特開2019-181888(P2019-181888A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-181888(P2019-181888A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】金型装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20190927BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   B29C45/26
   B22D17/22 T
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-78849(P2018-78849)
(22)【出願日】2018年4月17日
(11)【特許番号】特許第6448072号(P6448072)
(45)【特許公報発行日】2019年1月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】合葉 修司
(72)【発明者】
【氏名】井ノ上 悟
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕宏
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK42
4F202CK43
4F202CK52
4F202CK90
(57)【要約】
【課題】より多くの種類の構造のカセット型を装填できる金型装置を提供する。
【解決手段】第1ベース型と、第1ベース型に設けられ成形材料が供給されるスプル流路11aの少なくとも一部が形成されるスプルブッシュ11と、スプル流路11aから供給された成形材料が流通するランナ流路12が形成される第1型板と、第1型板が装填されるベース中間型3と、第2型板と、第2型板が装填される第2ベース型と、ベース中間型3を第1ベース型および第2ベース型との間の任意の位置に位置決め固定するベース中間型駆動装置6と、を備え、第1ベース型または第2ベース型の一方は他方に対し型開閉方向に移動し、第1型板と第2型板とが接して成形品が成形されるキャビティ空間Cを形成し、キャビティ空間Cにはスプル流路11aおよびランナ流路12から送られた成形材料がゲートGを介して充填される、金型装置10が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース型と、
前記第1ベース型に設けられ、成形材料が供給されるスプル流路の少なくとも一部が形成されるスプルブッシュと、
前記スプル流路から供給された前記成形材料が流通するランナ流路が形成される第1型板と、
前記第1型板が装填されるベース中間型と、
第2型板と、
前記第2型板が装填される第2ベース型と、
前記ベース中間型を前記第1ベース型および前記第2ベース型との間の任意の位置に位置決め固定するベース中間型駆動装置と、を備え、
前記第1ベース型または前記第2ベース型の一方は他方に対し型開閉方向に移動し、
前記第1型板と前記第2型板とが接して成形品が成形されるキャビティ空間を形成し、
前記キャビティ空間には前記スプル流路および前記ランナ流路から送られた前記成形材料がゲートを介して充填される、金型装置。
【請求項2】
前記第1型板および前記第2型板を含んで構成されるカセット型が2プレート金型であって、
前記ベース中間型駆動装置は、前記第1型板と前記第1ベース型が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定する、請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
前記第1ベース型と前記第1型板との間に設けられるランナストリッパプレートをさらに備え、
前記第1型板、前記第2型板および前記ランナストリッパプレートを含んで構成されるカセット型が3プレート金型であって、
前記ベース中間型駆動装置は、前記スプル流路および前記ランナ流路に形成されるスプルランナを取り出すときは前記第1型板と前記第2型板が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定し、前記成形品を取り出すときは前記第1型板と前記第1ベース型が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定する、請求項1に記載の金型装置。
【請求項4】
前記ランナストリッパプレートは前記ランナ流路と連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔の前記第1ベース型側と連通し逆テーパ形状を有する逆テーパ空間が形成され、前記逆テーパ空間に前記成形材料からなる係止部位が形成されるランナ係止部と、
前記ランナストリッパプレートを前記ランナ係止部と離間させるよう移動させ前記係止部位の係止を解除するランナ係止解除手段と、をさらに備える、請求項3に記載の金型装置。
【請求項5】
前記第1ベース型と前記ランナストリッパプレートとの間に設けられるランナ係止プレートをさらに備え、
前記ランナ径止部は、前記ランナ係止プレートに設けられる、請求項4に記載の金型装置。
【請求項6】
前記ランナ係止プレートを型開方向に移動させて前記第1ベース型と前記ランナ係止プレートとの間に所定の隙間を形成させるランナ係止プレート移動手段をさらに設ける、請求項5に記載の金型装置。
【請求項7】
前記ランナ径止部は、前記第1ベース型に設けられる、請求項4に記載の金型装置。
【請求項8】
前記ランナ係止解除手段は、前記ランナストリッパプレートを型開方向に移動させるランナストリッパプレート駆動装置を含む、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の金型装置。
【請求項9】
前記ランナ係止解除手段は、
前記第1型板と前記第2型板とを連結して前記第1型板と前記第2型板間の開き量を制限する引張リンクと、
頭部が第1型板を係止可能であるプラーボルトと、
頭部が第1ベース型を係止可能であるストップボルトと、を含み、
前記プラーボルトの端部と前記ストップボルトの端部は前記ランナストリッパプレートを挟んで連結される、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金型装置、特に詳しくは、カセット式金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、固定ベース型と可動ベース型とを有するベース型と、ベース型に装填可能なカセット型と、を含んでなるカセット式金型装置が知られている。また、カセット型は金型構造に応じて、固定型板および可動型板とを含んでなる2プレート金型と、固定型板、可動型板およびランナストリッパプレートとを含んでなる3プレート金型に大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6164715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2プレート金型においては、固定型板と可動型板との間を開き、当該隙間から成形品と、コールドランナ方式である場合は加えてスプルランナとを取り出す。一方、3プレート金型においては、固定型板と可動型板との間と、固定ベース型または可動ベース型とランナストリッパプレートとの間を開き、当該隙間からそれぞれ成形品とスプルランナを取り出す。3プレート金型は2プレート金型と比較して型開量が大きくなるが、金型装置が搭載される成形機には構造上最大型開量の限界がある。以上のような事情から、従来はカセット型の構成に応じて使用可能なベース型が制限されていた。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、2プレート金型か3プレート金型かに関わらず、より多くの種類の構造のカセット型を装填できる金型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1ベース型と、第1ベース型に設けられ成形材料が供給されるスプル流路の少なくとも一部が形成されるスプルブッシュと、スプル流路から供給された成形材料が流通するランナ流路が形成される第1型板と、第1型板が装填されるベース中間型と、第2型板と、第2型板が装填される第2ベース型と、ベース中間型を第1ベース型および第2ベース型との間の任意の位置に位置決め固定するベース中間型駆動装置と、を備え、第1ベース型または第2ベース型の一方は他方に対し型開閉方向に移動し、第1型板と第2型板とが接して成形品が成形されるキャビティ空間を形成し、キャビティ空間にはスプル流路およびランナ流路から送られた成形材料がゲートを介して充填される、金型装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明による金型装置においては、ベース中間型駆動装置によって、第1型板が装填されるベース中間型を第1ベース型および第2ベース型との間の任意の位置に位置決め固定することができるので、より多くの種類の構造のカセット型が適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】型閉状態にある本発明の実施形態の金型装置を示す一部破断側面図。
図2】スプルランナと成形品が切り離された状態にある実施形態の金型装置を示す一部破断側面図。
図3】スプルランナの係止が解除された状態にある実施形態の金型装置を示す一部破断側面図。
図4】成形品を取り出す状態にある実施形態の金型装置を示す一部破断側面図。
図5図1のスプルランナ周辺の拡大側断面図。
図6図2のスプルランナ周辺の拡大側断面図。
図7図3のスプルランナ周辺の拡大側断面図。
図8】ランナ係止部の変形例を示すスプルランナ周辺の拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。本実施形態の金型装置10は、成形材料が供給される側が固定側として構成される。換言すれば、前述の第1ベース型が固定側ベース型2、第1型板が固定型板5、第2ベース型が可動側ベース型1、第2型板が可動型板4、にそれぞれ相当する。
【0010】
図1から図4に示す金型装置10は、固定側ベース型2と、可動側ベース型1と、固定側ベース型2および可動側ベース型1の間に配設されたベース中間型3とを有している。固定側ベース型2および可動側ベース型1はそれぞれ、図示外の成形機の型締装置における固定プラテンおよび可動プラテンに固定されている。可動側ベース型1は可動プラテンによって、型開閉方向つまり、固定側ベース型2に接近、離間する方向(図1から図4中の上下方向)に移動可能とされている。
【0011】
固定側ベース型2には、金型装置10内への成形材料の供給路となるスプル流路11aの少なくとも一部が形成されるスプルブッシュ11が設けられる。可動側ベース型1には、可動型板4が取外し自在に装填保持され、さらに成形品を可動型板4から押し出して離型させるエジェクタピン等を含む不図示のエジェクタ機構が設けられる。また、ベース中間型3には、スプル流路11aから供給された成形材料が流通するランナ流路12が形成される固定型板5が装填保持されている。図1は、固定型板5および可動型板4がパーティング面Pで互いに密接した型閉状態を示しており、固定型板5および可動型板4の間に成形品が形成されるキャビティ空間Cが形成される。また、詳細は後述するが、カセット型が3プレート金型であるとき、固定側ベース型2と固定型板5との間にランナストリッパプレート21が設けられる。好ましくはさらに、ランナストリッパプレート21と固定側ベース型2との間にランナ係止プレート22が設けられる。換言すると、図1から図4に記載の金型装置10のカセット型は、固定型板5、可動型板4、ランナストリッパプレート21およびランナ係止プレート22とを含む、3プレート金型である。なお、図5から図7に示すように、カセット型が3プレート金型であるとき、ランナストリッパプレート21にはスプル流路11aの一部が形成される。またランナ係止プレート22が設けられるとき、ランナ係止プレート22にはスプル流路11aの一部が形成される。すなわち、本実施形態においては、スプルブッシュ11、ランナストリッパプレート21およびランナ係止プレート22に形成された互いに連通する孔がスプル流路11aとなる。また、カセット型が2プレート金型であるとき、スプルブッシュ11に形成されたスプル流路11aが、直接ランナ流路12に連通する。なお、スプル流路11aは通常抜きテーパ形状を有する。また、図示省略したが、ランナ流路12に連通して、コールドスラグ溜まりとなるコールドスラグウェルを形成するための空間を、必要に応じて適宜設けてよい。
【0012】
固定側ベース型2には、例えば1対の流体圧シリンダであるベース中間型駆動装置6が固定されている。このベース中間型駆動装置6は、ベース中間型3および固定型板5を型開閉方向に移動させ、固定側ベース型2と可動側ベース型1との間の任意の位置に位置決め固定する。すなわち、各ベース中間型駆動装置6のピストン6aの先端は、ベース中間型3に連結されており、これらのピストン6aが互いに同期して伸長、収縮されるとベース中間型3が型開閉方向に移動し、それにより固定型板5が型開閉方向に移動する。
【0013】
固定側ベース型2には、ガイドロッド8が固定されている。このガイドロッド8は、一端が固定側ベース型2に固定され、この固定部分から可動側ベース型1側に延びるように配置されている。可動側ベース型1およびベース中間型3にはそれぞれ、型開閉方向に延びるガイド孔1aおよびガイド孔3aが設けられ、これらのガイド孔1aおよびガイド孔3aには上記ガイドロッド8が挿通されている。それにより可動側ベース型1およびベース中間型3は、相互間で独立して、固定側ベース型2に対して型開閉方向に相対移動可能とされている。
【0014】
成形材料が供給される側、すなわち本実施形態においては固定側には、溶融した成形材料を射出する成形機の射出ユニット9が配置されている。射出ユニット9は、成形材料を溶融可塑化し、スクリュやプランジャ等の射出軸で溶融した成形材料を押し出してノズル部20から射出させる。ノズル部20から射出された成形材料は、スプル流路11aへと送られ、ランナ流路12を経由して、ゲートGを介してキャビティ空間Cへと充填される。ゲートGは、開口径が極めて小さいピンポイントゲートである。
【0015】
図5に明示されるようにランナストリッパプレート21には、ランナ流路12に連通する貫通孔21aが設けられている。この貫通孔21aは、ランナストリッパプレート21を貫通している。貫通孔21aは好ましくは抜きテーパ形状を有する。ここで、貫通孔21aの固定側ベース型2側と連通し少なくとも一部に逆テーパ形状を有する逆テーパ空間22aが形成され、逆テーパ空間22aに成形材料からなる係止部位34が形成されるランナ係止部が設けられる。本実施形態においては、ランナ係止部はランナ係止プレート22に設けられる。すなわち、ランナストリッパプレート21に対して固定側ベース型2の方に位置するランナ係止プレート22には、逆テーパ形状を有する逆テーパ空間22aが設けられ、逆テーパ空間22aは貫通孔21aに連通している。逆テーパ空間22aには、貫通孔21aを介してランナ流路12から成形材料が流れ込み、スプルランナ32を保持する係止部位34が形成される。なお、上記の「逆テーパ状」は、先に述べた通り逆テーパ空間22aの形状が、貫通孔21aの開口と連続連通する側の空間端部(図5中の上端部)から反対側の端部(図5中の下端部)に向かって断面積が次第に大きくなっていることを指すものである。逆テーパ空間22aのテーパ角度は、例えば1度から10度である。なお、係止部位34はスプルランナ32を保持するよう設けられればよく、位置および個数は限定されない。換言すれば、逆テーパ空間22aは貫通孔21aを介してランナ流路12と連通していればよい。但し、成形品とスプルランナ32を切り離す際適切にスプルランナ32を保持できるよう、係止部位34はゲートGに対応した位置、すなわちゲートGと型開閉方向に略同軸上に設けられることが望ましい。
【0016】
ランナ係止プレート22は固定側ベース型2に常時固定されてもよいが、係止解除時は、固定側ベース型2とランナ係止プレート22との間に所定の隙間が形成されることが望ましい。隙間から空気が流入することで、係止の解除が容易になる。この場合、ランナ係止プレート22を固定側ベース型2と離接する方向に移動させるランナ係止プレート移動手段23が設けられる。ランナ係止プレート移動手段23は、例えば頭部がランナ係止プレート22に係止可能であり、軸部がランナ係止プレート22に挿通し、端部がランナストリッパプレート21に固定されたボルトである。このようにすれば、ランナストリッパプレート21が型開方向に移動した際、ランナ係止プレート移動手段23がランナ係止プレート22を押圧し移動させる。なお、ランナ係止プレート移動手段23としてシリンダ等を設けてもよいが、上述のような構成によれば、別途駆動装置等を設ける必要がなく、簡易な構成でランナ係止プレート22を移動させることができ、好適である。
【0017】
ここで、ランナストリッパプレート21をランナ係止部と離間させるよう移動させ係止部位34の係止を解除するランナ係止解除手段が設けられる。ランナ係止解除手段は、具体的に、例えば1対の流体圧シリンダであるランナストリッパプレート駆動装置7である。ランナストリッパプレート駆動装置7は固定側ベース型2に固定されている。また、ランナストリッパプレート21は図1から図4に示される通り、一例として2つの側端部において連結部材14に連結されている。これらの連結部材14には各々、ランナストリッパプレート駆動装置7のピストン7aの先端が連結されている。ランナストリッパプレート駆動装置7は、係止部位34の係止を解除する際、ランナストリッパプレート21をランナ係止部と離間させるよう移動させる。このような構成により、ランナロックピンを用いずともスプルランナ32を保持することが可能となり、金型装置10の設計の自由度が向上する。
【0018】
以下、本実施形態の金型装置10における型開閉ならびに成形品およびスプルランナ32の取出方法について説明する。図1は、型閉状態にある金型装置10を示している。型閉状態のとき、ベース中間型駆動装置6はピストン6aを収縮させて、ベース中間型3を、固定側ベース型2に密接させる。またランナストリッパプレート駆動装置7もピストン7aを収縮させて、ランナストリッパプレート21およびランナ係止プレート22を互いに密接した状態で、固定側ベース型2に密接させる。他方、可動側ベース型1は前述した可動プラテンによって型閉方向に移動され、可動型板4を固定型板5にパーティング面Pで密接させる。特に成形時は、可動型板4および固定型板5は、可動プラテンおよび固定プラテンによって所定の型締力で締め付けられる。
【0019】
この状態下で、射出ユニット9のノズル部20からスプル流路11aを通して、成形材料がキャビティ空間Cに向けて送入される。図5に示されるように成形材料は、ランナ流路12を経て、ゲートGからキャビティ空間C内に注入される。注入された成形材料は、その後冷却されて固化し、成形品となる。
【0020】
その際、スプル流路11aおよびランナ流路12に流入した成形材料は同様に冷却されて固化し、スプルランナ32となる。また成形材料は、ランナストリッパプレート21の貫通孔21aに流入する。この成形材料は、貫通孔21a流出して、ランナ係止プレート22の逆テーパ空間22aへと送られる。逆テーパ空間22aへと送られた成形材料は、冷却されて固化し、係止部位34となる。
【0021】
次に金型装置10は、スプルランナ32の取り出しを行う。まず、図2に示すようにスプルランナ32をゲートGにおいて成形品と切り離す。すなわち、可動プラテンが型開方向に駆動し、可動側ベース型1が型開方向に移動する。この可動プラテンの駆動と同期して、ベース中間型駆動装置6はピストン6aを伸長させて、可動型板4と固定型板5がパーティング面Pで密接した状態で、ベース中間型3を、固定側ベース型2から離間させる。固定型板5がスプルランナ32の取り出しが可能な位置まで固定側ベース型2から離間すると、ベース中間型駆動装置6は、可動型板4と固定型板5とが当接した状態で、ベース中間型3を位置決め固定する。図6は、このときのスプルランナ32周辺の状態を詳しく示している。
【0022】
固定型板5が固定側ベース型2から離間すると、キャビティ空間C内に有る成形品とスプルランナ32は、ゲートGの部分で切断される。この際、図6に示されるようにスプルランナ32は係止部位34によってランナストリッパプレート21およびランナ係止プレート22側に保持される。
【0023】
スプルランナ32が成形品と切り離され、固定型板5がスプルランナ32の取り出しが可能な位置まで固定側ベース型2から離間した後に、金型装置10は、図3に示すようにスプルランナ32の係止を解除する。すなわち、ランナストリッパプレート駆動装置7のピストン7aが伸長され、連結部材14を介してランナストリッパプレート21をランナ係止部と離間させるよう移動させる。図7は、このときのスプルランナ32周辺の状態を詳しく示している。
【0024】
上述のようにして、ランナストリッパプレート21がランナ係止プレート22から離れるように移動することにより、係止部位34は、ランナ係止プレート22の逆テーパ空間22aから離脱する。こうしてスプルランナ32は、ランナ係止プレート22による係止が解除された状態となる。そこでスプルランナ32を、従来公知のスプルランナ取出ロボット等を用いて金型装置10から取り出すことができる。
【0025】
スプルランナ32が金型装置10から取り出されると、次に金型装置10は、成形品の取出しを行う。すなわち、図4に示すように、ランナストリッパプレート駆動装置7のピストン7aが収縮され、連結部材14を介してランナストリッパプレート21が、ランナ係止プレート22と接する位置に移動される。それと共に、ベース中間型駆動装置6のピストン6aが収縮され、ベース中間型3は固定側ベース型2に接する位置まで移動される。換言すれば、固定型板5と固定側ベース2が当接するようベース中間型3が位置決め固定される。このとき、可動型板4と固定型板5との間のパーティング面Pが開かれる。そして、成形品は不図示のエジェクタ装置によって離型され、従来公知の成形品取出ロボット等を用いて、金型装置10から成形品が取り出される。
【0026】
上述の通りにして成形品の取出しがなされた後、可動プラテンによって可動側ベース型1が型閉方向に移動されて、金型装置10は図1に示す型閉状態に戻され、次の成形品の成形に備える。なお上記可動プラテンの駆動は不図示の成形機の制御装置によって制御される。また、ベース中間型駆動装置6およびランナストリッパプレート駆動装置7の駆動は成形機の制御装置によって行われてもよいし、独自の制御装置によって行われてもよい。
【0027】
以上のように、固定型板5と可動型板4が当接した状態でスプルランナ32の取り出しを行い、固定型板5と固定側ベース板2が当接した状態で成形品の取り出しを行うことで、3プレート金型であるカセット型が装填された金型装置10の型開量を節約することができる。これにより、比較的大型の3プレート金型のカセット型も装填して使用することができる。
【0028】
また、上記実施形態の金型装置10のカセット型は3プレート金型であったが、2プレート金型であってもよい。このとき、成形品およびスプルランナ32の取り出しにあたっては、ベース中間型駆動装置6は、固定型板5と固定型ベース型2が当接するようベース中間型3を位置決め固定する。すなわち、固定型板5と固定型ベース型2とを固定した状態で、可動プラテンを型開方向に稼働させて可動型板4と固定型板5を離接させ、パーティング面Pから成形品およびスプルランナ32を取り出したあと、可動プラテンを型閉方向に稼働させて型閉を行う。
【0029】
また、本実施形態においては、固定側ベース型2とランナストリッパプレート21との間にランナ係止プレート22を設け、ランナ係止プレート22にランナ係止部を設けたが、図8に示すように、固定側ベース型2に、ランナ係止部を設けるようにしてもよい。ただし、ランナ係止プレート22にランナ係止部を設ける、すなわちランナ係止プレート22に逆テーパ空間22aを設ける方が製作が容易であるため、より好ましい。
【0030】
また、本実施形態ではランナストリッパプレート21をランナ係止部と離間させるよう移動させ係止部位34の係止を解除するランナ係止解除手段としてランナストリッパプレート駆動装置7が設けられたが、他の形態でもよい。ランナ係止解除手段は、例えば、引張リンクと、プラーボルトと、ストップボルトと、を含むよう構成されてもよい。引張リンクは、固定型板5と可動型板4とを連結して、固定型板5と可動型板4間の開き量を制限する。プラーボルトは、頭部が固定型板5を係止可能である。ストップボルトは、頭部が固定側ベース型2を係止可能である。プラーボルトの端部とストップボルトの端部はランナストリッパプレート21を挟んで連結される。このように構成すれば、固定型板5と可動型板4との間が所定の開き量に達した後にさらに可動プラテンが型開方向に稼働すると、引張リンクによって固定型板5が型開方向に引き出され、次いでプラーボルトを介してランナストリッパプレート21がランナ係止部と離間するように移動する。こうして、係止部位34は、ランナ係止プレート22の逆テーパ空間22aから離脱する。なお、ランナストリッパプレート21の移動ストロークはストップボルトにより制限される。
【0031】
本発明の金型装置10は射出成形機等の成形機に搭載可能であり、また成形機の型締装置は横型であっても竪型であってもよい。また、本実施形態の金型装置10は、成形材料が供給される側が固定側として構成されたが、成形材料が供給される側が可動側として構成されてもよい。換言すれば、第1ベース型が可動側ベース型1、第1型板が可動型板4、第2ベース型が固定側ベース型2、第2型板が固定型板5、にそれぞれ相当するよう構成してもよい。すなわち、金型装置は、可動側ベース型と、可動側ベース型と、可動側ベース型に設けられ成形材料が供給されるスプル流路の少なくとも一部が形成されるスプルブッシュと、スプル流路から供給された成形材料が流通するランナー流路が形成される可動型板と、可動型板が装填されるベース中間型と、固定型板と、固定型板が装填される固定側ベース型と、ベース中間型を可動側ベース型および固定側ベース型との間の任意の位置に位置決め固定するベース中間型駆動装置と、を備え、可動ベース型は固定ベース型に対し型開閉方向に移動し、可動型板と固定型板とが接して成形品が成形されるキャビティ空間を形成し、キャビティ空間にはスプルおよびランナ流路から送られた成形材料がゲートを介して充填されるよう構成されてもよい。
【0032】
本発明は、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 可動側ベース型
2 固定側ベース型
3 ベース中間型
4 可動型板
5 固定型板
6 ベース中間型駆動装置
7 ランナストリッパプレート駆動手段
8 ガイドロッド
10 金型装置
11 スプルブッシュ
12 ランナ流路
14 連結部材
20 ノズル部
21 ランナストリッパプレート
21a 貫通孔
22 ランナ係止プレート
22a 逆テーパ空間
32 スプルランナ
34 係止部位
C キャビティ空間
G ゲート
P パーティング面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2018年11月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース型と、
前記第1ベース型に設けられ、成形材料が供給されるスプル流路の少なくとも一部が形成されるスプルブッシュと、
前記スプル流路から供給された前記成形材料が流通するランナ流路が形成される第1型板と、
前記第1型板が装填されるベース中間型と、
第2型板と、
前記第2型板が装填される第2ベース型と、
前記ベース中間型を前記第1ベース型および前記第2ベース型との間の任意の位置に位置決め固定するベース中間型駆動装置と、を備え、
前記第1ベース型または前記第2ベース型の一方は他方に対し型開閉方向に移動し、
前記第1型板と前記第2型板とが接して成形品が成形されるキャビティ空間を形成し、
前記キャビティ空間には前記スプル流路および前記ランナ流路から送られた前記成形材料がゲートを介して充填され
前記ベース中間型駆動装置は、
少なくとも前記第1型板および前記第2型板を含んで構成されるカセット型が2プレート金型であるとき、前記第1型板と前記第1ベース型が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定し、
前記カセット型が前記第1ベース型と前記第1型板との間に設けられるランナストリッパプレートをさらに含んで構成される3プレート金型であるとき、前記スプル流路および前記ランナ流路に形成されるスプルランナを取り出すときは前記第1型板と前記第2型板が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定し、前記成形品を取り出すときは前記第1型板と前記第1ベース型が当接するよう前記ベース中間型を位置決め固定する、金型装置。
【請求項2】
前記ランナストリッパプレートは前記ランナ流路と連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔の前記第1ベース型側と連通し逆テーパ形状を有する逆テーパ空間が形成され、前記逆テーパ空間に前記成形材料からなる係止部位が形成されるランナ係止部と、
前記ランナストリッパプレートを前記ランナ係止部と離間させるよう移動させ前記係止部位の係止を解除するランナ係止解除手段と、をさらに備える、請求項に記載の金型装置。
【請求項3】
前記第1ベース型と前記ランナストリッパプレートとの間に設けられるランナ係止プレートをさらに備え、
前記ランナ径止部は、前記ランナ係止プレートに設けられる、請求項に記載の金型装置。
【請求項4】
前記ランナ係止プレートを型開方向に移動させて前記第1ベース型と前記ランナ係止プレートとの間に所定の隙間を形成させるランナ係止プレート移動手段をさらに設ける、請求項に記載の金型装置。
【請求項5】
前記ランナ径止部は、前記第1ベース型に設けられる、請求項に記載の金型装置。
【請求項6】
前記ランナ係止解除手段は、前記ランナストリッパプレートを型開方向に移動させるランナストリッパプレート駆動装置を含む、請求項から請求項のいずれか1項に記載の金型装置。
【請求項7】
前記ランナ係止解除手段は、
前記第1型板と前記第2型板とを連結して前記第1型板と前記第2型板間の開き量を制限する引張リンクと、
頭部が第1型板を係止可能であるプラーボルトと、
頭部が第1ベース型を係止可能であるストップボルトと、を含み、
前記プラーボルトの端部と前記ストップボルトの端部は前記ランナストリッパプレートを挟んで連結される、請求項から請求項のいずれか1項に記載の金型装置。