【解決手段】香り放出システム1は、香り放出器300と、取得部610と、判断部620と、香り決定部630と、を備える。香り放出部は、放出する香りのパターンを複数有し、パターンに応じた香りを対象空間に放出する。取得部は、対象空間に居る人の活動状態及び/又は気分に関する人情報を取得する。判断部は、取得部が取得した人情報に基づいて、対象空間に居る人の活動状態及び/又は気分を判断する。香り決定部は、判断部の判断結果に基づいて、香り放出部のパターンを決定する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一実施形態に係る香り放出システム1について説明する。
【0027】
(1)全体構成
香り放出システム1の概要について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、香り放出システム1の概略構成図である。
図2は、香り放出システム1の概略ブロック図である。
【0028】
香り放出システム1は、対象空間Rに香りを放出するシステムである。具体的には、香り放出システム1は、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分を判断し、判断結果に応じた態様で(判断結果に応じて決定される香りのパターンに応じて)香りを対象空間に放出するシステムである。
【0029】
本実施形態では、対象空間Rは人が生活する住宅の部屋である。ただし、これに限定されるものではなく、対象空間Rはオフィスや工場内の空間であってもよいし、商業施設内の空間であってもよい。
【0030】
本実施形態では、人の活動状態とは、人がどの様な活動を行っている状態にあるかを意味する。本実施形態での人の活動状態(香り放出システム1により判断される人の活動状態)には、例えば、人が寝ている状態(就寝状態)、寝ていた人が起床した状態(起床状態)、人が何らかの作業をしている状態(作業状態)、人が帰宅して部屋に入ってきた状態、貧乏ゆすりをしている状態等を含む。なお、香り放出システム1は、作業状態について、より詳細に(例えば人が座ってパソコンを使用したり書き物をしたりしている状態や、人が立って掃除や調理などの作業を行っている状態や、人が会話をしている状態や、人が電話をしている状態等を区別して)判断してもよい。なお、ここで列挙した香り放出システム1が判断する人の活動状態は例示であり、香り放出システム1は、列挙した以外の人の活動状態を判断してもよいし、列挙した人の活動状態の一部又は全部を判断しなくてもよい。
【0031】
本実施形態では、人の気分とは、快/不快等の人の心身の状態を意味する。本実施形態での気分(香り放出システム1により判断される人の気分)には、例えば、眠気がある状態、疲労している状態、不機嫌な状態、憂鬱な状態等を含む。また、香り放出システム1により判断される人の気分には、緊張している状態や、リラックスしている状態等を含んでもよい。なお、ここで列挙した香り放出システム1が判断する人の気分は例示であり、香り放出システム1は、列挙した以外の人の気分を判断してもよいし、列挙した人の気分の一部又は全部を判断しなくてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、香りのパターンは、香りの種類、香りの放出量(香りの強さ)、香りの放出時間の組合せで決定される。つまり、ある香りのパターン(パターンXと称する)と、他の香りのパターン(パターンYと称する)が異なるとは、パターンXとパターンYとの間で、これらの要素の少なくとも1つが異なることを意味する。香りのパターンに関しての詳細は後述する。
【0033】
香り放出システム1を構成する機器について説明する。
【0034】
香り放出システム1は、香り放出器300が搭載された室内機10を有する空気調和装置100と、空気調和装置100(具体的には、後述する空気調和装置100のコントローラ50)とネットワークNWにより通信可能に接続されるサーバ200と、を主に含む(
図1及び
図2参照)。ネットワークNWは、ここではインターネットであるが、他のWANや、LANであってもよい。
【0035】
空気調和装置100は、ある建物(住宅A)に設置されている(
図1参照)。空気調和装置100は、室内機10の配置される住宅Aの部屋内(対象空間R)の空気調和を行う(
図1参照)。また、空気調和装置100の室内機10に搭載されている香り放出器300は、対象空間Rに香りを放出する。
【0036】
サーバ200は、各種処理を行うコンピュータである。サーバ200は、設置場所を限定するものではないが、通常、住宅Aとは別の場所に設置される。
【0037】
なお、
図1では、サーバ200は、住宅Aに設置されている空気調和装置100とのみネットワークNWを介して接続されているが、これに限定されるものではない。サーバ200は、ネットワークNWを介して複数の住宅(又は住宅以外の建物)の空気調和装置と接続されてもよい。言い換えれば、サーバ200は、住宅Aに設置された空気調和装置100と共に香り放出システム1を構成すると共に、他の建物に設置された空気調和装置と共に別の香り放出システムを構成してもよい。ここでは、説明の単純化のため、サーバ200は、住宅Aに設置されている空気調和装置100とのみ、ネットワークNWを介して接続されているものとする。
【0038】
また、ここでは、説明の単純化のため、住宅Aは1つの部屋(対象空間R)のみを有し、住宅Aには対象空間Rの空気調和のために1台の空気調和装置100が設置されるものとするが、これに限定されるものではない。例えば、住宅Aには、複数の部屋が存在し、複数の部屋のそれぞれに空気調和装置が設置されてもよい。また、ここでは、説明の単純化のため、空気調和装置100は、対象空間Rに香り放出器300が搭載された室内機10を1台だけ有するものとするが、空気調和装置100は、対象空間Rに2台以上の室内機10を有していてもよい。
【0039】
また、ここでは、サーバ200は1台のコンピュータであるが、これに限定されるものではない。サーバ200は、同じ場所に設置される、又は、互いに異なる場所に設置され互いにネットワークで接続される複数台のコンピュータで構成されてもよい。
【0040】
(2)詳細構成
以下に、
図1〜
図6を参照しながら、空気調和装置100と、サーバ200と、について更に説明する。また、以下では、空気調和装置100のコントローラ50とサーバ200とにより構成される制御装置600とについても詳しく説明する。
【0041】
なお、
図3は、空気調和装置100のコントローラ50及びサーバ200により構成される制御装置600の概略ブロック図である。
図4は、後述する制御装置600の記憶部670の対応情報データベース672に記憶される情報の一例である。
図5は、人の様々な活動状態/気分に適した香りの種類の例である。
図6は、制御装置600の記憶部670のパターンデータベース674に記憶されている香りのパターンの一例である。
【0042】
(2−1)空気調和装置
空気調和装置100は、室内機10が配置されている対象空間Rの冷房(除湿を含む)及び暖房を行う装置である。ここでは、空気調和装置100は、蒸気圧縮冷凍サイクルを利用して冷房/暖房を行う。ただし、空気調和装置100は、冷暖房を行う装置でなくてもよく、例えば、冷房専用の装置であってもよい。
【0043】
空気調和装置100は、室内機10と、室外機20と、室内機10と室外機20との間を接続する冷媒連絡配管(図示せず)と、リモートコントローラ30と、を主に有する(
図1及び
図2参照)。なお、
図1では壁掛式の室内機10が描画されているが、空気調和装置100は、天井設置式(天井埋込式や天井吊下式)や床置式等の他のタイプの室内機を有するものであってもよい。
【0044】
空気調和装置100では、室内機10と室外機20とが冷媒連絡配管を介して接続されることで、室内機10の室内熱交換器(図示省略)や、室外機20の圧縮機、室外熱交換器、膨張弁等(図示省略)が配管により接続され、冷媒回路が構成される。空気調和装置100は、冷媒回路内で冷媒を循環させ、対象空間Rの空気と冷媒回路を流れる冷媒との間で熱交換を行わせることで、室内機10の設置された対象空間Rの冷房/暖房を行う。具体的には、空気調和装置100は、室内機10の室内ファン12(
図2参照)を用いて、対象空間Rの空気を室内機10の筐体11(
図1参照)内に取り込んで室内熱交換器に供給し、室内熱交換器の内部を流れる冷媒と熱交換を行った空気を対象空間Rに吹き出して、対象空間Rの冷房/暖房を行う。なお、蒸気圧縮冷凍サイクルを利用した空気調和装置100の動作原理は公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
室内機10は、図示しない室内熱交換器、室内ファン12、室内熱交換器や室内ファン12を内部に収容する筐体11、対象空間Rの温度を測定する温度センサ14、対象空間Rの湿度を測定する湿度センサ16、及び室内コントローラ18を含む(
図1及び
図2参照)。室内コントローラ18は、例えば、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCU(Micro Control Unit)である。また、室内機10には、香り放出器300、カメラ410、及びマイク420が搭載されている。香り放出器300、カメラ410、及びマイク420については、後ほど説明する。
【0046】
室外機20は、図示しない圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、及び室外ファンや、室外機20の設置される屋外の温度を測定する温度センサ24や、室外コントローラ22を主に含む。室外コントローラ22は、例えば、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCUである。
【0047】
リモートコントローラ30は、空気調和装置100のユーザによる各種指示や各種情報の入力を受け付ける機器である。リモートコントローラ30は、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCUを含む。また、リモートコントローラ30は、図示しない表示部を有し、表示部に現在の空気調和装置100の運転状態等を表示可能に構成されていてもよい。
【0048】
室内コントローラ18と、室外コントローラ22と、リモートコントローラ30とは通信可能に接続されており、全体としてコントローラ50を構成する。空気調和装置100の動作は、コントローラ50により制御される。コントローラ50は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、リモートコントローラ30に入力されたユーザの指示や、空気調和装置100の各部に設けられたセンサの計測値に基づいて、空気調和装置100の空気調和に関連する機器の動作を制御する。なお、空気調和装置100の各部に設けられたセンサには、温度センサ14や、湿度センサ16や、温度センサ24を含む。コントローラ50が動作を制御する空気調和装置100の空気調和に関連する機器には、例えば、室外機20の図示しない圧縮機、膨張弁、及び室外ファンや、室内機10の室内ファン12を含む。コントローラ50による空気調和に関連する機器の動作の制御については、一般に知られているためここでは説明は省略する。
【0049】
コントローラ50は、図示しないモデム/ONUやルータ等を介してネットワークNWに接続され、サーバ200と通信可能に接続されている。コントローラ50は、サーバ200と共に制御装置600を構成する(
図3参照)。
【0050】
制御装置600は、香り放出システム1の香り放出器300の動作を制御する。概括すると、制御装置600は、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分を判断し、判断結果に基づいて香り放出器300が放出する香りのパターンを決定し、香り放出器300が決定したパターンで香りを放出するよう香り放出器300の動作を制御する。制御装置600については、後ほど詳しく説明する。
【0051】
(2−1−1)香り放出器
香り放出器300は、放出する香りのパターンを複数有し、パターンに応じた香りを対象空間Rに放出する香り放出部の一例である。
【0052】
なお、ここで、香り放出器300が放出する香りのパターンを複数有するとは、香り放出器300が香りのパターン(言い換えれば動作のパターン)を予め有していることを必ずしも意味するものではない。香り放出器300が放出する香りのパターンを複数有するという状態には、香り放出器300が制御装置600の指示に応じて動作のパターンを変更して香りを放出可能である状態を含む。
【0053】
香り放出器300は、複数の香料収容部(図示省略)を有している。複数の香料収容部には、それぞれ異なる種類の香料が収容されている。香料収容部に収容されている香料の種類には、例えば、ハーブ系、柑橘系、樹木系、スパイス系、ミント系、エキゾチック系、及びフローラル系の香料を含む。ただし、香料収容部に収容されている香料は、ここで列挙した種類の香料に限定されるものではない。香料収容部に収容されている香料は、列挙した種類以外の香料を含んでもよく、列挙した種類の香料の一部又は全てを含んでいなくてもよい。
【0054】
香り放出器300は、制御装置600の指示する香りのパターンに応じた香りを対象空間Rに放出する。なお、ここでは、香りのパターンは、前記のように、香りの種類、単位時間あたりの香りの放出量(香料の放出量)、及び香りの放出時間の3つの要素の組合せで定義される(
図6参照)。言い換えれば、香り放出器300は、放出する香り(香料)の種類、香料の単位時間あたりの放出量(以下では単に香料の放出量と呼ぶ)、及び香り(香料)の放出時間を制御可能に構成されている。
【0055】
なお、ここで示す香りのパターンは一例であって、これに限定されるものではない。例えば、香りのパターンは、上記の3つの要素のうちのいずれか1つで定義されてもよいし、上記の3つの要素のうちの2つの組合せで定義されてもよい。言い換えれば、香り放出器300は、例えば放出する香りの種類だけを変更可能に構成されていてもよいし、例えば放出する香りの種類及び香料の放出量だけを変更可能に構成されていてもよい。また、香りのパターンを定義する要素には、例えば、香りを放出するタイミングを含んでもよい。また、香り放出器300は、2つ以上の香料収容部に収容されている香料を同時に放出可能に構成されていてもよく、香りのパターンを定義する要素には、香りの混合率(例えば、同時に放出する種類aの香料の量と種類bの香料の量との比)を含んでもよい。
【0056】
香り放出器300は、例えば、室内機10の筐体11(
図1参照)の内部に収容されている(
図1では香り放出器300は図示せず)。香り放出器300は、例えば、室内機10の筐体11の前面パネルを開くことで各種メンテナンスが可能な位置に配置される。なお、香り放出器300の配置される位置は、室内機10の筐体11の内部に限定されるものではなく、筐体11の外面や、筐体11に隣接する位置等に取り付けられてもよい。
【0057】
なお、香り放出器300は、室内ファン12が生成する空気の流路に香料を放出することが好ましい。このように構成されることで、香り放出器300が放出する香りが空気の流れ対象空間Rに広がりやすい。
【0058】
(2−1−2)カメラ
カメラ410は、対象空間Rを撮像する装置である。カメラ410は、特には、対象空間Rに居る人を撮像することを目的とする装置である。カメラ410は、動画を撮像する装置であることが好ましい。ただし、後述する人の活動状態や気分の判断に静止画が利用される場合には、カメラ410は静止画を撮像する装置であってもよい。また、カメラ410は、カラー画像を撮像することが好ましいが、例えば色相の情報を利用しない場合にはモノクロ画像を撮像する装置であってもよい。カメラ410は、制御装置600と通信可能に接続される。カメラ410が撮像した画像(画像データ)は、制御装置600へと送信される。
【0059】
カメラ410は、例えば、室内機10の筐体11の前面パネルの外面に配置されている(
図1参照)。なお、カメラ410の配置される位置は、筐体11の前面パネルの外面に限定されるものではなく、適宜選択されればよい。例えば、カメラ410は、筐体11の下面に配置されてもよい。また、カメラ410は、筐体11上ではなく筐体11に隣接する位置等に取り付けられてもよい。ただし、カメラ410は、対象空間Rの広いエリアを撮影しやすい位置に配置されることが好ましい。
【0060】
なお、他の実施形態では、カメラ410は、室内機10とは独立した装置であって、筐体11とは離れた場所に配置されてもよい。この場合にも、カメラ410は、制御装置600と通信可能に接続され、制御装置600に対して画像データを送信可能に構成されていることが好ましい。
【0061】
なお、本実施形態では、カメラ410は1台であるが、カメラ410の台数は1台に限定されるものではなく、カメラ410は複数台であってもよい。
【0062】
(2−1−3)マイク
マイク420は、対象空間Rの音を電気信号に変換して取得する装置である。マイク420は、特には、対象空間Rに居る人が発する音を取得することを目的とする装置である。対象空間Rに居る人が発する音には、例えば、人の声や、ため息、あくび、息遣い、貧乏ゆすりの際に立てる騒音等を含む。なお、マイク420は、音の発生方向(例えば声の発せられている方向)を判別できるように複数のマイク素子を有することが好ましい。マイク420は、制御装置600と通信可能に接続される。マイク420の取得した音データは、制御装置600へと送信される。
【0063】
マイク420は、例えば、室内機10の筐体11の前面パネルの外面のカメラ410の近傍に配置されている(
図1参照)。なお、マイク420の配置される位置は、筐体11の前面パネルの外面に限定されるものではなく、適宜選択されればよい。例えば、マイク420は、カメラ410と離れた位置に配置されてもよい。また、マイク420は、筐体11の下面に配置されてもよい。また、マイク420は、筐体11上ではなく、筐体11に隣接する位置等に取り付けられてもよい。ただし、マイク420は、対象空間Rの音を取得しやすい位置に配置されることが好ましい。
【0064】
また他の実施形態では、マイク420は、室内機10とは独立した装置であって、筐体11とは離れた場所に配置されてもよい。この場合、マイク420は、制御装置600と通信可能に接続され、制御装置600に対して画像データを送信可能に構成されていることが好ましい。
【0065】
なお、本実施形態では、マイク420(一群のマイク素子)は1箇所にのみ配置されるが、マイク420は複数の場所に配置されてもよい。
【0066】
(2−2)サーバ
サーバ200は、ネットワークNWを介して空気調和装置100のコントローラ50と通信可能に接続され、コントローラ50と共に制御装置600を構成するコンピュータである。サーバ200は、CPU、RAM、ROM、及びハードディスク等の外部記憶装置を主に備えている。サーバ200は、ROMや外部記憶装置等に記憶された各種プログラムを実行することで、コントローラ50と共に制御装置600として各種処理を実行する。
【0067】
(2−3)制御装置
制御装置600は、ネットワークNWにより通信可能に接続される空気調和装置100のコントローラ50とサーバ200とにより構成される。
【0068】
制御装置600は、機能部として、取得部610と、判断部620と、香り決定部630と、香り放出器制御部640と、変化学習部650と、入力部660と、記憶部670と、を有する(
図3参照)。
【0069】
例えば、本実施形態では、サーバ200が取得部610及び判断部620としての機能を、コントローラ50のリモートコントローラ30が入力部660としての機能を、コントローラ50の室内コントローラ18が香り決定部630、香り放出器制御部640、及び変化学習部650としての機能を、それぞれ有する。また、記憶部670の対応情報データベース672、パターンデータベース674、及び変化データベース676は、コントローラ50が有する。ただし、制御装置600は、全体として、後述する取得部610、判断部620、香り決定部630、香り放出器制御部640、変化学習部650、入力部660、及び記憶部670として機能すればよく、コントローラ50及びサーバ200のいずれの部分がどの機能を発揮するかは適宜設計されればよい。
【0070】
(2−3−1)取得部
取得部610は、対象空間Rに居る人の活動状態及び/又は気分に関する人情報を取得する。具体的には、取得部610は、カメラ410から送信されてくる画像データ及びマイク420から送信される音データを人情報として取得する。
【0071】
取得部610は、カメラ410から送信されてくる対象空間Rの画像(画像データ)を取得する画像取得部612を含む。また、取得部610は、マイク420から送信されてくる対象空間Rの音(音データ)、特には対象空間Rに居る人が発する音を取得する音取得部614を含む。取得部610が取得した対象空間Rの画像及び音は、記憶部670に記憶され、後述する判断部620による処理等に使用される。
【0072】
(2−3−2)判断部
判断部620は、取得部610が取得した人情報(ここでは、画像データ及び音データ)に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分を判断する。例えば、判断部620は、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間に居る人の複数種類の活動状態(例えば、就寝状態、起床状態、作業状態、人が帰宅して部屋に入ってきた状態、貧乏ゆすりをしている状態等)を判断する。また、例えば、判断部620は、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間に居る人の複数種類の気分(例えば、眠気がある状態、疲労している状態、不機嫌な状態、憂鬱な状態等)を判断する。なお、判断部620は、取得部610が取得した人情報が、判断しようとする人の活動状態や気分のいずれにも当て嵌まらない場合には、“該当なし”という判断をしてもよい。
【0073】
判断部620は、画像前処理部622と、音声前処理部624と、識別器626と、を含む(
図3参照)。
【0074】
判断部620は、学習済みの識別器626を用いて、取得部610が取得した人情報(ここでは、画像データ及び音データ)に基づき、対象空間に居る人の活動状態及び気分を判断する(学習については後述する)。
【0075】
画像前処理部622は、取得部610が取得した人情報のうちの画像データの前処理として、判断部620が対象空間に居る人の活動状態及び気分を判断する際に用いる画像情報(後述する人物全身領域画像及び/又は人物局所領域画像)を抽出する。
【0076】
音声前処理部624は、取得部610が取得した人情報のうちの音データの前処理として、目的音区間検出を行い、目的音と雑音とが含まれる音データから、目的音が存在する区間とそれ以外の区間とを判別して、目的音が存在する区間を抽出する。ここでの目的音は、人が発する音声(ため息やあくびの時にでるような意味を持たない音声も含む)や、人が貧乏ゆすりの際に発生する音等である。また、音声前処理部624は、目的音に対して音声特徴量を抽出する処理を行う。
【0077】
(2−3−2−1)画像前処理部
画像前処理部622は、例えば取得部610が取得した画像データから人物全身領域画像を抽出する。例えば、画像前処理部622は、画像データと予め記憶部670に記憶されている背景画像との差分画像や、ある時点の画像とその時点より所定時間だけ前の画像との差分画像等を用いて画像が変化している移動物体領域(移動物体が写っていると考えられる領域)を抽出する。そして、画像前処理部622は、この移動物体領域(あるいは同一の物体によるものと考えられる一群の移動物体領域)の大きさや縦横比が人体の条件と合致する場合にこの領域を人物領域とし、この部分の画像を人物全身領域画像として抜き出す。画像前処理部622は、このような処理を行うことで、時系列の人物全身領域画像のデータを得る。また、画像前処理部622は、ある時点の人物全身領域画像とその時点より所定時間だけ前の人物全身領域画像との距離が所定距離以内にある場合に、その人物全身領域画像を同一人物によるものと対応付けることで、追跡処理を行うことができる。
【0078】
なお、人物全身領域画像の抽出方法は、ここに挙げたような方法に限定されるものではなく、例えば、人物テンプレートとのマッチング処理や、画像がカラーであれば色情報(肌の色)等を利用して人物全身領域画像の抽出が行われてもよい。また、他の手法として、カメラ410とは別の機器によって得られる情報(例えば、赤外線カメラによって得られる赤外線画像)を更に用いることで、人物全身領域画像が抽出されてもよい。また、人物全身領域画像の抽出には、公知の他の方法が用いられてもよい。また、追跡処理の方法も、ここに挙げたような方法に限定されるものではなく、公知の方法が適用されればよい。
【0079】
なお、画像前処理部622は、画像データから人物全身領域画像を抽出するという処理に加えて、又は、この処理に代えて、取得部610が取得した画像データから、対象空間Rに居る人の局所的な画像(例えば顔だけの画像や、腕や脚だけの画像等)を、人物局所領域画像として抽出してもよい。画像中の人物の局所領域の抽出には、各種の公知の方法が用いられればよい。
【0080】
なお、画像前処理部622がどの様な画像を抽出するかは、後述する識別器626がどのような入力に基づいて対象空間Rに居る人の活動状態及び気分を判断するように学習しているかに応じて決定されればよい。
【0081】
(2−3−2−2)音声前処理部
音声前処理部624は、目的音区間検出を行い、目的音と雑音とが含まれる音データから、目的音が存在する区間とそれ以外の区間とを判別して、目的音が存在する空間を抽出する。音声前処理部624は、例えば、音データの中で所定の音量以上の状態が所定時間以上連続する場合に、この区間を目的音区間として検出する。ただし、目的音区画検出の方法は、このような方法に限定されるものではなく、公知の各種手法が利用されればよい。
【0082】
また、音声前処理部624は、図示しない音響モデル等を参照しつつ、目的音から音声特徴量を抽出する。音声特徴量は、限定するものではないが、例えば、音量、テンポ、トーン、及び音声の意味等である。なお、音声前処理部624は、音響モデルの他、図示しない単語発音モデル及び言語モデル等を参照して音声をテキスト化し、音声の意味を認識する。なお、音声前処理部624による音声認識には、公知の各種手法が利用されればよい。
【0083】
(2−3−2−3)識別器
識別器626には、画像に関する情報(特にここでは人物全身領域画像及び/又は人物局所領域画像)及び/又は音に関する情報(特にここでは音声特徴量)が入力された際に、人の活動状態又は気分を判断結果として出力するように学習処理が行われている。本実施形態では、識別器626には、機械学習による学習処理が行われている。ここで、機械学習とは、コンピュータが、ルールベースではなく(判断のための規則等が予め与えられなくても)、与えられた情報に基づいて学習し、自律的に判断のための規則を見つけ出すことが可能な技術・手法を意味する。
【0084】
なお、識別器626が異なる入力に対して識別を行う場合には、識別器626は複数の識別器から構成されてもよい。例えば、識別器626が、画像に関する情報だけからある種の人の活動状態及び気分を判断し、かつ、音に関する情報だけから他の種の人の活動状態及び気分を判断し、かつ、画像に関する情報及び音に関する情報から更に他の種の人の活動状態及び気分を判断するような場合には、識別器626はそれぞれ異なる入力に対して識別を行う複数の識別器から構成されてもよい。
【0085】
識別器626は、例えば教師あり学習により学習済みである。なお、ここで、教師あり学習とは、入力とこれに対応する出力の正解(人の活動状態又は気分)とを関連付けたデータ(教師データ)を提供することで、識別器626に学習させる機械学習の手法を意味する。
【0086】
例えば、学習中の識別器626には、人の画像とその画像が撮影された時のその人の活動状態又は気分とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。なお、ここでの人の画像は、人の全身の画像(人物全身領域画像に対応する画像)であってもよいし、人の局所的な画像(人物局所領域画像に対応する画像)であってもよく、人の活動状態及び/又は気分を判断する上で利用可能な画像が選択されればよい。また、ここでの人の画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、学習中の識別器626には、様々な人が発生する音の音声特徴量とその人がその音を発生している時の活動状態又は気分とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。また、学習中の識別器626には、これらのデータに加えて、又は、これらのデータに代えて、様々な人の画像及びその画像の撮像時に人が発生する音の音声特徴量と、画像の撮像時のその人の活動状態又は気分とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供されてもよい。
【0087】
なお、例えば、ある個人に関してのみ、その人の活動状態及び気分を判断するような場合であれば、学習中の識別器626には、その個人の画像/発生する音とその人の活動状態又は気分とを関連付けた教師データが提供されてもよい。一方で、識別器626に汎用性をもたせる場合には、学習中の識別器626には、様々な人の画像/発生する音とそれらの人の活動状態又は気分とを関連付けた教師データが提供されることが好ましい。
【0088】
識別器626が用いる学習アルゴリズムは、例えば、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)であるが、その他の公知の機械学習アルゴリズム(例えばSVM(Support Vector Machine)等)であってもよい。なお、上記のように識別器626が異なる入力に対して識別を行うために複数の識別器を有する場合や、後述するような処理が複数の処理に分割され、分割されたそれぞれの処理が異なる識別器で実行されるような場合には、識別器のそれぞれの学習には、互いに異なる学習アルゴリズムが利用されてもよい。
【0089】
判断部620は、画像前処理部622が抽出した人物全身領域画像及び/又は人物局所領域画像、及び/又は、音声前処理部624が抽出した音声特徴量を入力されると、学習済みの識別器626を用いて、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。つまり、判断部620は、例えば、画像前処理部622が抽出した人物全身領域画像に基づいて(画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の全身の動きに基づいて)、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。例えば、判断部620は、画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の姿勢の変化に基づいて、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。また、判断部620は、例えば、画像前処理部622が抽出した人物局所領域画像に基づいて(画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の局所的な動きに基づいて)、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。例えば、判断部620は、画像取得部612が取得した対象空間Rの顔の筋肉(例えば眉間や口周りの筋肉)の動きや、対象空間Rの手や脚の筋肉の動きに基づいて、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。なお、判断部620は、画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の全身や局所の動きだけではなく、ある瞬間的な状態(例えば、人のとっているポーズや、顔の表情、皺のより方)や、色相又はその変化(例えば顔が紅潮しているなど)に基づいて、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断してもよい。また、判断部620は、例えば、画像前処理部622が抽出した音声特徴量に基づいて(音取得部614が取得した対象空間Rに居る人の発する音に基づいて)、学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。
【0090】
なお、判断部620は、画像前処理部622が抽出した人物全身領域画像及び/又は人物局所領域画像、及び/又は、音声前処理部624が抽出した音声特徴量以外の情報に更に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態や気分を判断してもよい。
【0091】
例えば、判断部620は、画像前処理部622が抽出した人物全身領域画像等を用いて対象空間Rに人が入ってきた状態(住宅Aへの帰宅状態)を判断し、更に温度センサ24の計測する室外の温度の情報を用いて、対象空間Rに寒い空間から帰宅した人が入ってきた状態を判断してもよい。
【0092】
(2−3−3)香り決定部
香り決定部630は、判断部620の判断結果(対象空間Rに居る人の活動状態又は気分)に基づいて、香り放出器300の香りのパターンを決定する。また、香り決定部630は、温度センサ14の検出する対象空間Rの温度の測定結果及び/又は湿度センサ16の検出する対象空間Rの湿度の測定結果に更に基づいて香り放出器300の香りのパターンを決定することが好ましい。ここでは、香り決定部630は、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分、対象空間Rの温度、及び対象空間Rの湿度に基づいて、香り放出器300の香りのパターンを決定する。
【0093】
具体的には、香り決定部630は、後述する記憶部670の対応情報データベース672に記憶された情報に基づき、香り放出器300の香りのパターンを決定する。ここでは、対応情報データベース672に記憶された情報は、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分、対象空間Rの温度、及び対象空間Rの湿度の組合せと、香り放出器300の香りのパターンとを関連付けたリストである(
図4参照)。例示する
図4のリストでは、温度・湿度が所定のしきい値で高/中/低の三段階に分けられ、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分のそれぞれに関し、温度・湿度の段階の組合せに対して香りのパターンが準備されている。
【0094】
(2−3−4)香り放出器制御部
香り決定部630が香りのパターンを決定すると、香り放出器制御部640は、決定された香りのパターンに応じた香りを香り放出器300が対象空間Rに放出するように、香り放出器300を制御する。
【0095】
具体的には、香り放出器制御部640は、香り決定部630が香りのパターンを決定すると、記憶部670のパターンデータベース674を参照する。パターンデータベース674は、香りのパターン毎に、香りの種類、香りの放出量(香料の単位時間あたりの放出量)、及び香りの放出時間を記憶したリストである(
図6参照)。香り放出器制御部640は、香り決定部630が決定した香りのパターンに対応する香りの種類、香りの放出量、及び香りの放出時間を読み出して、読み出した条件で香り放出器300が動作するように香り放出器300を制御する。
【0096】
なお、香り放出器制御部640は、空気調和装置100が運転中である時にだけ、香り放出器300が香りを放出するように香り放出器300を制御してもよい。
【0097】
また逆に、香り放出器制御部640は、空気調和装置100が停止中であっても、香り放出器300が香りを放出するように香り放出器300を制御してもよい。なお、空気調和装置100が停止中に香り放出器300を動作させる場合、香り放出器制御部640は、空気調和装置100のコントローラ50に対し室内ファン12の動作を要求してもよい。
【0098】
(2−3−5)変化学習部
変化学習部650は、香りのパターンに応じた香りを香り放出器300が放出する前後の人の活動状態及び/又は気分の変化を学習する。具体的には、変化学習部650は、香り決定部630が決定した香りのパターンと、その香りのパターンに応じた香りを香り放出器300が放出する前後の人の活動状態及び/又は気分の変化と、を関連付けて、記憶部670の変化データベース676に記憶する。
【0099】
より具体的には、変化学習部650は、香り決定部630が香りのパターンを決定すると、香り決定部630が香りのパターンの決定に用いた対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を、香り放出器300が対象空間Rに香りを放出する前の対象空間Rに居る人の活動状態又は気分として記憶部670の変化データベース676に記憶する。また、変化学習部650は、香り放出器300が対象空間Rに香りを放出すると、放出開始から所定時間後に判断部620が判断した対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を、香り放出器300が対象空間Rに香りを放出した後の対象空間Rに居る人の活動状態又は気分として記憶部670の変化データベース676に記憶する。
【0100】
なお、変化学習部650は、香りの効果の評価に適した学習を行うことが好ましい。例えば、変化学習部650は、対象空間Rに居る人の気分が眠気のある状態と判断された結果、その気分に基づいて決定された香りのパターンで香り放出器300が対象空間Rに香りを放出した場合、対象空間Rに居る人の気分が眠気の無い状態に変わったか(眠気のある状態と判断されないか)を学習することが好ましい。また、変化学習部650は、例えば、対象空間Rに居る人の気分が不機嫌や憂鬱な状態と判断された結果、その気分に基づいて決定された香りのパターンで香り放出器300が対象空間Rに香りを放出した場合、対象空間Rに居る人の気分が機嫌の良い状態に変わったか(不機嫌や憂鬱な状態と判断されないか)を学習することが好ましい。また、変化学習部650は、例えば、対象空間Rに居る人の活動状態が起床時と判断された結果、その活動状態に基づいて決定された香りのパターンで香り放出器300が対象空間Rに香りを放出した場合、対象空間Rに居る人の気分が眠気の無い状態に変わったか(眠気のある状態と判断されないか)、あるいは、対象空間Rに居る人の活動状態が作業状態に変わったかを学習することが好ましい。
【0101】
なお、変化学習部650は、香り放出器300が香りパターンに応じて対象空間Rに香りを放出した時に、その前後の対象空間Rに居る人の活動状態及び/又は気分の変化を常に学習する必要はない。例えば、変化学習部650は、香り決定部630が香りパターンの決定に用いる対象空間Rに居る人の活動状態又は気分が所定の種類であった場合にだけ、学習を行うように構成されてもよい。
【0102】
なお、変化学習部650が学習し、記憶部670の変化データベース676に記憶された情報は、例えば、リモートコントローラ30に設けられた図示しない表示部に表示される。また、変化学習部650が学習し、記憶部670の変化データベース676に記憶された情報は、ユーザの携帯情報端末やコンピュータ等に送信されてもよい。また、制御装置600は、変化データベース676に記憶された情報をそのままユーザに提示する代わりに、変化データベース676に記憶された情報に基づき導出されるどのように制御を変更したらよいかという推奨をユーザに提示してもよい。情報を見たユーザは、ある香りのパターンの効果が充分でない場合(例えば、香りを放出しても眠気に変化が無いような場合)には、後述する入力部660から、パターンデータベース674に記憶された情報や、対応情報データベース672に記憶された情報を適宜変更することができる。
【0103】
また、変化学習部650は、学習結果に基づいて、パターンデータベース674に記憶された情報や、対応情報データベース672に記憶された情報を自動で変更してもよい。
【0104】
例えば、変化学習部650は、ある香りのパターンの効果が充分でない場合(例えば、香りを放出しても眠気に変化が無いような場合)に、パターンデータベース674に記憶された情報(香りの種類や、香料の放出量、香りの放出時間)を適宜書き換えてもよい。具体的には、変化学習部650は、香り放出器300が香りを放出しても人の眠気に変化が無いような場合に、香り放出器300がより刺激の強い種類の香りや、より強い(濃い)香りを放出するようにパターンデータベース674に記憶された情報を書き換えてもよい。
【0105】
また、例えば、変化学習部650は、ある香りのパターンの効果が充分でない場合(例えば、香りを放出しても眠気に変化が無い場合)には、対応情報データベース672に記憶された情報を適宜書き換えてもよい。具体的には、変化学習部650は、香り放出器300が香りを放出しても人の眠気に変化が無いような場合に、対応情報データベース672の書き換え後に、書き換え前に比べて、香り放出器300が同一条件において(同一の人の活動状態又は気分、同一の温度、同一の湿度において)刺激の強い香りを放出するように、対応情報データベース672に記憶された情報を書き換えてもよい。
【0106】
(2−3−6)入力部
入力部660は、香り放出器300に対するユーザの指示を受け付ける機能部である。例えば、入力部660は、香り放出器300のオン/オフ、香り放出器300の自動運転/手動運転等の指示を受け付ける。なお、香り放出システム1は、入力部660が香り放出器300の自動運転の指示を受け付けている時に、判断部620の判断結果に基づいて香り決定部630が香り放出器300の香りのパターンを決定し、香り放出器300が決定された香りのパターンに応じた香りを対象空間Rに放出する。なお、ここでは、香り放出器300が手動運転される場合の香り放出器300の動作に関しては説明を省略する。
【0107】
また、制御装置600では、対応情報データベース672に記憶された情報や、パターンデータベース674に記憶された情報が、入力部660に対するユーザの入力に基づいて書き換え可能に構成されていることが好ましい。つまり、制御装置600では、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分、対象空間Rの温度及び湿度に対してどの香りパターンを用いるかが、入力部660に対するユーザの入力により変更可能に構成されていることが好ましい。また、制御装置600では、ある香りのパターンにおいて、どの種類の香りを、どれだけの放出量で、どれだけの時間放出するかを、入力部660に対するユーザの入力により変更可能に構成されていることが好ましい。
【0108】
なお、対応情報データベース672及びパターンデータベース674には、予めデフォルトのデータが記憶されていることが好ましい。
図5は、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分に対し、どのような種類の香りが一般的に適しているかを示すリストである。対応情報データベース672及びパターンデータベース674には、
図5のような情報に基づきデフォルトのデータが記憶されている。しかし、香りには個人的な好き嫌いもあるため、対応情報データベース672及びパターンデータベース674の情報は、上記のように入力部660からの入力により変更可能に構成されていることが好ましい。
【0109】
なお、制御装置600では、対応情報データベース672及びパターンデータベース674に記憶されている全ての情報を書き換え可能でなくてもよい。例えば、制御装置600では、対象空間Rに居る人のある活動状態又は気分に応じて香り放出器300が放出する香りの種類だけを、入力部660からの入力により変更可能に構成されていてもよい。
【0110】
(2−3−7)記憶部
記憶部670は、制御装置600で用いられる各種情報を記憶している。例えば、記憶部670には、取得部610が取得した対象空間Rの画像及び音が記憶される。
【0111】
また、記憶部670は、情報の記憶領域として、対応情報データベース672、パターンデータベース674、及び変化データベース676を有している。対応情報データベース672、パターンデータベース674、及び変化データベース676に記憶される情報については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0112】
(3)対象空間の香り制御
図7を参照しながら、香り放出システム1による対象空間Rの香り制御について説明する。なお、ここで説明するフローチャートは制御フローの一例であって、制御フローを限定するものではない。
【0113】
ここでは、判断部620は、所定時間毎に、取得部610が取得した人情報(例えば、直前の所定期間(例えば10秒間)に、カメラ410が撮像した画像及びマイク420が取得した音)に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態及び/又は気分を判断するものとする。所定時間は、比較的短い時間(例えば1分毎)であってもよいし、比較的長い時間(例えば30分毎)であってもよい。また、ここでは、判断部620は、取得部610が取得した人情報が、判断しようとする人の活動状態や気分のいずれにも当て嵌まらない場合に、“該当なし”という判断をするものとする。
【0114】
あるタイミングで(ステップS1で)、判断部620が、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分について、“該当なし”以外の判断をしたとする。例えば、ここでは、判断部620が、対象空間Rに居る人の気分を眠気がある状態と判断したとする。判断部620の判断結果は、香り決定部630に対して通知される。
【0115】
香り決定部630は、判断部620から判断結果が通知されると、温度センサ14が計測した対象空間Rの温度と、湿度センサ16が計測した対象空間Rの湿度と、を取得する(ステップS2)。
【0116】
次に、香り決定部630は、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分と、対象空間Rの温度と、対象空間Rの湿度と、に基づいて、香り放出器300の香りのパターンを決定する(ステップS3)。具体的には、香り決定部630は、記憶部670に記憶された情報(対応情報データベース672の情報、ここでは
図4のリスト)に基づき、香り放出器300の香りのパターンを決定する。
【0117】
より具体的には、香り決定部630は、対象空間Rの温度をしきい値と比較して、対象空間Rの温度が
図4のリストでいうところの高/中/低のいずれの段階に相当するかを判断する。また、香り決定部630は、対象空間Rの湿度をしきい値と比較して、対象空間Rの湿度が
図4のリストでいうところの高/中/低のいずれの段階に相当するかを判断する。例えば、ここでは、対象空間Rの温度は
図4のリストでいうところの“中”の段階に相当し、対象空間Rの湿度は
図4のリストでいうところの“中”の段階に相当すると判断されたものとする。次に、香り決定部630は、
図4のリストを参照し、判断部620が判断した対象空間Rに居る人の活動状態又は気分(ここでは眠気のある状態)と、対象空間Rの温度の段階(ここでは“中”)と、対象空間Rの湿度の段階(ここでは“中”)と、に対応するパターン(ここでは“パターン5”)を特定し、このパターンを香り放出器300の香りのパターンと決定する。
【0118】
次にステップS4では、香り放出器制御部640が、香り決定部630が決定した香りのパターンで、香り放出器300の動作を制御する。具体的には、香り放出器制御部640は、記憶部670(パターンデータベース674、ここでは
図6のリスト)を参照し、香り決定部630が決定した香りのパターンに対応する香りの種類、香料の放出量、香りの放出時間を特定する。例えば、香り決定部630が決定した香りのパターンが“パターン5”である場合、香り放出器制御部640は、
図6のリストを参照して、香りの種類、香料の放出量及び香りの放出時間を、“ハーブ系”、“b2”及び“T1”と特定する。そして、香り放出器制御部640は、この特定した内容で、香り放出器300の動作を制御する。つまり、香り放出器制御部640は、“ハーブ系”の香りの香料を、単位時間に放出量“b2”だけ、“T1”時間にわたって放出するように、香り放出器300の動作を制御する。
【0119】
次に、香り放出器制御部640の制御により香り放出器300が香りを放出し始めてから所定時間が経過すると、取得部610が、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分に関する人情報を取得する(ステップS5)。具体的には、画像取得部612がカメラ410から送信されてくる対象空間Rの画像データ(例えば直前の10秒間の画像データ)を取得し、音取得部614がマイク420から送信されてくる対象空間Rの音データ(例えば直前の10秒間の音データ)を取得する。なお、取得部610が人情報を取得するタイミングは、香り放出器300の香り放出中であってもよいし、香り放出器300が香りを放出し終わった後(例えば、ここでは香り放出器300が香りを放出し始めてから、“T1”時間が経過した後)であってもよい。
【0120】
次に、ステップS6では、判断部620が、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態及び/又は気分を判断する。
【0121】
次に、ステップS7では、変化学習部650が、香り放出器300が香りのパターンに応じた香りを放出する前後の人の活動状態及び/又は気分の変化を学習する。具体的には、変化学習部650は、ステップS3で決定された香りのパターンと、香り放出器300が香りを放出する前後の活動状態又は気分(ステップS1の判断結果及びステップS6の判断結果)と、を関連付けて、記憶部670の変化データベース676に記憶する。また、変化学習部650は、前記のように、学習結果に基づいて対応情報データベース672やパターンデータベース674の内容を適宜書き換えてもよい。
【0122】
ステップS7の終了後、判断部620は、再び、所定時間毎に、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分を判断する。そして、判断部620が、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態又は気分について、“該当なし”以外の判断をすると、再びステップS2以後の一連のステップが実行される。
【0123】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の香り放出システム1は、香り放出部の一例としての香り放出器300と、取得部610と、判断部620と、香り決定部630と、を備える。香り放出器300は、放出する香りのパターンを複数有し、香りのパターンに応じた香りを対象空間Rに放出する。取得部610は、対象空間Rに居る人の活動状態及び/又は気分に関する人情報を取得する。判断部620は、取得部610が取得した人情報に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分の少なくとも一方を判断する。香り決定部630は、判断部620の判断結果に基づいて、香り放出器300の香りのパターンを決定する。
【0124】
ここでは、人の活動状態や気分に基づいて放出される香りが決定されるので、対象空間Rに居る人にとって適切な香りが放出されやすい。
【0125】
(4−2)
本実施形態の香り放出システム1では、判断部620は、複数種類の活動状態及び複数種類の気分を判断する。香り放出システム1は、複数種類の活動状態のそれぞれ及び複数種類の気分のそれぞれと、香りのパターンと、を関連付けて記憶する記憶部670を備える。香り決定部630は、記憶部670に記憶された情報に基づき香りのパターンを決定する。
【0126】
ここでは、人の活動状態及び/又は気分と香りのパターンとが紐付けられて記憶されているので、人の活動状態及び/又は気分に応じた適切な香りを放出することができる。
【0127】
(4−3)
本実施形態の香り放出システム1では、取得部610は、対象空間Rの画像を取得する画像取得部612を含む。
【0128】
判断部620は、少なくとも画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の局所的な動き(人物局所領域画像)に基づいて、人の活動状態及び気分の少なくとも一方を判断することが好ましい。
【0129】
また、判断部620は、画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の局所的な動きに代えて、又は、画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の局所的な動きに加えて、画像取得部612が取得した対象空間Rに居る人の全身の動き(人物全身領域画像)に基づいて、人の活動状態及び気分の少なくとも一方を判断することが好ましい。
【0130】
ここでは、人の局所的な動き(例えば、顔の表情の変化や、腕や脚の動き等)や、人の全身の動きに基づき、人の活動状態及び/又は気分を精度よく判断できる。
【0131】
(4−4)
本実施形態の香り放出システム1では、取得部610は、対象空間Rに居る人が発する音を取得する音取得部614を含む。
【0132】
判断部620は、画像取得部612が取得する対象空間Rの画像に代えて、又は、対象空間Rの画像に加えて、音取得部614が取得した対象空間Rに居る人の発する音から、活動状態及び気分の少なくとも一方を判断することが好ましい。
【0133】
ここでは、人の発する音に基づき、人の活動状態及び/又は気分を精度よく判断できる。なお、特に、判断部620が画像と人の発する音との両方を入力として用いて人の活動状態及び/又は気分を判断する場合、どちらか一方だけを入力に用いる場合に比べ、より高い精度の判断が行われやすい。
【0134】
(4−5)
本実施形態の香り放出システム1では、香り放出器300は、空気調和装置100の室内機10に搭載されている。そのため、香り放出器300から放出される香りを、室内機10の室内ファン12を利用して対象空間Rに拡散させることが容易である。
【0135】
(4−6)
本実施形態の香り放出システム1は、対象空間Rの温度を計測する温度センサ14及び対象空間Rの湿度を計測する湿度センサ16の少なくとも一方を備えることが好ましい。特に好ましくは、本実施形態のように、香り放出システム1は、温度センサ14及び湿度センサ16の両方を備えている。香り決定部630は、温度センサ14及び湿度センサ16の計測結果に更に基づいて、香りのパターンを決定する。なお、温度センサ14及び湿度センサ16は、計測部の一例である。
【0136】
ここでは、人の活動状態/気分に加え、対象空間Rの環境に更に基づいて香りが決定されるため、対象空間Rに居る人にとって最適な香りが放出されやすい。
【0137】
(4−7)
本実施形態の香り放出システム1は、香り放出器300が香りのパターンに応じた香りを放出する前後の活動状態及び/又は気分の変化を学習する変化学習部650を備える。変化学習部650は、学習部の一例である。
【0138】
ここでは、香りを放出した結果、人の活動状態や気分にどのような変化が生じたかが学習されるため、香り決定部630が決定した香りが適切であったか評価できる。
【0139】
また、このように構成することで、ユーザが変化学習部650の学習結果を参照し、入力部660から手動で香り放出器300の制御内容を修正することが可能である。また、このように構成することで、制御装置600に、変化学習部650の学習結果に基づいて自動で香り放出器300の制御内容を修正させることも可能になる。その結果、香り放出システム1が人の活動状態や気分に応じて放出する香りの最適化が特に図られやすい。
【0140】
(5)変形例
以下に上記実施形態の変形例を説明する。なお、各変形例の構成の一部又は全部は、他の変形例の構成の一部又は全部と互いに矛盾しない範囲で複数組み合わされてもよい。
【0141】
(5−1)変形例A
上記実施形態では、香り放出システム1の制御装置600は、空気調和装置100のコントローラ50及びサーバ200により構成される。しかし、制御装置600の構成は、これに限定されるものではない。例えば、香り放出システム1にはサーバ200は含まれず、コントローラ50だけで制御装置600として機能してもよい。また、主にサーバ200だけで制御装置600として機能し、制御装置600が香り放出器300に指令を送信することで香り放出器300を制御してもよい。
【0142】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、香り放出部の一例である単一の香り放出器300がパターンに応じた香りを対象空間Rに放出するが、これに限定されるものではない。
【0143】
例えば、香り放出部は、それぞれが異なる種類の香りを放出する複数の香り放出器から構成されてもよい。そして、香り放出器制御部640は、香り決定部630が決定した香りの種類に応じて、1つ又は複数の香り放出器の動作を制御してもよい。
【0144】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、判断部620は、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分の両方を判断するが、これに限定されるものではなく、対象空間Rに居る人の活動状態及び気分の一方だけを判断してもよい。
【0145】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、香り放出システム1がカメラ410及びマイク420を備えているが、これに限定されるものではない。香り放出システム1は、システム外部のカメラ(例えば、ユーザの携帯情報端末)で撮像された画像や、システム外部のマイク(例えば、ユーザの携帯情報端末)で集音された音を取得するようにしてもよい。
【0146】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、判断部620の判断結果に基づいて香り放出器300の香りのパターンが決定され、香り放出器300は決定された香りのパターンに応じた香りを対象空間Rに放出するが、香り放出システム1では、このような態様に加え、更に以下のような動作を行ってもよい。
【0147】
例えば、香り放出システム1は、判断部620が、対象空間Rに居る人の活動状態が特定の活動状態であると判断した場合や、対象空間Rに居る人の気分が特定の気分であると判断した場合に、香り放出器300の動作を停止させてもよい。つまり香り放出システム1は、判断部620が、対象空間Rに居る人の活動状態が特定の活動状態であると判断した場合や、対象空間Rに居る人の気分が特定の気分であると判断した場合に、香り放出器300の動作を停止させてもよい。
【0148】
(5−6)変形例F
上記実施形態では、香り放出システム1の制御装置600は、空気調和装置100のコントローラ50及びサーバ200から構成される。しかし、これに限定されるものではない。例えば、香り放出器300が自らのコントローラを有し、香り放出システム1の制御装置600は、香り放出器300が自らのコントローラ及びサーバ200から構成されてもよい。
【0149】
(5−7)変形例G
上記実施形態では、判断部620が機械学習により学習済みの識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態や気分を判断するが、判断部620は必ずしも識別器626を用いて対象空間Rに居る人の活動状態や気分を判断しなくてもよい。例えば、人がルール(画像・音にαという特徴がある場合には、対象空間Rに居る人はβという活動状態であるというようなルール)を制御装置600に予め与えることが可能であれば、判断部620は、対象空間Rに居る人の活動状態や気分をそのルールに基づいて判断してもよい。ここでのルールは、例えば、眉間に皺が寄り、かつ、腕を組んでいれば、対象空間Rに居る人は不機嫌であるというようなルールである。
【0150】
(5−8)変形例H
上記実施形態では、判断部620は、画像を判断に用いる際、人物全身領域画像及び/又は人物局所領域画像に基づいて(つまり、人の画像に基づいて)、対象空間Rに居る人の活動状態や気分を判断しているが、判断の手法は、このような態様に限定されるものではない。例えば、判断部620は、人の画像に加え、背景画像の情報(人がどこにいるか等の情報)に更に基づいて、対象空間Rに居る人の活動状態や気分を判断してもよい。
【0151】
(5−9)変形例I
上記実施形態では、香り放出器300が空気調和装置100の室内機10に搭載されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。香り放出器300は、他の装置、例えば空気清浄機や加湿器等に搭載されていてもよい。また、香り放出器300は、独立した装置(空気調和装置100等とは独立して対象空間Rに設置される装置)であってもよい。
【0152】
以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。