した場合には、筐体内のスペースが狭くなるため、比較的スペースに余裕のある筐体上部に固定する場合が多い。
【0004】
電装品は、多くの素子を含んでおり、素子によっては、発熱の大きいものもあり、冷却するのが望ましいものも存在する。電装品の冷却には、冷媒冷却の技術も知られている(たとえば、特開2010−145054号公報参照)。
【0005】
冷媒冷却で電装品を冷却する場合に、電装品が筐体に固定されており、冷媒配管の元の冷凍サイクル構成部品が支持部材に固定されていると、支持部材の振動によって、冷凍サイクル構成部品と、電装品との間に変位が生じる。これによって、冷凍サイクル構成部品と、電装品を冷却する部材とを連絡する配管に応力が生じるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の冷凍サイクル装置は、筐体と、第2弾性部材と、台と、第1弾性部材と、圧縮機と、電装品と、伝熱板と、冷却用冷媒配管と、冷凍サイクル構成部品と、連絡配管とを備えている。筐体は、底部材を有している。第2弾性部材は、底部材上に配置されている。台は、底部材上に、第2弾性部材を介して、配置されている。第1弾性部材は、台上に配置されている。圧縮機は冷媒を圧縮する。圧縮機は、台上に、第1弾性部材を介して配置されている。電装品は、圧縮機用モータを駆動する。電装品は、筐体に固定されている。伝熱板は電装品に固定されている。冷却用冷媒配管は、内部に冷媒を流通させる。冷却用冷媒配管は、伝熱板に固定されている。冷凍サイクル構成部品は、冷媒を流通させる。冷却用冷媒配管は、伝熱板に固定されている。連絡配管は、冷媒を流通させる。連絡配管は、冷凍サイクル構成部品または圧縮機と、冷却用冷媒配管とを結んでいる。連結配管は、振動伝達抑制部を有する。振動伝達抑制部は、台に固定された冷凍サイクル構成部品もしくは圧縮機の振動を、冷却用冷媒配管に伝達することを抑制する。
【0007】
第1観点の冷凍サイクル装置は、振動伝達抑制部があるので、冷却用冷媒配管の振動が抑制され、配管の応力にかかる応力が抑制される。
【0008】
第2観点の冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、冷凍サイクル構成部品は、エコノマイザー熱交換器、膨張弁、逆止弁、空気熱交換器、水熱交換器、四方切換弁、アキュムレーター、および、レシーバーから構成される群の中の一つ、または、これらの組み合わせである。
【0009】
第3観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、振動伝達抑制部は、筐体に固定されている。
【0010】
第4観点の冷凍サイクル装置は、第3観点の冷凍サイクル装置であって、振動伝達抑制部は、底部材に固定されている。
【0011】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第1観点〜第4観点いずれかの冷凍サイクル装置であって、さらに、振動伝達抑制部と筐体との間に配置される第3弾性部材を有する。
【0012】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第3弾性部材が振動を減衰するため、筐体に伝わる振動エネルギーを低減することができる。
【0013】
第6観点の冷凍サイクル装置は、第5観点の冷凍サイクル装置であって、第3弾性部材のばね定数は、第2弾性部材のばね定数以上である。
【0014】
第6観点の冷凍サイクル装置は、筐体に伝わる振動をより確実に、低減することができる。
【0015】
第7観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、振動伝達抑制部は、曲部を含むトラップである。
【0016】
第7観点の冷凍サイクル装置は、トラップが台の振動に由来する変位を吸収し、冷媒冷却配管の振動を抑制することができる。
【0017】
第8観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、振動伝達抑制部は、可撓性を有する配管である。
【0018】
第8観点の冷凍サイクル装置は、可撓性を有する配管が台の振動に由来する変位を吸収し、冷媒冷却配管の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の冷凍サイクル装置の外観の斜視図。
図2】第1実施形態の冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す図。
図3】第1実施形態の冷凍サイクル装置を前面から見た模式図。
図4】第1実施形態の冷凍サイクル装置を上面から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
(1)冷凍サイクル装置の冷媒回路の構成
第1実施形態の冷凍サイクル装置100の外観の斜視図を図1に、冷媒回路を図2に示す。本実施形態の冷凍サイクル装置は、ヒートポンプを用いた、水の加熱、および/または、冷却装置である。加熱または冷却された水を用いて、給湯器や、冷水器として利用できる。また、加熱または冷却された水を媒体として用いて、暖房、冷房を行う空気調和装置を構成してもよい。
【0021】
本実施形態の冷凍サイクル装置100の冷媒回路は、図2に示すように、圧縮機1、アキュムレーター2、四方切換弁3、空気熱交換器4、逆止弁9、第1膨張弁7、第2膨張弁8、エコノマイザー熱交換器10、水熱交換器11を備えている。各機器および分岐12は、配管41〜54で接続され、冷媒は各機器を循環して、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。配管41〜54は、銅、アルミなどの熱伝導性のよい部材で構成されている。冷凍サイクル装置は、さらに、空気熱交換器4に空気を送るファン5、ファンを駆動するファンモータ6を備えている。
【0022】
水を加熱する場合は、次のように冷凍サイクル装置100は動作する。冷媒は、圧縮機1で圧縮され、凝縮器としての水熱交換器11に送られる。冷媒は主に、第1膨張弁7で減圧され、蒸発器として作用する空気熱交換器4で気化して、再び、圧縮機1へ送られる。水は、水入側配管61より水熱交換器11に入り、冷媒に加熱されて、水出口側配管62より、排出される。水の加熱と冷却は、四方切換弁3の切換により冷媒の流れを変更することにより、行われる。水を冷却する場合は、水熱交換器11は、冷媒の蒸発器として作用する。
【0023】
(2)冷凍サイクル装置内の各機器の配置
冷凍サイクル装置内の各機器の配置を、図3の正面図、図4の上面図を用いて説明する。なお、判りやすさのため、図3図4、では、冷媒配管、信号線、電力線などの電気配線など詳細な記述は適宜、省略されている。
【0024】
筐体20は、図1、3、4に示すように、底部材20a、天部材20b、前部材20c、右側部材20d、後部材20e、左側部材20fより、構成されている。筐体20は、冷凍サイクルを構成する機器の外側を覆っている。
【0025】
筐体20内部の空間は、図3、4に示すように、仕切板25によって、概略、左側の空気熱交換器4、ファン5を配置した熱交換室と、右側の圧縮機1などの機器を配置した機械室に分けられている。
【0026】
図3に示すように、機械室には、底部材20a上に、4つの第2弾性部材24が配置され、その上に、台21が配置されている。第2弾性部材24は、図4では、台21の隅に配置されているが、大きな一片から構成されていてもよいし、2以上に分割されていてもよい。第2弾性部材24の材料は、ゴム、または、ウレタンである。
【0027】
圧縮機1は、弾性部材取付部22を含んでいる。弾性部材取付部22には、第1弾性部材23が取り付けられる。圧縮機1は、台21の上に、3つの第1弾性部材23、および、ボルト(図示せず)によって、支持されている。第1弾性部材23は、防振ゴムである。
【0028】
圧縮機1は、第1弾性部材とボルトで、台21に支持されていてもよいし、第1弾性部材のみで、台21に支持されていてもよい。
【0029】
第1弾性部材23は、圧縮機1を支持できれば、1片から構成されていてもよいし、複数であってもよい。第1弾性部材23の材料は、ゴムのほかに、ウレタンであってもよい。第1弾性部材23と第2弾性部材24の、材料およびばね定数は、異なっていても同一であってもよい。
【0030】
つまり、圧縮機1は、第1弾性部材23と、台21と、第2弾性部材24を介した、2重防振構造の上に配置されている。したがって、冷凍サイクル装置100の運転によって、圧縮機1が振動しても、その振動の伝達や、騒音の発生は、二重防振構造によって、抑制されている。
【0031】
図2図3図4に示すように、台21の上に、圧縮機1の他に、エコノマイザー熱交換器10、水熱交換器11、アキュムレーター2、レシーバー(図示せず)、その他の冷凍サイクル構成部品15も配置され、固定されている。ここで、その他の冷凍サイクル構成部品15とは、第1膨張弁7、第2膨張弁8、逆止弁9、四方切換弁3等を示している。冷凍サイクル構成部品15は、配管やその他の支持部材(図示せず)によって、台21に固定されている。
【0032】
電装品31は、電装品ユニット30に固定されている。電装品31は、圧縮機用モータを駆動する。圧縮機用モータは、圧縮機1の一部である。電装品ユニットは、電装品31以外の電装品も含んでいる。電装品31は、発熱部品である。電装品ユニット30は、筐体20に固定されている。電装品ユニット30は、機械室の上部に配置されている。
【0033】
なお、第1実施形態では、図2の台21のエリアで囲われた部分以外の機器、すなわち、空気熱交換器4、ファン5、ファンモータ6は、筐体20に固定されている。空気熱交換器4、ファン5、ファンモータ6は、台21上に固定してもよい。ファンで発生する風を整流する整流部材(ベルマウス)を台21上に固定してもよい。台21の荷重を増やすほど、台21の振動は抑制される。また、ファン5と空気熱交換器4、または/および、ファン5と整流部材を同時に、台21に載せることによって、風の偏流を抑制できる。
【0034】
(3)冷却用冷媒配管74と冷媒配管の接続
図2図4を用いて、冷却用冷媒配管74と冷媒配管の接続について説明する。
【0035】
冷却用冷媒配管は、図2の冷媒回路図に示す冷媒配管41〜54のうち、どれか1配管の中途に配置する。冷媒配管41〜54のいずれの箇所でもよい。冷媒が冷却に適した温度で、配管を接続しやすい場所から選択すればよい。冷媒の温度から考慮して適当な場所は、たとえば、電装品の耐熱温度帯よりも低く、結露などを生じる温度帯よりも高い温度となる配管47、46、45などである。ここでは、配管47を選択した場合について、さらに詳細に説明する。
【0036】
冷媒配管47は、逆止弁9と、エコノマイザー熱交換器10を結ぶ配管である。逆止弁9は、図3図4においては、冷凍サイクル構成部品15の一部であって、台21に固定されている。エコノマイザー熱交換器10は、図3図4に示すように、台21に固定されている。冷媒配管47は、図3、4では、配管71〜77に相当する。配管71は中空にあり(他の部材で支持されておらず)、振動伝達抑制部72は、留め具82で筐体20に固定され、配管73は中空である。冷却用冷媒配管74は、伝熱板81に固定され、配管75は中空、振動伝達抑制部76は、留め具83で筐体20に固定されている。配管77は、中空であり、図4にあるように、エコノマイザー熱交換器10に連結されている。
【0037】
冷却用冷媒配管74は、伝熱板81に固定され、伝熱板81は、電装品31の素子に接着されている。したがって、電装品が発熱した場合には、冷媒で冷却することができる。本実施形態においては、配管71〜77は、1本の冷媒配管を折り曲げて構成されている。冷却用冷媒配管74は、配管71〜77の一部を伝熱板81にロウ付け、または、溶接などの方法で固着させて形成されている。
【0038】
冷却用冷媒配管74としては、冷媒ジャケットを用いてもよい(たとえば、特開2010−145054号公報参照)。冷媒ジャケットとは、アルミ等の金属製の板であって、内部に冷媒を流通させるための流路が形成されている。この流路と、配管73、75を接続してもよい。冷媒ジャケットを用いた場合は、伝熱板81と冷却用冷媒配管74とを一体としてもよい。
【0039】
また、連絡配管47の一部は、振動伝達抑制部72、76として、筐体20に、留め具82,83を用いて固定されている。固定されているのは、筐体20のうち、底部材20aである。留め具82、83は、金属製、たとえば、鉄製である。したがって、台21が振動しても、振動伝達抑制部72、76で振動は抑制され、冷却用冷媒配管74の振動を抑制することができる。
【0040】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の冷凍サイクル装置100においては、圧縮機1は、底部材20a上に第1弾性部材23、台21、第2弾性部材24を介して、配置されている。つまり、二重防振構造が採用されることによって、圧縮機1の振動の伝達の抑制、静穏化が図られている。そして、このような二重防振構造において、台21上に、アキュムレーター2や、水熱交換器11などの冷凍サイクル部品が固定されているため、さらに、振動の伝達の抑制、静穏化作用が強化されている。
【0041】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置100においては、発熱素子を含む電装品31が冷却用冷媒配管74によって冷却されているため、電装品31の効率を向上させるとともに、温度上昇による電装品31の故障や劣化を防いでいる。
【0042】
本実施形態の冷凍サイクル装置100は、このような二重防振構造、かつ、冷媒冷却構造を有する装置において、さらに、冷凍サイクル構成部品(たとえばエコノマイザー熱交換器10)と、冷却用冷媒配管74とを結ぶ連結配管71〜73に、振動伝達抑制部72を有している。
【0043】
本実施形態の冷凍サイクル装置100は、冷却用冷媒配管74(電装品31)が筐体20に固定されており、冷凍サイクル構成部品(たとえばエコノマイザー熱交換器10)が台21に固定されているので、台21の振動によって、冷凍サイクル構成部品と、冷却用冷媒配管74との間に変位が生じる。これによって、冷却用冷媒配管74に過大な集中応力が生じる恐れがあった。振動によって、配管に繰返し応力が加わると、疲労破壊が起こり、配管が損傷し冷媒の漏れ等につながる恐れがあった。しかし、本実施形態の冷凍サイクル装置は、振動伝達抑制部72、76を備えているので、台21の振動は、冷却用冷媒配管74に伝わる前に、抑制されている。したがって、冷却用冷媒配管74の応力は、低減され、疲労破壊を起こすリスクも低減されている。
【0044】
(4−2)
本実施形態の冷凍サイクル装置100においては、振動伝達抑制部72,76は、筐体20の中でも底部材20aに固定されている。
【0045】
一方、本実施形態の電装品31(冷却用冷媒配管74)は、筐体20内部の上部に配置されている。したがって、冷却用冷媒配管74と、振動伝達抑制部72、76を接続する連絡配管73,75は長くなり、振動の低減効果は得られやすい。
【0046】
また、底部材20aは、筐体20を構成する6つの部材の中でも、もっとも、剛性が高い。したがって、振動抑制効果が高い。
【0047】
さらに、冷凍サイクル装置100のメインテナンスのときには、天部材20b、前部材20c、右側部材20d、後部材20e、左側部材20fは、取り外す場合があるが、底部材20aは、取り外すことはほとんどない。そこで、振動伝達抑制部72、76を底部材20aに固定すると、メインテナンスに取り外す必要が無く、メインテナンス性が向上する。
【0048】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
第1実施形態では、冷却用冷媒配管74を、逆止弁9と、エコノマイザー熱交換器10を結ぶ配管47に、配置していた。変形例1Aでは、冷却用冷媒配管74を、図2の配管46に配置している。配管46は、エコノマイザー熱交換器10と、インジェクション用分岐12と、を結ぶ配管である。配管46の冷媒は、配管47の冷媒に比べて、若干温度が低いので、やや冷却能力が高い。どちらを選択するかは、冷却能力と、配管の配置による接続のしやすさなどで決まる。
【0049】
変形例1の作用効果は、第1実施形態とほとんど同じである。
【0050】
また、配管46、配管47だけでなく、図2の配管41〜配管51を冷却用冷媒配管74を配置する連絡配管として用いることができる。ただし、配管41、50、51は一方が圧縮機1に接続されているので、振動が大きくなる。一方、第1実施形態では、空気熱交換器4は、筐体20に固定されているので、空気熱交換器4に一方が接続されている配管42、43は、振動抑制観点からは、好ましい。
【0051】
(5−2)変形例1B
第1実施形態では、配管である振動伝達抑制部72,76が直接底部材20aに接して固定されている場合について、説明した。変形例1Bでは、振動伝達抑制部72,76は、第3弾性部材を挟んで、底部材20aに固定している。留め具82、83で留めている点は同様である。また、留め具82,83と振動伝達抑制部72,76の間に、第3弾性部材を挟んでもよい。
【0052】
変形例1Bの冷凍サイクル装置は、第3弾性部材が振動を減衰するため、筐体に伝わる振動エネルギーを低減することができる。
【0053】
変形例1Bにおいて、第3弾性部材のばね定数は、第2弾性部材の単ばね定数以上としてもよい。このような構成によって、冷媒冷却配管74に伝わる振動による変位を、台21の振動による変位に比べて確実に抑制することができ、かつ、振動伝達抑制部72、76から筐体20に伝わる振動を減衰させることが可能になる。
【0054】
(5−3)変形例1C
実施形態1では、連絡配管の一部である振動伝達抑制部72、76を、筐体20に固定する場合について、説明した。変形例1Cは、可撓性のある金属で、連絡配管の一部を筐体20に縛り付けている。可撓性のある金属とは、たとえば、針金である。このような場合も、台21の振動が冷媒冷却配管74に伝わるのを抑制することができる。ただし、第1実施形態に比べると、その効果は限定される。
【0055】
(5−4)変形例1D
実施形態1では、連絡配管の一部である振動伝達抑制部72、76を、筐体20に固定する場合について、説明した。変形例1Dでは、振動伝達抑制部72、76は、トラップ部である。例としては、U字型に曲げられた配管である。
【0056】
トラップが台の振動に由来する変位を吸収し、冷媒冷却配管の振動を抑制することができる。そのために、冷媒冷却配管74に過大な集中応力がかかるのを防ぐことができる。
【0057】
(5−5)変形例1E
実施形態1では、連絡配管の一部である振動伝達抑制部72、76を、筐体20に固定する場合について、説明した。変形例1Eでは、振動伝達抑制部72、76は、可撓性を有する配管である。言い換えれば、フレキシブル配管である。可撓性を有する配管が台の振動に由来する変位を吸収し、冷媒冷却配管の振動を抑制することができる。そのために、冷媒冷却配管74に過大な集中応力がかかるのを防ぐことができる。
【0058】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
1 圧縮機
2 アキュムレーター
3 四方切換弁
4 空気熱交換器
5 ファン
6 ファンモータ
7 第1膨張弁
8 第2膨張弁
9 逆止弁
10 エコノマイザー熱交換器
11 水熱交換器
20 筐体
20a 底部材
21 台
23 第1弾性部材
24 第2弾性部材
30 電装品ユニット
31 電装品
71〜77 連絡配管
72、76 振動伝達抑制部
81 伝熱板
100 冷凍サイクル装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2005−241197号公報
図1
図2
図3
図4