特開2019-180139(P2019-180139A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-180139(P2019-180139A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20190920BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20190920BHJP
【FI】
   H02K5/22
   H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-67964(P2018-67964)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛 潤庠
(72)【発明者】
【氏名】谷嶋 誠
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA05
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC06
5H605DD03
5H605DD05
5H605DD11
5H605EB10
5H605EB16
5H605EC03
5H605EC07
5H605EC15
5H605EC20
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
5H611TT02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータの作動時に発するノイズを抑えることができるモータを提供すること。
【解決手段】モータは、中心軸に沿って延びるシャフトを有するロータと、ロータと径方向に対向するステータと、ステータのコイルと電気的に接続される回路基板と、ロータ、ステータおよび回路基板を収容するモータケースと、を備え、モータケースは、有底筒状の第1ケース部11と、有底筒状の第2ケース部12と、を有し、第1ケース部及び第2ケース部は、軸方向において互いのフランジ部43,44同士を突き当てて固定され、回路基板に一端が接続された接地用配線103の他端103bは、フランジ部に取り付けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びるシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記ステータのコイルと電気的に接続される回路基板と、
前記ロータ、前記ステータおよび前記回路基板を収容するモータケースと、を備え、
前記モータケースは、有底筒状の第1ケース部と、有底筒状の第2ケース部と、を有し、
前記第1ケース部及び前記第2ケース部は、軸方向において互いのフランジ部同士を突き当てて固定され、
前記回路基板に一端が接続された接地用配線の他端は、前記フランジ部に取り付けられる、
モータ。
【請求項2】
前記第1ケース部は、第1底板部の外周縁から軸方向に延びる筒状の第1周壁部と、前記軸方向において前記第1底板部と反対側の第1端部から径方向外側に延びる第1フランジ部と、をさらに有し、
前記第2ケース部は、第2底板部の外周縁から軸方向に延び、前記第1周壁部と対向配置される筒状の第2周壁部と、前記軸方向において前記第2底板部と反対側の第2端部から径方向外側に延びる第2フランジ部と、をさらに有し、
前記接地用配線は、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが互いに突き当たる部分より径方向内側に配置される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記接地用配線は、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の一方にネジ部材を介して固定される、
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の他方は、前記ネジ部材の頭部を収容する逃がし部を有する、
請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータ、前記ステータおよび前記回路基板は、前記第1ケース部の前記第1底板部および前記第1周壁部により構成される空間に収容され、
前記接地用配線の前記他端は、前記第1フランジ部に取り付けられる、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1周壁部は、前記軸方向に突出する第1環状凸部を含み、
前記第2周壁部は、前記軸方向に延び、前記第1環状凸部と嵌め合う第2環状凸部を含む、
請求項2乃至5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1環状凸部および前記第2環状凸部の少なくとも一方は、前記接地用配線を前記フランジ部に引き出す切欠き部を有する、
請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
少なくとも前記第1環状凸部と前記第2環状凸部との間に設けられた封止材をさらに備える、
請求項6又は7に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、民生用の換気扇に用いられるDC(直流)モータとして、金属製の筒状フレーム、及び筒状フレームの開口部を塞ぐ金属製のモータカバーの内部に、ステータと、ロータと、駆動回路を構成する電子部品が実装されステータのコイルと接続された回路基板と、を備える構成が記載される。また、特許文献1には、回路基板のスルーホールの電位をGND(接地)電位とする構成が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−229124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータにおいて、回路基板のスルーホールの電位をGND電位とするには、回路基板のスルーホール(接地端子)に接地用配線の一端を接続する。接地用配線は、筒状フレーム及びモータカバーの外部に導出される。接地用配線の他端は、筒状フレームやモータカバー、又は外部の接地電極に接続される。
しかしながら、接地用配線を筒状フレーム及びモータカバーの外部に導出させると、接地用配線に電流が流れたときに、接地用配線自体から周囲にノイズを放散することがある。さらに、ステータのコイルに電流を供給する電源配線をコンセント等の電源側接続端子に接続した場合、接地用配線から放散されたノイズが、電源配線および電源用接続端子を介し、他の電子機器に伝播してしまう場合もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータの作動時に発するノイズを抑えることができるモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸に沿って延びるシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、前記ステータのコイルと電気的に接続される回路基板と、前記ロータ、前記ステータおよび前記回路基板を収容するモータケースと、を備え、前記モータケースは、有底筒状の第1ケース部と、有底筒状の第2ケース部と、を有し、前記第1ケース部及び前記第2ケース部は、軸方向において互いのフランジ部同士を突き当てて固定され、前記回路基板に一端が接続された接地用配線の他端は、前記フランジ部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態ようによれば、モータの作動時に発するノイズを抑えることができるモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、一実施形態のモータのモータケースを構成する第1ケース部を示す斜視図である。
図3図3は、一実施形態のモータケースを構成する第2ケース部を示す斜視図である。
図4図4は、一実施形態のモータを、第2ケース部側から見た図である。
図5図5は、一本実施形態におけるモータの要部を示す図であり、図4のII−II断面図である。
図6図6は、一実施形態の変形例におけるモータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態のモータを示す断面図である。この図1は、後述する図4のI−I断面図である。
図1に示す本実施形態のモータ1は、例えば換気扇のファンを駆動するものである。モータ1は、ロータ2と、ステータ3と、回路基板5と、モータケース10と、を主に備える。
【0010】
ロータ2は、中心軸Jに沿って延びるシャフト21と、ロータコア22と、永久磁石(図示無し)と、を備える。シャフト21は、中心軸Jに沿った軸方向に延びる。シャフト21は、モータケース10に設けられた軸受24,25により、中心軸J周りに回転自在に支持される。ロータコア22は、シャフト21の径方向外側に設けられる。ロータコア22は、シャフト21において中心軸Jに沿った軸方向の中間部に形成されたローレット部22aに嵌められ、シャフト21と一体に中心軸J周りに回転する。永久磁石(図示無し)は、ロータコア22の外周面に設けられる。永久磁石(図示無し)は、中心軸J周りの周方向に複数設けられる。
【0011】
ステータ3は、ロータ2の径方向外側に位置し、ロータ2の永久磁石(図示無し)と径方向で対向する。ステータ3は、ステータコア31と、ティース部32と、コイル33と、を主に備える。
【0012】
ステータコア31は、モータケース10の内周面に設けられる。ステータコア31は、円環状の鋼板を軸方向に複数積層することで、全体として筒状に形成される。ティース部32は、ステータコア31の径方向内側に設けられる。ティース部32は、周方向に等間隔をあけて設けられた複数のティース32aを有する。各ティース32aは、径方向内側に向かって延びる。コイル33は、ティース32aに巻き回される。
【0013】
回路基板5は、ステータ3のコイル33に、電流を供給する。回路基板5は、板状で、中心軸Jに直交する面内に配置される。回路基板5は、ロータ2およびステータ3に対し、中心軸Jに沿った軸方向の一方の側(図1において左側)に設けられる。
【0014】
モータケース10は、ロータ2、ステータ3および回路基板5を収容する。モータケース10は、第1ケース部11と、第2ケース部12と、を備える。第1ケース部11、第2ケース部12は、それぞれ、例えば鉄系合金等、導電性を有した金属材料を鋳造により所定形状に形成したダイキャスト製である。
【0015】
図2は、本実施形態のモータのモータケースを構成する第1ケース部を示す斜視図である。
第1ケース部11は、中心軸J方向の他方の側(図1において右側)に設けられる。図1図2に示すように、第1ケース部11は、有底筒状で、第1底板部11aと、第1周壁部11bと、第1接続フランジ部(フランジ部)13と、を一体に備える。
【0016】
第1底板部11aは、中心軸Jに直交する面内に位置する円盤状である。第1底板部11aの中央部には、軸受24を保持する軸受保持部18が一体に設けられる。第1底板部11aの中央部には、軸挿通孔11hが形成される。シャフト21の一方の端部21aは、軸挿通孔11hを通して、モータケース10から中心軸J方向の外側に突出する。
【0017】
第1周壁部11bは、第1底板部11aの外周縁から軸方向に延びる円筒状である。第1周壁部11bにおいて第1底板部11aと反対側の第1端部11cは、軸方向他方の側に向かって開口する。
【0018】
また、第1周壁部11bは、軸方向に沿って第1底板部11aと反対側に突出する第1環状凸部11tを有する。第1環状凸部11tは、円筒状で、第1周壁部11bの内径よりも大きな内径を有する。
【0019】
第1接続フランジ部13は、第1周壁部11bの第1端部11cに設けられた第1環状凸部11tから径方向外側に延びる。第1接続フランジ部13は、周方向に間隔をあけた複数個所に設けられる。本実施形態において、第1接続フランジ部13は、周方向に等間隔をあけて、3個所に設けられる。
【0020】
図3は、本実施形態のモータケースを構成する第2ケース部を示す斜視図である。
図1に示すように、第2ケース部12は、中心軸J方向の一方の側に設けられる。図1図3に示すように、第2ケース部12は、有底筒状で、第2底板部12aと、第2周壁部12bと、第2接続フランジ部(フランジ部)14と、を一体に備える。
【0021】
第2底板部12aは、中心軸Jに直交する面内に位置する円盤状である。第2底板部12aの中央部には、軸受25を保持する軸受保持部19が一体に設けられる。
【0022】
第2周壁部12bは、第2底板部12aの外周縁から軸方向に延びる円筒状である。第2周壁部12bにおいて第2底板部12aと反対側の第2端部12cは、開口する。また、第2周壁部12bは、軸方向に沿って第2底板部12aと反対側に突出する第2環状凸部12tを有する。第2環状凸部12tは、円筒状で、第2周壁部12bと同等の内径を有する。第2環状凸部12tの外径は、第1環状凸部11tの内径よりも僅かに小さい。
【0023】
第2接続フランジ部14は、第2周壁部12bの第2端部12cから径方向から外側に延びる。第2接続フランジ部14は、周方向に間隔をあけた複数個所に設けられる。本実施形態において、第2接続フランジ部14は、周方向に等間隔をあけて、3個所に設けられる。
【0024】
第2ケース部12の第2底板部12aには、ヒートシンク16が一体に設けられる。ヒートシンク16は、軸方向に沿って第2底板部12aから離間する方向に突出する。ヒートシンク16の先端面16fは、回路基板5に実装された発熱性の電気素子に接触することで、電気素子の熱を放散させる。
【0025】
図1に示すように、このような第1ケース部11と第2ケース部12とは、第1周壁部11bの第1端部11cと、第2周壁部12bの第2端部12cとを軸方向で対向させた状態で組み合わされる。第1ケース部11と第2ケース部12とは、第1接続フランジ部13と第2接続フランジ部14とを軸方向において互いに突きあてて、ネジ17で締結することで連結固定される。また、第1ケース部11と第2ケース部12とは、第1環状凸部11tと第2環状凸部12tを互いに嵌め合わせる。第2ケース部12の第2環状凸部12tは、第1ケース部11の第1環状凸部11tの内側に挿入される。
【0026】
第1環状凸部11tの内周面と第2環状凸部12tの外周面との間には、封止材40が設けられる。封止材40は、第2環状凸部12tを第1環状凸部11tの内側に挿入するに先立ち、第2環状凸部12tの外周面、および第1環状凸部11tの内周面の少なくとも一方に塗布しておくのが好ましい。
【0027】
前記のロータ2、ステータ3および回路基板5は、第1ケース部11の第1底板部11aおよび第1周壁部11bにより構成される空間Kに収容される。回路基板5は、第1ケース部11において、第1環状凸部11tおよび第2環状凸部12tの径方向内側に配置される。
【0028】
図4は、本実施形態のモータを、第2ケース部側から見た図である。
図1図4に示すように、モータケース10内の回路基板5には、電源用配線101および信号用配線102と、接地用配線(図5参照)103とが接続される。
電源用配線101は、回路基板5に対し電流を供給する。信号用配線102は、回路基板5と、外部のコントローラ(図示無し)との間で、制御用の信号等を入出力する。電源用配線101と、信号用配線102とは、一本の配線100に束ねられ、その一端が回路基板5に接続され、他端がモータケース10の外部に導出される。
【0029】
図1図2に示すように、第1ケース部11の第1周壁部11bに設けられた第1環状凸部11tは、周方向の一部に、配線100を径方向に挿通させる切欠き部41が形成される。また、第1ケース部11は、第1環状凸部11tから径方向外側に延びる第1配線用フランジ部(フランジ部、第1フランジ部)43を備える。第1配線用フランジ部43は、軸方向において、第1接続フランジ部13と同じ位置に設けられる。第1配線用フランジ部43は、切欠き部41の径方向外側の部分を含み、周方向に一定長にわたって連続して設けられる。
【0030】
第1配線用フランジ部43において、軸方向他方の側を向く面43fには、切欠き部41から連続して径方向外側に延びる案内溝45が形成される。
【0031】
図5は、本実施形態におけるモータの要部を示す図であり、図4のII−II断面図である。
図2に示すように、第1配線用フランジ部43には、案内溝45に対し、周方向にオフセットした位置に、雌ネジ孔47が形成される。図2図5に示すように、雌ネジ孔47は、第1配線用フランジ部43において軸方向他方の側を向く面43fから、軸方向一方の側を向く面43gに向かって延び、面43gには非貫通とされる。雌ネジ孔47は、第1配線用フランジ部43の径方向外側の外周端部43eよりも、所定寸法径方向内側に配置される。雌ネジ孔47は、案内溝45を挟んで、1つの第1接続フランジ部13Aの反対側に配置される。
【0032】
図1図3に示すように、第2ケース部12の第2周壁部12bは、周方向の一部に、配線100を径方向に挿通させる切欠き部42が形成される。また、第2ケース部12は、第2周壁部12bから径方向外側に延びる第2配線用フランジ部(フランジ部、第2フランジ部)44を備える。第2配線用フランジ部44は、軸方向において、第2接続フランジ部14と同じ位置に設けられる。第2配線用フランジ部44は、切欠き部42の径方向外側の部分を含み、周方向に一定長にわたって連続して設けられる。
【0033】
第2配線用フランジ部44において、軸方向他方の側を向く面44fには、切欠き部42から連続して径方向外側に延びる案内溝46が形成される。
【0034】
また、図3図5に示すように、第2配線用フランジ部44には、案内溝46に対し、周方向にオフセットした位置に、逃がし部48が形成される。逃がし部48は、第2配線用フランジ部44において軸方向一方の側を向く面44fから、軸方向他方の側を向く面44gに向かって窪んでいる。逃がし部48は、面44gには非貫通とされる。逃がし部48は、第2配線用フランジ部44の径方向外側の外周端部44eよりも、所定寸法径方向内側に配置される。
【0035】
第2ケース部12には、逃がし部48から径方向内側に向かって延びる切欠き溝49が形成される。切欠き溝49は、第2配線用フランジ部44において軸方向一方の側を向く面44fから、軸方向他方の側を向く面44gに向かって窪んでいる。さらに、切欠き溝49は、第2配線用フランジ部44から第2環状凸部12tの径方向内側まで連続する。
なお、この切欠き溝49は、第1ケース部11の第1配線用フランジ部43に形成してもよいし、第1ケース部11の第1配線用フランジ部43と第2ケース部12の第2配線用フランジ部44の双方に形成してもよい。
【0036】
図1図5に示すように、第1ケース部11の第1接続フランジ部13と、第2ケース部12の第2接続フランジ部14とを軸方向で互いに突き当てた状態で、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが軸方向で互いに突き当たる。第1配線用フランジ部43の面43fと、第2配線用フランジ部44の面44fとは、互いに密着する。第1配線用フランジ部43の面43fと第2配線用フランジ部44の面44fとの間に、封止材を設けてもよい。
【0037】
図1に示すように、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが互いに突き当たった状態で、切欠き部41と切欠き部42、案内溝45と案内溝46は、それぞれ軸方向で互いに対向し、配線挿通孔50を形成する。配線100は、この配線挿通孔50を通して、モータケース10の内部から外側に引き出される。配線挿通孔50に挿通される配線100には、筒状のグロメット105が装着される。グロメット105は、ゴム系材料等からなり、配線100と、案内溝45,46との間を封止する。
【0038】
また、図5に示すように、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが互いに突き当たった状態で、雌ネジ孔47と逃がし部48とが、軸方向で対向する。雌ネジ孔47と逃がし部48に対して径方向外側には、第1配線用フランジ部43の面43fと、第2配線用フランジ部44の面44fとが互いに突き当たる部分Pが設けられる。
【0039】
接地用配線103は、一端(図示無し)が回路基板5(図1参照)に接続され、他端103bがモータケース10に接地される。接地用配線103の他端103bには、ネジ挿通部を有した接続端子104が設けられる。接地用配線103は、第1ケース部11の第1配線用フランジ部43の面43fと、第2ケース部12に形成された切欠き溝49との間を通して第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44との間に延びる。接地用配線103の他端103bに設けられた接続端子104は、第1ケース部11の第1配線用フランジ部43の面43fに軸方向から突き当たり、ネジ部材55により第1配線用フランジ部43に固定される。
【0040】
ネジ部材55は、ネジ部55bを第1配線用フランジ部43に形成された雌ネジ孔47に締め込む。第1配線用フランジ部43の面43fから突出するネジ部材55の頭部55aは、第2ケース部12の第2配線用フランジ部44に形成された逃がし部48に収容される。ここで、逃がし部48の内側には、封止材を充填し、封止性を高めてもよい。
【0041】
このようにして第1配線用フランジ部43に取り付けられた接地用配線103の他端103bに設けられた接続端子104は、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが互いに突き当たる部分Pより径方向内側に配置される。
【0042】
本実施形態によれば、回路基板5に一端(図示無し)が接続された接地用配線103の他端103bは、第1配線用フランジ部43に取り付けられる。これにより、回路基板5から延びる接地用配線103を、モータケース10の外部に露出させることなく、モータケース10内で第1配線用フランジ部43に接続することができる。また、接地用配線103は、回路基板5と第1配線用フランジ部43とを接続する最小限の長さとすることができるので、接地用配線103の長さを抑えることによって、ノイズ発生を抑えることができる。このようにして、モータケース10の外側に接地用配線103が露出する構成に比べて、モータの作動時に発するノイズを抑えることができる。したがって、電源用配線101を、コンセント等の電源側接続端子に接続しても、接地用配線103から放散されたノイズが、電源用配線101を介して他の電子機器に伝播するのを抑えることができる。
【0043】
本実施形態によれば、第1ケース部11は、接地用配線103は、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが互いに突き当たる部分Pより径方向内側に配置される。これにより、接地用配線103が第1配線用フランジ部43および第2配線用フランジ部44に挟み込まれることなく、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44とが互いに突き当たる部分Pの内側に収容される。よって、第1配線用フランジ部43と第2配線用フランジ部44との密着性が向上するので、モータケース10内の防水性が高まる。
【0044】
本実施形態によれば、接地用配線103は、第1配線用フランジ部43にネジ部材55を介して固定される、これにより、接地用配線103を第1配線用フランジ部43に確実に固定できる。
【0045】
本実施形態によれば、第2配線用フランジ部44は、ネジ部材55の頭部55aを収容する逃がし部48を有する、これにより、ネジ部材55と第2配線用フランジ部44との干渉を防止できる。
【0046】
本実施形態によれば、ロータ2、ステータ3および回路基板5は、第1ケース部11の空間Kに収容され、接地用配線103の他端103bは、第1配線用フランジ部43に取り付けられる、このようにして、接地用配線103の一端(図示無し)が接続される回路基板5と、他端103bが接続される第1配線用フランジ部43とが、第1ケース部11側に設けられる。これにより、モータ1の組立の際には、回路基板5と接地用配線103とを第1ケース部11側に組み付けた後、第2ケース部12を第1ケース部11に取り付ければ良い。このように、第2配線用フランジ部44を外した状態で接地用配線103の取り付けができるので、作業性が向上する。
【0047】
本実施形態によれば、第1周壁部11bは、軸方向に突出する第1環状凸部11tを含み、第2周壁部12bは、軸方向に延び、第1環状凸部11tと嵌め合う第2環状凸部12tを含む。これにより、第1ケース部11と第2ケース部12とを組み合わせるときには、第1環状凸部11tと第2環状凸部12tとを嵌め合わせることによって、第1ケース部11と第2ケース部12との位置合わせを容易に行うことができる。また、第1環状凸部11tと第2環状凸部12tとが嵌め合うことで、モータケース10内の密閉性が向上し、モータ1の防水性が高まる。
【0048】
本実施形態によれば、第1環状凸部11t、第2環状凸部12tは、接地用配線103を第1配線用フランジ部43に引き出す切欠き部41、42を有する。これにより、接地用配線103が、第1環状凸部11tと第2環状凸部12tとの間に挟みこまれるのを防止できる。
【0049】
本実施形態によれば、第1環状凸部11tと第2環状凸部12tとの間に設けられた封止材40を備える。封止材40によって第1ケース部11および第2ケース部12の隙間がシールされるので、モータ1の防水性を向上できる。
【0050】
また、ネジ部材55が締結される雌ネジ孔47は、第1配線用フランジ部43の面43g側に非貫通であるので、雌ネジ孔47を通して外部から水分等が進入するのを回避できる。したがって、この点においても、モータ1の防水性が高まる。
【0051】
(変形例)
上記実施形態では、モータケース10の第1ケース部11、第2ケース部12をダイキャスト製としたが、これに限らない。
例えば、図6に示すように、モータケース10Bの第1ケース部11B、第2ケース部12Bを、それぞれ、導電性を有した金属板をプレス加工等によって形成してもよい。この場合、接地用配線103の他端103bに設けられた接続端子104は、第1ケース部11Bに、径方向外側に延びるように設けた第1配線用フランジ部(フランジ部、第1フランジ部)43Bにネジ部材55で固定する。第2ケース部12Bには、第1配線用フランジ部43Bに対向する位置に、第2配線用フランジ部(フランジ部、第2フランジ部)44Bを設ける。第2配線用フランジ部44Bには、ネジ部材55の頭部55aを収容する逃がし部48Bを形成する。
【0052】
以上に、本発明の一実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0053】
例えば、上述した実施形態および変形例に示したモータ1の用途は、特に限定されない。
【0054】
また、上述の実施形態において、第1配線用フランジ部43、第2配線用フランジ部44を、第1接続フランジ部13、第2接続フランジ部14とは別に設けるようにしたが、これに限らない。第1配線用フランジ部43と第1接続フランジ部13、第2配線用フランジ部44と第2接続フランジ部14を、それぞれ周方向に連続させて一体に形成してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態において、接地用配線103は、第1配線用フランジ部43に固定するようにしたが、第2ケース部12の第2配線用フランジ部44に固定してもよい。
【0056】
また、上述の実施形態において、雌ネジ孔47は、第1配線用フランジ部43の面43g側に非貫通としたが、これに限らない。雌ネジ孔47は、第1配線用フランジ部43を軸方向に貫通させてもよい。この場合、防水性を確保するため、雌ネジ孔47とネジ部材55のネジ部55bとの間に、封止材を設けるのが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A…モータ、2…ロータ、3…ステータ、5…回路基板、10、10B…モータケース、11、11B…第1ケース部、11a…第1底板部、11b…第1周壁部、11c…第1端部、11t…第1環状凸部、12、12B…第2ケース部、12a…第2底板部、12b…第2周壁部、12c…第2端部、12t…第2環状凸部、13、13A…第1接続フランジ部(フランジ部)、14、14B…第2接続フランジ部(フランジ部)、21…シャフト、40…封止材、41、42…切欠き部、43、43B…第1配線用フランジ部(フランジ部、第1フランジ部)、44、44B…第2配線用フランジ部(フランジ部、第2フランジ部)、48、48B…逃がし部、55…ネジ部材、55a…頭部、103…接地用配線、103b…他端、J…中心軸、K…空間、P…互いに突き当たる部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6