特開2019-180586(P2019-180586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-180586(P2019-180586A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】医療支援システムおよび作業台
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20190927BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20190927BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20190927BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
   A61G12/00 Z
   G06Q50/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-72277(P2018-72277)
(22)【出願日】2018年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】506429606
【氏名又は名称】株式会社S&Sエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 英輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 剛
【テーマコード(参考)】
4C047
4C341
5L099
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA11
4C047AA27
4C047CC04
4C047CC14
4C047HH03
4C047HH04
4C047HH06
4C047KK01
4C047KK03
4C047KK06
4C047KK11
4C047KK25
4C047KK28
4C047KK40
4C341LL30
4C341MM01
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】混注作業等の与薬準備を支援しつつ、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を効率よく共有する。
【解決手段】作業台1は、医療支援システム20を備える。医療支援システム20は、薬剤容器に収容される薬剤を識別する薬剤識別情報を保持する薬剤識別情報保持手段を読み取る読取装置22と、操作者に情報を表示する表示装置23と、読取装置22から薬剤識別情報を取得する制御装置21とを有する。制御装置21は、薬剤識別情報と注意情報とを含む薬剤情報を記憶するデータテーブルに注意情報を予め設定する注意情報設定処理と、指示情報を取得する指示情報取得処理と、薬剤容器に収容される薬剤が指示情報に含まれる薬剤であるか否かを判定して判定結果を出力する薬剤判定処理と、データテーブルに基づいて薬剤の注意情報とを表示する表示処理とを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器に収容される薬剤を識別する薬剤識別情報を保持する薬剤識別情報保持手段であって、前記薬剤容器に付される前記薬剤識別情報保持手段を読み取り可能な読取装置と、
操作者に情報を表示する表示装置と、
前記読取装置から少なくとも前記薬剤識別情報を取得し、且つ、前記表示装置に情報を出力する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、
少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤の前記薬剤識別情報を含む指示情報を取得する指示情報取得処理と、
前記読取装置によって読み取られた前記薬剤識別情報保持手段が保持する前記薬剤識別情報と前記指示情報取得処理で取得された前記指示情報に含まれる前記薬剤識別情報とに基づいて、前記薬剤識別情報保持手段が付された前記薬剤容器に収容される薬剤が、前記指示情報に含まれる前記少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤であるか否かを判定して、判定結果を出力する薬剤判定処理と、
各種の薬剤の前記薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を記憶するデータテーブルであって、各種の薬剤の前記薬剤識別情報に紐づけて、各種の薬剤の与薬における前記注意情報を予め設定されたデータテーブルに基づいて、前記薬剤容器に収容される薬剤または前記指示情報に含まれる前記少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤に紐づけられる前記注意情報を前記表示装置に表示する表示処理と、
を実行することを特徴とする医療支援システム。
【請求項2】
前記読取装置は、第1指示情報を保持する指示情報保持手段であって、指示書に付された前記指示情報保持手段を読み取り可能に構成され、
前記制御装置の前記指示情報取得処理は、前記読取装置によって読み取られた前記指示情報保持手段が保持する前記第1指示情報を前記指示情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項3】
前記制御装置の前記指示情報取得処理は、更に外部から第2指示情報を取得可能に構成され、
前記制御装置の前記指示情報取得処理は、前記第1指示情報または前記第2指示情報のいずれか一方を前記指示情報とすることを特徴とする請求項2に記載の医療支援システム。
【請求項4】
印刷を行う印刷装置をさらに備えており、
前記制御装置は、
前記注意情報が前記印刷装置で印刷されるように制御する印刷手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療支援システム。
【請求項5】
前記薬剤容器に収容される薬剤は、前記指示情報に基づいて調剤された薬剤であり、
前記操作者は、前記薬剤を与薬する医療関係者であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療支援システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記データテーブルに、各種の薬剤の前記薬剤識別情報に紐づけて、各種の薬剤の与薬における前記注意情報を設定する注意情報設定処理を更に実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療支援システム。
【請求項7】
与薬準備に用いられる作業台であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の前記医療支援システムを少なくとも1つ備えることを特徴とする作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の混注作業等の与薬準備を支援するための医療支援システムおよび作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経管投与に関する情報を医療関係者や患者等に効果的に提供する調剤支援システムが開示されている。特許文献1の調剤支援システムでは、指示情報に含まれる薬剤の情報に基づいて、薬剤が経管投与可能かどうかの判断をする。そして、指示情報に含まれる薬剤が経管投与可能な薬剤であると判断された場合は、経管投与の方法を記載した経管投与情報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013−17832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような調剤支援システムでは、調剤が行われる際に、経管投与情報が出力される。そして、調剤が行われた後は、指示情報に基づいて与薬準備および与薬を行う看護師等の医療関係者に指示情報および経管投与情報とともに薬剤が提供される。そして、医療関係者は、指示情報に基づき、作業台で混注作業等の与薬準備を行い、経管投与情報に基づき与薬を行う。与薬準備は短時間での対応が求められることが多い上、指示情報や薬剤等の目視による確認作業を伴う。しかしながら、薬剤は類似するものもあり、与薬準備や与薬を行う際の医療関係者の確認作業が煩雑になってしまう。また、薬剤によっては、与薬の際に経管投与情報を含めた様々な注意すべき情報があるが、このような薬剤に関連する注意情報が医療関係者に共有されていない場合がある。
【0005】
また、指示情報は、調剤が行われた後に変更される場合がある。このような場合、与薬準備を行う医療関係者は、変更後の指示情報に対応できずに与薬準備を行うことがある。そして、変更後の指示情報とは異なる薬剤を準備することになり、薬剤が無駄になる。そして、このようなことを防止するために、与薬準備の前に指示情報が最新かどうかの確認作業を行うと、確認作業がさらに煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、医療関係者が行う混注作業等の与薬準備を支援しつつ、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を効率よく共有することができる医療支援システムおよび作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療支援システムは、薬剤容器に収容される薬剤を識別する薬剤識別情報を保持する薬剤識別情報保持手段であって、前記薬剤容器に付される前記薬剤識別情報保持手段を読み取り可能な読取装置と、操作者に情報を表示する表示装置と、前記読取装置から少なくとも前記薬剤識別情報を取得し、且つ、前記表示装置に情報を出力する制御装置と、を備えており、前記制御装置は、少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤の前記薬剤識別情報を含む指示情報を取得する指示情報取得処理と、前記読取装置によって読み取られた前記薬剤識別情報保持手段が保持する前記薬剤識別情報と前記指示情報取得処理で取得された前記指示情報に含まれる前記薬剤識別情報とに基づいて、前記薬剤識別情報保持手段が付された前記薬剤容器に収容される薬剤が、前記指示情報に含まれる前記少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤であるか否かを判定して、判定結果を出力する薬剤判定処理と、各種の薬剤の前記薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を記憶するデータテーブルであって、各種の薬剤の前記薬剤識別情報に紐づけて、各種の薬剤の与薬における前記注意情報を予め設定されたデータテーブルを参照して、前記薬剤容器に収容される薬剤または前記指示情報に含まれる前記少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤に紐づけられる前記注意情報を前記表示装置に表示する表示処理と、を実行することを特徴とする。
【0008】
この構成によると、読取装置は、薬剤容器に付された薬剤識別情報保持手段から薬剤識別情報を読み取る。また、制御装置の指示情報取得処理では、使用される薬剤の薬剤識別情報を含む指示情報を外部から取得する。制御装置の薬剤判定処理では、読取装置によって読み取られた薬剤識別情報保持手段が保持する薬剤識別情報と指示情報取得処理によって取得された指示情報に含まれる薬剤識別情報とを比較する。そして、制御装置の薬剤判定処理では、薬剤識別保持手段が付された薬剤容器に収容される薬剤が、指示情報に含まれる少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤であるか判定する。そして、制御装置の薬剤判定処理では、判定結果を出力する。例えば、制御装置の薬剤判定処理では、判定結果を表示装置に表示する。これにより、本発明の医療支援システムは、操作者である医療関係者による目視による確認作業にかわって、与薬準備している薬剤が指示情報に含まれる使用される薬剤かどうかを医療関係者が表示装置で確認することができ、与薬する薬剤の取り違えを防止して、与薬準備を支援することができる。
また、制御装置の表示処理では、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を記憶するデータテーブルを参照して、薬剤容器に収容される薬剤または指示情報に含まれる使用される薬剤に紐づけられる注意情報を表示装置に表示する。薬剤に関連する注意情報は、任意に設定することができる。つまり、医療関係者は、薬剤に関連する注意情報として、与薬時の注意事項等を設定することができる。これにより、本発明の医療支援システムは、与薬を行う直前の与薬準備を行う際に、薬剤に関連する注意情報を医療関係者に提供することができ、薬剤に関連する注意情報を効率よく共有することができる。
さらに、本発明の医療支援システムは、薬剤情報や注意情報を1つのデータテーブルでも管理可能なため、薬剤情報や注意事項のデータの追加や削除、更新等の保守作業が容易である。
なお、本発明の医療支援システムは、机や台等に配置することができる。そして、様々な場所において、医療関係者が行う与薬準備を支援することができる。
【0009】
ここで、本発明の医療支援システムにおいて、前記読取装置は、第1指示情報を保持する指示情報保持手段であって、指示書に付された前記指示情報保持手段を読み取り可能に構成され、前記制御装置の前記指示情報取得処理は、前記読取装置によって読み取られた前記指示情報保持手段が保持する前記第1指示情報を前記指示情報として取得してよい。
【0010】
この構成によると、処方せん等の指示書に付された指示情報保持手段が保持する第1指示情報から指示情報を取得することにより、与薬準備を支援することができる。
【0011】
また、本発明の医療支援システムにおいて、前記制御装置の前記指示情報取得処理は、更に外部から第2指示情報を取得可能に構成され、前記制御装置の前記指示情報取得処理は、前記第1指示情報または前記第2指示情報のいずれか一方を前記指示情報としてよい。
【0012】
この構成によると、外部から第2指示情報を取得可能である場合に、第1指示情報または第2指示情報のいずれか一方を指示情報とする。そして、例えば、第1指示情報および第2指示情報に指示した日時の情報が含まれる場合に、第1指示情報または第2指示情報のいずれか一方の指示した日時の新しい方を指示情報とすることができる。また、例えば、第2指示情報がある場合は、第2指示情報を指示情報とすることもできる。これにより、調剤した後に指示情報が変更になった場合であっても、外部から最新の指示情報に基づいて、医療関係者が薬剤の与薬準備を行うことができ、確認作業や薬剤の無駄を省いて、与薬準備を支援することができる。
【0013】
また、本発明の医療支援システムにおいて、前記医療支援システムは、印刷を行う印刷装置をさらに備えており、前記制御装置は、前記注意情報が前記印刷装置で印刷されるように制御する印刷手段をさらに備えてよい。
【0014】
この構成によると、注意情報が印刷装置で印刷物として印刷される。そして、印刷物により注意情報を医療関係者の間で容易に共有することができる。
【0015】
また、本発明の医療支援システムにおいて、前記薬剤容器に収容される薬剤は、前記指示情報に基づいて調剤された薬剤であり、前記操作者は、前記薬剤を与薬する医療関係者であってよい。
【0016】
この構成によると、薬剤容器に収容される薬剤は、指示情報に基づいて調剤された薬剤である。そして、操作者は、薬剤を与薬する医療関係者である。そのため、与薬の準備を行う際に、調剤された薬剤が指示情報に含まれる薬剤かどうかを確認することができる。そして、薬剤を与薬する者の目視による確認作業を省略することができる。また、薬剤を与薬する者が、薬剤の与薬を行う前に薬剤の注意情報を知ることができる。
【0017】
また、本発明の医療支援システムにおいて、前記制御装置は、前記データテーブルに、各種の薬剤の前記薬剤識別情報に紐づけて、各種の薬剤の与薬における前記注意情報を設定する注意情報設定処理を更に実行してよい。
【0018】
この構成によると、制御装置は、注意情報設定処理において、薬剤に関連する注意情報を、データテーブルに予め設定することができる。つまり、医療関係者は、薬剤に関連する注意情報として、与薬時の注意事項等を適宜設定することができる。これにより、本発明の医療支援システムは、与薬を行う直前の与薬準備を行う際に、薬剤に関連する注意情報を医療関係者に迅速に提供することができ、薬剤に関連する注意情報をより効率よく共有することができる。
【0019】
本発明の作業台は、与薬準備に用いられる作業台であって、本発明の前記医療支援システムを少なくとも1つ備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によると、与薬準備に用いられる作業台は、医療支援システムを少なくとも1つ備える。これにより、本発明の作業台は、上述の本発明の医療支援システムと同じ効果を有する作業台を提供することができる。そして、本発明の作業台は、1つ以上の医療支援システムを1つのユニットとして簡易に提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明に述べたように、本発明の医療支援システムおよび作業台によれば、医療関係者が行う混注作業等の与薬準備を支援しつつ、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を効率よく共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の医療支援システムおよび作業台の概略図である。
図2】本実施形態の薬剤容器の一例を示す図である。
図3】本実施形態の指示書の一例を示す図である。
図4図1に示す医療支援システムを概略的に示すブロック図である。
図5図4に示す薬剤情報が記憶されるデータテーブルの一例を示す図である。
図6図4に示す注意情報設定処理で表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図7】本実施形態の医療支援システムの制御装置で行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態の医療支援システムの制御装置で行われる注意情報設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図4に示す注意情報が印刷された印刷物の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、医療関係者が行う薬剤の混注作業等の与薬準備を支援するための医療支援システムおよび作業台に関する。医療関係者には、薬剤を与薬する看護師や医師が含まれる。また、病院の注射薬は、医師が処方箋等の指示情報を発行し、薬剤部にて薬剤師が調剤を行い、ナースステーションにて看護師が混注作業を実施し、医師や看護師によって患者へ与薬される。よって、薬剤の混注作業は、指示情報に基づいて調剤された薬剤が収容されている薬剤容器に収容された2種類以上の薬剤を、シリンジ等を用いて混ぜ合わせ、注射による与薬に用いる混合薬剤を作る作業である。
【0024】
まず、図2に基づいて、本実施形態の薬剤容器の一例について説明する。なお、本実施形態の薬剤容器に収容される薬剤は、指示情報に基づいて調剤された薬剤である。図2(a)に示すように、本実施形態の薬剤容器は、例えばバイアル瓶93や輸液バッグ94である。バイアル瓶93は、薬剤93cを収容して、金属キャップ93dで密閉したガラス瓶である。バイアル瓶93の金属キャップ93dは、上部の中央にゴム部(図示せず)を有する。そして、バイアル瓶93のゴム部には、シリンジ95(図2(b)参照)の注射針を刺すことができる。そして、バイアル瓶93に収容された薬剤93cをシリンジ95に吸引したり、シリンジ95に収容された薬剤をバイアル瓶93に注入したりすることができるように構成される。バイアル瓶93の側面には、ラベル93bが貼付されている。ラベル93bには、1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)93aが印刷されている。1次元バーコード93aは、そのバイアル瓶93に収容されている薬剤を識別する薬剤識別情報を保持する。薬剤識別情報は、薬剤を識別する薬剤管理番号であってもよいし、薬剤を識別する薬剤名称であってもよいし、その両方であってもよい。輸液バッグ94は、薬剤94bである輸液を収容して、ゴム栓94cで密閉したポリエチレン等の樹脂製のバッグである。そして、輸液バッグ94のゴム栓94cには、シリンジ95の注射針を刺すことができる。そして、シリンジ95に収容された薬剤を輸液バッグ94に注入することができるように構成される。輸液バッグ94には、1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)94aが貼付されている。1次元バーコード94aは、その輸液バッグ94に収容されている輸液を識別する薬剤識別情報を保持する。
【0025】
また、図2(b)に示すように、本実施形態の薬剤容器は、シリンジ95である。シリンジ95は、液体や気体を注入および吸引するために用いられる薬剤容器である。シリンジ95は、プランジャ95aを有し、シリンジ95内に収容された薬剤95bをプランジャ95aで密閉する。シリンジ95の側面には、1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)95cが貼付されている。1次元バーコード95cは、そのシリンジ95に収容されている薬剤を識別する薬剤識別情報を保持する。なお、バイアル瓶93の1次元バーコード93a、輸液バッグ94の1次元バーコード94a、および、シリンジ95の1次元バーコード95cは、いずれもGS1コード規格で規定されたコードである。なお、薬剤93c、94b、95bは、液体の薬剤であってもよいし、輸液等の溶剤で溶かした粉末の薬剤であってもよい。
【0026】
また、図3に基づいて、本実施形態の指示書の一例について説明する。図3に示すように、指示書は、図3(a)に示す処方せん91や図3(b)に示す注射せん92がある。図3(a)に示すように、処方せん91は、2次元バーコード(指示情報保持手段)91aが印刷されている。また、図3(b)に示すように、注射せん92にも2次元バーコード(指示情報保持手段)92aが印刷されている。これら2次元バーコード91a、92aには、指示情報を管理する番号(処方せん番号または注射せん番号)、患者名、および、少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤の名称(薬剤識別情報)とその薬剤の指示成分量等を含む第1指示情報が記憶されている。
【0027】
図1および図4に基づいて、本実施形態に係る医療支援システム20および作業台1の概略構成について説明する。図1に示すように本実施形態の作業台1は、2つの医療支援システム20(医療支援システム20A、20B)を備える。医療支援システム20A、医療支援システム20Bは、それぞれ、バーコードリーダ(読取装置)22と、液晶ディスプレイ(表示装置)23と、制御装置21と、を有している。また、医療支援システム20Aおよび医療支援システム20Bは、1つのプリンタ(印刷装置)24を共有している。つまり、医療支援システム20Aが有するプリンタ24と、医療支援システム20Bが有するプリンタ24とは同じである。図1の医療支援システム20(医療支援システム20A、20B)のそれぞれにおいて、液晶ディスプレイ23は、制御装置21と一つの筐体で成形される。医療支援システム20(医療支援システム20A、20B)それぞれのバーコードリーダ22と、液晶ディスプレイ23と、制御装置21は、作業台1の後述する天板10上に設置される。なお、以下の説明において、図1に示す上、下、左、右、前後の各方向を、上方向、下方向、左方向、右方向、および前後方向と定義する。
【0028】
作業台1は、作業台1の左右方向および前後方向の最大4方向から医療関係者がアクセスして作業できるように構成される。作業台1は、天板10とトレー部11とハンガー部13とを有する。トレー部11は、天板10の下方に設けられる。ハンガー部13は、天板10の上方に設けられる。
【0029】
天板10は、矩形の樹脂製または金属製の平板で形成される。天板10は、その上で医療関係者が混注等の作業を行うため、医療関係者の胴体部付近の高さに配置されるように構成される。天板10は、薬剤等が上面に配置されるため、耐薬品性、耐久性、清拭性に優れたメラミン樹脂等の材料で形成されることが好ましい。
【0030】
トレー部11は、天板10の下方に配置される。トレー部11は、右トレー部11A、左トレー部11B、および、中央トレー部11Cを有する。右トレー部11Aは、トレー部11の左右方向の右部に配置される。左トレー部11Bは、トレー部の左右方向の左部に配置される。中央トレー部11Cは、トレー部11の左右方向の中央であって、右トレー部11Aの左方および左トレー部11Bの右方に配置される。右トレー部11A、左トレー部11B、および、中央トレー部11Cは、それぞれ複数のトレーを有する。複数のトレーには、医療材料等を収納することができる。中央トレー部11Cが有する複数のトレーは、右トレー部11Aおよび左トレー部11Bが有する複数のトレーより大きさがおおきい。右トレー部11Aが有する複数のトレーおよび左トレー部11Bが有する複数のトレーは、大きさが同じである。右トレー部11A、左トレー部11B、および、中央トレー部11Cが有する複数のトレーは、前後方向のいずれの方向にも引き出すことができる。
【0031】
ハンガー部13は、天板10の上方に配置される。ハンガー部13は、右支柱部13a、左支柱部13b、上支柱部13c、および、フック部13dを有する。右支柱部13aは、上下方向に沿って配置され、下端部が天板10の右端部における前後方向の略中央に固定設置される。左支柱部13bは、上下方向に沿って配置され、下端部が天板10の左端部における前後方向の略中央に固定設置される。上支柱部13cは、左右方向に沿って配置され、右端部が右支柱部13aの上端部に接続され、左端部が左支柱部13bの上端部に接続される。上支柱部13cは、天板10の前後方向の略中央の上方に配置される。右支柱部13a、左支柱部13b、および、上支柱部13cは一体で形成される。上支柱部13cには、複数のフック部13dが左右方向に沿って移動可能に装着される。複数のフック部13dは、輸液バッグ94等を引っ掛けることができる。
【0032】
バーコードリーダ22は、1次元バーコードおよび2次元バーコードをスキャンして読み取ることができる。より具体的には、バーコードリーダ22は、処方せん(指示書)91に印刷された2次元バーコード(指示情報保持手段)91a、注射せん(指示書)92に印刷された2次元バーコード(指示情報保持手段)92a、バイアル瓶(薬剤容器)93に付された1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)93a、輸液バッグ(薬剤容器)94に付された1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)94a、および、シリンジ(薬剤容器)95に付された1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)95cを読み取ることができる。バーコードリーダ22は、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続されている。ここで、有線通信可能とは、配線によりバーコードリーダ22と制御装置21とが接続されることである。また、無線通信可能とは、無線LANやBluetooth(登録商標)等によりバーコードリーダ22と制御装置21とが接続されることである。なお、以下の説明において、同様である。
【0033】
液晶ディスプレイ23は、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続される。液晶ディスプレイ23は、操作者に制御装置21から出力された情報を表示する。操作者は、薬剤を与薬または与薬準備する医療関係者である。
【0034】
プリンタ24は、作業台1から離れた場所に配置される。プリンタ24は、ラベルプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等である。液晶ディスプレイ23は、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続される。プリンタ24は、制御装置21から出力された注意情報を印刷可能に構成される。
【0035】
図4に示すように、入力装置25は、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続される。入力装置25は、キーボード、マウスである。そして、入力装置25は、接続および切断可能に構成される。
【0036】
システムサーバ2は、外部のシステムであり、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続される。システムサーバ2は、病院内の情報を管理するサーバである。システムサーバ2は、システムサーバ2が記憶する第2指示情報を制御装置21に出力する。第2指示情報は、例えば、指示情報を変更する場合に、医師や薬剤師により指示された変更後の指示情報である。第2指示情報は、指示情報を管理する番号(処方せん番号または注射せん番号)、患者名、および、少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤の名称(薬剤識別情報)とその薬剤の指示成分量等を含む。
【0037】
制御装置21は、筐体に制御基板等を内蔵して構成される。制御装置21は、医療支援システム20の制御を行う装置である。制御装置21は、バスによって互いに接続された、CPU(Central Processing Unit)等の演算部と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えている。制御装置21には、液晶ディスプレイ23、バーコードリーダ22、プリンタ24、入力装置25、および、システムサーバ2が接続される。制御装置21は、記憶部に記憶されたプログラムに従って、演算部によって医療支援システム20の各処理を行う。
【0038】
制御装置21は、バーコードリーダ22から薬剤識別情報および指示情報を取得する。つまり、制御装置21は、バーコードリーダ22で読み取った薬剤識別情報保持手段が保持する薬剤識別情報および指示情報保持手段が保持する第1指示情報を取得する。また、制御装置21は、プリンタ24に情報を出力する。
【0039】
制御装置21は、データテーブル21fを有する。データテーブル21fは、図5に示すように、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を記憶する。図5に示すように、データテーブル21fは、各種の薬剤の薬剤識別情報として、薬剤管理番号と薬剤名とを記憶する。また、データテーブル21fは、各種の薬剤の与薬における注意情報として、与薬方法の注意事項等を記憶する。さらに、データテーブル21fは必ずしも制御装置21が有する必要はない。例えば、図4にあるシステムサーバ等の外部のシステムがデータテーブル21fを有しており、制御装置21から逐一参照してもよい。
【0040】
制御装置21は、注意情報設定処理21a、指示情報取得処理21b、薬剤判定処理21c、表示処理21d、および、印刷処理21eを実行する。ここで、制御装置21が行う各処理について、図7および図8に基づいて説明する。
【0041】
図7に示すように、注意情報設定処理21aでは、データテーブル21fに、各種の薬剤の薬剤識別情報に紐づけて、各種の薬剤の与薬における注意情報を予め設定する(ステップS1)。ここで、制御装置21が実行する注意情報設定処理21aについて、図8に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図8に示すように、注意情報設定処理21aでは、まず、入力装置25が制御装置21から切断されている場合に、制御装置21に入力装置25が接続される(ステップS11)。なお、予め入力装置25が制御装置21に接続されている場合は、このステップS11の処理は行われない。
【0043】
そして、入力装置25を介して、液晶ディスプレイ23に表示された注意情報の入力を開始するための注意事項作成ボタン(図示せず)を押下する入力が行われる(ステップS12)。
【0044】
制御装置21は、注意事項作成ボタンが押下された入力信号が入力されると、注意事項フォームを表示する(ステップS13)。注意事項フォームの一例を図6に示す。図6に示すように、注意事項フォーム23aには、例えば、薬剤識別情報としての薬剤名と、注意情報としての与薬時の注意事項とを入力できるように表示される。
【0045】
そして、入力装置25を介して、液晶ディスプレイ23に表示された注意事項フォーム23aに、薬剤識別情報および注意情報が入力される(ステップS14)。なお、薬剤識別情報としての薬剤名は、入力装置25を介して文字列を入力できるように構成されてもよいし、入力装置25を介して複数の薬剤名から選択できるように構成されてもよい。また、注意情報としての与薬時の注意事項は、入力装置25を介して文字列を入力できるように構成されてもよいし、入力装置25を介して外部から提供された薬剤に関する説明ファイルをデータ入力できるように構成されてもよい。また、注意情報は文字列に限らず、画像等のファイルでもよいし、文字列と画像等のファイルを組み合わせてもよい。さらに、薬剤識別情報としての薬剤名は、1つの注意情報に対して、1つの薬剤名が入力できるように構成されてもよいし、互いに注意事項が関連する複数の薬剤名が入力できるように構成されてもよい。
【0046】
最後に、入力装置25を介して、液晶ディスプレイ23に表示された注意情報の入力を終了する注意事項保存ボタン23bを押下する入力が行われる(ステップS15)。制御装置21は、注意事項保存ボタン23bが押下された入力信号が入力されると、注意事項フォーム23aに入力された薬剤識別情報および薬剤識別情報に紐づけた注意情報をデータテーブル21fに保存する。以上で注意情報設定処理21aの処理を終了する。
【0047】
次に、図7に示すように、指示情報取得処理21bでは、制御装置21は、バーコードリーダ22で読み取った少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤の薬剤識別情報を含む指示情報を取得する(ステップS2)。本実施形態の指示情報取得処理21bでは、制御装置21は、バーコードリーダ22で読み取った処方せん91に印刷された2次元バーコード91aが保持する第1指示情報、または、バーコードリーダ22で読み取った注射せん92に印刷された2次元バーコード92aが保持する第1指示情報を取得する。または、制御装置21は、システムサーバ2から第2指示情報を取得する。指示情報取得処理21bは、システムサーバ2から第2指示情報を取得していない場合は、バーコードリーダ22で読み取った処方せん91に印刷された2次元バーコード91aが保持する第1指示情報、または、バーコードリーダ22で読み取った注射せん92に印刷された2次元バーコード92aが保持する第1指示情報を指示情報とする。指示情報取得処理21bは、システムサーバ2から第2指示情報を取得した場合は、第1指示情報を取得していたとしても、システムサーバ2から取得した第2指示情報を指示情報とする。
【0048】
そして、薬剤判定処理21cでは、制御装置21は、バーコードリーダ22により、バイアル瓶93に付された1次元バーコード93aが保持する薬剤識別情報、輸液バッグ94に付された1次元バーコード94aが保持する薬剤識別情報、および、シリンジ95に付された1次元バーコード95cが保持する薬剤識別情報を読み取る(ステップS4)。そして、薬剤判定処理21cでは、制御装置21は、バーコードリーダ22で読み取られた薬剤識別情報と指示情報取得処理21bで取得された指示情報に基づいて、1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤が、指示情報に含まれる薬剤であるか否かを判定して、判定結果を出力する(ステップS4)。制御装置21は、判定結果を液晶ディスプレイ23に表示する。具体的には、制御装置21は、液晶ディスプレイ23に、1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤が、指示情報に含まれる薬剤であるか否かの表示を行う。
【0049】
そして、表示処理21dでは、制御装置21は、液晶ディスプレイ23に、データテーブル21fを参照して、バーコードリーダ22で読み取られた1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、および、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤の少なくともいずれかに紐づけられる注意情報を液晶ディスプレイ23に表示する(ステップS5)。具体的には、図5に示すデータテーブル21fを参照し、バーコードリーダ22で読み取られた1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、および、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤の少なくともいずれかに紐づけられて登録された注意情報を表示する。また、表示処理21dでは、制御装置21は、指示情報取得処理21bで取得された指示情報に基づいて、指示情報として記載された与薬に使用される薬剤の指示成分量から薬剤の必要量を計算し、薬剤の必要量を液晶ディスプレイ23に表示する(ステップS5)。
【0050】
最後に、印刷処理21eでは、制御装置21は、表示処理21dで表示された注意情報をプリンタ24で印刷する(ステップS6)。プリンタ24で表示情報が印刷された印刷物の一例を図9に示す。図9に示すように、印刷物80には、バーコードリーダ22で読み取られた1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、および、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤の少なくともいずれかの薬剤の薬剤識別情報(薬剤名)と、その薬剤に紐づけられる注意情報(与薬時の注意事項)とが表示される。
【0051】
本実施形態の医療支援システム20は、以下の効果を有する。
【0052】
本実施形態の医療支援システム20は、バーコードリーダ22が、バイアル瓶93に付された1次元バーコード93a、輸液バッグ94に付された1次元バーコード94aおよび、シリンジ95に付された1次元バーコード95cから薬剤識別情報を読み取る。また、制御装置21の指示情報取得処理21bでは、使用される薬剤の薬剤識別情報を含む指示情報を外部から取得する。制御装置21の薬剤判定処理21cでは、バーコードリーダ22によって読み取られたバイアル瓶93に付された1次元バーコード93aが保持する薬剤識別情報、輸液バッグ94に付された1次元バーコード94aが保持する薬剤識別情報、および、シリンジ95に付された1次元バーコード95cが保持する薬剤識別情報の少なくともいずれかと、指示情報取得処理21bによって取得された指示情報に含まれる薬剤識別情報とを比較する。そして、制御装置21の薬剤判定処理21cでは、1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤が、指示情報に含まれる少なくとも1種類の与薬に使用される薬剤であるか判定する。そして、制御装置21の薬剤判定処理21cでは、判定結果を出力する。例えば、制御装置21の薬剤判定処理21cでは、判定結果を液晶ディスプレイ23に表示する。これにより、本実施形態の医療支援システム20は、操作者である医療関係者による目視による確認作業にかわって、与薬準備している薬剤が指示情報に含まれる使用される薬剤かどうかを医療関係者が液晶ディスプレイ23で確認することができ、与薬する薬剤の取り違えを防止して、与薬準備を支援することができる。
【0053】
また、本実施形態の医療支援システム20は、制御装置21の表示処理21dで、各種の薬剤の薬剤識別情報と各種の薬剤の与薬における注意情報を含む薬剤情報を記憶するデータテーブル21fを参照して、バーコードリーダ22で読み取られた1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、および、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤の少なくともいずれかに紐づけられる注意情報を液晶ディスプレイ23に表示する。薬剤に関連する注意情報は、任意に設定することができる。つまり、医療関係者は、薬剤に関連する注意情報として、与薬時の注意事項等を設定することができる。これにより、本実施形態の医療支援システム20は、与薬を行う直前の与薬準備を行う際に、薬剤に関連する注意情報を医療関係者に提供することができ、薬剤に関連する注意情報を効率よく共有することができる。
【0054】
さらに、本実施形態の医療支援システム20は、薬剤情報や注意情報を1つのデータテーブル21fで管理している。そのため、薬剤情報や注意事項のデータの追加や削除、更新等の保守作業が容易である。
【0055】
また、本実施形態の医療支援システム20は、バーコードリーダ22で読み取った処方せん91に印刷された2次元バーコード91aが保持する第1指示情報、または、バーコードリーダ22で読み取った注射せん92に印刷された2次元バーコード92aが保持する第1指示情報から指示情報を取得することにより、与薬準備を支援することができる。
【0056】
また、本実施形態の医療支援システム20は、外部のシステムサーバ2から第2指示情報を取得可能である。そして、指示情報取得処理21bは、システムサーバ2から第2指示情報を取得した場合は、第1指示情報を取得していたとしても、システムサーバ2から取得した第2指示情報を指示情報とする。これにより、調剤した後に指示情報が変更になった場合であっても、外部のシステムサーバ2から取得した最新の指示情報に基づいて、医療関係者が薬剤の与薬準備を行うことができ、確認作業や薬剤の無駄を省いて、与薬準備を支援することができる。
【0057】
また、本実施形態の医療支援システム20は、注意情報がプリンタ24で印刷物80として印刷される。そして、印刷物80により注意情報を医療関係者の間で容易に共有することができる。
【0058】
また、本実施形態の医療支援システム20において、バイアル瓶93に収容される薬剤、輸液バッグ94に収容される薬剤、シリンジ95に収容される薬剤は、指示情報に基づいて調剤された薬剤である。そして、操作者は、薬剤を与薬する医療関係者である。そのため、与薬の準備を行う際に、調剤された薬剤であるバイアル瓶93に収容される薬剤、輸液バッグ94に収容される薬剤、シリンジ95に収容される薬剤が指示情報に含まれる薬剤かどうかを確認することができる。そして、薬剤を与薬する者の目視による確認作業を省略することができる。また、薬剤を与薬する者が、薬剤の与薬を行う前に薬剤の注意情報を知ることができる。
【0059】
また、本実施形態の医療支援システム20において、制御装置21は、注意情報設定処理21aにおいて、薬剤に関連する注意情報を、データテーブル21fに予め設定することができる。つまり、医療関係者は、薬剤に関連する注意情報として、与薬時の注意事項等を適宜設定することができる。これにより、本実施形態の医療支援システム20は、与薬を行う直前の与薬準備を行う際に、薬剤に関連する注意情報を医療関係者に迅速に提供することができ、薬剤に関連する注意情報をより効率よく共有することができる。
【0060】
また、本実施形態の作業台1は、与薬または与薬準備に用いられる作業台1である。そして、本実施形態の作業台1は、医療支援システム20を2つ備える。これにより、本実施形態の作業台1は、上述の本実施形態の医療支援システム20と同じ効果を有する作業台1を提供することができる。そして、本実施形態の作業台1は、2つの医療支援システム20A、20Bを1つのユニットとして簡易に提供することができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0062】
例えば、上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、薬剤容器は、バイアル瓶93、輸液バッグ94、シリンジ95の少なくともいずれかである。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、薬剤容器はそれらに限らず、薬剤が収容される薬剤容器であればよい。例えば、薬剤容器は、散剤である薬剤が収容された樹脂製の分袋であってもよい。
【0063】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、薬剤容器であるバイアル瓶93に付されている薬剤識別情報保持手段は1次元バーコード93aである。また、薬剤容器である輸液バッグ94に付されている薬剤識別情報保持手段は1次元バーコード94aである。また、シリンジ95に付されている薬剤識別情報保持手段は1次元バーコード95cである。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、薬剤識別情報保持手段は1次元バーコードに限らず、薬剤容器に収容される薬剤を識別することができるものであればよい。例えば、薬剤識別情報保持手段は、2次元バーコード等であってもよい。また、上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、バイアル瓶93の1次元バーコード93a、輸液バッグ94の1次元バーコード94a、および、シリンジ95の1次元バーコード95cは、いずれもGS1コード規格で規定されたコードであるが、それに限らず、他の規格等で規定されたコードであってもよい。
【0064】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、処方せん91に付されている指示情報保持手段は2次元バーコード91aである。また、注射せん92に付されている指示情報保持手段は2次元バーコード92aである。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、指示情報保持手段は2次元バーコードに限らず、指示情報を保持することができるものであればよい。例えば、指示情報保持手段は、1次元バーコードであってもよい。そして、指示情報保持手段は、指示情報を管理する番号のみを保持して、外部のシステム(例えばシステムサーバ2)に保存された第2指示情報を呼び出して取得するものであってもよい。
【0065】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、表示装置は液晶ディスプレイ23である。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、表示装置は、液晶ディスプレイに限らず、情報を表示することができる装置であればよい。例えば、表示装置は、携帯端末やタブレット端末であってもよい。
【0066】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、液晶ディスプレイ23は、制御装置21と一つの筐体で成形される。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、液晶ディスプレイ23は制御装置21と別の筐体で構成されてよい。または、発明の医療支援システムおよび作業台において、液晶ディスプレイ23は、制御装置21に脱着可能に構成されていてもよい。そして、発明の医療支援システムおよび作業台において、液晶ディスプレイ23は、ハンガー部13のフック部13dに引っ掛けられるように構成されて、作業台1の天板10上に設置されずに、作業台1のフック部13dに引っ掛けて設置されてもよい。
【0067】
上述の実施形態の作業台1では、2つの医療支援システム20A、20Bを有する。しかしながら、本発明の作業台において、医療支援システムは1つだけ備えてもよいし、3つ以上備えてもよい。
【0068】
上述の実施形態の作業台1では、制御装置21は、2つの医療支援システム20A、20Bのそれぞれが有する。しかしながら、本発明の作業台では、複数の医療支援システムで1つの制御装置を共有してもよい。
【0069】
上述の実施形態の作業台1では、プリンタ24は、2つの医療支援システム20A、20Bが共有する。しかしながら、本発明の作業台では、印刷装置は、複数の医療支援システムのそれぞれが有してもよい。
【0070】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、作業台1の天板10上に設置される。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、作業台の天板より下方に設置されてよい。例えば、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、トレー部11の一部に収容されて設置されてよい。
【0071】
上述の実施形態の作業台1は、天板10とトレー部11とハンガー部13とを有する。しかしながら、本発明の作業台において、少なくとも1つの医療支援システムと天板のみ有していれば、トレー部およびハンガー部の少なくともいずれかは有さなくてよい。
【0072】
上述の実施形態の作業台1は、トレー部11が、右トレー部11A、左トレー部11B、および、中央トレー部11Cを有する。しかしながら、本発明の作業台において、トレー部は、これらの少なくともいずれかを有するものであってもよい。また、本発明の作業台において、例えば、トレー部は、図1に示す形状とは異なるトレー部を有してもよい。さらに、本発明の作業台において、例えば、トレー部は、少なくとも一部にスペースを有してもよい。
【0073】
上述の実施形態の作業台1は、ハンガー部13は、右支柱部13a、左支柱部13b、上支柱部13c、および、フック部13dを有する。しかしながら、本発明の作業台において、ハンガー部13は、右支柱部13aおよび左支柱部13bに替えて、天板10の略中央に下端部が配置された中央支柱部を有し、中央支柱部の上端部に上支柱部13cが配置されるものであってもよい。
【0074】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、プリンタ24は、作業台1から離れた場所に配置される。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、プリンタは、作業台1の天板10上に配置されてもよい。
【0075】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、入力装置25は、制御装置21と有線通信可能または無線通信可能に接続される。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、入力装置は、タッチパネルとして液晶ディスプレイ23と一体で形成されてもよい。この場合において、入力装置は、接続および切断可能に構成されない。
【0076】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、システムサーバ2は、制御装置21に接続されている。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、システムサーバは制御装置に接続されていなくてよい。この場合において、制御装置は、第2指示情報を取得しない。
【0077】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、注意情報設定処理21aを実行する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、注意情報設定処理を実行しなくてよい。この場合、注意情報は、外部(例えば、システムサーバ2)でデータテーブルに登録され、外部(例えば、システムサーバ2やUSB等の記憶媒体)から取得した制御装置21がデータテーブル21fとして記憶する。また、上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、注意情報設定処理21aを予め実行する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、注意情報設定処理のタイミングは事前に限らず、どのタイミングにおいて実行してもよい。
【0078】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置の注意情報設定処理21aでは、入力装置25を介して、液晶ディスプレイ23に表示された注意事項作成ボタンを押下することにより、注意情報の入力を開始している。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置の注意情報設定処理21aにおいて、入力装置25が有する注意事項作成ボタンやその他の方法により、注意情報の入力を開始してもよい。また、上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置の注意情報設定処理21aでは、入力装置25を介して、液晶ディスプレイ23に表示された注意事項保存ボタン23bを押下することにより、注意情報の入力を終了している。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置の注意情報設定処理21aにおいて、入力装置25が有する注意事項保存ボタンやその他の方法により、注意情報の入力を終了してもよい。
【0079】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、印刷処理21eを実行して、注意情報を印刷する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、印刷処理を実行しなくてよい。
【0080】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、指示情報取得処理21bで、システムサーバ2から第2指示情報を取得した場合は、第1指示情報を取得していたとしても、システムサーバ2から取得した第2指示情報を指示情報とする。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、指示情報取得処理で、第1指示情報および第2指示情報に指示した日時の情報が含まれる場合に、第1指示情報または第2指示情報のいずれか一方の指示した日時の新しい方を指示情報としてもよい。
【0081】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、薬剤判定処理21cで、判定結果を液晶ディスプレイ23に表示する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、薬剤判定処理で判定結果を出力することができればよい。例えば、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、薬剤判定処理で判定結果を音や光により報知してもよい。
【0082】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、表示処理21dで、データテーブル21fを参照し、バーコードリーダ22で読み取られた1次元バーコード93aが付されたバイアル瓶93に収容される薬剤、1次元バーコード94aが付された輸液バッグ94に収容される薬剤、および、1次元バーコード95cが付されたシリンジ95に収容される薬剤の少なくともいずれかに紐づけられて登録された注意情報を表示する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、表示処理で、指示情報取得部で取得した指示情報に含まれる与薬に使用される薬剤に紐づけられて登録された注意情報を表示してもよい。
【0083】
上述の実施形態の医療支援システム20および作業台1では、制御装置21は、表示処理21dでは、制御装置21は、指示情報取得処理21bで取得された指示情報に基づいて、指示情報として記載された与薬に使用される薬剤の指示成分量から薬剤の必要量を計算し、液晶ディスプレイ23に表示する。しかしながら、本発明の医療支援システムおよび作業台において、制御装置は、表示処理で、薬剤の必要量を計算して表示装置に表示しなくてもよい。
【0084】
上述の実施形態の医療支援システム20は、作業台1に備えられている。しかしながら、本発明の医療支援システムは、作業台1に備えられなくてよい。例えば、本発明の医療支援システムは、机や台等に配置することができる。この場合、様々な場所において、医療関係者が行う与薬準備を支援することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 作業台
2 システムサーバ(外部)
20 医療支援システム
21 制御装置
21a 注意情報設定処理
21b 指示情報取得処理
21c 薬剤判定処理
21d 表示処理
21e 印刷処理
21f データテーブル
22 バーコードリーダ(読取装置)
23 液晶ディスプレイ(表示装置)
24 プリンタ(印刷装置)
25 入力装置
80 印刷物
91 処方せん(指示書)
91a 2次元バーコード(指示情報保持手段)
92 注射せん(指示書)
92a 2次元バーコード(指示情報保持手段)
93 バイアル瓶(薬剤容器)
93c 薬剤
94 輸液バッグ(薬剤容器)
94a 1次元バーコード(薬剤識別情報保持手段)
94b 薬剤
95 シリンジ
95b 薬剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9