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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-179615(P2019-179615A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】カードコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20190920BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   H01R12/72
   H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-66895(P2018-66895)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝彦
【テーマコード(参考)】
5E021
5E123
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB18
5E021FC36
5E021HC14
5E123AB01
5E123AB28
5E123AC19
5E123BA07
5E123BB12
5E123CA17
5E123EC07
5E123EC32
5E123EC36
5E123EC45
5E123EC53
5E123GB15
5E123GB27
5E123GB42
5E123GB49
5E123GB52
5E223AB01
5E223AB28
5E223AC19
5E223BA07
5E223BB12
5E223CA17
5E223EC07
5E223EC32
5E223EC36
5E223EC45
5E223EC53
5E223GB15
5E223GB27
5E223GB42
5E223GB49
5E223GB52
(57)【要約】
【課題】片持ち梁形状のロックアームを採用することで小型化を図り、かつ、簡易な構造で高いロック力を実現したカードコネクタを提供する。
【解決手段】カードコネクタ10は、カードコネクタ本体20とカードトレイ30とからなる。カードコネクタ本体20は、基体40と金属シェル50とを有する。基体40は、ロックアーム46を備えている。このロックアーム46は、ハウジング41に固定端が固定されて挿抜方向(矢印X−Y方向)に片持ち梁形状に延びている。そして、ロックアーム46には、自由端側に、カードトレイ30の係止凹部31に係合する係合部46aが設けられている。また、金属シェル50には、ばね片52が形成されている。このばね片52は、カードトレイ30の挿抜時にロックアーム46に押されて弾性変形し、ロックアーム46をカードトレイ30側に押圧する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードあるいはカードを載せたトレイからなり挿抜方向に交わる幅方向端縁に凹部が形成された挿入体と接続するカードコネクタであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの上に被せられて該ハウジングとの間に、前記挿入体を受容する受容空間を形成するシェルと、
前記ハウジングに固定端が固定されて前記挿抜方向に片持ち梁形状に延び、自由端側に、前記受容空間に受容された状態の前記挿入体の前記凹部に係合する係合部を有するロックアームとを備え、
前記シェルが、少なくとも前記挿入体の挿抜時に前記ロックアームを該挿入体側に押圧するばね片を有することを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記ばね片は、前記シェルの基部から前記ハウジングに向かって垂下する形状のばね片であることを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記ばね片は、前記シェルの基部から前記ハウジングに向かって垂下する垂下部に形成され前記挿抜方向に片持ち梁形状に延びるばね片であることを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードあるいはカードを載せたトレイが差し込まれてカードにアクセスするカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のカードコネクタが広く普及している。ここで、カードコネクタには、カードを単独で挿し込むタイプのカードコネクタと、カードをトレイに載せてカードを載せたトレイを挿し込むタイプのカードコネクタが存在する。後述する本発明のカードコネクタは、それら双方のタイプのカードコネクタに適用可能である。そこで、以下では、カードとカードを載置したトレイとの双方を含む概念として、「挿入体」と称することにする。
【0003】
挿入体には、通常、挿抜方向に交わる幅方向の端縁に係止凹部が形成されている。そして、カードコネクタには、挿入体の係止凹部に入り込む係合凸部が設けられたロックアームが備えられている。そして、カードコネクタは、挿入体が挿し込まれると、係止凹部に係止凸部が入り込み、挿入体の不用意な抜けが防止される構造となっている。
【0004】
ここで、この抜け防止を確実にする高いロック力を得るには、両持ち梁形状のロックアームを備えることが1つの有効な手段である。しかしながら、両持ち梁形状のロックアームを備えると、挿抜方向に長いロックアームとなり、カードコネクタの小型化の要請に反する。
【0005】
ここで、特許文献1には、片持ち梁形状のロックアームを備えたカードコネクタが開示されている。この特許文献1のカードコネクタは、受容されている挿入体(特許文献1ではメモリーカード)にさらに奥に押し込む向きの力を加えることによりロックが外れてばね力により押し出される、いわゆるプッシュ・プッシュ式のカードコネクタである。この特許文献1のカードコネクタでは、ロックアームは、メモリーカードの挿抜とともにスライドするスライダに保持されている。そして、メモリカードが受容されている状態では係合凹部から係合凸部が抜け出ないようにロックアームの幅方向への変位が阻止される構造となっている。そして、スライダのスライドとともにメモリカードが途中まで抜け出た状態になった状態でロックアームを幅方向へ変位させて、係合凸部を係合凹部から外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−165139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上掲の特許文献1のカードコネクタの場合、メモリカードが受容されている状態では係合凹部から係合凸部が抜け出ないようにロックアームの幅方向への変位が阻止される。このため、特許文献1のカードコネクタの場合、高いロック力を得ることができる。ただし、この特許文献1のカードコネクタは、プッシュ・プッシュ式のカードコネクタに特化した構造であり、部品点数が多く、かつ構造が複雑である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、片持ち梁形状のロックアームを採用することで小型化を図り、かつ、簡易な構造で高いロック力を実現したカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカードコネクタは、カードあるいはカードを載せたトレイからなり挿抜方向に交わる幅方向端縁に凹部が形成された挿入体と接続するカードコネクタであって、
ハウジングと、
ハウジングの上に被せられてそのハウジングとの間に挿入体を受容する受容空間を形成するシェルと、
ハウジングに固定端が固定されて挿抜方向に片持ち梁形状に延び、自由端側に、上記受容空間に受容された状態の挿入体の上記凹部に係合する係合部を有するロックアームとを備え、
上記シェルが、少なくとも挿入体の挿抜時にロックアームを挿入体側に押圧するばね片を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、上記ばね片は、シェルの基部からハウジングに向かって垂下する形状のばね片であってもよい。あるいは、上記ばね片は、シェルの基部からハウジングに向かって垂下する垂下部に形成され挿抜方向に片持ち梁形状に延びるばね片であってもよい。
【0011】
本発明のカードコネクタは、ハウジングに固定された片持ち梁形状のロックアームを備えている。このため、両持ち梁形状のロックアームを備える場合と比べ、カードコネクタの小型化が図られる。また、本発明のカードコネクタは、シェルの一部からなるばね片を備えている。そして、片持ち梁形状のロックアームでは不足しがちなロック力をそのばね片で補っている。本発明のカードコネクタは、このように、ロックアームとばね片との組み合わせにより、十分なロック力を確保している。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、片持ち梁形状のロックアームを採用して小型化を図りつつ、簡易な構造で高いロック力が確保されたカードコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態のカードコネクタを示した斜視図である。
図2】第1実施形態のカードコネクタを構成しているカードトレイの説明図である。
図3】(A)金属シェルの斜視図と(B)3面図である。
図4】カードコネクタ本体にカードトレイが挿し込まれていく様子を示した図である。
図5図4に示した円RL,RRの部分の拡大図である。
図6】(A)第2実施形態のカードコネクタを構成している金属シェルの斜視図と(B)3面図である。
図7】第2実施形態における、カードコネクタ本体にカードトレイが挿し込まれていく様子を示した図である。
図8図7に示した円RL,RRの部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態のカードコネクタを示した斜視図である。ここで、図1(A)はカードコネクタ本体の斜視図、図1(B)は、カードトレイの斜視図である。また、図1(C)は、図1(A)に示したカードコネクタ本体から金属シェルを取り外して示した基体の斜視図である。
【0016】
このカードコネクタ10は、カードコネクタ本体20とカードトレイ30とで構成されている。カードコネクタ本体20は、図1(C)に示す基体40と、その基体40の上に被せた金属シェル50とで構成されている。そして、これら基体40と金属シェル50とにより、カードトレイ30を受容する受容空間21と、その受容空間21へのカードトレイ30の挿込み口22が形成されている。
【0017】
図1(C)に示す基体40は、ハウジング41と、そのハウジング41に保持されたコンタクト42を備えている。コンタクト42は、後述するカード61,62(図2参照)の下面に形成されている導電パッド(不図示)に接してそのカード61,62をアクセスするためのものである。
【0018】
また、この基体40は、その右隅に、矢印X−Yで示す挿抜方向に延びるスライドアーム43が、ハウジング41に対しスライド自在に設けられている。また、この基体40の挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥には、イジェクトレバー44が備えられている。受容空間21にカードトレイ30が受容された状態において、不図示のイジェクトピンでスライドアーム43の頭部43aを押す。すると、そのスライドアーム43が挿込みの向き(矢印Xの向き)にスライドしてイジェクトレバー44を押す。すると、そのイジェクトレバー44が反時計回りに回動して、カードトレイ30を、挿込み口22から少し突き出た状態にまで押し出す。その後は、カードトレイ30に指の爪を引っ掛けるなどして、カードトレイ30をカードコネクタ本体20から抜き取ることができる。
【0019】
また、基体40は、挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥の、イジェクトレバー44の横に、スイッチ45を備えている。このスイッチ45は、カードトレイ30が受容空間21に受容されているか否かを検出するスイッチである。さらに、基体40は、左右両側にロックアーム46を備えている。これらのロックアーム46は、片持ち梁形状の部材である。これらのロックアーム46は、挿込みの向き(矢印Xの向き)の後端部がハウジング41に固定された固定端となっている。そして、これらのロックアーム46は、その固定端から挿込みの向き(矢印Xの向き)に延び、先端の自由端側に、内側に向かって膨らんだ係合部46aを備えている。カードトレイ30には、矢印X−Yで示す挿抜方向に交わる幅方向両側の端縁、すなわち左右の端縁の、挿込みの向き(矢印Xの向き)の先端近傍に、係止凹部31が形成されている。カードトレイ30が受容空間21内に受容されると、ロックアーム46の自由端側の係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31に入り込む。これにより、カードトレイ30が受容空間21から不用意に抜け出ないようにロックされる。このロックは、金属シェル50の一部からなるばね片52によりアシストされている。このばね片52についての詳細は、後述する。
【0020】
図2は、第1実施形態のカードコネクタを構成しているカードトレイの説明図である。
【0021】
この図2には、ナノSIMカード61と、マイクロSDカード62との2種類のカードが示されている。これらのカードの裏面には、導電パッド(不図示)が形成されている。これらのカードは、カードトレイ30に載置され、カードトレイ30とともにカードコネクタ本体20に挿し込まれる。すると、導電パッドが図1(C)に示すコンタクト42に接触して、それらが電気的に接続される。
【0022】
このカードトレイ30には、表裏両面に貫通した、2か所のカード載置部32,33が形成されている。それら2か所のカード載置部32,33のうちの挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥側のカード載置部32には、ナノSIMカード61のみが載置可能である。一方、手前側のカード載置部33には、ナノSIMカード61とマイクロSDカード62とのいずれのカードであっても載置可能である。すなわち、この実施形態のカードトレイ30には、2枚のナノSIMカード61が載置され、あるいは、ナノSIMカード61とマイクロSDカード62が1枚ずつ載置される。
【0023】
図3は、(A)金属シェルの斜視図と(B)3面図である。ここで、図3(B)の3面図のうちの(b−1),(b−2),(b−3)は、それぞれ、左側面図、平面図、および右側面図である。
【0024】
この金属シェル50は、図1(C)に示した基体40の上に被せられて、その上面、左右の両側面、および、挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥側の側面を覆っている。
【0025】
ここで、挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥側であって、左右両側にばね片52が形成されている。このばね片52は、金属シェル50の平板状の基部51から垂下した形状に形成されている。このばね片52は、金属シェル30の一部が基体40に向かって折り曲げられることにより形成されたものである。左右の側面50a,50bからの、左右のばね片52までの距離は左右で異なっている。これは、図1(C)を参照して説明したように、基体40の右側にはスライドアーム43が設けられている。このため、左右のロックアーム46A,46Bのうちの右側のロックアーム46Bが左側のロックアーム46Aと比べ内側に設けられている。左右のばね片52の形成位置の違いは、左右のロックアーム46A,46Bの配置位置の違いに対応したものである。
【0026】
図4は、カードコネクタ本体にカードトレイが挿し込まれていく様子を示した図である。ここでは、金属シェル50については、ばね片52のみが示されている。また、ここには、ナノSIMカード61とマイクロSDカード62が1枚ずつ載置された状態のカードトレイ30が示されている。
【0027】
また、図5は、図4に示した円RL,RRの部分の拡大図である。ここで、図5(A−L),(A−R)は、それぞれ図4(A)の円RL,RRの部分の拡大図である。また、図5(B−L),(B−R)は、それぞれ図4(B)の円RL,RRの部分の拡大図である。さらに、図5(C−L),(C−R)は、それぞれ図4(C)の円RL,RRの部分の拡大図である。
【0028】
図4(A)には、カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、カードトレイ30の先端がロックアーム46の自由端側の係合部46aに軽く接触するまで挿し込まれた状態が示されている。
【0029】
カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、図4(A)(図5(A−L),(A−R))に示した位置まで挿し込まれる。この時点では、ロックアーム46は、金属シェル30のばね片52からは離間している。
【0030】
図4(B)には、カードトレイ30が、図4(A)に示した状態よりも挿込みの向き(矢印Xの向き)に進み、係合部46aがカードトレイ30に押されてロックアーム46が弾性変形している状態が示されている。
【0031】
カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、図4(B)(図5(B−L),(B−R))に示した位置まで挿し込まれる。すると、ロックアーム46の係合部46aがカードトレイ30に押されてロックアーム46が弾性変形する。また、そのロックアーム46の弾性変形により、その係合部46aがばね片52を押してそのばね片52を弾性変形させる。
【0032】
図4(C)には、カードトレイ30の係止凹部31にロックアーム46の係合部46aが入り込んだ状態、すなわち、カードトレイ30の挿込みの最終の状態が示されている。
【0033】
カードトレイ30の係止凹部31が、ロックアーム46の係合部46aに対面した最終位置まで挿し込まれる。すると、図4(C)(図5(C−L),(C−R))に示すように、ロックアーム46が弾性変形から解放されて、係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31に入り込む。このとき、係合部46aには、ロックアーム30自体の弾性変形による付勢力に、ばね片52の弾性変形による付勢力が加わる。このばね片52による付勢力のアシストにより、係合部46aが、係止凹部31に、十分なクリック感を持って入り込んでロック状態となる。
【0034】
ここで、図4(C)(図5(C−L),(C−R))に示すロック状態にあるカードトレイ30が矢印Yの向きに少し移動して、そのロックが不用意に外れかかった状態を考える。そうすると、ロックアーム46の係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31から外れかかり、ロックアーム46が弾性変形するとともにばね片52も弾性変形することになる。このため、十分に強い力でロック状態が維持されて、カードトレイ30の不用意な抜けが防止される。
【0035】
カードトレイ30をカードコネクタ本体20から抜き取るときは、前述の通り、不図示のイジェクトピンでスライドアーム43を矢印Xの向きに押し込む。するとイジェクトレバー44が反時計回りに回動してカードトレイ30が矢印Yの向きに押し出される。この時のロックアーム46等の動作は、カードトレイ30を挿し込むときとは逆の経過を辿ることになる。このときも、ばね片52のアシストにより、操作者に十分なクリック感を与えることになる。
【0036】
以上で第1実施形態の説明を終了し、次に、本発明の第2実施形態のカードコネクタについて説明する。以下に説明する第2実施形態のカードコネクタの、これまで説明してきた第1実施形態のカードコネクタとの相違点は、金属シェルのみである。そこで、この第2実施形態については、相違点に関連した部分のみ図示および説明を行なう。また、符号も、金属シェル以外は、第1実施形態において用いた符号と同じ符号を用いて説明する。
【0037】
図6は、第2実施形態のカードコネクタを構成している金属シェルの(A)斜視図と(B)3面図である。ここで、図6(B)の3面図のうちの(b−1),(b−2),(b−3)は、それぞれ、左側面図、平面図、および右側面図である。
【0038】
この金属シェル70は、図1(C)に示した基体40の上に被せられて、その上面、左右の両側面、および、挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥側の側面を覆っている。
【0039】
ここで、挿込みの向き(矢印Xの向き)の奥側であって、左右両側にばね片72が形成されている。このばね片72は、金属シェル70の平板状の基部71から延びる垂下部73に形成され、挿込みの向き(矢印Xの向き)に片持ち梁形状に延びている。このばね片72は、金属シェル30の一部が基体40に向かって折り曲げられることにより形成されたものである。左右の側面70a,70bからの、左右のばね片72が形成された位置までの距離は左右で異なっている。これは、図1(C)を参照して説明したように、基体40の右側にはスライドアーム43が設けられているからである。このため、左右のロックアーム46A,46Bのうちの右側のロックアーム46Bが左側のロックアーム46Aと比べ内側に設けられている。左右のばね片72の形成位置の違いは、左右のロックアーム46A,46Bの配置位置の違いに対応したものである。
【0040】
カードトレイ30のカードコネクタ本体20への挿込み時の振る舞いは、前述の第1実施形態の場合と同様であるが、ここでは、ロックアーム46と第2実施形態におけるばね片72との相互作用について説明しておく。
【0041】
図7は、第2実施形態における、カードコネクタ本体にカードトレイが挿し込まれていく様子を示した図である。ここでは、金属シェル70については、ばね片72のみが示されている。また、ここには、ナノSIMカード61とマイクロSDカード62が1枚ずつ載置された状態のカードトレイ30が示されている。
【0042】
また、図8は、図7に示した円RL,RRの部分の拡大図である。ここで、図8(A−L),(A−R)は、それぞれ図7(A)の円RL,RRの部分の拡大図である。また、図8(B−L),(B−R)は、それぞれ図7(B)の円RL,RRの部分の拡大図である。さらに、図8(C−L),(C−R)は、それぞれ図7(C)の円RL,RRの部分の拡大図である。
【0043】
図7(A)には、カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、カードトレイ30の先端がロックアーム46の自由端側の係合部46aに軽く接触するまで挿し込まれた状態が示されている。
【0044】
カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、図7(A)(図8(A−L),(A−R))に示した位置まで挿し込まれる。この時点では、ロックアーム46は、金属シェル30のばね片72からは離間している。
【0045】
図7(B)には、カードトレイ30が、図7(A)に示した状態よりも挿込みの向き(矢印Xの向き)に進み、係合部46aがカードトレイ30に押されてロックアーム46が弾性変形している状態が示されている。
【0046】
カードトレイ30が、カードコネクタ本体20に、図7(B)(図8(B−L),(B−R))に示した位置まで挿し込まれる。すると、ロックアーム46の係合部46aがカードトレイ30に押されてロックアーム46が弾性変形する。また、そのロックアーム46の弾性変形により、その係合部46aがばね片72を押して、そのばね片72を弾性変形させる。
【0047】
図7(C)には、カードトレイ30の係止凹部31にロックアーム46の係合部46aが入り込んだ状態、すなわち、カードトレイ30の挿込みの最終の状態が示されている。
【0048】
カードトレイ30の係止凹部31が、ロックアーム46の係合部46aに対面した最終位置まで挿し込まれる。すると、図7(C)(図8(C−L),(C−R))に示すように、ロックアーム46が弾性変形から解放されて、係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31に入り込む。このとき、係合部46aには、ロックアーム30自体の弾性変形による付勢力に、ばね片72の弾性変形による付勢力が加わる。このばね片72による付勢力のアシストにより、係合部46aが、係止凹部31に、十分なクリック感を持って入り込んでロック状態となる。
【0049】
ここで、図7(C)(図8(C−L),(C−R))に示すロック状態にあるカードトレイ30が矢印Yの向きに少し移動して、そのロックが不用意に外れかかった状態を考える。そうすると、ロックアーム46の係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31から外れかかり、ロックアーム46が弾性変形するとともにばね片72も弾性変形することになる。このため、十分に強い力でロック状態が維持されて、カードトレイ30の不用意な抜けが防止される。
【0050】
カードトレイ30をカードコネクタ本体20から抜き取るときは、前述の通り、不図示のイジェクトピンでスライドアーム43を矢印Xの向きに押し込む。するとイジェクトレバー44が反時計回りに回動してカードトレイ30が矢印Yの向きに押し出される。この時のロックアーム46等の動作は、カードトレイ30を挿し込むときとは逆の経過を辿ることになる。このときも、ばね片72のアシストにより、操作者に十分なクリック感を与えることになる。
【0051】
なお、上記第1および第2実施形態におけるばね片52,72は、ロックアーム46の係合部46aがカードトレイ30の係止凹部31に入り込んでいるときは、係合部46aから離間している。ただし、例えば係合部46aをばね片52,72側に膨出させて、係合部46aが係止凹部31に入り込んでいるときも係合部46aがばね片52,72を弾性変形させる構造としてもよい。この場合、ロック力が更に強められる。
【0052】
また、ここでは、ばね片として第1実施形態のばね片52と第2実施形態のばね片72の2例を示した。ただし、本発明における、金属シェルに設けられるばね片の形状は、これら2例のばね片52,72に限られるものではない。このばね片は、金属シェルに設けられてロックアームをアシストするばね片であればよい。
【0053】
また、ここでは、カードコネクタ本体にカードを載置したカードトレイを挿し込むタイプのカードコネクタについて説明した。ただし、本発明のカードコネクタは、カードトレイを用いずにカードのみを挿し込むタイプのカードコネクタにも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 カードコネクタ
20 カードコネクタ本体
21 受容空間
22 挿込み口
30 カードトレイ
31 係止凹部
32,33 カード載置部
40 基体
41 ハウジング
42 コンタクト
43 スライドアーム
43a スライドアームの頭部
44 イジェクトレバー
45 スイッチ
46 ロックアーム
46a 係合部
50,70 金属シェル
51,71 金属シェルの基部
52,72 ばね片
61,62 カード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8