【解決手段】表示装置管理システム10は、表示装置20a及び20bに表示された第1画像及び第2画像を撮影することによって撮影画像13a及び13bを生成する少なくとも一つの撮影装置30と、撮影装置30で生成された撮影画像13a及び13bを取得し、表示装置20a及び20bの表示特性を特定し、特定した表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があるか否かを判断し、差があると判断した場合に、当該差を示す差情報15を撮影装置30に送信するサーバ装置50とを備え、撮影装置30は、サーバ装置50から差情報15を受信した場合に、受信した差情報15を提示する。
前記サーバ装置は、前記第1表示装置の表示特性と前記第2表示装置の表示特性との間に差があると判断した場合に、さらに、前記第1表示装置の表示特性と前記第2表示装置の表示特性との差を小さくするための、前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一方の表示特性を補正する補正データを生成し、生成した前記補正データを前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一方に向けて送信する
請求項1記載の表示装置管理システム。
前記撮影装置は、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像をパブリックデータとして前記サーバ装置に送信し、前記パブリックデータとは異なる別の情報をプライベートデータとして前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記撮影装置から受信した前記プライベートデータを、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の所有者、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の管理者及び一般ユーザのうちの、前記一般ユーザを除く前記所有者又は前記管理者に提供し、前記撮影装置から受信した前記パブリックデータを、前記所有者、前記管理者及び前記一般ユーザに提供する
請求項4記載の表示装置管理システム。
前記プライベートデータは、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の所有者、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の管理者、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の個体名、及び、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の設置場所に関する情報の少なくとも1つを含み、
前記パブリックデータは、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の個体ID、前記第1表示装置又は前記第2表示装置の製造会社、前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像に基づく測定データに関する情報の少なくとも1つを含む、請求項5記載の表示装置管理システム。
前記撮影装置は、(1)前記プライベートデータを暗号文で、かつ、前記パブリックデータを平文で前記サーバ装置に送信する第1送信方法、及び、(2)前記プライベートデータを、使用できる者が制限される専用回線で、かつ、前記パブリックデータを、使用できる者が制限されない公衆回線で前記サーバ装置に送信する第2送信方法の少なくとも一つを用い、
前記サーバ装置は、(1)前記プライベートデータを暗号文で、かつ、前記パブリックデータを平文で保存する第1保存方法、及び、(2)前記プライベートデータを、使用できる者が制限される記憶領域に、かつ、前記パブリックデータを、使用できる者が制限されない記憶領域に保存する第2保存方法の少なくとも一つを用い、
前記サーバ装置は、(1)前記プライベートデータを、前記サーバ装置へのアクセスが制限される者に、かつ、前記パブリックデータを前記サーバ装置へのアクセスが制限されない者に提供する第1提供方法、及び、(2)前記プライベートデータを、前記サーバ装置へのアクセスが許可された端末装置に、かつ、前記パブリックデータを前記サーバ装置にアクセスしてきた端末装置に提供する第2提供方法の少なくとも一つを用いる
請求項5又は6記載の表示装置管理システム。
前記パブリックデータには、さらに、当該パブリックデータに含まれる撮影画像に対応する表示装置の識別情報、前記表示装置の製造会社、前記表示装置の測定結果、及び、前記表示装置の通電時間の少なくとも一つが含まれる
請求項5〜7のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
前記サーバ装置は、前記撮影装置から受信した前記パブリックデータに含まれる前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像を解析して蓄積することで、前記第1表示装置及び前記第2表示装置の表示特性の経年変化を特定し、特定した前記経年変化に基づいて前記第1表示装置及び前記第2表示装置の寿命を予測し、予測した前記寿命に関する情報を、前記パブリックデータを提供した者に提供する
請求項5〜8のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
前記サーバ装置は、第3表示装置及び第4表示装置を相互リンクの対象とする登録をしている場合に、前記第3表示装置の表示特性を変更する指示を受けたときに、(1)前記第3表示装置の表示特性を変更するとともに、前記第4表示装置の表示特性も変更する、(2)前記第3表示装置の表示特性を変更しない、(3)警告を提示する、及び、(4)前記第3表示装置の表示特性を変更した後、一定の条件が満たされたときに前記第3表示装置の表示特性を変更前の状態に戻す、の少なくとも一つを行う
請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
前記撮影装置は、前記補正データが重畳された映像信号を前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一方に入力させることで、前記補正データを前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一方に転送する
請求項11記載の表示装置管理システム。
前記サーバ装置は、前記第1表示装置の表示特性と前記第2表示装置の表示特性とを合わせる指示を受け付けた場合に、(1)前記第1表示装置及び前記第2表示装置のうち、表示特性の性能が優れた一方の表示特性を校正する、(2)前記第1表示装置及び前記第2表示装置の表示特性を所定の基準に合わせる校正をする、(3)前記第1表示装置及び前記第2表示装置のうち、表示特性の性能が劣る一方に対して、前記表示特性の劣る箇所を示す画像を提示させる、及び、(4)前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一方の表示特性をユーザから指示された基準に合わせる校正をする、の少なくとも一つを行う
請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
前記サーバ装置は、前記第1表示装置及び前記第2表示装置の液晶モードが異なる場合に、(1)液晶モードが異なることを提示する、(2)見え方が異なる可能性がある部位を提示する、及び、(3)見え方の差を抑制できる視聴位置又は視聴角度を提示する、の少なくとも一つを行う
請求項1〜13のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
前記サーバ装置は、前記第1表示装置及び前記第2表示装置が備える表示パネルの解像度、サイズ及びアスペクト比の少なくとも一つが異なる場合に、(1)解像度、サイズ及びアスペクト比の少なくとも一つが異なることを提示する、(2)見え方の差を抑制できる視聴位置を提示する、及び、(3)前記第1表示装置及び前記第2表示装置の少なくとも一つが見え方の差を抑制する画像処理を行うように制御する、の少なくとも一つを行う
請求項1〜14のいずれか1項に記載の表示装置管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、画像、データ、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0017】
図1は、実施の形態に係る表示装置管理システム10の構成図である。表示装置管理システム10は、少なくとも2台の表示装置の表示特性を管理するシステムであり、表示装置20a及び20bと、撮影装置30と、サーバ装置50とで構成される。なお、本実施の形態では、表示特性の管理の対象となる表示装置は、2台(つまり、表示装置20a及び20b)であるとして以下の説明をするが、3台以上であってもよい。
【0018】
表示装置20a及び20bは、それぞれ、表示特性の管理の対象となる第1表示装置及び第2表示装置の一例であり、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLiminescence)ディスプレイ等であり、モノクロ、グレースケール、カラー等の種類は問わない。
【0019】
撮影装置30は表示装置20aに表示された第1画像を撮影することによって第1撮影画像としての撮影画像13aを生成し、表示装置20bに表示された第2画像を撮影することによって第2撮影画像として撮影画像13bを生成する少なくとも一つの撮影装置の一例であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のカメラを内蔵する携帯情報端末である。
【0020】
なお、本実施の形態では、1台の撮影装置30によって、撮影画像13a及び13bが生成されるが、2台の撮影装置によって、別々に、撮影画像13a及び13bが生成されてもよい。その場合には、本実施の形態における撮影装置30は、2台の撮影装置の集合を意味する。つまり、撮影装置30は、表示装置20aを撮影して撮影画像13aを生成する第1撮影装置、及び、表示装置20bを撮影して撮影画像13bを生成する第2撮影装置の集合を意味する。
【0021】
また、本実施の形態では、
図1に示されるように、撮影装置30は、無線LAN等の無線通信によって補正用画像11aを表示装置20aに送信することで表示装置20aに補正用画像11aを表示させ、表示された補正用画像11aを撮影することで得られた撮影画像13aを、インターネット又はLTE(Long Term Evolution)等の通信路を介してサーバ装置50に送信する。同様に、撮影装置30は、無線LAN等の無線通信によって補正用画像11bを表示装置20bに送信することで表示装置20bに補正用画像11bを表示させ、表示された補正用画像11bを撮影することで得られた撮影画像13bを、インターネット又はLTE等の通信路を介してサーバ装置50に送信する。
【0022】
なお、撮影装置30は、撮影画像13a及び13bをサーバ装置50に送信する際に、ユーザから得た表示装置20a及び20b並びにユーザに関する情報(つまり、付加情報14a及び14b)も送信する。このとき、撮影画像13a及び13bは、一緒に送信されてもよいし、別々のタイミングで送信されてもよい。また、付加情報14a及び14bについても、一緒に送信されてもよいし、別々のタイミングで送信されてもよい。さらに、撮影画像13a及び付加情報14a、あるいは、撮影画像13b及び付加情報14bについても、一緒に送信されてもよいし、別々のタイミングで送信されてもよい。
【0023】
サーバ装置50は、撮影装置30と通信路で接続され、撮影装置30で生成された撮影画像13a及び13b及び付加情報14a及び14bを、通信路を介して取得し、取得した撮影画像13a及び13b並びに付加情報14a及び14bに基づいて、表示装置20a及び20bの表示特性を特定し、特定した表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があるか否かを判断し、差があると判断した場合に、当該差を示す差情報15を撮影装置30に送信する装置であり、例えば、撮影装置30とインターネット等で接続されたコンピュータ装置である。サーバ装置50から差情報15を受信した撮影装置30は、受信した差情報15をユーザに提示する。これにより、表示装置20a及び20bがサーバ装置50による画質調整を前提として設計されていない一般の表示装置であっても、ユーザは、表示装置20a及び20bの表示特性に差がある場合に、その差を目で確認することができる。
【0024】
なお、撮影装置30が2台の撮影装置の集合を意味する場合には、サーバ装置50は、差情報15を、撮影装置30を構成する2台の撮影装置の少なくとも一方に送信する。そして、差情報15を受信した2台の撮影装置の少なくとも一方は、受信した差情報15をユーザに提示する。
【0025】
また、本実施の形態では、サーバ装置50は、差情報15の提供だけでなく、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があると判断した場合に、ユーザからの指示に基づいて、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との差を小さくするための、表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性を補正する補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を生成(つまり、表示特性の校正を)し、生成した補正データを対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一方に向けて送信する。補正データ12a及び12bは、それぞれ、表示装置20a及び20bで用いられるLUTである。
【0026】
具体的には、サーバ装置50は、生成した補正データ12a及び12bの少なくとも一方を撮影装置30に送信し、撮影装置30は、サーバ装置50から送信されてきた補正データ12a及び12bの少なくとも一方を対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一方に転送する。これにより、表示装置20a及び20bの少なくとも一方が有する補正データが更新され、表示装置20a及び20bの表示特性が揃えられる。なお、撮影装置30から表示装置20a又は20bへの補正データの転送に際して、撮影装置30は、補正データが重畳された映像信号を対応する表示装置20a又は20bに入力させることもできる。補正データの映像信号への重畳は、例えば、映像信号における帰線消去期間に補正データを挿入することで行われる。
【0027】
図2Aは、
図1に示された表示装置20aの構成を示すブロック図である。本図に示されるように、表示装置20aは、通信部21a、入力端子22a、映像信号生成部23a、映像信号処理部24a、及び、表示パネル28aを備える。
【0028】
通信部21aは、撮影装置30を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN用の通信アダプタである。
【0029】
入力端子22aは、映像信号を受け取る端子であり、例えば、VGA端子、DVI端子、又は、HDMI(登録商標)端子等である。
【0030】
映像信号生成部23aは、通信部21aから入力された映像又は画像を映像信号に変換し、あるいは、入力端子22aから入力された映像信号を中継することにより、映像信号を生成して映像信号処理部24aに出力する回路であり、例えば、グラフィックスプロセッサ等である。また、映像信号生成部23aは、通信部21aを介して、あるいは、入力端子22aを介して、撮影装置30から送信されてくる、補正データ12aが重畳された映像信号を受信した場合には、受信した映像信号から補正データ12aを抽出し、抽出した補正データ12a及び抽出後の映像信号を映像信号処理部24aに転送する。
【0031】
映像信号処理部24aは、通信部21a又は映像信号生成部23aから送られてきた補正データ12aを保持するための記憶部25aを有し、映像信号生成部23aから入力された映像信号に対して、記憶部25aに保持された補正データ12aを用いて補正を行い、補正後の映像信号を表示パネル28aに出力する回路である。補正データは、入力信号の各階調値に対して出力信号に変換するために乗じる係数の集まりであり、例えば、ガンマ曲線を示すデータである。補正データ12aは、表示パネルの画素位置(あるいは、画素ブロック)に依存しない代表的な入出力特性を示すデータであってもよいし、表示パネルの画素位置(あるいは、画素ブロック)に依存した空間的な輝度特性(つまり、「輝度ムラ」)を示すデータであってもよいし、それらの両方であってもよい。
【0032】
表示パネル28aは、映像信号処理部24aから入力された映像信号を表示するディスプレイパネルであり、例えば、タイミング・コントローラ(Timing Controller:TCON)、データ信号線ドライバ、アドレス信号線ドライバ、及び、液晶パネル等で構成される。
【0033】
図2Bは、
図1に示された表示装置20bの構成を示すブロック図である。本図に示されるように、表示装置20bは、
図2Aに示された表示装置20aと同様の構成(つまり、通信部21b、入力端子22b、映像信号生成部23b、映像信号処理部24b、及び、表示パネル28b)を備える。
【0034】
通信部21b、入力端子22b、映像信号生成部23b、映像信号処理部24b、及び、表示パネル28bは、それぞれ、
図2Aに示される通信部21a、入力端子22a、映像信号生成部23a、映像信号処理部24a、及び、表示パネル28aと同じ機能を有するので、詳細な説明を省略する。
【0035】
なお、本実施の形態では、表示装置20a及び20bは、同一の構成を備えたが、それぞれが、ディスプレイとしての基本的な機能を備える限り、完全に同一な機能及び性能を有する必要はない。
【0036】
図3は、
図1に示された撮影装置30の構成を示すブロック図である。本図に示されるように、撮影装置30は、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、制御部35、及び、記憶部36を備える。撮影装置30は、上述したように、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末である。よって、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、制御部35、及び、記憶部36は、一体化され、一つの小型携帯用の筐体に収容されている。
【0037】
撮像部31は、カメラであり、本実施の形態では、表示装置20a及び20bに表示された補正用画像を撮影するために用いられ、例えば、携帯情報端末に内蔵されたカラーのCCD又はCMOSイメージセンサ等である。なお、補正用画像とは、サーバ装置50が表示装置20a及び20bの表示特性の差を検出する、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性を校正するための画像である。
【0038】
入力部32は、ユーザの指示を受け取る入力デバイスであり、例えば、タッチパネル、ボタン等である。
【0039】
表示部33は、ディスプレイであり、例えば、LCD等である。
【0040】
通信部34は、表示装置20a及び20b及びサーバ装置50を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、Bluetooth(登録商標)、有線/無線LAN、又は、インターネット用の通信アダプタであってもよいし、異なる種類の通信アダプタの集まりであってもよい。
【0041】
制御部35は、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、及び、記憶部36を制御することで撮影装置30として各種機能を発揮する処理部である。具体的には、制御部35は、アプリ等のプログラムが格納されたメモリ、そのプログラムを実行するプロセッサ、各種入出力ポート等を有する制御回路であり、プロセッサがプログラムを実行することによって発揮される機能的な構成要素として、アップロード部35a、ダウンロード部35b、及び、補正用画像指示部35cを有する。
【0042】
アップロード部35aは、撮像部31による撮影によって得られた撮影画像13a及び13bと入力部32を介してユーザから得た付加情報14a及び14bとを、通信部21aを介してサーバ装置50に送信(つまり、アップロード)する。
【0043】
ダウンロード部35bは、サーバ装置50から通信部21aを介して送られてきた補正データ12a及び12bの少なくとも一方を対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一方に転送(つまり、ダウンロード)する。
【0044】
補正用画像指示部35cは、記憶部36に記憶された補正用画像11a及び11bを、通信部34を介して表示装置20a及び20bに送信して表示装置20a及び20bに表示させる。
【0045】
記憶部36は、補正用画像11a及び11bを保持するだけなく、各種画像及びデータを記憶するメモリであり、例えば、不揮発性メモリである。
【0046】
図4は、
図1に示されたサーバ装置50の構成を示すブロック図である。本図に示されるように、サーバ装置50は、通信部51、入力部52、制御部53、表示部54、及び、記憶部55を備える。サーバ装置50は、上述したように、例えば、撮影装置30とインターネット等で接続されたコンピュータ装置である。
【0047】
通信部51は、撮影装置30を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、有線/無線LAN又はインターネット用の通信アダプタであってもよいし、異なる種類の通信アダプタの集まりであってもよい。
【0048】
入力部52は、ユーザの指示を受け取る入力デバイスであり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0049】
表示部54は、ディスプレイであり、例えば、LCD等である。
【0050】
制御部53は、通信部51、入力部52、表示部54、及び、記憶部55を制御することで、表示装置20a及び20bの表示特性を管理するサーバとしての機能を発揮する処理部である。具体的には、制御部53は、プログラムが格納されたメモリ、そのプログラムを実行するプロセッサ、各種入出力ポート等を有する制御回路であり、プロセッサがプログラムを実行することによって発揮される機能的な構成要素として、演算部53a、及び、補正データ伝達部53bを有する。
【0051】
演算部53aは、撮影装置30での撮影によって得られた撮影画像13a及び13b並びに付加情報14a及び14bを、通信部51を介して取得して記憶部55に保存したり、取得した撮影画像13a及び13bに対して演算を行うことで、表示装置20a及び20bの表示特性の差を示す差情報15を生成したり、表示装置20a及び20bの表示特性を補正するための補正データ12a及び12bを生成したりする。このとき、演算部53aは、付加情報14a及び14bを参照することにより、対応する表示装置の識別情報に対応づけて補正データ12a及び12bを生成して記憶部36に保存する。
【0052】
具体的には、演算部53aは、差情報15の生成として、撮影装置30から取得した撮影画像13a及び13bについて、代表点における輝度及び色度の差を算出し、算出した差を示す情報を差情報15として生成する。そして、演算部53aは、算出した差が閾値を超えるか否かを判断し、超える場合に、表示装置20a及び20bの表示特性に差があると判断する。
【0053】
また、演算部53aは、表示装置20a及び20bの表示特性に差があると判断した場合に、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との差を小さくするための、表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性を補正する補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を生成する。
【0054】
補正データ伝達部53bは、演算部53aが生成した差情報15を、通信部51を介して、撮影装置30に送信する。また、補正データ伝達部53bは、演算部53aが生成した補正データを、通信部51を介して、対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一つに向けて送信(つまり、ダウンロード)する。
【0055】
なお、制御部53は、自動で、あるいは、ユーザからの入力部32もしくは入力部52を介した指示に従って、撮影装置30から取得した撮影画像13a及び13bを、取得した日時を示す時間情報とともに、表示装置20a及び20bに対応づけて、記憶部55に蓄積することを繰り返す。そして、蓄積した撮影画像13a及び13bを解析することで、表示装置20a及び20bの表示特性の経年変化を特定し、特定した経年変化に基づいて表示装置20a及び20bの寿命を予測する。
【0056】
記憶部55は、撮影装置30から取得された撮影画像13a及び13b並びに付加情報14a及び14bを保存するメモリであり、例えば、不揮発性メモリである。
【0057】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置管理システム10の動作について説明する。
【0058】
図5は、
図1に示された表示装置管理システム10の基本動作(つまり、表示装置管理方法)を示すシーケンス図である。ここでは、表示装置20a及び20b、撮影装置30並びにサーバ装置50の動作手順及び通信のやりとりが示されている。
【0059】
まず、ユーザは、表示特性の管理の対象となる一つ目の表示装置20aに対して、撮影装置30を用いて、表示特性を導出するための撮影画像13aを取得してサーバ装置50にアップロードする(S10a〜S13a)。
【0060】
具体的には、まず、撮影装置30において、入力部32を介したユーザからの指示に従って、制御部35の補正用画像指示部35cは、記憶部36から補正用画像11aを読み出し、読み出した補正用画像11aを、通信部34を介して表示装置20aに送信する(S10a)。なお、記憶部36には、様々な目的又は精度に対応した複数の補正用画像を格納しておき、補正用画像指示部35cは、入力部32からのユーザの指示に従って、複数の補正用画像の中から選択された補正用画像11aを記憶部36から読み出して表示装置20aに送信してもよい。
【0061】
そして、表示装置20aにおいて、通信部21aを介して受信された補正用画像11aは、映像信号生成部23aによって映像信号に変換され、変換後の映像信号は、映像信号処理部24aに送られる。そして、映像信号処理部24aにおいて、入力された映像信号は、記憶部25aに格納された補正データ12aで補正され、表示パネル28aに送られて表示される(S11a)。
【0062】
そして、撮影装置30において、撮像部31は、表示装置20aに表示された補正用画像11aを撮影する(S12a)。なお、輝度校正を行う場合は、補正用画像11aを撮影装置30から表示装置20aに送信して表示装置20aで表示し、表示装置20aに表示された補正用画像11aを撮影装置30が撮像して保持する(記憶部36に一時保存する)という処理(S10a〜S12a)を、輝度が異なる複数の補正用画像11aについて繰り返す。
【0063】
そして、撮影装置30のアップロード部35aは、撮像部31による撮影によって得られた撮影画像13aを、通信部21aを介してサーバ装置50に送信する(S13a)。このとき、アップロード部35aは、サーバ装置50に撮影画像13aを送信する際に、合わせて、入力部32を介してユーザから得た付加情報14aもサーバ装置50に送信する。
【0064】
次に、ユーザは、表示特性の管理の対象となる二つ目の表示装置20bに対して、撮影装置30を用いて、表示特性を導出するための撮影画像13bを取得してサーバ装置50にアップロードする(S10b〜S13b)。
【0065】
なお、ステップS10b〜S13bの詳細については、対象の表示装置が異なる点を除いてステップS10a〜S13aと同じであるので、説明を省略する。
【0066】
撮影装置30から送信されてきた撮影画像13a及び13b並びに付加情報14a及び14bを取得したサーバ装置50では、演算部53aは、撮影画像13a及び13bに対して演算を行うことで、差情報15と、必要に応じて、補正データ12a及び12bの少なくとも一方を生成する(S14)。
【0067】
具体的には、演算部53aは、撮影装置30から取得した撮影画像13a及び13bについて、代表点における輝度及び色度の差を算出し、算出した差を示す情報を差情報15として生成する。そして、演算部53aは、算出した差が所定の閾値を超えるか否かを判断し、超える場合に、表示装置20a及び20bの表示特性に差があると判断する。
【0068】
また、演算部53aは、表示装置20a及び20bの表示特性に差があると判断した場合に、ユーザからの指示に基づいて、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との差を小さくするための、表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性を補正する補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を生成する。
【0069】
続いて、サーバ装置50の補正データ伝達部53bは、演算部53aが生成した差情報15、及び、演算部53aが補正データを生成した場合には生成した補正データを、通信部51を介して、撮影装置30に送信する(S15)。
【0070】
サーバ装置50から送信されてきた差情報15及び補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を受信した撮影装置30では、制御部35は、
図6の表示例のように、受信した差情報15を表示部33に表示する(S16)。
図6は、
図1に示された撮影装置30による差情報15の表示例を示す図である。ここでは、2台の表示装置20a及び20b(「第1表示装置」及び「第2表示装置」)における輝度及び色度の差が表示され、「第1表示装置及び第2表示装置の表示特性を校正しますか?」との質問が表示されている。
【0071】
上記質問に対して入力部32を介して「Yes」が入力されると、ダウンロード部35bは、撮影装置30がサーバ装置50から、表示装置20a用の補正データ12aを受信している場合には、受信している補正データ12aを、通信部34を介して、表示装置20aに転送する、あるいは、受信している補正データ12aが重畳された映像信号を表示装置20aの入力端子22aに入力する(S17a)。表示装置20aでは、撮影装置30から送られてきた補正データ12aは、通信部21aで受信され、あるいは、映像信号に重畳されて入力端子22aで受信された後に映像信号生成部23aで抽出され、映像信号処理部24aによって、記憶部25aに上書き保存される(S18a)。これによって、記憶部25aの補正データ12aは更新される。
【0072】
同様に、上記質問に対して入力部32を介して「Yes」が入力され、かつ、撮影装置30がサーバ装置50から、表示装置20b用の補正データ12bを受信している場合には、ダウンロード部35bは、受信している補正データ12bを、通信部34を介して、表示装置20bに転送する、あるいは、受信している補正データ12bが重畳された映像信号を表示装置20bの入力端子22bに入力する(S17b)。表示装置20bでは、撮影装置30から送られてきた補正データ12bは、通信部21bで受信され、あるいは、映像信号に重畳されて入力端子22bで受信された後に映像信号生成部23bで抽出され、映像信号処理部24bによって、記憶部25bに上書き保存される(S18b)。これによって、記憶部25bの補正データ12bは更新される。
【0073】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置管理システム10は、少なくとも2台の表示装置20a及び20bの表示特性を管理する表示装置管理システム10であって、表示装置20aに表示された第1画像を撮影することによって撮影画像13aを生成し、表示装置20bに表示された第2画像を撮影することによって撮影画像13bを生成する少なくとも一つの撮影装置30と、撮影装置30と通信路で接続され、撮影装置30で生成された撮影画像13a及び13bを、通信路を介して取得し、取得した撮影画像13a及び13bに基づいて、表示装置20a及び20bの表示特性を特定し、特定した表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があるか否かを判断し、差があると判断した場合に、当該差を示す差情報15を撮影装置30に送信するサーバ装置50とを備え、撮影装置30は、サーバ装置50から差情報15を受信した場合に、受信した差情報15を提示する。
【0074】
これにより、表示装置20a及び20bは、通信路でサーバ装置50と接続されていない等、画質調整システムの対象としての条件を備えていなくても、撮影装置30による撮影によって得られた撮影画像がサーバ装置50にアップロードされ、サーバ装置50において表示装置20a及び20bの表示特性の差が検出され、検出された差が撮影装置30において提示される。よって、撮影装置30のユーザは、表示装置20a及び20bがサーバ装置による画質調整を前提として設計されていない一般の表示装置であっても、表示装置20a及び20bの表示特性の差を知り、表示装置20a及び20bを管理することができる。
【0075】
また、サーバ装置50は、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があると判断した場合に、さらに、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との差を小さくするための、表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性を補正する補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を生成し、生成した補正データを表示装置20a及び20bの少なくとも一方に向けて送信する。
【0076】
これにより、表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差がある場合に、その差を小さくするための補正データが生成されて表示装置20a及び20bの少なくとも一方に向けて送信されるので、補正データを受信した表示装置が、内部に保持する補正データを、受信した補正データで更新することで、表示装置20a及び20bの表示特性の差が抑制される。
【0077】
また、撮影装置30は、撮像部31を有する携帯情報端末である。
【0078】
これにより、広く普及したスマートフォン等の携帯情報端末によって撮影装置30が実現されるので、表示装置20a及び20bが設置された現場では、特別なハードウェアを必要とすることなく、アプリをインストール等するだけで表示装置20a及び20bの表示特性を揃えることができる。
【0079】
また、撮影装置30は、補正用画像11a及び11bを、それぞれ、表示装置20a及び20bに送信し、表示装置20aは、撮影装置30から送信されてきた補正用画像11aを取得し、第1画像として表示し、表示装置20bは、撮影装置30から送信されてきた補正用画像11bを取得し、第2画像として表示する。
【0080】
これにより、撮影装置30が保持する補正用画像を表示装置20a及び20bに表示させたうえで表示装置20a及び20bの表示特性の比較及び校正ができるので、表示特性の比較及び校正に用いる補正用画像として、撮影装置30側で任意に選択することが可能になる。
【0081】
また、サーバ装置50は、生成した補正データ(つまり、補正データ12a及び12bの少なくとも一方)を撮影装置30に送信し、撮影装置30は、サーバ装置50から送信されてきた補正データを表示装置20a及び20bの少なくとも一方に転送する。
【0082】
これにより、サーバ装置50で生成された補正データは、撮影装置30を介して表示装置20a及び20bの少なくとも一方に転送されるので、表示装置20a及び20bは、直接、サーバ装置50と接続されていなくても、撮影装置30から転送されてくる補正データを受信することで、表示特性を更新できる。
【0083】
また、撮影装置30は、補正データが重畳された映像信号を対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一方に入力させることで、補正データを対応する表示装置20a及び20bの少なくとも一方に転送する。
【0084】
これにより、補正データは、映像信号に重畳されて表示装置20a及び20bに入力される。よって、表示装置20a及び20bは、撮影装置30から補正データだけを取得するための特殊な入力用インタフェースを備える必要がなくなる。
【0085】
また、本実施の形態に係る表示装置管理方法は、少なくとも2台の表示装置20a及び20bの表示特性を管理する表示装置管理方法であって、撮影装置30が、表示装置20aに表示された第1画像を撮影することによって撮影画像13aを生成し、表示装置20bに表示された第2画像を撮影することによって撮影画像13bを生成し(S10a〜S13a、S10b〜S13b)、撮影装置30と通信路で接続されたサーバ装置50が、撮影装置30で生成された撮影画像13a及び13bを、通信路を介して取得し、取得した撮影画像13a及び13bに基づいて、表示装置20a及び20bの表示特性を特定し、特定した表示装置20aの表示特性と表示装置20bの表示特性との間に差があるか否かを判断し、差があると判断した場合に、当該差を示す差情報15を撮影装置30に送信し(S14、S15)、撮影装置30は、サーバ装置50から差情報15を受信した場合に、受信した情報を提示するS16)。
【0086】
これにより、表示装置20a及び20bは、通信路でサーバ装置50と接続されていない等、画質調整システムの対象としての条件を備えていなくても、サーバ装置50において表示装置20a及び20bの表示特性の差が検出され、検出された差が撮影装置30において提示される。よって、撮影装置30のユーザは、表示装置20a及び20bがサーバ装置による画質調整を前提として設計されていない一般の表示装置であっても、表示装置20a及び20bの表示特性の差を知り、表示装置20a及び20bを管理することができる。
【0087】
次に、本実施の形態に係る表示装置管理システム10の具体的な実施例を説明する。
【0088】
(実施例1)
まず、実施例1として、実施の形態に係る表示装置管理システム10における付加情報14a及び14bの具体例を説明する。
【0089】
図7Aは、実施例1に係る表示装置管理システム10における付加情報14a及び14bのデータ属性例を示す図である。本図に示されるように、撮影装置30がサーバ装置50に送信する付加情報は、プライベートデータ又はパブリックデータのいずれかに分類される。
【0090】
プライベートデータは、個人情報であり、基本的に、サーバ装置50において、対応する表示装置の所有者又は管理者のみに対して閲覧が許可される。具体的には、プライベートデータは、表示装置の所有者(ただし、団体を含む)、管理者(ただし、団体も含む)、個体名、及び、設置場所等を示す情報である。例えば、プライベートデータは、表示装置20a又は20bの所有者、表示装置20a又は20bの管理者、表示装置20a又は20bの個体名、及び、表示装置20a又は20bの設置場所に関する情報の少なくとも1つを含む。 一方、パブリックデータは、公衆による閲覧が許可された情報であり、例えば、サーバ装置50において、機器メーカ(つまり、表示装置の製造会社)、校正メーカ(つまり、表示装置の表示特性を校正する会社)等に対しても閲覧が許可され、統計処理等に利用され得る。具体的には、パブリックデータは、表示装置の個体ID(つまり、識別情報)、機器メーカ、測定データ(つまり、撮影画像、撮影画像から得られる輝度、色度等)、点灯時間(つまり、通電時間)、及び、それらの履歴等を示す情報である。例えば、パブリックデータは、表示装置20a又は20bの個体ID、表示装置20a又は20bの製造会社、撮影画像13a又は13bに基づく測定データに関する情報の少なくとも1つを含む。
【0091】
図7Bは、実施例1に係る表示装置管理システム10における付加情報14a及び14bのうちパブリックデータの用途例を示す図である。本図に示されるように、サーバ装置50は、撮影装置30から取得したパブリックデータを用いて、表示装置の測定データ(特に、輝度、色度)と点灯時間の履歴とを対応づけて蓄積し相関関係を解析することで、LCDの寿命を示す統計データを作成したり、個々の表示装置の寿命を予測したり、撮影装置30に対して表示装置の交換時期のお知らせ(あるいは、より長時間使用できる使用法の提案、代替機との交換の提案等)をプッシュ通知したりする。
【0092】
プッシュ通知のメッセージ例として、「輝度が基準値より低下しています。校正が必要です。」、「輝度が著しく低下する兆候が見られます。近日中に基準値を下回る恐れがあります。代替機の用意をご検討ください。」、「XX(例えば、バックライト)の設定が輝度低下を促進しています。製品寿命を延ばすにはYYの設定(例えば、バックライトの輝度を80%に設定すること)をご検討ください。」等が挙げられる。
【0093】
このように、撮影装置30は、撮影画像13a及び13b等をパブリックデータとしてサーバ装置50に送信し、パブリックデータとは異なる別の情報をプライベートデータとしてサーバ装置50に送信し、サーバ装置50は、撮影装置30から受信したプライベートデータを、(1)表示装置20a又は20bの所有者、(2)表示装置20a又は20bの管理者、及び、(3)一般ユーザのうちの、一般ユーザを除く所有者又は管理者等に提供し、撮影装置30から受信したパブリックデータを所有者、管理者及び一般ユーザに提供する。
【0094】
これにより、パブリックデータ又はパブリックデータから導出される情報については、広く、一般人又は会社に提供され、所有者を限定しない多数の表示装置を対象とする寿命の解析等に広く活用され得る。
【0095】
また、パブリックデータには、当該パブリックデータに含まれる撮影画像13a及び13bに対応する表示装置20a及び20bの識別情報、表示装置20a及び20bの製造会社、表示装置20a及び20bの測定結果、及び、表示装置20a及び20bの通電時間の少なくとも一つが含まれる。
【0096】
これにより、表示装置の識別情報と対応づけて当該表示装置の測定結果及び通電時間を保存していくことで、個体としての表示装置の寿命又は故障時期等の予測が可能になる。
【0097】
図7Cは、実施例1に係る表示装置管理システム10における付加情報14a及び14bの取り扱い例を示す図である。本図に示されるように、通信方法に関して、撮影装置30は、(1)プライベートデータを暗号文で、かつ、パブリックデータを平文でサーバ装置50に送信する第1送信方法、及び、(2)プライベートデータを、使用できる者が制限される専用回線で、かつ、パブリックデータを、使用できる者が制限されない公衆回線でサーバ装置50に送信する第2送信方法の少なくとも一つを用いる。
【0098】
また、データの保存方法に関して、サーバ装置50は、(1)プライベートデータを暗号文で、かつ、パブリックデータを平文で記憶部55に保存する第1保存方法、及び、(2)プライベートデータを、使用できる者が制限される記憶部55の記憶領域に、かつ、パブリックデータを、使用できる者が制限されない記憶部55の記憶領域に保存する第2保存方法の少なくとも一つを用いる。
【0099】
また、データへのアクセスに関して、サーバ装置50は、(1)プライベートデータを、サーバ装置50へのアクセスが制限される者に、かつ、パブリックデータをサーバ装置50へのアクセスが制限されない者に提供する第1提供方法、及び、(2)プライベートデータを、サーバ装置50へのアクセスが許可された端末装置に、かつ、パブリックデータをサーバ装置50にアクセスしてきた端末装置に提供する第2提供方法の少なくとも一つを用いる。
【0100】
これにより、通信方法、保存方法及びアクセス方法について、プライベートデータは、制限された方法で取り扱われ、パブリックデータは、制限のない方法で取り扱われるので、プライベートデータの秘密性が確保される。
【0101】
図7Dは、実施例1に係る表示装置管理システム10においてパブリックデータの提供を促すインセンティブ例を示す図である。本図に示されるように、表示装置管理システム10では、パブリックデータの提供を促すために、パブリックデータを提供してくれたユーザに対して、表示装置を交換することとなった際に代替機の貸し出し料金に対して割引を適用したり、表示装置の寿命予測を通知したりするサービスを提供する。
【0102】
つまり、後者の例では、サーバ装置50は、撮影装置30から受信したパブリックデータに含まれる撮影画像13a及び13bを解析して蓄積することで、表示装置20a及び20bの表示特性の経年変化を特定し、特定した経年変化に基づいて表示装置20a及び20bの寿命を予測し、予測した寿命に関する情報を、パブリックデータを提供した者に提供する。
【0103】
これにより、パブリックデータを表示装置管理システム10に提供した場合に、所有する表示装置の寿命を知る恩恵を受けることができるので、パブリックデータを表示装置管理システム10に提供することが促進される。
【0104】
(実施例2)
次に、実施例2として、実施の形態に係る表示装置管理システム10による複数の表示装置を対象とするリンク機能を説明する。
【0105】
一般に、表示装置は、各種設定(例えば、明るさ、色合い等)をユーザが任意に変更できる。そのために、2台の表示装置について、表示特性を揃える校正によってハードウェア的にマッチングがとれていても、ユーザによって各種設定が異なった値に設定された場合には、同一の画像データを表示したときであっても、見え方が異なってしまう。そこで、本実施例に係る表示装置管理システム10は、ハードウェア的にマッチングがとれている複数の表示装置がユーザの各種設定の変更によって見え方が異なることとなってしまうことを回避するためのリンク機能を備える。
【0106】
図8は、実施例2に係る表示装置管理システム10のリンク機能の処理手順を示すフローチャートである。
【0107】
サーバ装置50は、入力部52又は通信部51を介して、相互リンクの対象となる複数の表示装置の指定(つまり、識別情報)を受け付け、受け付けた複数の表示装置の識別情報を記憶部55に登録しておく(S20)。なお、相互リンクとは、表示特性を揃える対象となる複数の表示装置どうしを紐づけておくことである。また、ここでの表示特性は、表示装置管理システム10による校正によって変更され得る表示特性だけでなく、ユーザによる表示装置に対する手動設定によって変更され得る表示特性も含まれる。
【0108】
そして、サーバ装置50は、相互リンクの対象として登録された複数の表示装置のうちの一台について、表示特性を変更する指示を受け付けたか否かを判断する(S21)。例えば、サーバ装置50は、撮影装置30からの撮影画像等のアップロードを受けたときに、表示特性を変更する指示を受け付けたと判断する。
【0109】
その結果、表示特性を変更する指示を受け付けたと判断した場合に(S21でYes)、サーバ装置50は、事前の設定値(S22)に応じて、次の処理S23〜S26の少なくとも一つを実行する。なお、事前の設定値(S22)とは、撮影装置30から通信部51を介したサーバ装置50への指示による事前の設定内容、又は、入力部52を介した指示による事前の設定内容である。
【0110】
処理S23では、サーバ装置50は、指示の対象となる表示装置(以下、この表示装置を「第3表示装置」という)の表示特性を変更するとともに、第3表示装置と相互リンクされた他の表示装置(以下、この表示装置を「第4表示装置」という)の表示特性も強制的に変更する。具体的には、サーバ装置50は、相互リンクの対象となる全ての表示装置に対して、表示特性を揃えるための校正を実施する、あるいは、制御コマンドを各表示装置に送信する等によって自動で各種設定を変更する。
【0111】
また、処理S24では、サーバ装置50は、第3表示装置の表示特性を変更する処理を実行しない、つまり、ユーザから表示特性を変更する指示に対して、表示特性の変更を拒絶する。
【0112】
また、処理S25では、サーバ装置50は、警告を提示する。例えば、サーバ装置50は、撮影装置30からの撮影画像等のアップロードを受けたときに、撮影装置30に対して、「当該表示装置は、相互リンクの対象となっているので、表示特性を変更できません」等の警告メッセージを送る。
【0113】
処理S26では、サーバ装置50は、第3表示装置の表示特性を変更した後、一定の条件が満たされたときに第3表示装置の表示特性を変更前の状態に戻す。具体的には、サーバ装置50は、第3表示装置の表示特性を変更する校正を実施する前に、第3表示装置の表示特性を示すデータを記憶部55にバックアップとして保存しておき、校正を実施した後、一定の条件が満たされた(例えば、電源が再投入された)ときに、バックアップしていた表示特性に戻すための校正を実施することで、第3表示装置の表示特性を変更前の状態に戻す。
【0114】
このように、実施例2によれば、サーバ装置50は、第3表示装置及び第4表示装置を相互リンクの対象とする登録をしている場合に、第3表示装置の表示特性を変更する指示を受けたときに、(1)第3表示装置の表示特性を変更するとともに、第4表示装置の表示特性も変更する、(2)第3表示装置の表示特性を変更しない、(3)警告を提示する、及び、(4)第3表示装置の表示特性を変更した後、一定の条件が満たされたときに第3表示装置の表示特性を変更前の状態に戻す、の少なくとも一つを行う。
【0115】
このようなサーバ装置50のリンク機能により、ハードウェア的にマッチングがとれている複数の表示装置がユーザの各種設定の変更によって見え方が異なることとなってしまうことが回避される。
【0116】
なお、本実施例では、サーバ装置50が複数の表示装置を対象とするリンク機能を有したが、これに限られず、撮影装置30が複数の表示装置を対象とするリンク機能を有してもよい。つまり、
図8のステップS20〜S26の全て、又は、一部のステップは、撮影装置30で実行されてもよい。これにより、サーバ装置50を必要とすることなく、撮影装置30だけで、複数の表示装置を対象とするリンク機能が実現される。
【0117】
(実施例3)
次に、実施例3として、実施の形態に係る表示装置管理システム10による複数の表示装置に対する表示特性の合わせ方の具体手法を説明する。
【0118】
表示装置管理システム10によって複数の表示装置の表示特性の差を小さくするための校正が行われるが、複数の表示装置のいずれに対して校正を行うかについては、常に、自由に選択できるとは限らない。例えば、最大輝度が高くない表示装置に対して、その輝度を、最大輝度を超える高い値にする校正を行うことはできない。また、色再現範囲の狭い表示装置に対して、その色を、色再現範囲を超えて鮮やかにする校正を行うことはできない。
【0119】
そこで、本実施例に係る表示装置管理システム10は、表示特性を揃える対象となる複数の表示装置の性能等を考慮した校正を行う。
【0120】
図9は、実施例3に係る表示装置管理システム10による複数の表示装置に対する表示特性の合わせ方の具体手法を示すフローチャートである。
図10は、
図9に示された具体手法を説明する図である。
【0121】
サーバ装置50は、校正の依頼を受け付けた否かを判断する(S30)。例えば、サーバ装置50は、撮影装置30から、表示装置20a及び20bの撮影画像13a及び13b並びに付加情報14a及び14bを受信したときに、校正の依頼を受け付けたと判断する。
【0122】
そして、サーバ装置50は、校正の依頼を受け付けた場合に(S30でYes)、事前の設定値(S31)に応じて、次の処理S32〜S35の少なくとも一つを実行する。なお、事前の設定値(S31)とは、撮影装置30から通信部51を介したサーバ装置50への指示による事前の設定内容、又は、入力部52を介した指示による事前の設定内容である。
【0123】
処理S32では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置のうち、表示特性の性能が最も劣る表示装置を除く表示装置に対して、校正を行う。例えば、
図10の(a)に示されるように、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの校正を受け付けた場合には、表示装置20a及び20bのうち、表示特性が優れた一方の表示特性を校正する。具体的には、サーバ装置50は、撮影装置30から受信した付加情報14a及び14bに含まれる表示装置20a及び20bのモデル名等からネットワーク上のwebサーバあるいはデータベースを参照することで、表示装置20a及び20bの性能(輝度、色再現範囲及びコントラストの少なくとも一つ)を特定し、性能の高い表示装置(ここでは、表示装置20b)の表示特性を、性能の低い表示装置(ここでは、表示装置20a)の表示特性に合わせるための補正データを生成し、撮影装置30を介して表示装置に転送する。
【0124】
また、処理S33では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置のすべてに対して、表示特性を所定の基準に合わせる校正を行う。例えば、
図10の(b)に示されるように、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの校正を受け付けた場合には、表示装置20a及び20bの両方の表示特性を所定の基準に合わせる校正を行う。具体的には、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの両方の表示特性を所定の基準に合わせるための補正データ12a及び12bを生成し、撮影装置30を介して、それぞれ、表示装置20a及び20bに転送する。なお、所定の基準は、事前の調査等によって可能な限り多くの種類の表示装置が調整可能となる表示特性として、予め定められた表示特性である。
【0125】
また、処理S34では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置のうち、表示特性の性能が劣る表示装置がその劣る箇所を示す画像を提示するように、性能が劣る表示装置を制御する。なお、表示特性の性能が劣る表示装置とは、複数の表示装置のうち、最も表示特性の性能が優れた表示装置を除く表示装置であってもよいし、最も表示特性の性能が劣る表示装置であってもよい。例えば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの校正を受け付けた場合には、表示装置20a及び20bのうち、表示特性の性能が劣る表示装置が、性能が劣る箇所を示す画像を提示するように、表示装置を制御する。具体的には、サーバ装置50は、撮影装置30から受信した付加情報14a及び14bに含まれる表示装置20a及び20bのモデル名等からネットワーク上のwebサーバあるいはデータベースを参照することで、表示装置20a及び20bの性能(輝度、色再現範囲及びコントラストの少なくとも一つ)を特定し、性能が劣る表示装置の性能が劣る箇所を示す画像(例えば、色再現範囲において他の表示装置よりも狭い箇所を示す色度図、あるいは、表示画像に該当色が含まれる場合はその箇所を強調すべく色調を変えて表示)を生成し、生成した画像を、撮影装置30を介して表示装置に転送し、表示装置に表示させる。
【0126】
また、処理S35では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置のうち、少なくとも一つの表示装置の表示特性を、当該表示装置のユーザから指示された基準に合わせる校正をする。例えば、
図10の(c)に示されるように、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの校正を受け付けた場合には、表示装置20a及び20bのうちの少なくとも一方の表示装置のユーザから指示された基準に合わせる校正をする。この基準は、例えば、表示装置のカタログが示す仕様、表示装置の校正データ(つまり、実測データ)等である。具体的には、校正の対象として表示装置20aが指示され、校正の基準として表示装置20aのカタログが示す仕様が指示されている場合には、サーバ装置50は、撮影装置30から受信した付加情報14aに含まれる表示装置20aのモデル名等からネットワーク上のwebサーバあるいはデータベースを参照することで表示装置20aのカタログが示す仕様を特定し、特定した仕様となるように表示装置20aの表示特性を校正することで補正データ12aを生成し、生成した補正データ12aを、撮影装置30を介して表示装置20aに転送する。
【0127】
このように、実施例3によれば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの表示特性を合わせる指示を受け付けた場合に、(1)表示装置20a及び20bのうち、表示特性の性能が優れた一方の表示特性を校正する、(2)表示装置20a及び20bの表示特性を所定の基準に合わせる校正をする、(3)表示装置20a及び20bのうち、表示特性の性能が劣る一方に対して、表示特性の劣る箇所を示す画像を提示させる、及び、(4)表示装置20a及び20bの少なくとも一方の表示特性をユーザから指示された基準に合わせる校正をする、の少なくとも一つを行う。
【0128】
これにより、表示特性を揃える対象となる複数の表示装置の性能、あるいは、表示装置のユーザの希望等を考慮して、必要な表示装置に対して所望の校正が適切に実施される。
【0129】
(実施例4)
同一の画像データであっても複数の表示装置で表示させた場合に見え方が異なる現象が起こる原因には、表示装置の表示特性に対する校正では解消できないものがある。その原因の一つは、液晶モードの違いである。ここで、液晶モードとは、LCDにおける液晶方式(VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式、TN(Twisted Nematic)方式のいずれであるか)である。原因のもう一つは、表示装置が備える表示パネルの構造の違いである。ここで、表示パネルの構造とは、表示パネルの解像度、サイズ、アスペクト比の少なくとも一つである。
【0130】
そこで、本実施例に係る表示装置管理システム10は、複数の表示装置に対して、液晶モード及び表示パネルの構造の違いに起因する見え方の違いを緩和する(あるいは、ユーザに気づかせる)機能を有する。
【0131】
(1)液晶モードの違い
まず、液晶モードの違いに起因する見え方の違いを緩和する機能について説明する。
【0132】
図11Aは、VA方式とIPS方式におけるコントラストの視角依存性の例を示す図である。横軸は、視角を示し、縦軸は、コントラストを示す。実線は、IPS方式の視角依存性を示し、破線は、VA方式の視角依存性を示す。本図から分かるように、IPS方式に比べ、VA方式では、表示パネルを斜めから見た場合に、正面から見たときよりも急激にコントラストが低下する。
【0133】
図11Bは、VA方式における色域の視角依存性の例(
図11Bの(a))と、IPS方式における色域の視角依存性の例(
図11Bの(b)とを示す図である。横軸は、CIE色度図のx座標を示し、縦軸は、CIE色度図のy座標を示している。実線は、視角が0度で表示可能な色域を示し、破線は、視角が50度で表示可能な色域を示す。本図から分かるように、IPS方式(
図11Bの(b))に比べ、VA方式(
図11Bの(a))では、表示パネルを斜めから見た場合に、正面から見たときよりも色域が狭くなる。
【0134】
図12は、実施例4に係る表示装置管理システム10による複数の表示装置の液晶モードの違いを緩和する処理を示すフローチャートである。
【0135】
サーバ装置50は、複数の表示装置について、液晶モードが異なるか否かを判断する(S40)。例えば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bについて、液晶モードが異なるか否かを判断する。具体的には、サーバ装置50は、撮影装置30から受信した付加情報14a及び14bに含まれる表示装置20a及び20bのモデル名等からネットワーク上のwebサーバあるいはデータベースを参照することで、表示装置20a及び20bの液晶モードを特定して比較することによって判断する。
【0136】
その結果、サーバ装置50は、液晶モードが異ならないと判断した場合には(S40でNo)、処理を終了するが、液晶モードが異なると判断した場合には(S40でYes)、事前の設定値(S41)に応じて、次の処理S42〜S44の少なくとも一つを実行する。なお、事前の設定値(S41)とは、撮影装置30から通信部51を介したサーバ装置50への指示による事前の設定内容、又は、入力部52を介した指示による事前の設定内容である。
【0137】
処理S42では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置の液晶モードが異なることを提示する。例えば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの液晶モードが異なる場合には、表示における制約が発生することを、撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方が表示するように、撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方に通知する。その通知を受けた撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方は、例えば、「液晶パネルの違いにより、斜めから見ると見た目の差が大きくなります」とのメッセージを表示する。
【0138】
また、処理S43では、サーバ装置50は、見え方が異なる可能性がある部位を提示する。例えば、表示装置20aがIPS方式であり、表示装置20bがVA方式である場合には、サーバ装置50は、見え方が異なる可能性がある部位を示す画像(例えば、表示装置に対して一定以上の視角となる視聴位置を示す画像)を生成し、生成した画像を、撮影装置30、又は、撮影装置30を介して表示装置20bに転送し、撮影装置30又は表示装置20bに表示させる。あるいは、サーバ装置50から視角依存性が大きいことの通知を受けた表示装置20bは、画像表示において、見え方が異なる可能性がある部位の色を変えて強調表示する等により、見え方が異なる可能性がある部位を提示する。
【0139】
また、処理S44では、サーバ装置50は、見え方の差を抑制できる視聴位置又は視聴角度を提示する。例えば、表示装置20aがIPS方式であり、表示装置20bがVA方式である場合には、サーバ装置50は、撮影装置30又は表示装置20bに対して、「表示パネルの正面から2m離れた位置から見ることを推奨します。」とのメッセージを表示するように通知する。
【0140】
このように、実施例4によれば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの液晶モードが異なる場合に、(1)液晶モードが異なることを提示する、(2)見え方が異なる可能性がある部位を提示する、及び、(3)見え方の差を抑制できる視聴位置又は視聴角度を提示する、の少なくとも一つを行う。
【0141】
これにより、複数の表示装置において、液晶モードの違いに起因する見え方の違いが緩和される、あるいは、そのことにユーザが気づくことができる。
【0142】
(2)表示パネルの構造の違い
次に、表示パネルの構造の違いに起因する見え方の違いを緩和する機能について説明する。
【0143】
図13は、実施例4に係る表示装置管理システム10による複数の表示装置の表示パネルの構造の違いを緩和する処理を示すフローチャートである。
【0144】
サーバ装置50は、複数の表示装置について、表示パネルの構造(つまり、解像度、サイズ、アスペクト比の少なくとも一つ)が異なるか否かを判断する(S50)。例えば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bについて、表示パネルの構造が異なるか否かを判断する。具体的には、サーバ装置50は、撮影装置30から受信した付加情報14a及び14bに含まれる表示装置20a及び20bのモデル名等からネットワーク上のwebサーバあるいはデータベースを参照することで、表示装置20a及び20bの表示パネルの構造を特定して比較することで、判断する。
【0145】
その結果、サーバ装置50は、表示パネルの構造が異ならないと判断した場合には(S50でNo)、処理を終了するが、表示パネルの構造が異なると判断した場合には(S50でYes)、事前の設定値(S51)に応じて、次の処理S52〜S54の少なくとも一つを実行する。なお、事前の設定値(S51)とは、撮影装置30から通信部51を介したサーバ装置50への指示による事前の設定内容、又は、入力部52を介した指示による事前の設定内容である。
【0146】
処理S52では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置の表示パネルの構造が異なることを提示する。例えば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bの表示パネルの構造が異なる場合には、表示における制約が発生することを、撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方が表示するように、撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方に通知する。その通知を受けた撮影装置30、あるいは、表示装置20a及び20bの少なくとも一方は、例えば、「解像度が異なります。見る距離によっては印象が異なることがあります。」とのメッセージを表示する。
【0147】
また、処理S53では、サーバ装置50は、見え方の差を抑制できる推奨の視聴位置を提示する。例えば、表示装置20a及び20bが備える表示パネルの解像度が同じでサイズが異なる場合には、サーバ装置50は、撮影装置30又は表示装置20a及び20bに対して、「解像度が異なります。表示装置20aを見るときには表示装置20bを見るときよりも1m離れて見ることを推奨します。」とのメッセージを表示するように通知する。
図14は、表示装置が備える表示パネルの解像度が同じでサイズが異なる場合に、視距離(表示装置と視点との距離)を変えることで表示装置に表示された対象物の見える大きさが同じになることを説明する図である。本図に示されるように、表示装置から離れるほど、表示装置に表示された対象物の見える大きさが小さくなるので、表示パネルの解像度が同じでサイズが異なる場合に、視距離を変えることで表示装置に表示された対象物の見える大きさが同じになり得る。
【0148】
また、処理S54では、サーバ装置50は、対象の複数の表示装置の少なくとも一つが見え方の差を抑制する画像処理を施すように制御する。
【0149】
例えば、表示装置20a及び20bが備える表示パネルのサイズが同じで解像度が異なる場合には、サーバ装置50は、
図15Aの(a)に示されるように、表示装置20a及び20bに対して、表示サイズを揃えるための拡大縮小処理をするように、制御する。
図15Aは、表示パネルのサイズが同一で解像度が異なる表示装置での見え方の違いを示す図である。視距離は、固定(つまり、同一)としている。2K(FHD)(1920×1080画素)、4K(3840×2160画素)、8K(7680×4320画素)は、解像度を示す。
図15Aの(a)は、同一の対象物(ここでは、円形)が表示されるときのサイズを揃える画像処理を施した場合の見え方を示し、
図15Aの(b)は、同一の対象物をそのまま表示させた場合の見え方を示す。このようなケースでは、具体的には、サーバ装置50は、解像度が低い表示装置が、入力された画像データに対して縮小処理をしたうえで表示する、あるいは、解像度が高い表示装置が、入力された画像データに対して拡大処理をしたうえで表示するように、表示装置に制御命令を送る。
【0150】
また、例えば、表示装置20a及び20bが備える表示パネルのサイズが異なり解像度が同じ場合には、サーバ装置50は、
図15Bの(a)に示されるように、表示装置20a及び20bに対して、表示サイズを揃えるための拡大縮小処理をするように、制御する。
図15Bは、表示パネルのサイズが異なり解像度が同一の表示装置での見え方の違いを示す図である。視距離は、固定(つまり、同一)としている。10インチ、20インチ、40インチは、表示パネルのサイズを示す。
図15Bの(a)は、同一の対象物(ここでは、円形)が表示されるときのサイズを揃える画像処理を施した場合の見え方を示し、
図15Aの(b)は、同一の対象物をそのまま表示させた場合の見え方を示す。このようなケースでは、具体的には、サーバ装置50は、表示パネルのサイズが大きい表示装置が、入力された画像データに対して縮小処理をしたうえで表示する、あるいは、表示パネルのサイズが小さい表示装置が、入力された画像データに対して拡大処理をしたうえで表示するように、表示装置に制御命令を送る。
【0151】
また、例えば、表示装置20a及び20bのアスペクト比が異なる場合には、サーバ装置50は、
図15Cに示されるように、表示装置20a及び20bの一方に対して、アスペクト比を他方に合わせるための画像処理(クリッピング、拡大縮小、又は、黒枠追加)をするように、制御する。
図15Cは、アスペクト比が4:3の画像をアスペクト比が16:9の表示パネルに表示する際の画像処理を示す図である。
図15Cの(a)は、アスペクト比が4:3の画像を示し、
図15Cの(b)は、黒枠追加の画像処理を示し、
図15Cの(c)は、拡大・トリミングの画像処理を示す。このようなケースでは、具体的には、サーバ装置50は、アスペクト比が4:3の画像をアスペクト比が4:3の表示パネルを備える表示装置20a及びアスペクト比が16:9の表示パネルを備える表示装置20bに表示する場合に、表示装置20bが、入力された画像データに対して
図15Cの(b)又は(c)に示される画像処理をしたうえで表示するように、表示装置20bに制御命令を送る。
【0152】
このように、実施例4によれば、サーバ装置50は、表示装置20a及び20bが備える表示パネルの解像度、サイズ及びアスペクト比の少なくとも一つが異なる場合に、(1)解像度、サイズ及びアスペクト比の少なくとも一つが異なることを提示する、(2)見え方の差を抑制できる視聴位置を提示する、及び、(3)表示装置20a及び20bの少なくとも一つが見え方の差を抑制する画像処理を行うように制御する、の少なくとも一つを行う。
【0153】
これにより、複数の表示装置において、表示パネルの構造の違いに起因する見え方の違いが緩和される、あるいは、そのことにユーザが気づくことができる。
【0154】
以上、本発明に係る表示装置管理システム、撮影装置、サーバ装置、表示装置及び表示装置管理方法について、実施の形態及び実施例1〜4に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例1〜4に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び実施例1〜4に施したものや、実施の形態及び実施例1〜4における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0155】
例えば、上記実施の形態では、撮影装置30は、撮影画像を取得するために、補正用画像を表示装置に送信し、表示装置に補正用画像を表示させたが、撮影装置30が補正用画像を表示装置に送信することは必ずしも必要ではない。表示装置が撮影装置30から送信される補正用画像を受信するインタフェースを備えない場合には、例えば、表示装置に対する手動の操作により、表示装置が内部に有する校正用画像を表示装置に表示させ、撮影装置30が表示装置を撮影することで、撮影画像を取得してもよい。
【0156】
また、上記実施の形態では、撮影装置30は、無線LANを介して表示装置に20a及び20bに補正用画像又は補正データを送信したが、撮影装置30から表示装置20a及び20bへのデータ転送の方法は、このような無線接続による方法に限られない。例えば、撮影装置30は、USBを介したデータ転送等の有線接続によってデータを転送してもよいし、表示装置が備える測定用センサや赤外線リモコン受信部に対してデータを転送してもよい。さらに、表示装置20a及び20bから撮影装置30へのデータ転送については、表示装置が有するバックライトの明滅による通信(つまり、光ID通信)や、赤外線LEDを用いた通信を用いてもよい。
【0157】
また、撮影装置30と表示装置に20a及び20bとを無線LAN等で接続することができないケースに備えて、
図16に示されるような校正用キット40が表示装置管理システム10aに装備されてもよい。
図16は、実施の形態の変形例に係る表示装置管理システム10aの構成図である。本変形例に係る表示装置管理システム10aは、上記実施の形態に係る表示装置管理システム10に対して校正用キット40を追加した構成を備える。校正用キット40は、制御装置41と校正用センサ42とで構成される。制御装置41は、撮影装置30と表示装置20a及び20b並びに校正用センサ42とを接続するインタフェース装置であり、撮影装置30が保持する補正用画像及び補正データを、映像信号用ケーブルを介して表示装置20a及び20bに転送したり、校正用センサ42が得た画像又は輝度値を撮影装置30に転送したりする。校正用センサ42は、表示装置20a及び20bを撮影又は輝度測定をする装置であり、例えば、カメラである。このような校正用キット40により、撮影装置30と接続するための無線LAN等のインタフェースを備えない表示装置20a及び20bであっても、表示装置管理システム10aによる管理及び校正の対象とされ得る。なお、校正用キット40に、撮影装置30が備える撮像部31又は校正用センサ42の撮像特性を校正するための基準光源が含まれてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態では、撮影装置30は、スマートフォン、タブレット端末等のカメラを内蔵する携帯情報端末であったが、これに限られず、表示装置20a及び20bに表示された画像を撮影してサーバ装置50に送信する装置であれば、カメラとコンピュータ装置から構成される据置型の装置セットであってもよい。サーバ装置50との連携を行うことで、サーバ装置による画質調整を前提として設計されていない一般の表示装置であっても表示特性を管理することが可能になる。