特開2019-180384(P2019-180384A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-180384生食用野菜等の洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-180384(P2019-180384A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】生食用野菜等の洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/157 20060101AFI20190927BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20190927BHJP
【FI】
   A23B7/157
   A23L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】書面
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-88450(P2018-88450)
(22)【出願日】2018年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】518367356
【氏名又は名称】ナルド環境整備株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518152486
【氏名又は名称】ブレーンテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 一弘
(72)【発明者】
【氏名】秋山 孝明
【テーマコード(参考)】
4B016
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC06
4B016LG01
4B016LG05
4B016LK01
4B016LK02
4B016LK04
4B016LP13
4B169HA01
4B169KA01
4B169KB03
4B169KC08
4B169KC16
4B169KC18
4B169KC31
4B169KC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】工程の複雑化を招くことなく、生食用野菜等を良好な静菌性を保持した状態で洗浄処理することの出来る洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤の提供。
【解決手段】亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて、生食用野菜等の原体を少なくとも静菌させる生食用野菜等の洗浄処理方法であって、予めカットされた原体を、亜塩素酸ナトリウム製剤を含む静菌液に浸漬する静菌工程S22と、この静菌工程で静菌されたカット済の原体を水道水又は井戸水でリンスするリンス工程S24とを備える、生食用野菜類の洗浄処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて、生食用野菜等の原体を少なくとも静菌させる生食用野菜等の洗浄処理方法であって、
予めカットされた原体を、亜塩素酸ナトリウム製剤を含む静菌液に浸漬する静菌工程と、
この静菌工程で静菌されたカット済の原体を水道水又は井戸水でリンスするリンス工程と、
を具備することを特徴とする生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項2】
前記静菌工程に先立ち、前記カット済の原体を洗浄する洗浄工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項3】
前記洗浄工程においては、前記カット済の原体を、中性洗剤を用いて洗浄機で洗浄することを特徴とする請求項2に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項4】
前記原体を、カットに先立ち殺菌する一次殺菌工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項5】
前記一次殺菌工程では、前記原体を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬させることを特徴とする請求項4に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項6】
前記一次殺菌工程では、前記原体を濃度200ppmの次亜塩素酸ソード水溶液に5分間浸漬させることを特徴とする請求項5に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項7】
前記静菌工程に先立ち、前記カット済の原体を殺菌する二次殺菌工程を更に具備することを特徴とする請求項4に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項8】
前記二次殺菌工程では、前記原体を炭酸次亜水に浸漬させることを特徴とする請求項7に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項9】
前記二次殺菌工程では、前記原体を濃度100ppmの炭酸次亜水に5分間浸漬させることを特徴とする請求項8に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項10】
前記静菌工程では、前記原体を3分から10分の範囲で、前記亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させることを特徴とする請求項1に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項11】
前記静菌工程では、前記原体を少なくとも亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水とを含む亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させることを特徴とする請求項1に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項12】
前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、1.0重量%で添加されていることを特徴とする請求項11に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項13】
前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項14】
前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項15】
前記アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項11に記載の生食用野菜等の洗浄処理方法。
【請求項16】
生食用野菜等の洗浄処理方法において、前記生食用野菜等の原体を静菌させる静菌工程において用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤であって、
亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを含むことを特徴とする亜塩素酸ナトリウム製剤。
【請求項17】
亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいることを特徴とする請求項16に記載の亜塩素酸ナトリウム製剤。
【請求項18】
前記亜塩素酸ナトリウムの前記亜塩素酸ナトリウム製剤への添加量が、5.0重量%であり、前記アルカリイオン水の前記添加量が、2.0重量%であり、前記亜塩素酸ナトリウムの前記添加量が、5.0重量%であり、前記アルカリイオン水の前記添加量が、2.0重量%であることを特徴とする請求項16に記載の亜塩素酸ナトリウム製剤。
【請求項19】
前記アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項16に記載の亜塩素酸ナトリウム製剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生食用野菜等の原体を少なくとも静菌させる生食野菜等の洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法において生食用野菜等を静菌するのに用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生食用野菜等の市場は、スーパー、コンビニエンスストア用などに広がっており、その規模は年々増加している。ここで、生食用野菜等を用いた野菜サンドイッチ等の調理パンにおいては、消費期限は製造日の翌日に設定されており、この結果、その日に製造した野菜サンドイッチは、配送後、翌日中に販売されないと、消費期限経過品として廃棄される状況にあり、歩留まりの悪さの一因となっていた。
【0003】
経済産業省の商業動態統計調査によれば、平成24年度において、カット野菜製造業の市場規模は約1,330億円と推計されている。即ち、仮に歩留まりが平均で10%向上すれば、133億円の利益がこの歩留まり向上だけにより創出されることになる。例えば、独立行政法人農業産業振興機構による「カット野菜製造の実態と市場動向」(平成25年3月付け)によれば、カット野菜におけるレタスの歩留まりは平均で60%、大根の歩留まりは平均で73%、10品目全体で73%となっており、この歩留まりの向上が経営環境の改善に繋がることは明白で、カット野菜製造業の各社は、歩留まり向上の努力を積み重ねている。
【0004】
この歩留まり向上のためには、種々の手段が考えられるが、最も効果的な手段として、カット野菜の洗浄処理方法を改善して、消費期限を延長することが考慮の対象となることはいうまでも無い。このカット野菜の洗浄処理方法においては、食品衛生法により、使用が認められているものの代表的なものとしては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が挙げられる。確かに、次亜塩素酸ナトリウムを含む洗浄液を用いての生食用野菜等の洗浄は、それなりに効果のあるものであり、広く用いられているものである。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウム特有の塩素臭の残留や目への刺激性がある他、一般生菌や大腸菌群への静菌性が悪く、洗浄工程終了後2〜3日で、一般生菌数や大腸菌群数が限度値を超えて増大する傾向にある点が指摘されている。
【0005】
ここで、食品衛生法で生食用野菜等に使用が認められている洗浄剤として、亜塩素酸ナトリウムがある。この亜塩素酸ナトリウムは漂白剤、酸化剤として用いられるが、亜塩素酸ナトリウムを一成分として含む亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて、生加工食品用除菌・静菌材及び生加工食品に関する技術が、特許文献1(特開2007−68406号公報)として知られている。この特許文献1には、大掛かりな装置や複雑な除菌・静菌処理工程を不要とし、加熱処理のできない魚介類等の生加工食品に対して、十分な除菌・静菌作用を確実容易に行うための生加工食品用除菌・静菌材及び生加工食品が開示されており、より詳細には、明細書の[0042]において、「20%食塩水に前記亜塩素酸ナトリウム製剤0.4%とその助剤1%を添加し、検体A,Bをそれぞれ浸漬した(除菌処理工程S4)後、」と記載されている通り、亜塩素酸ナトリウム製剤は、除菌処理工程S4において用いられることが開示されている。
【0006】
しかしながら、亜塩素酸ナトリウム製剤自身は、[0040]において、「尚、本処理工程では、亜塩素酸ナトリウム製剤:スーパーフレッシュ(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、スーパーフレッシュ助剤:マスコリンPH−55B(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、塩素除去剤:ノンクロール(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、表皮除去酵素製剤:ディスクリンTN(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)を使用した。」と記載されているのみで、どのような成分を含む製剤であるかについての開示は全く無いものであり、内容不明である。
【0007】
何れにしろ、この特許文献1には、生食用野菜類を殺菌・静菌する技術は全く開示されていないし、生食用野菜類を殺菌・精勤する技術への転用可能性を示唆する何らの記載も無いものである。
【0008】
また、同様に、亜塩素酸ナトリウム製剤を用いる技術を開示するものとして、特許文献2(特開2016−077255公報)がある。この特許文献2は、亜塩素酸塩を使用する養殖用水中の水カビ防除方法に関する技術を開示するものであり、この限りで、生食用野菜等を洗浄する本願発明の技術とは根本的に異なるものである。
【0009】
具体的には、この特許文献2の明細書[0033]には、「なお、亜塩素酸ナトリウム製剤として、助川化学製「食品添加物 亜塩素酸ナトリウム液(二酸化塩素として濃度50000ppm)」を使用した。」との記載はあるものの、上記特許文献1と同様に、その具体的成分に関する開示は全く無いものであり、内容不明である。
【0010】
何れにしろ、この特許文献2には、水カビ防除方法に関する技術は開示されているものの、生食用野菜類を殺菌・静菌する技術は全く開示されていないし、生食用野菜類を殺菌・静菌する技術に転用可能性を示唆する何らの記載も無く、更に、二酸化塩素としての濃度50000ppmとの記載から、生食用野菜類への転用の可能性すらないものである。
【0011】
尚、亜塩素酸ナトリウム製剤ではなく、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて生食用野菜類としての千切りキャベツを洗浄する技術を開示するものとして、特許文献3(特許第4994524号)がある。この特許文献3には、請求項1において、「千切りキャベツの製造方法であって、(殺菌工程)として、千切り前のキャベツを、殺菌剤水溶液に接触させて殺菌処理する工程;(千切り工程)として、殺菌工程で殺菌処理されたキャベツを、その切断部分に清水を注ぎながら千切り処理する工程;そして、(水晒し工程)として、千切り工程で得られた千切りキャベツを、3分以上水晒しする工程を有する製造方法」が開示されている。
【0012】
この請求項1からは、亜塩素酸ナトリウムの利用を全く窺い知ることが出来ないものであるが、請求項6に、「水晒し工程において、千切りキャベツを、清水又は殺菌工程で使用した殺菌剤水溶液よりも弱い殺菌力を有する殺菌剤水溶液に水晒し処理する」技術が開示され、また、この請求項6に従属する請求項7に、「殺菌工程で使用した殺菌剤水溶液よりも弱い殺菌力を有する殺菌剤水溶液が、オゾン、亜塩素酸ナトリウム及び酢酸からなる群より選択される少なくとも一種の水溶液である」技術が開示され、更に、この請求項7に従属する請求項8に、「殺菌工程で使用した殺菌剤水溶液よりも弱い殺菌力を有する殺菌剤水溶液が、オゾン0.5〜10ppm水溶液、亜塩素酸ナトリウム50〜400ppm水溶液及び酢酸100〜5000ppm水溶液からなる群より選択される少なくとも一種である」技術が開示されている。
【0013】
このように、この特許文献3には、亜塩素酸ナトリウム製剤ではないものの、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた千切りキャベツの洗浄方法の技術が開示されているものである。しかしながら、この特許文献3に開示された千切りキャベツの製造方法は、「良好な保存性を示し、且つエグ味が大きく軽減されもしくは感じられない千切りキャベツを工業的に製造する方法」を提供することを目的としているのであるが、保存性に関しては、明細書[0043]において、
「<保存性評価>
製造直後の千切りキャベツ製品の中身の千切りキャベツの一般細菌数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。(尚、アンダーラインは、本願出願人が加筆した。)」と記載され、[表1]において、保存性(菌数)の欄は、全ての実施例にAが付されているものの、このA評価は、あくまでも、『製造直後』の数値に基づく評価であり、製造後1日経過後、2日経過後、3日経過後のデータは全く取られておらず、経過日数を勘案しての「保存性」でないことは明らかである。
【0014】
しかも、同じ[表1]において、エグミ評価が、直後、24時間後(1日経過後)、48時間後(2日経過後)、72時間後(3日経過後)の各々において、各実施例ごとにその評価を下して、[0046]における「表1からわかるように、実施例1〜11の千切りキャベツは、一般細菌数も少なく、千切り直後から丸3日保存した後でもエグ味が感じられないものであった。」との記載していることとの比較において、「一般細菌数も少なく」とは、あくまでも『製造直後』の測定結果であって、製造後の時間経過を踏まえた「保存性が良好である」旨を主張している文章でないことは明らかである。このように、特許文献3は、殺菌工程、そして、千切り工程を経た千切りキャベツに水晒し工程を実施する際に、水ではなく、亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた「水晒し」を実施しているものの、これが、良好な保存性を発揮している実験結果の開示は全く無いものであり、且つ、これらの記載から、千切りキャベツを亜塩素酸ナトリウム水溶液で「水晒し」すれば、保存性が良好になることを示唆する記載も無いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−68406号公報
【特許文献2】特開2016−077255公報
【特許文献3】特許第4994524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、工程の複雑化を招くことなく、生食用野菜等を良好な静菌性を保持した状態で洗浄処理することの出来る洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤を提供することを目的とする。
【0017】
この発明は、生食用野菜等を、洗浄後、少なくとも3日間は生菌数及び大腸菌群数において制限値を超えない静菌性を発揮して、良好な保存性を達成することの出来る洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、長年の研究から、次亜塩素酸ナトリウムではなく亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて生食用野菜類を洗浄すれば、静菌性を3日間維持した保存性が発揮されることを見出した。
【0019】
上述した目的を達成するため、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項1の記載によれば、亜塩素酸ナトリウム製剤を用いて、生食用野菜等の原体を少なくとも静菌させる生食用野菜等の洗浄処理方法であって、予めカットされた原体を、亜塩素酸ナトリウム製剤を含む静菌液に浸漬する静菌工程と、この静菌工程で静菌されたカット済の原体を水道水又は井戸水でリンスするリンス工程と、を具備することを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項2の記載によれば、前記静菌工程に先立ち、前記カット済の原体を洗浄する洗浄工程を更に具備することを特徴としている。
【0021】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項3の記載によれば、前記洗浄工程においては、前記カット済の原体を、中性洗剤を用いて洗浄機で洗浄することを特徴としている。
【0022】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項4の記載によれば、前記原体を、カットに先立ち殺菌する一次殺菌工程を更に具備することを特徴としている。
【0023】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項5の記載によれば、前記一次殺菌工程では、前記原体を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬させることを特徴としている。
【0024】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項6の記載によれば、前記一次殺菌工程では、前記原体を濃度200ppmの次亜塩素酸ソード水溶液に5分間浸漬させることを特徴としている。
【0025】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項7の記載によれば、前記静菌工程に先立ち、前記カット済の原体を殺菌する二次殺菌工程を更に具備することを特徴としている。
【0026】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項8の記載によれば、前記二次殺菌工程では、前記原体を炭酸次亜水に浸漬させることを特徴としている。
【0027】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項9の記載によれば、前記二次殺菌工程では、前記原体を、濃度100ppmの炭酸次亜水に5分間浸漬させることを特徴としている。
【0028】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項10の記載によれば、前記静菌工程では、前記原体を3分から10分の範囲で、前記亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させることを特徴としている。
【0029】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項11の記載によれば、前記静菌工程では、前記原体を少なくとも亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水とを含む亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させることを特徴としている。
【0030】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項12の記載によれば、前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、1.0重量%で添加されていることを特徴としている。
【0031】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項13の記載によれば、前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを更に含むことを特徴としている。
【0032】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項14の記載によれば、前記亜塩素酸ナトリウム製剤は、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいることを特徴としている。
【0033】
また、この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法は、請求項15の記載によれば、前記アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されていることを特徴としている。
【0034】
また、この発明に係わる亜塩素酸ナトリウム製剤は、請求項16の記載によれば、生食用野菜等の洗浄処理方法において、前記生食用野菜等の原体を静菌させる静菌工程において用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤であって、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを含むことを特徴としている。
【0035】
また、この発明に係わる亜塩素酸ナトリウム製剤は、請求項17の記載によれば、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいることを特徴としている。
【0036】
また、この発明に係わる亜塩素酸ナトリウム製剤は、請求項18の記載によれば、前記亜塩素酸ナトリウムの前記亜塩素酸ナトリウム製剤への添加量が、5.0重量%であり、前記アルカリイオン水の前記添加量が、2.0重量%であり、前記亜塩素酸ナトリウムの前記添加量が、5.0重量%であり、前記アルカリイオン水の前記添加量が、2.0重量%であることを特徴としている。
【0037】
また、この発明に係わる亜塩素酸ナトリウム製剤は、請求項19の記載によれば、前記アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されていることを特徴としている。
【0038】
上記請求項1に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。即ち、この生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、カット済の生食用野菜類を洗浄後、3日経過した時点で、比較例では目標値を上回る数値を示す一方で、大腸菌群の数は継続して陰性を示し、一般生菌数の数も、比較例では目標値を下回る数値を示すことが無い一方で、目標値を2桁以上下回る数値を示し、静菌性に関して、充分に保存性が担保されている効果を奏する事が出来るものである。
【0039】
また、請求項2に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、静菌工程に先立ち、カット済の原体を洗浄するので、より静菌性を良好に担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0040】
また、請求項3に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、原体の洗浄工程において、原体を中性洗剤を用いて洗浄機で洗浄しているので、洗浄効果が高まり、ひいては、より静菌性を良好に担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0041】
また、請求項4に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、原体をカットするのに先立ち、これを殺菌する一次殺菌工程を実施しているので、カット済の生食用野菜類を洗浄後、3日経過した時点で、大腸菌群の数は、比較例が目標値を2桁以上大きく上回った値を示す一方で、継続して陰性を示し、一般生菌数の数も、比較例が目標値を上回った値を示す一方で、1桁下回る数値を示し、静菌性に関して、充分に保存性が担保されている効果を奏する事が出来るものである。
【0042】
また、請求項5に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、一次殺菌工程において、原体を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬させているので、静菌性に関して、確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0043】
また、請求項6に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、一次殺菌工程で原体を、濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬させているので、より具体的に、静菌性に関して、確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0044】
また、請求項7に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、カット済の原体を殺菌する二次殺菌工程を実施しているので、一次殺菌工程と相まって、カット済の生食用野菜類を洗浄後、3日経過した時点で、大腸菌群の数は、2つの比較例が共に比較例が目標値を1桁以上大きく上回った値を示す一方で、継続して陰性を示し、一般生菌数の数も、2つの比較例が目標値の前後の値を示す一方で、1桁下回る数値を示し、静菌性に関して、充分に保存性が担保されている効果を奏する事が出来るものである。
【0045】
また、請求項8に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、二次殺菌工程において、原体を炭酸次亜水に浸漬させているので、静菌性に関して、確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0046】
また、請求項9に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、二次殺菌工程で原体を、濃度100ppmの炭酸次亜水に5分間浸漬させているので、より具体的に、静菌性に関して、確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0047】
また、請求項10に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、静菌工程では、原体を3分から10分の範囲で、前記亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させているので、静菌性に関して、確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0048】
また、請求項11に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、静菌工程では、原体を少なくとも亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水とを含む亜塩素酸ナトリウム製剤に浸漬させているので、静菌性に関して、より確実に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0049】
また、請求項12に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、亜塩素酸ナトリウム製剤は、1.0重量%で添加されているので、静菌性に関して、より具体的に保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0050】
また、請求項13に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、亜塩素酸ナトリウム製剤は、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水とに加えて、更に、炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを含むので、静菌性に関して、より具体的に、且つ、確実に、保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0051】
また、請求項14に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、亜塩素酸ナトリウム製剤は、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいるので、静菌性に関して、より具体的に、且つ、確実に、保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0052】
また、請求項15に記載の課題解決手段としての生食用野菜等の洗浄処理方法によれば、アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されているので、静菌性に関して、より具体的に、且つ、確実に、保存性を担保する効果を奏する事が出来るものである。
【0053】
また、請求項16に記載の課題解決手段としての亜塩素酸ナトリウム製剤によれば、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムとを含むものであるので、生食用野菜等の原体を静菌させる洗浄処理に用いられる状態で、所望の静菌効果を達成する効果を奏する事が出来るものである。
【0054】
また、請求項17に記載の課題解決手段としての亜塩素酸ナトリウム製剤によれば、亜塩素酸ナトリウムとアルカリイオン水と炭酸水素ナトリウムとクエン酸三ナトリウムと残余の水のみを含んでいるので、生食用野菜等の原体を静菌させる洗浄処理に用いられる状態で、所望の静菌効果を具体的に達成する効果を奏する事が出来るものである。
【0055】
また、請求項18に記載の課題解決手段としての亜塩素酸ナトリウム製剤によれば、亜塩素酸ナトリウムの亜塩素酸ナトリウム製剤への添加量が5.0重量%であり、アルカリイオン水の同添加量が2.0重量%であり、亜塩素酸ナトリウムの同添加量が5.0重量%であり、アルカリイオン水の同添加量が2.0重量%であるので、生食用野菜等の原体を静菌させる洗浄処理に用いられる状態で、所望の静菌効果をより具体的に達成する効果を奏する事が出来るものである。
【0056】
また、請求項19に記載の課題解決手段としての亜塩素酸ナトリウム製剤によれば、アルカリイオン水は、pH値(25℃)が11.0から13.0の範囲内に設定されているので、静菌効果を、より具体的に、且つ、確実に、達成する効果を奏する事が出来るものである。
【発明の効果】
【0057】
この本発明により、工程の複雑化を招くことなく、生食用野菜等を良好な静菌性を保持した状態で洗浄処理することの出来る生食用野菜等の洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤が提供されることになる。
【0058】
また、この発明によれば、生食用野菜等を、洗浄後、少なくとも3日間は生菌数及び大腸菌群数において制限値を超えない静菌性を発揮して、良好な保存性を達成することの出来る生食用野菜等の洗浄処理方法、及び、この洗浄処理方法に用いられる亜塩素酸ナトリウム製剤が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】 この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法の実施例1の手順を示すフローチャートである。
図2】 実施例1の洗浄処理方法を実施したネギで測定された一般生菌の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例1及び2と共に示す線図である。
図3】 実施例1の洗浄処理方法を実施したネギで測定された大腸菌群の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例1及び2と共に示す線図である。
図4】 この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法の第2の実施例の手順を示すフローチャートである。
図5】 第2の実施例の洗浄処理方法を実施したネギで測定された一般生菌の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例3と共に示す線図である。
図6】 第2の実施例の洗浄処理方法を実施したネギで測定された大腸菌群の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例3と共に示す線図である。
図7】 この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法の第3の実施例の手順を示すフローチャートである。
図8】 この発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法の第4の実施例の手順を示すフローチャートである。
図9】 第3及び第4の実施例の洗浄処理方法を実施した長ネギで測定された一般生菌の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例4と共に示す線図である。
図10】 第3及び第4の実施例の洗浄処理方法を実施した長ネギで測定された大腸菌群の数の変化を、洗浄後の経過日数との関連において、比較例4と共に示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下に、「静菌工程」及び「リンス工程」を有するこの発明に係わる生食用野菜等の洗浄処理方法を説明する。
【0061】
(静菌工程)
まず、所定のサイズ及び形状にカットされた原体としての生食用野菜類を静菌液に接触させて静菌処理を行う。この静菌処理の目的は、洗浄後の生食用野菜類における一般生菌及び大腸菌群の増殖を、従来よりも長期間にわたり、好ましくは、洗浄作業終了後少なくとも3日間は限度値より軽減ないしは発生を防止することである。ここで、静菌の対象となる菌としては、代表的には土壌由来の雑菌であって、野菜に付着してその鮮度を低下させたりする菌等を挙げることができるが、この発明においては、具体的に、一般生菌及び大腸菌群とした。
【0062】
従って、この静菌処理では、十分な静菌効果を得るために、この発明に特有の静菌剤としての亜塩素酸ナトリウム製剤を使用する。ここで、十分な静菌効果が得られる静菌剤の静菌力のレベルは、厚生労働省監修の食品衛生検査指針(微生物編、116〜123頁、2004年:発行所:社団法人日本食品衛生協会、発行人;玉木武)に準拠して測定した一般生菌の数、及び、大腸菌群の数を指標とする。具体的には、一般生菌の数が1×10(LOG値で4)CFU/g未満である場合、及び、大腸菌群の数が10(LOG値で1)CFU/g未満である場合を意味する。
【0063】
このような静菌剤としては、この発明においては、この発明の特徴となる亜塩素酸ナトリウム製剤を用いた。この亜塩素酸ナトリウム製剤は、好ましくは、亜塩素酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、アルカリイオン水、及び、残余の水から構成されるものである。敢えて付言すれば、この静菌工程で使用される静菌剤としては、一般的に殺菌剤として多く用いられている次亜塩素酸塩ナトリウムを付加的に用いることを、何ら排除しないものである。静菌剤として、次亜塩素酸ナトリウムを付加した亜塩素酸ナトリウム製剤を用いることにより、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌作用が重畳されて、更に洗浄後の保存性が向上することは言うまでも無い。
【0064】
静菌処理の処理内容は、亜塩素酸ナトリウム製剤とカットされた生食用野菜類とを接触させることであり、具体的には、亜塩素酸ナトリウム製剤中にカットされた生食用野菜類を浸漬することである。
【0065】
静菌処理の処理条件は、静菌剤として使用する亜塩素酸ナトリウム製剤の成分及び配合比率、静菌すべき生食用野菜類の種類や大きさ等に応じて適宜決定されるものである。例えば、静菌剤として亜塩素酸塩ナトリウム製剤を使用する状態で、最も静菌が難しいと言われているネギを浸漬させる場合、静菌液に対する亜塩素酸塩ナトリウム製剤の配合比率は、低すぎると静菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは0.5〜2.0重量%、より好ましくは0.75〜1.5重量%、特に好ましくは、1.0重量%に設定する。静菌処理の処理条件としての浸漬時間も、同様な観点から、好ましくは5分〜15分、より好ましくは8分〜12分、特に好ましくは10分に設定する。
【0066】
アルカリイオン水の配合比率は、静菌液のpHが、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは1.0〜3.0重量%、より好ましくは1.5〜2.5重量%、特に好ましくは2.0重量%に設定すると共に、アルカリイオン水のpHは、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは11〜13.5、より好ましくは11〜13、特に好ましくはpH12に設定する。
【0067】
また、亜塩素酸ナトリウム製剤中の亜塩素酸塩ナトリウムの配合比率は、低すぎると静菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは2.5〜7.5重量%、より好ましくは4.0〜6.0重量%、特に好ましくは5.0重量%に設定する。亜塩素酸ナトリウム製剤中の炭酸水素ナトリウムの配合比率も、同様な観点から、好ましくは0.1〜0.3重量%、より好ましくは0.15〜0.25重量%、特に好ましくは、0.2重量%に設定する。亜塩素酸ナトリウム製剤中のクエン酸三ナトリウムの配合比率も、同様な観点から、好ましくは0.1〜0.3重量%、より好ましくは0.15〜0.25重量%、特に好ましくは、0.2重量%に設定する。
【0068】
更に、静菌液中に静菌すべき生食用野菜類を浸漬させる際の温度は、低すぎると植物細菌への凍結障害の可能性があり、高すぎると細菌数の増大及び褐変の促進が生じる傾向があるので、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜15℃である。
【0069】
・アルカリ性イオン水
上記した亜塩素酸ナトリウム製剤にもちいられるアルカリ性イオン水は、当業者にとって周知のように、隔膜を挟んで配置された陰極および陽極を備える電解槽内で水を電気分解したときに陰極側で生成する、水酸化物イオン(OH)を含む水である。電気分解のために電解補助剤を用いたときには、その電解補助剤から生成する陽イオンもアルカリ性電解水に含まれる。
【0070】
この発明では、pH9〜10程度の弱アルカリ性のイオン水(飲用アルカリ性電解水、いわゆる「アルカリ電解水」)を用いることもできるし、pHが10以上の強アルカリ性電解水を用いることもできる。アルカリ性電解水のpHは、10.0〜13.0が好ましく、11.0〜13.0がより好ましく、12.0〜13.0が特に好ましい。なお、このpHの値は、静菌工程の温度環境下(通常は室温、例えば20〜25℃)における測定値に基づくその温度環境下での換算値とする。このような強アルカリ性を長期間保持したアルカリ電解水は、例えば、特開平8−24865号公報(特許文献5)に記載された技術に基づいて製造することができる。
【0071】
(リンス工程)
上述した静菌工程を経た後に、生食用野菜類を3分以上、清水(水道水又は井戸水)を流水として用いてリンスする。これにより、余分な静菌液を取り除くことができる。この場合、リンス処理温度は、通常、0〜50℃、より好ましくは0〜10℃である。また、リンス時間が短すぎると静菌液が残る可能性があるので、少なくとも3分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上リンスするようにする。なお、リンス時間が長すぎると、カットされた生食用野菜類の組織が傷んだり、しみだした野菜汁が流れ過ぎたりし、その結果、野菜類の食味に影響がでる場合(具体的には、かえってエグ味がでてしまう場合)があるため、リンス時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
【0072】
リンス工程の後の生食用野菜類に対し、必要に応じて、公知の遠心水切り装置を用いて水切り処理を施し、得られた生食用野菜類を、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂袋に必要に応じて窒素ガス等の不活性ガスと共に充填密封することにより、生食用野菜類製品を得ることができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を種々の実施例により具体的に説明する。
【0074】
[実施例1、比較例1及び2]
<実施例1>
図1に、この発明に係わる生食用野菜類の洗浄処理方法の実施例1の工程構成を示す。図1に示すように、先ず、原体としての生食用野菜類、この実施例ではネギを、カットしない状態で、殺菌槽に投入する(ステップS10)。そして、この殺菌槽内において、投入されたネギを一次殺菌する(ステップS12)。この一次殺菌工程S12においては、一次殺菌液剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いるが、この次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度は、この実施例では200ppmに設定されている。そして、この一次殺菌工程S12において、投入されたネギは、この実施例では5分間に渡り一次殺菌処理される。
【0075】
この一次殺菌工程S12の後、一次殺菌されたネギは殺菌層から一旦取り出し、所定のサイズ及び形状に、周知のネギカット装置を用いてカットする(ステップS14)。そして、カットされたネギを、殺菌槽に再投入し(ステップS16)、この殺菌槽内で再投入されたカット済のネギを二次殺菌する(ステップS18)。この二次殺菌工程S18においては、二次殺菌剤として炭酸次亜水を用いるが、この炭酸次亜水の有効塩素濃度は、この実施例では100ppmに設定されている。そして、この二次殺菌工程S18において、投入されたカット済ネギは、この実施例では5分間に渡り二次殺菌処理される。
【0076】
この二次殺菌工程S18で二次殺菌されたカット済ネギを、同じ殺菌槽内でリンスする(ステップS20)。このリンス工程S20では、二次殺菌されたカット済ネギを、水道水による流水で、5分間に渡りリンスする。
【0077】
このリンス工程S20の後、リンスされたカット済ネギを、この発明の特徴となる静菌処理する(ステップS22)。この静菌工程S22においては、静菌液として亜塩素酸ナトリウム製剤を用いるが、この実施例では、この亜塩素酸ナトリウム製剤は、静菌液の全量に対して1.0重量%で配合されているものであり、また、その成分構成としては、5.0重量%の亜塩素酸塩ナトリウムと、0.2重量%の炭酸水素ナトリウムと、0.2重量%のクエン酸三ナトリウムと、2.0重量%のアルカリイオン水と、残余の水(92.6重量%)とから構成されている。尚、この静菌工程S22における静菌時間は、10分間に設定されている。
【0078】
このように静菌工程S22を施されたカット済ネギを、同じ殺菌槽内でリンスする(ステップS24)。このリンス工程S24では、静菌液としての亜塩素酸ナトリウム製剤で静菌処理されたカット済ネギを、水道水による流水で、5分間に渡りリンスする。
【0079】
リンス工程S24が終了すると、リンス後のカットネギを、周知の遠心脱水装置を用いて脱水処理する(ステップS26)。この脱水工程S26においては、例えば脱水条件として、回転数1100rpmで、脱水時間1分を行い、この脱水の終了したカット済ネギを遠心脱水装置から取り出し(ステップS28)、静菌処理の済んだカット済ネギを得て、一連の洗浄処理を終了する。
【0080】
尚、このような洗浄処理が済んだカット済ネギを、厚さ40μmの延伸プロピレン製袋に窒素ガスと共に入れ、袋の開口部をヒートシールすることによりカット済ネギ製品が製造され、その後、10℃で冷蔵保存した。
【0081】
<比較例1>
図1に示す実施例1の洗浄処理工程において、ステップS22の静菌工程とステップS24のリンス工程とを実施しない洗浄処理工程を、比較例2とした。即ち、この比較例2においては、一次殺菌処理及び二次殺菌処理が実施されるが、静菌処理は実施されず、それ以外は、実施例1と同様とした。
【0082】
<比較例2>
図1に示す実施例1の洗浄処理工程において、ステップS16の再投入工程から、ステップS22の静菌工程までを実施しない洗浄処理工程を、比較例1とした。即ち、この比較例1においては、一次殺菌処理のみが実施され、二次殺菌処理及び静菌処理は実施されず、それ以外は、実施例1と同様とした。
【0083】
<保存性評価>
[一般生菌]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの一般生菌の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。
【0084】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で4未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で4以上6未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で6以上)
尚、この実施例における一般生菌に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で4)とした。
【0085】
【表1】
【0086】
<保存性評価>
[大腸菌群]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの大腸菌群の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。
【0087】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で1未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で1以上3未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で3以上)
尚、この実施例における大腸菌群に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で1)とした。
【0088】
【表2】
【0089】
表1及び表2及びこれらをグラフとして表示した図2及び図3からわかるように、実施例1の洗浄処理方法で洗浄したカット済ネギは、カット処理直後から丸3日保存した後でも、一般生菌細菌数も少なく、大腸菌群においては陰性(即ち、検出されなかった)であり、充分な保存性があることが判明した。
【0090】
それに対し、ステップS22の静菌工程を実施せず、一次及び2次殺菌を実施した比較例1の洗浄方法、及び、ステップS12の一次洗浄工程しか実施していない比較例2で洗浄したカット済ネギは、大腸菌群の数が、共に、1日経過時点でランクBとなり、保存性が担保されていないことが判明した。更に、ステップS12の一次洗浄工程しか実施していない比較例2で洗浄したカット済ネギは、一般生菌数が3日経過時点でランクBに落ち、上記した大腸菌群と共に、保存性が担保されていないことが判明した。即ち、この実施例1、比較例1及び2の結果から、ステップS22の静菌工程を実施することが、保存性の確保に必須であることが明白となった。
【0091】
[実施例2、比較例3]
<実施例2>
図4に、この発明に係わる生食用野菜類の洗浄処理方法の実施例2の工程構成を示す。図4に示すように、この実施例2においては、ステップS18の二次殺菌工程とステップS20のリンス工程とが取り除かれており、これ以外の工程は、上述した実施例1の工程と同様である。
【0092】
<比較例3>
図4に示す実施例2の洗浄処理工程において、ステップS22の静菌工程とステップS24のリンス工程とを実施しない洗浄処理工程を、比較例3とした。即ち、この比較例2においては、一次殺菌処理は実施されるが、二次殺菌処理及び静菌処理は実施されず、それ以外は、実施例1と同様とした。
【0093】
<保存性評価>
[一般生菌]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの一般生菌の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。
【0094】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で4未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で4以上6未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で6以上)
尚、この実施例における一般生菌に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で4)とした。
【0095】
【表3】
【0096】
<保存性評価>
[大腸菌群]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの大腸菌群の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方式により測定し、以下基準により評価した。
【0097】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で1未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で1以上3未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で3以上)
尚、この実施例における大腸菌群に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で1)とした。
【0098】
【表4】
【0099】
表3及び表4及びこれらをグラフ化した図5及び図6によれば、実施例2の洗浄処理方法で洗浄したカット済ネギは、カット処理直後から丸3日保存した後でも、一般生菌細菌数も少なく、大腸菌群においては陰性(即ち、検出されなかった)であり、充分な保存性があることが判明した。
【0100】
それに対し、ステップS22の静菌工程を実施せず、ステップS12の一次洗浄工程しか実施していない比較例3で洗浄したカット済ネギは、大腸菌群の数が、共に、1日経過時点でランクBとなり、保存性が担保されていないことが判明した。更に、ステップS12の一次洗浄工程しか実施していない比較例2で洗浄したカット済ネギは、一般生菌数が3日経過時点でランクBに落ち、上記した大腸菌群と共に、保存性が担保されていないことが判明した。即ち、この実施例2、比較例3の結果からも、ステップS22の静菌工程を実施することが、保存性の確保に必須であることが改めて明白となった。
【0101】
[実施例3、比較例4]
<実施例3>
図7に、この発明に係わる生食用野菜類の洗浄処理方法の実施例3の工程構成を示す。図7に示すように、この実施例3においては、ステップS10の原体投入工程及びステップS12の一次殺菌工程が除かれており、これに従い、ステップS16のカット野菜再投入工程が、カット野菜投入工程として表示されている。また、ステップS16で投入されたカット野菜を洗浄する洗浄工程がステップS17として追加されている。この洗浄工程S17においては、周知の洗浄機が用いられ、洗浄剤として中性洗剤が用いられており、洗浄時間として3分間を設定している。
【0102】
このステップS17の洗浄工程後に静菌工程が実施されるものであるが、この実施例3においては、静菌工程における静菌時間、即ち、静菌剤としての亜塩素酸ナトリウム製剤への浸漬時間を、実施例1の場合と異なり、3分間に設定されている。従って、この実施例3においては、静菌工程はステップS22Aとして表記している。そして、これ以降の工程は、上述した実施例1の工程と同様である。
【0103】
<実施例4>
図8に、この発明に係わる生食用野菜類の洗浄処理方法の実施例4の工程構成を示す。図8に示すように、この実施例4においては、上述した実施例3と、静菌工程における浸漬時間を3分ではなく5分としている以外は、全く同様に設定している。従って、この実施例4においては、静菌工程は、浸漬時間が実施例1及び3と異なるので、テップS22Bとして表記している。
【0104】
<比較例4>
図8に示す実施例4における静菌工程を省略したものを、比較例4とした。即ち、この比較例4においては、ステップ22として規定した静菌工程を実施しない以外は、実施例4と同様である。
【0105】
<保存性評価>
[一般生菌]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの一般生菌の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。
【0106】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で4未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で4以上6未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で6以上)
尚、この実施例における一般生菌に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で4)とした。
【0107】
【表5】
【0108】
<保存性評価>
[大腸菌群]
製造直後のカット済ネギ製品の中身のカット済ネギの大腸菌群の数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定し、以下基準により評価した。
【0109】
ランク 基準
A:1×10CFU/g未満(LOG値で1未満)
B:1×10CFU/g以上1×10CFU/g未満(LOG値で1以上3未満)
C:1×10CFU/g以上(LOG値で3以上)
尚、この実施例における大腸菌群に関する評価は、Aランクに属することとし、この結果、評価の上限値としては、1×10CFU/g(LOG値で1)とした。
【0110】
【表6】
【0111】
表5及び表6及びこれらをグラフ化した図9及び図10によれば、実施例3及び4の洗浄処理方法で洗浄したカット済ネギは、カット処理直後から丸3日保存した後でも、一般生菌細菌数は上限値を超えるものはなく、全てランクAに分類される結果となし、大腸菌群においては全て陰性(即ち、検出されなかった)であり、充分な保存性があることが判明した。
【0112】
それに対し、ステップS22の静菌工程を実施せず、中性洗剤でしか洗浄しない比較例4で洗浄したカット済ネギは、一般生菌数が3日経過時点で上限値を超えてランクBに落ち、大腸菌群の数が、1日目から上限値を超えてランクBとなり、保存性が担保されていないことが判明した。この実施例3及び4と比較例4との結果からも、ステップ22A、22Bの静菌工程のみを実施することが、保存性が充分に確保できることが判明した。これは、に必須であることが改めて明白となった。これは、生食用野菜類を洗浄する作業をするメーカーにとっては、大変に重要なポイントであり、従来、生食用野菜の洗浄のためには、次亜塩素酸ナトリウムを用いることが必須であったのに対して、亜塩素酸ナトリウム製剤を用いた静菌処理をすれば、次亜塩素酸ナトリウムを用いなくとも、充分に保存性が担保され、より具体的には、洗浄後3日間は、一般生菌及び大腸菌群に関して、問題の無いレベルで静菌されていることが判明したものである。
【0113】
また、ステップ22A、22Bの静菌工程の静菌時間、即ち、亜塩素酸ナトリウム製剤への漬け込み時間は、実施例1のように10分に限定されること無く、3分間でも充分な静菌効果を達成することが出来ることが判明した。これは、生食用野菜類を洗浄する作業をするメーカーにとっては、更に重要なポイントであり、静菌処理工程を実施する静菌時間が短くて済むので、全体の処理時間の短縮化を図ることが出来ると共に、静菌剤としての亜塩素酸ナトリウム製剤を複数回にわたり用いることが出来ることを示すものであり、これにより、洗浄コストを安価に抑えることが可能となるものである。
【0114】
<官能評価>
実施例3及び比較例4を実施することにより夫々得られたカット済ネギについて、官能評価を両者を対比した状態で行った。この官能評価において、評価対象として、色調、臭い、食感、風味の4つとし、「色調」は評価者による目視の結果を、良・可・不可で評価し、「臭い」は評価者による臭い嗅ぎにの結果に基づき、臭気を感じ取る程度により、良・可・不可で評価し、「食感」は評価者が実際に食した結果の鮮度(シャキシャキ感)の程度により、良・可・不可で評価し、「風味」は評価者による全体評価の結果として、良・可・不可で評価した、尚、評価基準としては、可以上で問題なしと判断する。
【0115】
【表7】
【0116】
この表7から明らかなように、実施例3及び比較例4で得られた洗浄済のカット野菜の官能評価としては、洗浄作業後3日間を経過しても、全ての項目において可以上となり、問題ないことが判明した。
【0117】
この発明は、上述した実施例の工程構成・数値等に限定されること無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形・変更可能であることは言うまでも無い。
【0118】
例えば、上述した実施例1及び2において、一次殺菌工程S12で一次殺菌した生食用野菜類を、一旦、殺菌槽から取り出して、ステップS14のカット工程を実施し、ステップS16のステップS16で、カットされた生食用野菜類を再び殺菌槽に投入するように説明したが、この発明は、このような工程に限定されること無く、例えば、殺菌槽内でカットできる機構を用いれば、別段、生食用野菜類を一次殺菌処理の後、殺菌槽から取り出す必要は無く、また、カット後に殺菌槽に再投入する必要もないものである。
【0119】
また、上述した実施例1及び2において、静菌工程S22の後はリンス工程S24を経て脱水工程S28を実施するように説明したが、この発明は、このような工程に限定されること無く、例えば、静菌工程S22の後に二次殺菌工程を付加的に加入しても良いものである。このように、静菌工程S22の後に二次殺菌工程を加入することにより、一次殺菌工程S12で用いられる殺菌剤として安価で殺菌力の弱いものを用いることが出来ることになり、この結果、洗浄対象となるカット野菜に対する殺菌剤によるダメージを効果的に抑止することが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0120】
この発明の生食用野菜類の洗浄処理方法によれば、生食用野菜をカットした後の静菌工程において、亜塩素酸ナトリウム製剤を静菌工程における静菌剤として用いることにより、静菌効果が確実に発揮され、洗浄処理後、3日が経過した時点での一般生菌の数及び大腸菌群の数が、食品衛生基準から導き出される上限値を超えることが無く、保存性が充分に達成されることになるものである。これにより、今まで、消費期限として洗浄処理後翌日(一日経過)としていたものを、3日まで延長することが出来ることとなり、これに伴う歩留まりを飛躍的に向上させることが可能となり、この結果、歩留まり向上に基づく利益率の向上を確実に図ることが出来るものである。よって、この発明の生食用野菜等の清浄処理方法は、生食用野菜をカットして提供するカット野菜の工業的製造に極めて有用である。
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