【課題】ロータ(20)が、コア部材(31)と一体成形されるボンド磁石(38)を有するコアブロック(30)を備えたモータにおいて、ゲート痕(39)と、コアブロック(30)の軸方向の端面に装着される端板(41)との干渉を抑制し、製品精度の低下を抑える。
ケーシング(4)と、該ケーシング(4)内に収容され且つ作動流体を圧縮する圧縮機構(3)と、該ケーシング(4)内に収容され且つ該圧縮機構(3)を駆動するモータ(2)とを備えた圧縮機であって、
上記モータ(2)は、請求項1から4の何れか1つに記載の回転電気機械により構成されている
ことを特徴とする圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。
【0018】
図1は、実施形態1に係る圧縮機(1)を示す。圧縮機(1)は、例えば、空気調和装置の冷媒回路(図示を省略)に用いられる。圧縮機(1)は、作動流体(この例では冷媒回路の冷媒)を圧縮する圧縮機構(3)と、それを駆動する回転電気機械であるモータ(2)と、これらを収容するケーシング(4)とを備えている。
図1から分かるように、圧縮機(1)では、モータ(2)の回転軸(2a)が鉛直となるように設置されている。また、本実施形態では、モータ(2)は、圧縮機構(3)の上側に配置されている。
【0019】
圧縮機構(3)には、種々の圧縮機構を採用可能である。例えば、圧縮機構(3)には、ロータリ式圧縮機構やスクロール式圧縮機構を採用することができる。この例では、圧縮機構(3)は、ケーシング(4)の側面に設けられた吸入管(3b)から流体(冷媒)を吸入し、圧縮した流体をケーシング(4)内に吐出する。ケーシング(4)内に吐出された流体は、ケーシング(4)の上部(上端の鏡板)に設けられた吐出管(3c)から吐出される。
【0020】
[モータ(2)の構成]
図2は、後述の端板(41)(端部装着部材(40))を除いてモータ(2)の形状を模式的に示す圧縮機(1)の横断面図である。モータ(2)は、磁石埋込型のモータである。モータ(2)は、
図2に示すように、ステータ(10)、ロータ(20)、及び回転軸(2a)を備え、圧縮機(1)のケーシング(4)に収容されている。
【0021】
なお、以下の説明において、軸方向とは回転軸(2a)の軸心の方向を、また、径方向とは軸方向と直交する方向をそれぞれ意味する。外周側とは軸心から遠離する側を、また、内周側とは軸心に近接する側をそれぞれ意味する。
【0022】
〈ステータ(10)〉
ステータ(10)は、円筒状のステータコア(11)と、コイル(16)を備えている。
【0023】
ステータコア(11)は、いわゆる積層コアである。ステータコア(11)は、プレス加工機によって電磁鋼板を同一形状に打ち抜き加工して形成された板状部材が、軸方向に複数枚積層されて構成されている。ステータコア(11)は、1つのバックヨーク部(12)、複数(この例では6つ)のティース部(13)、及び複数のツバ部(14)を備えている。
【0024】
バックヨーク部(12)は、ステータコア(11)の外周側の平面視で環状の部分である。ステータコア(11)は、このバックヨーク部(12)の外周面の一部分が、ケーシング(4)の内周面に接触するように嵌め入れられて固定されている。
【0025】
また、各ティース部(13)は、ステータコア(11)において径方向に伸びる直方体状の部分である。各ティース部(13)には、例えば集中巻方式でコイル(16)が巻回され、相互に隣接するティース部(13)間の空間がコイル(16)を収容するためのコイル用スロット(15)に構成されている。以上により、各ティース部(13)には電磁石が構成されている。
【0026】
ツバ部(14)は、各ティース部(13)の内周側に連続して両側に張り出した部分である。したがって、ツバ部(14)は、ティース部(13)よりも幅(周方向の長さ)が大きく形成されている。ツバ部(14)は、内周側の面が円筒面であり、その円筒面は、ロータ(20)の外周面(円筒面)と所定の距離(エアギャップ(G))をもって対向している。
【0027】
〈ロータ(20)〉
図3にロータ(20)の斜視図、
図4にロータ(20)を軸方向から見た平面図を示す。また、
図5には、ロータ(20)の縦断面図を示す。
図5は、
図4のV−V断面に相当している。ロータ(20)は、コアブロック(30)を備えている。ここでいう、コアブロック(30)とは、積層コアであるコア部材(31)と、磁極を形成するボンド磁石(38)とが一体成形されたものである。
【0028】
本実施形態では、コアブロック(30)の数は、1つである。ロータ(20)は、コアブロック(30)と、コアブロック(30)の軸方向の端面に装着される端部装着部材(40)としての端板(41)とで構成されている。
【0029】
この実施形態では、コアブロック(30)は、4つのボンド磁石(38)を備えている。すなわち、ロータ(20)は、4つの磁極を備えている。ボンド磁石(38)は、コア部材(30)に形成された後述の磁石用スロット(34)に収容される状態で、コア部材(30)と一体成形されている。
【0030】
端板(41)は、例えばステンレス鋼等の非磁性体の材料を用いて形成した円板状の部材である。端板(41)は、
図5においてコアブロック(30)の上端面と下端面にそれぞれ装着されている。本実施形態では、上側の端板(41)には、ボンド磁石(38)を成形するときにできる後述のゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)が形成されている。収容凹部(40a)は、端板(41)がコアブロック(30)に装着された状態で閉空間となるように、コアブロック(30)の端面側のみが開口している。なお、
図1,
図5では、端板(41)の厚さを誇張して表している。収容凹部(40a)の直径と深さは、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0031】
−コア部材(31)−
コア部材(31)は、プレス加工機によって例えば厚さが0.3〜0.5mmの電磁鋼板を同一形状に打ち抜き加工して形成した複数のプレート部材(32)が軸方向に積層されて構成されている。
図6に、本実施形態におけるプレート部材(32)の平面図を示す。
【0032】
プレート部材(32)には、磁石用スロット(34)を形成するための貫通孔(35)が形成されている。この例では、多数枚のプレート部材(32)を積層して、これらのプレート部材(32)同士をカシメによって接合することで、円筒状のコア部材(31)が形成されている。なお、プレート部材(32)の原材料である電磁鋼板は、渦電流の発生を抑制する観点から、絶縁被覆されていることが好ましい。
【0033】
コア部材(31)には、ボンド磁石(38)を収容するための4つの磁石用スロット(34)がコア部材(31)の軸心の回りに90°ピッチで配置されている。これらの磁石用スロット(34)は、コア部材(31)を軸方向に貫通している。磁石用スロット(34)では、回転軸(2a)に直交する断面の形状は、コア部材(31)の半径に直交する矩形状の本体部と、本体部の両端部からそれぞれ外周側に向って折れ曲がって伸びた矩形状部とを組み合わせた形状である。
【0034】
図4から分かるように、プレート部材(32)には、磁石用スロット(34)の両端の近傍に、径方向幅が薄くなっている部分(以下、ブリッジ部(32b)という)が存在する。コア部材(31)では、これらのブリッジ部(32b)によって、磁石用スロット(34)の外周側の面に面したブロック(以下、外周ブロック(31a)という)と、磁石用スロット(34)の内周側の面に面したブロックとが互いに連結されているとみることができる(
図4参照)。
【0035】
また、コア部材(31)は、その中心に軸穴(33)が形成されている。軸穴(33)には、負荷(この例では圧縮機構(3))を駆動するための回転軸(2a)が絞まり嵌め(例えば焼き嵌め)によって固定されている。したがって、コア部材(31)の軸心(O)と回転軸(2a)の軸心は同軸上に存在する。回転軸(2a)は、その一端側が、圧縮機構(3)が備える軸受(3a)によって支持されている。
【0036】
−ボンド磁石(38)−
ボンド磁石(38)は、磁石材料である微小な粉状乃至粒状のフェライト系磁石や希土類系磁石を、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)等のバインダと混合して固化させることにより形成された永久磁石である。
【0037】
本実施形態では、後述するように、コアブロック(30)の製造時において、コア部材(31)の磁石用スロット(34)に、磁性を帯びていない粉状乃至粒状の磁石材料とバインダとを混合したボンド磁石用材料(38a)を供給すると共に、それを着磁させてボンド磁石(38)を形成する。
【0038】
ボンド磁石(38)は、その両端面が、磁石用スロット(34)における開口部(以下、スロット開口(34a))に露出している。露出した端面の一方には、ゲート痕(39)が形成されている。ここで、ゲート痕(39)とは、後述の成形型(50)に設けられた注入ゲート(58)の位置に形成される、ゲート開口(58a)の形状(通常は円形)の材料供給痕で、軸方向に対しての微小な凸部である。
【0039】
本実施形態では、
図4に示すように、ゲート痕(39)は、その磁石用スロット(34)の幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きい。磁石用スロット(34)の幅方向は、
図4の例ではロータ(20)の径方向の寸法である。ただし、磁石用スロット(34)の幅方向の寸法(W2)は、後述する
図24や
図27の例のように、必ずしもロータ(20)の径方向の寸法に一致するとは限らず、ボンド磁石(38)の厚さ方向の寸法と言い換えてもよい。
【0040】
[ロータ(20)の製造方法]
ロータ(20)を製造するには、コアブロック(30)を製造する必要がある。以下では、コアブロック(30)の製造方法を中心に説明する。
【0041】
〈製造に用いる成形型〉
コアブロック(30)の製造工程では、コア部材(31)とボンド磁石(38)とが、射出成形によって一体成形される。
図7は、コアブロック(30)の製造の際に用いる射出成形用の成形型(50)の縦断面を示す。
図7に示すように、成形型(50)は、固定型(51)と可動型(52)とで構成されている。なお、
図7では、コア部材(31)を型内に入れた状態を示している。
【0042】
図7に示すように、固定型(51)は、コア部材(31)を内嵌め状に配置することができる凹部(51a)が形成されている。可動型(52)は、その凹部(51a)の開口側に設けられた板状の型である。そして、固定型(51)と可動型(52)とが型締めされて、固定型(51)の凹部(51a)が可動型(52)によって閉じられ、それによって内部にキャビティ(53)が形成されるように構成されている。
【0043】
図8は、固定型(51)の平面図である。
図8でも、コア部材(31)を型内に入れた状態を示している。
図8に示すように、固定型(51)には、凹部(51a)の周囲に、永久磁石(54)とポールピース(55)とが周方向に交互に配置されている。ポールピース(55)は、ロータ(20)のボンド磁石(38)と1対1に対応するように、磁極数に応じた数が設けられている。
【0044】
したがって、固定型(51)には、4つのポールピース(55)が設けられ、また、ポールピース(55)と同数の永久磁石(54)も設けられている。この構成によって成形型(50)では、キャビティ(53)内に磁場を発生させることができる。具体的に、成形型(50)では、各ポールピース(55)が、接触する永久磁石(54)からの磁束をキャビティ(53)にセットされたコア部材(31)に印加する。
【0045】
図9は、可動型(52)の横断面を示す(ハッチングは省略)。
図9は、
図7のIX−IX断面に対応する。
図9には、凹部(51a)にセットされるコア部材(31)の位置を二点鎖線で示してある。可動型(52)には、スプール(56)、及びそこから分岐したランナー(57)、並びにそれに連続してキャビティ(53)に開口した注入ゲート(58)がそれぞれ形成されている。注入ゲート(58)は、磁石用スロット(34)と同数設けられている。それぞれの注入ゲート(58)には、対応する磁石用スロット(34)(スロット開口(34a))に面して、開口(以下、ゲート開口(58a))が設けられている。
【0046】
ゲート痕(39)は、ゲート開口(58a)の内部で、ゲート開口(58a)とほぼ同一形状に形成される。このため、ゲート痕(39)の直径寸法がゲート開口(58a)の直径寸法とほぼ同一であり、ゲート痕(39)における磁石用スロット(34)の幅方向の寸法(W2)と同様に、ゲート開口(58a)における磁石用スロット(34)の幅方向の寸法(W2)も磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きい。
【0047】
〈射出成形〉
ボンド磁石(38)を形成するには、まず、射出成形機に成形型(50)を装着し、コア部材(31)を固定型(51)の凹部(51a)に配置する。このとき、コア部材(31)は、スロット開口(34a)とゲート開口(58a)とが対応するように、回転方向の位置決めをする(
図9参照)。
【0048】
次いで、固定型(51)及び可動型(52)を型締めする。このとき、コア部材(31)が成形型(50)のキャビティ(53)に配置される。
【0049】
続いて、射出成形機から成形型(50)にボンド磁石用材料(38a)を射出供給して、キャビティ(53)内にセットしたコア部材(31)のスロット開口(34a)からボンド磁石用材料(38a)を注入し(以下、この工程を注入工程と呼ぶ)、永久磁石(54)の磁場によって磁石用スロット(34)内のボンド磁石用材料(38a)を磁場配向させる。
【0050】
ここで、本実施形態で用いるボンド磁石用材料(38a)は、磁性を帯びていない粉状乃至粒状の磁石材料とバインダとを混合したものである。射出成形機において加熱及び混練されて流動体となったボンド磁石用材料(38a)は、可動型(52)のスプール(56)及びランナー(57)を流動して注入ゲート(58)からキャビティ(53)内に入り、磁石用スロット(34)に流入する。
図7には、スプール(56)、ランナー(57)、及び注入ゲート(58)を通過するボンド磁石用材料(38a)をハッチングで示した。
【0051】
ボンド磁石用材料(38a)は、注入ゲート(58)から継続的に注入されるボンド磁石用材料(38a)に押されて、磁石用スロット(34)の奥(
図7の下方)に押し込まれ、ボンド磁石用材料(38a)は、やがて、凹部(51a)の底面に到達する。
【0052】
本実施形態では、注入ゲート(58)のゲート開口(58a)の上記幅方向寸法(ボンド磁石(38)の厚さ方向への寸法)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きいため、ボンド磁石用材料(38a)が磁石用スロット(34)の中へ流入しやすく、かつ磁石用スロット(34)の中で広がりやすいので、ボンド磁石(38)を成形しやすい。
【0053】
射出成形機の射出量は、それぞれの磁石用スロット(34)内にボンド磁石用材料(38a)が充満するように規定されている。射出成形機によって規定量の射出が終了すると磁石用スロット(34)内にボンド磁石(38)が形成される。このボンド磁石(38)は、ボンド磁石用材料(38a)注入側の端面の注入ゲート(58)の位置にゲート痕(39)が形成されている。また、ボンド磁石(38)のもう一方の端面(
図7の下面)は、固定型(51)の凹部(51a)の底面が転写された平坦面に形成されている。なお、ゲート開口(58a)よりも小径の注入ゲート(58)の内部に形成されるゲート痕(39)の細い部分は除去される。
【0054】
以上のようにして製造されたコアブロック(30)の上下の端面には、
図5に示すように、それぞれ端板(41)が装着される。コアブロック(30)の上側の端面には収容凹部(40a)が形成された端板(41)が装着され、コアブロック(30)の下側の端面には平坦な端板(41)が装着される。コアブロック(30)の上端面の収容凹部(40a)は、ゲート痕(39)を収容する。したがって、ゲート痕(39)は端板(41)に干渉しない。
【0055】
なお、図示していないが、下側の端板(41)は、必ずしも設けなくてもよい。
【0056】
コアブロック(30)に端板(41)を装着した後、その組立品と回転軸(2a)を例えば焼き嵌め(絞まり嵌めの一例)によって固定する。なお、射出成形によりボンド磁石(38)を形成する前のコア部材(31)に、回転軸(2a)の焼き嵌めを行ってもよい。
【0057】
以上により、ロータ(20)の製造が完了する。
【0058】
[本実施形態における効果]
以上のように、この実施形態1では、ロータ(20)が、磁石用スロット(34)の形成された円筒状のコア部材(31)と、磁石用スロット(34)に収容される状態でコア部材(31)と一体成形されるボンド磁石(38)とを備えたコアブロック(30)と、コアブロック(30)の軸方向の端面に装着され、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)が形成された端板(41)とを備えている。
【0059】
この実施形態1によれば、コア部材(31)と一体成形されるボンド磁石(38)のゲート痕(39)が、端板(40)の収容凹部(40a)に収容される。したがって、端板(41)をコアブロック(30)に装着するときに、端板(41)がゲート痕(39)と干渉しない。よって、コアブロック(30)と端板(41)の間にゲート痕(39)が介在しないので、完成したロータ(20)の軸方向長さが一定し、製品精度の低下が抑制される。
【0060】
したがって、このモータ(2)を駆動源として用いた実施形態の圧縮機(1)の製品品質が高められ、圧縮機(1)の動作も安定する。
【0061】
また、本実施形態では、ボンド磁石(38)の成形型(50)のゲート開口(58a)の位置に形成される上記ゲート痕(39)の、上記磁石用スロット(34)の幅方向への寸法(W2)を、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きくしている。
【0062】
ここで、ゲート痕(39)は、一般に、ボンド磁石(38)の成形後にゲート(58)内で固化した部分が折り取られ、必要に応じて後加工された跡として形成される。そして、ケート(58)内で固化した部分の除去を容易にするために、ゲート(58)は、ボンド磁石(38)の上記幅方向寸法(厚さ寸法)よりも細いのが普通である。この場合、ゲート(58)の通路面積が小さいため、ボンド磁石(38)用材料が流動しにくく、成形されるボンド磁石(38)の品質が安定しなくなるおそれがある。
【0063】
これに対して、本実施形態によれば、ゲート痕(39)の上記幅方向の寸法(W2)が磁石用スロット(34)の幅寸法(W1)よりも大きいので、ボンド磁石(38)用材料が流動性が向上し、成形されるボンド磁石(38)の品質が安定する。また、ゲート痕(39)は収容凹部(40a)に収容されるので、ゲート痕(39)がボンド磁石(38)の幅寸法よりも大きいにもかかわらず、端部装着部材(40)とゲート痕(39)とは干渉しない。よって、品質の低下も抑えられる。
【0064】
本実施形態では、収容凹部(40a)を、端部装着部材(40)が上記コアブロック(30)に装着された状態で閉空間とするように、上記コアブロック(30)の端面側のみが開口した凹部にしている。
【0065】
このように、ゲート痕(39)が閉空間となる収容凹部(40a)の中に収容されるので、本実施形態のモータ(2)を備えた圧縮機(1)において、ゲート痕(39)の欠片が飛散するのを抑制できる。ゲート痕(39)の欠片が飛散して軸や軸受などの回転部品に噛み込むと動作不良が生じるおそれがあるが、本実施形態では、そのような問題の発生を抑えられるから、圧縮機の信頼性を高められる。
【0066】
−実施形態1の変形例−
〈変形例1〉
図10は、実施形態1の変形例1に係るロータ(20)の断面図である。この変形例1では、端板(41)の収容凹部(40a)は、ゲート痕(39)と対応する位置に、端板(41)をロータ(20)の軸方向へ貫通する貫通孔により構成されている。
【0067】
この変形例においても、ゲート痕(39)は端板(41)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高めることは可能である。
【0068】
〈変形例2〉
図11は、実施形態1の変形例2に係るロータ(20)の断面図である。この変形例2では、端板(41)の収容凹部(40a)は、ゲート痕(39)と対応する位置に、ゲート痕(39)の位置からロータ(20)の外周面へのびる溝により形成されている。この溝は、ロータ(20)の外周面において開放された溝である。
【0069】
この変形例においても、ゲート痕(39)は端板(41)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高めることは可能である。
【0070】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。
【0071】
図12は、実施形態2に係るロータ(20)の断面図である。このロータ(20)は、実施形態1の端板(41)ではなく、バランスウェイト(42)を端部装着部材(40)としてコアブロック(30)に装着した例である。
【0072】
バランスウェイト(42)は、
図12においてコアブロック(30)の上端面と下端面にそれぞれ装着されている。この実施形態2では、上側のバランスウェイト(42)に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)が形成されている。収容凹部(40a)は、バランスウェイト(42)がコアブロック(30)に装着された状態で閉空間となるように、コアブロック(30)の端面側のみが開口している。収容凹部(40a)の直径と深さは、ゲート痕(39)の直径と高さよりも大きく寸法設定されている。
【0073】
この実施形態2のロータ(20)は、端板(41)ではなくバランスウェイト(42)がコアブロック(30)に装着されている点を除いては、実施形態1と同様に構成されている。軸孔(33)に回転軸(2a)が固定されて、圧縮機構(3)の駆動源として圧縮機(1)に用いられる点も実施形態1と同じである。
【0074】
この実施形態2において、ゲート痕(39)はバランスウェイト(42)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高められる。その他、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0075】
−実施形態2の変形例−
〈変形例1〉
図13は、実施形態2の変形例1に係るロータ(20)の断面図である。この変形例1では、バランスウェイト(42)の収容凹部(40a)は、ゲート痕(39)と対応する位置に、バランスウェイト(42)をロータ(20)の軸方向へ貫通する貫通孔により構成されている。
【0076】
この変形例においても、ゲート痕(39)は端板(41)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高めることは可能である。
【0077】
〈変形例2〉
図14は、実施形態2の変形例2に係るロータ(20)の断面図である。この変形例2では、バランスウェイト(42)の収容凹部(40a)は、ゲート痕(39)と対応する位置に、ゲート痕(39)の位置からロータ(20)の外周面へのびる溝により形成されている。この溝は、ロータ(20)の外周面において開放された溝である。
【0078】
この変形例においても、ゲート痕(39)はバランスウェイト(42)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高めることは可能である。
【0079】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。
【0080】
図15は、実施形態3に係るロータ(20)の断面図である。実施形態3のロータ(20)は、複数(2つ)のコアブロック(30a,30B)と複数(3つ)の端板(41)とを有する。
【0081】
図15の例では、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2端板(41b),第2コアブロック(30b),及び第3端板(41c)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0082】
第1コアブロック(30a)の図の上端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第2端板(41b)と第3端板(41c)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の上端面側のみが開口し、第3端板(41c)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a)及び第2コアブロック(30b)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、実施形態1と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0083】
この実施形態3のロータ(20)は、コアブロック(30a,30b)を2段に重ねた構成である点を除いては実施形態1と同様に構成されている。軸孔(33)に回転軸(2a)が固定されて、圧縮機構(3)の駆動源として圧縮機(1)に用いられる点も実施形態1と同じである。
【0084】
この実施形態2において、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高められる。その他、実施形態1,2と同様の効果を奏することができる。
【0085】
〈変形例1〉
図16は、実施形態3の変形例1に係るロータ(20)の断面図である。この変形例2では、
図15の例と同様に、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2端板(41b),第2コアブロック(30b),及び第3端板(41c)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0086】
第1コアブロック(30a)の図の下端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第1端板(41a)と第3端板(41c)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第1端板(41a)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の下端面側のみが開口し、第3端板(41c)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a)及び第2コアブロック(30b)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図5の実施形態1と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0087】
この変形例1のロータ(20)は、ゲート痕(39)及び収容凹部(40a)の位置を除いては実施形態3と同様に構成されている。
【0088】
この変形例1においても、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。
【0089】
〈変形例2〉
図17は、実施形態3の変形例2に係るロータ(20)の断面図である。この変形例2では、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第2端板(41b)が順に積層され、これらが互いに固定されている。つまり、第1コアブロック(30a)と第2コアブロック(30b)とが直接に積層されている。
【0090】
第1コアブロック(30a)の図の下端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第1端板(41a)と第2端板(41b)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第1端板(41a)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の下端面側のみが開口し、第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a)及び第2コアブロック(30b)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図16の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0091】
この変形例2のロータ(20)は、第1コアブロック(30a)と第2コアブロック(30b)とが直接に積層されている構成を除いては、実施形態3と同様に構成されている。
【0092】
この変形例2においても、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。
【0093】
〈変形例3〉
図18は、実施形態3の変形例3に係るロータ(20)の断面図である。この変形例3では、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2端板(41b),第2コアブロック(30b),第3端板(41c),第3コアブロック(30c),及び第3端板(41d)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0094】
第1コアブロック(30a)の図の上端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面と第3コアブロック(30c)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第2端板(41b)と第3端板(41c)と第4端板(41d)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の上端面側のみが開口し、第3端板(41c)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口し、第4端板(41d)の収容凹部(40a)は、第3コアブロック(30c)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第3コアブロック(30c)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図16の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0095】
この変形例3のロータ(20)は、コアブロック(30a,30b,30c)を3段に重ねた構成である点を除いては、
図15の実施形態3と同様に構成されている。軸孔(33)に回転軸(2a)が固定されて、圧縮機構(3)の駆動源として圧縮機(1)に用いられる点も実施形態1と同じである。
【0096】
この実施形態2において、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高められる。
【0097】
〈変形例4〉
図19は、実施形態3の変形例4に係るロータ(20)の断面図である。この変形例4では、ロータ(20)は、
図18の例と同様に、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2端板(41b),第2コアブロック(30b),第3端板(41c),第3コアブロック(30c),及び第3端板(41d)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0098】
第1コアブロック(30a)の図の下端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面と第3コアブロック(30c)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第1端板(41a)と第3端板(41c)と第4端板(41d)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第1端板(41a)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の下端面側のみが開口し、第3端板(41c)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口し、第4端板(41d)の収容凹部(40a)は、第3コアブロック(30c)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第3コアブロック(30c)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図16の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0099】
この変形例4のロータ(20)は、ゲート痕(39)及び収容凹部(40a)の位置を除いては、変形例3と同様に構成されている。
【0100】
この変形例4においても、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。
【0101】
この変形例4において、ゲート痕(39)は端板(41a,41b)に干渉しない。したがって、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑えられるので、製品精度を高められる。
【0102】
〈変形例5〉
図20は、実施形態3の変形例5に係るロータ(20)の断面図である。この変形例5では、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),第2端板(41b),第3コアブロック(30c),及び第3端板(41c)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0103】
第1コアブロック(30a)の図の下端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面と第3コアブロック(30c)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第1端板(41a)と第2端板(41b)と第3端板(41c)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第1端板(41a)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の下端面側のみが開口し、第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口し、第3端板(41c)の収容凹部(40a)は、第3コアブロック(30c)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第3コアブロック(30c)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図16の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0104】
この変形例5のロータ(20)は、第1コアブロック(30a)と第2コアブロック(30b)とが直接に積層されている構成を除いては、変形例4と同様に構成されている。
【0105】
この変形例5においても、ゲート痕(39)は端板(41a,41b,41c)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。
【0106】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。
【0107】
図21は、実施形態4に係るロータ(20)の断面図である。このロータ(20)は、複数のコアブロック(30a,30B)と複数の端板(41)とを有する実施形態3のロータ(20)の構成を変更した例である。このロータ(20)は、実施形態3とは異なり、端板(40)のみに収容凹部(40a)を形成するのではなく、複数のコアブロックのうち、ゲート痕(39)が形成されているコアブロック(30a)(30a,30b)と重ねられる他のコアブロック(30b)(30b,30c)を端部装着部材(40)にした例である。
【0108】
この実施形態4では、ロータ(20)は、
図17の例と同様に、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第2端板(41b)が順に積層され、これらが互いに固定されている。つまり、第1コアブロック(30a)と第2コアブロック(30b)とが直接に積層されている。
【0109】
第1コアブロック(30a)の図の上端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第2コアブロック(30b)と第2端板(41b)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第2コアブロック(30b)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の上端面側のみが開口し、第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a)及び第2コアブロック(30b)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、実施形態1と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。なお、第2コアブロック(30b)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)を構成するプレート部材(32)のうち、下端面側の複数枚に形成される貫通孔により構成されている。
【0110】
この実施形態4のロータ(20)は、ゲート痕(39)及び収容凹部(40a)の位置を除いては、実施形態3の変形例2と同様に構成されている。
【0111】
この実施形態4においても、ゲート痕(39)は第2コアブロック(30b)及び第2端板(41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。その他、実施形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0112】
〈変形例1〉
図22は、実施形態4の変形例1に係るロータ(20)の断面図である。この変形例1では、ロータ(20)は、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),第3コアブロック(30c),及び第2端板(41b)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0113】
第1コアブロック(30a)の図の上端面と第2コアブロック(30b)の図の上端面と第3コアブロック(30c)の図の上端面には、ボンド磁石(38)のゲート痕(39)が形成されている。第2コアブロック(30b)と第3コアブロック(30c)と第2端板(41b)には、ゲート痕(39)に対応する位置に、ゲート痕(39)を収容する収容凹部(40a)がそれぞれ形成されている。第2コアブロック(30b)の収容凹部(40a)は、第1コアブロック(30a)の上端面側のみが開口し、第3コアブロック(30c)の収容凹部(40a)は、第2コアブロック(30b)の上端面側のみが開口し、第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第3コアブロック(30c)の上端面側のみが開口していて、それぞれ第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第3コアブロック(30c)に装着された状態で閉空間を形成する。収容凹部(40a)の直径と深さは、
図21の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0114】
この変形例1のロータ(20)は、第1コアブロック(30a)と第2コアブロック(30b)と第3コアブロック(30c)の3つのコアブロックを有し、これらが直接に積層されている構成を除いては、
図21の実施形態4と同様に構成されている。
【0115】
この変形例1においても、ゲート痕(39)は第2コアブロック(30b),第3コアブロック(30c)及び第2端板板(41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。
【0116】
〈変形例2〉
図23は、実施形態4の変形例2に係るロータ(20)の断面図である。この変形例2では、
図21の実施形態4と同様に、図の下から上へ向かって、第1端板(41a),第1コアブロック(30a),第2コアブロック(30b),及び第2端板(41b)が順に積層され、これらが互いに固定されている。
【0117】
この変形例2は、ゲート痕(39)の上記幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも小さい点が、
図21の実施形態4と異なっている。この変形例2において、第2コアブロック(39)の収容凹部(40a)は、ボンド磁石(38)に形成され、磁石用スロット(34)内に設けられている。第2端板(41b)の収容凹部(40a)は、第2端板(41b)の下面に形成されている。各収容凹部(40a)の直径と深さは、
図21の例と同様に、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定されている。
【0118】
なお、ゲート痕(39)の上記幅方向の寸法(W2)は、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)と同一寸法であってもよい。その場合も、各収容凹部(40a)の直径と深さは、ゲート痕(39)の直径と高さよりもそれぞれ若干大きく寸法設定される。
【0119】
その他の構成は、
図21の実施形態と同じである。
【0120】
この変形例2においても、ゲート痕(39)は第2コアブロック(30b)及び第2端板(41b)に干渉しないので、ロータ(20)の完成品の長さ(軸方向)寸法のバラつきを抑え、製品精度を高められる。その他、実施形態1〜3と同様の効果を奏することができる。
【0121】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0122】
〈ボンド磁石(38)の変形例〉
ボンド磁石(38)は、上記実施形態で示した形状には限定されない。例えば、以下のような形状のボンド磁石(38)を採用してもよい。
【0123】
図24は、ボンド磁石(38)の一つの変形例を示す。この変形例では、ボンド磁石(38)は、断面形状が板状である。このボンド磁石(38)はロータ(20)の周方向の8箇所に設けられている。ゲート痕(39)の上記幅方向の寸法(W2)は、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きい。
【0124】
図25は、ボンド磁石(38)の他の変形例を示す。この変形例では、ボンド磁石(38)は、外周側が突の円弧となる断面形状を有し、ロータ(20)の周方向の4箇所に設けられている。ゲート痕(39)は、
図23の例と同様に、上記幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも小さく、ゲート痕(39)がボンド磁石(38)の厚さ寸法よりも小さいが、このような寸法関係であってもよい。
【0125】
図26は、ボンド磁石(38)の他の変形例を示す。この変形例では、ボンド磁石(38)は、内周側が突の円弧(逆円弧という)となる断面形状を有し、ロータ(20)の周方向の4箇所に設けられている。ゲート痕(39)は、
図25と同様に、上記磁石用スロット(34)の幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも小さい。
【0126】
図27は、ボンド磁石(38)の他の変形例を示す。この例では、
図26において、各磁極の磁石用スロットがブリッジ状の部材(センターブリッジ(34b))によって区画されている。すなわち、この変形例では、各磁極に2つのボンド磁石(38)が設けられている。それぞれのボンド磁石(38)は、逆円弧の断面形状を有している。ゲート痕(39)は、上記幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも小さい。
【0127】
図28は、ボンド磁石(38)の他の変形例を示す。この例では、各磁極において、逆円弧の断面形状を有するボンド磁石(38)が径方向に多層に亘って設けられている。ゲート痕(39)は、上記幅方向の寸法(W2)が、磁石用スロット(34)自体の幅寸法(W1)よりも大きい。
【0128】
〈ゲート痕と収容凹部の配置の変形例〉
上記各実施形態では、ゲート痕(39)と収容凹部(40a)がボンド磁石(38)のほぼ中央に配置された例を説明したが、ゲート痕(39)と収容凹部(40a)は、例えば
図4に仮想線で示すように、ボンド磁石(38)の端部寄りに偏った位置に配置してもよい。
【0129】
この構成ではゲート痕(39)及び収容凹部(40a)がロータ(20)の中心に対して回転対称とならない配置になっている。したがって、この構成によれば、端板(41)をコアブロック(30)に誤った向きで取り付ける(誤組み立て)のを抑制できる。この構成では、端部装着部材(40)が、バランスウェイト(42)や他のコアブロック(30b,30c)である場合でも、同様の効果を奏することができる。
【0130】
また、誤組み立てを抑制するには、ゲート痕(39)と収容凹部(40a)は、
図4の仮想線の配置以外でも、回転対称とならない配置であればよい。
【0131】
〈他の変形例〉
上記各実施形態では、本開示の回転電気機械としてモータについて説明したが、この回転電気機械の構成は発電機に適用してもよい。
【0132】
また、
図25〜
図27について説明したように、ゲート痕(39)の上記幅方向寸法(W2)は、実施形態1〜4の寸法関係を変更してもよい。
【0133】
実施形態3や実施形態4において、ロータ(20)の軸方向端面の端部装着部材(40)は、端板(41)ではなくバランスウェイト(42)であってもよい。
【0134】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の形態や詳細は、多様な変更が可能である。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。