【解決手段】アクチュータ1において、ケース3で覆われたコイルホルダ4に、コイル線56,57が接続された給電基板10が保持されているため、落下時の衝撃がケース3を介して給電基板10に伝搬しにくい。また、落下時の衝撃が伝搬した場合でも、給電基板10は、コイルホルダ4とともに動くので、コイル線56、57が引っ張られるという事態が発生しにくい。それ故、落下時の衝撃によってコイル線56、57が断線するという事態が発生しにくいので、耐落下衝撃性能を向上することができる。また、コイルホルダ4において、給電基板10は、可動体6に対する度当たり部から離間する位置に設けられている。従って、コイルホルダ4の度当たり部に可動体6が当たっても、その際の衝撃が給電基板10に伝搬しにくい。
前記コイルホルダは、前記給電基板から離間する位置で前記可動体の前記第1方向に対して交差する方向における可動範囲を規定する度当たり部を有していることを特徴とする請求項1から3までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
前記給電基板の両端部は各々、前記コイルホルダの相対向する位置で前記第1方向に延在する一対のスリットの内側に嵌っていることを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明において、可動体6の直動方向(第2方向、振動方向)にXを付し、第2方向Xと交差する第1方向にZを付し、第1方向Zおよび第2方向Xに対して交差する第3方向にYを付して説明する。なお、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付して説明する。また、以下の説明では、コイルを保持する一方側部材が支持体2であって、永久磁石を保持する他方側部材が可動体6である
場合を中心に説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1のYZ断面図である。
図3は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
図4は、
図1に示すアクチュエータ1を支持体2と可動体6とに分解した分解斜視図である。
図5は、
図4に示す支持体2を第1方向Zの他方側Z2からみた分解斜視図である。
図6は、
図4に示す支持体2を第1方向Zの一方側Z1からみた分解斜視図である。
【0016】
図1に示すアクチュエータ1は、第3方向Yに長手方向を向けた直方体形状を有しており、アクチュエータ1を手にした利用者に対して第2方向Xの振動によって情報を報知する。従って、アクチュエータ1は、ゲーム機の操作部材等として利用することができ、振動等によって新たな感覚を実感することができる。
【0017】
図2、
図3、および
図4に示すように、アクチュエータ1は、アクチュエータ1の外形を規定する角形のケース3等を含む支持体2と、ケース3の内部で支持体2に対して第2方向Xに移動可能に支持された可動体6とを有しており、可動体6が第2方向Xに振動することによって情報を出力する。
【0018】
本形態においては、
図2〜
図6を参照して以下に説明するように、支持体2は、ケース3、コイルホルダ4、コイル5、給電基板10を有しており、可動体6は、永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)、およびヨーク(第1ヨーク81および第2ヨーク82)を有している。また、コイル5および永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)によって磁気駆動回路1aが構成されている。また、可動体6は、可動体6と支持体2との間に設けられた接続体91、92を介して支持体2に支持されている。接続体91、92は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えている。
【0019】
(可動体6の構成)
図2、
図3および
図4に示すように、可動体6は、コイル5に対して第1方向Zの一方側Z1に配置された磁性板からなる第1ヨーク81と、コイル5に第1方向Zの一方側Z1で対向するように第1ヨーク81の第1方向Zの他方側Z2の面に保持された平板状の第1永久磁石71とを有している。また、可動体6は、コイル5に対して第1方向Zの他方側Z2に配置された磁性板からなる第2ヨーク82と、コイル5に第1方向Zの他方側Z2で対向するように第2ヨーク82の第1方向Zの一方側Z1の面に保持された平板状の第2永久磁石72とを有している。本形態において、可動体6は、第1ヨーク81、第1永久磁石71、第2ヨーク82、および第2永久磁石72によって構成されている。
【0020】
第1ヨーク81は、第1永久磁石71が固定された平板部811と、平板部811の第2方向Xの両側の端部から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった一対の連結部812とを有している。第2ヨーク82は、第2永久磁石72が固定された平板部821を有しており、平板部821の第3方向Yの中間部分には、第2方向Xの一方側X1および他方側X2に張り出した一対の張り出し部822を有している。本形態において、一対の張り出し部822には、第1ヨーク81の一対の連結部812が溶接等の方法で連結されている。
【0021】
第1永久磁石71および第2永久磁石72は各々、第1方向の一方側X1と第1方向の他方側X2とが異なる極に着磁されている。
【0022】
(支持体2の構成)
図1、
図2および
図3に示すように、支持体2において、ケース3は、第1方向Zの一方側Z1に位置する第1ケース部材31と、第1方向Zの他方側Z2で第1ケース部材31と重なる第2ケース部材32とを有しており、第1ケース部材31の第2方向Xの両側に設けられた一対の側板部311に、第2ケース部材32の第2方向Xの両側に設けられた一対の側板部321が被さってケース3を構成する。その際、第1ケース部材31と第2ケース部材32との間には、
図4および
図5に示すコイルホルダ4、コイル5および可動体6が収容される。本形態において、ケース3は、第3方向Yの両端が開口部になっている。
【0023】
第1ケース部材31の一対の側板部311、および第2ケース部材32の一対の側板部321において、第3方向Yの両端部には、切欠き311a、321a、311b、312bが形成されている。また、側板部321において第3方向Yにおいて離間する位置には係合穴321dが形成されている。
【0024】
図5に示すように、コイル5は、長円状に巻回された環状の平面形状を有する空芯コイルであり、コイルホルダ4に保持されている。コイル5は、第2方向Xで並列して第3方向Yに延在する2つの長辺部51と、2つの長辺部51の第3方向Yの両端を繋ぐ円弧状の2つの短辺部52とを備えている。このように構成したコイル5に対して、長辺部51には、第1方向Zの一方側Z1で第1永久磁石71が対向し、第1方向Zの他方側Z2で第2永久磁石72が対向している。
【0025】
図4および
図5に示すように、コイルホルダ4は、コイル5が内側に配置される長円状の貫通穴からなるコイル配置穴410が第1方向Zで開口する板部41を有している。
【0026】
板部41の第3方向Yの一方側Y1の端部411において、第1方向Zの他方側Z2の面には、第2方向Xに延在する複数の凹部411bが形成されており、第1方向Zの一方側Z1の面にも、凹部411bと同様な凹部(図示せず)が形成されている。
【0027】
端部411において、第3方向Yの一方側Y1の縁からは、第1方向Zの一方側Z1に向けて側板部413が突出し、第2方向Xの一方側X1の縁、および第2方向Xの他方側X2の縁からは、第1方向Zの一方側Z1、および他方側Z2に向けて側板部414、415が突出している。側板部414、415の内面414s、415sのうち、板部41に対して第1方向Zの一方側Z1には、第1方向Zに延在する溝状の凹部からなる第1保持部414a、415aが形成されている。また、側板部414、415の内面414s、415sのうち、板部41に対して第1方向Zの他方側Z2には、第1方向Zに延在する溝状の凹部からなる第2保持部414b、415bが形成されている。
【0028】
板部41の第3方向Yの他方側Y2の端部412において、第1方向Zの他方側Z2の面には、第2方向Xに延在する複数の凹部412bが形成されており、第1方向Zの一方側Z1の面にも、凹部412bと同様な凹部412aが形成されている。
【0029】
端部412において、第3方向Yの他方側Y2の縁、第2方向Xの一方側X1の縁、および第2方向Xの他方側X2の縁からは、第1方向Zの一方側Z1、および他方側Z2に向けて側板部417、418、419が突出している。側板部418、419の内面418s、419sのうち、板部41に対して第1方向Zの一方側Z1には、第1方向Zに延在する溝状の凹部からなる第1保持部418a、419aが形成されている。また、側板部418、419の内面418s、419sのうち、板部41に対して第1方向Zの他方側Z2には、第1方向Zに延在する溝状の凹部からなる第2保持部418b、419bが形成されている。
【0030】
また、側板部414の外面のうち、第3方向Yの一方側Y1の端部には、第1ケース部材31の一対の側板部311、および第2ケース部材32の一対の側板部321に形成された切欠き311a、321aが当接する凸部414eが形成され、側板部415の外面にも、凸部414eと同様な凸部415eが形成されている。側板部418の外面のうち、第3方向Yの他方側Y2の端部には、第1ケース部材31の一対の側板部311、および第2ケース部材32の一対の側板部321に形成された切欠き311b、321bが当接する凸部418eが形成され、側板部419の外面にも、凸部418eと同様な凸部(図示せず)が形成されている。
【0031】
また、側板部414の外面、および側板部418の外面には、第2ケース部材32の一対の側板部321の各々に形成された係合穴321dが係合する係合凸部414d、418dが形成されている。なお、側板部415の外面、および側板部419の外面にも、係合凸部414d、418dと同様な係合凸部(図示せず)が形成されている。
【0032】
(第1プレート47および第2プレート48の構成)
このように構成した支持体2は、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの一方側Z1から重なる第1プレート47を有しており、少なくともコイル5の空芯部50に充填された接着剤からなる接着剤層9によって、コイル5は、第1プレート47および板部41に固定されている。従って、コイル5は、第1プレート47を介して第1永久磁石71と第1方向Zで対向している。また、接着剤層9によって、第1プレート47は板部41に固定されている。その際、板部41に形成された凹部412a等は、接着剤層9の溜り部になっている。
【0033】
また、支持体2は、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの他方側Z2から重なる第2プレート48を有しており、少なくともコイル5の空芯部50に充填された接着剤からなる接着剤層9によって、コイル5は、第2プレート48に固定されている。従って、コイル5は、第2プレート48を介して第2永久磁石72と第1方向Zで対向している。また、接着剤層9によって、第2プレート48は板部41に固定されている。その際、板部41に形成された凹部411b、412b等は、接着剤層9の溜り部になっている。
【0034】
本形態において、第1プレート47および第2プレート48は、非磁性材料からなる。本形態において、第1プレート47および第2プレート48は、金属板からなる。より具体的には、第1プレート47および第2プレート48は、非磁性のステンレンス板からなる。
【0035】
ここで、第1プレート47は、第2方向Xの両側から第1方向Zの一方側Z1に斜めに突出した爪状の凸部472を有しており、凸部472は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部からなる第1保持部414a、415a、418a、419aの内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持されている。また、第2プレート48は、第2方向Xの両側から第1方向Zの他方側Z2に斜めに突出した爪状の凸部482を有しており、凸部482は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部からなる第2保持部414b、415b、418b、419bの内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持されている。第1プレート47は、第3方向Yの両端で第1方向Zの一方側Z1に折れ曲がった屈曲部473と、第2方向Xの両端で第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった屈曲部474とを有している。第2プレート48は、第3方向Yの両端で第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった屈曲部483と、第2方向Xの両端で第1方向Zの一方側Z1に折れ曲がった屈曲部484とを有している。従って、第1プレート47および第2プレート48は、屈曲部473、474、483、484によって折れ曲がりに対する強度が高められている。
【0036】
このように、本形態のアクチュエータ1は、コイルホルダ4の板部41を第1方向Zで貫通するコイル配置穴410の内側にコイル5が配置されているとともに、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの一方側Z1から重なるように第1プレート47が配置されている。このため、コイル5の空芯部50に接着剤を充填すると、接着剤は、コイル5とコイルホルダ4との間、コイル5と第1プレート47との間、および第1プレート47とコイルホルダ4との間に流れ込む。従って、接着剤を硬化させると、コイル5、第1プレート47、およびコイルホルダ4が接着剤層9によって固定される。このため、コイル5の外周面とコイル配置穴410の内周面との隙間に接着剤を流し込む場合と違って、コイルホルダ4のコイル配置穴410に配置したコイル5をコイルホルダ4と適正に接着することができる。また、第1永久磁石71とコイル5との間に第1プレート47が介在する。このため、可動体6が第1方向Zの一方側Z1に移動した場合でも、第1永久磁石71とコイル5とが直接、接触することがないので、コイル5が損傷しにくい。
【0037】
また、コイル5の空芯部50に接着剤を充填した後、第2プレート48を重ねると、接着剤は、コイル5とコイルホルダ4との間、コイル5と第1プレート47との間、および第1プレート47とコイルホルダ4との間にスムーズに流れ込むとともに、コイル5と第2プレート48との間、および第2プレート48とコイルホルダ4との間に流れ込む。従って、接着剤を硬化させると、コイル5、第1プレート47、第2プレート48、およびコイルホルダ4が接着剤層9によって固定される。この状態では、第2永久磁石72とコイル5との間に第2プレート48が介在する。このため、可動体6が第1方向Zの他方側Z2に移動した場合でも、第2永久磁石72とコイル5とが直接、接触することがないので、コイル5が損傷しにくい。
【0038】
また、第1プレート47および第2プレート48は、非磁性材料からなるため、第1永久磁石71からの磁束、および第2永久磁石72の磁束が、第1プレート47および第2プレート48の影響を受けずに、コイル5と鎖交することになる.また、第1プレート47および第2プレート48は、金属板からなるため、コイル5で発生した熱を第1プレート47および第2プレート48を介して効率よく逃がすことができる。また、第1プレート47および第2プレート48は、ステンレンス板からなるため、第1プレート47および第2プレート48は、板厚が薄い場合でも、十分な強度を有する。
【0039】
また、コイルホルダ4は、第1プレート47の爪状の凸部472と係合して第1プレート47を保持する第1保持部414a、415a、418a、419aと、第2プレート48の爪状の凸部482と係合して第2プレート48を保持する第2保持部414b、415b、418b、419bとを有している。このため、接着剤90が硬化するまで、第1プレート47および第2プレート48を治具で支持する必要がない。
【0040】
(接続体91、92の構成)
図2、
図3、
図4および
図5に示すように、可動体6は、可動体6と支持体2との間に設けられた接続体91、92によって第2方向Xおよび第3方向Yに移動可能に支持されている。
【0041】
本形態において、接続体91は、第1ヨーク81と第1プレート47とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。接続体92は、第2ヨーク82と第2プレート48とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。より具体的には、接続体91は、第3方向Yにおいて離間する2個所(コイル5の短辺部52側)の各々において第1ヨーク81と第1プレート47とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。接続体92は、第3方向Yにおいて離間する2個所(コイル5の短辺部52側)の各々において第2ヨーク82と第2プレート48とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。従って、板状バ
ネ等を用いずに、可動体6を第2方向Xに移動可能に支持することができる。
【0042】
本形態において、接続体91、92は粘弾性部材である。より具体的には、接続体91、92(粘弾性部材)は、シリコーンゲル等からなるゲル状部材である。本形態において、接続体91、92は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。針入度とは、JIS−K−2207やJIS−K−2220で規定されているように、25℃で9.38gの総荷重をかけた1/4コーンの針が5秒間に入り込む深さを1/10mm単位で表わした値であり、この値が小さいほど硬いことを意味する。なお、接続体91、92と第1ヨーク81や第2ヨーク82との固定、および接続体91、92とコイルホルダ4との固定は、接着剤、粘着剤、あるいはシリコーンゲルの粘着性を利用して行われる。
【0043】
このように本形態のアクチュエータ1においては、可動体6と支持体2との間に接続体91、92が設けられているため、可動体6が共振することを抑制することができる。ここで、接続体91は、第1プレート47と第1ヨーク81との間に設けられており、接続体92は、第2プレート48と第2ヨーク82との間に設けられている。従って、接続体91、92を設けるのにケース3が用いられていない。従って、ケース3を用いなくても、支持体2と可動体6との間に接続体91、92を設けることができる。それ故、ケース3を設けていない組み立て途中の段階で接続体91、92を設けることができるので、製造途中にダンパー特性を含む振動特性を測定することができる。また、接続体91、92を設けるのにケース3が用いられていないので、ケース3を有しないアクチュエータに接続体91、92を設けることができる。
【0044】
また、接続体91、92は、支持体2と可動体6とにおいて第2方向X(振動方向)に対して交差する第1方向Zで対向する位置に設けられているため、可動体6が第2方向Xに振動した際、そのせん断方向に変形して共振を防止する。このため、可動体6が第2方向Xに振動しても、接続体91、92の弾性率の変化が小さいので、可動体6の共振を効果的に抑制することができる。
【0045】
すなわち、接続体(接続体91、92)は、粘弾性部材(板状のゲル状部材)であって、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、接続体91、92は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。また、接続体91、92は、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を持つ。本形態において、可動体6が第2方向Xに振動した際、接続体91、92は、せん断方向に変形するように構成されている。従って、接続体91、92では、可動体6が第2方向Xに振動した際、運動方向によるバネ力が一定となる。それ故、接続体91、92のせん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもって振動を実現することができる。
【0046】
また、接続体91、92は、第1方向Zの両面が各々、可動体6および支持体2に接着等の方法で接続されている。従って、接続体91、92は、可動体6の移動に確実に追従するので、可動体6の共振を効果的に防止することができる。
【0047】
また、接続体91、92は、支持体2と可動体6との間で第1方向Zに圧縮された状態にある。従って、接続体91、92は、可動体6の移動に確実に追従するので、可動体6の共振を効果的に防止することができる。
【0048】
(度当たり部の構成)
本形態では、外部からの衝撃によって、可動体6が第2方向Xおよび第3方向Yに移動する際の可動範囲を規定する度当たり部が設けられている。より具体的には、可動体6において、第1ヨーク81および第2ヨーク82の平板部811、821は、側板部414、415、418、419の内面414s、415s、418s、419sと第2方向Xで対向している。側板部414、415、418、419の内面414s、415s、418s、419sは、外部からの衝撃によって、可動体6が第2方向Xに移動した際、可動体6と当接して第2方向Xの可動範囲を規定する第1度当たり部になっている。
【0049】
また、可動体6において、第1ヨーク81の一対の連結部812および第2ヨーク82の一対の張り出し部822は各々、コイルホルダ4において第3方向Yで離間する側板部414と側板部418との間、および第3方向Yで離間する側板部415と側板部419との間に位置する。従って、側板部414と側板部418とにおいて互いに対向する端部414g、418g、および側板部415と側板部419とにおいて互いに対向する端部415g、419gは、外部からの衝撃によって、可動体6が第3方向Yに移動した際、可動体6と当接して第3方向Yの可動範囲を規定する第2度当たり部になっている。
【0050】
(給電基板10の構成)
図7は、
図1に示すアクチュエータ1における給電基板10の固定構造を示す説明図である。
図8は、給電基板10を保持するスリット414t、415tの説明図である。
【0051】
図1および
図3に示すように、アクチュエータ1では、コイルホルダ4において、上記の度当たり部(側板部414、415、418、419の内面414s、415s、418s、419s、および端部414g、415g、418g、419g)から離間する位置に給電基板10が保持されており、給電基板10には、コイル5を構成するコイル線56、57がハンダ等により接続されている。本形態において、給電基板10は剛性基板である。
【0052】
本形態では、コイルホルダ4のうち、第3方向Yの一方側で側板部413、414、415に囲まれた開口部に給電基板10が保持されている。本形態において、コイル線56、57は、コイルホルダ4の板部41の端部411の第1方向Zの他方側Z2の面に形成された2本のガイド溝411cを通ってコイル5から第3方向Yの一方側Y1に引き出された後、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に向けて延在し、給電基板10に接続されている。
【0053】
本形態では、コイルホルダ4には、第2方向Xで相対向する側板部414、415の端部414h、415hに第1方向Zの一方側Z1に延在する一対のスリット414t、415tが形成されており、給電基板10の第2方向Xの両側の端部10a、10bが各々、スリット414t、415tの内側に嵌っている。従って、給電基板10は、ケース3から露出する位置でコイルホルダ4の側板部413、414、415に沿うようにコイルホルダ4に保持されている。本形態では、給電基板10の端部10a、10bをスリット414t、415tに嵌めた後、さらに接着剤によってコイルホルダ4と給電基板10とを固定し、給電基板10の振動を抑制する構造になっている。
【0054】
本形態において、給電基板10は、コイル線56、57がハンダにより接続された2つのランド16a、16bが第2方向Xで離間する位置に形成された第1板部11と、第1板部11の第2方向Xの両端から第1方向Zの一方側Z1に突出した2つの第2板部12、13とを備えている。また、第1板部11には、ランド16a、16bの両側に2つのランド17a、17bが形成されており、ランド17a、17bには外部からの配線部材(図示せず)が接続される。
【0055】
また、コイルホルダ4の端部411には、ガイド溝411cの第3方向Yの一方側Y1の端部を通る位置に給電基板10の第1板部11の第1方向Zの一方側Z1の縁を受ける当接部411rが形成されており、給電基板10の両端部10a、10bは、給電基板10の第1板部11が当接部411rに当接する深さ位置までスリット414t、415tに嵌っている。第1板部11の第1方向Zの他方側Z2の端部には、コイル線56、57を給電基板10に接続する際、コイル線56、57の先端側を保持する2つの凹部11a、11bが形成されている。
【0056】
ここで、スリット414t、415tは、深さ方向(第1方向Z)の途中から幅が狭くなっている。従って、給電基板10は、両端部10a、10bをスリット414t、415tに挿入した際、第1板部11が当接部411rに当接するまでの途中位置においても、スリット414t、415tに保持された状態が維持される。
【0057】
ここで、コイル線56、57は、コイル5から給電基板10のランド16a、16b(接続位置)までの間に適度な弛みが付されている。但し、給電基板10をスリット414t、415t内に嵌った状態で当接部411rから第1方向Zの他方側Z2に離間する深さ位置に移動させると、コイル線56、57は緊張状態となる。
【0058】
このように、本形態では、ケース3で覆われたコイルホルダ4に給電基板10が保持されているため、落下時の衝撃がケース3を介して給電基板10に伝搬しにくい。また、落下時の衝撃がコイルホルダ4に伝搬した場合でも、給電基板10は、コイルホルダ4とともに動くので、コイル線56、57が引っ張られるという事態が発生しにくい。それ故、落下時の衝撃によってコイル線56、57が断線するという事態が発生しにくいので、耐落下衝撃性能を向上することができる。
【0059】
また、給電基板10は、コイルホルダ4の側面に沿うように設けられている。このため、落下時の衝撃が給電基板10に直接、加わるという事態が発生しにくいので、落下時の衝撃によってコイル線56、57が断線するという事態が発生しにくい。
【0060】
また、コイルホルダ4において、給電基板10は、可動体6に対する度当たり部(側板部414、415、418、419の内面414s、415s、418s、419s(第1度当たり部)、および側板部414、415、418、419の端部414g、415g、418g、419g(第2度当たり部)から離間する位置に設けられている。従って、落下時の衝撃によって可動体6が動き、コイルホルダ4の度当たり部に可動体6が当たっても、その際の衝撃が給電基板10に伝搬しにくい。従って、落下時の衝撃によって、コイル線56、57が断線するという事態が発生しにくい。
【0061】
また、コイルホルダ4において給電基板10が固定された側面は、第3方向Yの一方側Y1に位置する。ここで、第3方向Yには、コイル5の短辺部52(無効辺)が位置する。また、コイル5では、コイル線56、57がコイル5の短辺部52から引き出される。従って、コイルホルダ4において第3方向Yの一方側Y1に位置する側面に給電基板10を配置すれば、コイル5から給電基板10までコイル線56、57が延在する距離が短くてよい。
【0062】
また、コイル線56、57が第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に延在して給電基板10に接続されており、かかる給電基板10の両端部10a、10bは、コイルホルダ4の相対向する位置で第1方向Zの一方側Z1に向けて延在する一対のスリット414t、415tの内側に第1方向Zの他方側Z2から嵌められている。ここで、給電基板10は、コイルホルダ4に設けた当接部411rに第1方向Zの他方側Z2から当接する深さ
までスリット414t、415tに嵌っており、第1方向Zの最も一方側Z1に位置する。このため、第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に延在するコイル線56、57に適度な弛みを容易に設けることができる。従って、温度変化が発生した際、コイル線56、57と周辺部材との間に熱膨張係数の差に起因してコイル線56、57が引っ張られる等の事態が発生しても、コイル線56、57が断線しにくい。それ故、アクチュエータ1の使用温度範囲を拡大することができる。
【0063】
(動作)
本形態のアクチュエータ1において、給電基板10を介して外部(上位の機器)からコイル5に給電すると、コイル5、第1永久磁石71および第2永久磁石72を備えた磁気駆動回路1aによって、可動体6が第2方向Xに往復移動する。従って、アクチュエータ1を手に持っていた利用者は、アクチュエータ1からの振動によって情報を得ることができる。その際、コイル5に印加される信号波形については、伝達すべき情報によって、周波数を変化させる。また、コイル5に印加される信号波形については極性を反転させるが、その際、駆動信号の極性が負の期間と正の期間とにおいて電圧の変化に対して緩急の差を設ける。その結果、可動体6が第2方向Xの一方側X1に移動する際の加速度と可動体6が第2方向Xの他方側X2に移動する際の加速度との間に差が発生する。従って、利用者に対して、アクチュエータ1が第2方向Xの一方側X1あるいは他方側X2に移動するような錯覚を感じさせることができる。
【0064】
(アクチュエータ1の製造方法)
図9は、
図1に示すアクチュエータ1の製造工程のうち、コイルホルダ4にコイル5を固定する工程を示す説明図である。
図10は、
図5に示すコイルホルダ4にコイル5を固定する工程を示す平面図である。
図11は、
図5に示すコイルホルダ4に給電基板10を固定する工程を示す説明図である。
【0065】
アクチュエータ1を製造する際、まず、
図9および
図10に示すように、コイルホルダ4のコイル配置穴410および板部41に第1方向Zの一方側Z1から重なるように第1プレート47を配置する。その際、凸部472を側板部414、415、418、419の第1保持部414a、415a、418a、419aに差し込み、係合させる。その結果、第1プレート47は、コイル配置穴410を第1方向Zの一方側Z1から塞いだ状態でコイルホルダ4に保持される。次に、
図9および
図10に示すように、コイル5をコイル配置穴410に配置する。
【0066】
この状態で、
図7に示すように、コイル5に給電基板10を固定する。本形態では、
図11(a)に示すように、第1方向Zの他方側Z2からコイルホルダ4のスリット414t、415tに給電基板10の端部10a、10bを嵌める。その際、給電基板10がコイルホルダ4の当接部411rに第1方向Zの他方側Z2から当接するまでの途中位置で給電基板10の挿入を止める。従って、給電基板10は、当接部411rから浮いた状態にある。
【0067】
この状態で、コイル線56、57を第1方向Zの一方側Z1から他方側Z2に引き回して給電基板10のランド16a、16bにハンダにより接続する。その際、コイル線56、57を凹部11a、11bに通し、コイル線56、57を位置決めする。コイル線56、57を給電基板10に接続した後、コイル線56、57の先端側の余剰部分を切断し、除去する。
【0068】
しかる後に、給電基板10を当接部411rに第1方向Zの他方側Z2から当接する深さまでスリット414t、415t内に押し込む。その結果、コイル線56、57には、コイル5から給電基板10のランド16a、16b(接続位置)までの間に適度な弛みが
付される。本形態では、給電基板10を当接部411rに第1方向Zの他方側Z2から当接する深さまでスリット414t、415t内に押し込んだ後、給電基板10をコイルホルダ4に接着剤90によって固定する。
【0069】
ここで、スリット414t、415tは、深さ方向の途中から幅が狭くなっているため、スリット414t、415tにおいて幅が狭くなっている位置まで給電基板10を差し込むと、給電基板10がスリット414t、415tに仮固定される。従って、仮固定された給電基板10にコイル線56、57を接続した後、給電基板10をさらに深くスリット414t、415t内に押し込めば、コイル線56、57に弛みを付すことができる。また、コイル線56、57を接続する際の給電基板10の位置を適正化するだけで、コイル線56、57に付す弛みを適正化することができる。
【0070】
次に、
図9および
図10に示すように、コイル5の空芯部50に接着剤に充填した後、コイルホルダ4のコイル配置穴410および板部41に第1方向Zの他方側Z2から重なるように第2プレート48を配置する。その際、凸部482を側板部414、415、418、419の第2保持部414b、415b、418b、419bに差し込み、係合させる。その結果、第2プレート48は、コイル5に第1方向Zの他方側Z2から重なる状態でコイルホルダ4に保持される。また、接着剤90は、コイル5に対して第1方向Zの一方側Z1では、コイル5と第1プレート47との間を伝って、第1プレート47とコイルホルダ4の板部41との隙間に流入する。その際、過剰な接着剤90は、板部41の端部411、412の第1方向Zの一方側Z1の面に形成された凹部412a等に流れ込む。一方、接着剤90は、コイル5に対して第1方向Zの他方側Z2では、コイル5と第2プレート48との間を伝って、第2プレート48とコイルホルダ4の板部41との隙間に流入する。その際、過剰な接着剤90は、板部41の端部411、412の第1方向Zの他方側Z2の面に形成された凹部411b、412b等に流れ込む。
【0071】
従って、接着剤90を硬化させると、コイル5は、接着剤90が硬化した接着剤層9によって、第1プレート47およびコイルホルダ4の板部41に固定される。また、第1プレート47は、接着剤層9によってコイルホルダ4の板部41に固定される。また、コイル5は、接着剤層9によって第1プレート47に固定され、第2プレート48は、接着剤層9によってコイルホルダ4の板部41に固定される。
【0072】
次に、第1プレート47の第1方向Zの一方側Z1の面において第3方向Yで離間する2箇所に接続体91を接着する一方、第2プレート48の第1方向Zの他方側Z2の面において第3方向Yで離間する2箇所に接続体92を接着する。
次に、第1プレート47に対して第1方向Zの一方側Z1に、第1永久磁石71が固定された第1ヨーク81を配置する一方、第2プレート48に対して第1方向Zの他方側Z2に、第2永久磁石72が固定された第2ヨーク82を配置し、第1ヨーク81の連結部812の先端部を第2ヨーク82の張り出し部822に溶接等の方法で連結する。その際、接続体91を第1ヨーク81に接着し、接続体92を第2ヨーク82に接着する。
【0073】
次に、コイルホルダ4および可動体6を第1方向Zの一方側Z1から覆うように第1ケース部材31を重ねた後、コイルホルダ4および可動体6を第1方向Zの他方側Z2から覆うように第2ケース部材32を重ね、第2ケース部材32の側板部321に形成された係合穴321dをコイルホルダ4の係合凸部414d、418d等に係合させる。しかる後には、第1ケース部材31と第2ケース部材32とを溶接等によって結合させ、ケース3を構成する。
【0074】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、コイル5に対する第1方向Zの両側に永久磁石(第1永久磁石7
1および第2永久磁石72)を設けたが、コイル5に対する第1方向Zの一方のみに永久磁石を設けたアクチュエータに本発明を適用してもよい。
【0075】
上記実施の形態では、コイルホルダ4およびコイル5を支持体2に設け、永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)およびヨーク(第1ヨーク81および第2ヨーク82)を可動体6に設けた。但し、第1プレート47および第2プレート48を用いた構成や、給電基板10に弛みを設けるための構成については、コイルホルダ4およびコイル5を可動体6に設け、永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)およびヨーク(第1ヨーク81および第2ヨーク82)を支持体2に設けたアクチュエータに適用してもよい。
【0076】
上記実施の形態では、接続体91、92としてゲル状部材(粘弾性部材)を用いたが、ゴムやバネ等を用いてもよい。ここで、粘弾性とは、粘性と弾性の両方を合わせた性質のことであり、ゲル状部材、プラスチック、ゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。従って、粘弾性を備えた接続体91、92として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。